海に宿る黒き顎

    作者:六堂ぱるな

     
     冬の海はくろぐろと渦をまき、波を押し上げる。
     月明かりでは輝く波頭しか目に入らない。

     それの目にはどう映っているのであろう。
     純白の身体、両耳の先と尾の先だけが墨に染まったごときその姿は、ニホンオオカミに良く似ていた。
     白い息も吐き出さず、昏い海を眺めたそれが姿を消した後。

     磯に闇が凝った。
     巨大な背びれが闇の中央にすいと浮かび、泳ぎ回る。
     海に宿った闇の中を、粘りつくような水の尾を引いて。
     
    ●影を食らう闇
     教室の扉を開けて入ってきた埜楼・玄乃(中学生エクスブレイン・dn0167)は、一同揃っていると見るなりぺこりと頭を下げた。
    「遅くなってすまない。早速始めよう……皆もう知っているだろう、スサノオがらみだ」
     島根県のある海岸で、新たな古の畏れが生み出された。
     日本の伝承や逸話を元に現れるらしいそれについて、玄乃はファイルを開いた。
    「古代、鮫のことを『鰐』と呼んでいたことは知っているか?」
     『影鰐』と呼ばれるそれは、海の黒い怪異。鮫の姿をして現れ、船乗りたちの間で、影を奪われると死ぬと言い伝えられている。
    「放っておくと、寒禊で磯に近づいた神職が殺されてしまう。対処してほしい」
     
     『影鰐』は水面を漆黒に染めてわだかまっている。
     影を食らうという伝承のとおり、影縛りや斬影刃を使い、ブラックフォームで自身の回復もする。鮫の姿をした闇とは別に、黒い波がふたつ、溺死者の姿をとって体当たりをしてくるので注意が必要だ。
    「溺死者や鮫の形をとって襲いかかる生きた闇だと思えばいい。だが必ず、磯の黒い水面へ戻る」
     古の畏れの例にもれず、磯のある一点から離れることは出来ないらしい。鮫や波に攻撃を集中して倒しても、黒い水面から再び現れ攻撃してくる。影業と戦っているようなものだ。
     件の神職は早朝5時に寒禊をするために海へやってくるので、その前に『影鰐』を退治してしまわなくてはならない。
     ちょっと眉をひそめて、玄乃はくるりとペンを回した。
    「『影鰐』を呼び覚ましたスサノオの行方は不明だ。ブレイズゲート同様、非常に把握しにくいが……事件を追うことでいずれ辿り着くことができるだろう」
     そうとしか、今は言えない状況らしい。
     『影鰐』は海で死んだ漁師たちの、無念の想いが凝ったという説がある。だが生きる者に害を為すのは見過ごせない。
    「解き放ってやるのも、供養かもしれんな」
     玄乃はそう呟いた。


    参加者
    皆守・幸太郎(微睡みモノクローム・d02095)
    鋼・世界(勇壮美麗フルメタルヴィーナス・d02590)
    森田・依子(深緋の枝折・d02777)
    四季・紗紅(小学生ファイアブラッド・d03681)
    赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006)
    シュネー・リッチモンド(メルトレッド・d11234)
    宵神・羽月(星月夜の欠片・d15493)
    渋谷・百合(きまぐれストレイキャット・d17603)

    ■リプレイ

    ●白い獣のあとを追い
     かろうじて氷点下にはならなかったようだが、思い出したように雪がちらつく。
     波が磯で砕ける音で、余計に寒さを思い知らされる気がした。
    「新聞配達でもあるまいし、なんでこんな時間から『仕事』しなきゃならないんだ……」
     白い息を吐きながら眠たげな、皆守・幸太郎(微睡みモノクローム・d02095)の言葉も御尤も。夜明け前どころか、午前4時過ぎだ。
    「早起きして、海岸でのトレーニングというところですかね。さっくり片付けて観光でもしたいところですが」
     屈伸しながら赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006)が元気に微笑む。その隣で寒さに身体を震わせながら、宵神・羽月(星月夜の欠片・d15493)は『影鰐』について調べたことを思い返していた。元は船乗りたちに伝わる妖怪話だ。
    「被害が出る前に倒しておかないと……」
    「……ワンちゃんは、一体何が目的でこんなもの起こして回ってるんだか……?」
     渋谷・百合(きまぐれストレイキャット・d17603)が茫洋とした表情で首を捻る。この行為にどんな意味があるのかが理解できない。
     暗い浜辺で、四季・紗紅(小学生ファイアブラッド・d03681)が登山用のランプを幾つか取り出した。護岸の上にある街灯の光などおよそ届かない場所だ。
    「何もこんな寒い季節に、海に現れなくてもよろしいでしょうに……」
     ため息をつきながら紗紅がランプを点すたびに明るさを増す中、森田・依子(深緋の枝折・d02777)はおっとりと微笑みながらも、そっと吐息をついた。カナヅチではないが、実は暗く深い海が苦手だ。息苦しい、沈んでいくような感覚に囚われる。
     ――それでも。
     気力を奮い立たせて人を寄せ付けぬ殺気を放つ、依子の胸の裡を読んだように、幸太郎が滑りにくい靴に履き替えながら呟いた。
    「供養だろうが何だろうが、やる事は変わらんさ」
    「神職さんが寒禊しに来る前になんとかしないと、か」
     百合と同じことが気にかかりつつも、シュネー・リッチモンド(メルトレッド・d11234)は頷いて、サウンドシャッターを展開した。そっと砂浜から海を覗きこむ。
     暗い水面は確かに、おどろおどろしいものが出てきそうな不吉さを孕んでいる。ちょっと背筋がぞくぞくするなー、と思った時だった。
     海中に数歩踏み込めば届く所に、ひときわくろぐろと渦をまく不可思議な闇がたゆたう。
     鋼・世界(勇壮美麗フルメタルヴィーナス・d02590)にも、それは見えていた。
    「では、『影鰐』退治といきましょう。なんとしても灼滅してみせます」
     世界の言葉が聞こえたように、黒い波が鎌首をもたげた。

    ●無念を捕えて離さぬ闇
     音もなく、しかし漆黒の水面に黒い闇を滴らせ、それは跳ねるように宙へと踊り出た。
     巨大な闇でできた鮫。姿だけを語るならば、本来水中で猛々しさに並ぶものもない、魚類の頂に座するもの。
     そして二筋の波が、鮫に続いて水面から生まれる。
     素早く距離をとり、世界は凛とした声で解除コードを唱えた。
    「ヴィーナストランスフォーメーション!」
     途端、彼女の背後に超次元隔世回廊が展開し、その彼方から輝く勇壮美麗装甲プロテクトユニヴァースが召喚された。
     それまで纏っていた優美なゴスロリ衣装からは一転、華奢な肢体はランプの灯りを照り返すフルメタルアーマーに包まれる。それと共に愛機・ディオが現れた。
     鮫からさっと距離を取ったシュネーの傍らにも、キャリバーのブリッツェンが寄り添う。彼が海を好きかわからないが、この場での戦いでさすがに濡れずには終われないであろう。
    「お願いね、ブリッツェン!」
     応じるようにブリッツェンがエンジンを噴かす。

     灼滅者を窺うように宙を流れていた波が、不意にその様子を変えた。
     ぼこりと泡立つと、苦悶する人間の表情を形づくる。それは女性であったり、男性であったり、大人だった次の瞬間には子供で、振り返ると老人へと変わってゆく。黒い水面から生まれた黒い波は、死にゆく人間の瞬間を再生するように形を変え続けた。

     無意識に震える冷たい手をぐっと握りしめて、依子は破邪の斬撃を波へと加えた。すかさず鶉が稲光の尾を引く拳で激しく打ち上げる。
    「波なんかに私を止めることは出来ませんのっ!」
     飛沫を散らして宙で吹き飛ぶ波へ、羽月は思わず小さな声で呟いた。
    「……死者の無念の固まり、ですか……」
     彼女の指輪が魔力の弾丸を叩き込む。岩に当たった波のように、砕けた黒い飛沫が闇へと紛れて消えた。
     未だ眠たげな表情のまま幸太郎が防護符を使い、楽しげな表情で鮫を見ながらシュネーが羽月と自身を守る盾を配する。同様の盾を呼び出した世界が前衛に加護を与え、二機のキャリバーがフルスロットルで衝突力を高め、一同は徹底した状態異常対策で臨んだ。
     もちろん手が回れば検証もしなくてはならない。百合はもう一つの波へ、紗紅は海中の黒い水面へと向かう。
     波へと駆け寄りざまの百合の抗雷撃がしたたかに入り、波はたまらず吹き飛んだが、その先で出会い頭にディオへと襲いかかった。体当たりを避けきれず、激しい衝突音が上がる。
     その音を背に紗紅は身を切るような冷たい海へ踏み込んだ。近づいても水面が攻撃してくる気配がない。炎を纏った一撃は難なく水面を切り裂いた。水というよりは泥へと切りつけているような、どこかもったりとした手応えが残る。
    「無念が凝ったというのでしたら、今ここで私たちがそれを解かしましょう。この炎を送り火として」
     光を反射しない黒い水面を、紗紅の炎が焼き始めた。

    ●切り裂き、打ち据え、解き放て
     音もなく宙を泳ぐ巨大な鮫が口を開けた。ぞろりと揃った鋸歯が夜の空より黒い。
     闇の力を身へ喚び込む声なき咆哮が発せられたのであろうか。のたうつように身をよじって再び泳ぎ出し、大きさを減じた波とともに水面へと戻る。
     再び水面から現れたのは、先ほどまでと変わらない鮫と小ぶりになった波、そして。
     黒い水面同様にちらちらと炎をまとった新たな波だった。
     灼滅者たちは咄嗟に視線をかわした。

     波や鮫は単なる攻撃手段にすぎず、本体の動きを阻害したらその動きも止まるのではないか。それが灼滅者たちの推論だ。
     一度破壊され、再生された波は明らかに本体である黒い水面の状態を引き継いでいる。まだ破壊されていない鮫と波は炎に苛まれていない。

     火炎を閃かせ、依子が柄に爪を立てるように波へとクルセイドソードを振り下ろす。炎に焼かれてのたうった波へ、シュネーのオーラキャノンが突き刺さり、四散させた。
     新たに生み出された波へ向き直った百合は左手を前へ出し、『Stray Cat』を装着した右腕を弓を引くように顔の横へぐっと引いた。充分に溜めをつけ、振りかぶった打撃を捻じ込む。重い一撃は手ひどく波を砕け散らせた。
     始終形を変える波は号泣のような音を立てて依子へと襲いかかった。咄嗟に足が止まりかけた彼女の前に、ブリッツェンが滑り込んで攻撃を受け止める。お返しとばかり放った機銃は命中したものの、その動きを阻害することはできなかった。
    「……無念さは解ったから、そろそろ眠りな。そうすりゃ俺も帰って眠れる」
     響く怨念の声にかすかに眉を寄せ、幸太郎は波間に揺れる黒い水面へ魔力を込めた弾を撃ちこんだ。悠々と宙を泳いでいた鮫が、着弾と同時にぐるりと幸太郎へと向きを変える。
    「行かせませんわよ!」
     鶉がその間に割り込むと構えをとる。しかし鮫は滑らかに軌道を変えると、風さえ巻き起こす切り裂くような加速で彼女のサイドへ回り込み、砂浜へ縫い止めんばかりの勢いで食らいついた。激しいダメージを受けつつも、鶉の闘志は折れることを知らない。
    「まだまだ、今度は私の攻める番でしょう!」
     血を流しながらも柔軟な身体を活かして跳ね起きざまに、固めた拳を黒い身体へ叩きつける。それは狙いどおり、『影鰐』の高められた闇の力を著しく削いだ。
    「回復は任せてください」
     羽月がすぐさま、傷を癒し浄化する柔らかな風を呼ぶ。自身へソーサルガーダーをかける世界の傍らを抜け、彼女の愛機ディオが挑みかかったが、鮫はするりとその追尾を逃れた。
     紗紅は黒い水面へと、今度は振り抜いた剣から輝く刃を放つ。
     わずかに震えたように見える黒い水面へ、またしても残った鮫が飛び込んだ。再び現れた鮫と炎を纏った波が水面から飛び出してくる。

     そして新たに再生された波は、炎に焼かれているだけではなかった。宙を滑る動きがぎこちないところを見ると、幸太郎の弾丸が加えた麻痺が影響している。そればかりか、最初に現れた時よりも小さくなっているようだ。
     もはや疑う余地はない。
     再生される波は、本体である水面に加えた麻痺や炎はもちろん、ダメージも反映するのだ。波や鮫を適宜破壊しつつ、本体へ攻撃を加え打撃と状態異常を与えることで、新たに生まれる波や鮫の攻撃力を大きく減衰させることができる。
     灼滅者たちの推測は正鵠を射ていた。
    「一風変わった相手だね」
     感心したような声をあげながらの百合の目にもとまらぬ拳の連撃は、螺旋を描く鶉の槍の一撃とともに一方の波を微塵に散らした。
     その断末魔のような波音を聴きながら、依子はぐっと目を閉じる。
     海で亡くなった無念の塊を解き放つのに、出来ることがあるならば。
     クルセイドソードを握る手に力を込め、恐怖を掻きたてる黒い鮫を――非業の死を遂げた魂を捕らえ続ける闇そのものを深々と切り裂く。
     痛みを感じるのか、身をよじる鮫へ今度はシュネーが楽しげな声をかけた。
    「ヘイヘイ、こっちの影と勝負してよ!」
     会ったことのない敵との戦いは新鮮だ。美しいとさえ言えるほど滑らかに宙を泳ぐ、影で出来た鮫は彼女をわくわくさせていた。シュネーの足元から沸き上がった影が鮫を呑み込む。その包囲をやっとのことで破った鮫の目の前にはブリッツェンが回りこんでいた。連携の取れた正面からの突撃で、遂に鮫が砕ける。
     眠たげな幸太郎の伸べた指先から漆黒の弾丸が水面へと撃ち込まれ、未だ重い傷を負った鶉へ羽月が癒しの力をこめた光の輪を飛ばす。
     いささか動きの鈍い波へとディオの機銃が唸りをあげ、掃射に追い込まれるように宙を滑った波へと世界がシールドを振り上げた。
     人の生命を奪う闇。
     多少相手の畑が違えど、シャドウハンターとして倒さねばならない敵だ。
    「砕けてしまえ!」
     シールドを展開した世界の拳が唸った。打ち据えられた波が回りこみ、世界の背後から激突せんと襲いかかる。しかしそれも、振り返りざまの彼女のオーラキャノンで相殺された。
     紗紅が再びサイキックソードに炎をまとわせ、足を苛む海水の冷たさに耐えながら黒い水面へと斬り込む。

     闇のたゆたう水面から飛び出した鮫は、初めて現れた時の半分ほどの大きさになっていた。続いて宙へと奔った波も小さく、動きは鈍い。いずれも今や身を焼く炎は全身にまわり、時折苦しげに身をよじる。
     こうなっては、もはや『影鰐』に勝機はなかった。
     回復せんと鮫が音なき唸りをあげたが、すぐさま羽月の足元から伸びた影がその身体を切り裂く。
    「強化はすぐに消し去ります」
     その言葉も終わらぬうちに、波は鶉に砕かれ、依子に焼き尽くされた。滑らかな動きを失った鮫は百合に打ち据えられ、世界の放ったオーラの奔流に貫かれる。
    「視界良好っ、いっけー!!」
     手足を失った黒い水面へ、シュネーが構えたバスターライフルから魔力が迸った。遅れじと幸太郎から麻痺を与える弾丸が飛び、紗紅の光刃が食いこみ。
    「この世界は今を生きる人のもの。『影鰐』などお呼びではありませんでしたの!」
     鶉の言葉が終わるより早く、黒い水面は千々に乱れ、まとまりを失っていった。

    ●願わくば、魂の安らかならんことを
     気がつけば、跡形もなく闇はかき消えている。
     かちり、と音をたて、幸太郎は持参した缶コーヒーのプルトップを引き上げた。立ったまま口へと運ぶ。独特の風味と甘みを味わってひと息つくと、もうひとつ、持参したブーケを取り出して海へ放った。
     ゆるやかな放物線を描いて落ちたブーケは、ちょうど闇がいたあたりで波に揺れる。
    (「おやすみなさい」)
     無言のままに依子が、羽月が――皆がそっと黙祷を捧げた。

     闇に呑み込まれて囚われてしまった、無念滲む、迷った魂。
     古の畏れと化したとはいえ、あの悶え苦しむ姿を見てしまったから。

     海に入って濡れ、冷えた足を拭って、紗紅が荷物の中から保温ボトルを取り出した。
    「スープを持ってきたんです。いかがですか?」
     熱々を入れてきたので充分に温かい。女子で幸太郎の傍の砂浜に腰を下ろし、スープでしばし寒さを紛らわせる。
     こっそり朝日が見たいと思っていたシュネーは、それが自分だけではないらしいことに気がついた。幸太郎は黙ったまま、海を眺めながらコーヒーを口に運んでいる。それは皆も察し、言葉少なに夜の終わりを待っていた。
     やがて夜明けが近づき、東の空が白んできた。柔らかに、しかし強引に世界は夜から朝へと移り変わろうとしている。闇の色に染められていた海は元の色を取り戻し、ゆるやかに深い藍から青へと変わっていった。
     日の出とともに波が輝き、海は金に染まる。

     闇は晴れたのだろうか。

     光に駆逐され、届かぬ場所へ追いやられたのではなく。
     空からも海からも――波間に漂う無念の想いからも、忍びこむ闇が晴れたのなら。
    「……眠気を押して来た甲斐があるってもんだ」
     幸太郎が誰にともなく、呟いた。世界が安堵の想いで目を伏せる。
     さきほどまでとは打って変わって美しい海の姿に、羽月と百合も吐息を漏らす。
     不思議な存在だったが、力を尽くして戦えた。昇華させられたのならなお、悪くない。鶉は立ち上がると一同を見回した。
    「もう7時を過ぎてしまいましたわ。朝ごはんに行きませんこと?」
     眠さMAXの幸太郎も含め否やはない。お腹もぺこぺこだ。一斉に撤収準備を進めると、誰からともなく再び海へと目をやった。

     波の飛沫が迎えた新しい朝の陽の光を弾いて、ちらちらと踊る。
     その澄んだ光とうねる青い波間に、闇はもはや、存在しなかった。

    作者:六堂ぱるな 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月7日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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