許せないのは

    作者:飛翔優

    ●内気×ドジッ娘×巨乳
     イライラの元は、はたして何だっただろうか?
     心のうちから沸き上がってくる、衝動。いつしか生えてきた額の角に促されるまま、全てを壊してしまいたい。
     そうすればきっと、楽になる。
     でもできない。
     自分を開放できると分かっていても、ドジを治せると知っていても……恥ずかしい思いをしなくて済むと感じていても。
     いつまで抑えていられるかもわからないけれど……。

    「特徴は巨乳のJK……と」
     教室にて噂をまとめたメモを眺め、艶川・寵子(慾・d00025)は静かに微笑んだ。
     瞳を閉じ、何かを噛みしめるように沈黙した後、勢い良く立ち上がる。
    「まだ間に合うんなら、救わないとねっ」
     エクスブレインへと伝え、解決策を導くために……。

    ●放課後の教室にて
    「それじゃ葉月、後はよろしく頼むわ」
    「はい、寵子さんありがとうございました。それでは早速、説明を始めさせていただきますね」
     寵子に軽く頭を下げた後、倉科・葉月(高校生エクスブレイン・dn0020)は灼滅者たちへと向き直る。
    「秋田県でダークネス……羅刹に闇堕ちしようとしている少女がいます」
     名を、宗川美歌。
     本来、闇堕ちしたならばダークネスとしての意識を持ち、人としての意識はかき消える。しかし、美歌は闇堕ちしながらも人としての意識を保ち、ダークネスになりきっていない状態なのだ。
    「もし、美歌さんが灼滅者としての素質を持つのであれば救いだしてきて下さい。しかし、もし完全に闇堕ちしてしまうようならば……」
     そうなる前に、灼滅を。
    「続いて、美歌さんについて説明しましょう」
     宗川美歌、十六歳の高校二年生女子。
     人に対して心配りのできる少女ながらも、内気で注意力散漫な節があり、ちょくちょくドジを踏んでは周囲を笑わせたり慌てさせたりしていた。
     あるいは、ドジを踏むことで結果的に事態を良い方向へと転がしたり。
     そんな部分が多いと慕う者も多いのだが、そんなドジな自分が大嫌いで、負の感情が溜まっていった結果……羅刹として闇堕ちした。
     今はまだ、そんなことはできないと自分を律しているため問題は起きていない。
     しかし……
    「皆さんが赴く当日、放課後の時間、美歌さんは公園で一人考え事をしています。そんな中、強引にデートに誘おうとする男たちが表れます」
     それに対して抗っている内に、一線を越えて殺害してしまう。……灼滅者が関わらなければ、の話ではあるが。
    「状況は、美歌さんと男たちが押し問答をしている最中になるでしょう。ですので、その間に割り込んで仲裁して下さい。そして、男たちを追い払って下さい」
     追い払った後は、美歌に向き直って説得を。
     その後、成否に関わらず戦い倒す……これが、主だった流れとなる。
     美歌の羅刹としての力量は八人を相手取れる程度で、破壊力に優れている。
     技も純粋な力でぶん殴る、無秩序に暴れまわる、叫び声によって遠くをもなぎ払う……と言ったもの。全て避けづらく、また前者ほど対象が狭い代わりに威力が絶大……といった塩梅だ。
    「また、彼女を慕う下級生の女の子三人が、強化一般人として戦いに加わってきます」
     脅威となる攻撃はないものの、耐久面に優れており美歌を護るように立ち回る。
    「以上で説明を終了します」
     葉月は居場所を記した地図などを手渡し、締めくくりへと移行した。
    「今ならまだ、間に合います。どうか、美歌さんを救い出してきて下さい。何よりも無事に帰ってきて下さいね? 約束ですよ?」


    参加者
    雲母・夢美(夢幻の錬金術師・d00062)
    星祭・祭莉(彷徨える眠り姫・d00322)
    辻堂・璃耶(アニュスデイを導くもの・d01096)
    叢雲・宗嗣(贖罪の殺人鬼・d01779)
    聖刀・凛凛虎(邪悪なる救世主・d02654)
    素破・隼(お調子者の白隼・d04291)
    九重・都子(数えずの書庫・d10346)
    水城・恭太朗(スーパー水城タイム・d13442)

    ■リプレイ

    ●公園で悩む少女は出会う
     空に茜色が交じるようになってきた夕暮れ時。高校と住宅地を結ぶ場所にある公園で、男たちの下卑た声が響いていた。
     中心には、ベンチに腰掛け俯く少女、宗川美歌。人知れず額に黒曜石の角を生やし、羅刹の誘惑と抗い続けている彼女を救うため、星祭・祭莉(彷徨える眠り姫・d00322)が一直線に駆け出していく。
    「お姉ちゃんを苛めちゃだめ!」
    「あ?」
     割りこむなり両手を広げ、睨みつけてくる男を噛みつかんばかりに威嚇した。
     はっと顔を上げた美歌の様子を伺いながら、さらなる言葉をぶつけていく。
    「ボクが優しいお姉ちゃんを護るんだよ!」
     されど、男たちの様子に変化はない。静かなため息をはきだして、公園の外を指し示した。
    「いい子だからあっちへお行き」
    「じゃねぇとお嬢ちゃんも無茶苦茶にしちゃうぞー……?」
     軽い調子で馬鹿にし始めた男たちの肩に、雲母・夢美(夢幻の錬金術師・d00062)軽く手を乗せていく。
     己へと視線をひきつけた上でシャツを開いた前……一見、下着など何も纏っていないように思える肌をこれでもかというほど見せつけながら、やわらかな笑みを浮かべ口を開いた。
    「ねえねえ、そんな子よりさ……ゆめみーといいこと、しない?」
     言葉のさなかに甘い芳香を織り交ぜれば、男たちはもう夢美の虜。胸元への不躾な視線を隠そうともせず鼻の下を伸ばし、こくこくと頷き返していく。
     いまいち惹かれない表情を見せていた別の男も、ブラウスとロングスカート、艶やかな黒髪といった清楚な雰囲気を漂わせている九重・都子(数えずの書庫・d10346)に惹かれていた。
     布地の少ない水着を身につけているがゆえに大胆に胸元を開いたなら、逆らえる男がいようはずもない。
     二人は男たちは美歌から引き剥がし、人目につかない植え込みへとおびき寄せる。
     下品な言葉が紡がれる前に、夢美は静かな風を巻き起こした。
    「これでよし……と」
     バタバタと倒れ、眠りこけていく男たち。
     目覚める頃には、もう誰も居ない公園だけが彼らを待ち受けていることだろう。
    「それじゃ、本題へ移りましょうか」
     本題。それは、美歌の説得。
     もっとも、夢美は積極的には加わらない。脱いだら世界が変わりました! とかいいたいとは思っていたけれど……。
     一方、都子はベンチに座り状況の理解を始めている美歌を眺め、静かに瞳を細めていく。
    「自分を嫌いで居るなんて、悲しい事です」
     辛い思いをしているなら、なんとかして励ましたい。
     目に入る範囲の人全部が幸せで居て欲しいと思うから、全力を尽くして向かうのだ。
     そうして合流を果たす頃、美歌は概ね理解していた。
    「しかし、綺麗な御姉さん揃いとは嬉しいねぇ」
     聖刀・凛凛虎(邪悪なる救世主・d02654)が気楽に飛ばした冗談にも似た言の葉も、今は風に乗って消えていく。
     まだ、美歌が心を閉ざしていることに違いはない。灼滅者たちは頷き合い、救済のための行動を開始する。

     灼滅者たちが来た理由、男たちから救った理由、ダークネスの事、灼滅者の事……説得のための前提を伝えてなお、美歌の表情は曇っている。
     無理もない。いきなり言われ、即理解しろという方がどうにかしている、と言ったところだろう。
     だからこそ、灼滅者たちは一歩踏み込んだ。
     最初に、ずっと、じっと美歌の瞳を見つめていた祭莉が笑いかけた。
    「ボク、お姉ちゃんみたいな優しそうなお姉さん欲しいなぁ」
    「……え?」
     きょとんと瞳を開き、美歌が見つめ返してくる。
     小さく頷き返した上で、祭莉は小首を傾げて行く。
    「お姉ちゃん、何か悩みがあるの?」
    「ええと……うん、私は――」
     美歌は語る。
     ドジばかり踏んでしまい、人に迷惑をかけてしまう自分が嫌だと。大丈夫と言われたら合わせて笑い返してしまう、心の何処かでホッとしてしまう、そんな弱い自分が嫌だと。
    「……ほんと、迷惑をかけてばかりで。みんなには感謝してもしきれないのですけれど……」
    「でも、ドジは皆をほんわかと温かい気持ちにさせる長所なんだよ」
     優しく、穏やかに、祭莉は否定の言葉を口にした。
     息を呑み押し黙る美歌に笑顔で返答し、それが事実なのだと伝えていく。
     恐らく、次に美歌が紡ぐ言葉は、否定。
     ならばその前に畳み掛けんと、素破・隼(お調子者の白隼・d04291)が真剣な声音で語りかけていく。
    「なぁ、宗川。君はドジな自分が嫌いみたいだけどさ、君がドジった時の周りの人達を見たことがあるかい? きっと周囲の皆は笑顔だったんじゃないかな?」
     しばし悩む様子を見せた後、美歌は隼へと向き直った。
    「笑顔だったこともあります。でもそれは……」
    「宗川のドジは周囲を笑顔に、幸せにする。心優しい君だからこそ出来るんだ」
     結論が否へと至る前に言葉を被せ、決してマイナスの感情は紡がせない。
     公園の片隅、男たちが眠る方角とは別の場所に感じる気配をさり気なく示しながら、やわらかな笑顔も浮かべていく。
    「の証拠に君は多くの人に慕われているじゃないか。だからさ、美歌。ありのままの自分を受け入れてみないか?」
    「貴女を下ってくれる人は、きっと貴女の良い所を沢山知っています。その人達の気持ちを信じてはあげられませんか」
     都子もまた言葉を繋げ後押しした。
     開き始めていた心に楔を打ち込み、更なる陽射しをもたらした。
     悩み始めた美歌。考えているだけでは、きっと内気な心が否定の答えを導き出してしまう。
     だから……。

    「ハイ! ポジティブ学園代表の恭太朗です!」
     大きな声を張り上げて、水城・恭太朗(スーパー水城タイム・d13442)が己に注意を引きつける。
     元気な笑顔で元気な言葉! 元気全開で更なる言葉を重ねていく。
    「ドジだからって自分を嫌いになるのはちょっと早いよ。失敗の数だけ成長できるんだから君は今、激烈に成長してるのさ」
     経験から来る言の葉で、美歌を救い出すために。
     内へこもりがちになる心を、外側へと向けさせていくために。
     事実、皆の言葉により少しずつ心は外に向き始めている。
     後は背中を押してあげるだけ。
     叢雲・宗嗣(贖罪の殺人鬼・d01779)が真剣な眼差しで見据えつつ、新たな言葉を紡いでいく。
    「自分が嫌いだと言う思いは良く分かる。俺も自分が嫌いだ……だがな、その思いは誰かにぶつけるものじゃない。自分で抱え、背負うものだ……」
     内へ篭った結果、誰かにぶつけてしまうかもしれない負の感情。
     抱え続けていなければ、誰かを傷つけてしまう凶刃。
    「持って生まれた性や、終わってしまった過去を変える事はできない。それでも、生きている以上何か為せる事があるはずだ。手を血に汚した俺が誰かの命を救えたように……お前も……!」
    「美歌さん、ご自身の不注意について焦りを抱くのは非常に分かります。ですが…貴女が今までそれによって何かをやってしまった時、離れていってしまわれた方が本当にいたでしょうか?」
     辻堂・璃耶(アニュスデイを導くもの・d01096)は美歌の記憶に語りかけた。
     記憶を辿らせ、真実がどうであったのかを改めて思い出させるために。
    「……」
     返答は、否。
     首を横に振る美歌に微笑みかけ、璃耶は優しい声音で続けていく。
    「貴女はそれだけ周りの皆さんに支えられています。その事に申し訳なさを感じることもありましょう。ですがどうか焦らないで下さい。ご自分のペースで、ゆっくりと恩返しをするくらいの心構えでいてほしいのです」
     遥かな空を見上げるでなく、無機質な地面を見下ろすでなく……ただ、真っ直ぐ前だけを見据えること。
     一歩ずつ確実に歩んでいけば、いつか、ドジを踏んだ分だけ恩を返せるはず。
     今だって、美歌に救われている人がいっぱいいるのだから。
    「……」
     顔を上げた美歌の瞳に、迷いは残る。
     宿す光は強く、決意の言葉も、また……。
    「……やってみようと思います。そうですよね、みんな、ほんとにいい人達ばかりで、だからこそ自分が許せなかったのかもしれません。でも、ここで諦めたら、その人達も……!?」
     言葉のさなか、美歌が目を見開いた。
     羅刹への変化を始めたのだと、灼滅者たちは距離を取る。
     真剣な眼差しを送る中、美歌は額の角を輝かせた。更に、配下とした少女たちを呼び寄せて、己を護る壁と成していく。
     されど、言葉はない。
     美歌が必死に抑えているからか。
     ならば、後は羅刹を倒すだけ。暖かな陽射しが導くままに、いざ、救済のための戦いを……!

    ●力は力に抗えない
    「一凶、披露仕る……」
     静かなワードを唱え、紅色を帯びた四尺の刀身を引き抜くとともに、宗嗣は先頭に位置する少女の懐へと入り込んだ。
     勢いを乗せた連続拳撃を繰り出して、一歩、二歩と後ろに下がらせていく。
    「ここからはR指定の宴(いくさ)と洒落込もうか」
     凛凛虎は斧に嵌めたジェムに宿る力を開放し、己の身に宿していく。
     さなかには、璃耶の詠唱によって導き出された魔力が羅刹たちの周囲を氷結させた。
    「少しでも早く、この戦いを終わらせてしまいましょう」
    「然り、故に……申し訳ないが、貴殿らには早々に退場してもらうでござる!」
     隼は光によって形成された剣から激しいフラッシュを解き放ち、羅刹たちの勢いを削いでいく。
     目眩ましにもなる光の力。
     隠れ遥かな空へと跳躍し、恭太朗は四十五センチの刀身を持つ刀を振り下ろす!
    「委託しないから、ちょっと大人しくしててね」
     肩に深く食い込ませ、倒れる素振りを見せたから、抱きとめて戦場の片隅へと運んでいく。
     戻る頃には祭莉の、霊犬ガンマの斬撃が、左側に位置する少女を仰け反らせた。
     夢美が勢い任せに猛追し、清らかなる刃を横に振るっていく。
    「二人目、です!」
     確かな手応えを感じるや、勢いを殺さず昏倒した少女を抱きかかえた。
     戦場の端へと寝かせるなり殺気を感じ振り向いた。
    「っ!」
     手を、足を、壊れんほどの勢いで振り回し暴れまわる羅刹。美歌が押さえ込んでいるとはいえ、力量差から来る威力はいかんともしがたいものがある。
     されど、凛凛虎の笑顔は曇らない。
    「うはは、ただの人間で、俺が止まると思うか?」
     残された少女を倒すため、暴れまわる羅刹へと到達するために、大上段から罪人の悲鳴が響き渡るという大剣を振り下ろす。
     強大な衝撃が少女の方へと食い込み、動きそのものを鈍らせる。
     倒すまでにはまだ至らず、反撃の拳が鳩尾へと突き刺さった。
    「止まらないと行っただろう!」
     無論、凛凛虎は止まらない。
     握りしめた拳を肩に、胸に打ち込んで、首尾よく昏倒させていく。
    「さぁ美歌、ここからHotでCoolなパーリィの始まりだ」
     元に戻った少女を楽な姿勢で寝かしつけた後、凛凛虎は羅刹へと向き直った。
     羅刹は言葉を紡ぐこともできず、ただただ暴れまわっていた……。

     美歌が押さえつけているとはいえ、羅刹の力は強大。
     暴れるだけでも、守りに優れていなければ体力の大半を持っていかれる。直接ぶん殴られた時の痛みは、恐らくは鋸で切り裂かれるよりも痛いだろう。
     されど、精度は低い。
     一撃一撃にブレが生じるためか、致命打にならずに済んでいる。
     勢いのまま攻めれば押しきれると、璃耶は優しい風をなびかせた。
    「もう少しで助け出せるはずです……それまで、頑張って下さい!」
     灼滅者たちだけではない、美歌にも投げかけた激励の言葉を背に受けて、恭太朗が懐へと入り込んだ。
     今だからできる、胸への凝視。
     羅刹と化してなお、美歌は仲間に負けず劣らずの胸を持っている。
     心の中で紡いだ言葉はお礼だろうか?
     いずれにせよ、表情にはかけらも出さずに下から上へと切り上げた。
    「女の子が拳をそんなに鋭くするモンじゃないからね。ごめんよ」
    「自由に動くのも、そろそろお終いでござる」
     仰け反る羅刹を、隼の結界が包囲した。
     結界の中で、誰を傷つけることもできずに羅刹は暴れる。
     悲鳴を上げる代わりに、ただただ手足を振り回す。
     静かな瞳で、夢美はそんな羅刹を見つめていた。
     シャツをはためかせ肌色を晒しながら影を放ち、暴れることすら許さぬと手足を縛り付けていく。
     ビハインドが得物を打ち込んだなら、もう、羅刹は動けない。
    「みんな、今です!」
    「ああ」
     短く返答し、宗嗣は殴る。
     何度も、何度も、的確に急所を打ち据えて、足元の覚束ない状態へと追い込んでいく。
     退いていく彼と入れ替わり、凛凛虎が懐へと飛び込んだ。
    「吸血鬼の欲望、止めてみせな!」
     紅蓮のオーラを宿した斧を無邪気に振るい、動けぬ羅刹へとぶち当てる。
     直後に都子が蛇腹剣をしならせて、羅刹の体に巻きつかせ……。
    「……お帰りなさい」
     柔らかな笑顔と共に刃を引き、美歌を仲間の元へと導いた。
     穏やかな寝息を聞いたなら、さあ、倒れた少女たちも安全な場所へと寝かしつけ、優しく丁寧に介抱しよう。

    ●希望に導かれ、少女は選んだ
    「ガンマちゃん有難う。よく頑張ったんだよ」
     ひと通りの介抱を終えた後、ガンマを労っていた祭莉。
     美歌が目覚めたことに気がついて、ガンマを抱えながら静かに歩み寄っていく。
     目をこすり、周囲をキョロキョロと探った後、全てを悟った美歌。
     感謝の言葉を紡いでいく少女へと、祭莉は元気な言葉を投げかける。
    「お姉ちゃん、良かったね。ボク達と同じ灼滅者として生まれ変わったんだよ」
    「灼滅者……私が……?」
    「うん! ボク達の学校、お姉ちゃんと同じ境遇の人が多く居るんだよ。一緒に来て欲しいし、できたら…ボクのお姉ちゃんになって欲しいんだよ」
     明るく無邪気な笑顔に対し、悩む素振りを見せる美歌。
     ならばと恭太朗が歩み出る。
     代わりのない元気な笑顔で語りかける!
    「ドジなのは今の期間だけ。きっと素敵な大人になれるさ! だからいっぱい失敗する自分を嫌うな」
     先ほども紡いだ、前向きな捉え方。
     前向きに歩いて行けば、きっと世界も救えるはず。
    「心も(身体も)成長してる自分を閉じ込めちゃだめだよ」
     邪な思いも交えた文言は、ちらりと胸へと送った視線は、果たして美歌の心へと届いただろうか?
     美歌はしばし考えた後、くすりと笑う。
     こくりと頷き返していく。
     だからこそ、恭太朗は臆せずまくし立てるのだ。
    「そのてへで許して貰えなきゃ俺がそいつをぶっ飛ばすから連絡頂戴ね!」
    「はい! こんな私で……ううん、そうじゃない。新しい、前に進んだ私を……どうか、よろしくお願いします!」
     心からの笑顔を示し、合流への契を交わした。
     ならば後は、少女たちが目覚める時を待つだけか。
     目覚めた少女たちを家へと送り、全ての仕事を終えたなら……いざ、新たな灼滅者を武蔵坂学園へと導こう!

    作者:飛翔優 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年11月29日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 6
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