狙われた巨乳!

     桃地・羅生丸(暴獣・d05045)は、大豪院・麗華(高校生神薙使い・dn0029)と共に、とある依頼を調べていた。
     それは、おっぱいを襲う貧乳淫魔の話。
    「何故、私が……」
     麗華は終始、不満げであった。
    「まあ、一言で言えば……運命だ」
     羅生丸が答えを返す。
     淫魔が狙うのは、胸の大きな女性のみ。
    『おっぱいが憎い。おっぱいが欲しい。何故、私には無くて、あいつにはあるの。人は平等であるはずなのに。だったら、奪えばいいよね。大きなおっぱいを見せつけている方が悪いんだから!』
     そう淫魔が思うのに、時間は掛からなかった。
     淫魔は自分と志を同じくする貧乳女性達を集め、胸をもぐ勢いで服を引き千切り、巨乳女性を辱めており、その被害は深刻。シャレにならない状況になっているようだ。
    「この時点で嫌な予感しかしないんですが……」
     そう言って麗華が頭を抱えた。
     間違いなく、もがれる。運が良くても、服を破られてしまう。
     脳裏に浮かぶのは、最悪の結末。
     全裸になって、恥ずかしい思いをする自分の姿。
    「あ、あの……やっぱり、私。足手纏いにしかなりませんし」
     申し訳なさそうに麗華が呟いた。
    「安心しろ。てめえは何もしなくていい」
     羅生丸がキッパリと断言をした。
    「なぜなら、てめぇは淫魔を引き寄せるための餌……だからな!」
     その言葉を聞いて、麗華は思った。
     淫魔に狙われる事が、既に確定していたのだと……。


    参加者
    白・理一(空想虚言者・d00213)
    七鞘・虎鉄(為虎添翼・d00703)
    三日尻・ローランド(尻・d04391)
    桃地・羅生丸(暴獣・d05045)
    美波・奏音(エルフェンリッターカノン・d07244)
    宮守・優子(猫を被る猫・d14114)
    神音・葎(月黄泉の姫君・d16902)
    ルフィア・エリアル(廻り廻る・d23671)

    ■リプレイ

    ●巨乳、危うし!
    「女性の胸というのは魅力的だねえ。サイズや形にかかわらず、全てムラムラするような、ときめきに満ち溢れているよ。もちろん、ボクのえくすかりばーのつるりとした平野もうつくしいねえ! しかも、ボクのえくすかりばーは思い切りのいいマッパ! 慎ましやかな淑女だけれど、そのオトコギにほれぼれするよ」
     三日尻・ローランド(尻・d04391)と延々と意味不明なのろけ話をしながら、仲間達と共に淫魔が確認された場所に向かっていた。
     その間、ナノナノのえくすかりばーが、まるでゴミを見るような目で、ローランドを睨んでいたが、それすら御褒美、夢心地。
     まるでローランドは天にも昇るような気持ちで、幸せそうに鼻歌まで歌っている。
    「まあ、自分は狙われないっすね」
     自分の胸をぺたぺた触った後、宮守・優子(猫を被る猫・d14114)がションボリとした。
     もしかすると、おっぱいの女神さまが、ウッカリして膨らませる事を忘れていたのかも知れない。
     そう思ってしまうほど、優子の胸は小さかった。
     『今なら、まだ間に合うっす! 忘れていた事を、許してあげるっすよ』と心の中で思っても、おっぱいの女神はやって来ない。
     『女神さまのうっかり屋さん』、『てへっ!』のやり取りで済めば、どれほど幸せな事か。
     優子は何度も自分に問いかけた事がある。
     だが、胸は一向に大きくならなかった。
     まるで休火山の如く、今は活動していない。
     それでも、成長途中だからと自分自身に言い聞かせ、活動再開を心待ちにしているのだが、『迷い乳、捜しています』的な状況下にあるのは間違いなかった。
    「ぶっちゃけ、被害ってほどの被害でもないよね。剥かれるだけで……」
     七鞘・虎鉄(為虎添翼・d00703)が、さらりと流す。
     ……とは言え、そこが問題であると言えば、問題。
     裸にされた方は恥ずかしさのあまり、トラウマになる事は確実。
     そんな状況を放っておけば、誰も外には出たがらない。
     現実的な問題として、淫魔が確認された地域ではサラシが大流行しており、おっぱいマイスター達にとっては、由々しき事態になっているのだから……。
    「いえ、今はまだ人命が失われるほどの事態に進展していませんが、このまま暴走を放置していれば、いずれ取り返しのつかない事になります」
     神音・葎(月黄泉の姫君・d16902)が、大きな胸を揺らして険しい表情を浮かべた。
     気のせいか、誰かに狙われているような気がする。
     しかも、ひとりではなく、複数の相手に……。
     それが淫魔なのか、まったく別の何かなのか、現時点では分かっていないが、大豪院・麗華(高校生神薙使い・dn0029)も、同様に身の危険を感じているようだった。
    「持たざる者の妬み……か。無いなら無いで、別を磨けばいいだろう。人は平等ではないんだからな。特に、体に関しては……」
     ルフィア・エリアル(廻り廻る・d23671)が、小さく溜息をもらす。
     胸の大きさを気にするのは、ごく一部。
     そんなもので女性の良し悪しを判断するような相手と付き合わなければいいのだが、そうも言っていられないのが現実であった。
    「おっぱいに貴賎なし! たわわに実った大きな胸は、確かに魅力的だ。だがしかし、膨らみかけた小さな蕾の初々しさも捨て難い。つまり、どっちもいい。おっぱいには無限の可能性が広がってるという事を、淫魔にも伝えてみせるぜ!」
     桃地・羅生丸(暴獣・d05045)が、握り拳で叫び声を響かせた。
    「何が貴賎なしよっ! そんなの上辺だけでしょ!」
     その言葉に淫魔がブチ切れた。
     わざわざ、身体のラインを強調したようなボディスーツを着ているため、身体のラインが丸わかり。
     まわりに集まった女性もピッチリした服装のため、胸が小さい事が嫌と言うほど分かってしまった。
    「まぁほら、豊満な子だってそれなりに悩みあるんだろうし、それを僻んで襲いかかるのはちょっとダメだよねぇ」
     白・理一(空想虚言者・d00213)が、やんわりと淫魔達を宥めようとした。
    「そんな事を言いつつ、あなただって腹の中じゃ、笑っているんでしょ!? いまだって、アタシ達の胸を見て、残念そうな顔をしたじゃない!」
     そう言って淫魔が、理一を指さした。
     理一は全くそんなつもりはなかったが、すぐに『違う』と答えなかったため、余計に淫魔がイラついた。
    「そ、そんなの、誤解です! 私達は別に胸の事で、あなた達を卑下しようとなんて、思っていません!」
     そんな空気を察して、麗華がフォローを入れたが、火に油。
     思わず力が入ってしまったせいで、大きな胸がたゆん、たゆん。
    「ば、ば、馬鹿にしてええええええええええ!」
     淫魔だけでなく、まわりにいた女性達までブチ切れた。
    「大丈夫、麗華さんは一人じゃないから」
     その途端、美波・奏音(エルフェンリッターカノン・d07244)が、麗華の手をギュッと握って、淫魔達の前に陣取った。

    ●貧なるモノ
    「そこを退きなさいっ! あなた達だって、酷い目には会いたくないでしょ!?」
     淫魔が殺気立った様子で、警告混じりに呟いた。
     出来る事なら、巨乳以外は傷つけたくない。
     それは祈りであり、願いでもあった。
    「貧しくったっていいじゃない。需要はあるんだもの」
     だが、虎鉄の一言で、前言撤回。
    「てめえら、全員……皆殺しじゃあああああああああああ!」
     淫魔がドスの利いた声で……、叫ぶ!
     それと同時にまわりにいた女性達が、両目を血走らせてキシャーと叫んで、飛び掛かってきた。
    「やめ……っ、触っては、駄目、駄目、です……」
     葎がいくら叫んでも、女性達は容赦しなかった。
    「うるさい」「黙りなさい!」「その胸の半分……いえ、全部アタシに寄越しなさい!」
     女性達も必死だった。
     この胸さえ手に入れる事が出来れば、人生バラ色。今までとは違った自分になれる!
     そんな気持ちが強いため、胸をもぎ取る勢いで、服を引き千切り、必死になって引っ張っていた。
    「まぁ、自分ももげろだの、抉れろだの、言ったりはするっすよ。でもほら、実際にやるのは迷惑じゃないっすか。自分はそういう時は心の中でこう、イメトレをっすねぇ……」
     そう言いつつ、優子は淫魔側を応援していた。無意識だった。
     心のどこかに淫魔よりの思想があったせいかも知れない。
     そもそも、悪いのは麗華達なのだ。
     思わせぶりに胸を揺らされて、笑顔でいられる訳がない。
     故に、こうなったのも自業自得。
     頑張れ、淫魔! 負けるな、同志!
     と応援してしまうのも、無理はなかった。
    「……胸はね、大きくても、小さくても、パンパンに夢と希望が詰まっているんだよ。内容が違うからね、サイズの大小なんて関係ないんだよ。ボクはどんな形状であろうとムラムラするから安心してくれたまえ! 愛のサウンドソルジャーさ!」
     ローランドが爽やかに笑って両手を開く。
    「なんか、嫌っ!」
     女性達が一斉に蹴りを放った。
     淫魔に至っては、回し蹴りを炸裂させた。
     それでも、ローランドはウットリだった。
     その視線の先には、冷ややかな視線を送る、えくすかりばーの姿が……。
    「ちなみに、この大豪院先輩の大は、元々胸の大きい女性が多く生まれた事に由来するらしい。そして、この大豪院先輩から抽出したエキス。使用すると胸が大きくなると評判だ。今なら1週間分を1万円で提供しよう? どうだ、この圧倒的なボリュームに近づけるぞ? 私も愛用しているが、かなり大きくなった(個人の感想です)。ただし、限定10個限り!」
     含みのある笑みを浮かべ、ルフィアが思わせぶりにエキスの入った瓶を見せた。
    「ほ、本当に……?」
     女性達がゴクリと唾を飲み込んだ。
    「う、嘘ですよ、皆さん」
     これに誰よりも動揺したのは、麗華であった。
     まったく記憶にない。まさか、寝ている時に……!
     麗華がハッとした表情を浮かべた瞬間、女性達が群がるようにしてエキスに飛び掛かっていった。
    「しっかりガードしな。でないと、もっとイケナイ事をするぜ?」
     そんな中、羅生丸は女性達の胸を触っていた。むしろ、触りまくりであった。
     まさか、胸を触られるとは夢にも思わなかったため、女性達も『ひゃん!?』と声を上げてその場に座った。
     それに合わせて、理一が魂鎮めの風を使い、まわりにいた女性達を眠りの世界に誘った。
    「……まったく。おっぱい大きい人にだって、悩みや苦労はあるんだよ? 重くて肩が凝るし、夏は蒸れるし! あなたは(おっぱい)貧しい人達の味方なんかじゃない。自分の劣等感を免罪符に他人に当たり散らしてるだけ。あなたが貧しいのは、おっぱいじゃない。ハートだよ!」
     そう言って奏音が淫魔をびしっと指差した。
    「そ、そんな事……ないもん!」
     これには、淫魔も涙目。
     必死に感情が抑え込んでいるものの、ボロボロと涙がこぼれていた。
    (「多勢に無勢って、こういう事を言うんだろうか……」)
     そんな事を考えつつ、理一が淫魔に視線を送る。
    「これ以上、犠牲者を出さないためにも、ここで終止符を打ちましょう」
     ボロボロになった競泳水着の上からジャージを羽織り、葎がスレイヤーカードを解除した。
    「だったら、お望み通り終わらせてあげる! あなた達の胸をすべてもぎ取った上でね!」
     それと同時に淫魔が八つ当たり気味に、麗華めがけて突っ込んでいった。

    ●屈辱
    「……淫魔よ、お前の戦闘能力は……ふっ、Aか。諸事情により見せられないのが残念だが、私はDだ」
     ルフィアの一言に、淫魔が『ひぃっ!』と声を上げて、恥ずかしそうに胸元を隠した。
    「悔しくないもん、悔しくないもん」
     まるで呪文を唱えるようにして、淫魔が自分自身に言い聞かせた。
    「ここで挫けたら駄目っす!」
     優子が握り拳で応援する。ほとんど、無意識に。
    「あ、これは……誤解っす」
     すぐに気づいて、あたふたと首を振ったが、淫魔は『見捨てないで~』と言って、しがみついてきた。
    「まあ……、ひとりやふたり、増えたところで気にしませんよ?」
     葎がニッコリと微笑んだ。
    「え、笑顔が怖いっす」
     優子が引きつった笑みを浮かべる。
    「この裏切り者が~!」
     それに気づいた淫魔が、優子をポカスカ。
     その途端、何かがヒュンと目の前を横切った。
    「むっ、目測を誤ったか。まさかあそこまでなだらかだとは……あ、すまん」
     虎鉄が淫魔に謝った。
    「絶対に許さないんだから! 土下座よ、土下座!」
     淫魔が騒ぐ、ここぞとばかりに。
    「これが、巨乳の重みよ! バスターキック!」
     その隙をつくようにして奏音が全ての胸が大きい女性の想いを込め、淫魔めがけてご当地キックを炸裂させた。
     その一撃を食らった淫魔が『巨乳なんて……、巨乳なんて……』と叫び、ブロック塀に激突して跡形もなく消滅した。
    「何というか……、哀れだねー」
     淫魔が消滅した事を確認した後、ローランドがえくすかりばーと一緒に、なむなむと両手を合わす。
    「それじゃ、帰ろうか」
     理一がサッと踵を返す。
     麗華は『こんな依頼、もう懲り懲り』と愚痴をこぼしているが、思ったよりも被害はなさそうだ。
    「おっぱいに貴賤なしと言ってはみたが、その大きな膨らみでしか辿り着けない境地……。そいつはまさに男の理想郷。谷間の彼方にある天国の入り口目指して、俺は旅立つのさ」
     次の瞬間、羅生丸が麗華の胸にダイブした。
    「きゃああああああああああああああああああああああああああああ」
     それに驚いた麗華が後先考えず、羅生丸をフルボッコにするのであった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:桃地・羅生丸(暴獣・d05045) 
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年1月19日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 10
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