虚数の路

    作者:一縷野望

     ――新宿、某ファーストフード店2階。
     壁に『居眠りはご遠慮ください』との注意書きが踊る中、店員の少女が巡回する。
     正午を越えたこの時刻、繁華街から少し外れたこの店は穴場なのか客は少ない。だからか珈琲一杯で粘り船をこぐ不届き者も散見されるのだ。
    「……」
    「…………」
     奥まったテーブルで向いあう三人をつつむは静寂。
     それぞれ2、3歳ずつ離れた年格好は何処か似た面差し、兄妹なのかもしれない。だが視線をあわさず俯き、さりとてタブレットをいじったり読書という風でもないのは異様だった。
     彼らを包む異様な殺気に気づけないのは、店員がごく一般的な女性だったから……それが、不幸だった。
    「お客様さまぁ?」
     あがったのは手前の娘の能面のような蒼白。そこには少女特有のみずみずしさは欠片もない。渇いた唇はなにも発さずに、ただ机の下にあった指がゆらりともちあがる。
    「? ……ッうく」
     僅かな苦を漏らし店員は崩れ落ちた。
     制服のシャツ越しに刺された極小の針、それが彼女の命をあっさりと奪ったのだ。
     

    「本来はこんなコトする人達じゃなかったんだろうに、ね」
     灯道・標(小学生エクスブレイン・dn0085)は悔しげに噛んだ唇を開き、口早に新宿のあるファーストフード店の場所を告げた。
     そこに三人のアンデッドが出現して、人の命に手をかけてしまったのだという。
    「彼らは病院勢力の灼滅者を元に作られたアンデッドだよ。普通のモノかなりより強い」
     新宿周辺を彷徨う彼らは何かを探しているようだが、詳細は不明。そしてもはや意味あるコト紡がぬ彼らの唇から聞き出すのは、不可能。
    「残念だけと、既に被害がでてるんだ」
     声をかけた店員と、異変に気づいた客が二名が殺されている。
    「放っておけば更に死者は増えるだろうね、だからキミ達が倒して来て欲しいんだ」
     彼らの使用サイキックは、殺人鬼と人造灼滅者が共通。あとはそれぞれの使用する武器に依存する。
    「ナース服の子が殺人注射器でクラッシャー、一番年長の青年がWOKシールドでディフェンダー 、小柄な男の子は護符揃えでメディック」
     生前はチームを組んでいたのだろう、彼らは一人ずつ確実に倒そうとしっかり連携して攻撃してくる。
     力量も三人でダークネス一体に相当するので、侮るとこちらが膝を折る羽目になるだろう、気を付けたい。
    「人造灼滅者になるぐらいだ、相当なコトがあったんだと思う、けど――彼らはもう『終った』んだ」
     歪められた路を歩く『終ったはず』の三人の人造灼滅者達、彼らを本当の意味で終らせてあげて、と標は結んだ。


    参加者
    篠村・希沙(手毬唄・d03465)
    リオーネ・ブランシュ(運命黙示録・d04884)
    ソフィリア・カーディフ(春風駘蕩・d06295)
    吉沢・昴(ダブルフェイス・d09361)
    菊水・靜(ディエスイレ・d19339)
    巳葦・智寛(蒼の射手・d20556)
    アメリー・ヴァルテール(孤独の魔眼・d22964)
    朔良・草次郎(高校生シャドウハンター・d24070)

    ■リプレイ


     ――某ファーストフード店店長田中(42)は非常に悩んでいた。
    「お願い……します……」
     つぎはぎウサギのノワールにきゅっとしがみつき、リオーネ・ブランシュ(運命黙示録・d04884)は今一度上目遣いで請う。その仕草は非情なまでに愛らしい。
    「お嬢ちゃん、二階を借り切ってどうするつもりかなぁ?」
     だからこそ気掛かりだ。この幼気な子が道を踏み外そうとしているのなら、責任ある大人として絶対に止めたい。
    (「穏便さが裏目に出てしまったのでしょうか」)
     理由が咄嗟に浮かばず黙り込むリオーネを、ソフィリア・カーディフ(春風駘蕩・d06295)は帽子をおさえ気遣わしげに伺う。
     ラブフェロモンは相手の判断力までは奪わない、だからなんでも言いなりとはいかないようだ。
     屍王もなかなか味なことをする――冷めた面持ちでメニューを見る巳葦・智寛(蒼の射手・d20556)の内心は、
    (「実に面白い……虫酸が走る程にな」)
     静かな怒りに揺れていた。
     学園生活を享受する自分と彼らの分岐点はどこだったのか、朔良・草次郎(高校生シャドウハンター・d24070)は唇を噛む。そうしないと魂を踏みにじったモノへの殺意が溢れそうだ。
     察するように瞼を下ろした銀髪の美丈夫は強く拳を握りこんだ。
    (「どのような理由があるにしろ、この世に居らぬ者を蘇生させたと言うのは好かぬ話だ」)
     菊水・靜(ディエスイレ・d19339)とて憤りは強い。
     一般人の来店はなさそうと判断した篠村・希沙(手毬唄・d03465)は、通りすがりに入り口近くの階段へ憂いの瞳を向けた。
    (「相当の覚悟があって灼滅者にならはったやろに……こんなん、哀しい」)
     彼らの路がこれ以上不本意に染まらぬよう、終らせる。
    「店長、短時間ならいいんじゃないっスか?」
     奢りとシェイクをトレイに置く彼は、店長よりは責任がないからこその言動か。
     吉沢・昴(ダブルフェイス・d09361)が頼んだアイスコーヒーはお金を取られたので、ラブフェロモンが効いているのは確かだ。
    「そういえば二階に行った島村さん、遅いっスね」
     その島村は既に死亡していると、灼滅者達は知っている。
    (「こんなの、ひどすぎます……」)
     決して、一般人を害することなど望まなかっただろうに。
     アメリー・ヴァルテール(孤独の魔眼・d22964)は目立たぬ場所に立ち、何も言えずに俯いた。
    「そうだねぇ、ちょっと見て来てよ」
     灼滅者達に緊張が走る。
     二階に触れればこうなるのは自然な流れ。ましてや貸し切るなら二階にいる客に、一階席への移動を打診せねばならないわけで。
     とにかく二階へ行かせるのは本末転倒。階段を塞ぐよう立つ希沙の目配せに、昴は素早く王者の風を纏い恫喝する。
    「二階に昇るな、ここにいろ」
    「ヒッ」
     縮み上がる店員を置いて八人は階段へなだれ込む。


     チープな手触りの手すりを後ろに押しやるように踏み込んだ二階フロアには、明らかにそぐわない香りが立ちこめていた。
    「ッ!」
     アメリーはその惨状に息を呑んだ。
    「……わかっては、いましたけれど」
     ソフィリアは階下へ響かぬよう音封じを施しながら陰惨さに言葉をなくす。
     ライムグリーンの制服鮮やかな店員は、吐瀉物に髪を浸し白目を剥いて転がっている。
     首を在らぬ方向に曲げられテーブルにつっこんでいる男達は、荷物の場所から察するに異変に気付き駆けつけたのだろう。
    「店員さんが倒れたから助けようとしたんだね……」
     人の悪意に包まれ育ったリオーネは、率直な善意が招いた惨さが直視できずノワールに顔を埋める。
    「……」
    「……」
    「……」
     階段から奥まった所に陣取る三人は微動だにしない。それぞれの頬や肩に染みる紅も稀すぎて一瞬返り血とはわからぬ程。
     静止。
     透明な匣に納められた人形のように、彼らからは生の息吹が感じられない。
    「着装……」
     だが智寛は躊躇わず蒼の装甲を展開する。この地獄絵図を描いたのは間違いなく彼ら、否『彼らの死体』だ。
    「テメェらが人間捨てたのも……」
     融けるように遷ろう草次郎。
    「こんな事するためじゃなかったはずなのにな」
     六腕の異形は倒れた店員を抱き起こしそっと瞼を下ろした。
    「来る、気ぃつけて!」
     青年の肩が僅かに動いたのを見て取り希沙は西響きの声で注意を喚起した。
     ほぼ同時に、青年が机へ踏みあがり上部から手の甲を振り下ろす。狙いは希沙、戦術か声に反応したか、ただの素体の倣いか。
     ガッ……ヅッ!
    「……ッと」
     しゃがんで割り入った昴が咄嗟に抜いたのは使い慣れた方の刃。殺しきれぬ勢いが手首や肩へ裂傷を刻む。
    「女の子一人に護り手を任せるのは、何か悪いよな」
     ソフィリアに視線を向け崩し笑い、だがすぐにその唇は引き締まった。護り手として絶対に先陣を保持しきる覚悟を滲ませて。
    「――」
     泡沫の盾を押し付ける兄が拳を軋ませる。それを受け、漆黒のミニスカートに身を包んだ娘が掌から生みだすように招いた注射器を握り締め、立った。
     つぷり。
     肉を僅かに割る針、禍々しい紫の液体は靜の屈強な二の腕に注入される。
     ぞわり。
     想像より遥かに多くの命が刮げ堕ちるのに背中が粟立つが、持ち前の落ち着きが精神のブレを止めた。
    「……成程、的確だ」
     その語尾も室内を包む五芒星の輝きに消された。
    「――」
     コートめいた白衣の少年が張り巡らせた結界は、前衛三人の疵を更に深め足を重くさせる。力量では勝ると判断したか、一気に押切りにきた。
    「……せめて」
     娘とほぼ変らぬ見目のアメリーは阿吽の呼吸で動いた彼らの虚ろな瞳を順繰りに見つめる。
    「私達の手で終わらせてあげましょう」
     指輪をなぞり最後に見据えたのは同じ年頃の青年。


     自分や仲間の能力を高めるサイキックを選ぶ灼滅者達が多めで、一手目は防戦に傾いた。故に元人造灼滅者の兄妹弟は回復に手を割かずに更に攻める。
    「くッ……げほッ」
     青年に顎を殴られあがった喉を妹が手刀で的確に薙ぐ。さらに追い打つように弟が静かな殺意にて前衛を囲った。流れるような連携で、早くも此方の攻め手である靜へダメージが積み重なってしまう。
     気遣わしげな昴に靜は手をあげ応えた。饒舌だった青年は、ダブルフェイスの名に相応しく寡黙な男へ変じている。彼は重々しく頷き次に癒し手の希沙へ視線を移した。
    「菊水先輩は任せてや」
     符を掲げた彼女を確認、敵へと向き直る。
    「持ち堪えてる内に倒し切ってくれ」
     鞭剣を大きくうねらせ自らを護らせる、先程の原型の刀に比べると何処か不慣れな手つきだ。
     ……ああ、本当になんて強いんだろう。仲間になれていたら、きっととてもとても心強かったはず。
     リオーネは薔薇と十字の書が現わす想いを握りしめて、眩いまでの魔を少年に見舞う。
    「アゥ」
     仰け反る少年の生気のない貌が揺らぎ苦らしきものが瞬いた、そんな錯覚に胸が軋む。
    「息のあった連携ならこっちだって負けんよ、ね」
     末弟と同じく護符使いのメディック希沙は、仲間達を奮い立たせるように気っ風良く嘯き、護り符を靜に向けて練り上げる。
    「こんな事絶対に……」
     許されていいわけがないと、それすら続かぬ程の憤り。
     ぎゅぅ。
     爪が刺さるぐらい握り締めたソフィリアの拳に、悔しさや怒りが変じた雷が体内から溢れ収束していく。床を蹴り一心に向うは少年の元。
    「終らせます!」
     勇敢に戦った彼らを死してなお辱める事は絶対に許されてはならない、から。
    「攻撃は前衛に集中。こちらへの危険度は小」
     モニタに映るように脳裏に展開される戦場の客観的な状況、その他膨大な情報を蓄積し、智寛は自らの振う力の鋭さを増していく。
    「助かった」
     躰の底に痛みは残るが表層の傷は取り囲む符が塞いでくれた、まだ事態は深刻ではない。だが、やはり後方にいる少年を斃さねば、引導を渡すことは儘ならないのだろう。
     殴られた顎がひりつき青年へ影を見舞えと煽るが、堪え少年へ狙いを定める。
    「……ンッ」
     漆黒に裂かれる小柄な躰、だが兄姉は気遣おうとは、しない。
    「やはり好かぬ」
     あたたかさを奪う屍王など――嘗ての自分が一瞬だけ心を、掠めた。
    「すぐに、そこから救ってあげます」
     血を流す小さな子へ、アメリーは柔らかく語りかける。
     ――これより見舞うは苦痛。
     吐く言葉は欺瞞かはたまた偽善か。
    「……ッ」
     ぎりり。
     音がする程に歯を噛みしめて、だが決して目を背けずにアメリーは少年へ漆黒の弾丸を射出する。
    「――」
     させじと庇うは、兄。
     アメリーは瞠目し、貌を背け……再びそんな青年を木々抱く金にしっかりと、納める。忘れてはいけない、彼らを確と見よ!
    「畜生!」
     ただ役目に沿って動いているだけ――そうは言い聞かせても、草次郎の胸を灼く怒りは静まりそうにもなかった。
    「そんな風によ、テメェらそんまんまなのに……」
     身を呈して弟妹を庇う兄。
     そんな兄を信じて攻撃と回復を的確に切り替える弟。
     同じく少しでもはやく敵を葬り去らんとする妹であり姉。
     草次郎は彼らを知らない。いや、もしかしたら戦いの中で一度や二度は同じ戦場にいたかもしれないが。
     でも。
     わかる。
     彼らが人造灼滅者の路を選んだ覚悟ならば。
    「テメェらは必ずここで止める」
     荒々しくも哀しい咆吼をあげて、六つ腕の異形は兄の腸目掛け杭を打ち込んだ。


     特に前衛が兄への怒りに煽られ攻撃の集中が儘ならず、戦いは長期戦へともつれ込む。
     それでも回復サイキック連発に陥りつつある末弟に、昴は偽りの生が綻び崩れ落ちるのを感じ取る。更にリオーネが刺した薔薇の茨が癒しを蝕み、兄妹弟の戦術を拐かす。
    「手向けだ」
     此の戦いで徐々に馴染みつつある蛇のような鞭を掴み、昴は短く紡いだ。
     しゃらり。
     それは鈴か、風の切れる音をともない鞭剣は命語る螺旋を描く。
    「! ァアア」
     巻き付く蛇の胴が極限まで締め上げきった地点で、少年はだらりと躰の力を抜いた。
     ――これを契機に、勝負の天秤は急速に灼滅者側へ傾いていく。

     蒼の装甲越しの智寛はライフルを構える。
    「死して敵の道具と成り果てる……その屈辱は計り知れないことだろう」
     あくまで冷静怜悧な智寛は躊躇いなく光条射出、目標は兄。
    「終らせてやる」
     幼き日に踊らされ家族を手にかけた操り人形。狂った人生、渇いた感情……でも終焉から引き摺り戻された彼らよりは幸いかもしれぬ。
    「……ゥ?」
     弟を隠すよう腕広げた兄の動きが止まる、草次郎が重ねた戒めが幾度めかの効果を発揮したのだ。
    「……」
     妹は指先を緩めると動きの要となる太ももを狙う。標的はやはりダメージが蓄積している、靜。
    「ッ……だが、まだだ。喰ろうて見よ」
     一旦は膝をつくも魂を燃やして立ち上がり様、爆ぜるように膨らませた拳で兄を張り飛ばす。手ごたえは、あった。
    「貴方達をこんな目に合わせた奴は必ず灼滅してみせますから……」
     安らかに安らかに。
     祈りの矢を引き絞りソフィリアは真っ直ぐ解き放った。それは、鬼の手でこそがれた偽の命を穿ちきるに充分な力だった。
     倒れ伏す長兄を前に、ソフィリアは彼らの無念を背負い強くなると決意する。
    「終らせるよ」
     希沙はその無念を受け止める誓いを篭めて、ひとりぼっちになった彼女へ気をぶつけた。
    「みんなの戦い方は、本当に灼滅者やったよ」
     もう『彼ら』が残っていないとわかっていても、希沙は言わずにいられなかった。
     心を冥府に連れ去られても信じあうような三人から、仲間を護り切るのは本当に大変だった。だからこそ……やりきれない。
    「……ごめんなさい」
     アメリーが祭壇を胸に持ち彼女の忌わしを根源から絶ちきろうと結界を展開し、草次郎が彼女の足を止めるべく影を伸ばす。
    「アァアアッ、アア!」
     強烈な力を有した彼女も、盾であり癒しである兄弟を喪ったらもはや勝ち目もない。
     川で弄ばれる落ち葉のように灼滅者達の攻撃を方々から受けて、明滅するように全てに精彩を欠いていく。
     リオーネは髑髏に絡む鎖を鳴らし膝をつく彼女の目の前に来た。
    「ごめんね……」
     きっと、仲間になれたならお洒落なんかもして綺麗な人だったんだろう。
     きっと……。
     繰り返すような悔悟を彼らの無念と共に断ち切るように、薙ぐ。
     ――魂の救済、死者に赦しを。
    「こんな目に合わせたダークネスは、リオ達が必ず倒すから」
     愚者に裁きを、必ず――。


     戦いが終った後、皆無言で倒れた椅子や机を直し始める。
    「っ、こんなことさえ、してあげ……」
     形を留める事すらできず消え去る三人を前に、アメリーは堪えきれぬように嗚咽を漏らした。
    「灼滅者として、最期を迎えさせたげたかったな」
     アメリーを支える希沙も寂しげにぽつり零す。
    「思いは引き継ぎますから、安らかにお眠り下さい」
     横たわっていた場所に黙祷を捧げるようにソフィリアは手をあわせる。
    「……ありがとね。あいつらも少しは報われると思う」
     人へと戻った草次郎は、想いを寄せてくれた彼らへ小さく頭を下げた。
    「遺留品も残らずか」
     智寛も傍で小さく息を吐く。
    「吉沢、頼む」
    「ああ」
     靜が店員を支え立たせたのを合図に、昴は被害者達へ仮初めの命を与える。
     ――ずれた時間が戻るような、間。
    「…………あ、いらっしゃいませ」
     まるで色を取り戻したように、店員少女は笑顔を浮かべ窓際の席を奨めた。
    「なー、ノート貸してくれよー」
    「スペシャルサンドセット奢りな」
     そんな軽口を叩き合い笑う背中合わせに腰掛けて、リオーネはシェイクのストローに口をつける。
     せめて短くとも日常を生きなおして、安らかに眠ってほしい。
    「……」
     向かいで無言でアイスコーヒーを啜る昴へ、なにか話しかけた方が自然かと思いながら、靜は言葉がでてこなかった。
     ふ。
     まるで灯火が消えるように……ざわめきが、止んだ。
     ……この暇で、彼らは安らかさを得られただろうか?
    「ここに倒れ伏した者たちの、御霊の安らかなることを切に願う……」
     静逸な智寛の声に寄り添うように、穏やかな炎がふわり。
    「……」
     あわせた手をひらき両手に炎をわけて、希沙は道標のように掲げた。
    「……おやすみなさい」
     哀しみ憎しみ無念恐怖……そんな負の感情から解放されてどうかどうか安らかに――八人の祈りは、時手繰ることから解放された彼らの魂へ、優しく降り注いだ。

    作者:一縷野望 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月1日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 9
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