変わり種激辛ロシアン餃子怪人!

    作者:相原あきと

     新潟で発生したロシア化ご当地怪人事件。
     しかし、新潟の隣の県である栃木県宇都宮でも、ソレは起こっていた。
    「ロシアン宇都宮餃子をくらえ、さあ! どれを選ぶトロイカ!」
     3人の宇都宮餃子怪人に深夜の駅前で囲まれたサラリーマンは大混乱だ。だって目の前の3人、顔が餃子なんだもん。
     とりあえず、左の餃子怪人を指さすと。
    「この私を選ぶとは良い度胸カライカ……食らうが良い!」
     なんか餃子を強引に食べさせられた。
    「う、うう……くーーっ、ワサビ!?」
    「その通り、それは激辛ワサビ餃子、次を選べ! ロシアン餃子を選ぶまで終わらんカライカ!」
     明らかに片方は語尾がロシア風だった気がするけど、言いなりはムカつくのでサラリーマンは別の1人を指さす。
    「この私を選ぶとは良い度胸だね……食らうが良い!」
     語尾は普通だったが餃子の味は……こ、これは。
    「甘い!?」
    「その通り、それは変わり種デザート餃子、最後までロシアン餃子を選ばないとはとんだ不埒者だね」
    「まったくだトロイカ! これでもくらうトロイカ!」
     選ばなかった餃子怪人が強引に最後の1つを口につっこんで来た。辛いの甘いのと来たからには次は酸っぱいのか苦いのか!? そう覚悟を決めたサラリーマンだったが。
    「か、辛いいいいい! なんでまた辛いの来るんだ!」
    「ふっ、ロシアン餃子と言えば辛子だトロイカ」
    「だ、だったら、ワサビ餃子はいらねーだろうが!」
    「うるさい! 仲間になってくれた餃子怪人がこいつだけだっトロイカ!」
    「その通り、私はなんか他のロシアン怪人たちから『被るからいらない』とハブにされてたカライカ、今は心の友を得た気分カライカ!」
    「知らねーよ! ってか、こっちの甘い奴も仲間に入れてやれよ!」
    「む」
    「む」
    「いや、私は2人がかわいそうだと思って一緒にやってるだけだね。気にするなだね」
    「上から目線かよ!」

    「みんな、新潟でロシア化したご当地怪人が現れる事件が発生しているのは知っているわよね?」
     教室の集まったみなを見回してエクスブレインの鈴懸・珠希(中学生エクスブレイン・dn0064)が言う。
     どうやらこのロシア化事件が、新潟県のお隣、栃木県の宇都宮市でも発生しているらしい。
    「宇都宮と言えば……わかるわよね。そう、餃子よ! 今、宇都宮には多数のロシアン宇都宮餃子怪人と普通の宇都宮餃子怪人が現れまくっているわ」
     今はまだ大きな被害は出ていない。だが、もちろん放っておいて良いわけがない。
     珠希はそう言うと、教室に集まったみなに向かってもらいたい現場を説明する。
    「場所は深夜2時の駅前よ、昼間に比べたらもちろん少ないが、帰りのタクシーに並ぶ人々とか、それなりに一般人がいるらしい」
     そこにいる男のサラリーマンを3人の餃子怪人が取り囲むらしい。ネクタイをつけてないスーツ男らしく、行けば誰かわかるらしい。
    「餃子怪人たちはそれぞれ自分の餃子を持ってるわ。食べたかったら言えば食べさせてくれると思うけど、戦闘とは全く無関係だと言っておくわね」
     じゃあなんで説明した……とか言いたくなるが、知り得た情報なので伝えた、以外の意味はなさそうだった。
     餃子怪人たちは3人とも妨害が得意であり、また、ご当地怪人のサイキックは共通として、それぞれが縛霊手、妖の槍、咎人の大鎌に似たサイキックを使ってくるらしい。
    「3人ものダークネスをまとめて相手にするのはキツイと思うけど、大丈夫、3人集まっててもそこまでの強さだから、みんなで一致団結すればぎりぎり何とかできると思う。だから、がんばって灼滅してきてね!」


    参加者
    橘・清十郎(不鳴蛍・d04169)
    鮎宮・夜鈴(宵街のお転婆小町・d04235)
    黒木・摩那(昏黒の悪夢・d04566)
    文月・咲哉(ある雨の日の殺人鬼・d05076)
    城守・千波耶(裏腹ラプンツェル・d07563)
    八乙女・小袖(鈴の音・d13633)
    星空・みくる(お掃除大好きわん子・d13728)
    大豆生田・博士(凡事徹底・d19575)

    ■リプレイ


     深夜2時の駅前で、ノーネクタイのサラリーマンに迫っていた餃子怪人達へと非情な言葉をぶつけるのは、警備員っぽい服を着た八乙女・小袖(鈴の音・d13633)だった。
    「このような時間に無許可営業をしてもらっては困る」
    「な、何を言うトロイカ! 私たちはちょっと……」
    「ちょっと、なんです? 駅前で許可の無い販売や勧誘行為は禁止されています、どうかお引き取り願えませんかね?」
     シドロモドロのロシアン怪人に警備員服のもう1人、文月・咲哉(ある雨の日の殺人鬼・d05076)がビシっと言う。
    「ち、違うカライカ! 営業活動ではないカライカ!」
    「ほう、なら何だと?」
    「ただの世界征服活動だね。何か問題でもあるだね?」
    「問題ありまくりだ!」
     咲哉がツッコむが、怪人達が納得しかねるらしくギャーギャー騒ぎだす。とりあえず目が点になっていたサラリーマン、だけでなく駅前にいた人たちも関わらないように……と逃げていった。
    「余り騒ぐ様ですと、警察も呼びますよ」
     咲哉の言葉にしぶしぶ黙る3人。
     その絶妙なタイミングで入ってくるのは近くで見ていた黒木・摩那(昏黒の悪夢・d04566)と城守・千波耶(裏腹ラプンツェル・d07563)だった。
    「あの、私、餃子の梯子に宇都宮に友達達と来たんだけど……もしかして」
    「おお! では是非私のロシアン餃子を試食すると良いトロイカ!」
    「んん、ごほんごほん」
     小袖がわざとらしく咳払い。
    「っと、それが騒ぐと警察を呼ぶと言われて困っているトロイカ……」
    「なら公園とかは? ベンチもあるし友達ともそこで待ち合わせているし」
     摩那の言葉にキュピーンと目が光る怪人たち。
    「この人達餃子顔だし、もしかして人気店の人かな? すごーい!」
     援護射撃宜しく千波耶が盛り上げると、気を良くしたか怪人が警備員に言う。
    「それじゃあ私達は公園へ行くトロイカ」
     一瞬、警備員役の2人が目を合わすが。
    「ならば私たちもついて行こう」
    「好きにするトロイカ」
     傍から見てると新手の美人局か何かのようなのだが……とりあえず餃子怪人たちは公園へとついて行くだった。

    「やっぱ久し振りの栃木の空気は美味いべよ! 男体山も綺麗に良く見えるべ!」
     公園で叫んでいるのは大豆生田・博士(凡事徹底・d19575)、深夜二時で誰もいない公園のおかげか、博士への奇異の目はない。
     もっとも、博士とともに公園で待っていた橘・清十郎(不鳴蛍・d04169)などは「深夜二時なのに山が見えた?」と疑問に思ったりもしたが、まぁ深く考えないでスルーすることに。
     とはいえ、スルーできない事柄もあり……。
    「何持ってるんだ?」
     清十郎が横にいる鮎宮・夜鈴(宵街のお転婆小町・d04235)に聞く。
    「もちろん、餃子タレですわ!」
    「いや、まあ、そりゃな」
    「もう早く食べたいですの! 特に三位一体餃子だなんて、わくわくですわね?」
     餃子タレの入った皿と箸を手に目を輝かせて言う夜鈴に、公園で待っていた最後の1人、星空・みくる(お掃除大好きわん子・d13728)が。
    「はい、ボクもちょっと食べてみたいと思ってます。できればレシピも教えて頂ければ……っと、あの、もしかしてあの方々でしょうか?」
     みくるが言う方向に目を向ければ、餃子頭の怪人3人を連れて仲間達がやってくるのが見えたのだった。


    「(ほいほいついてくるって……同じ栃木もんとしてなんつうか複雑な気持ちになるべえよ……)」
     公園へ到着した怪人達を見て頭を抱えるのは博士だが、他の灼滅者は話を進める。
    「ロシアンさん、激辛さん、変わり種さんの宇都宮餃子怪人さん、ですか? 実はご自慢の変わり種激辛ロシアン餃子を頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」
     博士の事は一端置いておいて、礼儀正しく依頼するのはみくる。
     怪人達は顔を見合わせると大きく頷き。
    「さあ! ロシアン餃子を食べるトロイカ!」
     3人の餃子怪人がくるりと一回転すると、その手には皿に乗った餃子が!?
    「さあ! 好きなのを選ぶカライカ!」
     皿の上の餃子は(なぜかわからないが)出来立てで美味しそうな匂いを放っている。
     深夜2時過ぎだというのに食欲をそそるその香りは、かなり危険だ。
    「正直、こんな時間に餃子とかあんたら鬼だな」
    「それは違う、私たちは餃子だトロイカ」
    「喰い過ぎで太るって意……いや、何でも無い」
     ツッコむのも疲れた感じで咲哉が周りを見れば、すでに喰う気満々の仲間たちが……いや、まあ咲哉も喰うのだが。
     ポム。
     そんな咲哉の肩に手を置き、うなずくのは小袖。
     無言で見つめ合った後、小袖が取り出した胃薬に大きく首を縦に振る。
     たぶん、今回のメンバーでこの2人が一番……うん、まぁ頑張れ。
    「で、この餃子、何が入ってるんだ?」
     清十郎が3怪人の餃子を見つつ一応聞いてみると。
    「1つはカラシ餃子トロイカ!」
    「1つはワサビ餃子カライカ!」
    「1つは激甘デザート餃子だね」
     自信満々の3人。
    「つか、全部ある意味当たりじゃねぇか……」
    「全部あたりとは贅沢トロイカ!」
    「いや、そういう意味じゃねぇよ!」
     とりあえず誰から……と最初に箸をのばしたのは摩那だった。
     ぱくり。
    「お、おいしい!」
     ぱくぱくと2つ目、3つ目と箸をのばす摩那。
    「なに!?」
     そんなうまいならと咲哉も摩那と同じ皿の餃子を……。
    「って、辛っ!」
     むせる咲哉、摩那が食べてたのは激辛餃子だったらしい。
    「え、そう? 私的にはもっとこう」
     自前の唐辛子をかけてさらに食べる摩那。絶望的な辛党にとって激辛餃子はご褒美だったらしい。ロシアン餃子怪人が「それは当たりトロイカ! いきなり当てるなんて素晴らしいトロイカ!」と摩那を絶賛している。
     そしてそんな摩那に続いて、ロシアン激辛餃子を食べたのは夜鈴。
     もぐもぐとしっかり味わいつつ……公園の芝生をのたうち周り始める。着物が着崩れないのがスゴい。
     夜鈴ははぁはぁと荒い息を吐くとスッとロシアン餃子怪人に近づいていき。
     ズボッ!
     唐突に餃子怪人の口に何かをぶち込む。
    「むぐっ!? なにするトロイカ!?」
    「クク……ただ辛いだけの餃子がロシアンだなんて、金平糖もびっくりの甘さなのですわ!」
    「こ、これは餃子……しかも中身はまさかアレトロイカ!?」
    「そう! 極寒のシベリアを生き抜くために必要なのは愛! 貴方も愛がホシイカですのー!」
     夜鈴が事前に用意していたボルシチ餃子~愛の味噌煮込み風~を食わされる怪人。
    「こ、こんな邪道な餃子……意外とイけるトロイカ!」
     ちなみに無難な餃子を、と他のメンバーは変わり種デザート餃子を食べていたりするが、これは意外と美味しかった(辛党の摩那だけは目を白黒させつつ、それでも案外いけるかも? との感想だった)。
     誰も手を着けないワサビ餃子を棚上げし、千波耶がごちそうさまでした、と手を合わせつつ。
    「ていうか、質問なんですけど。餃子は元々中華よね? それを更に宇都宮にロシア? アイデンティティぐらついたりしないの?」
    「HAHAHA、すでにロシアンルーレットとかぶらせてるだけで、辛子も別にロシアじゃないトロイカ、今更ルーツもカオスも無いトロイカ」
     堂々と宣言するロシアン餃子怪人。
    「私はこの2人がかわいそうだからつき合ってるだけだね」
    「お前ずるいカライカ! というか私の餃子も誰か食べるカライカ!?」
     ちょっとワサビ怪人だけ涙目だが、8人は全員目をそらす。
     そして――。
    「さて、餃子を頂いた立場上、このような事は大変失礼とは思われますが……そろそろ灼滅させて頂きます」
     みくるが言うとともに皆がカードを解放する。
     結構食べたし、文字数的にももう十分だ。
    「どういう事だトロイカ!」
    「つまり私たちは騙されていたという事だね?」
    「それよりワサビ餃子も誰か食べてほしいカライカ……もう自分で食べるカライカ……(涙」
     そしてシーンは混沌とし……まぁ、最初からカオスだったが、もっとカオスな戦いへと移るのだった。


    「先にひとつ言っておくわ」
     戦闘準備を整えた8人の中から摩那が一歩前へ出て指を指す。
    「あなたたち、必殺技に『三位一体餃子』なるものを持ってるみたいだけど……激辛とワサビでデザート味が消えてると思うんだけど、その辺りどうなの?」
    「なっ、どうしてソレをトロイカ!?」
    「まぁいい、どっちにしろお前たちごときに三位一体餃子は必要無いだろうカライカ」
    「いやいや、良くないのだね。私のデザート餃子の味が消えるってどういう事だね?」
    「覚悟トロイカ!」
    「死ぬが良いカライカ!」
     ロシアン怪人と激辛怪人が2人同時に灼滅者たちへと飛び出す。
    「ちょっと待つだね! 話が違うだね!?」
     そして一拍遅れて変わり種怪人も後に続く。
     同時、千波耶の放ったブラックウェブが3怪人を巻き込み、その足が止まった隙に灼滅者側からも飛び出す影2つ。
     摩那が激辛怪人に、清十郎の霊犬・鯖味噌が変わり種怪人の攻撃を受けつつ押さえ役に回る。
     そしてロシアン怪人だけが黒き波動を抜けて飛び出し……。
     斬っ!
     抜けざまにすれ違った咲哉に顔の端を切り裂かれた。
    「なっ!?」
    「切った端から喰うのは基本だよな?」
     咲哉がロシアン怪人の顔の端を手に言う。
    「私の顔は食べ物では無いトロイカ!」
     ちなみになんか辛子が練られているっぽい。
    「……(ポイッと捨てる咲哉)」
    「食べ物は粗末にするなトロイカ!」
    「どっちだよ!」

     3怪人との戦いは続く。
     そこまで強くないダークネスたちだったとはいえ、3人いるのは厄介だった。特にロシアン怪人と激辛怪人の連携はなかなかのもので……。
    「ロシアン結界トロイカ!」
    「そこに併せてワサビギロチン!」
     前衛全てにピリピリとした辛い麻痺が襲いかかり、それをさらにワサビの刺激が上乗せされ麻痺が増幅する。
    「誰か激辛を」
    「おらに任せるだ! そういう為の援護射撃だべ」
     博士がガンナイフを連射し激辛怪人の足を止める。
     怪人2人の連携が乱れ、その隙に灼滅者たちが一斉にロシアン怪人へと攻撃を叩き込む。
    「くっ、これほどとは……仕方がない、やるトロイカ!」
    『おうっ!』
     ロシアン怪人の声に2人の怪人も応え、3人の怪人が手を空へと掲げるとそこに餃子の乗った皿が現れる。
    「行くぞ、三位一体!」
     かけ声に併せて3人が餃子を中央に合成。
     カッ!
     光が瞬き、それが収まった時には大皿に乗った餃子が湯気を立てていた。
     怪人達がちらりと灼滅者達をみる。
    「(ごくり……)」
     何人かの喉が鳴る。
    「ふっ、食べたいなら好きに食べて良いトロイカ」
     これに数人が顔を見合わせると……。
     最初に手を伸ばしたのは清十郎だった。
     恐る恐るその餃子に箸をのばし口へと運ぶ。
     ぱくり。
    「…………! ぅおおおお、凄い! 何か目の裏がバクバク言ってる!」
     そして清十郎は見た――新しい世界の扉を。
    「ぎゃーっ!?」
     すぐ横では女の子とは思えない悲鳴があがる。夜鈴だ。
    「激甘辛い友情と憐憫の不協和音が、病みつきになりそうな御味ですのーっ」
     その夜鈴の横では冷静に租借するみくるが……。
    「甘くて辛くて美味しいです、何やら不思議な感じです……できましたら作り方も教えて頂きたいです」
     何かに魅了されたかのように怪人達に教えをこうていた。
     そして怪人達も。
    「キタキタキター! この辛さが最高トロイカー!」
    「初めてやったけど、これぞコラボの真骨頂カライカー!」
    「ちょっと待つだね! やっぱり私の甘さが消えてるだね!?」
    「お前黙るトロイカ!」
    「だいたいいつも上から目線でムカつくカライカ!」
    「なっ! あぶれてたから組んでやった恩を忘れただね!?」
    「そんな――」
    「いい加減に黙れ!」
     言い争いを始めた怪人達に小袖がツッコミ……いや、踵落としを決める。
     ドガッ! と大きくクレーターを作りながら地面にめり込み動かなくなるロシアン怪人。
    「な、何を! お前は三位一体を食べたく無いカライカ!?」
     問答無用でロシアン怪人にとどめの一撃を加えた小袖を避難するが。
     小袖はギロっと睨みつけると。
    「辛いものは苦手だ」
     一刀両断するのだった。


     怪人が1人減り、また明らかに連携攻撃にもヒビが入った事で戦いは灼滅者有利に進んでいた。
     激辛怪人が小袖へと大鎌を振り抜くが、小袖は後ろ回し蹴りで怪人の腕を蹴り上げ攻撃を逸らす。だが怪人は大鎌を手放しもう片方の手で受け取ると下から掬い上げるようにその切っ先を小袖へ。
     ガッ!
     大鎌の柄を踏みつけ防ぐ小袖、驚く怪人をよそに踏み抜いた足を軸に、まるでロケット噴射のような威力の蹴りが怪人の胴に炸裂して激辛怪人が広場の床を転がっていく。 
    「わ、私は……負けるのカライカ……?」
     必死に立ち上がる激辛怪人。
     しかし。
    「ふふー、和辛子につけて食べてあげるゆえ、覚悟するが良いですのよ」
     立ち上がったところで夜鈴の鬼寂の籠糸によって全身の動きを封じられ。
    「ワサビ餃子はダメでしょう。いくら辛党でもワサビ味は辛味とは違うからね!」
     摩那の破邪の剣によって袈裟懸けに斬られたのだった。
    「ロシアン、激辛……ついに私1人になったようだね」
     最後に残った変わり種餃子怪人が己の槍を螺旋状にひねりを加えつつ攻撃、だが突如目の前に現れたナノナノ、みくるのノノがその攻撃をかばう。
    「ちっ」
     だが、命中した結果として自らの攻撃力はアップする。
     しかしノノがくるりんと上空へ回避し、怪人は見る。ノノの背後で日本刀・十六夜を構えた咲哉を。
    「強化だ? 甘いぜ!」
     即座に放たれた月光衝によって怪人を覆った螺旋の力が解除される。
     さらに強化を失って動揺する怪人に、みくるが放つ高純度に圧縮された魔法の矢が突き刺さり、がくりと膝を折る怪人。
     慌てて手をついて体勢を立て直そうとする怪人だが、その手から力が抜ける。見れば刀をくわえた霊犬によって斬られたのだ。
    「ナイスだ鯖味噌!」
     相棒を誉め、それに連携するように駆けだしていた清十郎だったが。
    「た、たんま……カラシの匂いが目に」
     目を押さえる清十郎。
    「まさか、灼滅されてなお、私の事を――だね」
     今は亡き相棒達に感動する変わり種怪人。
     別に清十郎のは目にゴミが的偶然なのだが……。
     しかし、怪人の運命もここまでだったのかもしれない。
    「なら必殺はおら達がやるだ! 必殺! ご当地かんぴょうビ~~ム!」
     博士がその両手から必殺ビームを放ち、それにあわせるように横に並んだ千波耶が構えた両手からオーラの固まりを撃ち放った。
     カッ!
     2つの光撃が怪人へと命中。
    「や、やっぱり、あの2人と組まなければ……よかった……だね」
     ドカーンッ!
     最後に派手に爆発し、そしてロシアン激辛変わり種餃子3怪人達は粉微塵に吹き飛んだのだった。
     そして、ここに一つの事件は幕を下ろしたのだった。

    作者:相原あきと 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年12月14日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 8
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