クリスマス2013~イルミリオン・ブリアンナイト

    作者:志稲愛海

     首都圏からもそう遠くない森の中、色とりどり鮮やかに輝くのは。
     ダイナミックで神秘的な、幾千もの光。
     園内を鮮やかに彩るのは、約400万球もの光が織り成すイルミネーション。
     そしてその光溢れる中で楽しめる、観覧車やスカイライダーにリフトや迷路などの様々なナイトアトラクションに、イルミネーションを見ながら食事できるレストランも。
     そんな圧倒的なスケール感で光り輝く、都心では味わえない幻想的な世界。
     関東最大級のイルミネーションイベント――『さがみ湖イルミリオン』で。
     2013年のクリスマスの思い出を作りませんか。


    「クリスマスといえば、やっぱりキラキラ輝くイルミネーションだよねー!」
     メリクリー! と早速はしゃぐ飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)に綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)も頷くが。
    「夜に輝くイルミネーションは綺麗だからな。それがクリスマスとなると、より幻想的な気がするが……どこか目ぼしいイルミネーションイベントがあるのか?」
     そうふと、首を傾げる。
     だがそんな紗矢や皆の前に遥河はあるチラシを広げ、へらり笑みながら続ける。
    「もうバッチリ、リサーチ済みだよー! どうせ行くならさ、関東で一番すごいらしいイルミネーションイベントに行きたくない? ただイルミネーション観るだけじゃなくてさ、光の中で乗れるナイトアトラクションとかもあるところ見つけたんだ。というわけで……クリスマスの夜はこの、『「さがみ湖イルミリオン」ツアー』の企画に乗ってみるなんてどう?」
    「関東最大級のイルミネーションが観られて、色々と遊べるイベントなのか」
     紗矢は興味を持ったように、遥河の広げた『「さがみ湖イルミリオン」ツアー』のチラシを覗き込む。
     
    「この『さがみ湖イルミリオン』ではね、園内の起伏や斜面を活かしたイルミネーションが夜の森の中ですっごい綺麗に煌いてて、都心では味わえない幻想的な世界が敷地内いっぱいに広がってるんだって! 恋人や大切な人と訪れても超ロマンチックだしさ、いくつものナイトアトラクションもあるから、グループでわいわいも楽しめそうだよー」
     光に満ち溢れた園内には、沢山のナイトアトラクションがあるという。
     まるで天の川を泳ぐように、池の水面に反射する光を眺めながら光の花咲く山頂へと登っていく「光のリフト」。
     煌く花々が咲き乱れる花絨毯の真上を空中散歩できる「スカイライダー」や、光の動物園をぐるりと巡る「バンピーカート」。
     イルミリオンの美しい全景を見渡せる「観覧車」に、光り輝く御伽の世界を堪能できる「メリーゴーラウンド」などの定番の乗り物も、やはり外せないし。
     「カラクリ砦」や「ミラーメイズ」などの光の迷路など、昼間とは違った夜のアトラクションが楽しめるという。
     そして園内を鮮やかに彩るのは、関東最大級の幾千もの光満ちるイルミネーション。
     蒼く輝く波が打ち寄せる光の海に、地面を埋め尽くす光の華が咲き乱れる光の花絨毯や光の蝶が舞う光のお花畑、緑輝く光の動物園には煌く動物達が沢山。そして池の水面に反射する光が幻想的なアクアガーデンへと続く、トンネルを抜けた先に広がる並木道。
     さらに高台にある観覧車が見下ろすのは、宝石が散りばめられたような光の宮殿。この圧倒されるほど美しい宮殿で、聖夜の王様や女王様、王子様やお姫さま気分を味わうのもいいし。大迫力のストーリーを映し出す、宇宙を思わせる墜落した巨大UFOのオブジェなどの、ちょっと変わったスケールの大きな面白い演出も見逃せない。
    「もし疲れてもさ、イルミネーションを観ながら食事できるレストランとかあるみたいだねー。イルミネーションを観ながら食べるあったかい食事なんて、クリスマスっぽくてすごく素敵だよね!」
     相模湖の森に向かって大きく開けたレストランの窓からは、関東最大級400万球の光が輝く景色を一望できるという。
     そして、普通にイルミネーションを眺めるだけでも綺麗であるが。
    「ホロスペックメガネというのもあるのか。これをかけると、ハートや花や雪の結晶に見えるらしいな」
     紗矢も目を留めた『ホロスペックメガネ』をかければ、溢れる光が幾千ものハートや花や雪に早変わり。より一層、クリスマス気分を味わえるのではないか。

    「恋人や大切な人や意中の気になるあの人と一緒でも素敵だし、大勢のグループやお一人様でも、すっごく楽しめそうなイベントだよね!」
    「関東最大級のイルミネーションは勿論、ナイトアトラクションやレストランも楽しみだ」
     遥河と紗矢は、皆とそう頷きあいながら。
     改めて、企画された『「さがみ湖イルミリオン」ツアー』の詳細を眺めるのだった。

     2013年、クリスマスの夜。
     関東最大級のイルミネーションイベント『さがみ湖イルミリオン』に。
     沢山の聖夜の思い出を、作りに行きませんか。


    ■リプレイ

    ●冬に煌く天の川
     リフトから臨む光景は、400万もの煌きが作り出す絶景。
     そんな風景を嬉しげに眺めては、クリスマスっぽいとはしゃぐ七は。
    「あんま暴れんなよ、揺れるから」
    「あ、揺れたら怖い? 怖い?」
     お守りみたいなもんだと言うかまちに、カラカラ笑って。
     舞台裏も見てみたいと話しながら二人でスマホを構えたその時、ふと同時に天を見上げた。
     様々な彩りに染まりながらふわり舞い落ちてきた、粉雪に気付いて。
     さっちゃん、アレ乗ろう、と。
     そうはしゃぎ手を引いた澪架が暁と乗り込んだのは、煌く湖面が眼下に広がる光のリフト。
     ……自分達は、一緒にいるのが当たり前すぎる関係のはずなのに。
    「で、でもあれだな。こういうとこに幼馴染同士で来るってのも色気がないよな。他に相手はいなかったのか?」
    「他に誰かって……い、今はいないぞ!」
     お互い妙に意識してしまうのはクリスマスだからなのか……それとも。
     早く乗ろうと手を引かれ、鴉助が乗り込んだのも、光のリフト。
     そして、綺麗だねと感嘆漏らすほのかと共に、最初は煌く景色を見ていたものの。
     隣が気になって……平常心と、必死に格闘を。
    「ははーん、さては初のデートで緊張してるんやな~?」
     さらにそうからかわれ、イカン、しっかりしないとと慌てながら思うも。
    「可愛いなーって思ってたんだよ」
     口からぽろり出たそんな己の言葉に、さらに焦るのだった。
     分かっている、山頂まで続くこの煌く風景と。
     光のリフトが辿り着いた頂上の眩しい夜景が美しい事を。
     しかし緋頼が宿すは、不安。
     本当にわたしが隣にいて良いのですか、と。
     「楽しい」と思えればいいのに――そう隣の白焔を見上げたが。
     無言で繋がれたその手を握り返し、笑顔を宿す。
    「楽しいですね」
     緋頼にとって、今、とても嬉しくて。
    「楽しいな」
     白焔にとって、こう出来る彼女は……ここに居て欲しい存在なのだろうから。
     行きたい所は沢山だが、やはりまずはイルミネーション巡り。
    「……逢えねえのはこっちだって寂しく思ってたんだよ……」
     何時も余裕な月人の、少し意外なそんな言葉に。
    「じゃあ、今日はいっぱい楽しまないとね」
     春陽は彼の手をぎゅっと笑顔で握って、次は光のリフトへ。
     そして互いに、メリークリスマス、と紡げば。
     月人のキスが舞い降ってきた雪の様に、ふわり。
     今夜は気が済むまで……ずっと一緒だから。
     光のリフトでの空中散歩は、二人で箒に乗った時みたいで。
     まるで天の川のような幾千の光に感嘆するクリスの顔を、見つめる桃夜。
     そして……普段はなかなか言えないから。
    「今とても楽しいよ。ありがとう……トーヤ」
    「オレの気持ちに、想いに応えてくれてありがとう」
     メリークリスマス、これからも一緒に――と。
     そしてクリスはいつもと同じ様に、こう続ける。
     あとちゃんとイルミネーション見なよ? と。
     手を繋ぎ、光の世界を巡るのも良いけれど。
    「夢、見てるみたいね……」
     エアンの温もりに包まれた百花の眼下には、幾千もの煌きが。
     桃色に咲く光の花畑も、蒼に煌く海も、いっぺんに見渡せるリフト。
     そして彼女に頬寄せて。
    「……夢じゃないよ」
     囁いた彼に届いた、お願い。
     それを叶えてあげたくて……いや、自分がしたいから。
     Merry Christmas――花畑の真ん中まで待てずに、想いを込めたキスを。
     足元を埋め尽くす煌きは、光輝く天の川みたいで。
    「すごーい、見渡す限りの光の世界! まるで、クリスマスの魔法だねー」
    「ん、素敵だね……」
     身を乗り出す様に周囲を見回し、感嘆の声を上げる銀河に。
     あまり表には出ないが、同じく感動を覚える七葉は、見かけた紗矢や遥河に手を振って。
    「……綺麗ですね、それになんだか安心できる気がします……」
     ……魔法、なのかもしれませんね、と。
     ぎゅっと2人に身を寄せる藍花は、闇に満ち溢れる光を眺め、その胸の中に願いを。
     雪が舞い降る冬の夜は、確かに寒い。
     でも、繋いだその手やぎゅぎゅっと触れ合う体温、楽しげな会話や笑顔は……とても、あったかい。

    ●巡り廻る煌き
     足元の煌きはまるで、空に架かる天の川。
    「光の中を進めるところはあってもすぐ上を飛べることって少ないと思わない?」
    「光の海を潜るのと外から眺めるのだと、また違った美しさがあるんだね」
     そう樹と光の川をリフトで渡る拓馬も頷いて。次は観覧車へ。
     そして言葉もいらぬ二人だけの空間で、樹はその腕を彼と絡めて。
     温もりを感じながら、静かに光の世界を眺める。
     この先も思い出を積み重ねていきたいと。
     クリスマスデートの王道は、やっぱり観覧車!
     そして好きな人と二人きりのシチュエーションは、恋人っぽくてたまらない。
     ボックス席で隣同士に座り、綺麗な景色にはしゃぐ閾の髪を津比呂はそっと撫でて。
    「いつもオレに付き合ってくれてありがとな」
     少しだけ、真面目なフリでも。
     閾はそんな彼の腕をぎゅーっとして。
    「一緒に来れて良かったですっ。えへへ」
     光溢れる空間で、大好きな人にいっぱい甘える。
     じわり混ざり合う手の温もりをお供に、光の国で沢山寄り道した後。
     心弾ませ、琥珀と八尋が乗るのは、幾千もの光が一望できる御伽の国の小箱。
    「すごいよっ! 全部全部、きらきらしてる!」
     琥珀は憧れていた荘厳な世界に昂揚して。
     八尋は傍で輝き弾けるその笑顔を見つめながらも、耳をくすぐる彼の内緒噺に、耳を傾けた。
     そして感謝と温もりと、共に在る未来をと――思いの言の葉を、輝く煌きの世界へと託す。
    「ね、去年のこと覚えてる?」
     マフラーに隠したへの字口に、重い足取り。
     払われなかった手だけが、暁と霖を繋いでいる。
     昨年は空に近い景色。そして今年見ているのは、光の世界。
     星や雪や光混ざる空を廻る観覧車で、ふと霖は隣を盗み見て首を傾ける。
     自分に触れる、その彼の手の温もりに。
     そして、アンタはどれが好き? と訊いた暁は星色の髪に触れて笑む。
     答えは、その表情と煌く瞳だけで十分だから。
     去年とはまた違った、イルミリオンの光の風景。
    「観覧車から見下ろした景色って、とても綺麗です」
     その幾千もの光の洪水を、天へと昇るゴンドラから眺めながら。
     藍蘭は一番高くまできたその時、梓とXmasのプレゼント交換を。
     その中身は……時を刻む懐中電灯と、ふわり温かい雪だるまプリントのマフラー。
     そして互いに礼を言う二人は、今度は地上へと近づくゴントラから。
     闇夜に映える煌く光を眺める。
     観覧車に乗り込む時、紳士的に差し出された手。
    「お……おま……熱でもあるんじゃないか?」
    「はあ?」
     突然の女の子扱いに一瞬躊躇うも、その手を取った朔之助は。
     不機嫌気に返る史明の言動に慌て、景色を指差し誤魔化してみるも。
     花より団子派だと決め付けられた今度は、逆に「はぁ?」と言う番。
     でも、やっぱり。
    「後であの辺りも歩いてみようよ」
    「歩くの望むところだ!」
     お誘いの返事は、謎の強気で。
     誘ったのは夕眞の方なのだけど。
    「光すごすぎて目ぇちかちかしよる……」
     目が慣れるまで、秋桜の服をぎゅっと握りつつ。
     光の青海原に頬緩む秋桜に、来た甲斐があるってもんやねぇと紡いだ後。
     空から光の園を一望できる、観覧車へ。
     そして光の宮殿を見下ろし、渦巻く煌きを嬉し気に見る夕眞に今度は秋桜が目を細めて。
    「……来年も、また先輩と来れたらいいな」
     秋桜の言葉に夕眞はきょとんとするもすぐに、せやねぇと笑う。
     観覧車で夜景をと、そう言いたいけれど。
    「今年はめぐと一緒で、嬉しい」
    「うん、私も。ソフィと一緒で嬉しい」
     手を繋ぎ、ぽふりとめぐるに頭を預け甘えるソフィアリ。
     その温もりは心地良く、寄り添ったまま巡ってきた頂上で二人、宝石の様な景色を眺める。
     いや、一緒に見る景色は、いつだって綺麗だろうから。
     そして少しだけ強く手を握り直して、互いに口にした言葉は。
     メリークリスマスと――大好き。
     恋人になったのは昨年のクリスマス。
     だから今年も神楽と一緒で、嬉しい神華。
     でも同時に、赤くなった顔が恥ずかしくて、彼と目を合わせられずにいたが。
     そんな彼女が顔を上げたのは、渡された紅茶を受取る時。
     いつもの神楽は人々を守るご当地ヒーローだけど。
    「今は、二人の時間を守りたい……なんちて」
     今日だけは特別、この時間を守るヒーローに。
     そして神楽は照れ隠しに……観覧車もう一周、乗ろうかと。
     楽しんでくれてるかなと、フィヒティミトは鈴佳をそっと窺って。
    「これはデートだと、そう思って、いいのですよね?」
     観覧車から風景を眺めつつ、フィヒティミトの反応をみる鈴佳。
     そして狭い空間で……いつしか、二人の距離がなくなって。そのまま重なる、唇。
     鈴佳はそれから彼女に告げる。
    「……私は、貴女が好きです。答えは、無理に聞きません。ただ、私は貴女の幸せを願っていますから」
     ずっと手を繋いでいけたらと、そんな気持ちを胸に。
     二人だけの空の旅を終えた後。
     観覧車を見上げ黙り込む大輔に、どうしたの、とライズが問えば。
    「ねえライズ、俺は君が好きだよ。君を想うと苦しくなるくらいに」
     突然はっきりと告げられた、思いがけない想い。
     そんな不意打ちに、はぐらかす事も出来ずに。
     少しだけ、時間をください……真っ赤な顔の涙目で、そう必死に返した彼女に。
     空を廻る煌く大輪の花の下で、優しく頷く大輔。いくらでも待つよ、と。

     ほら、と手を差し出した優志は、美夜の控え目な主張を可愛く思いつつも。
     ようこそ、俺のお姫さん――そうゴンドラ内でも特別な、腕の中の特等席へ。
     それから光の海を眺め笑んだ後、ストレートに想いを紡げば。
     真っ赤になってオロオロするその愛しい唇に、そっとキスを落とした。
    「普通は頂上でするものじゃないの?」
     そう懸命に勝気な表情を作る美夜だが。
    「じゃ、頂上でもう一度?」
     お姫様のご要望とあらば、何度でも喜んで。
     煌く光の花畑で、早く早くーっとダッシュするましろに。
    「……って、急ぎすぎて転ぶなよ?」
     声を掛け並んで歩きながら、倭はまだ一年程なのだなと思う。
     武蔵坂に来たのも、ましろと出会ったのも。
     ましろも、去年のわたしならきっと驚くよと、くすり笑んで。
    「最後に観覧車、乗りたいな……だめ?」
     よし、行こうかと差し出された大きな手を握る。
     空から見る景色は勿論だけど……ふたりきりに、なれるから。
     服まで用意して、色々と連れて行ってくれて。
     クリスマスの過ごし方を教えてくれた龍治と、初めて見る観覧車からの景色に目を奪われていたヒナは。
     正直疲れたが……それ以上に充実していたと、そう思う。
     そして最高のクリスマスを過ごせたという龍治は未来の約束を。
     そんな彼に、ヒナも素直な気持ちを返す。
     クリスマスがこんなに楽しいものだとは知らなかったと……握り返した掌に、唇を落とされながら。
     これで雪でも降ればと天を仰いだ後、芥汰は眼下の煌きを見下ろして。
    「へー……メルヘン。地上に星の海、光の城」
    「哎呀! 下、御城! 向こウ、は……UFO?」
     はしゃぐ夜深と瞳を覗き合えばキラキラのお星様が。
     そして隣に座ってぎゅっと手を繋ぎ、「しあわせ」を紡げば。
    (「え。わら、った?」)
     もうちょっとだけゆっくり動かないかね観覧車、と。芥汰は夜深を見つめる。
     降り始めた雪にも気付かずに。
    「こりゃ観覧車でなきゃ見れねぇ光景だ」
     そうクリスマスイルミネーションを見下ろす良輔は。
     リオみたいな子供と一緒で大丈夫かな? と申し訳なさ気な彼女に、きょとんとして。
    「俺はリオでいーの。一緒に過ごせて嬉しいぜ、俺のお姫様」
     改めて二人きりなこの空間にリオは少し照れつつも、ふと天を見上げた。
     星が零れたかの如く煌く雪が降り始めた事に、気付いて。
     正に今夜は――メリーホワイトクリスマス。
     逸れぬよう手を繋いでやって来た琉珂と故を乗せ、ゆっくり天を廻り始める観覧車。
     琉珂は煌く夜景を眺めるも……もっと綺麗な存在が、すぐ傍に。
     そして膝抱っこでぐんと近づいた恋人にキスしたくなるも。
     外では駄目だと、めっとされつつも、一番近くに故がいてくれるだけで幸せだと。
     舞い始めた雪に気付き、光と星と雪が降るのを眺める。
     初めて一緒に過ごす――ロマンチックなホワイトクリスマスの景色を。
     さむ、と息吐く一雲に差し出されたのは、手。
     そのフィリオの手を握れば、じわり温もりが染みて。
     ……気持ちも伝わればいいのに。
     そう思ったフィリオが想いを告げたのは――雪が降り始めた、観覧車の頂上。
    「……好きだ。来年も、俺とデートしてくれるか?」
     そんな告白に目を丸くしつつも。
    「……俺で、いいなら。いつでもフィリオさんの傍にいますよ」
     一雲はそう返したのだった。どきどきと熱くなる感覚を、おぼえながら。

     将太がミラーメイズを選んだのは、こっそり揺を驚かせる為。
     でも。
    「……って、あれ? 揺ちゃんどこに行ったの? うわあっ!?」
     そんな事、お見通し!
     逆に、わっと驚かされた彼の反応に思わず笑んだ揺は。
     揺ちゃんは笑ってる方が可愛いよ、と言った彼からちょっぴり目を逸らして。
    「……よくまあ、この態度を見て可愛いと言えるな……」
     僅かに顔を赤くして続ける。将来が楽しみだと思っただけだよ、と。
    「姿が見えなくなるの……もう、イヤです」
     鏡の迷宮で泣きそうになりながら、咄嗟に優希のコートを掴む愛姫。
     そんな彼女に穏やかに笑んで。
     ……なあ、笑わないで聞いてくれよ、と優希は口を開く。
    「俺、あの時、戦う事を選んだ時。まずお前の名前が浮かんできて。俺が死んだらお前が悲しむかもって思って」
     その一心で、ロードになっても抗っていられたんだと……お前に会えて、お前がいてくれて、本当に良かったと。
     もう離れぬよう手を握って、一緒に出口へ。
     エメリーと雪永がやって来たのは、光を幾重にも映す、鏡の迷宮。
     その悪戯に惑わされ迷子になるのも、嫌いじゃないけれど。
     頑張って出口目指しましょうね、と進むエメリーにそっと雪永は近づいて。
    「わ、っ……! もう、雪永様……」
    「あははっ……驚いた?」
     ホロスペックメガネをかけさせられたエメリーの世界が、一変。
     でもそんな別世界もとても綺麗で。
     そして出口に辿り着けば――粉雪がひらり、一片。
     天辺目指し、打倒・難攻不落の『カラクリ砦』! ですが。
    「……なんか狭くない?」
    「俺ら、立派に成長しちゃったもんな……」
     心はちびっ子でも、頭打ったり帽子をひっかける【人部】のお兄ちゃん達。
     そして行き止まり、かと思いきや。
    「お? おお? おおおお回る!」
     乗り遅れんなーと、徹太はカラクリ扉をぐるりん、周も早く上にと続く。
     友達と砦の頂上から見るイルミリオンは……すごく、綺麗だろうから。

    「子供の頃からね、夢だったの」
     櫂の指先を辿れば、煌き廻るメリーゴーラウンドが。
     その夢を叶えてあげるべく、馬車に乗り込んだ冬崖は彼女の肩を抱いて。
     くるり巡る馬車の旅が、無数の光を流れ星に変える。
     そして櫂は最後に、もうひとつだけ――彼に、キスのおねだりを。
     そんな彼女に、ホロスペックメガネ掛けたままだと冬崖は笑った後。
     慌てて油断した真っ赤な顔に、むくれたその唇に。ご所望のキスを。
    「真珠ちゃん、逸れてしまわない様に手を繋ごうな」
     そう手を伸ばした涼風に、そんなに子供ではなくってよ、と言いながらも。
     あなたが迷子になってはお可哀相だからと、その手を取る真珠。
     そして今日は。
    「メリーゴーランドに乗るのは初めてですわ。ずっと興味がありましたの。嬉しいわ」
    「真珠ちゃん、当日も言ったけど、お誕生日おめでとう。楽しんでもらえるといいな」
     真珠の誕生会をと、皆でメリーゴーラウンドに。
     結月は涼風と一緒に真珠が馬に乗るのを手伝った後、自分も跨って。
    「ねえ、ゆき。灯りが綺麗だね」
     綺麗な輝きの中、わくわくしている竜生が手を振っているのに気付き、笑顔で振り返す。
     そして少女の誕生日を祝うかのように、くるりくるりと。
     皆を乗せたお馬さんが、流れ出したイルミネーションの煌きを追い抜いていく。
     はぐれたら、巨大UFOで待ち合わせ。
     言わないけど、小動物みたいに動く依都は年上とは思えなくて。
    「ねえ、あっちにすごく大きな光の宮殿が……あれ? UFOどこだっけ……」
     迷子にならないと言う彼女に迷子演出をと、透はこそり隠れてみたりするも。
    「アトラクション乗りに行ってもいいんすか? やった、乗ろう乗ろう」
     いくら夢いっぱいでも……メリーゴーラウンドはちょっと、年頃の男子には勘弁です!
     スカイライダーで空中散歩もいいし、観覧車から世界を見下ろしてもみたい……。
     そう迷う雪季に、火花はニカッと笑む。
    「へへ、よっしゃ! 全部乗ったろうや!」
     そんな言葉が嬉しくて。でもその笑顔は、反則。
     そして駆け出せば、うっかり転びそうに。
    「もう落とさんよう、気ぃ付けよぉ」
     火花に眼鏡を拾って貰うのは、2回目。
     あの頃より距離は近くなったかしら、と……そう雪季は、光の花絨毯を歩き出す。
     夜を照らす光の波を眺めながら。
     月子と湊は、レストランで休憩しつつディナーを。
     楽しい時間は早く過ぎるけれど……デートはまだまだこれから。
    「色々あった1年だねー。来年も色んな事しよーね♪」
     今年の出来事を振り返りつつ、食事を楽しんで。
    「来年よりもまずは今日という日を愉しみましょう?」
     意味深にくすりと笑んだ月子はソフトドリンクのグラスを掲げて。
     来年もよろしくねと、小さく乾杯を。

    ●幾千万の宝石
     都心とは違う、大自然のイルミネーション。
     迷子になんなよ、日生ー、の声に神妙な顔で頷いてから。
    「おぉー、光が雪の結晶に見える! スゲェ!」
    「……わ、ほんとだ。すごい……綺麗……」
     見つけた『ホロスペックメガネ』を掛けてみて大はしゃぎする遊に続き、日生も不思議な光の世界を堪能した後。
     光の宮殿で、二人でポスターの記念写真??
     少し恥ずかしげな表情とイケメンポーズで、メリークリスマス!
     まるで、夜空の星が全部下りてきたみたいじゃない? と。
     巳桜が紡いだ様に、目の前には星のような輝き。
     それが眼鏡を通せばほら……無数の雪型に。
    「……不思議だ」
     自慢げに眼鏡を掛けるアルトは、ぱちり数回瞬きして。
     好奇心に満ちた瞳を、今度はじっと巳桜へ。
    「……これが無い方がお前の顔がよく見える」
    「お、お馬鹿……ちゃんと景色を見なさいよ」
     熱くなった頬を隠す彼女の顔も、より美しく色づく。
     いつだったか、本で見たものと同じ風景。
     そして頁を捲る様に物語を巡るのは、この場にいる人全て。
    「わ……」
     魔法の如く光輝く宮殿で、人波に流されそうになるも。
     真ん中まで行こう、と。レンヤはぎゅっと、きすいと繋ぐその手を握り直して。
     綺麗……そうシンプルに、お揃いの台詞を紡いだ。
     そして光の国の宮殿から、互いの白い息が溶けていく星空を共に見上げて。
     感謝の気持ちと、メリークリスマスを。
    「まるで、御伽噺のお姫様になったみたい」
     ブリリアントパレスに立つ雛は、いつもよりおめかしした、光の国のお姫様。
     そんな雛へと手を伸ばそうとした孤影は、この世界を壊さぬかと一瞬躊躇するも。
     今日は特別な……二人で迎える、初めてのクリスマスだから。
     愛しい人が傍に居れば夢世界でも別に構わない。
     そしてこれからも共に、光の結晶の様な時を重ねていきたいから。
    「さぁ、お手をどうぞ。私のお姫様」
     いつもよりお洒落して。手を取る広樹にエスコートされたのも、光の宮殿。
    「他人から見れば……私達、どういう関係に見えるかしら」
     そう悪戯っぽく見上げる鶫に広樹も同じ様に笑み返す。
    「その辺の人に聞いてみたらどうだ?」
     そして魔法の宝石が煌く中、プレゼント交換。
     雪と星と音楽舞う小さな世界と、少し思わせぶりな言葉で渡された小箱の指輪。
     相手の幸せと、これからも共にと……そっと、願いを込めて。
     咄嗟に袖引いた理由は、先輩がはぐれてしまわぬ様にと。
     そう強がるかしこの言葉に誠士郎は肩を竦めるも。
    「掴むのならば遠慮せずに此方を掴めばいいだろう」
     こうすれば大丈夫だ、と。繋いだその手を煌く星空へ。
     でも、すぐにまた袖引いたかしこは、今度は精一杯の我儘を。
    「……もし良ければ、一緒に行かないかい?」
     子どもっぽくはないかとこそり、心配しつつも。
     次は、煌く動物が一杯の、光の動物園へ。

     手を差し伸べ、重ねられた手を取って。
     翼がディアナをエスコートするのは、光の動物園。
     そして。
    「ね、翼。何だか楽しそうに見えるかも……」
     そう言ったディアナの心をすとんと射抜いたのは、翼の不意打ちの告白。
    「そうだな……。ディアナと一緒に出掛けるのは凄く楽しいぞ」
     動物達……のつもりで、本当は言ったのだけど。
     彼の本音にディアナも確りと応える。心も体も、ぎゅっと彼に抱き締められながら。
     真綾が瞭と手を繋ぎ巡るのも、光の動物園。
    「寒いですから……うさぎさん風にしてみたんですよ」
     瞭はそうマフラーとイヤーマフと手袋を、真綾へXmasプレゼント。
     それは手編みで、ちょっぴり涙が出るほど暖かくて。真綾からはデジタルカメラを。
     そして。
    「それから、あの……」
     頬へのキスは、家族愛や親愛の証だと、聞いたので――と。
     瞭は真綾の頬に、雪のように軽いキスを。今の気持ちを伝えたくて。
     寒さもブランケットにぴたりくるまれば、大丈夫。
     そしてチセと朔日を迎える、夜の森に煌く動物達。
    「あそこ、何かいるんよ!」
     あれはピリカ似? あそこにシキテ似の子も、と、見つけては大はしゃぎ!
     そして、動物やったら何が好き? と訊かれて。
    「大きなクジラの背中に乗ってみたいな」
     朔日がときめくのは、クジラと征く海の大冒険。
     そしてサンタへのお願いは、勿論――また一緒に過ごせますように。
     光の動物園に誘ったのは、かごめと二人になりたいから。
     綴られ渡された想いに返事をする為に。
     そしてナディアは、気持ちを少しずつ伝える。
    「俺にとって、桜井さんはなくてはならない人になってて。一緒だと嬉しいってのが、一緒にいないとダメになってて、だから、えっと」
     ありがとう。俺も、大好き――と。
     そして動物たちがぼやけた瞳をこすり、かごめは笑う。
     これから、ずっとずっと……大好きな貴方と一緒に。

     やはりデートのお決まりはこれ!
    「だーれだ!」
    「って、デー……ト? 何言って……」
     レビは雪那に、クリスマスデート☆ と笑んで。
     いざキラキラ煌く、幻想的な世界へ。
     でも、一番レビが大好きで綺麗なのは……振り向いた先の、雪那の微笑み。
     そんなはしゃいで悶える彼に顔を赤くしながらも。
     逸れぬ様にと差し出された手に、雪那は半眼を向けて見るものの。
     今日はそっと、彼の袖を、ちょこんと摘む。
     Xmasを過ごす相手って、そういう意味ですよね!
    「人が多いからな~離れないようにしないとな~」
     そうぴたりくっつく真知の赤頭をぐぐいと押し返し、阿呆か、と馨は溜息した後。
    「一つ! 一つだけでいいから! 後生だからぁ!」
     アトラクションやろーと袖を引っ張り、周囲を飛び跳ねる首根っこを捕まえて。
     光煌く中、ふと不穏な考えを巡らせる。
     ぱしゃり堂々と撮られた写メを、どう消去させようかと。
     光輝く並木道や『スカイライダー』に乗って。時折、夜空も眺めながら。
    「うわぁ、すごく綺麗だねぇ」
     里月と氷雨は歩調を合わせ、並んで、煌く世界の散策を。
     それから氷雨は彼女と座って、今年の思い出などを語りつつも。
     カモミールティーやお茶菓子を里月にも振舞う。
     そして里月も溢れる光を眺めつつ、一口サイズのケーキをお裾分けしながら。
     大切な友人と、幸せな聖夜を過ごす――メリークリスマス、と。
     アルクレインに手を引かれる様に、眩い光の並木道を散策して。
    「綺麗ですね、義兄様、来て良かったです」
    「そうだな、すげえ綺麗だ」
     振り返り向けられた満面の笑みに、照れながらもそう返す央。
     そして互いに用意していたのは。
    「メリークリスマス、アルク。俺からのクリスマスプレゼントだ」
    「メリークリスマスです、義兄様。いつもありがとうございます」
     少し恥ずかし気に交換した、クリスマスプレゼント。
     テストのご褒美は、夢の様な別世界へ。
     光の海や花畑をいちごと巡る由希奈が思い返すは、去年のXmas……彼を意識し始めた日。
     でも手を繋ぐ、後一歩が踏み出せずにいたら。
    「ほら、あちらも綺麗ですよ」
     迷子な彼女の手をそっと取るのは、いちごの手。
     手から手へ伝わる彼の体温が、由希奈の熱と混ざり合って。
    「うん、一緒に行こっ、いちごくん」
     微笑む由希奈の手を引くいちごの顔も、何気に仄かな赤に。
    「……わぁ……! あれ見て、すごい綺麗!」
     行ってみましょう? と、彩澄に手を取られた陽太は、光の世界へ。
     そして、こんな場所で告白できたら……なんてタハハと笑むも。
     彩澄が手を握ってくれた事に気付き、心臓がばくばく。
     そして彩澄も……胸がドキドキ、顔が熱い事に気付いて。
     風邪引いちゃったかな? と頬に手を添えた。
     今は、まだ。でもいずれそのドキドキが花開く日が……来るのかもしれない。
     アクアガーデンの眩い水面に、舞い降っては吸い込まれる粉雪。
     互いに大好きな人と過ごす、灯倭と空の、初めてのクリスマス。
     嬉しくて、ちょっと照れるけど……手を繋ぎ歩く今は、とても幸せで。
    「あ、池の側の、愛の鐘……鳴らしてみない?」
     鐘の音鳴り響く中、ツリーに輝きを灯す。二人で何かする事も、わくわく楽しい。
     そして心奪われる幻想的な光の世界で……共に過ごした素敵な思い出が、またひとつ。

     昨日から待ち遠しかった、Xmasらしい光のイベント。
    「わぁあ……♪ すごい……キラキラ、キレイー!」
     歩は色鮮やかな星の海を泳ぐ様に、何度もくるくる回ってははしゃいで。
     そんな彼を撫で撫でしたり、抱っこしてあげながらも一緒に楽しむ水花は。
     イルミネーションの美しさに感嘆しつつ、穏やかな気持ちで自分達を眺めている冥にもちゃんと来るようにと。
    「星空の中みたい……ステキだね♪」
     煌く星の海の只中へ、一緒に。
     そして歩は二人に、色とりどりの光を映したキラキラの瞳を向けて。 
    「お姉ちゃん、だーいすきっ!」
     2人にお呼ばれしてよかったっ! そうもう一度、くるりと煌きの中を回るのだった。
    「きれい! すっごいきれい!」
     出迎えてくれた数多の輝きに大興奮の潤子と、ギルドールは礼を言い合った後。
     ここの光を少し貰おうか――そうイルカ泳ぐ光の海をひとすくい。
     集めた光を魔術師の如く握っていけば。
    「すごいっ、ギルドール君魔法使いみたい!」
     彼の掌に、純銀の飾りがついた水晶のお星様が。
     それを潤子は、ふわー……キラキラきれい、と手にして。
     彼の腕を引っ張って、次は光り輝く宮殿へ。
     ぐいぐい引っ張る夏蓮に、転ぶよーと笑う蓮次も、実は光の海が早く見たくて。
     眼前に、眩い光の波が打ち寄せる青海原が。
     こんなロマンチックな場所にいる事が不思議だけれど。
    「すごいきれい……」
     好きな人と一緒ならばどこでも嬉しくて。大喜びしているその姿を見れば、すごく幸せ。
     そして、寒そうにする彼女を。
    「これでどうだ!」
     後ろからぎゅっと抱き締め、前を開けたジャケットと温もりで包み込む。
     1.5歩、前を歩いているけれど。
     歩幅は違うはずのに全く変わらないその距離感が、赤音の狡い優しさ。
     そして光の海原と煌く星屑を道標にしながら、指先に息を込めようとした彼に。
     てしっとシンが贈呈した不意打ちの温もりは、使い捨てカイロ。
     今は未だ、袋越しに繋いだ手だけれど。
    (「……今は、未だ?」)
     そう思わず口元を緩めた赤音がふと見遣れば。
     映るのは、寄せては返す星の波が煌き彩る、笑顔。
     敢えて煌く光の波間を、ただ二人で歩く和泉と貴明。
     繋いだ手や寄り添う身体からじわり伝わる相手の熱が、嬉しくて。
    「……和泉」
     振り返った翡翠の瞳が纏う、不思議な煌きの彩り。
     そして互いに、綺麗だなと紡いだ後、貴明が少し冷えた頬に触れれば。
     メリークリスマス――ゆっくりと二人の距離がなくなり、唇が触れ合う。
     特別な日を共に過ごせる喜びと、これからもずっと一緒にと……聖夜に願いを込めて。
     眼前に広がる一面の青は、イルミネーションの海。
     光が映った瞳をきらきらさせるレドと同じく、柄にもなく円も少し浮かれていて。
    「ありがと。ん、また来たい」
     白い息を煌く星空へ上げたレドは、ふいに差し出された彼の掌にキョトンとするも。
    「握手? 違ぇよ、手をつなごう」
     少し躊躇いつつも照れながら、その手を握ってみれば。
     恥ずかしくて顔は合わせられないけど……手袋越しからも伝わる、温もりが。
     心騒ぐまま、Xmasイルミネーションという言葉に惹かれやって来たみゆは。
     賑やかな筈の煌きが切なく感じるのは何故かと、なくした物を辿らんとするも。
     仲間達が今居る場所へ――武蔵坂へと帰らんと歩き出す。
     Xmasは毎年意気込んで、妹君を連れ出している火鳥だが。
     今年は、光に包まれた聖夜を。
    「ぁー……と、楽しかったか?」
     青の煌き波立つ海をじっと眺める逢紗は、クスっと笑顔を宿すと。
    「ええ、とても嬉しいわ……」
     まるで舞台の役者かの如く光の海を背負い、くるりターンして。
    「今日は本当にありがとうね、兄さん」
     はにかむ逢紗に火鳥も照れつつ、良かったと。
     閉園間際、再び雪が降ってきた光の国で、にかっと笑み返したのだった。

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年12月24日
    難度:簡単
    参加:123人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 10/キャラが大事にされていた 2
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