柔能く柔を断つ

     ――屈強な体格をした男たちが、己の技を競い合う柔道大会。
     そこへやってきた闖入者のうち、一人は派手な衣装に身を包んだ女――ケツァールマスクである。
     そして彼女に連れられたもう一人は、小柄な体躯に柔道着を纏い、そして何故か下にはブルマを穿いている少女だった。
    「どいつもこいつも図体自慢ばかり! 我々が本当の柔術というものを教えてやろう!」
     ケツァールマスクは揚々と宣言すると、傍らの少女の手を取って高く掲げた。
    「……デカくて強いなんて当たり前でしょ。小さくても強い――それが真の技術というものよ。まとめて相手してあげるわ、かかってきなさい」
     大会に参加している柔道家たちを三白眼で見据えながら、ブルマ少女もまた自信ありげな様子で言うのだった。

    「……ってな具合に、ケツァールマスクという幹部クラスのアンブレイカブルが、配下のレスラーアンブレイカブルを連れて柔道大会に乱入するらしいぜ」
     神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)の言葉に、灼滅者たちの間で疑問の声があがった。果たして予測されたブルマ少女はレスラーと言えるのか、と。
    「ま、確かに戦闘スタイルは柔術家なんだが、あくまでも柔術の技で観客を魅了するレスラーってことのようだ」
     そしてケツァールマスクらの目的は試合であり、ギブアップした者に止めを刺すことはないという。
     そのため犠牲者が出ることはないが、ブルマ少女に負けたとあっては柔道の道を諦めてしまう者が多数出てしまうだろう。
    「こんな事件で柔道家たちの未来を断たせるわけにもいかないからな、なんとか連中を止めてきてくれ」
     敵は予測のように柔道大会に乱入してくるので、そこで派手に名乗りをあげて戦いを挑めば、勝負に乗ってくるはずである。
     次にヤマトは、敵の戦力についての説明を始めた。
    「敵の名、というかリングネームは『ジュードー・ブルマ』だ。プロレスと言ってるが、当然ダークネスとしてのサイキックを使ってくるぜ。
     使用してくるのはストリートファイターのサイキックに加えて、柔術を駆使して龍砕斧の能力に類似した技を使ってくることが予測されてる」
     また敵は『柔術家にしてレスラー』であることに誇りを持っているらしく、技は柔術にしてはド派手で、とにかく外連味が強いようである。
    「それと、ボスのケツァールマスクの方は戦闘には参加しない、配下の戦い振りを見守ってるだけのようだぜ」
     ただし観客に被害が及んだり、ギブアップしたものに追い撃ちをかけるような真似は見過ごさないらしく、そのような場合は介入してくるようである。
    「ついでに言っとくと、奴はとんでもなく強い。だから介入されるような事態だけは絶対に避けてくれ」
     そしてケツァールマスクは、勝敗が決すると勝者を讃えたのちに去っていくという。仮に配下が敗北した場合は、負けた配下を回収していくようだ。
    「というわけで今回は試合の勝敗に関係なく、敵は大人しく去ってくれるぜ。だからあまり勝敗にこだわる必要はないな」
     故に、目指すはプロレス的に試合を盛り上げることだろう。
     挑んでいながらつまらない試合をしてしまえば、ケツァールマスクの逆鱗に触れてしまう可能性もあるのだ。
    「とにかく前途ある柔道家たちの代わりに、少しばかり相手をしてやってきてくれ」
     ヤマトの言葉を背に、灼滅者たちは行動を開始した。


    参加者
    伊舟城・征士郎(アウストル・d00458)
    橘・芽生(元幻獣型対竜兵器・d01871)
    嘉納・武道(柔道家・d02088)
    リリアナ・エイジスタ(オーロラカーテン・d07305)
    中神・通(柔の道を歩む者・d09148)
    桃源郷・狸姫(お前も桃缶にしてやろうか・d10749)
    成身院・光姫(小穿風・d15337)
    双葉・幸喜(魔法力士セキトリマジカル・d18781)

    ■リプレイ


    「小さくても強い――それが真の技術というものよ。まとめて相手してあげるわ、かかってきなさい」
     レスラーとして名乗りをあげつつ、会場の柔道家たちへと不敵に挑発をかけるジュードー・ブルマ。だがそこへ、柔道衣を纏った嘉納・武道(柔道家・d02088)が霧の中から現れた。
     出入口の外は、伊舟城・征士郎(アウストル・d00458)が放つ吸血鬼の霧によって見えないようになっていた。
    「ジュードー・ブルマとやら、お前は柔術を使うレスラーらしいな。ならばまず、生粋の柔道家であるこの嘉納・武道と勝負しろ! 柔道創立130周年特別企画エキシビジョンマッチだっ!!」
     本当は131年だけどな――そんなことを胸中で呟きつつ、武道は会場中に響き渡るような声で勝負を挑んだ。
    「随分と威勢のいいのが現れたわね。よし、まずはあんたから投げ飛ばしてやろうじゃない」
     言いつつ、柔術の構えを取るジュードー・ブルマ。武道も構えを取りながら、じりじりと間合いを詰めていく。
     周囲の一般人たちは困惑しながらも、ただならぬ雰囲気の両者の戦いに興味を惹かれていた。
    「我、驕らず、屈さず、油断も恐れも無く、ただ一筋の道を踏み行く」
     解除の言霊が呟かれ、武道の周囲にオーラが立ち上る。――そして次の瞬間、武道は踏み込みと共に掴みかかった。
     だが敵は、巧みな体捌きで武道から逃れる。しかし武道もまた、手にオーラを込めつつ相手を取りにかかる。
     そして両者の腕が目にも留まらぬ速度で絡み合い、壮絶な組み手合戦となった。
    『おおぉ……』
     かつてない絶技の応酬を目にし、一般人たちの間にどよめきが沸き起る。
    (「レスラーなら、まずは俺の攻撃を凌ぎ切った上で反撃してこい」)
     そんな意志を込め、少女を見据える武道。そして少女もまたレスラーとして、敢えて武道に対し隙を作る。
     その隙を突いて、武道は鋼鉄と化した右腕による中段直突きを見舞う。
     武道の突きをまともに受け、盛大に弾き飛ばされるジュードー・ブルマ。
    「おぉーっと、嘉納さんの鋭い突きをまともに受けてしまったブルマさん! 今の攻撃は如何でしょうか?」
     そう実況しつつケツァールマスクへと語り掛けるのは、いつの間にか彼女の傍らへと歩み寄っていた橘・芽生(元幻獣型対竜兵器・d01871)だった。
    「うぅむ、なかなかいい突きだ。……ところで、小さいの。お前はあいつと一緒に戦わないのか?」
    「あっ、私はただ観ている方々を盛り上げるための実況のようなものなので、気にしないで下さい!」
     そんな芽生の言葉に、ケツァールマスクは何か言いたげだが、ひとまずは実況の手腕を見守ることにしたようだ。
    「っく、やるわね。でもこの程度で、私は負けない!」
     実際の負傷以上に苦痛そうな仕草をしながら、武道へと技を仕掛けるジュードー・ブルマ。
     その組み手を寸前で躱すと、武道は再び先程の中段突きを放った――かと思いきや、突如腕の軌道が上げ突きへと変化する。
     ――が、少女は紙一重のところでその突きを見切ると、伸ばされた腕を取って投げの体勢に入った。そのままぐるりと全身を一回転させながら、武道の体を盛大に投げ飛ばすのだった。
    「――っく、なんて強さなんだ。……ったくよぉ、強すぎて嫁に貰いたくなるぜ」
     なんとか受け身を取るも、ダークネスとの力量差は如何ともし難く、痛烈なダメージを負う武道。そしてそのまま昏倒してしまう。


    「武道さん、ブルマさんの攻撃にあえなくダウン! ブルマさん、なんという強さでしょうか!」
     激しい技の掛け合いの末の勝利に、一般人たちはブルマ少女の強さを思い知るのだった。
     しかしそこへ、さらなる挑戦者が現れた。
    「小柄な強さ、素敵だね! ボクともいい勝負をしようよ!」
     名乗りをあげつつ、桃色のビスチェドレス姿に変身する桃源郷・狸姫(お前も桃缶にしてやろうか・d10749)。ちなみに入場曲は、ラブリンスターのドキドキ☆ハートLOVEである。
    「レスラーとか言いつつ、柔術の腕も確かなようやな。なら今度は、うちらとレスリングで勝負や!」
     狸姫と共に入場した成身院・光姫(小穿風・d15337)は、顔や全身を覆い隠していたフードを脱ぎ捨てると、その下のセクシーな衣装でダイナマイトモードを披露する。サーヴァントの小結丸は柔道場の外から、羽ばたきながら主を応援している。
    「さぁ、新たな挑戦者である二人の美女! 果たしてどんな戦いを見せてくれるのか!」
    『おぉ、凄ぇぞ! さっきの柔道家の仇を取ってくれ!』
     二人の姿と芽生の実況に、会場中の一般人は熱気に包まれるのだった。
     そして二人は構えを取り、同時にジュードー・ブルマへと仕掛ける。
     まずは光姫が、手から紫電のオーラを迸らせながら突きを放った。そして敵を挟撃するように、狸姫もまた痛烈な拳の乱打を見舞う。
     その連携攻撃を、敵は躱すことなく全てその身に受けるのだった。
    「二人の選手、凄い猛攻です! ブルマさんは身動きが取れない!」
    「――こんなものが、私に効くものか!」
     そして敵は、渾身の力を込めて柔道場を踏み締める。発生する強烈な衝撃波が、二人の灼滅者を後方に吹き飛ばした。
    「ったぁ! やっぱり強いなぁ、でもやるからには負けへんでぇ!」
    「今度はこっちの番だよっ!」
     叫びをあげながら戦意を奮い立たせる光姫と、オーラを放って自身の傷を癒やす狸姫。そして臆することなく、再び敵へと立ち向かう。
     一気に敵に飛び付いて、そのまま相手を投げ飛ばす光姫。さらに投げで怯んだ敵を掴み、宙へと飛び上がる狸姫。
    「――桃のエナジー、大・爆・発っ!!!」
     狸姫は掛け声と共に空中で一回転しながら、ホールドしたまま畳へと叩き付けた。
     しかし敵は巧みに受け身を取ると、反撃とばかりに狸姫の胸元の裾を掴んだ。そして光姫へと投げ飛ばし、二人を場外へと弾き出すのだった。
    「あーっ、見事な連携を見せるも、二人ともブルマさんの投げにダウン!」

    「次は私です! プロレスなのに相撲対柔術って異種格闘技対決ですけど、頑張りますよ!」
     大声で入場したのは、双葉・幸喜(魔法力士セキトリマジカル・d18781)である。魔法力士ならぬ魔法スモウレスラー・セキトリマジカルに変身して、観客を魅了する。
    「むぅ、今度は一人? あなた一人で私の相手が務まるとは思えないわ! 他に誰か、この子に加勢する勇気ある奴はいないの!?」
     ジュードー・ブルマは幸喜が単身挑んできたことが不満らしく、会場中に向けてそんなことを言う。
    「――ではここは私、伊舟城・征士郎が推して参りましょう」
     言いつつ、仲間の入場時から放ち続けていた霧の中から入場する征士郎。彼の予定とは違うが、敵が一対一では不満と言う以上、出なければと判断したのだ。
    「ところで私のビハインドも参加させてよろしいでしょうか?」
     柔術式の礼と共に、相手へと問い掛ける征士郎。
    「ふん、何人が相手だろうと私は負けないわ、好きにしなさい」
    「おぉ、次の挑戦者はスモウレスラーな美女と、謎の相棒を引き連れた男性です! ブルマさんの快進撃を止めることができるのか!! どう思われますか、ケツァールマスクさん?」
    「ふむ、私の配下が負けるなど有り得ないが、対戦相手にもナイスファイトを期待しているぞ」
     そして会場が次なる勝負への期待に沸いたところで、二人は仕掛けた。
     まずは征士郎のビハインド、黒鷹が敵へと掴みかかる。柔道技のような演出で放たれた霊撃の直後、征士郎もオーラを込めた突きの連打を見舞った。
    「っく! すごい連携ね、さすが主従といったところかしら……」
     征士郎と黒鷹の攻撃に怯む敵へと、さらに幸喜が追撃をかける。
    「いきますよ! マジカルツッパリ!」
     何故か間合いを置いて、突っ張りを繰り出す幸喜。すると彼女の手から、巨大な掌の形の魔法弾が放たれ、ジュードー・ブルマへと見舞われた。
    「おぉーっと! 双葉さん、手から巨大な突っ張りを放ちました! あれは一体どういう技なのでしょうか!」
    『うおぉ! なんだか知らないがすげぇ技だぞ!』
     幸喜の攻撃に、理解不能ながらも沸き立つ一般人たち。
    「なかなか派手な技ね。次はこちらからいくわよ」
     背から炎を噴射させたジュードー・ブルマは、強烈な踏み込みと共に幸喜へと突きを放つ。
    「――っ!? つ、ツッパリシールド!」
     手の甲のシールドを突っ張りの形に展開して防御するも、柔道場の外まで弾き飛ばされてしまう幸喜。
    「見事な技ですね、ですがこちらも負けませんよ」
     敵に組み付いて、投げと共にサイキックを見舞う黒鷹。それに合わせて、征士郎も敵へと収束したオーラを放った。
     しかしジュードー・ブルマは彼らの攻撃をものともせず、鋼鉄と化した拳を征士郎へと見舞う。征士郎はその拳を敢えて真正面から受け、会場の壁へと激突する。
     そして主に続いてビハインドも、超硬度の拳で一撃のもとに消し去られるのだった。
    「何人いようと、私の敵じゃないわ! それで、もう終わりかしら?」


    「強いです、ブルマさん! なんという強さでしょう、もう彼女を止められる人はいないのでしょうか!」
     そんな芽生の言葉に応じるように、残る二人の灼滅者が入場する。
    「最後はプロレス部員のボクが相手になるよ!」
     最終決戦モードで観客を魅了しつつ、リリアナ・エイジスタ(オーロラカーテン・d07305)は言う。
    「柔道部員の俺もいるぞ、柔道が負けっぱなしってわけにはいかないからな。大きいなら大きいなりの技ってもんがあるのさ」
     中神・通(柔の道を歩む者・d09148)もきちんと礼をし、柔道場へと入場する。
    「さぁ最後はレスラーと柔道家の二人です! ここまで連戦連勝のブルマさんを止めることができるのでしょうか!?」
     そして対峙する灼滅者とジュードー・ブルマ。遂に、最終決戦が開始されるのだった。
     まず仕掛けたのは通である。初戦の武道にも劣らぬオーラを纏った組み手の連打に、ジュードー・ブルマもまた目にも留まらぬ組み手で返す。
     そして組み手合戦の末に敵の懐へと潜り込んだ通は、そのまま敵を抱えあげて柔道技の肩車を見舞った。
     さらに起き上がった敵へと、ロケットの重さを利用した大振りの回転と共に、リリアナが痛烈なローリングソバットを繰り出す。
    「どうよっ。これでおしまいかな?」
    「――っく、やるわね。でもあんたたちも、私の敵じゃないわ」
     そう言うと敵はリリアナを掴みあげると、ぐるぐると振り回した末に畳へと渾身で叩き付けた。
    「くぅ、きつい……。ここには使えるようなロープはないし……」
     そこへ、腕を異形と化した通による攻撃が見舞われる。
    「柔道にも当身って打撃技が有ることを忘れてもらっちゃ困るな!」
    「――私を誰だと思ってるの? 柔術は、柔道以上に打撃技が豊富なのよ」
     言いつつ敵は、雷と化したオーラを纏いながら通へと強烈な突きを放つ。通は後方へ弾き飛ばされながらも、なんとか倒れることなく踏み止まった。
    「っく! ……ここを、何処だと思ってる。一本取らずに勝ったと思うな!」
     言うと通はリリアナを抱え、怪力無双を利用しつつ彼女を高く放り投げる。
    「いくぞぉっ!」
     通の力によって天上付近まで跳躍したリリアナは、高く振り上げた腕を異形と化し、落下の勢いの乗ったラリアットを見舞う。
    「おぉ――! 今のエイジスタさんのラリアットはかなり効いたのではないでしょうか!?」
    「まだまだ! でかいヤツの技を嘗めるなよ!」
     芽生の実況に応じる通。リリアナの攻撃に怯む敵へと、ふわりと力を込めず組み付いた。そのまま大きく踏み込み、柔道の技である内股を仕掛ける。
     相手の懐に潜り込ませた右足を高く跳ね上げ、敵を背中から畳へと叩き付けるのだった。
    「内股は、背が高い方が合理的にかけられる技だ」
    「……ふん、参った。今のは効いたわ、私の負けよ」
    「やりました! ここまで負けなしだったブルマさんへと、遂に中神さんが勝利しました!!」
     その言葉に、会場は盛大な歓声に包まれた。


    「お前たちの勝ちだ、おめでとう! 二人の連携によるラリアットからの、長身を生かした内股、見事だったぞ!」
     灼滅者たちの傷が癒え、全員が万全となったところで、ケツァールマスクは会場の中心で勝者を称えた。
    「……いい勝負だったわ、ありがとう」
     言いつつ、灼滅者たち全員と握手を交わすジュードー・ブルマ。
    「こちらこそ! プロレス部員として、試合を盛り上げられてよかったよ!」
     ジュードー・ブルマの手を握り締めながら、リリアナが言う。
    「柔能制剛――大事な事だが、柔道にはもっと大事なことがある。精力善用――全てを最大限有効に活用することさ。
     武術は小さい者だけでない。大きい者にも柔道は平等なんだ」
     そう言うのは、長身が生かされる内股でジュードー・ブルマを制した通である。
    「柔道着にブルマとは油断しそうなナリだったが、流石アンブレイカブルって戦いだったぜ」
     口の端に笑みを浮かべながら、ジュードー・ブルマの手を握る武道。
    「ありがとっ。あとみんなー、福島・桃源郷の桃をよろしくね!」
     握手をしつつ、ちゃっかり実家の農園を宣伝する狸姫。
    「正々堂々真っ向勝負ができてよかったで。やっぱ勝負するんなら思いっ切りやるんが一番やな」
     初依頼で強敵と対峙できて、満足そうな光姫であった。
    「私も、いい取組ができてよかったです!
     面白いだけじゃなく、全力で闘って、激しく魅せるプロレスがしたいって気持ちは、人間もダークネスも同じですよね!」
     満面の笑みで、ジュードー・ブルマの手を取る幸喜。
    「柔道はあまり詳しくありませんが、柔道創始者である嘉納治五郎先生の精神は存じ上げております。
     人とダークネス――武術を通して、共に信頼して栄えることができるといいですね」
     幸喜の言葉に続くように、征士郎もまたそんなことを言う。
    「あとあんたも、ありがと。なかなかいい実況だったわ。
     ……でも、あんたも本当は戦えるんでしょう? 勝負できなかったのが残念ね」
     そして本当ならば、八人全員に本気で掛かってきてほしかった――と、ジュードー・ブルマは灼滅者たちにだけ聞こえる声で言う。
    「それは、ごめんなさい……。次に会うことがあれば、私も貴女と戦ってみたいです!」
     若干申し訳なさそうにしながら、芽生が応じる。
    「まあ、それでもいい試合にはなった。それに関してはお前たちに礼を言おう」
     そう言ってケツァールマスクたちは、勝者を称えると大人しく帰っていった。
     そして灼滅者たちもまた、余興か何かだと思っているらしき一般人たちに見送られながら、柔道大会の会場をあとにするのだった。

    作者:AtuyaN 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年11月29日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 0
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