湖沼に伝わりし伝承

    作者:緋月シン

    ●湖沼に現れしモノ
     千葉県北西部。印旛沼。
     利根川下流右岸、下総台地の中央に位置しているそれは、昔に比べればその面積を半分以下としているものの、依然として湖沼としては千葉県内最大の面積を誇っている。
     その最北端。
     そこに、それは居た。
     既に日は沈み、周囲は闇に包まれている。だというのに、その姿ははっきりと目にすることが出来た。
     燃え盛る炎のように揺らめく外見は狼に似ており、その額には三日月の如き傷が浮かんでいる。
     それ――スサノオはしばし湖沼の底の方を眺めていたが、唐突に顔を上げると、吼えた。
     周囲に鳴き声が響き……だが何も起こらない。それでもスサノオは満足したように背を向けると、そのまま消えていった。
     それからどれほどの時間が経過したか。風もないというのに、不意に湖面が波立った。
     最初は小さかったそれは、時間が経つごとに大きくなり、やがて一つの形を取る。
     さらにそれが起こったのは一箇所だけではなかった。それは別々の場所で、しかし同時に三つ。
     それは全て別の形であり、だが同時に何だか分からない黒い塊のようなものでもあった。
     そして現れたそれは、直後に一箇所に集まる。三つの塊が、まるで最初からそうであったかのように一つの形を成す。
     その胴体に巻き付いた鎖が、水面を叩いて音を鳴らす。
     自らを誇示するように、吼えた。

    ●印旛沼の竜伝承
    「さて、さすがにこれもそろそろ言い慣れてきたわね……もっともまったく嬉しくはないのだけれども」
     千葉県北西部にある印旛沼。四条・鏡華(中学生エクスブレイン・dn0110)が口にしたそこが、今回スサノオによって古の畏れが生み出される場所である。
    「印旛沼の竜伝承、と言えば、そのものを知らなくても今回何が現れるかは分かるかしら」
     つまるところ、今回現れるのは竜であった。
    「とはいえ伝承に伝えられている竜は何か悪いことをしたわけではないわ。むしろいいことをしたのだけれども、そのせいで自身が破滅してしまった、というところね」
     印旛沼にはかつて沼の主である龍がいた。人の好きな竜であり、ある時人々の助けの声を聞いて雨を降らせたが、それは竜王に禁じられていたことであった。
     そのために竜王の怒りを買ってしまい、胴体を三つに分断されてしまう。
    「それを嘆き悲しんだ村の人達によって供養され、その三つはそれぞれが落ちた場所に建てられた寺に祭られている、という話なのだけれども……或いはそれを、こう考える人も居たのかもしれないわね」
     自分達を助けたことで、竜は殺されてしまった。だから、人間を恨んでいるに違いない、と。
    「実際にどうだったのかは分からないけれども、古の畏れとして出現してしまったのは事実よ。放っておけば、暴れて周囲に被害を出してしまうわ」
     その前に、何とかしなければならない。
    「竜が出現するのは深夜。幸いにも、周囲に人の姿はないわ」
     それでも場所を考えれば、あまり悠長にしていられる余裕は無いだろう。
    「竜の全長は五メートルほど。攻撃方法は水を操り、その尾でも攻撃してくるわ」
     攻撃の手段は少ないが、その分一撃一撃が強力だ。十分に気をつける必要がある。
    「スサノオの行方は相変わらず分からないけれども……でも、そうね。そう遠くないうちに分かりそうな、そんな気がするわ。もっともこれはただの勘だけれども。ともあれ、今回のことを解決するのが先よ。それじゃあ、頼んだわ」
     そう言って、鏡華は灼滅者達を見送ったのだった。


    参加者
    加藤・蝶胡蘭(ラヴファイター・d00151)
    ミレーヌ・ルリエーブル(首刈り兎・d00464)
    月代・沙雪(月華之雫・d00742)
    ギィ・ラフィット(カラブラン・d01039)
    ツェツィーリア・マカロワ(唯我独奏ロコケストラ・d03888)
    時宮・霧栖(ドレッドブラッド・d08756)
    彩辻・麗華(孤高の女王を模倣せし乙女・d08966)
    高柳・一葉(ビビッドダーク・d20301)

    ■リプレイ


     空に輝く月が、周囲を優しく照らしていた。
     そこに例外はない。どんな人であろうと、どのような物であろうと。
     ――例えその相手が、古の畏れと呼ばれる存在であったとしても、だ。
     月光をその身に浴びながら、鎌首をもたげる古の畏れ――竜。印旛沼より発生したそれは、湖沼の外に出るとそのまま北東へと向かい始めた。
     だが。
     進路の先、それを妨げ塞ぐように、八つの人影がある。
    「竜っすか。オリエンタリスムいっぱいっすね」
     それを眺めつつ呟いたのは、そのうちの一人、ギィ・ラフィット(カラブラン・d01039)だ。
    「これで人を襲わなければいいんすけどねぇ」
     ぼやくように言うも、どうしようもないことだと分かってはいる。それでも、つい言わずにはいられなかった。
    「印旛沼の竜ですか。とっても強そうですね……」
     視線をそちらへ向けながらも、月代・沙雪(月華之雫・d00742)の意識は、僅かに内へと向いていた。そこにあるのは、事前に調べておいた伝承より得た優しい竜のイメージだ。
     しかし……いや、だからこそ。
    「ですが、被害を出さない為にも倒さないとなのです」
     畏れとなってしまった以上は、何としても灼滅しなければならない。
    「こういう伝承って、色々な解釈が出来るのが面白いわね」
     ミレーヌ・ルリエーブル(首刈り兎・d00464)がそう言いながら向ける視線の先、その視界に映し出されている姿もまた、解釈の一つだ。
     ただ解釈とは、人によって異なるものである。
    「私は、本人が好きでやったことなら、それで命を落としても恨みはしないと思うわ」
     少なくともミレーヌは、そう思う。
    「本当に竜がどう思ってたかは解らないけど、畏れから生まれた竜が人を襲うなんて本物の竜がちょっと可哀そうだな……」
     けれど今ならばまだ、被害は出ていない。
     その前に止めると、時宮・霧栖(ドレッドブラッド・d08756)は少しだけ目を細めた。 
    「人の好きな竜の伝承がこんな形で古の畏れとして具現してしまうとはな」
     加藤・蝶胡蘭(ラヴファイター・d00151)の見詰める先、竜は少しずつ近付いてきている。
     その竜の元となった伝承に出てくるのは、優しい竜だ。だがこのままではそれは、恨みに染められてしまうだろう。
     だから、そうなる前に。
    「絶対に止めて上げなくちゃな!」
     言いながら、気合を入れた。
     と、皆が竜を眺めながら、それぞれに考えている中。
    「スサノオは畏れを生み出してばかりいるけど、何の目的があって、こんなことしてるんだろう」
     高柳・一葉(ビビッドダーク・d20301)がふと、そう呟いた。
     が、たった今言葉を吐き出したその口へと、次の瞬間には食べ物が放り込まれる。もぐもぐと口を動かし、咀嚼していく。
     別に緊張感がないわけでも、やる気が無いわけでもない。それが一葉の、いつも通りの姿であるだけだ。
     しかしそれを食べ終えるまで待っても、誰からの返答もなかった。
     その姿に呆れたわけではない。ただ、応えるべき言葉を誰も持っていなかっただけのことだ。
    「ところで今更だけど、古の畏れって何? 都市伝説とは何が違うのかしら」
     その代わりというわけでもないが、不意に思い出したように首を傾げながらミレーヌが呟く。
     だがそれもまた、誰も応える言葉を持たない問いであった。
     とはいえまだそれらは発見されてから日も浅い。分からないことが多いのは仕方の無いことだろう。
     それもいつかは、分かるようになるのかも知れないが。
    「ま、考えたって分からないっすね。まずはあれを灼滅しやしょう」
     とりあえず、考え事をしていられる時間は終わったらしい。
     ギィの言葉に従うように視線を向ければ、竜はもうすぐそこまで迫っていた。
    「古の畏れと分かっていても、これを倒せば自分たちはいっぱしのドラゴンスレイヤーっすよ。無敵斬艦刀を叩き込む相手として不足なし。伝承の竜も自分の似姿が人を襲うところは見たくないでやしょうし、古の畏れが周りに被害を出す前に仕留めやしょう」
     嘯くその手には、スレイヤーカード。
    「新しい脅威、ねぇ。目の当たりにすんのは初めてだが、大物狩りを期待していいんだよな。古の畏れだっけか、こういうのが相手ならすげぇ燃えてくるぜ」
     不敵な笑みを浮べながら、ツェツィーリア・マカロワ(唯我独奏ロコケストラ・d03888)が構える。
     蝶胡蘭と霧栖によって既に人払いは行われており、一葉によって周囲の音も遮断されている。
     余計なものは何も無く、目の前には敵。
     ならば。
    「作り物とはいえ、大した迫力っすね。それでこそ倒し甲斐があるっす。さあ、いざ尋常に勝負っすよ」
     その言葉が、合図となった。
    「殲具解放!」
    「Lockn'load!」
    「刎ねろ、断頭男爵」
     直後に叫ばれたのは、解放の言葉。
     間があったのは一瞬のみ。次の瞬間には、それぞれが纏い構えた殲術道具が、竜へと向けられている。
     そして。
     戦闘が始まった。


     皆が一斉に動く中、真っ先に飛び出したのは、彩辻・麗華(孤高の女王を模倣せし乙女・d08966)であった。
     ただしそれは、戦闘の為ではない。
    「この地を守護される主と御見受け致しますわ」
     竜といえば、知能ある生物だ。スサノオについて何か聞けないか、そう考えての言葉である。
     そうして問いかけ眺めながら、それにしても、と麗華は思う。
     事前の情報から、蛇系の竜――辰年のイメージのようなものを思い浮かべていたが、どうやらその通りであったらしい。
    (「西洋の二足蜥蜴系ドラゴンの方が好きですけど、こちらもファンタジー満点で良いですわね」)
     頭の片隅でそんな思考をしつつも、僅かに反応を見せた竜を見やる。
    「貴方に血肉を授けたスサノオについて、何か――」
     御存知無いかしら? と、続けられるはずだった言葉は、音にはならなかった。その前に麗華が口を閉ざし、後方へと跳び退いたからである。
     直後、麗華が直前まで居た場所が轟音と共に薙ぎ払われた。
     反応があったためにもしやと思ったが、どうやら単に声に反応しただけらしい。
     もっとも最初から駄目元だ。とにかく情報が欲しいが為に試しただけであり、駄目ならば全力で倒すだけである。
    「よう大将、探し物かい? その前に俺らと遊んでくれねェか」
     そんな麗華と入れ替わるように前に出たのは、ツェツィーリアだ。
     迎撃するように竜より水撃が放たれ、かわしきれなかったそれに身を削られるも、その足は止まらない。むしろ浮かべていた笑みを深くし、さらに前へと踏み込んだ。
     懐に踏み込むのと同時、その拳に宿されているのは雷。次なる一歩を刻み、その身が宙を舞う。
     ぶち込んだ。
     伝わる雷がその身を焼き、しかし竜に休む暇は与えられない。
     それが撃ち込まれたのとほぼ同時、空中で体勢を整えた麗華が動いた。構えていた槍を、着地の瞬間に振るう。
     当然槍が届く距離ではないが、何の問題もない。その軌跡を追うように、妖気が冷気のつららに変換されていく。
     振り抜いた瞬間、勢いよく撃ち出された。
    「うっわ、近くで見ると凄い迫力。さすが竜っていわれるだけあるわ~……」
     視界の端でつららが竜の身体に突き刺さるのを確認しつつ、霧栖は竜の身体を見上げる。
     だが感心したような呟きながらも、その身体は戦闘のために動いていた。
    「ま、アタシ的に色々思う所は少しあるけど、仕事は仕事。依頼はきっちりこなさないとね」
     言いながらその影より生じるのは、隼の群。
    「スサノオの力で作られた記憶とはいってもその怒り自体は本物……。気を抜いて戦える相手じゃないよね」
     完全に離れることは無く、尾が影と繋がっているそれらが、霧栖の合図により飛び立つ。
     竜の動きを絡み取るべく、一斉に群がり啄んだ。
    「五メートルか、間近で見るとやっぱり大きいな」
     それに合わせるように飛び込んでいたのは、蝶胡蘭である。見上げ呟きつつも、それはただの感想に過ぎない。
     直後に身体を中空へと躍らせると、雷を宿した左の拳を握り締める。
     叩き込んだ。
     先の雷が抜けた頃に、再度の雷。続けられたそれに竜も頭に来たのか、その尾がピクリと動く。
    「尾の動きに注意を!」
     尾を注意を向けていた蝶胡蘭がそれに気付き叫ぶも、さすがに攻撃した直後では自身の回避は間に合わない。
     薙ぎ払われた。
    「……っ!」
     それでも耐えることが出来たのは、一応回避行動に入っていたこと。それと、一葉が広げていたシールドのおかげだろう。
     前衛に対して行なわれたそれは、当然ながら蝶胡蘭も効果の範囲内だ。
     さらにそこを吹き抜けるのは優しき風。
    「五mの竜……さすがに大きいですね。見上げるのも大変なのです」
     竜に視線を向けながらも沙雪より放たれたそれが、その身に負った傷を癒していく。
     そしてその間に動き、竜の死角へと入り込んでいた影が一つ。
    「大きいわね。でもそれはつまり、的が大きくて当てやすいってこと」
     ミレーヌである。
    「体が大きいと動きが遅いっていうのもセオリーね」
     その手に握られているのは、断頭男爵の鋭牙。
     振り下ろし、斬り裂いた。
    「さて、それじゃ本格的に始めやしょうか」
     そしてその全てを見終わったところで、ギィが動き出す。
     別にサボっていたわけではなく、自身に暗示をかけ魂を燃え上がらせていたのだ。
     その手に持ち構えているのは、無敵斬艦刀――剝守割砕。
    「戦艦斬りでまた胴体を三分割してやるっす!」
     言葉と同時に踏み込み、振り下ろした。


     時間が経つにつれ、戦闘は激化の一途を辿っていた。互いに傷を与え合い、しかしこちらは与えるだけではない。
     だからこそ、その違いは次第に明確な差をもたらし、だからこそ、そこが狙われるのは当たり前であった。
    「えと、竜って何に属するのでしたっけ?」
     それは回復の合間。攻撃に転じようと五行符を手にし、思考を僅かに逸らした瞬間のことだ。
    「木でしたか……っふみゅ、危ないです!」
     それは半ば偶然であった。咄嗟に叩き付けるように投げた五行符が竜の尾の動きを僅かに逸らし、ギリギリのところで沙雪の頭上を通過する。
     だが安堵する暇はない。その時には既に、竜から放たれていた水撃が迫っていた。
     回避する余裕はなく、防ぐことも出来そうにない。
    「……っ!」
     衝撃は、来なかった。
     その直前で一つの影が飛び込み、その身を以って遮ったからだ。
     ミレーヌである。
     その勢いに吹き飛ばされ、しかしすぐに体勢を整える。だがそれでも遅かった。
     視界の端に映るのは、邪魔をするなとばかりに既に動き、迫っている尾。
     しかし。
     先ほどの光景。地面との高さ。その隙間。
     閃きは一瞬。行動したのは瞬間。
     しゃがんだ直後、轟音と共に頭上を尾が通過した。
     しかしそれが気に食わなかったのか、竜はさらに水撃を展開し――
    「ホラホラァ、こっちを無視してて良いのかな? 油断してたらガブッと行っちゃうよ!」
     機敏に軽快に、軽やかに踏まれたステップは楽しそうに。戦場を跳ね、駆け回っていた一葉が、その隙を突いて一気に飛び込んだ。
     その間にも、口をあけるとクッキーを放り込み咀嚼。それとほぼ同時、死角から振り下ろされた斬撃が、まるで獣が咬み千切ったが如く攻撃痕を残した。
    『――――――――!』
     吼える竜。怒りを込め威嚇するように、だがさらに攻める理由こそあれ、引く理由はない。
    「寒さと一緒にこれで恨みも纏めて吹き飛ばしてあげるよ! 炎弾装填……Blaze!」
     霧栖より大量の弾丸が叩き込まれ、次々と爆ぜる。
     それに紛れるように放たれたのは漆黒の弾丸。麗華の心の深遠、そこに潜む暗き想念が、竜の身体を蝕む。
     だがそれを感じている暇すらも与えまいと、蝶胡蘭が迫り手に握るそれ――ロックハート・アタックを振り切る。
     直撃した瞬間、竜の全身に凄まじい衝撃が駆け巡った。
     五メートルを超える巨体がぐらりと揺れ、しかしそのまま倒れることなど許さないとばかりにそれを掴む。
    「龍がナンボのもんじゃゴラァ、どっせぇぇぇい!」
     ツェツィーリアだ。
     その腕に装着されたパイルバンカー――鋼穿杭を撃ち込み、銀の暴風という名のガトリング砲をゼロ距離からぶち込み、力任せに強引に持ち上げたその身体を、地面へと全力で叩き付けた。
     衝撃に地面が揺れ、竜の身体が軋みを上げ――それでも諦めていない竜は、しかし見上げた先でそれを見た。
     それは二つの影。
     それと。
    「人好きな竜が人を襲うってのも悲しい話だよね」
     すぐ傍にももう一つ。
    「ねえ! もしあなたが本当にその竜なら、私、友達になってみたかったな! 恐がられる『畏れ』じゃなく、人に親しまれ好かれる竜であり続けてよ」
     そう言って浮べた一葉の笑みを、果たして竜は見ることが出来たのか。
     しかしそれを確認する間もなく、最後の抵抗とばかりに放たれた水撃を跳ね飛ばしたギィが、そのまま振り下ろした一撃で、竜の首の半ばほどまでを斬り裂く。
     そして。
     反対側より振り下ろされたミレーヌの刃が、その首を完全に断ち切ったのだった。


    「はい、これで負傷者の手当ておしまいなのです」
     戦闘終了後、負傷者の手当てを行なっていた沙雪は、その全てが滞りなく済んだことでようやく安堵の息を吐き出した。
    「こちらも終わりました」
     そう言いながら立ち上がった麗華の手には、持参してきた瓶がある。中に入っているのは、湖沼の水だ。
     そこに毒が含まれているのか。いた場合、それはスサノオの影響か、それとも関係ないのか。それを調べたいと思ったのだ。
     もっともおそらく意味はないだろうことも分かってはいるものの、それでもやってみなければ結果は分からない。
     ともあれ、ここでの用事は済んだ。後は――
    「結局、畏れやスサノオの目的は何だったのかな?」
    「そうね。それに、どうして竜は北東に向かおうとしたのかしら」
     一葉の言葉に頷きつつ、ミレーヌが言葉を続ける。
    「一応地図を見て、元となった伝承と関係のある場所・建物が北東の方向にないか確認してみるわ」
    「前にもちょっと言ったっすけど、北東には竜の頭を祀っていた龍角寺というお寺があるっす」
    「ふむ……ギィくんの言うように、そのお寺に向かっていたんだろうか」
    「ま、とりあえず行ってみようぜ。俺は祀られている頭部や何か壊れているものがないかを重点的に調べるか」
    「そうだね……ちょっと気になる事もあるしここら辺少し散策してみようかな?」
     実際のところ、手掛かり等が見つかる可能性は低いだろう。
     しかし今の時刻は深夜。どちらにせよ、しばらくの間手持ち無沙汰になるのは決定しているのである。
     ならばその時間を調査に使うのは、決して無駄ではないだろう。
     何にせよ、それに反対している者は居ない。
     八人は暇つぶしも兼ね、何かないかを探しながら、とりあえずは北東方面へと向かうべく歩き出したのだった。

    作者:緋月シン 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年1月24日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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