ヘリコプリオン~螺旋鮫

    作者:那珂川未来

     延々と生え続ける歯を収めるため、螺旋のように巻いた下あごの、奇妙な形の古代魚。太古の鮫、ヘリコプリオン。
     その古代魚の亡霊が、この海にいるとの噂。
     変な鮫を見た、なんて他愛もない見間違いから発生したものだったのであるが――。
     ふわりと、空に揺らぐ影。
     陰影は次第に鮫を形作り、そして噂は完全に形を成して。
     翼なくても、水がなくても。
     その鮫は空を泳いで獲物を探す。
     不意に鮫のスピードを増した。
     学校帰り、ふ頭近くを歩いていた女の子が躓いて、手の平をすりむいて。
     微かな血の臭いに反応するのは、本物の鮫と同じ。
     燕の様な速さで空を泳いでいるヘリコプリオンは、歯がみっちりと詰まったぐるぐる巻きになっている下あごを鞭の様にしならせながら――大きく口を開けた。
    「わ!? なにあ――」
     あっという間に消え失せた、少女の頭。
     残った体も、翻った巨大な鮫に一飲みにされた。
     
     
    「太古の浪漫。いいや男の浪漫。古代魚やモンスターフィッシュを釣りあげるその奇跡の瞬間――まさに、時が、来たようだな!」
     神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)は何故かワカサギ釣り用のさおを肩に担ぎ、眼を血走らせた。
    「釣って……いや灼滅してもらうのは、ヘリコプリオンっていう、太古の鮫の形をした都市伝説だ。今深海魚やらがブームのせいもあるのか、漁師か釣り人の勘違いから生まれたらしい」
     体の形は鮫とほぼ同じ。しかし延々と延び続ける歯が抜けぬまま、下あごが渦を巻くように伸びた異質な鮫の姿。
     鮫自体軟骨魚類なので、実際太古に存在していた形と同じだという確証はない。しかし所謂想像図と噂の絡みあいで具現化したものの形は、こういったものであるらしい。
    「今から向かえば、最初に犠牲になる恐れのある小学生女子が転ぶ前には、現地に到着できる。で、この血の臭いに反応する方法を使えば、ヘリコプリオンをおびき出すことは可能だ。ただし、そこそこの傷を自分につけなきゃなんないがな」
     血が流れる程度に指先を切るくらいでいいという。サイキック使えば容易く治るだろうし、そもそも戦闘に支障をきたすことにはならないとか。
    「傷を強制することになって悪いが、転んだ小学生女子がいきなり空を泳ぐ鮫に襲われて、取り乱すよりはましかなと思う」
     ヤマトは付近の地図を広げながら、
    「幸い、この港の向こうに遊泳できる砂浜があってな。さすがに冬だけあって、人はいない。ここで誰かが血の臭いをさせれば、都市伝説の出現ポイントのより近い場所で誘えるから、結果小学生女子を守ることにもなる」
     ヘリコプリオンは、切り傷を付けてから、そんなに待たずに現れる。
    「で、話の通り、相手は空を泳いでいるが、ポジションはクラッシャーだ。旋回したり勢いをつける時に飛翔したりするだろうが、基本は獲物がいる地上付近を泳ぐから、近接が届かないということはない」
     性質のまま、死ぬまで泳ぎ続け、食らおうと襲い掛かってくる。配下などは特にいないが、全体的に能力が高めだ。
    「こんな鮫を野放しにしちゃおけないからな。宜しく頼んだぜ」


    参加者
    アルファリア・ラングリス(蒼光の槍・d02715)
    椎名・茜(明日はきっと向こう側・d03875)
    アレクサンダー・ガーシュウィン(カツヲライダータタキ・d07392)
    森村・侑二郎(宇治抹茶金時・d08981)
    シャルロッテ・クラウン(残念な海賊きゃぷてんくらうん・d12345)
    静杜・詩夜(落藤の雫・d17120)
    鈴木・昭子(籠唄・d17176)
    大須賀・エマ(ゴールディ・d23477)

    ■リプレイ

     日の落ちてゆく黒々とした海原と、白波が寄せては引いてゆく様を、森村・侑二郎(宇治抹茶金時・d08981)は感慨深げに見つめていた。
     肌を撫でる潮風の香りも、彼の記憶の中には無く。そして、アレクサンダー・ガーシュウィン(カツヲライダータタキ・d07392)の釣りの準備も、無表情ながらも瞳は興味を灯す。
    「初めてか」
     一言に二つの意味合いを込めて。熟練の釣り師の様な佇まいで、アレクサンダーは餌に鋼糸を巻きつけながら、侑二郎に問うた。
    「ええ、そうなんです、ハイ」
     特異な生まれを持つものが多い学園の者達。海を知らぬ侑二郎の素直な返答にも、別段驚くことはない。
    「鮫は良い……。心が洗われる……。一度、ケージに入ってホオジロザメを観察するツアーに行ってみたいものだ」
     肌がびりびり来るほどの迫力に満ちた素晴らしい体験に違いないと、憧れを零すアレクサンダー。目深に被った学生帽の奥からでも、少年のような純粋さと好奇心が溢れんばかり。しかも今回、都市伝説であり、太古の鮫であり――そういう意味ではまさにモンスターシャークに相応しいものがお出ましするのだ。こんなチャンスを逃す手は無いと、マテリアルロッドに鋼糸を垂らし。殲術道具の組み合わせた自前の竿で、ご挨拶がわりのフィッシングと洒落こむ所存。
    「しかし螺旋の歯を持つ古代鮫か。都市伝説とはいえ、実に興味深いな」
     興味津々の静杜・詩夜(落藤の雫・d17120)。人を襲う生を得る故見逃すことはできずとも。ただ時の流れに朽ち果てていった生命の記憶に、直に触れられる瞬間に立ち会えることに、好奇心を抱かずにはいられなくて。
     アルファリア・ラングリス(蒼光の槍・d02715)も一つ頷き、
    「現在の生物にはおよそ見られない下あごとされていましたし――確かに興味は尽きませんね」
     鮫には限らずとも――うみのしんぴにまぢかでふれたいきもちはいたいほどわかるぜと同意を示す、シャルロッテ・クラウン(残念な海賊きゃぷてんくらうん・d12345)。
    「かんがえただけでわくわくするじゃねーか」
    「はい。ろまんです。とってもろまんです」
     大興奮のシャルロッテと、顔を見合わせ頷きあう鈴木・昭子(籠唄・d17176)。表情は際立たなくても、目はきらきら。
    「都市伝説と化すのも、わかる気がするな」
     女性であってもこれだけ心踊らすのだから、当然サイキックエナジーに結びつき易かったのであろうと、詩夜は納得したように。
     しかしお魚苦手な侑二郎は、実は皆さんのテンションについてゆけず、怖気づいていたりもするが、しかし顔には表さない。
     ともあれ。
     アレクサンダーは餌の背に傷を入れ、ナイフの血も拭きとらぬままそのまま置いておき、早速古代鮫のハント――もとい灼滅のための誘き寄せを開始する。
    「いや、コレ楽しみだなー」
    「うまく餌にかかればいいねー」
     どんなドラマが繰り広げられるのか、わくわくしながら海眺める、大須賀・エマ(ゴールディ・d23477)。もちろん、これがうまくいかなかった場合も考えて、血を流す覚悟も、用意も怠らない。上手く釣れますようにと祈りつつ、椎名・茜(明日はきっと向こう側・d03875)は、出現の瞬間を見逃さぬよう空へと視線巡らせ。
     だがそんな心配も杞憂なほど。幾許もせず、黄昏の空に形を成してゆく陰影。それだとわかるほど、はっきりと渦巻く螺旋の顎。
     出現の時点で、すぐに血の臭いの在処を知っていたように。滑らかに動く尾鰭、鰭を翼の様に広げ。それは空を滑るように泳ぎ始めて。
    「あそこだよ!」
    「凄い速さだ、みんな気を付けろー」
     茜は声高らかに指差して。ぐんぐん近づいてくる鮫の速さは鳥よりも早いと、エマは注意を飛ばして。
     ただ生存本能を満たすだけに世界を見つめる様な虚ろな目は、冷血さを際立たせているようにも見え。しかし獲物を見つけ狂乱する下顎は、獰猛の一言につきた。
    「本当に歯が螺旋状になっておるのだな……」
    「すっげーくちしてやがる!」
     せめて戦いが始まるその瞬間まで。詩夜は太古の空気を感じながら、空を泳ぐ鮫の顎の作りを興味深く見上げ、シャルロッテは歓喜に声上げて。これぞかいぞくみょうりにつきるってやつだぜと、テンションぐいぐい上昇中。
     吻を突きあげ、生々しく浮き上がる鋭利な刃を露わに、ヘリコプリオンは血の臭いへと喰らいつく。
     浅瀬が激しく飛沫をあげると同時に、
    「――おおおおお!!」
     砂に踏ん張り、腕に筋を浮かせ。鮫と格闘するアレクサンダー。
     ぎんぎんに張りつめる鋼糸。ロッドがしなる。これが殲術道具でなければ、一瞬にして破壊されただろう。
    「この手ごたえ! やはり釣りはこうでないと!」
     ヘリコプリオンが暴れ、水面は刃で斬られるように割れて。今にも海へと掻っ攫われそうな力。相手は都市伝説。普通の鮫とは自力が違う。そんな歓喜にアレクサンダーは飲まれそうになりながらも、封縛糸を仕掛けるチャンスは逃さない。
     いきなり傷を付けられて、ヘリコプリオンはいきり立ったように歯を晒し、顎を躍らせながら、アレクサンダーの腕に食いついて。
     鮮血に濡れた腕へと、詩夜がすぐに癒しの円環を飛ばして。障壁形成すると同時に、瞬く間に傷口を塞ぐ。
    「あなたが釣られるか、わたしたちが食われるか、勝負なのですよ」
    「よっしゃ! こい、へりざめ!」
     足元に揺らぐ漆黒の上、昭子は踊るように軽やかに、籠を織る様に影を伸ばし。シャルロッテの影は鮫肌を削ぐように薙いでゆく。
     侑二郎の刀身に炎巻く。スキップジャックの突撃を難なくかわしたヘリコプリオンの横っ面へ向けて刃を振るう。
     けれどレーヴァテインはかわされて。尚も炎飲みこむ様な波紋奔り、冷気が周囲に迸る。
     ぎしりと絡みついてきた霜を、身に施していた電光が砕いて。その勢いのまま茜がご当地ダイナミックを繰り出そうと掴みにかかる――が、獰猛な見た目通りといえばいいのか、気魄系のサイキックに対する反応は抜群。殆んどすり抜けられる。
    「エマも影縛り持ってくればよかったー」
     捕縛して動きを止めるのに加担出来たのにと、悔しがるエマ。
    「捕縛。だいじょうぶです。まかせてください」
     昭子の影が網を張るように広がって。アレクサンダーは無言だが、スキップジャックを巧みに操りながら封縛糸で鰭を縛ることによって、エマのフォロー。
     皆が頑張ってくれるから、エマは今活性している力で頑張るしかないと。
     スナイパーならさすがに当たるでしょ。腕に鬼神の力を宿らせると、背びれに拳を叩きつけて。
     音もなく空を裂くヘリコプリオン。螺旋の顎で侑二郎の左腕の肉をかっさらってゆく。
     光沢乏しい黒い眼。眼前に迫られれば尚わかる。人が鮫に抱く畏怖や嫌悪、そして憧れ。
    「……やっぱり凶悪ですね、見た目」
     近くで見たくないなぁとうんざり。
     だからというわけではないが、侑二郎が懸念する様に、長引くと厄介だろう。出来る限り意識を結んだ仲間達同士で連携して、鮫を追いこんでゆきたいところだが――今回感情の活性化率が乏しい。 
     連携を駆使されるより、単独で動く方が捉えやすい。多角的よりも、順々に攻撃を出される方が相手も対応し易いのだ。
     ならば。侑二郎は、同時に仕掛けるタイミングを合わせにくくても、出来る限り前衛の人たちの攻撃後に連撃として打ちつけるように意識。
     昭子の縛霊撃を抜けてゆくヘリコプリオンに回り込む様に、侑二郎が氷結を奔らせ。
     ものすごい勢いで砂から突き上げてゆく氷の刃の一つが、ヘリコプリオンの肌を裂く。
     血が噴出する傍から、凍り付き食い込む力に苛立ったように。
     咄嗟に庇いに入るアルファリア。閃光百裂拳でお返し。
     気を込めて連打するその腕が、ヘリコプリオンを物理的に地面へと縫い付けるように。
     衝撃に地に落ちて。どん、と砂浜が爆発する。
     しかしその砂の中から、勢いよく飛び出す鮫の吻。まるで海面から突如姿を現わしたかのよう。歯茎晒し、渦巻く顎しならせ、アルファリアに狙い定め。
     みっちりと詰まった牙が弾き出され、肌を削いでいく。
     急所は反らしたものの。しかし連続で受けたダメージは計り知れない。
    「くっ、あの下あごのおかげで映画の鮫より余程迫力がありますね」
    「誰も膝を付かしたりはさせぬ」
     自らの周囲にリングを巡らせるアルファリアの補佐をするように、即座に詩夜の柔らかな歌声が大気に溶け、抉られた傷を大きく癒して。シャルロッテと、昭子が追撃させぬよう攻撃で気をひいて。
    「昔であればなおさらに、変わった姿の生物がいたとしても不思議じゃない、んだけど……」
     そのぜんまいみたいな歯は、そんなに大事なんだろか?
     抗雷撃を打ちこみながら、進化の不思議を、生命の設計者に聞いてみたいと茜は思う。
    「ってゆーかこんな潮くさい氷浴びせられちゃうとかないんだけど」
     身を苛む魔氷を払い飛ばしたあと、鬼神宿すエマ。
     ヘリコプリオンは、打ち出された鬼神変をものともせずに突っ込んできて、今度は茜へと喰らいつく。
    「くっ」
     すれ違いざま炎を浴びせてやったものの、腹を抉った一撃は重い。溢れんばかりの血が砂へ落ちてゆく。
     咀嚼とも言い難い口の動きで、奪った力を飲みこんで。今度は下顎がエマの喉笛を抉り取ろうと伸びる。
     咄嗟にかわそうとするも間に合わない。けれど――アレクサンダーを乗せたまま、スキップジャックが飛び出して。
     歪な金属音。
     相棒砕かれたものの、しかしその頑張りに応えるよう。
    「鰹出汁スプラッシュ!」
     零距離で打ちこむご当地ビーム。
     ヘリコプリオンは顎に残ったスキップジャックの一部をばりばりと粉砕して。そして怒りのままアレクサンダーへと。
     尾鰭の一撃に完全加護崩壊を余儀なくされながらも。昭子が攻撃から庇って事なきを。
    「やっぱさめにはこいつだよな!」
     シャルロッテが銛の形で打ち出すデッドブラスター。
     側面にぶっ刺さり、空に垂れ流す血は酷く淀んで。
     身を振り乱すヘリコプリオンへと、続く茜が無敵斬艦刀を大きく振り上げて。
    「時代を間違えた生き物は、誰かを傷つける前にささっと噂の中へと消えていってもらおうか」
     女の子はもとより、仲間も、自分も。かなりギリギリの前衛陣、詩夜も回復のみしか動けぬ状態。
     けれど疲弊しているのが明らかな鮫。再びこちらを喰らって勢いづく前に。
     威力を補う様に。重力を味方につけて打ちおろす斬撃。
     巨大な刃が、したたかにヘリコプリオンの体に沈む。
     鰭の一つが完全に切断されて。浮力のバランスを失い泳ぎが衰えたその体へ、更にアレクサンダーの斬弦糸が背びれを打ち抜く。
     糸に込めた波動に呼応して、経験したことの無い圧力に身は歪み、絡まる力にぎしり、ぎしりと軋みを立てて。
     その鋭い索餌能力が今や空回り。
     捉えられず砂を食み、舞い上がったところで打ち抜かれ。縛めに痙攣し、滑らかな動きは影もない。
     しかしそれでも、ヘリコプリオンは止まらない。
     止まることは死であるが故の性を、都市伝説であろうとも忠実に守って。
     吻を突きあげ、進化と適応の果てに繁栄する人間を恨むかのような淀んだ眼。
     浮かぶのは、生存競争に勝つためだけの執念。
     激しく躍りながら、螺旋の顎を振るう。全ての皮膚を引き剥がす様な激しい痛みが、アルファリアの半身を突き抜けてゆく。
     目の前を横切る瞬間の巨体。捕縛で動きに制限が掛かる今なら――アルファリアは反射的にエラを掴むと、その勢いにかっさらいそうになりながらも。
     渾身の力込め大胆に。型を崩さず流麗に。アルファリアの地獄投げに、ヘリコプリオンは背中から砂浜へと打ちつけられる。
     裂けんばかりに口をあけて、地に背を地につけるという屈辱に怒る様に。迸ったのは激し水飛沫。世界をまるで海底に満たすかの如く。
     びきり。ヘリコプリオンの怨念でも乗り移ったのように、前衛陣が全員氷に侵されて。
    「護って見せよう」
     これ以上、鮫の好きにはさせぬと。詩夜のその手より紡がれる、カミの風。舞うように両手を返し解き放てば。煌めき零す清浄な風が、凍りつくような空気を祓い、傷をいたわる様に撫でてゆく。
    「その首……よりも気になるそのぜんまい、置いていってもらうよ!」
     茜のご当地キックが炸裂し、揺らいだところへ――侑二郎より放たれた鋭い月光の一閃。
     ガッと、鈍い音と手応えの果てに――勢いよく海へと吹っ飛んでいった螺旋。
     身を仰け反らせ、無音で吠え猛るヘリコプリオン。
     無茶苦茶に空を舞い、暴れ、赤黒い血をぶちまけて。
     それでも。
     鮫は泳ぐことを止める事はない。
     存在理由、存在価値、全てを込めるように。
    (「――死ぬまで泳ぎ続けて向かってくる、のは。すこしだけ、親近感を憶えもします、けれど……」)
     腹の底まで見えそうなほど開かれた口を真正面に。昭子は、麗しき花綻ぶマテリアルロッドに、祈りと羨望を込めて。
     凝縮した力は、降り落ちる彗星の様に、ヘリコプリオンの頭蓋を響かせた。
     錐揉みしながら墜落し、ぼろぼろと崩れ消えゆくヘリコプリオン。
     ――りん。
     時の彼方、本当の居場所に戻してあげるように。
     優しい鈴の音が導く様に、波の音に溶けてゆく――。


    「こんなすっげーやつがでてくるなんざ、うみってはやっぱすげーよな!」
    「海に潜ったら、もしかしたら、うわさの元になった変な鮫の影とか見れるかもしれないよね♪」
     遥か遠き時代から、様々な海の生物がいたことを考えて。倒した実感と共に、再び浸るシャルロッテ。本物のモンスターシャークとか居たとしたら本当に浪漫だわと茜。
    「ふう、さすがに戦いも終われば寒いですね」
     アルファリアはぷるりと震える体をさすりながら、
    「何か少し体が温まるものをいただいてから戻りましょうか?」
    「あ、さんせいです。さんせいです」
    「エマもいくー。おすしたべたい」
    「フカヒレ食べたいですね」
     すてきな提案ありがとうですと昭子。エマは魚類を倒したあとだけに、ついそんな要望が。スープなら体も温まりますしと、侑二郎。
    「よし、では早速行こうか」
     釣り具等きちんと片づけて。アレクサンダーはほんの一瞬でも太古のモンスターとやりあえた満足感と共に立ち上がる。
     詩夜は不意に海へと振り返る。
     砂浜には、優しい漣の音。
     彼女の好奇心を揺さぶるほど、生命の神秘溢れるヘリコプリオンであったものは、この世から消えたけれど。
     人が描く夢と浪漫は、果てる事無く。


    作者:那珂川未来 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年1月29日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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