●Accident
尖がったハイヒールの爪先が下腹部にめり込み、男はゴポリ、と生温かい血を吐き出した。ハイヒールの持ち主は、己の足に血が掛かったのを見るなり、唇をひん曲げて、もう一度その腹を蹴り飛ばす。
「汚いもん付けてんじゃないよ。全く男ってぇのは、どうしてこうも醜いんだろうねぇ。ああ、嫌だ」
ピンヒールを男の腹に当てて、ぐりぐりと押し付ける。男は唇の端から血を垂れ流しながら、悲痛な叫び声を上げたが、視界の端に居る仲間は既に事切れている。誰も自分を助けてはくれないのだと、その事実に一層、恐怖が募る。
「腹が痛いのは辛いだろう? 楽に殺しちゃやれないよ。さぁ、たっぷり楽しませておくれな」
男の胸倉を掴み上げる女の左手は、世にも恐ろしい異形な物であった。男は喘ぐように許しを請うが、秋の夜風に掻き消され、それは適わなかった。
●Caution
「女性が弱い立場にあるのは、中々なくならないものです」
眉を八の字に下げて、五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)は言う。
彼女が察知した女の羅刹は、どうも世の中の男と言う男を憎んでいるらしく、例えば目が合った、その目付きが気に食わない。肩がぶつかった、しかし素知らぬ顔をして通り過ぎようとした。はたまた下心を滲ませた笑みを浮かべて声を掛けて来た。そんな理由で、関わった男を片っ端から殺害に及んでいる。
「世の中には、男性を憎く思う女性もいらっしゃるのかもしれません。きっと、そうなるからには、何かしらの理由があると思うのです。ですが…ですが…」
だから、この殺戮を許して良いのかと言えば、答えはノーだ。見過ごせる筈が無い。何よりも相手はダークネス。野放しには出来ないのだ。
「どうか皆さん、これ以上被害者を出さないためにも、灼滅して下さい」
姫子の話によれば、その羅刹は街の外れにある古い屋敷で寝起きしているらしい。縁側で寝転ぶのが好きで、天気の良い昼間は日向ぼっこをしているのが分かっている。
「そこで皆さんには、二手に分かれて貰いたいのです。一班は羅刹と接触し、彼女の油断を誘う係」
これは同性が好ましいが、状況に応じて難しいのであれば、異性が行っても良い。しかし、その際は身体は男だが、心は女性なのだと振る舞うように。危険が伴うので、心してほしい。
「男性に酷い目に遭ったのだと言えば、この羅刹ならきっと殴り込みに行く事でしょう。二班は、その男性役を演じてもらいたいのです」
男を目の前にした羅刹はきっと背後への警戒が疎かになるだろう。そこを突けば、先手が取れる。
この屋敷は元々武家屋敷で一般公開されているものだ。羅刹が居るのは母屋の屋敷。そこから一番広い中庭へと誘導し、灼滅に臨んでもらいたい。
ちなみに羅刹は神薙刃、鬼神変、斬影刃を使用するのでくれぐれも注意してほしい。
「決して一人では倒せない敵です。ですが、皆さんが力を合わせればきっと、灼滅出来ると信じております。どうか、お気をつけて」
姫子は胸の前で、きつく両手を握り締めた。
参加者 | |
---|---|
竹宮・友梨(鳴歌巫医・d00883) |
色射・緋頼(兵器として育てられた少女・d01617) |
織部・京(紡ぐ者・d02233) |
宮沢・宗介(怠道・d03611) |
久瀬・一姫(白のリンドヴルム・d10155) |
雛本・裕介(早熟の雛・d12706) |
幸宮・新(宿敵はしいたけ・d17469) |
九条・御調(これでも陰陽師・d20996) |
●請う
「助けてください、お願いです、助けてください」
日和の良い午後の事だった。
縁側にごろりと横になって、ぽかぽかとした陽気にまどろんでいると、突然掛け込んで来た少女が自分に縋りつきながら、そのような事を口走ったのだ。
羅刹は、およそこの日和に似つかわしくないボロボロな姿をした色射・緋頼(兵器として育てられた少女・d01617)を目にして、器用に片眉を吊り上げた。
「何だい、突然」
「貴方の噂を聞いて、やってきました。どうか、どうか助けてください」
緋頼は中庭で、男達に乱暴をされそうになり、逃げて来たのだと言う。しかもそこには、他にも少女達が捕まっているのだ、と。
お願いします、助けて下さい。涙ながらに、繰り返し繰り返しそう助けを請う姿に、異様な物を感じたのだろう。羅刹が手を突いて、ゆるりと起き上がるのを、母屋の影から盗み見ていた織部・京(紡ぐ者・d02233)は傍らに居る久瀬・一姫(白のリンドヴルム・d10155)と視線を重ねて頷きあうと、あたかも現場から逃走してきたかのように、タイミング良く羅刹の元へと駆け込んだ。
「男達が、お姉ちゃん達がまだ、酷い、襲って…!」
胸を押さえ、息も切れ切れに訴える京。
「ここまで来たんですが…捕まって…助けてください…!」
そんな彼女を目にし、真実味を帯びたのを感じたのだろう。羅刹は「ふぅん」と双眸を細める。
「お願い…助けて…」
まだ幼い一姫を見やり、羅刹はようやく立ち上がる。長い髪を後ろへ払い、弱々しい眼差しで自分を見上げて来る三人を尻目に、彼女はピンヒールを履いて歩き出した。
「案内しな」
●男と女
「おいおいあんまり暴れないでよ友梨ちゃーん、綺麗な顔がこれ以上傷物になっちゃあ悲しいだろぉ?」
地面に伏す竹宮・友梨(鳴歌巫医・d00883)の前にしゃがみ込み、
「まぁおとなしくしてても傷物になっちゃうんだけどねぇ」
と、宮沢・宗介(怠道・d03611)が、「げっへっへ」と、ゲスい笑い声を立てると、その傍らで不安そうにきょろきょろして怯えている九条・御調(これでも陰陽師・d20996)の手を引いている雛本・裕介(早熟の雛・d12706)が、それに乗じてにやりと笑う。
しかし、彼等とて、本心でこのような事をしている訳ではないのだ。これも羅刹を誘き出すため。わざわざコートを土で汚し、あたかも殴られたかのように伏している友梨を見やり、「ごめんねぇ」と宗介は僅かに眉を下げ、「若干手荒かも知れぬが許されよ」と、裕介も同じように心の中で呟いた。
その時、ふいに訪れた気配に顔を上げた幸宮・新(宿敵はしいたけ・d17469)は、鋭い目付きでこちらを見据える女を見つけ、身体全体でそちらを振り返る。するとそれに気付いた宗介が叫ぶ。
「な、なんだてめぇは!?」
「ん、何、新しい子連れてきたの?」
立ち止まった羅刹の片眉が、新の言葉によってぴくり、と動く。
「へー、けっこう美人だね。いいとこあんじゃん。ちょっとはやる気になった?」
羅刹の背後に隠れるように身を寄せ合う一姫達を見て、新はにんまりと笑みを浮かべた。
「ああ、嫌だ。どうしてこういう男が多いんだろうねぇ」
ぼそりと苛立ちの込められた言葉が落ちる。
「ま、まだ大丈夫です、はやくお願いします」
彼女の背後から様子を窺い、友梨と御調の姿を見つけた緋頼が言う。羅刹は裕介の手から逃れようとする御調と、自分の元へと駆け込んで来た友梨が、背後に隠れるのを尻目に見、ゆったりとした動作で、うろたえる宗介や笑みを浮かべたままの新と裕介に向き合った。
「おねーさん、どんな感じが好み? なんでもやってやるよー。 まぁ、何するか決めるのは僕達の方だけどね! あはははは!!!」
「ハッ! まだガキじゃないか。あんた、アタシより上手に居るつもりなのかい?」
「気の強い女を甚振るのも悪くねえ、そそるぜ。コイツをヤった後はお前らの番だ」
「吼えやがって…」
ぎり、と奥歯を食いしばる羅刹を目にした御調は、何がそこまで羅刹を動かすのだろう、と眉を下げた。
(「男の人を、無差別殺人するくらいに憎んでいるなんて……。きっと何か辛い事があったんでしょうね…」)
羅刹の片腕がビキビキと音を立てて、異形巨大化してゆく。
ピンと張り詰めた空気が辺り一帯に伝染するのを感じ、四人はサッと目配せすると羅刹に気取られぬよう、息を殺して準備にかかる。
(「星歌燎原」)
声に出さず心の中で呟いた友梨は、音もなく天星弓を構え、羅刹の細い背中に狙いを定めた。
●憎む
「…あ゛? 何? 抵抗すんの? めんどくっさいねー。 …じゃ、ちょっと大人しくしてから連れてってやろうかな」
こういう演技には慣れていない新は、このような感じで良いのだろうか。他の皆にはとても見せられないと内心抱えていたが、どうやら羅刹の嫌いな男の類であったらしく、見事に意識がこちらへと集中している事が窺えた。
だから、自分の背後で弦打つ動きに気付かずに居たのだろう。友梨が神霊剣を叩き込むと、よもや背後から攻撃されるとは思いもしていなかっただろう羅刹の顔が、驚愕の一色に染まる。
「なっ…!?」
「ごめんなさい。騙すような形で…」
京が言う。
「嫌いじゃねーけどな、わかりやすい奴は!」
初撃が決まる瞬間を見計らい、緋頼が即座にサウンドシャッターを、京が殺界形成を発動し準備を整えれば、目を白黒させている羅刹を一姫が鬼神変を持って殴り倒す。
「過去に何があったかは知らない。でも理不尽な暴力をふるった時点で、どんな理由があろうが加害者だ」
「どんな理由があって、そこまでするのかは知らないけど。加害者になった時点でその理由の正当性は無いの」
背後を振り返り、視線が重なり合った羅刹へ、友梨と一姫が静かな口調でそう言い捨てる。羅刹は、その瞬間、全てを悟ったのだろう。
「こんの小娘共ッ…! アタシを嵌めたねっ!?」
「すいません。灼滅者として貴方を灼滅します」
あんなに縋りついて来ていた緋頼の表情も一変し、真っ赤な瞳にあの弱々しさは微塵もない。むしろあの姿が嘘のような程であった。
「チィッ…! 忌々しいッ!!」
羅刹は異形巨大化したそれを振り上げると、ジャッジメントレイを放つ御調へと鬼神変を振り下ろす。
「潰してくれるッッ…!」
しかし。
「ざーんねん。そうはさせないよ」
二人の間に割り込んだ宗介が、その攻撃を庇ったのだ。
邪魔された羅刹はチッと舌打ちを零すと、軽やかに飛びのいて距離を取る。しかし、そんな羅刹の背面へ裕介の放ったクルセイドスラッシュの斬撃が命中し、ぐらりと身体が傾けば新の雷を伴った蹴りが見事に決まる。
「さてかつて男に何をされたか、復讐の腹積もりであれば好きにせい。じゃが無関係の者を巻き込みすぎた、故に此処で灼滅する」
脇腹を押さえながら羅刹が新達の方を振り返る。その顔には怒りと、憎悪の色がありありと広がっていて、嫌悪そのものだった。
「まぁ、気持ちは分からないでもないよ。実際、創作物みたいな外道っていうのはいるものだしね」
誰もが思った。なぜそこまで男を嫌うのか。
「だけど、そうじゃない人まで因縁つけて痛めつけるなんてのは、そんな男とあんまり変わらないんじゃない?」
俺の嫌う男と変わらない。そうと聞いた羅刹の両目が、カッと見開かれる。
「男にゃ分からない女の苦しみだってあるんだよッ…!」
羅刹は大きく腕を横に振ると、激しく渦巻く風の刃を生みだし、神薙刃を放つ。攻撃を喰らった新は、僅かに顔を歪め…けれど怯まない。
(「羅刹さん、そんなに男を恨むなんて何か悲しいことがあったのかなぁ…」)
男として生まれたからには、女の子を笑顔にできるよう生きていたいものだ。宗介はそう思っている。
(「女の子の苦しみを受け止めて、それに笑顔で返すのが男の甲斐性さ!」)
そこへ、駆け出した宗介が羅刹へ呼びかける。
「ということで羅刹さん! 溜まってる鬱憤があるなら遠慮なく僕を殴るといい!」
「はぁん!?」
眉間に深く皺を寄せた羅刹が振り返る。
「キープスマイリングで受け止めるさ!」
バッと両手を広げて笑顔を浮かべて見せる彼を見て、羅刹はならば望み通りにと鬼神変を振り上げる。
「潰れっちまいな!!!」
ブォン、と風を切るように振り下ろされたその拳を、しかし宗介は既の所で軽やかな足取りで交してみせた。
「ただ死にたくないから避けるし防ぐけどね?」
キイイイイイ!! 口を開けば、おそらく羅刹はそんな風に奇声を発した事だろう。まるで毛を逆立たせる猫のような様子で、羅刹はギリィッと歯を鳴らした。
「このッ…! 人をおちょくりやがって…!!!」
「晴嵐!」
凛とした友梨の言葉が辺りに響く。晴嵐と呼ばれた霊犬は、羅刹の腹部を斬魔刀で斬り伏せると、クルセイドスラッシュで友梨が攻撃を繋げる。息つく暇もない連携プレーに、羅刹は手が出せない。
それでも無理やり状況を打破しようと斬影刃を放てば、それは裕介に命中。彼は年分不相応な顔つきで羅刹を真っ直ぐに見据えると、ウロボロスシールドを張った。
「存分にかかって来い、其の鬼、払って見せようぞ」
幾つもの命を、中には無慈悲に、中には自分勝手に奪って来た。決して許せる所業ではい。
「貴方はただ男が苦しむのをみて楽しんでいたのでは?」
緋頼に問われ、羅刹はフンッと鼻で笑い、「さぁて、どうだかねぇ」と唇の端を吊り上げた。
「目にするだけで反吐が出るんだ。自分でも分かりゃしないさ」
「それでも、殺すまでしたらやり過ぎです」
漆黒の長い髪をふわりと舞わせ、緋頼は封縛糸を放った。それは羅刹の肢体に身体に絡みつくと、皮膚にギリリと鋭く食い込む。
「何より、ダークネスの灼滅が灼滅者の役目です」
きっぱりと決別の言葉を口にした緋頼を見た京は、そっと呟く。
「時には殺された方がいいんじゃないかと思う人もいるけど…」
しかし、一変して、京の口調が変わる。
「アホ男子は多いけどよ、おまえの行動も野郎共にとっちゃ大概だ! トラウマもんだろよ!」
丁寧な口調と、乱暴な口調がころころと変わる彼女を見て、訳が分からないと言った表情を浮かべる羅刹は、「なんなんだい、あんたは」と片眉を持ち上げ、異形巨大化した腕を持ち上げる。
「頭かてーバカ女はあたしがぶった切ってやるよ!」
そう言うや否や、京は地を蹴って、音もなく羅刹へと突っ込む。己の方へと飛び込んでくる京へ鬼神変を振り下ろしたが、それでも尚物怖じする事無く、彼女は羅刹の死角に飛び込むと黒死斬を放った。
「いっ…!!!」
斬撃で足の腱を斬られた羅刹が、その場に膝を突く。その隙を逃すはずもなく、すかさず一姫がギルティクロスにて、追い打ちを掛ける。身体を切り裂くように出現した、赤きオーラの逆さ十字に引き裂かれた羅刹の口から、悲鳴が上がった。
「死んでいった人達も、その痛みを…それ以上の痛みを覚えたの」
ダラダラと流血する腕を押さえる羅刹を見下ろし、一姫は言った。死んでいった彼等は、きっとこれ以上に苦しかったに違いない。中には女性をいたぶった男も居たかもしれない。それでも、彼女が行った殺戮は決して許されるものではないのだ。
「あなたは此処で、灼滅するの」
一姫の影から飛び出した新は、振り上げた無敵斬艦刀「鬼鉄片」で羅刹に狙いを定め、
「…まぁ、それなりの理由はあるんだろうけどさ。だからって簡単に殺すなんていうのは、見過ごせないよね」
超弩級の一撃を羅刹へと叩き込む。
その衝撃で身体がフラフラしているのを目にし、先ほど攻撃を庇ってくれた宗介へ、御調がジャッジメントレイを放って回復を試みる。
「貴女が過去に愛をどう喪ったのか、私は存じません。でも、奪われようと、裏切られようと、貶められようと…貴女はこんな事をしてはいけなかった……」
血が溢れる脇腹を押さえ、ゼェゼェと荒い呼吸を繰り返す羅刹へ御調が語りかける。けれど、羅刹の瞳には最早男も女も関係無くなっているのか、御調へ向ける視線が男へ投げるそれと同じものであった。
「貴女の苦しみも業も、私が引き受けます…どうか、楽になって下さい……」
心優しい御調の言葉。しかし、そんな願いもむなしく、羅刹は「煩い!」と一喝、近くに居た新へ鬼神変を振り下ろそうと腕を持ち上げる。
(「恐らく過去に男性絡みで何かあったのだろう」)
しかし友梨は理不尽な暴力そのものを憎む。想像しても、一切同情はしなかった。敵には明確な敵意を持ち全力で仕掛ける。それが友梨なのだから。
友梨は晴嵐に、足元がおぼつかなくなっている羅刹へ六文銭射撃を打つように合図を送ると、それが羅刹の利き腕に命中し、ブシュッと血が吹き出たのを見て弓を構える。
(「…できることなら、そんな風になる前に力になりたかったなぁ」)
痛みで顔を歪め、歯を食いしばる羅刹の懐に飛び込み、拳を握り締めた宗介は僅かに眉を下げる。そうして彼は鍛えぬかれた超硬度の拳にてその胸部を撃ち抜いた。
「ガハッ……!!」
口から大量の血が溢れる。凄まじい一撃に背後へ仰け反った所へ、すかさず緋頼が縛霊撃で身体を縛りあげ、京がブレイジングバーストの弾丸を撃ち込む。
「ち、くしょう…ッ…!!!」
ダンッ、と力強く地を踏み締め、渾身の一撃を繰り出そうとした羅刹だったが、その衝撃でピンヒールの踵が折れてしまい、ガクリ、と予期せず身体が大きく横へと傾いた。
「しまっ…!!」
サァッと羅刹の表情が青くなる。
「さよならだ」
白く逆巻く矢を放った友梨の神薙刃が、見る間に己へと飛来する。それをどうする事も出来ずに羅刹はギュッと両目を瞑った。
ズブリ、と胸に突き刺さり、弧を描くように天へと突きぬけて行った矢が虚空で消える。射抜かれた羅刹は、数秒そのままふらふらと左右に揺れていたが、次の瞬間、大きく地面に倒れ込んだ。
「…ん、で……ア、タシ…が……くそ…くそぉ…!」
そうして羅刹は暫く悔しそうに呟いていたが、程なく、すぅっと眠るように息を引き取った。
●結末
「こうして無事に帰るのって…大事なことですね……」
手当てをしながら、何処か遠くを不安そうに見て溜息をついた御調は、そっと睫毛を伏せた。
一方で、わざわざボロボロになってくれた緋頼達に、裕介達はお礼の言葉を口にし、コートの裾についた土を払ったり、演技がばっちりだったと褒め合ったりした。
どうやら屋敷は無事なようだ。辺りを見渡していた京は「ささっと帰りましょうか」と灼滅者達に促した。
願わくば、彼女の魂が怨嗟の呪縛から解き放たれて、真白に生まれ変わる事が出来ますように。
作者:四季乃 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年11月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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