「ダークネスの襲撃だと? 敵は何者だ!」
とある殲術病院の指揮役らしき人物が、大声を上げる。周囲には、戦闘準備をした灼滅者などが集まっていた。
「それが……淫魔1体と、大量のピンクハートちゃんです!」
「なに!?」
指揮役が驚いた声を上げる。周囲の人間も、ショックのあまり顔を青ざめ……いや、赤らめていた。
「と、とりあえず防護隔壁を展開。それと、近くの殲術病院に援軍を要請しろ!」
「すでに要請しました! ですが、付近の病院にもダークネスが襲撃中! いや、これは……ぜ、全国の殲術病院が同時襲撃を受けています!」
「くっ……徹底的に潰しに来たというわけか」
周囲に、絶望的な空気が流れる。まさに孤立無援だ。
「……対応は変わらない。まずは籠城だ。幾度も我々を救ってくれた防護隔壁……これを信じるしかあるまい。総員、いつでも戦えるよう、準備をしておけ!」
「はっ、殲術道具の用意は万全です!」
「補給物資、確保しました!」
「カメラの準備もできています!」
「よし! この状況、何としても切り抜けるぞ! あと最後の奴、後で話があるから覚えておけ!」
「でかい事件が起きる。今回お前達には、その事件の対処を頼みたい」
いつになく真剣な顔で、神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)が話を切り出す。
「『病院』という灼滅者組織がある。殲術病院という拠点を全国に持っていて、籠城戦を得意としているんだ。敵に襲撃されても、籠城して時間を稼ぎ、その間に他の病院から増援をもらうことで、敵を撃退していた」
しかし今回、ほぼ全ての殲術病院が同時襲撃を受けたのだ。そのため、どこにも増援を頼むことができず、孤立無援の状態になってしまっている。
「病院を襲撃しているのは、ソロモンの悪魔・ハルファス、白の王・セイメイ、淫魔・スキュラの三勢力。俺達にも因縁がある連中ばかりだ」
放っておけば、病院の勢力が壊滅してしまうだろう。そうなる前に、彼らを危機から救うのが今回の目的となる。
「お前達に向かってほしいのは、ここだ」
ヤマトが、地図の一点を指す。街から少し離れた山の中に、襲撃されている殲術病院のひとつがあるようだ。
「この病院も例にもれず、殲術隔壁を閉鎖して籠城している。ここを攻め込んでいるのは、スキュラ配下の淫魔1体に、40体近いピンクハートちゃん……相手をアレな気分にさせて生命力を吸い取る、あの眷属な。流石にこの数はさばき切れないようで、病院の隔壁もいくつかやられている。そう長くは耐えられないだろう」
もちろんこの量は、武蔵坂の灼滅者だけで対処できる数でもない。
「だからお前達には、まず眷属を指揮している淫魔に奇襲をかけて、灼滅して欲しい。頭さえ潰してしまえば、眷属の動きも鈍る。病院の灼滅者も籠城をやめるだろうから、彼らと協力すれば、残った眷属を一掃することも難しくないはずだ」
逆に、淫魔の灼滅に失敗し、眷属の中に潜り込まれてしまうと、手が出しにくくなってしまう。撤退も考えなければならないだろう。
「指揮をとる淫魔の名前はサキ。二十歳前後の外見をした、女の淫魔だ。護衛の眷属と共に、少し離れた小高い丘から病院を見渡し、眷属たちを指揮している」
病院の攻略に夢中になっているため、背後からの奇襲は難しくないはずだ。
「今回の件は、ケタ違いの数を相手にする、かなり危険な作戦だ。だが同時に、ただでさえダークネスに押されている『灼滅者』陣営を守るための、かなり重要な作戦でもある。頼むぜ、お前達。必ず勝って、ここに戻ってきてくれ!」
参加者 | |
---|---|
羽坂・智恵美(古本屋でいつも見かけるあの子・d00097) |
森野・逢紗(万華鏡・d00135) |
御幸・大輔(イデアルクエント・d01452) |
火室・梓(質実豪拳・d03700) |
フレナディア・ヘブンズハート(煉獄の舞姫・d03883) |
猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512) |
ナナイ・グレイス(恋するヤンデレ系従者・d11299) |
安楽・刻(キリングダスト・d18614) |
●淫魔への奇襲
林の中を、8人の灼滅者達が歩く。安楽・刻(キリングダスト・d18614)のESPによって出来た林の中の道を、フレナディア・ヘブンズハート(煉獄の舞姫・d03883)の持つランプの明かりを頼りに、灼滅者達はなるべく音を立てず、静かに進む。
林を進むにつれ、ざわざわとした音が大きくなっていく。それが戦闘の音だと分かるほどの大きさになった頃、御幸・大輔(イデアルクエント・d01452)は手を振り上げ、仲間に『止まれ』と合図をした。
林は途切れ、開けた平地に出た。少し遠くに見えるのは、要塞のようにがっしりとした建物と、それを取り囲む、大勢のピンク色の何か。そして近くには、ピンクの物体2体の間に立ち、その様子をじっと見ている、尻尾の生えた女性の後ろ姿。本性を現した淫魔だ。
「あははは、あっけないわねぇ! じゃあ今度は、左の方から攻め落としてみようかしら」
淫魔サキは、楽しそうに眷属を操っている。灼滅者達の目的は、あの大量の眷属から、灼滅者組織『病院』を助けること。そのため彼らは、眷属を指揮するサキの背後を取り、奇襲を仕掛けようとしている。
(「大丈夫、きっとうまくいく・・・みんな無事に帰れる」)
ナナイ・グレイス(恋するヤンデレ系従者・d11299)が、自分に言い聞かせるように、心の中でつぶやく。大規模な作戦とあって、誰もが多かれ少なかれ、彼と同じように緊張していた。
(「淫魔だけは灼滅する……どんなことをしてでも」)
一方、冷静な判断力を保ちながらも、憎しみに似た感情を淫魔に抱く大輔。その彼が、手を振り下げて奇襲の合図をした瞬間、灼滅者達は林から飛び出し、サキに襲い掛かった。
最初に仕掛けたのはナナイだった。彼は一直線に飛び出し、サキの足を深く斬りつけ、そのまま通り過ぎる。
「……え?」
いきなり攻撃され、何が起こったか理解できない様子のサキ。そして間髪入れず、3人の灼滅者が攻撃を仕掛けた。
「智恵美さん、合わせて!」
「分かりました、逢紗さん!」
掛け声と共に、森野・逢紗(万華鏡・d00135)と羽坂・智恵美(古本屋でいつも見かけるあの子・d00097)、続けて猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512)が、異形化させた腕で次々とサキを殴りつける。
「梓、やっちゃって下さい」
「じゃあ、遠慮なく行きます!」
仁恵の示したタイミングに合わせ、火室・梓(質実豪拳・d03700)が雷を纏った拳をサキに叩き込み、ナナイと同様にそのまま走り抜けた。
「つっ……まさか、灼滅者の増援!?」
「悪いですけど、もう少し無防備でいてもらえますか?」
ようやく状況を把握し始めたサキを、刻は影で縛り、動きを封じる。
「遠慮することないわ、アタシ達のサービス、全部持っていきなさい!」
続けてフレナディアが、左手に持つ炎を纏ったナイフでサキを下から斬り上げる。彼女はその勢いのまま空に飛び上がり、右手の槍を棒高跳びの要領で使って、サキを飛び越えた。そして最後に大輔が、杖に魔力を込め、渾身の一撃をサキに振り下ろす。
「ピンクハートちゃん! あたしを守りなさい!」
サキが叫ぶ。それに応じて、眷属・ピンクハートちゃんの片方が動き、大輔の打撃を受け止めた。
「くっ……けど、これで」
大輔は、割り込んできた眷属を踏みつけ、サキたちの後ろに飛び移る。これで、半数の灼滅者が、病院とサキたちの間に回り込んだことになる。林がある方向にも、残りの灼滅者が立ちふさがっている。完全な挟み撃ち状態だ。
「逃げ道はふさいだ。簡単に通れると思うな」
いつでも動ける体勢を取り、大輔が言う。しかしサキは、すぐに冷静さを取り戻して言う。
「逃げる必要なんてあるかしら? ここであなた達を始末すればいい話じゃない」
サキは眷属2体に命令し、自分への回復と防御壁の展開をさせる。そして手の鎌を振り回し、構えた。
「あたしに手を上げた罪は重いわよ? うんと苦しませてから殺してあげるから、覚悟なさい!」
●ハートの壁
「あはははは! まとめて薙ぎ払ってあげる!」
サキは頭上で鎌を振り回し、どす黒い波動をばらまいて、灼滅者の体力と攻撃力を奪う。だが波動が止んだ直後、智恵美がサキたちの近くに飛び込んでいた。
智恵美が手早く護符の結界を展開する。結界内にいるサキと眷属の動きが、目に見えて鈍った。
「皆さん、今です!」
「分かりました!」
智恵美の声に応えるなり、梓は拳に炎を纏わせ、大輔が攻撃した眷属に正拳突きを繰り出す。続いて刻は氷弾を、刻のビハインド・黒鉄の処女は霊撃を撃ち込み、眷属へのダメージを重ねた。
「もう一撃だ」
続けて、大輔が槍で眷属を貫き、一旦距離を置く。ここまでの間、かなりのダメージを与えられたはずだった。しかしサキは、顔色を変えるような様子も無い。
「なかなか面倒な攻撃をしてくるじゃない。でも、この程度の被害はね……ピンクハートちゃんたち!」
サキが指を鳴らして命令する。それを受けて、攻撃を受けていた眷属は自分の守りを固め、もう片方の眷属は全員のエフェクト耐性を強めた。同時に体力も大きく回復させている。
「この通りよ。じゃあ、次はこっちの番ね?」
そう言ってサキは鎌を振り回し、踊るような動きで、灼滅者を次々に斬りつけ始めた。寄せては返す波のような攻撃に翻弄され、灼滅者達の体力がじわじわと削られていく。
「なるほど。めんどくせー奴らですね」
「ですが、1体でも倒せば勝機が見えるはずです」
仁恵と刻はそう短く会話し、眷属への攻撃を再開する。しかし戦況は、徐々に灼滅者不利に傾いていった。
2体の眷属は、かばい合い、回復し合い、守りを固め合うことで、とにかくしぶとく立ち回る。そうやって眷属が時間を稼ぐ内に、サキが攻撃を繰り返し、灼滅者達の体力を削っていく。
もし眷属に攻撃する余裕があったら、更に不利になっていただろう。眷属に暇を与えない攻撃重視の陣形が効いている。だがそれでも灼滅者側は、少しずつ押されていった。
「この状況、突破しないと……!」
ナナイはそうつぶやき、剣を構えて眷属に接近する。そしてフェイントを交えつつ、死角から眷属を切り刻んだ。
強固な防御壁の前に、有効な打撃を与えることはできない。しかし今の攻撃で、眷属の守りが大きく崩れたのを、ナナイは見逃さなかった。
「ヘブンズハートさん、あの防御壁を!」
「!」
ナナイの意図を理解したフレナディアは、サキと眷属に向かって灼熱の炎を叩き付けた。炎はサキたちだけではなく、彼女らの防御壁のほとんどを瞬時に燃やし尽くす。
「これであなた達は丸裸。さぁ、攻撃のチャンスよ!」
「わかったわ」
「はい」
フレナディアの言葉に返事をした逢紗と仁恵は、杖を構えて飛び込む。狙いは、守りが崩れた眷属だ。
「悪いけど、ここで終わらせてもらうわね?」
「いい加減くたばってください」
2人の、前後から挟みこむような打撃が入る。そして数秒後、眷属の体内に送り込まれた魔力が爆発した。眷属は吹き飛ぶように倒れ、グズグズの液体になって消滅する。
「まずは1体ね」
逢紗はそう言い、サキの方に向き直る。彼女はいらだった様子で舌打ちをした。
「壁が1枚減っちゃったわね。一応、スキュラ様からの頂きものだったのよ?」
「ろくでもない頂きものだな」
大輔が、サキの言葉をバッサリ切り捨てる。それが癇に障ったのか、サキが更にいらだつのが見て取れた。
「まぁ、まだ壁はあるから問題ないわ。あなた達を殺すには十分よ」
「では、試してみましょうか」
『闇』を揺らし、智恵美がそう言う。戦いは、ここからが本番だった。
●ひとつ目の戦い、決着
「切り裂いてください」
智恵美の一言で、彼女の足元から伸びる闇が刃に変わり、サキの体を切り裂く。それに合わせフレナディアは、特大の炎を帯びたナイフでサキを斬りつけた。炎はサキの体に纏わり、彼女の体を焼き続ける。
「あたしのプレゼント、気に入ってくれたかしら?」
軽口を叩くフレナディアに続き、刻、逢紗、大輔と、次々にサキへ攻撃を仕掛ける。眷属にかばわれた攻撃もあったが、サキへのダメージは効果的に積み重なっていった。
「くっ……ピンクハートちゃん、回復を……」
かなりの痛手を負ったサキの命令で、眷属は彼女を回復させ、同時に防御壁を展開させる。だがその直後、サキの懐に梓が潜り込んでいた。
「その手は、もう通用しませんからね!」
梓は至近距離から、渾身の拳打をサキに叩き込む。その重い一撃は、サキを衝撃で吹き飛ばし、防御壁も粉々に打ち砕いた。
「よ……よくもやったわねぇっ!!」
逆上したサキが、鎌を振り、梓を狙う。しかし、その間に刻が割って入り、サキの攻撃を代わりに受け止めた。サキの直接攻撃の重さに、刻の体がわずかに後ずさる。
「何とか、耐えられましたか」
「ナノ、お願い」
逢紗の言葉に従い、彼女のサーヴァントのナノナノが、しゃぼん玉で刻を回復させた。これでまだ大丈夫だろう。
今の攻撃を刻が肩代わりしなかったら、梓は倒れていたかもしれない。最初の眷属を倒すまでの間に受けていた攻撃は、かなりの被害を残していた。
だが、似たようなことは、サキの方にも言えた。
「あんた達、もしかして……あたしをハメた?」
灼滅者達は、サキに対して罠を仕掛けていた。
この勝負、サキが眷属の群れに逃げ込んでしまえば、高確率でサキの勝ちだった。だから灼滅者達は、サキの危機感を薄れさせるため、あえて護衛の眷属を1体残してサキを攻めた。サキが逃げようとする前に、少しでもダメージを重ねるため。
「今さら気付きましたか。おせーですよ」
仁恵は、腕を獣のような歪な形に変化させ、サキに向かって振り抜いた。眷属がサキをかばい、攻撃を肩代わりするものの、この眷属にも、大した体力は残されていないだろう。明らかに動きが鈍い。
灼滅者のこの作戦は、大成功だった。今のサキと眷属を見るに、彼女が灼滅者の包囲を突破し、眷属の群れに合流できるようには見えない。
だがサキには、灼滅者を突破する以外、選択肢は無かった。
「そこをどきなさいっ!!」
サキは、残った眷属を片手でつかみ、残りの眷属がいる方向に走り出した。その前には、4人の灼滅者が立ちふさがっている。だが恐らくサキは、眷属を囮に使い、灼滅者達を突破するつもりなのだろう。
「させませんっ!」
しかし、サキの背後にいた智恵美が腕を異形化させ、サキの手から眷属を叩き落とす。眷属を囮にする……智恵美はその考えを先読みしていた。
だが、サキは止まらない。それ以外に生きる道は無いと、彼女は理解していた。サキの真正面にいる灼滅者は1人。彼を突破すれば、サキにも希望が見える。
「御幸さん、任せました」
いつの間にかサキの死角に潜り込んでいたナナイが、音も無く彼女の足の腱を断つ。それでもサキは構わず突進し、鎌で正面の大輔を斬りつける。
しかし、大輔は微動だにしない。冷静に、しかしいつもの穏やかさは一切見せず。
「逃がさないよ。お前はここで終わるんだ」
「あ……」
大輔が杖に魔力を込める。ナナイに足を斬られていたサキは動けず、その場にへたり込む。
「た……助けて……」
「消えろ」
大輔は容赦なく、サキに杖を叩き込む。サキはそのまま仰向けに倒れ、砂のようになって消えていった。
●ピンクハートちゃん掃討戦
淫魔は倒した。だが、まだすべてが終わったわけではない。
「回復します! すぐに『病院』に行きましょう!」
ナナイはそう言い、仲間の回復をする。同時に仁恵は、病院に向かって叫んだ。
「頭の淫魔はぶっ倒しましたよ! 手伝って下さい、残りを倒しちゃいますよ!」
そして、回復が済んだ武蔵坂の灼滅者は、サキの灼滅によって動きが鈍った眷属・ピンクハートちゃんと戦い始めた。
「くっ、激戦だからってスマホを持ってこなかったのは間違いだったわ! 記録できないじゃない!」
「いや、そんなもんは明らかにいらねーと思うですよ。これは目に焼き付けるべきですよ!」
ピンクハートちゃんを掃討しながら、破れた病院の隔壁からわずかに見える、アレな感じにされた人間を見て、フレナディアと仁恵がそんな会話をしている。他の灼滅者の反応はそれぞれだ。
少し経って、病院の隔壁が開き、中から病院の灼滅者がなだれ込んできた。
「形勢逆転だ! これでもくらえっ!」
「よくもあいつをあんな目に……お礼参りだ、灼滅してやる!」
先頭に見えたのは、紅蓮斬らしきサイキックを放つ、白い肌と赤い目をした人物と、鬼神変らしきサイキックを放つ、黒曜石の角を生やした人物だ。
「ヴァンパイアと羅刹によく似ている……あれが『病院』の灼滅者?」
「安楽さん! 危ないです!」
梓が叫ぶ。病院の灼滅者に気を取られていた刻は、その隙にピンクハートちゃんの触手攻撃を受けてしまった。彼の元に、梓が駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか?」
「……寒い」
「え?」
短くそう言う刻。よく見ると、顔が赤く、目の焦点が合っていない。間違いなくピンクハートちゃんに、アレな感じにされている。
「……寒いんです。暖めてください、梓さん……」
そう言って刻は、梓に抱き付き、至近距離で顔を合わせる。梓も、何となくその場の勢いで目を閉じ、受け入れてしまうような感じに状況が進んでいき……。
「な、何やってるの2人共!」
そう言って大輔が、事の元凶のピンクハートちゃんを殴りつけ、灼滅する。刻が正気に戻り、彼と梓の間に微妙な距離と空気が生まれた。同時に、舌打ちの音がいくつか聞こえる。近くからも、病院方面からも。
「と、とにかく! まずはこいつらを叩くよ!」
「は、はい……」
そんなハプニングもありつつ、灼滅者達はピンクハートちゃんを灼滅していく。指揮官を失った眷属は、灼滅者勢力の前に、次々と灼滅されていった。そして……。
「これで全部、でしょうか。皆さん、お疲れ様でした」
「えぇ、お疲れ様。なかなか骨が折れたわね」
智恵美と逢紗が、そう言って灼滅者勢の健闘を讃える。40近くいたピンクハートちゃんは、両陣営の灼滅者によってすべて灼滅された。
「皆さん。とりあえず、病院の方々へ挨拶しに行きませんか? 色々話も聞きたいですし」
智恵美のその言葉に異論は無く、武蔵坂の灼滅者は、一部壊された病院に向かった。
「ふぅ、それにしても……」
「逢紗さん、どうしました?」
逢紗のつぶやきに、智恵美が応える。少し時間を置いて、逢紗は言った。
「これだけじゃ終わらない、そんな予感がするわ」
「……そうですね」
この先、何が待ち受けているか。それはまだ、誰にも分からないことだった。
作者:時任計一 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年12月6日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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