バレンタインデー2014~繋ぐ煌き、虹色ラピス

    作者:志稲愛海

     赤、青、黄色、緑に紫に、白や黒――キラキラ輝く、色とりどりの天然石。
     その煌きは、選ぶ1玉1玉によって、多種多彩な表情をみせる。
     甘いチョコレートと同様に、バレンタインの定番の贈り物といえば、アクセサリー。
     大好きな人や気になる人は勿論、仲良しのお友達への贈り物や自分用にも最適。
     さり気ないけれど個性的で。でも、男女問わず誰が持っても違和感がないような。
     そんな天然石を使ったブレスレットや指輪などのアクセサリーを作ってみませんか?

     天然石と一言に言っても、その種類や色は様々。
     身につける人の誕生石であったり、石に込められた意味で選んでみたり。
     ただ単純に好きな色だったり、フィーリングで決めるのもまた良し。
     まずは、どの天然石を使うかを選んでみて。
     そして作りやすく贈りやすいブレスレットやストラップから、ちょっと気合の入った銀粘土で作る指輪やペンダントトップまで。
     贈る人に合わせた、世界にたったひとつの天然石アクセサリーを作ることができるハンドメイド教室が、家庭科室で開かれます。
     仲良しのみんなと大勢でわいわい楽しく作るのも良し。
     恋人同士で互いに選びあった天然石でお揃いのアクセサリーを作るのも良し。
     自分へのバレンタインプレゼントを作りに来るのも勿論歓迎です。
     贈る人を選ばない天然石のアクセサリーを、是非作りにきてください。


    「うーん、どうしたものかな……」
    「紗矢っち、どーしたのー?」
     首を捻って何かを悩んでいる様子の綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)は、そう声を掛けてきた飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)に視線を向けて。
     こう、続けるのだった。
    「家族へのバレンタインプレゼントを、何にするかで迷っているんだ。家族は甘い物が苦手だから、何かそれ以外で良い物がないものかと」
    「紗矢っちのご家族って甘い物苦手なの? なんかめっちゃ意外……」
    「わたしだったら、チョコレートやプリンならば2個でも5個でも100個でも、何も問題はないんだけどな」
    「いや、なんかプリンまじってるし、桁がイキナリ飛んだし!?」
     しれっとそう言ってのける食いしん坊幼女にそうツッこんでから。
     遥河は、そーいえば……と、あるチラシを机の上に広げる。
    「あ、じゃあこれはどうー? さっき、学園の掲示板に貼ってあったチラシなんだけど」
    「ハンドメイド部主催のバレンタイン手作り教室の案内? なになに、天然石アクセサリー作りか」
    「天然石だったら男の人でも女の人でも抵抗ない色のものも多いしさー、いーんじゃない? あとは、誕生石で選んでみたりとか……オレだったら1月生まれだからガーネット、紗矢っちは5月生まれだから翡翠、とかだねー。あ、石の意味とかで選ぶのもいいかも。自分へのバレンタインプレゼントに、お守り代わりに「成功」とか「幸運」とかの意味を持つ石で作ったブレスレットとかさー。でもバレンタインらしく、大好きな人とどの石にするか選びあいっことかしたりとかやっぱり王道だよね! 作るものも、穴があけてある天然石やビーズを革紐に通して金具をつけたブレスレットやストラップだと簡単そうだし、誰にでも人を選ばず贈れそうだしね。銀粘土で天然石をはめて作った指輪やネックレスとかだと、よりバレンタインっぽい感じだねー。ピアスとかアンクレットとかでも可愛いし、天然石が揺れるかんざしとかも女性に贈ったら小粋じゃない?」
    「天然石のアクセサリーだったら、贈る人に合わせて色や種類を選べそうだな。簡単に作れて材料が予め揃っているキットも各種用意されているようだし。それにカップルは勿論、大勢やひとりででもこれならば参加しやすそうだな。作った後は、用意されたチョコレート菓子や飲み物などでお茶会しつつ、完成したアクセサリーを披露し合える時間もあるのか」
     紗矢はそう興味を示したように、遥河からハンドメイド教室の案内チラシを受け取って。
    「今年のバレンタインプレゼントは、天然石のアクセサリーを作ろうかな」
     ところでどの天然石が何月の石で、どんな意味が込められてるんだ? と。
     オレも作りたいーとへらり笑む遥河や皆と、より一層、チラシを眺めるのだった。

     キラキラと輝く、その彩りを繋いで。
     大切な人や気になる人、仲良しのお友達や自分へ。
     バレンタインプレゼントに、天然石煌くアクセサリーを作ってみませんか?


    ■リプレイ

    ●暖かな彩
    「久しぶりの細かい作業だけど楽しーねー!」
     手先が器用な彩蝶は、銀のビーズとアメジストやルビーを、すいすい菱形上に交互にテグスへと通して。
     青い天然石とムーンストーンで、秋桜が【玉川上水3-E】の皆と作るのは、自分用のブレスレットとユキ用のチョーカー。
     でも作業が進まずに、ヘルプ!
    「こっちの石の方が作りやすいんじゃない?」
     そう声を掛けたシアンが繋ぐのは、タンザナイトとあの子の名に因んだ7つのムーンストーン。間に瑠璃と銀細工を挟んでいく。
    「わぁ、この石もキレイだね……」
    「わぁ……素敵ですね」
     作業に没頭しつつ言ったベロニカや花吹雪に、シアンは微笑んで。
    「弟宛ならばシンプルでもいいと思うぞ。桜色の天然石は生島らしいな……似合うと思うぞ」
    「秋桜さんの青い石とムーンストーンの組み合わせ、なんだか神秘的ですね」
     深雪は細身の円環に桜色の天然石を一粒、咲かせる。やがて来る春を思いながら。
     未散は既にイメージが固まっている皆を、すごい……と見た後。
     シトリンとグリーンアペンチュリンと四葉のチャームを合わせ、金の金具でストラップを。
     幸運がありますように、なんて思いながら。
     そして。
    「……これなら無難……だよね?」
     そう皆を窺うのは、たまに「凄い趣味だね」と言われる螢。
     だが綺麗に作りたい。黄昏にかかる夕焼けの月を。
    「大丈夫よ! 素敵だから自信を持って♪」
    「螢さんの夕焼け色は見ていてホッとする感じがしますね」
     螢は級友達の声に、みんなのも見せてもらっていい? と瞳を細めて。
    「みんなのも綺麗に仕上がってるねー!」
     もう一個作っておくかなーと、自分と親友のものをふたつ作る彩蝶。
     そして花吹雪は、淡く光沢のある水色の袋で穏やかなオレンジと透明な水晶の雫のストラップを包み、リボンで結んで。
    「誰のとこに行くか、ワクワクだね」
     ベロニカも、雪解けと春の兆し――柔らかな緑と黄色が春を思わせる繊細なヘアピンを完成させて。
     未散は、素敵な宝物できましたと級友達に礼を。
     今日の楽しい思い出は……一生の宝物だから。

     千巻と晴汰の、ふたりでいっこのおばあちゃんへの贈り物は。
    「ということで、今回の秘密兵器ー! じゃじゃーんっ」
    「おぉ! バレッタとは考えたねぇ」
     感謝の気持ちと気合を込めたバレッタ!
     真ん中の瑠璃を、アパタイトで囲んでいく。
     ずっと元気で……そして今でも十分強い絆がもっともっと、強くなるように。
     そして、喜んでくれるといいねぇと、煌くバレッタを光にかざす晴汰へと。
     千巻がこっそり作るのは、王冠揺れるエメラルド色のブレスレット。
     花夜子は贈る彼の誕生石で、青のブレスレットを作りながらも。
     ましろといざ、ガールズトーク!
    「桐人は、焔のように暖かい人だよ。失いたくない、大切な人」
    「好きなとこ……お日様みたいに温かくて優しいとこ。あと、お料理上手なとこ?」
     ましろが鍵に埋める煌きは、夢や目標を導くアイオライト。その青でしか開かぬ南京錠には、赤水晶を。
     そして花夜子がすかさず質問したのは、これ!
    「なんて言って告白されたの?」
     でも、紅水晶の様に頬を染めたましろが返したのは……それは秘密っ、と。
     細かい作業に悪戦苦闘、ふと隣の影司の手元を盗み見れば。
    「後のお楽しみ、じゃろ?」
     笑顔な彼に、指で額を押し返される信八。
     でも、邪気を払い持ち主を護る石――ターコイズのチョーカーを、目の前の先輩にと作って。
     影司が交互に繋ぐ腕輪には、幸運を運ぶタイガーアイと水晶が。
     二人互いに……互いの無事と幸運を、願いながら。
     そしてお茶会で交わされる会話は。
    「オレはその……、え、笑顔が素敵な人かなっ」
     やっぱり、恋バナ!?
    「龍二のイメージカラーは暖色だよな」
     ペンダントトップに埋め込む彼の誕生石も丁度、太陽の欠片の様な黄色のトパーズ。
     そんな準備万端な陽介とは逆に、青も赤もある感じーと。龍二は誕生日プレゼントのブレスレットに何色を使うか頭を悩ませて。
     本人に訊けば、青が好きそう?
    「そんなに悩むなら完成品見るの楽しみだな」
     メインをアメジストに決めるも、次はビーズの色に悩む龍二の姿に、嬉しくなる陽介は。
     頑張るで! と意気込む彼と一緒に、作業に集中!
    「ね、これ皆キラキラして綺麗だよね」
     キャンディやゼリービーンズを食べたくなるような、カラフルな彩り。
     でも気を取り直して。るりかは香乃果と、いざアクセサリー作り!
    「……あ、桜の花の形のビーズもある。これも使いたいな」
     香乃果が繋ぐのは、春の彩り。インカローズのブレスレット。
     るりかは、ピンクを添えた青の石のストラップを。
     できたものは、二人で交換この約束。
     そして互いにお披露目するのは……やっぱり、美味しいお菓子を食べながら。
    「わたくしも、こういった製作には、些かながら覚えがございますわ」
     そう慣れた手つきでミルフィが空色のリボンに飾るのは、ハート型のピンクトルマリン。
     逆に、たどたどしい手付きだけど。
    「ミルフィ、喜んでくれるかな……?」
     アリス・クインハートは心を込めて、ハート型のアクアマリンを使ったペンダントトップを。
     それぞれ、相手の誕生石をあしらったアクセサリーを作る。
     そして完成したその後は。
     お茶会を楽しみながら、作ったもののお披露目を!
    「何作るかはできてからのお楽しみやよ!」
     そう告げた希沙が直感で決めたのは――白から虹色に彩を変える、幸福の石・オパール。
     喜びの象徴・蝶がひらり舞い飛ぶ簪に、その幸福をひとしずく。
     そして藤乃は、希沙の瞳と同じ癒しの色をした、2つのグリーンアメジストの小さな羽根を一対として、ブレスレットに。
     空飛ぶ鳥の如く歩めますように――と。
     それから互いに、相手の手元をちらり……しようとしたが。
     だめだめ、まだ内緒! 明日のお楽しみです!

     折角だから、何時でも共に在れるものをと。
     雛とエステルが選んだのは、お守り代わりの指輪。
    「でも雛ちゃんなら婚約指輪になっちゃうかな~?」
     そうつんつんぷにぷにするエステルに、……違いますからね? と一応断った後。
    「石にはね、不思議な力が宿るって聞いた事があるの」
     インカローズレッドとヘマタイトブラック、掌に二つの煌きを転がす雛。
     そしてエステルが手にしたのは、セレスタイトとアイオライトの青。
     相手に望む願いを、その石に込めて。
     ほんま、キラキラしとるなぁ、と呟きながら。
     裕士が見つけたのは、ウォーターオパールのイルカさん。
     それにローズクォーツを合わせて、妹へネックレスを。
     夜露も、オパールに藍色のラピスラズリ、水晶を繋いで。
     赤い蝶をひらり青に舞わせれば、完成!
    「お兄ちゃんをイメージして作ってみたんやで。御守になるとええなぁって」
     そしてブレスレットを手に、にこにこ笑む妹に。
    「これからも、一緒に居よな」
     裕士は試しにそっと、ネックレスをつけてあげる。
     この髪に似合う色は……清冽な青と、透き通るような白。
     何を作れば良いかと迷っていた華月は、そう沙月の髪を飾る煌きを繋いで。
     そして端に、護りの誓いを――紅の輝きを、ひとつだけ添える。
     一方沙月は設計図を見ながら、指輪に鈴蘭の彫刻を施して。
    「紫は私と華月ちゃんを合わせた色だからね」
     ふたりの瞳の色が混ざり合ったような、その紫の菫青石を、銀の円環に嵌め込んだ。
     互いに、いつまでも変わらない半身の……相手の幸福を、心から祈りながら。
     蒼埜が一直線に向かう煌きは――グリーンファントムクォーツとセレスタイト。
     以前一緒に選んだこの石で、互いのアクセサリーを作る二人。
    「蒼埜、少しこっちを向いてくれるかい?」
    「なあに? オリヴィアさ――」
     次の瞬間――ドキドキと胸の鼓動を早める蒼埜。
     オリヴィアの顔が、すぐ傍にあったから。
    「ほら、動かないで」
     そんな真っ赤な蒼埜に、オリヴィアはネックレスをあてがってから。
     長さを確認すると、するり、その長い髪を一房掬って微笑む。
     8月の誕生石ペリドットを主に、少し大きめのラブラドライトがワンポイントのブレスレット。
     麗が作るそれは……実は鷹飛斗にあげる物だけど。
     少し気恥ずかしいから、彼には内緒。
     でも。
    「……お前は誰かにやるのか?」
    「な、内緒です!」
     彼が作るものも、彼女への内緒の贈り物。
     互いにぎこちない手際ながらも、二人は真剣に作業を進めて。
     鷹飛斗は、完成し掲げたトパーズとブルーアゲートの青に満足気に頷いてから。
     麗の顔を見て、にこりと微笑む。

     空が部活の先輩に作るのは、ファイヤーオパールのストラップ。
    「綺月さん、これ上手く出来てるかなっ♪」
    「ああ。とてもファンシーなアルパカさんだな」
     いえ、これ勇ましいライオンです……次はちゃんと動物図鑑見て作ります。
     赤き輝きを纏う剣に、空に浮かぶ銀河、小さな青に煌くバイオレットスピネルの紫。
     七葉が作るのは、3つの異なる輝きの指輪。
     そして、どうかなと、イメージした彩りの友達に尋ねれば。
     とても素敵だと、そう嬉しそうな微笑みが返ってくる。
     贈る友達のイメージは緑。
     でもかき集めた緑だけでは、少し味気なくて。
    「水晶なら緑の石にも合いそう!」
     遥河が勧めたその色は、何色にも染まる透明の水晶。
     手をぷるぷる震わせつつも凪流は懸命に、煌きを交互に繋いでいく。
     瑠璃羽は、紗矢や遥河に猫カップのチョコプリンをお裾分けしつつ。
     お茶会で完成品の見せ合いこ!
     そしてふと首を傾けて。
    「指輪……フェザーリングに見えるかな?」
     そう言った彼女に二人は頷き、太鼓判のサムズアップを!
     お目当ての乙女座の守護石は、勇気をくれる石。
    「猫の形につくりたいけど、うまくいくかなぁ」
     リコは、何度も銀粘土をこねこねしながら。
     タイピンの台座に、まんまるいカーネリアンを抱いて眠る銀の仔猫を、ちょこんと乗せた。
     まるで脈打つ心臓の様な色をした紅玉。
     紡はその煌きを銀の歯車に沈めて。心のすぐ近くで揺れるようにと、チョーカーに。
     そして、喜んで欲しいなと歯車に触れ、その紅を指でそっと撫でる。
     貴方の力も貸してねと、囁きながら。
     透き通った青の煌きを中心に、大きめな翡翠色の石をひとつだけ。
     そんな彩りのアクセサリーをふたつ、作り上げた瑠威は。
     ひとつは自分に。もうひとつは……未来の大切な人へ取っておく。
     だってこれは、初めて自分の手で作ったものだから。
     芸術と幸運の石、オパール。それに紅は、大好きな先輩……恋人さんの色。
     先輩の夢の手伝いをしたいと遥香が決めた、あの日。
     いや、夢叶った後も許されるなら、ずっと支えたいと。
     そう願いを込めた煌きの一歩を、遥香は繋いでいく。
     その輝きは、大好きで大切で、ずっと伝えたいことがある人の守護石。
    「誕生石は……そう、ルビーでしたね」
     菫は、真っ赤なその石を繋いで、ネックレスにしていく。
     告白する勇気を――自分もこの赤い宝石から、貰う為に。

    「ふむ、中々難しいな」
     ルームメイトへ贈る青の指輪を作るべく。まずは銀粘土で形を作る連理であったが……手直しする度に微妙にずれる気が?
     そして連理は、【なのはな寮】の皆の様子をふと見てみれば。
    「誰に贈るのだろうか?」
     そう問われてからふと考え込むのは、雪乃。
     そして触れたトパーズの指輪を見つめ、決める。
     双子の姉に、何か作りたい、と。無くしたと言っていた、これと同じ石で。
     彩澄はそんな皆の作業を一通り覗いて回ってから。
     作り始めたのは、ペリドットのネックレス。
     普段は弟に作るけれど……今日はいつも助けてくれるあの人に、感謝の気持ちを込めて。
     いつもありがとう、これからも仲良くしてね――と。
     そして。
    「なんか懐かしい粘土細工みたいですね……あ、なんとか可愛くできたかな?」
    「このピンクかわいいーこれなんて石なの?」
     そう覗き込む彩澄に、陽太はこう答えるのだった。
     石の名前や意味は分からないけれど。
    「なんか彩澄さんに合いそうだなぁって……あ」

    ●想いの宝石
     自分だけのお姫さんには、誕生石のアメジストではなく。
    「もっと紅い石の方が似合うんだよなぁ」
     でも結局優志が選んだのは、ムーンストーン。
     そして煌きを革紐に通し繋げていけば……愛を伝える石が中央で煌く、雪の結晶に。
     光明がブレスレットに繋いでいくその花弁は、桜。
     でも連結させた2枚に1つの花弁の間で煌く、その彩りは。
    「喜んでくれると良いんだけどな……」
     ペリドットとシトリン――ふと思い浮かべた恋人と自分の、誕生石の色。
     ラピスラズリとマーカサイト、自分の瞳と同じ赤の天然石。
     それに翡翠や白鉄鉱を繋げていく白焔を見つめ、緋頼もミサンガを編んでいく。
     戦いたがりでふらりと消えそうで不安だから……いつでも傍にいて欲しい。
     戦う時でも、出来るだけ一緒に。
    「緋頼、ちょっと」
     そしてふとあてられたのは、赤と白の煌き。
     緋頼はそれを鏡越しに見ながら笑顔で礼を言って。
     ミサンガに、カーネリアンの輝きを結び付ける。生きて自分の元へ帰って来る事を、願いながら。
     タージとくるみがお揃いで作るペンダントは、黄色とピンクのナノナノの形。
    「この子たちがさびしくないように、なるべくいっしょにいてあげたいね……」
     くるみはそう互いの胸で揺れる子達を見つめて。
     そうだね、とタージが頷いた――刹那。 
    「ふむ。その為には、僕たちもこのくらい近づかないといけないかな?」
     ぐいっと、二人の距離が一気に縮まる。
     そして……カチッ! と鳴って、仲良くハグするのは。
     埋め込んだ磁石に引き寄せられた、ナノナノ達。
    「あっ! ま、また落としてしまいましたぁ……」
     バラバラと床に散る、サファイヤビーズの煌き。
     それを拾ってくれた晃に礼を言った後、今度は工具を落とす輝。
     そんな彼女を手伝いながら、そっと触れた手の温もりにちょっぴり慌てるも。
     ニコニコ幸せそうに微笑む輝と手元のヘアアクセを見つめて。
     その煌きに込められた言葉を思い出し、晃は呟く。
    「繁栄……もとい、健康と成功はお守りにちょうどいいな」
     花を咲かせるように、ラピスラズリを繋げながら。
    「ゆーき、どうなった?」
    「むむ、難しいの……でも面白くて楽しいのよー♪」
     大好きな亮とお揃いのブレスレットにしたいから。悠祈の選んだ色も、赤と銀。
     イヤリングとピアスも一緒、二人の誕生石を嵌めこんで。
    「りょーちゃんのすごくきれいに出来てるのー! ゆーきね、が、頑張ったの、よ」
     ちゃんと上手に出来てる……? と、眼差し向ける彼女を愛らしく想いながらも。
    「とても、上手だね……」
     またひとつ一緒に、楽しくて幸せな思い出を紡いでいく。
     綺麗な色だから! そう推したけれど……石の意味は、内緒。
     夏蓮は蓮次と選んだガーネットをメインに、麻紐でブレスレットを作るも。
    「周りはこの透明系の黄色いやつがいいな、あと緑色も」
     魔法のようにカラフルな石を繋いでいく、蓮次の手際に見入って。
     あてがわれたその簪は、キラキラすごく綺麗。
     そして、自分のブレスレットを少し恥ずかし気に蓮次に見せれば。
    「あっ、こうすればいいんだね! すごい!」
     器用に紐を結ぶ彼から、魔法のお裾分けを。
     好きな色とかあんの? そんな円の問いに答えた色は、水色。
     そして直感とフィーリングで、円っぽい緑の石と黄色のビーズを使い、チェーン付き二連ピアスを飾るレド。
     でも、アマゾナイトがメインに飾られた彼のアクセサリーが、バレッタだと気付いて。
     何作ってるの? と訊けば。
    「髪長かった頃の俺ならまだしも、今は短ぇからな。女子にやんよ?」
    「お、女の子にあげるのか?」
     その答えに、思わずそわそわ。
     でも誰にあげるかは――当日まで、まだ内緒。
    「……えっと、この紐にこの宝石を? じゃなくて、こっちの宝石でしたでしょうか?」
     不器用ゆえに時間はかかっているけれど。
     アイスバーンが懸命に繋ぐのは、自分と雪羽の誕生石ペリドットとラピスラズリと、恋愛の意味を持つ石の煌き。
     そんな彼女をあえて見守りながらも。
     銀細工を繋げ、二人の誕生石と、魔よけの水晶を飾っていく雪羽。
     彼女を守ってくれるように――そう願いを込めて。
     そして互いに繋いだブレスレットの交換は、バレンタイン当日に。
     雨の日も、晴れの日も、恋人が毎日楽しめるようにと。
     エアンが選んだのは、小さな虹の様な彩りのプレシャスオパール。
     そして百花は琥珀色をした蜂蜜の雫・深紅のガーネットを手にしながら。
     エアンと石を、ちらちら。
     その視線に気付いて、石の意味を訊いてみれば。
    「……免疫、あっぷ!です♪」
     風邪菌、退散! 健康のお守りです!
     そして選んだ二つの煌きと、お揃いの銀の薔薇を繋いだ後。
     二人は願いを込めて――互いの為のブレスレットに、キスを。

     付き合い始めて、今日で一年。
     少しでも愛が伝わりますように――そう月瑠が掌で包むのは、水晶とエンジェライト。
     水晶は湊介の誕生石であるし……純粋な彼にぴったりの石だから。
     そんな月瑠をじっと見つめながら。湊介が繋いだのは、愛を伝える石・ムーンストーン。
     でも……何かが少し、足りなくて。
     照れる月瑠と自分のブレスレットを見比べた湊介は、閃いたその色に瞳を輝かせる。
     愛の石に加えたのは、水色の煌き――彼女の誕生石の、アクアマリン。
     二人で見た満天の星空と、自分の名前でもある月の石。
     ディアナが繋いでいくのは、愛を伝えるというムーンストーンとラピスラズリ。
     そして翼が自分の為に選んだロードライトの煌きに、微笑む。
    「一途な思いを誓う石、選んでくれてありがとう……」
     その守護石に込められた意味は――忠誠や真実の気持ち。
     それから翼は、彼女と同じように、星空をイメージしたラズライトを繋いだ。
     濃い藍に映える赤の輝きに。受け止めた彼女と、お揃いの想いを込めて。
     するり繋ぎ結ばれるのは、鮮やかな瑠璃色と透き通るオリーブグリーン。
     その先に、黒猫をゆらり遊ばせた後。
     芥汰は、苦戦する夜深のお手伝いを。
     彼女が交互に繋ぐ石は、二人の誕生石のぺリドットとラピスラズリ。
     最後に白蛇さんを付ければ、お揃いストラップの完成!
     その煌きの意味は――永遠の誓い、運命の絆……夫婦の幸福。
    「それじゃ大人になった後も大事にしなきゃだ」
     そんな芥汰の言葉に頷く夜深。
     将来、肖れル、様。大事、すル、ネ!! と。
    「むう……これって、ちゃんと銀になるのです……?」
    「焼いて磨けばと綺麗な銀色に輝くよ!」
     そう首を傾ける雪緒に清十郎は助言しながらも。
     作り出した雪の結晶と繋ぐ色を探して。手にした煌きの色は、純白。
     そして十字架のチャームを作った雪緒が選んだ石は、優しい翠の色。
     焼き上がったチャームを一緒に、心を込めて磨き上げて。
     銀の雪の結晶と十字架、翠と白の石を繋げれば――きっとそれは、一生の宝物。
     世界で二つだけの、お揃いブレスレットに。
     何を作るかは、お互い秘密だけど。
    (「フレンに贈るプレゼントだから丁寧に願いを込めて作らないとな」)
    (「わたし達の絆の証……な、なんか、はずかしいかな? ……でも、想うくらいはいいよね」)
     相手に喜んで貰いたい気持ちは、ギーゼルベルトもフローズヴィトニルも一緒。
     でも彼のブレスレットは、ガーネットや様々な赤い天然石で作られたシンプルなデザイン。
     彼女のものは、深い青の中に煌く金色が月光のようで。
     相手に秘密で繋がれていきながら、それぞれの彩りを放つ。
    「トーヤ、こっち見ちゃだめだからね?」
     えー! なんでー? そんなブーイングも却下です!
     終わったら沢山構ってあげるからねと謝りつつ、クリスは後ろを向いてこそこそ。
     桃夜も気を取り直し、煌きを幾つかその掌に乗せてみて。
     愛しい人の足を飾るに相応しいと選んだ雫は、カーネリアンとルビー。
     そしてクリスが手にするのは、雲一つない青空みたいな綺麗な石。
     そんな桃夜の誕生石・ターコイズを、ピアスに埋め込んで。
     喜んでくれるかな……そう蒼穹の煌きを映した瞳を、そっと細めた。
     ラピスラズリにオニキス、彼が好きな二つの煌きを繋いでいきながら。
     ちゆはふと、何を作っているのかと、このはに訊ねてみるも。
    「大事な子を守るお守り、かな」
     返ってくるのは、相変わらずな気障な台詞と、掬い上げられた髪に落とされた口づけ。
     そして続いたこのはの言葉に、その忙しない指先を見つめ、ちゆは頬杖をつき呟く。
    「別に……」
     もう少しぐらい、私の事、縛ってもいいんですよ――。
     彼の好きな彩を紡ぎながらも。その言葉は、飲み込んで。
    「囁きなんかあっても、俺は靡くようなことはしないけどな」
    「靡く心配はしてねーっての」
     信彦に額を小突かれ、少し膨れる奏が、作るイヤーカフに込める想い。
     それは――。
    「でも、守ってくれるのは嬉しいよ」
     愛しい人にはちゃんと、通じていて。
     そか……と微笑み返し、その腰に腕を回して引き寄せれば。
     驚く信彦の掌で輝く煌きは、銀の羽の先で揺れる、カイヤナイトのひとしずく。
     そして奏も負けじと、イヤーカフにガーネットを――不変の愛を込めて。
     青天から夕暮れ、訪れた夜に月の輝き。
     そして繋げられた彩りのその先端には、揺れる銀の烏。
    「ねえ暁。瞳に嵌める石は、紫水晶と瑠璃、何方が好みだい?」
     そんな十八號・アリスの問いに、暁は迷わず答える。
     もちろん――ラピスラズリ、と。
     すぐ目の前の、似た色を覗き込みながら。
     それから、アンタの見慣れた色よね? なんて。
     悪戯気な聲と共に彼女が手にした紫水晶が、ワイヤーに抱かれた翼となる。
     雪の日に一緒に作ったものとはまた違う煌きを帯びて。
     澄んだ声にきすいが乗せるのは、愛しい人を彩るガーネットレッドの詩。
     そして彼女の心は、溶けるような優しい色……繊細で深いエメラルドだと。
     きすいの紡ぐ言葉に照れる皐臣は、サイズを測るべく小さなその手を取って。
     絡まり繋がる二人の指が、内緒の戯れを。
     それから己の輝きを、揃いの円環に埋め込む。
    「……次に指輪を渡す時は、お互いどんな大人になってんだろな」
    「先輩はもっと格好よくなってるかなー」
     共に繋ぐ未来の約束と誓いと、一緒に。

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月13日
    難度:簡単
    参加:83人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 14/キャラが大事にされていた 4
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