ミゼリコルデのダ・カーポ

    作者:旅望かなた

     その男は無精髭の生えた幾分くたびれた中年男であり、手にした高級ギターは明らかに道楽の果てのお飾りと――万事・錠(ベルヴェルク・d01615)が思うわけはない。
     人気のない場所に誘い込まれて、緩やかなコード進行と共に現れたその男は、彼の殺戮を防ぐために一度戦った相手なのだから。
    「桜の季節にでももう一度来そうかって思ったんだがな……ちょっとばかし早かったな!」
     臆することなく、錠は声を上げる。――臆していたならば、殺されていたかもしれぬ。
     なぜなら相手は、本能により殺戮し、殺戮を生業とする六六六人衆なのだから。
    「やぁ、殺しに来たよ、灼滅者」
    「また闇堕ちゲーム、ってか!?」
     得物を抜きながら、錠は肩を竦めて見せる。けれど男――ミゼリコルデは、ギターの弦に指を滑らせながら「いいや」と笑ってみせた。
    「残念ながらハズレだね。今度は、暗殺ゲームってやつさ」
    「悪趣味野郎め」
     錠の悪態に、「ゲームは結構好きなんだ」と無精髭に囲まれた唇が、笑みを作る。
     ――さて、殺ろうか。
     その言葉は、2人の口から同時に漏れた。
     
    「って錠っちが襲われてるしー!?」
     嵯峨・伊智子(高校生エクスブレイン・dn0063)がばしばしと教卓を叩く。いつもよりずっと、焦った様子で。
    「えっとー、前にミゼリコルデっていう、闇堕ちゲームをやってる六六六人衆がいたんだけどね。その時は誰も堕ちなかったし死ななかったんだけど、どうもそのミゼリコルデが、闇堕ちゲームに勝った灼滅者を狙って、今回狙われたのが万事・錠って武蔵坂学園の高校2年生らしいのね」
     放っておけば確実に殺される、と伊智子は告げる。
     今、錠は1人。いくら上手く立ち回ったとしても、絶対に六六六人衆には叶わない――序列五七一ともあれば、尚更だ。
    「というわけで、急いで助けに行ったげてください!」
     そう言って、伊智子は深く頭を下げる。
    「ミゼリコルデは、バイオレンスギターと殺人鬼、それに基本戦闘術の中からサイキックを使ってくるよ。でもって今回は、『前回の闇堕ちゲームに参加した人』がいればその人を殺すことを最優先にするよ。もしいなければ――錠っちが上手く脱出できて、他に誰も前回の参加者がいなかった場合ね、危なくなったら逃げることを最優先にするみたいだずぇ」
     つまり、もし闇堕ちゲームの参加者がいるならば、その人が殺されないように。
     いないならば、ミゼリコルデが危機に陥っても逃げられないように。
     それぞれの立ち回りが必要になる。
    「一番の目標は、もちろん錠っちが殺されないことなんだけど……」
     そう言って伊智子は、灼滅者達をぐるりと見渡す。
    「でも、灼滅者を暗殺しようとする六六六人衆を放っておくのもやばいんで、できるだけ灼滅しちゃって欲しいです! 難しいけど……お願い、するね」
     ぺこりと頭を下げて、伊智子は灼滅者達を送り出した。


    参加者
    両角・式夜(黒猫ラプソディ・d00319)
    杉下・彰(祈星・d00361)
    狗川・結理(デマイザー・d00949)
    万事・錠(ベルヴェルク・d01615)
    錠之内・琴弓(色無き芽吹き・d01730)
    桃野・実(水蓮鬼・d03786)
    折原・神音(鬼神演舞・d09287)
    北条・葉月(我歌う故に我在り・d19495)

    ■リプレイ

     ――除夜の鐘が、遠くに聞こえる。
     だが、丁度深夜0時の野外音楽堂、そのステージを支配するのは、緩やかに掻き鳴らされるギター。
     誘われるのか、見せつけるのか。
     万事・錠(ベルヴェルク・d01615)がギターを掲げる。
    「俺もギター持ってみたんだ、似合うっしょ?」
     その言葉は、口ぶりは、父を追う子を思わせた。
     弦を弾く手を止めぬまま、六六六人衆――ミゼリコルデは、ニィと笑う。
    「あぁ、似合うねぇ」
     ――殺したいほどに、似合うねぇ。
     そう愛しげに言った男に、錠は逆手で抜き放ったクルセイドソードの一撃を解き放った。

     教室から音楽堂まで、とにかく最短経路を灼滅者達は駆け抜けた。
    「次の信号、右だ!」
     地図を見ながら、桃野・実(水蓮鬼・d03786)が指示を出す。頷いて足を速めた折原・神音(鬼神演舞・d09287)の、腰に付けたランプがゆらりと揺れて複雑な影を作る。
    (「ダチのピンチとあっちゃ、助けない訳にはいかないだろ――」)
     北条・葉月(我歌う故に我在り・d19495)が揺れる影の中拳を握る。
    「錠、絶対お前を死なせやしない!」
     叫ぶように口にした言葉は、必ず共に帰ろうという気迫。
     その言葉に頷きながら、ふと杉下・彰(祈星・d00361)は眉を寄せた。
    「ダ・カーポ、始めに戻る事……本当に、偶然?」
     偶然と、エクスブレインは言った。
     本当に?
     一度ミゼリコルデと対峙したことのある、両角・式夜(黒猫ラプソディ・d00319)が肩を竦める。その答えは、ミゼリコルデ本人だけが知っていることだ。恐らくは。
    「……急ぎましょう!」
     既に走る速さは限界を迎えつつある。それでも狗川・結理(デマイザー・d00949)は、足を速めずにはいられない。
     狙われているのは、大切な人の命なのだから。
     その思いに、想いに、こくんと錠之内・琴弓(色無き芽吹き・d01730)は頷いて。
    「万事先輩は当然として、皆で無事に帰るんだよ」
     ついでにミゼリコルデを灼滅したいよね、と付け加えて。
    「先輩、無事ですか!」
     角を曲がった先に、音楽堂。琴弓が張り上げた声に、応えて。
     全身に傷を刻みながらも、肩にかけたギターを掴み反対の手で剣を振り抜いた錠が、ひょいと手を挙げて笑ってみせた。

    「待ちかねたぜぇーミゼたん!」
     ひどく嬉しそうに式夜が瞳を輝かせ、戦場の音を遮断すると同時に癒しの矢を解き放つ。錠の身体に矢が吸い込まれると同時に、無数に追っていた傷の幾つかが消えていく。
     さらに琴弓が、ナイフを握り締め夜霧を呼んだ。優しき闇が傷を塞ぎ、仲間達の姿を虚ろへと隠す。
     仲間達と息を合わせるため軽く後ろに下がった錠と、ミゼリコルデに駆け寄った結理の手が軽く触れた。2人の視線が交錯する。言葉にし切れない想いを込めて。
     けれど。
    「サンキュ」と錠がはにかむ。
     こくり、と結理が頷く。
     今は、それで十分だった。戦いが終わった時、互いが物言えぬ存在となり果てぬように。
     全力で、挑む。
    「誰がやらせるか。この心、命に賭けても守る」
     瞳にバベルの鎖を集めながら、その瞳で結理はミゼリコルデを、愛しい人の命を狙う男を睨む。掻き鳴らすギターの音、痛みなき鏖殺領域で得たサイキックの加護を、サイキックを否定する魔力で撃ち落とす。
    「待たせたな。ったく、あんま心配かけんなよ」
     素早く隣に並んでWOKシールドの出力を上げた葉月の言葉に、「悪ィな、面倒付き合わせちまってな!」と笑いながら錠が器用に剣を持ったままソニックビートを掻き鳴らす。広がった力場の盾が前衛達を優しく包み込む中を、素早く実と霊犬のクロ助が駆け抜けた。
     クロ助を途中で錠の護衛に残し、実はさらにミゼリコルデとの距離を詰める。
     彼のご当地である瀬戸内海の力を、一本背負いに変えて投げ飛ばす。以前対峙した灼滅者達に聞いたその強さに、もう少し抵抗されるかと思ったご当地ダイナミックは、意外なほどすんなりとミゼリコルデを投げ飛ばした。
    「っ……強く、なったねぇ。灼滅者」
     ごっ、と音を立てて、ミゼリコルデの背が壁にぶつかる。すかさず葉月と、後ろから飛び出した神音が距離を詰め、さらに体勢を立て直した実がそれに続く。
     巨大な刀を両手で掴み、神音が斬、と真っ向から斬り下ろす。掲げて受けたミゼリコルデのギターが奏でるは不協和音。そしてそれでも受け切れず、深い傷が一筋刻まれる。
    「よう、オッサン。ひとつギター勝負と行こうか?」
     本当なら殺し合いじゃなく純粋に音楽で語り合いたいけどな、と笑って弦に指を走らせた葉月に、ミゼリコルデは「同じじゃないか」と肩を竦めて。
    「俺にとって音楽と殺戮は、同じ慈悲、ミゼリコルデさ」
    「わかんねぇなぁ、その気持ち」
     葉月のソニックビートを浴びながら、男は「わかったらこっちにおいで。君も立派な殺戮者さ」と唇の端を吊り上げた。
     その間に後衛陣は、扇形に布陣し退路を塞ぐ。
     以前ミゼリコルデと対峙し、逃がした時と同じ布陣。
     けれど、その繰り返しになるか否かでは、分があるのはこちらだ。
     明らかに、自分達は以前より――強い。
    「ひっさし振りに出会えたんだ、錠とだけじゃなく俺ともイイコトしようじゃないの色男」
     霊犬のお藤が、式夜を守るように常に彼の前を駆ける。その相棒と息を合わせ、式夜がさっと琴弓と目を合わせる。
    「両角先輩、私が回復しますっ」
     琴弓がそう叫んでクルセイドソードに刻まれた祝福の言葉を聖なる風に変える。頷いた式夜は、ミゼリコルデの急所を狙い研ぎ澄ましたナイフを一文字に引く。
     癒しの矢を自分に向け、鋭敏さを増した目を凝らして彰は弓に矢を番えた。彗星の如く放たれた矢が、ミゼリコルデの身にまとうエンチャントを一枚、また一枚と剥がしていく。
    「……お前がどれだけ人殺そうがどうでもいいんだよ。ただ、」
     小さく、実が目を伏せた。何から目を逸らしたのか――それは、実自身にしかわからないだろう。
    「友達に目を付けた、それが駄目なんだ」
     けれどすぐに視線をすっと上げ、握り締めた槍を振る。妖気が冷気となり、氷弾の形を取り、槍の動きに合わせてミゼリコルデへと突き刺さる。
    「トモダチ……いいね、いい響きだ」
     ミゼリコルデが無造作にポケットに入れた手が、弾くように何かを飛ばす。
     手から真っ直ぐに繋がり、錠の首に巻き付いたのは、ギターの弦。本来メロディを奏でるそれは、黒き死を招く刃となり、錠の口から呻きを引き出す。急いでクロ助が、牙を立て弦を噛み切った。
    「おいおいおい、近付けないからって弱っちい俺を後回しにすんのか?」
     錠の傷が深いとみて、素早く式夜が挑発を飛ばす。己もまた、ミゼリコルデの狙う相手だから。
    「だけどありがたいなー、こっちはゆっくりと色々手が回せるし」
    「果たして回り切るかねぇ?」
     挑発に、煽り返すように言われて、けれど式夜は笑みを深めて「回してみせるさ」と癒しを弓に番えて放つ。クロ助が送る浄霊眼が癒しの矢と合わさり弾け、錠の傷を次々に塞いでいく。
    「サンキュ! しかしなぁ、小技なんか使いやがって」
     力任せに弦を剥ぎ取り、錠が激しく音速のビートを鳴らす。その間もミゼリコルデの動作からは目を離さず、ギターの弦が奏でる音に素早く警告を飛ばす。
    「アレだ、痛くねェ鏖殺領域だ!」
    「よく覚えてたね、灼滅者」
    「俺の名前も覚えとけよ、万事・錠だ!」
     無痛のメロディを己の前で必死に受け止めるクロ助の頭を、「ありがとな」と撫でて錠は声を張り上げる。無敵斬艦刀を高く掲げ戦神の如く化した神音が、鬼神と変えた腕を振り上げる。
    「万事・錠……君は?」
     軽口のように尋ねたミゼリコルデを、神音は「覚える必要はありません、今からあなたを斃しますから」と切り捨てて。
    「この刃、この腕は、全ては敵を砕く力です!」
     鋭い爪を、異形なる筋肉を備えた腕を、斜めに振り下ろす。同じ方向に傾いだミゼリコルデの身体から、骨のひしゃげる音がする。
     それでも、
     弦を弾く右手と、弦を押さえる左手は無事だ。
     錠が「来るぞ!」と叫ぶ。同時に鳴り響くメロディが、静かに、着実に、痛みの一つもなく力を奪っていく。
    「そう簡単にやらせるかよ。倍返しだ!」
     WOKシールドに紅蓮のオーラを纏わせて、斜めに薙いだ葉月が体力を吸い上げるに任せ、ミゼリコルデの奏でるメロディはいよいよ佳境を迎える。
    「……さっき、音楽も殺戮もおなじ慈悲っておっしゃいましたけど」
     彰がぎゅ、と弓を握り、魔力の矢を番えミゼリコルデを狙う。
    「殺すことは、奪うことです。苦しみも絶望も、喜びも未来も」
    「だから、慈悲なんだよ」
     何気ないようにかけられた、けれど狂気を孕んだその言葉に、唇を噛み締めて。
    「死が救いと言いながら、ゲームだなどと他人を傷つける……そんな都合の良い解釈、お通しできません」
     普段の柔らかな雰囲気とは対照的に、これだけ鋭くなれるのは、守る為。
     強く引いた弓から、マジックミサイルが飛び、爆ぜる。
    「死ぬのはお前だ――『楽にいけると思うな』」
     ぎりりと奥歯を食いしばり、動きを縛る弾丸を結理は真っ直ぐに解き放つ。
     少しでも、敵の腕よ鈍れと。
     少しでも、愛する人が辛い思いをせぬようにと。
     指で撫で、力を引き出す契約の指輪は『彼』の相棒からの預かり物だ。二人分の思いが、込められた指輪だ。
     まだ仲間達の傷は浅い。そう確かめた琴弓が、影業を呼び起こす。
     その瞳に、僅かな怯えを孕んで。
    (「今回だけは、お願いだから言うこと聞いて……!」)
     形をとった影業は、影絵で切り抜いた化物の如く。
     爪を伸ばし、ミゼリコルデの肌を切り裂く。主であるはずの琴弓は、今にも主に逆らい暴れ出す猛犬を御すかの如き、必死の形相で影の獣を見つめる。
     影の爪に貫かれ、さらに実の槍に貫かれたミゼリコルデが、かはと血を吐く。既に全身に刻まれた傷は、本人にも数えきれないだろう。
     それでもギターを奏で続ける様子は、いっそ愚直とすら言えた。
     戦いの終わりが近いことを感じ、ずいと神音は距離を詰める。壁際に追い詰めたミゼリコルデを、決して逃がさぬと心に決めて。
     至近距離で放たれた風の刃が、ミゼリコルデの身体をステージの壁に縫い止める。
    「ごめんなミゼリコルデ」
     どこか苦しげに言った実に、ミゼリコルデは不思議そうに笑う。
    「なぜ謝るんだい。君と俺は、殺し合う敵だろう?」
    「……こういう事しかできなくてごめん」
     優しいね、とミゼリコルデは口元の血を舐め笑う。嗤う。
    「優しさは、時に痛い。殺戮が、慈悲であるようにね」
     槍を引き抜く実の顔が、辛そうに歪む。それでも反対の手で持ったロッドに灯した魔力は、決して手加減せぬと輝く。
     ちらと、ミゼリコルデの瞳が彷徨った。標的を探すのか、それとも――人質でも取ろうというのか。
     それを悟った錠が、すっとその視線の先に割り込む。
    「ゲームの相手は俺だろ? ……セッションしようぜ、ミゼリ!」
     ニィと笑って高らかに超高速のビートを奏でた錠に、やれやれと笑ってミゼリコルデは再びギターの弦に手を置く。す、とクロ助が姿勢を低くし、いつでも庇える構えを取る。
    「待ってよーミゼたん。俺も仲間に入れてくれよな?」
     そうくいと己を親指で示した式夜の前で、お藤がここは通さぬとばかりにミゼリコルデを睨み付ける。「忠犬だね」と皮肉げに言ったミゼリコルデに、「悪いが、コレが俺とお藤の常套手段なんでな」と
    「ったく、無茶しやがって」
     弦に走るその指を、絡め捕るように影が縛る。葉月が肩を竦めたのは、それでも弦を弾く指の主に対してか、それとも狙われていると知って挑発を繰り返す仲間達に対してか。
    「さっさと終わらせて、皆で帰るぞ!」
     そう、葉月は声を張り上げる。
     そうしないと、自分も含めた野郎どもと淑女達は、とんでもない無茶をしそうだから。
     同じように心配そうな目を向けながらも、仲間達を信じて彰は制約を課す弾丸を解き放つ。まだ倒れぬと前衛を信じ、必ず癒してくれると後衛を信じて。
    「何より大事は、誰も倒させない事。そして……万事さんは、大事な人なのです」
     ――絶対に……させません。
     そう決意を込めて、彰は続けざまに制約の弾丸を放つ。守るためなら強情に。守るためなら強欲に。
     そう。守るためならば、いくらでも強欲になれる。
     魔導書から力を引き出す詠唱は歌。点を、点を、音で繋ぐだけの機械的な歌。けれど機械の如き歌に、必ず守ると力がこもる。
     己の手で庇いたいという願いが叶わぬからこそ、共に帰るという願いは必ず叶える。その為に、結理が放つは全力のアンチサイキックレイ。
     どっ、と。
     光線が、胸を強かに貫いた。
     ミゼリコルデの指が、ギターの弦から離れる。腕が力なく垂れ下がる。
    「……これが、君達の慈悲、か」
     ずるり、と壁を滑り、ミゼリコルデは座り込む。足元からその体が、漆黒の闇に溶けていく。
     無に還りつつある男の前に、実は静かに立った。
    「……歌、教えてくれないか? あんたの唄、覚える」
    「何故だい、灼滅者」
    「一人位……そういう奴がいてもいいだろ……こういう手向けの方法しか、知らないんだ」
     真剣に己の目を覗き込む瞳に、ミゼリコルデは何を思ったのか。
     真っ直ぐにその瞳を見返し、ミゼリコルデは笑った。
     笑って、口ずさんだ。
     もはや殺戮の力も持たぬ、メロディを。
    「Amour、Musique、――Misericorde」
     愛、音楽、――慈悲。
     そして男は、それを最期に、消えた。
    「……オヤスミ、父さん」
     呟いて、見上げた空は――澄んだ空気の中輝く星が、ひどく綺麗だった。
    「Amour、Musique、――Misericorde」
     誰かがなぞるように繰り返したメロディを、最初に奏でた男は――もう、いない。

    作者:旅望かなた 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年1月16日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 8/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 2
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