「くっくっく、本来の役目に加えて、ファーストフードのように気軽に食べられる、これが未来の鏡餅もちぃ」
口元をつり上げたのは、頭に鏡餅をのっけたオッサンだった。いや、それを鏡餅と言って良いのか。餅と餅にはソーセージが挟み込まれていて、橙の載っているべき所には、お子様ランチにでも刺すようなドイツ国旗が新春の風に揺れていた。
「名付けて『ドイツ餅』もっちぃ。うっかり鏡餅を飾り忘れた者達の間にこれを売りさばいて、オールシーズンこの鏡餅が売られる下地を作り、ゆくゆくは世界征服もちぃ」
何だか既に別物になっちゃってる気もするが、ツッコむ者も今のところ居ない。居るのは売り場に用意した屋台の前で腕を組むこのご当地怪人のみなのだ。
「さぁ、あと一時間もすれば人もやってくるもちぃ、朝食代わりに買って行く客の為にも開店準備もちぃ」
時計を確認し、いそいそと屋台の内側に回り込んだ男は鉄板を綺麗に吹くと、どこかから引っ張ってきた延長コードに屋台のコンセントを繋ぐ。
「いざ、世界征服の為にもちぃ!」
こうして誰にもツッコまれないままに、ドイツモッチアは行動を開始したのだった。
「私の未来予測がご当地怪人が暗躍する姿を補足した」
座本・はるひ(高校生エクスブレイン・dn0088)が察知したのはドイツ風に変化させられた鏡餅のご当地怪人で、今はドイツモッチアと名乗っているらしい。
「ダークネスにはバベルの鎖による予知能力があるが、私達の演算はそれを凌駕する。導き出した演算結果に従えば、虚をついて急襲することも難しくはない」
ダークネスは強力かつ危険な敵だが、ダークネスを灼滅する事こそ灼滅者の宿命でもある。
「問題のご当地怪人は妙なところで努力家なのか、ファーストフード店を食べ歩いたり試作を重ねることでより美味しいドイツ餅を作り出し、既にいくらかのファンを獲得するレベルに至っている」
だが、このままゲルマン化を推し進めさせる訳にはいかない。
「幸いにもこのご当地怪人は、店の開店前に一人で開店準備を行う」
はるひによるとこのタイミングであれば、ダークネスに気取られず襲撃が可能とのこと。
「現場は商店街の入り口にある屋台前。朝早い時刻だけあって人も通りかからない。戦うにはうってつけだな」
薄暗くはあるが明かりを持ち込む必要があるほどではなく、敵はご当地怪人ただ一人。
「戦闘になればご当地ヒーローのサイキックに似た攻撃でドイツモッチアは応戦してくるだろう」
この時、屋台の側で戦おうとすると、ご当地怪人はご当地ダイナミックもどきを使ってこない。
「屋台が被害を受けては活動に支障が出るからだろうが」
これに乗じてこちらが屋台を壊そうとするとドイツモッチアは激昂する。
「屋台は諦めて君達を全力で排除しようとするだろう」
故に先方が一つ攻撃手段を自粛するだけで良しとすべきだと、はるひは言う。
「相手は単独とはいえダークネスだ。くれぐれもその実力を見くびらないよう頼むよ」
そう釘を刺すと、はるひは君達を送り出すのだった。
参加者 | |
---|---|
草壁・那由他(モノクローム魔法少女・d00673) |
串刺・庵子(幻想という名の追憶・d05823) |
西原・榮太郎(霧海の魚・d11375) |
小鳥遊・亜樹(幼き魔女・d11768) |
山田・菜々(元中学生ストリートファイター・d12340) |
龍造・戒理(哭翔龍・d17171) |
崇田・悠里(旧日本海軍系ご当地ヒーロー・d18094) |
新舞子・海漣(じゃーにーするー・d21141) |
●開店前の来客
「ゲルマン。この前地理で習ったばかりです」
早朝の肌を刺すような空気の中、白い吐息と共に授業の事を思い出しつつ、草壁・那由他(モノクローム魔法少女・d00673)は呟く。
「ゲルマンとスラブとラテンは地図で時計回りって覚えました」
得たばかりの知識を生かせる場かどうかは定かでないが、そのゲルマンライズされたご当地怪人とこれから戦うことになる。
「ドイツ餅って美味しいのかな?」
エクスブレインの説明を聞いたなら、そんな疑問を抱いてしまうのは新舞子・海漣(じゃーにーするー・d21141)でなくても無理からぬ事だっただろう。
「なんかすごく研究したらしーじゃん? だから楽しみなんだー! どんな味なんだろーね?」
おそらく、口に出していなかったとしても期待に輝く瞳を含む表情が胸中を雄弁に物語り、向けた視線の先にあるのは商店街の入り口。ポツンと佇む屋台の覆いを外している中年男性の頭に何かがのっているのは、遠目にも見て取れた。
(「こういうがんばってる怪人を邪魔するのって、ちょっと気がとがめるけど、ゲルマンパワーを溜めさせるわけにもいかないし、灼滅しないとね」)
(「そっすね。怪人の努力は認めたいっすけど、日本の伝統ものの鏡餅をドイツ怪人に犯されるわけにはいかないっすよね」)
おそらく開店の為の準備を始めているらしい背中を見つけてしまった山田・菜々(元中学生ストリートファイター・d12340)と小鳥遊・亜樹(幼き魔女・d11768)は、顔を見合わせて目で会話すると無言で頷き合う。灼滅者達が狙っているのは、一部の仲間を囮としての奇襲、ここで先方に気づかれてしまう訳にはいかなかったのだ。
(「美味しいものを売ってるだけならそっとしておいてもー……とはいえないのが辛いところだねー」)
灼滅者達にはまだ気づかず、黙々と開店準備をするご当地怪人は真剣そのものだが、海漣達とて依頼されてこの場にいるのだから。
「……まだ開店していませんね?」
やがて灼滅者達は二手に分かれ、きっかけを作ったのは、那由他の一言。
「もちぃ?」
「『ドイツ餅』って珍しいっすね。準備中みたいっすけど、一個もらえないっすか?」
「うちにも一つ頂けませんか?」
振り返ったご当地怪人ことドイツモッチアに菜々が問えば、崇田・悠里(旧日本海軍系ご当地ヒーロー・d18094)が続き。
「と言う訳でな、開店前の所悪いが打っては貰えないだろうか」
「少し待つもちぃ」
二人の後ろに立った龍造・戒理(哭翔龍・d17171)が纏め目て詫びてみせると、屋台の内側に戻って何やら作業し始める。
「うむ、鉄板が暖まるまでちょっと待って貰う必要があるけれどいいもちぃか?」
ドイツモッチアからすれば、これでファンが増えれば儲けものという考えもあったかも知れないが、戒理達に向けられた問いは承諾が形を変えたもの以外の何ものでもない。こうした顧客のワガママにも応える姿勢がファンの獲得に至った可能性もあるが、それはそれ。
●はじめてのドイツ餅
「よし、そろそろ良いもちぃ」
「なるほど、ここで……」
(「ううむ……不覚にも、うまそう、とか考えてしまったんだぜ……」)
手をかざして温度が充分と判断したのだろう、ご当地怪人がウインナーを並べ焼いて行く様を料理人の娘である悠里は熱心に見つめ、じゅうじゅうと音を立てるウインナーに一瞬目を奪われてしまった串刺・庵子(幻想という名の追憶・d05823)は慌てて頭を振った。
(「だがこの戦い、もちもちほっぺとして負けられないんだぜ」)
そう、自分を奮い立たせるものの、音と匂いは凶器だった。
(「うぅ……これが夜食テロならぬ朝食テロ」)
特に接触する仲間を囮に奇襲を試みる一部の灼滅者にとって。
(「しかし、何故に鏡餅にウィンナーという発想になったのでしょうか。安直すぎやしませんかね」)
むろん、例外もいた。奇襲のためにサウンドシャッターで戦場の音を遮断するタイミングを見計らう西原・榮太郎(霧海の魚・d11375)は味に懐疑的だったのだ。
「そも、餅にウィンナーって……合わない気がする」
「そうか? こういう本気で作った意外な組み合わせは捨てたものではないからな」
と、口にしていたら戒理は首を傾げたかも知れない。既にファンを獲得しているとエクスブレインは言っていた、つまりファンを得られる程度には美味しいと言う現実が既にあるのだから。
「む、どうしたもちぃ?」
「その……どうか、うちにコツとか教えて貰えませんか?」
わざわざご当地怪人に教えを請おうと悠里が申し出ることからも推して知るべし。もっとも、料理人が苦労して会得したものを簡単に明かすはずはないと悠里からすればダメもとに近い申し入れだったのが。
「ふむ、帰って家族にも振る舞いたい、もちぃか。良いもちぃよ」
ドイツモッチアはコツどころか注文を取る時に使うメモを数枚ちぎってその場でレシピを書き始める。むろん、ウィンナーを焦がすことなどなく。
「ちょっと若すぎる気もするが、見上げた向上心もちぃ。そこじゃ、見え辛いもちぃ。いま、こっちに踏み台を用意するからそれにのって見るもち。お嬢ちゃんなら良い料理人兼ご当地怪人になれると思うもちぃよ」
「あ、ありがとうございます……?」
おそらくご当地怪人は感心し、手放しで褒めているのだろう。惜しげもなくレシピまで託し、どこか嬉しそうな顔は若い後輩の登場を好ましく思う料理人のもの。
「そう言う訳もちぃ。出来上がったらすぐに渡すもちぃから、その後ちょっと時間を貰えるもちぃか?」
「ええと」
灼滅者達からすればドイツモッチアのここまで真摯な対応は想定外だったに違いない。
(「年下の子が多いのだから、いつもよりしっかりしませんと」)
想定外の自体に言葉に詰まりかけた那由他は、己を奮い立たせて口を開く。
「申し訳ないのですが、あまり時間はかけられないのです」
「む、そう言えば見たところ学校に通う年もちぃね。わかったもちぃ。こんな将来有望な子を遅刻で廊下に立たせる気はないもちぃよ」
唸りつつも事情を誤解したドイツモッチアは悠里へ少し申し訳なさそうな顔を向けた。
「すまないもちぃ。出来ればじっくり教えてあげたかったもちぃが、それはまた今度もちぃ」
ご当地怪人からすれば、実際後日しっかり指導するつもりで口にした約束なのだろう。
(「何でこんな人が怪人に……」)
約束された方は、相手を倒しにくくなったことこの上ない。
「これはいけるじゃん」
「餅にウィンナーがあうなんて、目からうろこっす」
出来たてのドイツ餅を貰って海漣や菜々が舌鼓を打つ中、誰かがほぅと悲しげにため息をついた。
「なかなかやるっすね」
「餅ろん、もちぃ。これからもっとお客も店も増や」
「悪いですが私達が最後の客になると思います」
菜々の言葉へ得意げに返そうとした言葉を那由他が遮り。
「もちぃ?」
「スターティング・マイ・イグニッション!」
モッチアが訝しんだ瞬間、海漣はカードの封印を解く。
「おまえの好きにはさせないよー」
「時間かけすぎよっ!」
解きつつ見えていた、被物質化されたクルセイドソードを手に斬りかかる亜樹と待ちに待たされた庵子が思わず声を出しつつモッチアに襲いかかる様が。
●不可避
「うぐっ、不意打ちとは卑怯もっちぃ」
手の甲で顔へ流れてきた血とウィンナーの肉汁を拭い、ご当地怪人は身を起こす。
「それで終わりじゃありませんよ」
「なっ」
ボソボソと呟くような声にドイツモッチアが振り返った瞬間、榮太郎は死角から斬りかかっていた。
「もぢぃっ、くっ、こんな時に敵もちぃか」
出来上がったドイツ餅を渡し、屋台の裏に戻ろうとしたタイミングを狙っての奇襲はご当地怪人の注意を今までお客と生徒だった者達から襲撃者達へと惹きつける。
(「もう少し離した方が良いか」)
故に、猶予は充分にあった。攻撃に屋台を巻き込まぬよう立ち回りを気にかける程度の時間は。
「蓮華、屋台に流れ弾が飛んで来るようなら打ち落としてくれ」
戒理がビハインドの蓮華に依頼したのは、自分達のワガママを聞いてくれたせめてもの詫びというわけではなく、屋台を破壊されたドイツモッチアが自棄になるのを防ぐ為。怪人を倒して帰るのが灼滅者達の目的なのだから。
「ごめんなさい」
と口にする灼滅者は居らず、ただ殲術道具を敵へと向ける。
「いくっすよ!」
「もちっ?! もちぃぃぃ!」
客であった相手まで敵に回ったことにご当地怪人は一瞬面を食らうも、即座に立ち直ると巨大化し自分を押し潰そうとする菜々の腕を振り抜いた右腕ではじき飛ばす。
「んー。まだこの力、使い慣れないっすね」
「はぁはぁ、そ、それだけやれれば充分もちぃ。今のかなりやばかったもちぃ」
し損じてぼやく菜々に応じたモッチアの息は荒く、頭上に落ちかかる巨大な刀にも気づかない。
「やあっ!」
「もぢっ」
「これでどうですか!?」
斬ると言うより後頭部を殴られる形で前方へ傾いだご当地怪人へ那由他が光輪を撃ち出し。
「良い感じじゃん。あーしらも続くよ、ミレンダー」
高速演算モードになりつつ、海漣はエンジンを吹かすライドキャリバーへ声をかけた。
「その姿やその食べ物を持って、本場のドイツの方に見せてごらんなさい」
「だったら帰るもちぃ! 戦いつつどうやってドイツに行くもちぃか!」
視界の中央では光輪から逃げまわりつつドイツモッチアが那由他と舌戦を繰り広げ。
「『ドイツ餅』って、そもそもドイツに餅ってあるの?」
「それ……しまっ」
投げかけられた素朴な疑問に答えようとしたところで、光輪とマテリアルロッドを振りかぶる亜樹に挟まれたことに気づいて顔を引きつらせる。
「その鏡餅、割っていい?」
「こうなればっ、もっぐっちぃぃ」
「うわ」
もはやかわせぬと悟ったご当地怪人は敢えて亜樹に殴打されつつ懐に飛び込み、慣性を乗せた足で亜樹へ跳び蹴りを見舞おうとし。
「庵珠っ」
咄嗟にを庇った庵子のビハインドを蹴り飛ばす。
「庵珠待ってて、今――」
思わず声をあげた庵子は天使を思わせる声で歌い始め、歌に癒されながら身体を起こした庵珠が霊撃でご当地怪人に応戦する。
「く、多勢に無勢もちぃか」
灼滅者とサーヴァントに包囲されつつ、ドイツモッチアは霊撃を喰らった頬を押さえ周囲を見回し。
「まだ、まだもちぃっ」
奇襲され、集中攻撃を受けつつも未だ折れず。そこから数分に渡る攻防を経てもご当地怪人は立っていた。
「なんで鏡餅をチョイスしたんすか」
「鏡餅を愛しているからに決まってるもちぃ」
菜々の問いに答えを返せる程度の余裕が空元気なのかもしれないとしても。
「鏡餅ってただの飾りで、そんなに努力しても食べられないことも多いっすよ」
「それを変える、変えてみせるのが我が野望。そもそも肉と炭水化物の組み合わせは結構いけるもちぃ、ライスバーガー然り、肉巻きおにぎり然り」
言葉と同時に繰り出される攻撃に傷を増やしつつ指先から放たれたビームが、菜々の頬をかすめた。
「反撃出来る力は残っているようですね」
「だが、狙いが甘くなっている、蓮華」
榮太郎の呟きに頷いた戒理は、幾度目かの分裂させた小光輪を味方の盾としビハインドの名を呼ぶ。
「こっちもゆくじゃん、ミレンダー」
「もぢぃぃぃ」
再び始まった集中攻撃を絶え凌ぐ力をもう、ご当地怪人は持っていなかったのだ。
「見事、もちぃ。だが、私を倒したところでいずれ第二第三のモッチアが現れることだろう」
ドイツモッチアは不敵に笑む。
「アンタのご当地愛だけ頂くじゃん、ゴチ!」
というかモッチアはもう既に結構でてるのだけれど、敢えてそこにはツッコまず海漣は親指を立てる。ひょっとしたらそこにドイツ餅の味への賞賛が含まれていたのかも知れない。
「苦労して編み出したレシピが無に帰すのでなければ料理人としても悔いは……ない。ゲルマンシャーク様ばんざぁぁぁいもっちぃぃ」
仰向けに倒れ込むなりご当地怪人は爆散し、沈黙したままその灼滅を見送った那由他が徐に口を開く。
「日本の餅をなめては、いけないもっちぃ……ってね」
たぶん、言わなくてはと思っていたのだろう。ともあれ、こうして戦いに幕は下りたのだった。
●受け継がれて
「屋台は無事の様だな」
周囲を一回りした戒理は、確認を終えて小さく息を吐いた。灼滅者達が壊れぬよう心を砕いたからか、目立った損傷も見あたらない。
「で、何か作るじゃん?」
調理するには問題なく、灼滅者達の手元にはドイツモッチアの残した手書きのレシピもあるし、屋台には今日の営業分の材料も残っていた。
「努力を重ねた結果のドイツ餅が完全に消え去るのは悲しいですし、常連のお客さんが来るはずですから」
海漣の質問に答えたのは、ご当地怪人が用意してくれた踏み台をじっと見ていた悠里。
「レシピも伝えて、正しい意味でのご当地料理になったらなあ、と」
思うところがあるのだろう。俯いたまま言葉を続けると保冷容器からウィンナーを取り出し。
「じゃあ、あーしもお手伝いするじゃん!」
「崇田さん、自分も手伝いますよ」
調理を始めた仲間の姿に海漣が協力を申し出れば、榮太郎も続いて屋台の裏手に回る。レシピ提供したらゲルマン化阻止したとは言えないんじゃとは誰も言わない。一応、中核のご当地怪人は討たれたのだ。
(「庵子もやってみるんだぜ」)
声には出さず、調理に参加表明して庵子も鉄板の前に立てば、その横に立ったのは、蓮華。
「おや、蓮華作ってくれるのか?」
ビハインドに料理が出来るのかは謎だが、何処か嬉しげに問う戒理の姿を見れば追求するのは野暮か。
「焼き具合はこれぐらいでいいですか?」
「大丈夫です。後は調味料とお好みで追加の具材を……西原先輩は、お餅焼きます?」
流石に第一号をお客に出す訳にはいかず、レシピと睨めっこしつつの作成風景の中。
「おもちは美味しかったけど……ここはあーしのご当地じゃなかったじゃん……残念」
ご当地怪人の作ったオリジナルの味を思い出しつつ、海漣は屋台のフレームに切り取られた空を仰ぐ。
「ドイツ餅ってこととはドイツがご当地? じゃあそもそも違うかー……」
独り言を呟き、視線を鉄板に戻す仲間を見ていた那由他の手元には、早速完成した試作品が一つ。
「少し気を抜くと、いろんなものが開発されて、いろんな怪人さんが出るのかもしれませんね」
湯気の立つ熱々のドイツ餅を頬ばり、目を向けた先は開店前の飲食店。
「もうそんな時間帯ですか」
ガラス越しに見えた中には店員の姿があって、今日も街は動き出そうとしていた。
作者:聖山葵 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年1月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 6
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