バレンタイン? そんな事より壷プリンを食べろ!

    作者:猫御膳

     2月14日。それは男性も女性も何かと意識をする日。中には気にしない人も居るが、気にする人の方が多いというのは事実である。そんな日に、商店街を男子高校生が4人で歩いている。
    「いやー、こんなに貰っちゃったよー。お返しが大変だなー」
     カバンいっぱいのチョコレートを見ながら、嬉しくて仕方ない、誰かに自慢したくて仕方ないという感じで言うのは、サッカー部でエースの男子生徒。それを見ているのは、
    「あー……俺の目からレーザーでも石化光線でも出てアイツを倒せねぇかな」
    「今なら憎しみだけで爆発させる事が出来そうだ。というか爆発させてくれ、しろ、マジで」
    「俺、幼馴染が居てもチョコすらくれん。折角の……折角の女の幼馴染なのに!!」
     とても色んな意味で可哀想な男子生徒が、濁った目で睨んでいた。その男子生徒の考える事は一つ。
    「「「誰かアイツを不幸の目に遭わせてくれ!」」」
     という、とても残念な事を願っていた。そして彼等の願い事を叶える者が現われた!
    「そこのチョコを沢山持っている者よ! 訳あって、そのチョコは頂いていく!!」
    「え、嫌ですよ。何を言って……うわっ!」
     そう言って颯爽とバックごと奪うのは、コサック戦闘員を連れた壷を被っている怪人。当然、サッカー部の男子生徒は抵抗も出来ず奪われる。
    「か、返せ! その中には告白が成功した子のチョコも、って、何でお前等が邪魔するんだ!?」
    「此処は俺達に任せてください!」
    「早く! 早くそれを持って逃げてください!」
    「貴方は俺達のヒーローだ! 当然ながら助太刀するぜ!!」
     残念な男子生徒3人組が、サッカー部の男子生徒をタックルしたり羽交い絞めしたりと、邪魔していた。
    「う、うむ。ヒーローと言われるのはちょっとアレだが……お前達の心意気は受け取った! 我は魔法の壷プリン怪人!! チョコの代わりに魔法の壷プリンをよろしくな!」
     その場に居た全員に魔法の壷プリンを手渡し、笑いながら去って行ったのであった。

    「時期が時期だけに、チョコが食べたくなるよね」
     天野川・カノン(中学生エクスブレイン・dn0180)が移動型血液採取寝台・仁左衛門(にざえもん)に乗りながら、チョコレートを食べてリラックスしている。
    「……? わゎっ? あ、……こほん。皆さん、お集まりいただき感謝します。この度は、バレンタインデーにご当地怪人が現われ、チョコレートを強奪して逃走してしまいます。それを阻止し、ご当地怪人を灼滅してください」
     集まっていた灼滅者達に気付き、姿勢を正して真面目な顔を作るカノン。しかし、口元の周りにはチョコレートが付いている。その事を誰かが指摘すれば、
    「っ! ふ、拭こうと思ってました! 気付いてました! ……もう駄目。全然シリアスに出来ないから普通に話すよっ」
     慌てて口元をティッシュで拭い項垂れるが、気合を入れ直して説明を続ける。
    「今回の場所は神戸の街。下校の途中で商店街を通る男子学生が襲われるみたいだよっ。時刻は夕方かな。ご当地怪人は一般人の被害を避けるみたいだね。だからその場で戦っても、大丈夫じゃないかなっ」
     または近くの広場や、駐車場に誘導すれば良いと思う、と補足する。
    「後はそうだね。今からだと、どうやっても怪人達が先に着いちゃうから先回りは出来ないみたい。残念だけど、怪人達と接触出来るのは怪人達がチョコレートを奪った時だろうねっ」
     こればかりは仕方ないよ、と苦笑する。
    「敵は魔法の壷プリン怪人1人と、コサック戦闘員が2人。魔法の壷プリン怪人はご当地ヒーローと同じサイキックを。コサック戦闘員はバトルオーラっぽいサイキックを使うみたいだねっ」
     コサック戦闘員はそこまで強くは無いけど、回復が面倒じゃないかな?と首を傾げる。
    「ああ、ちなみにこの男子4人組みは普段仲が良いよ。今回はちょっと、ケンカ? 仲間割れ? みたいな事をしてるけど、大丈夫の筈。まあ、バレンタインだしねっ」
     青春だねー、と笑いながらカノンは言う。
    「何でご当地怪人がチョコを狙ったのか分からないけど、チョコを取り返して、良いバレンタインになるように頑張ってねっ」
     チョコかー、良いなー。プリンも美味しそうだなー、というカノンの言葉を背に、灼滅者達は教室を出て行くのであった。


    参加者
    シオン・ハークレー(光芒・d01975)
    羽守・藤乃(君影の守・d03430)
    武神・勇也(ストームヴァンガード・d04222)
    護宮・サクラコ(猟虎丫天使・d08128)
    暗月・朔也(正義なんてクソ食らえ・d08241)
    黒田・亜里沙(スイートデイズ・d15933)
    天神・緋弥香(月の瞬き・d21718)
    田抜・紗織(田抜道場の剣術小町・d22918)

    ■リプレイ

    ●ヒーローショー
     バレンタインデーといえば、女性から男性へと、愛の告白と共にチョコレートを贈り、愛の告白をする日とだと言われる。元を正せば、とある宗教に纏わるお話なのだが、
    「チョコー! 俺のチョコぉぉ!! 離せぇぇ!!」
    「ええい、往生際が悪い奴め! カバンいっぱいチョコを貰う時点で、貴様は悪なのだ!!」
    「あー……フ、ハハハ! 我は魔法の壷プリン怪人である! 貴様が貰ったチョコは有効利用してやる。ありがたく思うのだな! おい、コサック戦闘員達。壷プリンを配って帰るぞ」
    『あーっと、何という卑劣な魔法の壷プリン怪人。チョコを奪うだけはなく、男の子達の友情までヒビを入れてしまった。このまま男の子は泣き入りで終わってしまい、チョコをあげた女の子の想いも無残に散ってしまうのか』
     そんな事は一切関係無く、神戸の商店街はヒーローショーで賑やかな事になっていた。緊張気味の田抜・紗織(田抜道場の剣術小町・d22918)の司会進行のお姉さん役も、ラブフェロモンを使ってるとはいえ、その初々しさが受けている。男子生徒達の叫びは、演技と思えないほどだ。
    「そうはさせん。お互い出会ったこの戦場を、双方の力と技で華々しく飾ってやろう」
     スレイヤーカードから『無銘』大業物を取り出して炎を纏わせ、空間を逆袈裟に斬り裂くように振り上げ視界を遮る。炎が静まれば、そこには黒を基調にしたシックな戦装束を纏った武神・勇也(ストームヴァンガード・d04222)が佇んでいた。
    「この壷怪人め。容赦しないでいす! 魔法少女に変身!」
     スレイヤーカードを掲げれば、白を基調とした海軍軍装風味な制服は華やかで柔らかいイメージの白い蕾のようなドレスの衣装に変わり、天使の祈りが後押しするような魔法少女風味の護宮・サクラコ(猟虎丫天使・d08128)の姿がある。
    「バレンタインをおびやかす壺プリン怪人……その甘くない悪事もここまでだっ。ポップチェンジ!」
     スレイヤーカードの封印解除をすれば、手にしたロリポップと着ているパーカーが形状を変えていく。あっという間に形状はガンナイフと、スタイリッシュで黄色を基調とした、クールコスチューム姿の黒田・亜里沙(スイートデイズ・d15933)が、ポーズを決めている。
    「えとね、人の幸せは妬んだり羨んだりするものじゃなくて、祝福してあげるものだと思うんだ」
     にこやかな笑顔のシオン・ハークレー(光芒・d01975)が、手に光を灯して閃光へと変える。光が収まれば、マテリアルロッドを手に、冬服の制服の上にくすんだ銀色のローブを纏って姿を現していた。そしてその台詞に残念な3人組は、ばつの悪そうな顔をする。
     背後から聞こえる4つの前口上。そして姿を現す4人組! その出現に、期待を込めたような顔をして振り向く怪人。
    「き、貴様等は!?」
     それぞれのゴージャスモード、プリンセスモード、スタイリッシュモードは観客を大いに盛り上がるが、怪人の問い掛けに、灼滅者達はお互い顔を見合わす。
    「と、兎に角退治してやるでいす!」
     誰も名乗る事をしてくれなかった。
    「貴様等、そこはちゃんと名乗るとかしないと駄目だろ!? 打ち合わせはしっかりしろよ!! それと俺の名前はちゃんと呼べよ!!」
     怪人は期待していた分だけ、ショックを受けていた。
     打ち合わせとは30分程前の事。

    ●打ち合わせ
    「我は魔法の壷プリン怪人!! チョコの代わりに魔法の壷プリンをよろしくな!」
     笑いながら去って行こうとする怪人の前に、8人の少年少女達が立ち塞がる。
    「ほぅ、貴様等は灼滅者か」
     咄嗟に身構える怪人。そして一般人達が近寄らないようにする、戦闘員達。
    「かかってこい、と言いたいところでいすが、ここでが他人の迷惑ですねい。もっと広い場所で勝負いたしましょう!」
    「ショーに付き合った方が壺プリンの宣伝にもなるだろう?」
    「欲しければショーに付き合いなさい」
     サクラコ、亜里沙、紗織が、それぞれ場所を移そうと交渉する。
    「なるほど。元より一般人には迷惑を掛けるつもりは無いが、その提案に乗ってやる。ああ、そんな想いも篭っていないチョコなんぞ要らん」
     勇也の調べで近く広場の方が良いと判明し、あっさり交渉に乗った怪人達と共に、広場まで歩く事になった灼滅者達。興味本位で付いてくる一般人達は居るが、得体も知れない怪人達には近寄ろうともせずに、色んな憶測が飛び交っている。
    「目立ちますよね、……やっぱり」
    「当然だ。神戸で魔法の壷プリンを知らぬ者なんて居ない」
     天神・緋弥香(月の瞬き・d21718)の呟きに、怪人は断言する。きっとそういう意味で言ったのでは無いと思う。
    「そもそも何でチョコを強奪なんかしてるんだ? お前らが奪ったチョコには誰かが誰かに込めた願いが入ってるんだ」
    「教える義理は無いな」
     気に食わねぇなぁ、と睨む暗月・朔也(正義なんてクソ食らえ・d08241)を、怪人は受け流すように返す。
    「着きましたね。では、準備を致しましょう。このラインから出ないようにお願いします」
     羽守・藤乃(君影の守・d03430)が戦場のライン引きをし、緋弥香と朔也とコサック戦闘員が一般人を誘導している。何が起きるんだ、という問いに、ヒーローショーが始まりますので、と説明する。
    「あ、あの俺のチョコは……」
     おずおずと藤乃に声を掛けるサッカー部員の男子生徒。後ろの男子生徒3人組は返さなくて良いと主張するが、
    「チョコは必ずヒーローが取り戻しますから、落ち着いて下さい」
     という言葉で、取り敢えずは様子を見るらしく落ち着く。その他の野次馬や、絡んで来る一般人に対しては朔也がプラチナチケットで応じたり、緋弥香が王者の風で黙らしたりしている。
    「おい、カメラはどうするんだ。ヒーローショーだとすれば、そういう機材が必要では無いのか?」
    「ボク達はバベルの鎖で、過剰に伝播出来ませんよ?」
     首を傾げるシオンに、怪人はそうであった、と顔をしかめる。
    「私達はそれぞれ小型カメラを持ってる、そういう設定で宜しいのでは? ヒーロー視点、怪人視点、司会者視点と考えれば大丈夫だと思いますわ。映像に残らなくても、心に残れば良いと思うのですが」
     緋弥香が、どうでしょうと言えば、怪人は不満ながらも頷く。
    「そんな事よりも、司会としては怪人の設定とか皆の設定を聞かないと。台本も急いで作るわよ」
     変な所で真面目な紗織は、司会を務めようと必死である。ちょっぴり興味があったらしい。
    「それで、怪人の一番の必殺技は?」
    「ローキックだ」
     即答する怪人を、灼滅者達は一斉に思った。地味だ、と。
    「ビームとかじゃないの?」
    「カスタードクリームを飛ばせるぞ。ただアレをするとだな、妙に女性に怒られたり、戦闘員がずっと使って欲しいと言われて、使い難いのだ。無論、時と場合によっては駆使するが」
     思わずコサック戦闘員を見る灼滅者。だが、戦闘員は目を合わせようとしない。
    「それは却下で」
    「遠距離の場合は辛いではないか。却下を却下だ」
     そんなこんなで、魔法の壷プリンの素晴らしさ等の演説を撥ね退け、合同の打ち合わせが終わる。
    「どうせなら派手に倒されろ。我は勝利を持って任務を遂行する。もしも何か準備があるのだったら声を掛けるのだな。我々の資金は充実している」
     怪人は自信満々にそう言い残し、そして冒頭へと戻る。

    ●魔法の壷プリン怪人
    「おいっ!? 今、回復させたろ!?」
    『司会はヒーローの味方だし、皆の声でヒーローが立ち上がるのも常識でしょ』
     怪人の言葉に、当然と言い返えす。観客を味方にしたまま、ヒーローショーは進む。
    「ザコはさっさと片付けるですねい!」
    「手伝うよ。先ずは片方ずつだよね」
     サクラコは妖の槍を旋回させながらコサック戦闘員へと駆け出し、槍に螺旋の如き捻りを加えて穿ち、シオンは周囲に魔法の矢を展開させ、連続的に放つ。戦闘員は避ける事も出来ず、体中に一際大きな穴と無数の穴を開けられて、崩れるように倒れる。
    「思ったよりも強い。我も戦おう」
     バッグを抱えたまま動き出そうとする怪人の前に、炎の斬撃が襲い掛かる。片手でその斬撃を弾き、襲い掛かってきた勇也を一瞥する。
    「貴様か。1人で我と戦う気か?」
    「不満か? どうせ短い時間だ。相手をして貰おう」
     本来は口数が少ないが、ショーを盛り上げようと喋る勇也を笑い飛ばす怪人。
    「確かに短い時間になりそうだ」
     そう言い終る前に怪人の姿が消えるように動く。その動きに辛うじて反応し、『無銘』大業物を地面に突き刺すと同時に痺れる程の衝撃が襲い、地面を抉りながら後ずさる。怪人のローキックが炸裂したのだ。
    「上手く防いだ。だが二、三撃まで持つかどうかだな」
    「お出でなさい、鈴媛。魔法の壷プリン怪人。想いの詰まったチョコを奪うとは……食べてもその想いは貴方の力にはなりませんよ、返しなさい」
     距離を詰めようとする怪人の前に、WOKシールドの障壁が灼滅者達を包むように展開する。その障壁を展開した藤乃が、鈴媛を構えながら怪人の前に立つ。
    「スタッフまでが加勢か。……まあ良い。お前達は何者だ!」
    「ヒーローの仲間、かしら? あら、失礼。これでも手加減しましてよ……」
    「あ? 俺は……『通りすがりのお節介』だッ! 覚えておけッ!」
     緋弥香は戦闘員へと駆け出し、片腕を異形巨大化させて殴り飛ばす。殴り飛ばされた戦闘員へ、朔也は星の形をした魔法の矢で貫く。
    『何と、スタッフと思っていた人達も実はヒーローの仲間だった! ところで、魔法の壷プリン怪人は何故チョコを奪うの?』
     それぞれの返しに言い返したい事はあるが、ヒーローショーは続いているのだ。だからノリノリで怪人は答える。
    「ふん! 知りたければ教えてやる! そこの女は力にならないと言ったが、その逆だ! このバックの中には我々がパワーアップ出来るチョコがあるのだ!」
     その言葉に灼滅者達はヒーローショーの設定かと疑うが、どうやら違うらしい。
    「ただ宣伝するだけだったら平和なんだけどなって思うけど、それは困っちゃうよ」
    「そうだとすれば、益々チョコを返してもらわないと駄目だな」
     シオンが地面に手をつき、小さく呟くと影が触手を一斉に溢れさせて伸ばし、怪人を捕獲する。そして身動きが出来ない戦闘員に、亜里沙はヒーローショーで微かに照れていた表情を無表情へと戻し、腕を捻り上げて押し倒してロリポップスで止め刺す。
    「バレンタインのチョコをさくっと返していただきましょうか。ついでに壷プリンくださいでいす!」
     サクラコは怪人の懐へ飛び込み、理力の杖を押し当て魔力を爆発させる。その爆発の衝撃に怪人は揺さぶられる。
    「グァ……良いだろう、存分に喰らうが良い! 絶品だぞ!」
     怪人は頭を下げ、至近距離からカスタードクリームを凄い勢いで放ち、サクラコは避けきれずに直撃を覚悟する。だがその寸前、藤乃が武器を盾にしながら割り込む。
    『魔法の壷プリン、それは却下って言ったでしょ! こらそこ、怪人を応援するな!』
     何故か色めき立つ観客を叱りながら、紗織と亜里沙は藤乃へと回復を飛ばす。
    「女性の敵ですわ」
    「擁護出来ん」
     ツリ目の視線が更に厳しくなり、緋弥香は破邪の白光を放ち怪人へと斬撃を浴びさせると同時に、白い輝きを身に纏う。勇也はその斬撃に隠れるように、死角から足を斬り裂く。
    「このままでは……! こうなれば!!」
     バックを漁り、沢山のチョコを包装紙のまま食べようとする怪人。
    「させるかよぉ!」
     朔也は空かさず月の光をのような青白い色のビームを放つが、怪人は辛うじて避け、チョコはぽろぽろと落ちるが、手に残ったチョコを一気に頬張る。
    「邪魔をするな、通りすがりのお節介! クッ、ハズレか!」
     慌てて残りのチョコをバックから取り出し、一気に食べようするが、
    「流石に見逃せませんでいす!」
    「それ以上食べたら駄目だよ」
     サクラコは片腕を異形巨大化させ、シオンはマテリアルロッドを構え、同時に動く。お互い攻撃を合わせ、異形の腕を振り下ろし、魔力を一気に爆発させながら押し込む。攻撃を避ける暇も無いように、瀕死になりながらも残りのチョコを平らげる。
    「オォォォオオオオ!!!」
     怪人は雄叫びを上げ激しい閃光を輝かせ、衝撃波が近くに居た灼滅者達を吹き飛ばす。余りの眩しさに誰もが目を開けれない。そして不意に雄叫びと衝撃波が止むので、目を開いてみれば、
    「な、え……巨大化……!?」
     誰かの驚きの声しか響き渡らず、その後の言葉は誰もが出せずに、見上げる事しか出来ない。その驚きの言葉通り、比喩でもなく、怪人がビル並みに巨大化したのだ。
    「……す、素晴らしい力だ! これなら灼滅者達に負ける事も……グゥ……!」
     巨大化した怪人はよろめき、近くの店に寄り掛かり破壊しながら膝を着く。確かにパワーアップしてるのだが、瀕死まで追い込んだ怪人は弱っているのだ。
     そう判断した灼滅者達の行動は素早い。
     マイクを投げ捨て、紗織は一気に怪人の首筋まで駆け上がり、鋭い斬撃で斬り裂き、サクラコと緋弥香はお互いの腕を異形巨大化させ、跳躍して頭部へと思いっきり叩き込む。シオンと朔也と亜里沙は、魔法の矢を絶やさずに撃ち込み、裁きの光条で穿つ。
    「舐める、なぁ!」
     怪人が攻撃しようする勇也を片手で掴み、地面に叩き付け大爆発を起こし、大地を震えさせる。
    「ッグハ……! こっちの、台詞だ!」
     それでも『無銘』大業物に炎を纏わせ、自分を掴んでいる腕へと突き立て反撃するが、そのまま動かなくなる。
    「終わりにしましょう」
     藤乃が凍えさせるような冷気をで怪人を包ませ、氷で貫く。その氷で悲鳴を上げるも無く、怪人は消えて行くのであった。

    ●ハッピーバレンタイン
     灼滅者達は勇也を心霊手術した後、誰もが疲れきって動けない。
    「な、なんだったの……アレ」
    「分かる訳ねぇよ。ありゃ反則だ……」
     朔也と紗織は、悪夢を見た後のように呟く。
    「あの、良ければどうです?」
     チョコを奪われた男子生徒は、幸いながら落ちたチョコの中には本命チョコがあって、食べられなかった事に安堵し、残念な3人組は労いの言葉を掛けながら、壷プリンを灼滅者達に差し出していた。
    「ありがとうございます。では、これはお返しですね」
     藤乃や亜里沙や紗織に、カカオマカロンやチョコを貰って、大層喜んでいた。
    「ふと思ったんだけど、今回のご当地怪人ってもしかして全部巨大化するのかな?」
     シオンの何気無い言葉に、灼滅者達は青褪める。
    「た、大変ですねい! 早く学園に連絡でいす!」
     壷プリンは後で発送出来ますよ、という言葉を背に、慌ててサクラコ達は学園に戻ろうとするのであった。

    作者:猫御膳 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月14日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 6
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