●殺人現場
「……」
ふと、彼女はその足を止めた。というよりそれは、その時になって初めて自分が今まで歩いていたことに気付いた、といった様子であった。
その場で周囲を見回し、視界に映る景色に首を傾げる。見覚えが無かったわけではない。見知った場所だからこそ、何故自分が今そこに居るのかが分からなかったのだ。
だが暢気にしていられたのはそこまでだった。
何かを考えるよりも先に身体が動き、地面を蹴る。
直後、先ほどまでその身体があった場所の目の前に、一つの人影が音も無く降り立った。
それが友好的なものではないのは、地面に刻まれたものとその手に握られているものからしても明らかである。
刻まれたのは一つの、しかし深い斬撃痕。握られているものはナイフ。
その身には学生服を纏っていたが、それは彼女の通う学園のものではない。
だが、見知らぬものではなかった。
それを以前に見たのは半年以上前だ。しかし忘れてなどはいない。
「……ネームレス」
その名を呟くも、反応はない。もっとも最初から期待してなどはいなかったが。
半年前のあの時ですら、結局は一度もその声を聞いていないのだから。
故に。何故ここに居るのか。何故自分を狙うのか。気にはなったものの、その疑問は全て投げ捨てる。答えを得られない疑問などは持っていても無駄なだけだ。
そうして。篠雨・麗終(夜宵の咎荊・d00320)は。
六六六人衆が一人、ネームレスと、激突したのだった。
●殺人予測
「あけましておめでとう。今年もよろしく……は、本当はしない方がいいのだけれども……まあ、よろしくお願いするわ。さて」
挨拶もそこそこに、四条・鏡華(中学生エクスブレイン・dn0110)は言葉を区切ると表情を改めた。
その場に集められた者達も、何もわざわざ新年の挨拶をするために集められたと思ってはいない。気を引き締めながら話に耳を傾ける。
「新年早々に六六六人衆が動くことを察知したわ。狙いは、武蔵坂の灼滅者よ」
以前より行なわれているように、闇堕ちを狙って――ではない。今回は一人になったところを、殺すために襲撃してきている。
「襲撃されるのは、篠雨・麗終。相手は六六六人衆……放っておけば、確実に殺されてしまうでしょうね。急いで救援に向かってちょうだい」
麗終は一人になったところを――或いはそうなるよう仕向けられたところを襲われる。そのため、周囲の状況や一般人に関して気にする必要は無い。
「今回取れる手段は主に二つあるわ。即ち、麗終を一人だけ先に逃がすか、麗終もその場に残って共に戦うか、ね」
もっとも状況によっても変わってくるだろうから、そこは臨機応変に対応していくしかないだろう。
「そして現れる六六六人衆の名前だけれど、ネームレス、よ。以前闇堕ちゲームを行なった六六六人衆の一人だから、知っている人も居るかもしれないわね。もっとも私も話に聞いたことがあるだけなのだけれど」
序列は以前と変わっておらず五五二位であり、その戦闘手段もナイフを使ったもので同様だ。
「ただ今回は序列が変わっていないことが関係しているのか、麗終を殺すということに妙に執着しているみたいね。その場に残っている場合は麗終だけを狙い、先に撤退している場合は、邪魔されないためにか皆を全て倒してから後を追おうとするわ」
つまり、基本的に撤退はしないものと考えてもらって間違いない。おそらくは灼滅されることになろうとも、退く事はしないだろう。
「それに今回は場所と時間が分かっているから、奇襲を仕掛けることも可能よ」
それに成功し、皆がその力を存分に発揮し、合わせることが出来るのならば。
「本来は格上の相手だけれども、今回に限っては灼滅することも出来るかもしれないわね」
どうなるか、どうするかは皆次第だ。
「今回の事件の最優先事項が麗終の救出にあることは間違いないわ。けれども、灼滅者を暗殺しようとする六六六人衆を野放しにするのが非常に危険なのもまた事実。出来ればこの機会を逃さず灼滅して欲しいと、私はそう思っているわ。あなた達ならばそれが出来るとも、ね」
そう言って、鏡華は灼滅者達を見送ったのだった。
参加者 | |
---|---|
篠雨・麗終(夜宵の咎荊・d00320) |
仰木・瞭(朔夜の月影・d00999) |
色射・緋頼(兵器として育てられた少女・d01617) |
シオン・ハークレー(光芒・d01975) |
シェリー・ゲーンズボロ(白銀人形・d02452) |
雛本・裕介(早熟の雛・d12706) |
宮守・優子(猫を被る猫・d14114) |
桜乃宮・萌愛(閑花素琴・d22357) |
●
そこは何の変哲もない公園であった。ベンチや遊具などが置いてあり所々に木が生えているような、そこそこの広さを持った一般的な公園だ。
そんな見慣れた、よく散歩に訪れている夜の公園を、篠雨・麗終(夜宵の咎荊・d00320)は一人で歩いていた。
しかし見慣れているとはいえ、その公園の様相はいつも通りではない。むしろ、だからこそその違いに気付くことが出来る、というべきか。
そしてそれは、そうと知っていなければ麗終でさえも気付けなかったかもしれない程度の、些細な違いでしかない。
それでもその中で最も明確な違いを挙げるとするならば、それは一つだ。自身へと向けられている、七対の視線である。
(「闇堕ちゲームに続き六六六人衆は悪趣味よな。然しそうそう好きにはやらせはせぬ。篠雨は事務所に身を置く仲間よ、六六六人衆に奪わせる訳にはいかんからのう」)
その中の一つ、雛本・裕介(早熟の雛・d12706)はそんなことを考えながら闇にその身を潜めていた。
挟撃を目的とするため、裕介が隠れている場所は麗終の正面方向にある。故に裕介は麗終の様子を逃さず眺めることが出来ていた。
とはいえ、傍目にはその様子は平然としているようにも見える。少なくとも裕介はそこに不安や恐怖といった感情を見つけることが出来ないでいた。
だが、個人として狙われて何も思わない訳がない。
相手は確かに強力なダークネスだ。それでも、皆で立ち向かえば必ずや灼滅できると裕介は信じている。
だからこそ麗終に気遣うような視線を向けながらも、ただジッとその時を待つ。
(「同じ学園の灼滅者としても絶対に守らないとだよね。それにこんな明確な目的を持った危険な六六六人衆を見逃すわけにいかないの」)
裕介のすぐ近く、暗い物陰に潜んでいるのはシオン・ハークレー(光芒・d01975)だ。
奇襲のチャンスは一度きり。故にそこを狙い撃つために、そう思いながらも――そう思うからこそ、シオンは集中力を高めていく。
そんなシオンの傍にある遊具、そこに気配を消しながら隠れている色射・緋頼(兵器として育てられた少女・d01617)と、さらにその近くで息を潜めている仰木・瞭(朔夜の月影・d00999)。
この四人がこちら側――敵が現れた際、その背後から奇襲するために待ち構えている者達である。
先にも少し触れたが、今回の作戦は挟撃だ。故に当然ながら、逆側に展開している者達も居る。
(五五二っすか……灼滅できるかどうか……)
猫に変身し物陰に隠れている宮守・優子(猫を被る猫・d14114)は、その一人だ。話に聞いた相手の序列の高さに、灼滅できるか疑問を抱きつつも、麗終の様子を伺う。
(「人の命を、心を何だと思ってるんでしょうか……関係ない人を狙うなんて卑怯……自分達だけでどこか人のいないところでやりあうといいんです!」)
同じくこちら側に居る桜乃宮・萌愛(閑花素琴・d22357)は、そう思いながらも植え込みの陰に隠れていた。その近くには同様に植え込みの陰に隠れているシェリー・ゲーンズボロ(白銀人形・d02452)もおり、麗終の行動を見守っている。
と。その足が止まった。
否、それは一瞬のみ。次の瞬間には、麗終の身体は後方へと飛び退いている。
その行動に、疑問を抱いた者は居なかった。おそらくは、新しくその場に現れた者も含めて。
音もなく地面に降り立ったのは、学生服を着た青年。その手に持ったナイフと、刻まれた斬撃痕。
六六六人衆序列五五二位、ネームレス。
そして。
ネームレスが麗終に襲い掛かったのと、七人が動き出したのはほぼ同時だった。
●
奇襲を行うことを決めていたものの、それは麗終への攻撃と引き換えにしたものだ。即ち、ネームレスが攻撃仕掛けた後の一瞬の隙を狙い、皆で一斉に攻撃を仕掛ける形である。
つまるところそれは、ネームレスの初撃を麗終が一人で防がなくてはならないということを意味している。
勿論のこと、それを分かった上での作戦だ。油断など欠片もなく、警戒は最大に。皆が攻撃を与えるまでの数瞬、麗終の思考と動作は回避にのみ向けられていた。
――だが。それでも尚、麗終は気付いたらその身体を袈裟に斬られていた。
「……っ!?」
それに気付いたのは、身体に激痛が走ったからだ。斬撃の軌跡どころかネームレスが目の前に現れた時の動作すらも捉えきれていない。
視界の端に映るのは、振り切られた形の腕。その腕が、消える。
瞬間。
「Alea jacta est」
果たしてそれを見たのとその声が聞こえたのは、どちらが先だったか。
何にせよ、結果は一つだ。
打撃音と共にネームレスの身体が僅かに浮き、後方へと吹き飛ばされる。
「最上の悪夢をご堪能あれ」
代わるようにその場に居たのはシェリーだ。影を宿したライフルを手に、その顔に微笑を浮べながら一礼する。
もっともネームレスにはその悪夢を見る暇すらも与えられない。
地面に着くよりも先にその身体を穿ち貫いたのは、螺旋如き捻りが加えられた槍。隠すつもりもない殺意と共に放たれたそれは、裕介のものだ。
相手が相手のため、そこには容赦などは微塵も無い。さらなる捻りを加えながら、槍ごとネームレスの身体を薙ぎ払った。
そのまま地面に叩きつけられ滑り、しかし即座に立ち上がり体勢を整えたその身体の動きが、直後止まる。
闇に紛れ、だがしっかりとその身体に絡み付いていたのは影で出来た触手。さらにそれだけではなく、その周囲には猫の形をした影が複数群がり、その行動を阻害している。
そんな瞭と優子によって作られた隙を、逃さずに飛び込む影が一つ。
「貴方を灼滅させてもらいます、名無しさん」
緋頼だ。
背後からその身体を穿つべく、その手に握られた槍が捻りを加えながら全力で突き出される。
そしてその隙を狙っていたのは一人だけではなかった。
緋頼の後方より狙っていたシオンが、その場より動くことなく、代わりに構えていた腕を動かす。振り抜かれた腕、その指に嵌められている指輪から漏れ出た光が放たれるように、制約を与える力を携えた弾丸が飛ぶ。
さらに狙っていたのはもう一人。逆方向より迫るのは、赤きオーラの逆十字。萌愛の放ったそれと、シオンの放った弾丸が到着したのはほぼ同時だ。
それは緋頼がその場から飛び退った直後のこと。
斬り裂き、貫いた。
「さて、いい感じに守るっすかねぇ。相手の思いどおりにはさせないっすよ」
そうしている間に麗終の傍へとやってきていた優子が、肉球型の盾を構えながらその守護の力を麗終にも与えつつ、その傷を癒していく。
「悪いな」
「いえいえ、気にしないで欲しいっす」
麗終も自身へと癒しの力に転換させたオーラで傷を癒していくが、それでも完全には癒しきれない。だがこれで一撃でやられてしまうことはないはずだ。
「学園の仲間は殺させない。君のゲームは此処でお仕舞だよ」
同じく傍へとやってきたシェリーが、変わらずその顔には笑みを貼り付かせながら、いつでも麗終を庇えるように身構えつつ言い放つ。
「何故篠雨を狙うかは知らぬが、主も命を賭けねば不公平であろう」
その言葉は逆側から。裕介から放たれたそれに、しかしやはりと言うべきか、期待はしていなかったもののネームレスから反応らしい反応はなかった。
それどころか、自身が前後から挟まれる形になっていることや、そもそもこの場に麗終以外の灼滅者が居ることすら気にしている様子は無い。
そして。
直後、その姿が消えた。
●
通常であれば、敵の姿を見失ったとなれば次に何をしてくるのかを推測しなければならない。攻撃手段や目標、逃走することなども含めてである。
しかし相手の目的が明瞭であるならば、それは容易だ。容易に推測することが出来――だがそれを防げるかどうかはまた別の話である。
軌跡を捉えることができたのは、既に一撃を食らっていたからか。もっともそれが見えたところで、食らった後では意味が無い。
庇おうとしたところで無意味とでも言わんばかりの一撃を受け、麗終の身体より血飛沫が舞う。
だが同時にそれは、その瞬間ネームレスの身体が麗終の目の前にあるということでもあった。
直後、即座に反応したのはシェリーだ。麗終を最優先に庇うように構えてはいたものの、それは攻撃をしないということではない。
文字通り眼前に居るネームレスへと、白光を放つ斬撃が振り下ろされる。
そして麗終を目の前にしているということは、当然ながら後ろに居た者達にその背を晒すということだ。死角に回り込む必要すらない。
踏み込みと同時、瞭の手に握られた二刀が振り切られ、緋頼と裕介のオーラが集束された拳が撃ち出される。
さらにその足元より生じるは、影の触手。シオンより放たれたそれが、その行動を阻害するべく蠢く。
その全ての動作はほぼ同時に行なわれた。
そして。
回避はされなかった。
出来なかったわけではない。明らかにその余裕があったにも関わらず、ネームレスは回避のための行動を取らなかったのだ。
攻撃をされる前もされた後も、変わらずにその視線は、意識は麗終を殺すことのみに向けられている。
その腕がぶれ、消えた。
その斬撃は相変わらず見えなかったが、それが麗終に向けられたものであることは間違いが無い。回避も防御も間に合わず、おそらくはしたところで意味が無い。
付け加えて言うならば、麗終はその一撃に自身が耐えられないことを理解していた。優子と自分とで回復をしたものの、それでも次の一撃を耐えるには足りていない。
本来ならば萌愛も回復に回るはずであったが、攻撃の為に前衛に出すぎていたのが拙かった。移動の為に僅かな時間を要し、その僅かの間にネームレスは次の行動に移っている。
そのためその回復は間に合わず、斬撃が奔る。
真っ二つに裂かれた。
しかしそれは麗終ではない。直前にその眼前へと躍り出た、優子のライドキャリバーであるガクだ。
さらにガクもただやられただけでは終わらない。最後の力を振り絞るように、ギチギチと音を立てながら機銃の銃口が向けられる。
その顔面へと、一斉に弾丸がぶち込まれた。
さすがに場所が場所であるためか、それはほんの少しではあるがネームレスを怯ませることに成功する。それを見届け満足したようにガクは消滅し、その隙を皆は逃さない。
非物質化した瞭の二刀がその霊魂を破壊せんと振り下ろされ、それに被さるようにして緋頼の槍が突き出された。裕介の拳が直撃すると同時に魔力が流し込まれ、一拍遅れて撃ち出されるのはシオンの魔法の矢。
周囲に展開されたそれが次々と撃ち込まれ、体内で魔力が爆ぜるのに合わせるように貫いていく。
優子と麗終は再度回復を行い、今度こそ萌愛の指先より撃ち出された霊力が麗終の傷を癒し――それを許さないとばかりに、傷口が強引に斬り開かれた。
「……っ!」
幾ら治されているとはいえ、そう何度も斬られ傷口を抉られては堪ったものではない。麗終の顔が苦痛に歪み、ネームレスもそれを見逃さずにさらに動く。
だがこちらも伊達や酔狂で陣形を作っているわけではない。何度も抜かれては堪らぬと、シェリーと優子の身体がそれより先に一歩前に出――しかし二人のどちらへも、攻撃がいくことはなかった。
ネームレスが何かをしたわけではない。その攻撃が届く前に、麗終がさらに一歩前に出たのである。
再度、麗終の身体が斬り裂かれた。
そのまさかの行動に、シェリーと優子の目が見開かれる。
だが当然麗終とて考えなしにそうしたわけではない。
「やめろ、俺は大丈夫だから庇うな」
自分のせいで他人が傷つくのが嫌なのだ。
とはいえ実際のところ、そんなことをしてタダで済むわけがない。重ねられた傷に激痛が走り、呻きと共にその足がふらつく。
そこに、さらなるネームレスの行動。
その間皆が何もしていないわけではない。攻撃は続けられており、しかしネームレスはその全てを無視し続けているのである。
攻撃が効いていないという意味ではない。肉が裂け骨が砕かれながら、それすらも無視しているのだ。
先の裕介の言葉は、正しくもあり、間違えてもいる。自身の目的の為、ネームレスはとうの昔にその命を賭け、捨てていた。
故に、ただ麗終を殺すためだけにその身体は動く。
そして深く傷ついた麗終の身体は、既にその攻撃を耐えるまで癒すことが出来なくなっている。それでも誰かが傷つくよりはマシだと、麗終はそれを受け入れ――
「君の好きにはさせないよ」
先ほどの再現をするかのように、シェリーの身体がそのさらに一歩前に出た。
そも、庇わなくていいと言われて庇わないようならば、最初からその役目についてはいないのだ。
もっともそれは、ただその役目を果たすための行動であったのかもしれないが……結果に違いは無い。
代わりにシェリーの身体が斬り裂かれ、その事実にネームレスの表情が僅かに動く。浮かんだそれは、果たして。
だがそれを確認する暇も無く、その腕が動き――しかしそういつまでも。
「思い通りにはさせません」
振り抜かれた緋頼の槍が、ナイフごとその腕を弾く。
踏み込みはその瞬間。懐に入り込むと同時、オーラを纏った拳が振り抜かれた。
さすがに限界が近いのか、それまで耐え続けていたネームレスの身体が、殴り飛ばされた衝撃で流れる。その背中にそっと添えられる掌。
シオンだ。
直後、流し込まれた魔力が一気に解放され、爆ぜる。衝撃にその身体が揺れ、僅かに沈む。
しかしそれは倒れるからではない。次の瞬間、その姿が消えた。
煌く刃。飛び散る赤。
力が抜け、倒れる身体。
だが。
「……っ!」
麗終は強引に足を踏みしめ、堪える。
しかしその時は既に、次の刃が――
「捕まえた」
それを防ぎ掴んだのは、シェリーと同じ姿をした影。それはすぐに散らされたが、その代わりとでもいうように瞭が二刀を薙ぎ、篭められた影がその身体を飲み込む。
直後、影ごと押し潰すが如く異形巨大化した裕介の腕が振り下ろされ、影を纏わせた優子と萌愛の放った逆十字の赤きオーラが引き裂いた。
影が晴れた後に現れたのは、満身創痍のネームレス。
それと。
その前に立っていたのは、こちらも同じぐらい、或いはそれ以上に満身創痍の麗終。構えるのは、咆哮を轟かせる深紅の刃――紅狂獣。
交差は一瞬。
先に届いたナイフが赤を咲かせ――だが緋色のオーラを宿したそれを止めるには至らない。
振り下ろし、斬り裂いた。
結局。最後まで一言すら喋ることなく。それでも、最後の瞬間には何処か満足げなものをその顔に浮かべ。
名も分からぬ殺人鬼は、そうして消滅した。
そして。
それを見届けた直後、崩れ落ちるように麗終はその場に倒れこんだのだった。
作者:緋月シン |
重傷:篠雨・麗終(狂哀コォダ・d00320) 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年1月16日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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