香坂・天音(ファフニール・d07831)は、こんな噂を耳にした。
『女子の下着を盗りまくる下着ドロの都市伝説が存在する』と……。
都市伝説は女性物の下着を頭に被った変態で、その姿はまるでジャパニーズ・ニンジャ!
神出鬼没で、正体不明。
例え、警察に職質を受けても、『ワタシ、ニホンゴ、ワカリマセーン』でスマートに回避するキレモノ的存在。
それ故に、相手も『おい、誰か! 英語を喋る事が出来るヤツはいねーか』と騒ぎ、その隙にランナウェイ。
そんな小粋な爽やか系ニンジャ!
都市伝説にとって下着は御馳走、御褒美的存在。
そのため、下着を見ると自らの感情を抑える事が出来なくなり、『フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』と叫んで飛びついてしまうようである。
最近では『下着は新鮮な方が良い』と言う考えに至り、欲望のままに襲い掛かってくるので注意が必要である。
参加者 | |
---|---|
黒洲・叡智(迅雷風烈・d01763) |
金井・修李(進化した無差別改造魔・d03041) |
五十里・香(魔弾幕の射手・d04239) |
鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365) |
香坂・天音(ファフニール・d07831) |
久瀬・悠理(鬼道術師・d13445) |
月村・アヅマ(風刃・d13869) |
河内原・実里(誰が為のサムズアップ・d17068) |
●変態忍者
「……まったく、小粋なニンジャが聞いて呆れる話よね。本当に頭痛がするわ。とりあえず、これ以上被害を出さないうちに片付けましょ」
香坂・天音(ファフニール・d07831)は都市伝説と戦う前から、完全に戦意を喪失させていた。
……別に怖気づいた訳ではない。
純粋に関わりたくないのである。
それでも、関わらなければならないのは、相手が都市伝説であるが故。
「ただの布を盗んで何が楽しいのかな。やっぱり、下着は女の子が着ていてこそ、価値があると思うんだよ。脱いでしまえば、ただの布。女の子とセットでなければならない事に、何故気づかない。可愛い女の子が下着姿で恥じらいの表情、これが判らないとはまだまだだね。あ、痴女はお断りで……」
久瀬・悠理(鬼道術師・d13445)には、都市伝説の考えが全く理解できなかった。
何故、そこまで下着に執着しているのか、悠理には全く理解する事が出来なかった。
おそらく、都市伝説でさえ、その理由を知らないだろう。
ただ、この世に生を受けた時から、そうしなければならないという使命感があったのは事実。
まるで欠けたピースを埋めるようにして、心の欲望を満たしてきたのだろう。
故に都市伝説にとっては、息をするのと同じ事なのである。
「いや、もうこれ都市伝説というより、ただの変態でしょ」
そこで河内原・実里(誰が為のサムズアップ・d17068)が、誰もが心に思っていた事を口にする。
それはこの場にいた誰もが感じた事だった。
どちらにしても、都市伝説を倒さねばならない。
このまま放置しておく訳にはいかないのである。
そのため、実里は3グループに分れて、都市伝説を捜す事を提案した。
まずは出現しそうな所に張り込む【張り込み班】。聞き込みして場所を絞って探す【聞き込み班】。偶発接触を期待し探す【ハチ当たり班】の3グループに。
「……い、いや、これでも都市伝説だし、一般人には手に負えないし、俺達がやらないとダメですよね」
内容の酷さに頭を抱え、月村・アヅマ(風刃・d13869)が自分自身に言い聞かせる。
相手が都市伝説である以上、自分達が相手にしなければいけない事は分かっている。分かっているはずなのだが、まったくテンションが上がらない。それどころか、地を這う勢いで下がりまくっていた。
それでも、何とかテンションを上げようと頑張ってみたが、それは自分の気持ちを偽る事に他ならなかった。
「都市伝説はもちろん滅するが、この都市伝説の雛形となったであろう者も吊るすべき」
そう言いつつ、五十里・香(魔弾幕の射手・d04239)が旅人の外套を使いつつ、空飛ぶ箒に乗って上空から都市伝説を見つけようとした。
その拍子に都市伝説と思しき忍者が、香達の前を横切った。
まわりの空気を全く読まず。
一瞬、香には都市伝説の指と自分の指に、赤い糸的な何かを見た。
おそらく、幻覚か何かの類だと思うが。
「いっけねぇ~」
都市伝説も『コイツはウッカリ!』とばかりにおでこを叩くと、スタコラサッサと逃げていく。
「変態、死すべし」
黒洲・叡智(迅雷風烈・d01763)が殺気立った。
だが、都市伝説はもういない。
まるで本番中のスタジオに間違って入り込んだADの如く、叡智達の前から姿を消していた。
「と、とにかく、張り込み! 都市伝説が現れそうな場所を張り込んでおくよっ! そうそう、張り込みといえばアレだよね! アレ!!」
金井・修李(進化した無差別改造魔・d03041)は気持ちをサッと切り替え、アンパンと牛乳を取り出した。
今のは幻覚。都市伝説など見ていない。
そう自分自身に言い聞かせつつ……。
「そ、そ、そうですわね。それじゃ、頑張りますわよっ!」
あたふたとした様子で、鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365)が囮役として、下着姿になった。
仲間達も都市伝説など見ていないと言わんばかりに、最初の予定通りに行動を開始した。
●大捜索
「天音ちゃん! 楽しみだね~! 張り込み! せっかくだから、漫画でも読む?」
修李達が張り込みを始めてから、早数時間。
都市伝説を見つけるのは容易に思われていたが、予想に反して見つからなかった。それはまるで必要のない時に見つかって、必要になったら見つからない探し物のようなもの。とにかく、暇。挙句の果てに、睡魔まで襲ってきた。
「それよりも、ちょっと移動してみましょうか。このままだと、間違いなく……寝るわ」
眠そうにアクビをしながら、天音がライドキャリバーのクラヴィアに跨った。
ここに来る前は集合住宅のベランダを見れば、沢山の下着が吊るしてあると思っていたのだが、都市伝説が現れたせいで女性達も警戒しているのか、室内干しにしているようである。
そのため、下着を干しているのは、そう言った事を気にしない年頃……、主に年寄り連中が多かったのだが、都市伝説にとっては些細な事なのだろう。
「ねえ、何処にも見当たらないんだけど……」
天音達と合流した叡智は、とても困っていた。
都市伝説の目撃情報はあるものの、逆に多過ぎて居場所を絞り込む事が出来なかった。
「……と言うか、忍びなのに、まったく忍んでいないようですね」
すっかり呆れた様子で、アヅマがげんなりとする。
おそらく、都市伝説なりにプレイを楽しんでいるのだろう。
この様子では、あまり忍び過ぎると、誰にも見つけてもらえず寂しい思いをしてしまい、己の性癖を満たす事が出来ないため、わざと姿を現してそのスリルを楽しんでいる可能性が高かった。
「こっちも収穫なしか」
続いて姿を現した実里は、ハンドフォン片手に溜息を漏らした。
それらしき影は何度もチラチラ見ているのだが、いざ捕まえようとするとササッと逃げてしまうのである。
「……と言うか、あれは何だろ?」
唖然とした表情を浮かべ、悠理が何かを指さした。
そこにいたのは、下着を盗んでいる真っ最中の都市伝説であった。
「あっ、どうもでござる!」
都市伝説が爽やかな笑みを浮かべる。
ここでコソコソしていたら、絶対に怪しまれる。
ならば、自然に。『これはワイフの下着なんだよ、HAHAHA』的な態度で、誤魔化し通さねばならない、と思ったのかも知れない。
しかし、それが逆に都市伝説の怪しさを強調させていた。
「あれが噂の小粋な爽やか系ジャパニーズニンジャな変態か。まるで正体不明ではないように思えるのは気のせい……じゃないな」
生暖かい視線を都市伝説に送り、香が呆れた様子で頭を抱えた。
ここまで目立った行動をしているのであれば、わざわざ忍者の恰好をする必要も、名乗る必要もないと思うのだが、都市伝説にそこまで求めるのは、色々な意味で酷なのかも知れない。
「ワタシ、ニホンゴ、ワカリマセーン」
そこで都市伝説がボケた。
今までなら、これで何とか逃げる事が出来た。
適当な英語を言えば、相手もしどろもどろになって、逃げだす者までいたのだから……。
「ワタシモ、ニホンゴ、ワカリマセーン」
だが、香は怯まなかった。
都市伝説に対抗するようにして、適当なニホンゴで応戦する。
「そんな事で誤魔化そうとしても無駄ですわよ、このエセ外人忍者。さぁ、あなたが今まで集めた美少女の下着をわたくしに寄越せば、苦しまずに灼滅して差し上げますわ」
しかも、幽魅がハイパーバイリンガルを使い、流暢な日本語で都市伝説を精神的に追い詰めていく。
これには都市伝説も、絶句。
「ううっ、まさか英語を喋る事が出来るとは……。おぬし、ただの日本人ではないでござるな」
そう言って都市伝説が盗んだ下着を守りつつ、ジリジリと後ろに下がっていった。
●都市伝説
「口紅が最初に見せる女の武器なら、下着っていうのはね、最後に見せる女の武器なのよ。それを掠め取ろうなんて言語道断!! 女子が下着をどんな思いで選ぶか知りなさい。判決、灼滅! 次はもっとマシなニンジャに生まれるように祈りながら消えなさい!」
すぐさま都市伝説の逃げ道を塞ぎ、天音がクラヴィアと連携を取って、続け様に攻撃を仕掛けていく。
「しゅ、集団でフルボッコとは、ひ、ひ、卑怯な! 拙者はひとり。ロンリーボーイでござる!」
そう言いつつも、都市伝説は反撃する機会を窺っていた。
この状況で逃げる事は不可能。ならば、殺られる前に、殺れ。攻撃は最大の防御なり、と言う事である。
ほんの一瞬……。それだけの時間さえあれば、相手の下着を奪う事が出来る。
下着さえ手に入れれば、こっちのもの。
相手は恥ずかしがって、戦闘どころではなくなってしまうはずだ。
特に、まわりに仲間がいるほど、この作戦は有利!
(「我ながら、恐るべし策士! マジ怖ぇで、ござる!」)
都市伝説はそんな自分に酔いしれていた。
おそらく、ここまで頭がまわる人間は、世界中どこを捜しても、見つからない。何故なら、自分一人だけだから!
「さあ、早く下着を渡しなさい! さもないと痛い目に遭いますわよっ!?」
都市伝説に警告しつつ、幽魅がビハインドの霊魅と一緒に攻撃を仕掛けていく。
「い、嫌でござる! これは拙者の大切なコレクション! 特に最近は熟女萌えでござる!」
しかし、都市伝説も必死であった。
変態っぷりにも磨きがかかり、熟女にまでフェチの範囲を広げていた。
「まあ、どのみち灼滅一択だ。……そぉい!!」
そう言ってアヅマが助走をつけて勢いよく飛び上がり、都市伝説にレーヴァテインを叩き込む。
それと同時に都市伝説も一緒になって飛び上がったため、自ら顔面を差し出すような形で吹っ飛んでいく。
「ぐぬおっ! 一生の不覚ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウ!」
都市伝説にとって、これは予想外であった。
本来ならば、加齢にアヅマの攻撃を避け、『HAHAHA! まだまだでござるな!』と言い放っていたところなのだが、これはあまりにも恥ずかしい。恥ずかし過ぎて、このまま顔を押さえて、逃げ出したい気持ちになった。
「逃がさないよっ!」
すぐさま悠理が都市伝説の背後にまわり、マジックミサイルを撃ち込んだ。
それに合わせて、実里がライドキャリバーのスロットと共に、都市伝説の逃げ道を塞ぐようにして行く手を阻む。
「捕まえた!!」
その隙をつくようにして、修李が都市伝説に影縛りを発動させた。
「う、ぐ、ぬおおおおでござる!」
都市伝説はその呪縛から逃れようとしたが、思うように体が動かなかった。
獲物を前にしながら、一枚も下着を奪う事が出来ない屈辱。
それは都市伝説の中に眠っていた変態的な何かを目覚めさせるのに、十分な何かを秘めていた。
「これは必もう要ないな」
そのまま一気に距離を縮め、香が鬼神変で容赦なく股間を捻り潰す。
「ぐ、ぐぎゃあああああああああああああ!」
都市伝説にとっては、予想外……と言うよりも、あり得ない事であった。
まるで花火の如く弾け飛んだ股間が痛い。痛過ぎる。
後からじわりじわりと走る痛み。
溢れる涙を抑える事が出来ぬまま、内股になってペタンと座り込んだ。
「……さっさと消えて」
嫌悪感をあらわにしながら、叡智が都市伝説にフォースブレイクを仕掛ける。
その一撃を食らった都市伝説が、『し、下着だけは誰にも渡さないでござる!』と叫んで跡形もなく消滅した。
「今回も変な依頼だったな。ともかく、みんなお疲れ様」
都市伝説が消滅した事を確認した後、実里が爽やかにサムズアップした。
そして、実里達は忌々しい記憶を消し去るようにして、その場を後にするのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年12月1日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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