寂しい季節の到来

    作者:陵かなめ

     クリスマスカラーに演出されたアーケード街を見渡し、夙川・ミカル(しゅくがわ・――)はひそかにため息をついた。恋人のいない独り身には寂しい季節が来てしまったのだと実感する。
    「あれ、ミカル? 買い物?」
     その時、突然声をかけられた。振り向くと、級友が二人、仲良く手を繋いでこちらを見ていた。
    「あ、お、お前達……もしかして……」
    「あはは。ばれちゃったなー。俺達付き合うことにしたんだわ、で、今日はデートっつうかー」
    「えへへ。ねえ」
     二人は顔を見合わせ、幸せそうに微笑みあっている。
    「ソウナンダー、オメデトー」
     棒読みで、そう言うしかなかった。
    「サンキュー。俺達、これからケーキの予約に行くんだわ。お前も頑張って彼女作れよ!」
    「夙川君はいい人だし、きっと恋人もすぐ出来るよね。じゃあねー」
     そうして、立ちすくむミカルに二人は背を向ける。
     二人の姿に、無性にイラっとした。
     ”いい人”と言われ十数年。ミカルは女子ともよく喋る。相談に乗ることも、一緒に遊ぶこともある。だが、それ以上は進展しない。ただの都合のいい、”いい人”止まりなのだ。
    「ふ、ふふふ。はは、あはは……は、ァ、アアアアアアアアアア」
     ふざけやがって。ふざけやがって。何がクリスマスだ。何がいい人だ。
     青く膨れ上がったミカルの目は、哀れなほど悲しみが満ちていた。
     
    ●依頼
    「12月だねー。クリスマスシーズンだねー。早速だけど、事件だよー」
     須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)が話を切り出した。
     夙川・ミカルと言う男子高校生が闇堕ちしてデモノイドになろうとしていること。賑わうアーケド街のど真ん中なので、多くの被害を出してしまいそうなこと。その前に灼滅し、被害を未然に防いでほしいことなどが説明された。
    「デモノイドになったばかりの状態なら、人間の心が残っていることがあるよね。もし、その心に訴えることが出来れば、デモノイドヒューマンとして助け出せることが出来るかも」
     救出できるかどうかは、どれだけ強く人間に戻りたいと願うかにかかっている。もし、デモノイドとなってしまった後に人を殺してしまった場合は、助けるのは難しい。
     彼を助けようと思うのなら、戦いながら声かけをすると良いだろう。
    「彼はね、仲良くなった女の子と恋人になれない、いい人キャラを、実はすごーく嫌がっているんだ。だから、”いい人だから大丈夫”って言うのは禁句だよ。それ以外はわりと自由に、この季節思うところはあると思うけど、同情したり励ましたりアドバイスしたりして、声掛けしてあげてね」
     次に、デモノイドと接触できる状況が説明された。
     ミカルがデモノイドと化すのは、夕暮れ時のアーケード街のど真ん中。幸せそうな級友と会話した直後である。
     デモノイドとなった直後に接触可能だ。
     周りには買い物中の一般人が多く、被害を拡大させないためにも人払いなどの配慮が必要だろう。
     また、それ以前に接触してしまうと、このタイミングでデモノイド化せず、違うタイミングでデモノイド化してしまい、被害を防ぐことはできない。
     デモノイド化したミカルはデモノイドヒューマン相当のサイキックを使う。
    「それじゃあ、皆、彼のことよろしくお願いね。油断しなければ大丈夫だと思うけど、頑張ってきて」
     まりんは最後に一同を見回し、頭を下げた。


    参加者
    天衣・恵(無縫・d01159)
    久瑠瀬・撫子(華蝶封月・d01168)
    猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512)
    水城・恭太朗(スーパー水城タイム・d13442)
    綺堂・ライ(狂獣・d16828)
    浦原・嫉美(リア充爆破魔法使い・d17149)
    魔壁・てんさい(様・d21929)
    古凪・静(篝火の黒い鳥・d22713)

    ■リプレイ

    ●いい人
    「いい人……か」
     それは、……嫌いじゃないけど好きではないというポジション。これほど残酷なものはあるだろうか。
     水城・恭太朗(スーパー水城タイム・d13442)は思わずあふれてきた涙をぬぐうため、目頭に手をやった。
     でもまぁ、そのポジションで甘んじていたのに文句を言うのはお門違いと言うことで。
    「ここは恭太朗式前向き性格改善授業を開催してやろう」
     視線の先には、同級生に遭遇した夙川・ミカルの姿がある。
     幸せそうな二人に対し、ミカルは引きつったような笑いで取り繕っていた。
     やがて恋人達が手を振りミカルに別れを告げると、周囲の空気が変わる。
    「ふ、ふふふ。はは、あはは……は、ァ、アアアアアアアアアア」
     ふざけやがって、何がクリスマスだ。何がいい人だ。
     悲しい思いが伝わってくる咆哮だった。
    「まぁ……そういう気持ちは解らん訳でもないが……それで実際に暴れちゃだめだよな」
     綺堂・ライ(狂獣・d16828)が飛び出し、ガトリングガンを構えた。
     腰を落としたミカルを見据え、炎の弾丸を続けて撃ち出した。
    「アアアアアアッ」
     デモノイドがよろめき声を上げる。
     突然始まった戦闘に、アーケード街は騒然となる。
     驚き、悲鳴、混乱。溢れていた買い物客が、一気に騒ぎ出した。
     頃合を見計らい、魔壁・てんさい(様・d21929)が身体から殺気を放つ。
    「まずは一般人の避難だな。俺様の殺気に、逃げていくがいいぞ!」
     すると、立ち止まっていた買い物客達が、少しずつ引けていった。
     だが、まだ戦場には多くの一般人の姿がある。
    「このままここにいるとやべーです! 皆逃げてください!」
     猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512)もパニックを引き起こすよう、声を張り上げた。
    「い、や、やっぱりやばいよ……っ、きゃああああ」
    「やあああああ」
     とたんに、残っていた一般人が駆け出す。
    「この時期から来年春までに増えそうな依頼ですね。何はともあれ助けましょうか」
     旅人の外套を使い、潜んでいた久瑠瀬・撫子(華蝶封月・d01168)も姿を現した。
    「さあ、此処は危ないですから、あちらへどうぞ」
     逃げ惑う一般人をフォローしながら、アーケード街の外へ誘導する。
    「シャアァァァァ」
     まだ一般人の避難が終わっていないが、ミカルがその腕を巨大な刀に変えた。
     一般人を狙うか、その場で暴れるか、灼滅者に向かうか。まだ目標が定まっていない様子だ。
    「ふん。撃たせるかよ!」
     その瞬間、古凪・静(篝火の黒い鳥・d22713)が旅人の外套を解いた。近くに潜んでいた彼は、ミカルへ石化の呪いを向ける。
     ミカルが体勢を崩し、たたらを踏んだ。
    「よーし、そのままこっち向けっ」
     さらに、注意をひきつけるべく、恭太朗がシールドで殴りつける。
     デモノイドとなったミカルは、完全に灼滅者へと向き直った。
     仲間がデモノイドを抑えている間に、天衣・恵(無縫・d01159)が立ち往生している一般人を持ち上げ、戦場の外へと放り投げる。
    「すまんね、でもまあ死ぬよりマシだからガマンな」
     怪我をしない程度に加減はしているので、おそらく大丈夫だろう。
    「さて、皆、追い払えたわね」
     浦原・嫉美(リア充爆破魔法使い・d17149)が、辺りを見回す。
     沢山居た買い物客も、今は姿が見えない。被害を抑え、避難にも成功したと言って良いだろう。
     確認後、戦闘の音が漏れないよう、嫉美はサウンドシャッターを使った。

    ●デモデモダッテ
     てんさいが動いた。
    「いいひとがそんなにいやか」
     剣玉形態のサイキックソード・周天丸を構え前に出る。いいひと、と言う響きに、ミカルがピクリと反応した。
    「お前様の個性ではないのか? それを捨ててお前様に残るものがあるというのか」
    「グッ……」
     その個性をもっと発揮してみろ。いい人と言う道の先に、不幸しか残らないと言うわけではあるまいと。言いながら、てんさいはミカルの巨体を斬り裂いた。
    「……ウッ。デデデ、デモ……」
     言葉を聞きながら、ミカルは悶える。
     デモデモ、いい人をやめてしまったら、もう女子と話しさえできないよね……?
     お伺いを立てるような、弱めのパンチが飛んできた。
     てんさいは器用に攻撃を避け、声を張り上げる。
    「いいひとはもてないなどというのが概念だというのなら、それを破壊してでもお前様の望む未来に近づいてみせよ!」
    「ダダダ、ダッテ……サァッアアアアアア」
     ダッテ、実際今まで、いい人だったけど、彼女できなかったし。
     ミカルは戸惑ったようにてんさいと距離を取った。
    「いっその事、良い人何てやめてしまえば良いんです。もっと自分を出していか無いと」
     ひらひらと炎が舞う。
     撫子が槍を手に踏み込んできた。
    「私なんて、思うようにしていたら、回りの方々が外堀埋めていって……」
     軽やかなステップで、左右から攻撃を繰り出す。
    「先月、入籍までいたりましたよ。そう、学生結婚で現在新婚な新妻さんという奴ですね」
     正面からぶすりとミカルを刺した。
    「ナ、ナン、ト……」
     言葉の意味を理解し、ミカルがその場でひっくり返る。
     学生結婚。彼氏とか彼女とか恋人とか、どきどきわくわくハートライフを遥か超えて、学生結婚んん。
    「だから、周りの方に手伝ってもらったりするのも良いと思いますよ」
     にこやかに体験談を話す撫子に、ミカルはダメージを受けた。そんな羨ましい学生さんがいるのかと、ダメージを受け拳を握り締めた。
     ――それに引き換え、俺は。
     ミカルは羨望の眼差しで撫子を見つめた後、震える手を構え、誰彼かまわず突撃してきた。
    「フラレ半泣き男のパンチなんて効くか」
     その攻撃を正面から受け止め、恭太朗は言う。
    『フラレ半泣き男』
     その言葉に、ミカルはギクリと足を止めた。
     例えば、こうだ。
    『夙川君は優しくていい人だから、つい頼っちゃうんだ。ごめんね、私、誤解させるようなこと、きっとしちゃったんだよね? 夙川君のことは、お友達って思ってる。でも、ごめんなさい……、私好きな人が居るから……』
     ちょっと雰囲気が良いと思って言葉にすると、こんな感じで距離を置かれてしまう。
     ミカルの悲しみに満ちた瞳を見て、恭太朗は大きく頷く。男同士、何となく、ミカルの置かれる状況が伝わってきたのだ。
    「わかるぞキミの気持ち!」
     クルセイドソード・閻魔水剣を振るいながら、声を張り上げる。
    「だけど同情はしない。何故なら今からお前には俺が激モテテクを教えてやるんだからな」
    「……!!」
     激モテテクとは、一体?!
     ミカルはぎちぎちと歯を鳴らしながら恭太朗を凝視した。
    「その1! 男はカッコよく生きろ」
     カッと一点を指差し、迷い無く。
    「その2! 時には尖がれ」
     恭太朗は言った。
     後悔する位なら最初から戦え。最後は余裕に笑って見せろと。
    「アァァァァァァッ」
     今まで、そんな事、できませんでした!! だから、駄目だったのか、と、ミカルは吼える。
    「都合のいい男でいたくないなら、対決するしかねーんだよ。当たって砕けろは真理だ! 当たらなきゃ始まらない」
     その言葉を聞き、ライも頷いた。

    ●悲しい男の叫び
    「欲しいもんは自分から掴み取ってこそだろうがっ」
     強酸性の液体で攻撃しながら、ライが叫ぶ。
    「お前が望んでんのはこんなんじゃねぇだろ? そうして嫉妬しているのは自分が手に入れられてねぇからそれがむかつくんだろっ?」
    「グァアアアア」
     ミカルもまた、叫んだ。
     暴れながら、戦いながら、心の隅に言葉が浮かぶ。
    『いい人では恋人はできなかった。でも、こんな無差別に荒れ狂う自分は、もっとヤヴァイ気がする』
    「自らの手で勝ち取れ!」
     ライの言葉に、はっと足を止めた。
    「あれだ? 情熱的に行ってこそだっ」
     情熱的。ミカルには、そう言うのは今まで無かった。ただいい人を演じ、穏やかに波風を立てず女子との関係を保っていただけ。
    「いい人だから大丈夫。なわけないだろー!」
     皆の傷を癒しながら、恵も声を上げた。
    「自分でだって分かってんだから更にそっから押したり引いたりしてかないと!」
     いい人だけで止まってしまっていては、結局何も変わらない。
     恵の飛ばした小光輪が、仲間を守るようにくるくると舞った。
    「行動しろ行動! 時期だっていつでもいいんだよっ」
    「クゥ……オ……」
     ミカルがじりじりと後ずさる。
     やはり、足りなかった。いい人でいるだけで、ミカルには行動が足りなかったのだ。
    「クリスマス近いってだけで特別寂しがるんじゃぬぇー!」
     ぐっと握り拳を作って叫んだ後、恵はぴょんぴょんと仁恵に向かった。
    「ねー仁恵?」
     言いながら、頬を摺り寄せんばかりに顔を近づける。
    「ふゃっ?!」
     顔に息がかかり、一瞬びくりとなる。
     けれど、仁恵はすぐに恵の頭をなでなでし、頷いた。
    「そうですよ、同性でもこうこられたらドキドキしますよ!?」
     行動あるのみ。行動あるのみなのだ。
     何と言うか、ミカルの立場は確かに不憫だ。ただ、今のように暴れてしまっては彼女なんてもう一生出来ないと思う。
     呆れ半分、不憫半分で、彼のことを救わなければと感じている。
    「君は自分から本当に動いたんですか?」
    「ウゥ……」
     さっと目をそらすような仕草を見せたミカルを、シールドで殴りつけた。
    「良い人になれるなら、押せ押せで行きゃその子の好い人になれるかもしれねーですのに、びびって良い人に甘んじてんじゃねーですか?」
     そんな弱腰で、彼女が出来ないのは当たり前なのだ。ちゃんと女の子と遊べるのなら、もう一歩踏み出せばよいのだと。仁恵は訴えた。
    『びびって良い人に甘んじて』
     その言葉に、ミカルはびくりと肩を震わせた。
     例えば、こうだ。
    『ミカル君、誘うのはずっと私からだよね……。本当は、私のことどう思ってくれてたんだろうね? もっと貴方が本心でぶつかってくれれば……。ううん。ごめん、私の勘違いだったんだよね。ミカル君は、良いお友達だったんだよね』
     そんな言葉を残して、好きだった女の子は他の男子と付き合いました。
    「アアアアアァァァァァァ」
     攻撃の手を止め、ミカルは叫んだ。その叫びは、生まれてこの方彼女ができたことのない、悲しい男の叫びだった。何となく事情を察した灼滅者達は、溢れる悲しみに目頭を熱くする。


    ●突き抜けて
     さて。立ち尽くすミカルに、静が禍々しき食べ物『憎まん』を投げつけた。
     同時に嵐のような弾丸を叩きつける。
     ミカルは呆然と立ち尽くし、甘んじてその攻撃を受けた。
    「その程度も弾けないか」
     静は言う。
    「それだけの気炎も無くて彼女が作れるか! 今は燃え盛る奴こそ微笑まれる時代だ!」
    「!!」
     そんな時代が、やはり来ていたのか。
     ミカルは自分を取り囲む灼滅者達を改めて見つめた。完全に、攻撃の意思がなくなったかのようだった。
     しかし、どのようにいい人を超えていけばいいのだろう?
     どうやって一歩先に自分を押し出せばいいのだろう?
     全ての様子を見ていた嫉美が腕を組み、ミカルの前に立ちふさがった。
     闇に堕ちた動機を聞き、そして、仲間に説得された有り様を見。彼には同士の素質があると思う。そう、かのRB団の素質が。それならば、是非とも救ってあげて、楽しい人生を謳歌させなければ。……勿論、RB団的な楽しさだけども! クリスマスも近いことだし。
     一人納得し、つば広帽子を一つなでた。
    「いい人……都合のいい言葉よね。でもミカル、そんなんじゃ駄目よ。いい人のままじゃ突出した部分が無いもの」
     真っ直ぐミカルを見据える。
    「だから闇に堕ちてないで私たちの学園に来なさい! RB団という素晴らしい道があるから!」
     RB団とは……?
     ミカルは固唾を呑んで嫉美を見返した。
    「RB団ってね、嫉妬赴くままにいちゃいちゃしてるリア充たちを爆破する集団よ」
    「バ、バクハ」
    「そう、爆破よ。リア充を、爆破するのよ。いい人を演じることなく本心曝け出して自分に素直になる!」
     爆破か!
     爆破よ!
     嫉美は言う。いっそ吹っ切れるといい。自分も闇堕ちしていたけれど救われた。そして、RB団に誘われて学園に来た。きっと仲良くなれる。
    「クリスマスも一緒に、爆破しに行きましょっ!」
    「オオオオォォォォッ」
     アーケド街に溢れかえるカップルを見た。
     級友の幸せそうな姿を見せ付けられた。
     その時、いい人であることに限界と嫌気を感じた。
     いい人を一歩突き抜けるには――。
    「行くわよ、嫉妬の力を見せてあげる!」
     嫉美が動いた。
     大きく影を伸ばし、ミカルを容赦なく飲み込む。
    「いい人というトラウマを乗り越えるのよ!」
    「ソウダ、オレハ、モウ、イイヒトナンカジャ、ナァァァイッ」
     ミカルは吹き飛んだ。三度ほど回転し、地面にめり込む姿が見える。そのまま、ピクリとも動かなくなった。
    「……おーい、だーいじょうぶかー?」
     静が恐る恐る声をかけると、ミカルがむくりと起き上がる。
     その姿は、人間に戻っていた。
    「皆、ありがとう。いい人を一歩突き抜けるには、何が大事か分かった気がするよ」
     ミカルは照れくさそうに、微笑んだ。
    「一緒に学園に行きませんか? 私達のような能力者が集う学園が、あるんですよ」
     撫子が学園について説明すると、大きな頷きが帰ってきた。
    「そうだね。それに、やることが出来たし」
     つまり。
    「リア充爆破よ!」
    「爆破だね!!」
     いい人を突き抜けるには、リア充爆破だ。我が意をここに得たり。
     肩を組み盛り上がる嫉美とミカルの背を見て、仁恵が両手を挙げた。すかさず恵がハイタッチする。
    「えーと。まあいいか!」
    「んむんむ、よしよしです!」
     多分何とかなった。恵が笑い仁恵が頷く。
    「こういう時期っていろいろ明暗分かれるよなぁ……大変だなヘカテ?」
     ライの言葉に、ポケットから仔猫が顔を出した。
    「取りあえず……折角なんだ……中々激しい運動した後だし……どっかで打ち上げでもやろうぜ?」
    「パーティか、いいのではないか? ミカル様も参加するがよいぞ」
     ライの提案に、皆が同意する。
     てんさいが声をかけると、ミカルがいろいろ吹っ切れたような素敵な笑顔で振り向いた。
    「そうだね。一緒に行くよ!」
     皆と一緒にどこまでも。
    「よし、これでただのいい人は卒業だな」
     恭太朗がまぶしそうにミカルの笑顔を見た。
     彼はこの日、いい人をきっぱりと卒業した。

    作者:陵かなめ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年12月17日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 3/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ