●『笑顔のあるところ殺しがあってはならない。しかし……!』
迎春。
あけおめ。
ことよろちゃん。
また新しい年がやって参りましたとばかりに、街は着物を着た女性や無駄にはしゃぐ子供であふれていた。
そんな光景を、高いビルの窓から見下ろす男がいた。
目の前にはパソコン。
机の上には大量の資料、である。
「あーあ、正月から仕事かあ。俺には土日も祝日も無いけど、せめて正月くらい休みたかったなあ……」
「まあまあ、折角だから鏡餅買ってきたぜ」
「おいおいそれ今日中に食えねえじゃねえか」
「あーあ、こんなことなら正月なんてこなければよかった」
「貴様、今ネガティブなことを言ったな?」
ふと見ると、巨大な鏡餅が上下にパカッと割れ、中から一人の男が現われたではないか。
赤いふんどし腰に巻き、頭に被った冷凍マグロ。
胸にはきっつい毛筆で、『はっぴい乳いやん』と書かれていた。尚『乳』の部分はちゃんと乳首にかぶるように書かれている。
そして何を意識してか、ふんどしには車のナンバープレートとかにくっつけるような正月飾りが備わっていた。
「笑顔あるところ殺しがあってはならない。しかし、心病む今なれば――マァァァァァグロスマッシュ!」
マグロ男は飛び込み前転からの華麗なヘッドバッドを繰り出し、男たちを窓の外へと吹っ飛ばした。
一方こちらは初詣会場。
神社だか寺だかようわからんけどとりあえず正月気分を味わおうぜとばかりに集まった老若男女がおみくじひきーのリンゴ飴買いーのお守り買いーのとつぎーのしている場所である。
が、そこに一人ぼっちで佇む男が居た。
右を見る。
着物の美女と肩を組む金髪のイケメンがいた。
左を見る。
オシャレした女の子を抱き寄せるホストみたいなイケメンがいた。
「ち、畜生! 彼女以内歴イコール年齢の人生を今年こそやめようとお参りに来たのに、入り口の時点でもう死にそうだよ! 神社はデートスポットじゃねえんだよ! エロゲみたいに茂みの裏にそそくさと入っていくんじゃねえよ! チックショー!」
「貴様、いま暗い心を丸出しにしたな?」
ふと見ると、お面を並べて売るかんじの商品棚に一匹の冷凍マグロが混ざっていた。
それはただのマグロではなく、どころか男の身体が生えていた。
「嫉妬に狂って八つ当たりをしようとする貴様にはマグロをくれてやろう――マァグロダイナマイッ!」
高い跳躍からの回転ヘッドバッドが繰り出され、男は地面へ垂直にめり込んだ。
一方こちらはバラック家屋。
今時珍しいと思うやもしれんがあるところにはあるバラックのお家。当然家族にも事情はあるわけで、貧しかったり貧乏だったり貧困にあえいでいたりと、まあ平たく言うと貧しかった。
「とうちゃん、お雑煮食べたいよ」
「みかんも」
「おせちは? タケちゃんの家はネットショップでおせち買ったって」
「エビが……エビが食べたいです……!」
「すまんなみんな。母ちゃんにも先立たれ、父ちゃんも仕事を追われ、正月なのに餅すら食わせてやれないなんて……許してくれ、父ちゃんを許してくれええええええ!」
「貴様、今自分の弱さに負けそうになったな!?」
ガラッと自宅の風呂場から出てくるマグロの男。
お風呂頂きましたといってその辺の子供に小さい鏡餅をプレゼントすると、男はおっさんの両肩に手を置き、コンパクトにヘッドバッドを繰り出した。
「マァグロインパクツ!」
おっさんははぎゃんと言ってちゃぶ台ごとへし折れた。
その様子を確認して、すっぽりとマグロを脱ぐ男。
「我こそは、頭に被ったマグロがかちこちに凍っている間に、そして笑顔の無い時にのみ殺しを行なう殺人者」
どこか悲しみを含んだ瞳で、男は外へと歩み出た。
「六六六人衆序列最下位。魔黒免次郎。人呼んで……」
マグロを被り直し、大きく腰を突き出すように構える。
「――マァグロタァァァイム!」
●どう考えてもギャグ界の住人なのに下手したら死ぬ依頼新春スペシャル
神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)は賢者のような目をしながら、どこか遠くを見つめていた。
「ダークネス、六六六人衆は恐ろしい奴等だ。灼滅者が束になっても敵わず、一度でも目を付けられたら確実に死の道を辿ることになる。成長した俺たちならば六百番台くらいどうにかなりそうなものだが、こいつだけは例外だ。どうやっても勝てる気がしない……」
瞳を閉じるヤマトさん。
「六六六人衆六六六番、魔黒免次郎が行動を起こした。正月なのに缶詰のように仕事をさせられるシステムエンジニアたち。カップルに囲まれて死にそうになっている初詣中の独身男。貧乏がゆえに餅すら食えない大家族。それらを周り、シリアスそうな奴を見かけようものならジェノサーイドアンドデーストローイしていくんだ。恐ろしい……」
空に向かって手を伸ばすヤマトさん。
「だが誰も死なせずにすむ方法がある」
「それはやはり……!?」
「そう、マグロタイムだ!」
説明しちゃおう!
マグロタイムとは、魔黒免次郎が自らに課した殺しのライセンスである!
周囲でなんかシリアスなことをしているヤツ、言っているヤツが居た場合のみ殺人するというものである。
だが逆に、常にギャグとカオスに包まれていた場合、魔黒はマグロの如く非常に温厚な対応をとってくれるのだ!
「これを利用し、全力で時間を稼ぎ、今年も全力でお引き取り願うんだ! 頼んだぞ、灼滅者!」
参加者 | |
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高野・あずさ(菫の星屑・d04319) |
大條・修太郎(メガネ大百科・d06271) |
下総・水無(少女魔境・d11060) |
ナハトムジーク・フィルツェーン(黎明の道化師・d12478) |
靴司田・蕪郎(靴下大好き・d14752) |
浦原・嫉美(リア充爆破魔法使い・d17149) |
龍造・戒理(哭翔龍・d17171) |
牛野・ショボリ(歌牛・d19503) |
●何が起きても驚くな。ここはカオスのマグロタイム!
元旦である。
しかし年中無休に近いブラックなエンジニアさんは皮肉交じりのブラックコーヒーを飲みつつパソコンにかじりついていた。
世は浮かれているが自分は全く浮かばれない。どころか世界から浮いている気すらする。
男が深いため息をつこうとした、その時!
「貴様、今ネガティブな――」
「さんばー!」
両手をバツ字にして窓から突っ込んでくる下総・水無(少女魔境・d11060)。
近くにあったパソコンを巻き込んで地面に突っ込み、激しいスパークと共に液晶ディスプレイ三台デスクトップパソコン二台美少女フィギュア十二体を粉砕すると、煙のあがる瓦礫からのっそりと起き上がった。
「だ、誰だ!?」
「正月返上で働く社畜戦士を癒やすべく……」
背中からにょきにょきと生えるちょうちょみたいな羽根。頭からにょきにょき突き出る星のついたツノ。両頬に指を突っ込んだポーズでぐりんと腰だけで振り向くと、水無は画面いっぱいの星をまき散らした。
「サンバのリズムでエネルギーチャージです!」
足でカチッとラジカセの再生ボタンを押すと、部屋中にサンバミュージックが流れ始めた。地球の裏側ですかってくらいのサンバリズムだった。
巨大鏡餅から顔だけ出した状態で様子見するマグロ。
序盤だけそれっぽかったものの途中からよく分かんなくなり高速盆踊りに移行し始めたところで、マグロさんはのっそりと鏡餅から身体を出した。むろん褌一丁である。
水無の肩に手を置き、顔(マグロ)を近づける。
「いい登場の仕方だった。だが一人だけではこの状況は好転しな――」
「殿中~っ!」
ロープラペリングからのキック破壊で窓から突っ込んでくる高野・あずさ(菫の星屑・d04319)。
その場にいた水無とマグロを同時に蹴倒すと、近くにあった液晶ディスプレイ五大パソコン八台軍艦のプラモ七隻を粉砕してごろごろと転がった。
カードデュエルでいうと、社会性を生け贄に学生戦士あずさを召喚。現実にダイレクトアタック! である。できれば社長の声で脳内再生して頂きたい。
「む、援軍か……」
舞い上がった埃の中からぬらりと立ち上がるマグロ。
あずさは彼と向き合うと、アニメとかで窓から突入してきた女戦士がよくとる片手両足を地に着いたポーズのまま相手をにらんだ。
空いた手でスカートに手を入れると、太ももに仕込んだホルスターを露わにした。
ここだけしつこいくらいスローモーションだった。セル画40枚くらいはあった。
エモノを掴み、一気に引き抜くあずさ。
彼女の手に握られたものとは……そう!
「マグロのお頭……だと?」
「マグロを刈った形をしているだろう?」
机の下から生えてきた大條・修太郎(メガネ大百科・d06271)がドヤァっとした顔で言った。そして戻った。
あずさは更に胸の谷間(谷間……?)からきな粉とお餅を取り出した。画像みただけじゃ分からないと思うので付け加えておくとあずさちゃんは男性である。それを知って二度見したのは私だけではないはずさ。
「疲労回復にはマグロときなこもちですよ。大丈夫、喉に詰まらないように掃除機もスタンバってますからっ!」
輝く笑顔で鍋にお持ちを入れて似始めるあずさである。
そこへ『サンマには何をつけますか? 勿論マヨですよね!』とか意味不明なことを言いながら鍋にマヨネーズを三本くらいぶち込んでいく水無。
巨大な土鍋にマグロの頭と餅を突っ込んで蓋を閉め、コンロで数十分煮続ける。
そしてぱかっと蓋を開けばそこには……!
「今年の俺は、飛躍する」
キリッとした顔の龍造・戒理(哭翔龍・d17171)が中から生えてきた。トビウオの着ぐるみを着ていた。
「俺の飛翔する姿を目に焼き付けろ。これが俺の信念だ」
後ろでビハインドの蓮華さんが効果音と書かれたボタンを押した。事前に吹き込んだ『新年だけにな!』というエコーボイスが再生された。
「さあ、飛ぶぞ!」
戒理は鍋からぽいーんと飛び上がると、そのまま窓の縁にとりついた。
強く吹き込む風に前髪とヒレを靡かせながら、彼はニヒルに振り向いた。
「見ているがいい。この俺が初めて大空に飛ぶ瞬間を――トゥ!」
『トビウオを意識したかけ声です』というエコーボイスと共に飛び立つと、戒理はそのまま真っ逆さまに落ちていった。
下を覗き込んだ蓮華さんがもう一度ボタンを押す。
『トビウオの飛行時間は45秒と言われています』
ほぼ全壊したパソコンを前に呆然とするエンジニアさんたちは、その様子をどこまでも無表情に見つめていた。
その様子を観察し、マグロは静かに窓辺に立った。
「ここは俺の居場所ではないようだ。さらば!」
「あっ、待ってください粉マグロ餅食べてくださいーっ!」
「できればマヨネーズでー!」
マグロ、あずさ、そして水無が窓から飛び立った。
全員落ちた。
●マグロはメチャクチャでかいので、間近で見ると結構ギョッとする。
畜生喪男だけを殺す機械かよ! ってな感じでそこらじゅうカップルだらけの初詣会場。
お前ら詣でに来たのかイチャつきに来たのかはっきりしろよ畜生といってつばを吐く独身男。
そんな彼の左右から、土を破って二匹の獣が召喚された。
サバト服の浦原・嫉美(リア充爆破魔法使い・d17149)と新春仕様の牛野・ショボリ(歌牛・d19503)である。
端っこのほうでカメラを構える修太郎。
「はいそのシリアスなお口にりんごあめドーン! 燻る嫉妬にRBよ! 二十四時間年中無休コンビニなみに働き続けてリア充爆破! あなたにはその資格があるわ! そうよねショボリ!」
「わらうかどにはふふふふふーだよー! せくしーJKあんどJSが降臨ねー! 正月からえんぎがいいよー! あとは宇宙を支配するアルティメットサイキックことらっきーすけべを体得するだけねー!」
「愚痴愚痴しないでレッツトゥラァーイ(良好な発音)! 爆破の先に私たち孤高の嫉妬戦士が笑うのよ皆の驚く顔が私たちの笑顔になるのつまりラブラッビッツ的な感じねあっやだ略したらRBになるじゃないの同族だったのね知らなかったわさあ私たちの明るい未来にレッツアールビふぎゃん!」
「じーくらっきーすけべねー! らっきーすけべだんすを踊るねー! お色気要素の大サービスねー! それでも足りないなら牛野特製ミルクで作ったおっぱいアイスねー! 十分くらいお胸にいんいんすると食べ頃になるねー! 新幹線で売られてるアイスと同じねー! レッツトラふぎゃん!」
同時に踏み出そうとした嫉美とショボリは、足下に寝転がっていたマグロさんにつまづいて顔から転んだ。
鼻血を流しながら顔を上げる二人。
「ふふ……これが、RBよ……」
「みんなしあわせに、なれるんだよー……」
二人してビッと親指を立てると、そのままずりずり這いずりながらログアウトしていった。
残ったマグロさんと独身男の目(目?)があう。
「どうやら俺は必要ないようだ。また来年!」
同じようにずりずり這いずってログアウトするマグロさんであった。
●海を潜る時に一番恐いのはああいう巨大魚が真横を高速で通過すること。
今年今年あるところに貧しい大家族がありました。
とおちゃん一人に子供沢山。
あまりの貧しさに涙するおとっちゃんでありました。
「すまん、俺がふがいないばかりに――」
「おとっつぁんそれは言わない約束でしょう!」
がらっと窓を開けて室内にねじり入ってくる修太郎。
完全に硬直した家族を前に、彼は全身を包む魚キグルミのまま這い寄った。
「あなたに川で助けて貰った寒ブリです。恩返しに来ました!」
「いや、寒ブリ助けた覚えはないんですけど」
「なにをおっしゃる!」
腹に手を突っ込んでなにやら取り出す寒ブリ。
巨大なミカンとリボン結びのカニカマを取り出した。
そして小銭がどっちゃり入った姑息なポチ袋をまき始める。
「さあお年玉だよ! 欲しかったら『お』で始まる正月の食べ物を言ってみようね! そうだよせーの――はい!」
常識という手札を墓地に捨て、巨大な土鍋を特殊召喚!
「お・で・ん!」
「トビウオだ。今年の俺は飛翔する」
「粉マグロ餅っ!」
「マヨネーズいりますか?」
鍋から水無とあずさ、そして戒理。
「マグロと聞いて」
「靴下と聞いて」
ガラッとお風呂の扉を開けて出てくる靴司田・蕪郎(靴下大好き・d14752)とマグロさん。
二人は事前に交換したムタンガと褌をパチンと叩くと、なめらかなウェストグラインドと共に家族のもとへにじり寄ってきた。
「どうもこんにちは、わたくしこういうものデェス」
どこからともなくとしだした靴下に手を突っ込むと、蕪郎は数枚の名刺を家族へ配った。
『慌てなかったサンタクロース』と書かれていた。
「サンタ……じゃあ私の靴下にプレゼントを入れてくれるの!?」
「いいえ私に靴下を入れるとプレゼントをくれマァス!」
「単語を一つ入れ替えただけでここまでの狂気を演出できるとは……人間として終わってるわね。一体誰が考えたキャラなのかしら」
粉マグロ餅をガツガツ喰いまくる嫉美。
同じくマヨネーズサンマをもりもり食べていたショボリがチャッと手を上げた。
「あ、いただいてるんだよー! 差し入れのおっぱいアイスだよー! これを食べればきっとおっぱい大きくなるねー! でもかるびおねーちゃんはぜっぺきねー」
なんでこの子は出てくるたびにかるびねーちゃんの貧乳さを主張したがるんだろう。
そうしていると蕪郎がどこからともなく重箱を取り出した。
「こちらも差し入れです。一段目はおせち。二段目は鰤と鮪の盛り合わせ。三段目には靴下出汁巻きです」
「くつしただしまき?」
「酸っぱい靴下に詰め込んだ酢飯を数日放置した発酵食品ですもぐもぐむしゃむしゃごっくん」
「靴下ごと喰ってる!」
と、そこへ。
「まてーい!」
天井を突き破ってナハトムジーク・フィルツェーン(黎明の道化師・d12478)が降ってきた。
「ぶりの刺身を味わった後ならこれを食べるんだ。そう――」
お皿にちくわを数本並べ、上からこれ以上無いイケメンオーラを出しつつオリーブオイルをぶっかけた。
「オリーブ漬けちくわを……さ」
テーブルに直立したまま皿を突き出すナハトムジーク。
嫉美と水無はそっとちくわをとり、頬張った。
「すっごいオリーブ味」
「オリーブ味以外の何物でも無いわ」
「だろう?」
理由のないドヤ顔でカメラのほうを無垢ナハトムさん。
「ちくわは安い。安いからこそどんなご家庭でも味わうことが出来る。そうだろう? ちくわ・イズ・フリーダム」
「何かあるたびにちくわ繰り出してエアブレイクかましてきたけど今日だけは空気を読んでいたみたいなそんな味」
「どんな味?」
くっそ狭いバラック家にぎっしり詰まった人間たちは、ぎゅうぎゅうと肩を詰め合ってテーブルについた。余った分は天井や壁に張り付いた。
この部分だけを切り抜いてピンナップ化したら『妖怪に支配された家』みたいだった。
眼鏡をキラッとさせる修太郎。
「じゃ、みんなホットコーラ渡った? お正月にかんぱーい!」
「カンパぶっは! 炭酸が狂ったように喉から戻ってくる!」
「ねえこれマヨネーズかけていいです?」
「やめろ死にたいのか!」
「コーラに靴下浸してなにやってんの」
「靴下ストローです」
「『おいしくなあれ』したらきっと美味しいですよほら!」
「クツシタオイシイデスクツシタオイシイデスクツシタオイシイデス」
「だめなやつだこれ!」
「食べれば食べるだけ大きくなるのねー! ちてきなオトナになるのよ!」
「だからってマグロの目玉両手に持って食べるのはどうかと思うわよ」
「トビウオの姿で食べるお汁粉も……フ、悪くない」
「すみませーん、仕事が物理的にポシャったので遊びにきたんですけどー」
「ここに来れば独身男でも楽しめると聞いて」
「とおちゃんこの人たち誰?」
「知らん。知らんが……」
左右からぎゅうぎゅう押し込まれ、知らん人らに囲まれ、とおちゃんはぽっかり空いた天井から空を見上げた。
「今年は、いい年になりそうな気がする」
夜までどんちゃんした後、彼らはバラック家から外へ出た。
この期に及んでマトモな格好のやつは一人も居なかったが、誰もそれを気にしなかった。
「フ、どうやら今回も殺人ができなかったようだな……」
頭のマグロをすっぽりと抜くと、魔黒免次郎さんは清々しい目で朝焼けを見やった。
「そのマグロを、貰っても?」
「いいが、喰うのか?」
「ちくわにして」
「よかろう……」
ハナトムさんにマグロをまるごと渡すと、魔黒免次郎はすたすたと帰路についた。
ムタンガ一丁で。
作者:空白革命 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年1月13日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 22/素敵だった 41/キャラが大事にされていた 9
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