病院内は、騒然としていた。
「ハルファス軍の襲撃です!」
「第一種戦闘配備だ、防護隔壁展開させろ」
「悪魔どもめ、しかし、この病院は難攻不落! 援軍が来るまで――」
「大変です、近隣の病院、いえ、日本中の病院が襲撃されていますっ!」
「なん……だと……!? 悪魔どもめ、やってくれたな!」
「篭城戦用意、完了しました」
「……もつ、でしょうか?」
「もつかもたないかではない! もたせるのだ!!」
白衣の医者が、看護師が、その手に殲術兵器を持ちせわしく動き回る。ここは殲術病院――そして、今まさに陥落の時を迎えようとしていた。
「敵戦力を分析せよ!」
殲術病院、その周囲の森の一角にそれ等はいた。
「襲撃準備、整っております」
「うむ、ご苦労」
そこにいるのは、黒いアーミー服に身を包んだ集団と西洋風の鎧をまとったソロモンの悪魔だ。その西洋風の鎧も黒一色であり、その装飾は古めかしいというよりも近代兵士の武装をプレートメイルで再現した、そんな意匠だ。
「では、これより殲術病院制圧戦を開始する」
『サー、イエッサー!』
訓練された部隊のように――否、まさにその通りなのだ。アーミー服の一団が森の中へ駆ける後を、右腕にガトリングガン、左手にバスターライフルを構えたソロモンの悪魔が言い捨てた。
「さぁ、ハルファス様に捧げる戦いを始めよう」
「何か、ひどい事になってるっすよ?」
湾野・翠織(小学生エクスブレイン・dn0039)はため息混じりにこぼした。状況は最悪だ――複数のダークネス組織が武蔵坂学園とは別の灼滅者組織である『病院』の襲撃を計画しているのだ。
ひとつは、ソロモンの悪魔・ハルファスの軍勢。
ひとつは、白の王・セイメイの軍勢。
最後に、淫魔・スキュラの軍勢。
それぞれが武蔵坂学園と因縁のある相手なだけに捨て置く訳にもいかない。
「病院戦力は、日本全国に殲術病院って拠点を持ってるらしいっす。その防衛力は高いみたいっすね。こかの殲術病院が襲撃されても、殲術病院に籠城している間に他の病院から援軍を送って撃退するという戦いを得意としていたらしいっすけど……」
だが、今回は話が違う。ダークネス三勢力にほとんどの病院が一斉に襲撃を受けてしまうのだ。
「なんで、援軍を出す事も出来ずに孤立無援状態なんすよ……このままだと、病院勢力は壊滅してしまうっす。同じ灼滅者として、病院の危機を救ってやって欲しいっす」
担当して欲しい殲術病院は、山の奥。森に隠れた場所にある……自然の中にある療養型病院に偽装していたのだが、そこが襲われたのだ。
「殲術隔壁を閉鎖して籠城してるっすけど、既に幾つかの隔壁が破損して白兵戦になっているところもあるっすから……」
長くは持たない、そう翠織の表情が語っていた。攻めている敵はダークネス一体と30体から50体ほどの眷属となる。まともに戦えば、こちらが返り討ちに合うだろう。
「なんで、殲術病院との戦闘中の隙をついて指揮官であるダークネスを撃破してほしいんすよ」
そうなっていまえば、病院の灼滅者達も籠城をやめて眷属を倒すために外に出てくるだろう。協力して残る眷族を撃破する事が出来る。
「……でも、逆に失敗するとまずいっす。眷属の中に逃げ込まれたら最後、手出しは難しいっすよ」
そうなってしまったのなら、撤退をやむおえないだろう。
「指揮官であるソロモンの悪魔は、最後尾にいるっす。眷属で消耗させて、戦況を見極めてそこを狙おうとしてるんすね……こっちとしては、好都合っす」
殲術病院を欺くために、ソロモンの悪魔が隠れていたのもこちらにとっては有利に進められる条件だ。そこを一気に襲撃して、倒してしまえればこっちの勝ちだ。
「とはいえ、ソロモンの悪魔は強敵っすからね。油断せず、逃がさない策を練る必要があるっす」
翠織はそこまで告げると、真剣な表情で言った。
「もう救援が間に合わずに陥落している殲術病院もあるらしいっす。みんなが行く場所もそうなるかの瀬戸際っすから……大規模先頭への介入っす、かなり危険な作戦になるっすよ」
お気をつけて、と翠織は真剣な表情で締めくくった。
参加者 | |
---|---|
ポンパドール・ガレット(祝福の枷・d00268) |
風野・さゆみ(自称魔女っ娘・d00974) |
安曇・陵華(暁降ち・d02041) |
蓮咲・煉(錆色アプフェル・d04035) |
藤堂・焔弥(高校生スーパーロボット・d04979) |
村井・昌利(吾拳に名は要らず・d11397) |
越坂・夏海(残炎・d12717) |
クリスレイド・マリフィアス(魔法使い・d19175) |
●
遠く、戦いの音がする。爆発音。怒号。悲鳴。金属音。無数の戦いが奏でる、この世界にたった一つの闘争音楽だ。
「うんうん、いいね。こういうのは、心が躍る」
ソロモンの悪魔、その軍勢の最後尾で悪魔が笑う。戦いには、死がつきものだ――それは、この悪魔の心を高揚させるものだった。
しかし、木陰で違うものを感じている者がいた、蓮咲・煉(錆色アプフェル・d04035)だ。
薬。
改造。
地下施設。
獣の――。
(「……駄目、違う。自分の記憶と病院を重ねる為に来たんじゃない」)
煉は小さく頭を振って、脳裏にこびりついたイメージを振り払う。ここへは、窮地に陥った人達を助ける為……病院とは何なのか見る為に。
(「……ああ、漂っていない筈の薬の臭いが、」)
する、としないはずの臭いに目が眩んだ煉の肩を掴んで引き戻したのは、越坂・夏海(残炎・d12717)だ。煉が深呼吸するのを見て、夏海が笑う。そのやり取りを視線の隅に、クリスレイド・マリフィアス(魔法使い・d19175)は改めてソロモンの悪魔へ視線を送る。
(「かなり、厄介な敵なようね」)
クリスレイドは、正確にソロモンの悪魔の意図を読み取っていた。ソロモンの悪魔は、指揮官にして最大戦力だ。最後尾にいるのは、敵に自身の存在を悟らせず、篭城の包囲が破れた箇所があればそこから一気に強襲を駆けられるからだ。
(「病院側の灼滅者達が、ソロモンの悪魔を抑えに回れば他が手薄になる。こうして、最後尾に身を隠しているのも相手の防御をある程度、前に引きだすためか」)
暗視機能付き双眼鏡で病院とソロモンの悪魔の軍勢との戦いの状況を確認しながら村井・昌利(吾拳に名は要らず・d11397)は目を細める。悪魔が取る戦法は、自軍の損害を前提とした作戦だ。が、あの篭城を崩すのには、ある意味で最善手でもあるだろう。
そう、最善手だ――ここに武蔵坂学園の介入が、無かったのであれば。
(「病院がどんな組織かは知らないが、同じ灼滅者として放っては置けんな」)
安曇・陵華(暁降ち・d02041)が、視線でうなずく。それを見て、ポンパドール・ガレット(祝福の枷・d00268)もうなずきを返した。
(「おれたちが勝てば、あいつら、助かるんだよな」)
相手がバカ強かろうが負けられないし負けたくない、ポンパドールはその覚悟を決めた。
「絶対皆で『帰る』……」
陵華がカードを開放した、その瞬間だ。灼滅者達は、一気にソロモンの悪魔へと襲い掛かった。
「――なッ!?」
これは、完全な不意打ちだ。煉は、すかさずサウンドシャッタ-を展開する――これによって、外からの音は届いても内側からは音は漏れない戦場が生み出された。
「お前ら、病院の――!?」
悪魔の問いかけは、最後まで紡がれない。その目の前に武器を引き抜き、鎧を身にまとった藤堂・焔弥(高校生スーパーロボット・d04979)が踏み込んだからだ。
「目には目を、騎士には騎士をってな!」
焔弥が繰り出すヒュージパルスロッド『雷神・改』を殴打を、悪魔は左腕のバスターライフルで受け止める。衝撃の威力を利用して悪魔は一気に後方へ跳ぼうとする――しかし、それを昌利が許さない。
「――ッ!」
下から上へ、雷をまとう拳が漆黒のフルプレートメイルと火花を散らした。囲まれた、それを理解した悪魔の行動は速い。
「何者か知らんが、なめるなァッ!!」
ギュオン! と、群青色の魔法光線が円盤状となり、灼滅者達を切り裂く。
「ソロモンの悪魔さんは許すまじなのです~、最後尾で隠れ潜んでいるのが運の尽きですよ~。わたしたちに倒されてしまってください~」
間延びした、しかし、真剣な表情で呟き風野・さゆみ(自称魔女っ娘・d00974)は儀式用ナイフを引き抜き、夜霧を展開した。それに、悪魔が舌打ちするとすぐさま振り返った。
そこにいたのは、夏海だ。木を足場に跳躍、縛霊手を振り下ろす!
「前のめりに、行かせてもらう!」
ガギン! と夏海の縛霊手と悪魔のガトリングガンの銃口が激突する。霊力の網を銃弾で相殺した悪魔へ、霧の中から跳び出したポンパドールが小さな体で巨大な龍砕斧を薙ぎ払った。
「はっ!」
笑い、悪魔が身を引く。ギギギギギギン! とプレートメイルの胴を斧の刃が滑っていく――そのまま、悪魔はポンパドールの龍砕斧の腹を膝で蹴り上げ、少年の体勢を崩した。
「シャアッ!!」
「お――!?」
そして、繰り出される横蹴りに、ポンパドールが後方へと蹴り飛ばされる。だが、龍砕斧で受け止めたポンパドールにダメージはない、ズシャ、と靴底を鳴らしながら着地した。
「リーア!」
クルセイドソードを掲げたクリスレイドが、刃に刻まれた「祝福の言葉」を風に変換して吹かせ、霊犬のリーアはその浄霊眼によってポンパドールを回復させる。
「――ッ!」
そして、煉が放った光刃に悪魔はライフルの銃口を向けバスタービームで相殺した。ドォン! と、重く響く爆発音。それを聞きながら、悪魔はガスマスクのような装飾のヘルムの下で小さく笑った。
「良いな、個々の性能はバラバラであるが役目によって組み立てられた戦術が確かにある。部隊、そう呼べる程の連携がある」
「黒のプレートメイルに両腕には重火器か、中々良いセンスだ。敵であるのが悔やまれるな」
「お前も、悪くはないセンスだ」
焔弥の軽口に、悪魔も軽口で応じる。しかし、その間にも緊張の糸は張り詰めていっていた。
(「……思った以上に、素早く立ち直しやがったな」)
焔弥が、胸中でこぼす。それは、声にしないが昌利も同じ感想だ。サウンドシャッターで配下との分断に、成功した。しかし、悪魔はこちらの不意打ちに戸惑ったのはわずかな間だけ、すぐに現状を把握してこちらの包囲を突破しようとした。
「お前と、お前が、厄介だな。いいポジションでの連携だ、今後の参考にさせてもらおう」
焔弥とクリスレイドのディフェンダー陣が、どこであろうとリカバリー出来る位置を確保しているように動いている。三日月形の陣を取り、配下と分断された。こうなっては、ただ力技で一点突破するのは困難だろう――悪魔は、既にそこまで読んでいる。
(「そこで、格下相手と侮らぬ、か。力に溺れておらぬとは、厄介な敵じゃ」)
陵華は、眉をしかめた。ここで格下と侮ってくれれば、時間が稼げたかもしれない――だが、そんな楽観を抱かせてくれる敵でもなさそうだ。
「ただ倒す事だけに集中してくれ」
陵華の呟きに、攻撃役の者達は心でうなずく。ガシャリ、と悪魔は巨大なガトリングガンを片腕で軽々と操り、言い放った。
「食い破らせてもらうぞ? 灼滅者ども」
ガガガガガガガガガガガガガガガッ! とノズフフラッシュが瞬き、銃弾の雨が嵐のように灼滅者達へと降り注いだ。
●
――短期決戦、それはお互いの意図だった。
「凍てつけ」
バキン! と、冷気が戦場で吹き荒れる。悪魔のフリージングデスだ。大気が軋むほどの冷気に、煉を庇ったクリスレイドは見た。
「リー、ア……!」
ボン! と冷気に大穴を開けて、魔法の矢がリーアを撃ち抜く。再行動による、悪魔のマジックミサイルだ。その連撃に耐え切れず、リーアは地面に転がった。
「――ッ」
悪魔が、弾けたようにその身を引く。半瞬後、そこを昌利の拳が通り過ぎ、悪魔の鎧を削った。
「ォオオオオッ!!」
そこへ、焔弥の雷を宿した拳が振り上げられる。その連携に防御が間に合わない、悪魔はまともに顎に一撃をもらいのけぞった。
「動かないで」
背後からの呟きに、悪魔は振り返ろうとする。しかし、それよりも早く回り込んだ煉の影が、悪魔を縛り上げた。ミシ……! とプレートメイルを軋ませる悪魔へ、ポンパドールはクルリときゅいえーるを回転させながら踏み出る!
「吹き飛べ!」
巨大なスプーンと言うべききゅいえーるの一撃が、悪魔の体を地面から引き剥がし宙を舞わせた。浮遊時間は短い、すぐさま着地する悪魔へ夏海は巨大な怪腕と化したその右腕を豪快に振り下ろす!
ゴォン! と、響く重い打撃音。両腕をクロスさせた悪魔がかろうじて受け止めたが、その打撃の衝撃を殺し切れるものではない。靴底で地面を削りながら、踏みとどまった。
「確実に当ててくれよ?」
「頑張ってくださいね~」
陵華の癒しの矢を、さゆみのエンジェリックボイスを、クリスレイドは受けながら自身を集気法によって更に回復させた。
「さすがはダークネス、といったところね……リーアの分まで、やらせてもらうわ」
クリスレイドの言葉を受けて、楽しげに吐き捨てた。
「灼滅者『ごとき』がよくやる――と褒めてやろう」
(「確かに、強力ですね~」)
戦場に意識を張り巡らせながら、さゆみは心の中でこぼす。魔法使いとして、目の前の宿敵がどれだけの力量を持っているのかは肌で感じていた。不意を打ち、分断して、こちら側だけ準備に準備を重ねた状態でなお押し切れない。理由は簡単だ、目の前に立ち塞がるソロモンの悪魔がただ純粋に強いのだ。
攻撃力。耐久力。技量。加えて、戦術眼。そのどれを取っても灼滅者側に勝てる者はいない。その悪魔の猛攻の前に、確実に灼滅者達を追い込んでいた。
「――で? それが何だって?」
「まったくもってだな」
その不利を笑い飛ばすポンパドールに、焔弥も口の端を持ち上げた。元より、実力差は覚悟の上だ。一人として退く者のいない灼滅者達に、悪魔はガシャンと鎧を鳴らす――笑ったのだ。
「いい兵士だ」
悪魔の短い賞賛に続き、ガトリングガンから銃弾が嵐のごとく放たれた。
●
――足りない、と夏海は攻防の中で、歯を食いしばる。
悪魔を倒すのには、一手足りない。悪戯に時間をかければ、配下が異変に気付き戻ってくる……そうなってしまえば、この均衡は大きく崩されてしまうだろう。
「おらあああああああ!!」
豪快にデモノイド寄生体を刃に変えて、焔弥が悪魔と斬り合う。それに応じる悪魔の動きに、澱みはない。何かを狙っている――それだけは、確かだ。
(「何を狙っている――!?」)
それを切り崩せば、活路になる。夏海は、その一瞬を見逃さないように意識を集中させた。
「薙ぎ――払え!!」
悪魔の円盤状の光線が、ギュオ! と豪快な音を立てて前衛を切り裂く。そして、悪魔は魔法の矢をバスターライフルの銃口に生み出す――再行動だ。
その狙いは、昌利だ。悪魔の意図は、こうだ。クラッシャーを落とす――そうすれば、間隙を縫うにせよ、時間を稼ぐにせよ、被害を抑えられる。相手の頭数を減らす上で、もっとも被害を減らせる選択を悪魔は狙っていたのだ。
「落ちろぉ!!」
ギュオ!! とマジックミサイルが一直線に昌利を狙う。その一矢を受ければ、耐え切れない――悪魔の、会心の一撃だ。
「させるか――!」
だが、それを焔弥が我が身を盾に防いだ。耐えられる一撃ではない、焔弥が崩れ落ちる。
しかし、悪魔はその瞬間に初めてヘルムの下で舌打ちをした。その理由を、クリスレイドは悟る。
(「お前にとっても賭けだった、そういう事ね」)
悪魔にとっても、自身を危険に追い込んでまで狙った起死回生だったのだ。それを焔弥によって覆された――この一手が、大きく戦況を動かした。
「回復は任せろ! やれ!!」
陵華の清めの風が、戦場に吹き抜ける。その風に乗るように、夏海はマテリアルロッドを手に間合いを詰めた。
「くらえ!」
渾身の殴打が、悪魔の胸部を強打する。遅れてきた衝撃にのけぞった悪魔へ、さゆみがロッドを振り下ろした。
「まだまだですよ~」
ドン! という一条の電光が、悪魔を撃ち抜く。カハ、と息をこぼした悪魔は地面を蹴った。その動きに、一体の獣が追随する――オーラを身にまとったポンパドールだ。
悪魔はその銃口を向けるが、ポンパドールは怯まない。引き金が引かれるよりも早く、一気に懐へと跳び込んだ。
「逃がすか!」
ドドドドドドドン! と、閃光百裂拳の連打が、悪魔を襲う。よろけるように吹き飛ばされた悪魔を、煉はサイキックソードを輝かせて踏み込んだ。
「私達、次の仕事があるんだよ。あんたは……退場の時間だ」
ザン! と横薙ぎの一閃が、悪魔の胴を捉える。悪魔はそのまま地面を転がるが、ガトリングガンの銃撃の反動を利用して起き上がった。
「――来い!」
悪魔の言葉に、クリスレイドは縛霊手を振り上げる。そして、言い放った。
「逃がしはしない、お前はここで消えるのよ……敗因が慢心でなかった事だだけは、褒めてあげる」
ガゴン! とクリスレイドの縛霊撃を受けて、悪魔は後ずさる。霊力の網に捕らわれた悪魔へと昌利が一気に踏み入った。
悪魔が、それを拳で応戦する。昌利は、身を低くそれを掻い潜ると突き出されたその腕を掴み、一本背負いの要領で地面へと頭から落とした。
「先に地獄(向こう)で待っていろ。アンタらの『頭』と仲間も、其方に送ってやる」
豪快な地獄投げに、悪魔は立ち上がれない。昌利の言葉に、ハッという小さな笑いを一つ残し、ソロモンの悪魔は掻き消えた……。
●
「安曇陵華、武蔵坂学園の灼滅者だ」
陵華の名乗りに、双方が反応する。病院側は、ただ驚き。ソロモンの悪魔側は、灼滅者達がやってきた方向からその事態を悟った。
「お前達の指揮官は倒れた、その意味が分かるな?」
昌利の言葉に、ソロモンの悪魔側に波のように動揺が伝播していく。まさに兵隊のように統率が取れた軍勢だった。しかし、それは指揮官であるソロモンの悪魔の存在があまりにも大きかったのだ。
病院側では、黒い殺気を身にまとった白衣姿の灼滅者を中心に、盛り返し始める。それと挟撃するように、武蔵坂学園の灼滅者達も参戦した。
ここに至れば、後は戦いの趨勢は決まっていた。三々五々に散っていくソロモンの悪魔の軍勢を灼滅者達は蹴散らしていく――灼滅者達の勝利で、この戦場は終わったのだ……。
作者:波多野志郎 |
重傷:藤堂・焔弥(赤い狂星・d04979) 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年12月6日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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