バレンタインには島バナナを食べろと奴は言った

    作者:J九郎

     もうすぐバレンタインデー。各地のスーパーでは、バレンタインフェアーとして特設コーナーが作られ、賑わう時期だ。そしてそれはここ、沖縄のスーパーも例外ではない。
     だが、女性客で賑わう特設コーナーに、突如乱入する者達がいた。
    「ここのチョコレートは、今から俺が全て奪い取る! お前達弱者は、チョコなどではなく島バナナを食えばいい」
     先頭に立ってそう堂々と宣言したのは、横に細長い湾曲した黄色い被り物を被った珍妙な外見の男だ。
    「み、三日月?」
     売り場の店員が、その被り物を見て連想したものを口にすると、
    「三日月じゃない! バナナだ!!」
     即座にその男に否定された。
    「俺は沖縄島バナナ仮面! たった今からここは島バナナ売り場とする!」
     島バナナ仮面が宣言すると、付き従っていたコサック戦闘員たちが、勝手にチョコをずだ袋に回収し、代わりに島バナナを陳列し始める。
    「ちょ、ちょっと、何勝手なことやってんだ!?」
     店員がすかさず抗議するが、島バナナ仮面はバナナのように反り返った曲刀を突きつけ、店員を黙らせた。
    「この売場は俺達が力で奪った物だ。どうしてもチョコを売りたいというのなら、力で奪い返して見せろ! 」
    「ひ、ひいいっ!」
     流石にそれ以上は抗議もできず、店員は這うようにして逃げ出していく。
     後には、島バナナ仮面の高笑いと、コサックダンスのメロディーだけが残った。
     
    「みんな、島バナナって知ってる?」
     天野川・カノン(中学生エクスブレイン・dn0180)は仁左衛門(にざえもん)の周りに集まった灼滅者達に、そう尋ねた。
    「島バナナっていうのはね、普通のバナナよりもちょっと小振りなバナナで、沖縄なんかで採れるんだよっ」
     そう前置きして、カノンは本題に入る。
    「実はバレンタインデーを前にして、全国のご当地怪人達が動き出したんだ。今回の彼らの狙いはずばりチョコレート! 恋する乙女の天敵だねっ!」
     どうしてチョコレートが狙われたのかは分からないが、ご当地怪人のやることを真面目に考えるだけ無駄だろう。
    「今回は、なんとかチョコレートが奪われるのを阻止して、ご当地怪人を倒してほしいんだっ」
     そこで話は冒頭の島バナナに戻る。
    「今回みんなに向かってもらいたいのは沖縄だよっ。そこでは、沖縄島バナナ仮面と名乗るダークネスが、なぜか3人のコサック戦闘員を引き連れてスーパーのチョコ売り場から強引にチョコを撤去して持ち去ろうとしてるの」
     バベルの鎖をかいくぐり灼滅者達が介入できるのは、売り場が占拠されてから、島バナナ仮面がチョコを強奪して去っていくまでの間だ。
    「その頃には店員やお客さんはみんな逃げちゃってるし、ご当地怪人達も一般人に危害を加える気はないようだから、避難とかはあまり気にしなくても大丈夫みたい」
     島バナナ仮面はご当地ヒーローとクルセイドソードに似たサイキックを、コサック戦闘員はストリートファイターに似たサイキックを使ってくるという。
    「バナナの怪人がチョコを奪おうとしてる……チョコバナナでも作るつもりなのかなあ? なにはともあれ、バレンタイン前に迷惑な話だよねっ! そんな迷惑な奴らは、徹底的に懲らしめてやって!」
     カノンのそんな激励の言葉を受け、灼滅者達は沖縄に旅立っていくのだった。


    参加者
    紅月・チアキ(朱雀は煉獄の空へ・d01147)
    エーミィ・ロストリンク(壊されぬ絆のメイデン・d03153)
    天咲・初季(火竜の娘・d03543)
    慈山・史鷹(妨害者・d06572)
    ワルゼー・マシュヴァンテ(教導のツァオベリン・d11167)
    阪爪・楊司(爪楊枝の申し子・d11442)
    エアン・エルフォード(ウィンダミア・d14788)
    天王寺・勇午(縞馬・d23593)

    ■リプレイ

    ●チョコバナナは邪道だ!
     島バナナ仮面の登場に、店員や客達は我先にと特設コーナーから逃げ去っていく。
     恐怖もあるだろうが、頭に巨大なバナナを被ったどう見ても異常な相手と関わり合いになりたくないというのが正直なところだろう。
    「そうだ、これだ! 奪い取り、踏みにじる……、それが本当の勝利の形!」
     そんなことを知って知らずか、一人悦に入って無意味に曲刀バナナブレードを掲げて見せる島バナナ仮面。
     だが次の瞬間、
    「売りもん食いもん粗末に扱うなや、ボケ!!」
     飛び込んできた阪爪・楊司(爪楊枝の申し子・d11442)が、思いっきり島バナナ仮面の頭をどついていた。
    「ぐっ! 何奴!?」
     一瞬よろめいたものの、すぐに態勢を整えた島バナナ仮面の問いに楊司は、
    「大阪は河内長野のご当地ヒーロー、阪爪楊司! 沖縄でも爪楊枝愛は全開やで!!」
     爪楊枝を模った槍を構え、決めポーズと共に名乗りを上げる。
    「ふん、わざわざ大阪からご苦労なことだ。だが、たった一人でこの俺に挑もうとは、愚かだな」
     島バナナ仮面が指をパチンと鳴らすと、チョコをずだ袋に詰める作業に専念していたコサック戦闘員達が作業を中断し、一斉に身構える。
    「いや、悪いんですけど、一人じゃないんですよね」
     店の入り口の方から聞こえてきた、場違いなくらい落ち着いた声にそちらに目を向けた島バナナ仮面は、思わず絶句した。
    「シマ……ウマ……、だと?」
     そう、悠然とこちらに向かってくるその姿はまさにシマウマ。それは、元病院の人造灼滅者、天王寺・勇午(縞馬・d23593)の戦闘時の姿だった。
     そしてそんな勇午の背にまたがったエーミィ・ロストリンク(壊されぬ絆のメイデン・d03153)は、島バナナで作ったと思しきチョコバナナを食べながら、
    「島バナナだけ強要するなんて酷いよ! チョコバナナにしよう!」
     と元気よく島バナナ仮面に呼びかけた。
    「き、貴様……神聖な島バナナにチョコを塗るなど、どういう了見だ! 島バナナはそのまま食べてこそ真の美味さが分かるもの。チョコバナナなど、邪道の極み!」
     肩を震わせて激怒する島バナナ仮面。
    「チョコバナナを作る目的でもないのにチョコを狙うとは、まさかRB団の回し者……、ではないと思うけど、なんにせよバレンタイン前に迷惑な話だ」
     今にも斬りかかってきそうな島バナナ仮面の前に、クルセイドソードを構えたエアン・エルフォード(ウィンダミア・d14788)が、いつでも仲間の盾になれるように立ちはだかる。
    「さてと、チョコ強奪……邪魔させて貰うぜ」
     同じように、錆びた剣を構えた慈山・史鷹(妨害者・d06572)も、一歩前に出てコサック戦闘員達を牽制した。
    「俺、バナナは好きだぜ。朝ごはんに毎日食べてるくらいだし。でもバレンタインはやっぱチョコだろ?! バナナ貰っても正直その、困るんだぜ?」
     正論を述べたのは、後方でいつでも仲間のサポートに回れるよう構えている紅月・チアキ(朱雀は煉獄の空へ・d01147)だ。
    「つか、個人的にチョコは無くなっても構わないんだけどな……。リア充爆h……いや何でもない」
     思わず本音が漏れそうになり、慌てて口を紡ぐ史鷹。その言葉が、背後の女性陣に聞かれなかったのは幸いだったろう。
    「バレンタインを妨害するなんて! 個人的には実のところ特に実害を被るわけでもないけど、とりあえずいち乙女として! 許すわけにはいきません!」
     天咲・初季(火竜の娘・d03543)はそう怒りを露わにし。
    「バレンタインなど縁の無い我だが、友チョコや義理チョコまで貰えなくなるのは御免だな。沖縄の恋する乙女たちのため、その大量のチョコはここに置いていってもらおう」
     ワルゼー・マシュヴァンテ(教導のツァオベリン・d11167)は尊大とも言える態度で島バナナ仮面一行を睨め付けている。
    「ふん。このチョコは俺が力で手に入れたもの。取り戻したければ、力尽くで取り戻してみせるのだな!」
     8人の灼滅者を前にしても、島バナナ仮面はひるむことなく、コサック戦闘員達に突撃を指示したのだった。

    ●南国でコサックとか何事?
    「ウーラー!」
     3人のコサック兵達が、コサックダンスのメロディーに合わせ、腕を組んだ姿勢で踊りながら低位置からの強力な蹴りを繰り出す。
    「おっと! そう簡単には通さないってな」
     コサック兵の前に立ちふさがり、クルセイドソードで蹴りを受け流す史鷹だったが、さすがに3人全員は足止めできない。
    「悪い、残りは任せた!」
    「おっしゃ、任されたで!」
     楊司が楊枝型の槍でコサック戦闘員の一人を迎え撃ち、
    「さあ、お仕置きだよ!」
     コサック戦闘員の鋭い蹴りを受けながらも、エーミィはチョコバナナの串を投げ捨てつつ、背中から炎の翼を広げて、傷をたちまちの内に癒していく。
    「みなさんは、暖かい沖縄よりも寒いほうがお好きでしょうね!」
     その隙に、初季はフリージングデスでコサック戦闘員をまとめて凍らせていった。
    「ハラショー!」
     だが、さすがは極寒の地・ロシアからやってきたコサック戦闘員。気合いの声と共に自らの身を覆いつつあった氷を粉砕する。
    「ならば、これはどうであろう」
     しかし、コサック戦闘員達が立て直す間も与えず、ワルゼーのウロボロスブレイドが高速で彼らを切り刻んでいった。
    「意外と使えん奴らだ!」
     見かねた島バナナ仮面が、バナナブレードを構え参戦しようとする。だが、そんな島バナナ仮面に、エアンがクルセイドソードで斬りかかっていった。バナナブレードとクルセイドソードが激突し、火花が散る。
    「最近のヒーローもフルーツを被って変身するらしいね。被るのが流行?」
    「そんなもの、知ったことか!」
     そのまま二人は、一騎打ちに突入していった。
    「バナナは嫌いじゃないんですけどね。とりあえず、今回の件は止めさせてもらいますね」
     一方、後方で戦場全体の動きを見守っていた勇午は、額に生えた一角から魔力を飛ばし、コサック戦闘員の一人を攻撃する。放たれた魔力の弾丸を受けたコサック戦闘員は、体を痺れさせたように動きを鈍らせていった。
    「ウーラー!」
     だが、コサック戦闘員達もやられっぱなしではない。腰を落とした独特の足運びで素早く灼滅者に近づくと、強力な蹴りの連打を浴びせてくる。特に、仲間達の攻撃の盾になるように動く史鷹は、たちまち傷だらけになっていった。しかし、
    「この程度、問題ねぇな」
     史鷹の胸にクラブのスートが浮かび上がり、その傷を癒していく。それでも癒えきれなかった傷も、
    「回復は任せてくれよな!」
     後方に控えていたチアキの祭霊光が癒していった。
     こうなると、戦いの趨勢は回復役がいて人数が多い灼滅者の方へと傾いていき、程なく、
    「これでトドメや! 必殺、梅の花ビーム!!」
     楊司の放った必殺のビームが、コサック戦闘員の一人を貫いた。
    「ハラショー!」
     戦闘員は断末魔の叫びと共に大爆発を起こす。
    「くっ! 無様な!」
     その様子を捉えた島バナナ仮面は、残った二人のコサック戦闘員に加勢しようとするが、
    「沖縄のご当地怪人とコサック戦闘員、どういう繋がりなんだ? まさか日本のご当地怪人が裏で操られている、なんて事はないよな?」
     エアンが執拗に島バナナ仮面に食らいつき、加勢を許さない。
    「俺が操られている、だと? 違うな、ロシアンタイガー様がそのような事をするわけがない!!」
     島バナナ仮面の強烈な蹴りがエアンに決まり、エアンを吹き飛ばす。
    「おい、大丈夫か!?」
     商品棚に激突したエアンにチアキが駆け寄り、その傷を癒していくが、その間に島バナナ仮面はエーミィに狙いを定めていた。
    「神聖なる島バナナをチョコ漬けにした罪、万死に値する。無様に死んでいくがいい!」
     バナナブレードが黄色い輝きを放ち、放たれた斬撃がエーミィに迫る。エーミィは炎の翼を広げてその斬撃を受け止めると、
    「焼きバナナもおいしいよ!」
     カウンター気味に炎の奔流を撒き散らした。その炎は、島バナナ仮面のみならず二人のコサック戦闘員をも巻き込んでいく。
    「くっ!」
     咄嗟にバナナブレードで守りの構えを取る島バナナ仮面。その隙を、ワルゼーは見逃さなかった。
    「在るべき場所に還れ、Gute Nacht!」
     神具たる聖剣“Amphisbaena”が聖なる光を放ち、島バナナ仮面目掛けて振り下ろされる。
    「くっ! そのような弱者の攻撃など!」
     次の瞬間、島バナナ仮面は隣にいたコサック戦闘員の襟首を掴むと自分の前に引っ張り出した。
    「ハ、ハラショー!?」
     結果、ワルゼーの一撃は島バナナ仮面には届かず、盾代わりにされたコサック戦闘員を切り裂く。耐えきれずにコサック戦闘員は、爆発を起こし消滅していった。
    「ひでえ……部下を身代わりにしやがった」
     息を飲むチアキに、島バナナ仮面は高笑いで答えた。
    「弱い者ほど戦いにきれい事を持ち込みたがる。強者の戦い方にそんなものは不要だ!!」

    ● 追い詰められるとチョコ食べたくなるよね
    「バレンタインを壊すとか、本来ならどうでもいいことなんだろうけど、今回はロシアン怪人も絡んでるみたいだし、阻止させてもらいますよ」
     勇午がシマウマの脚力を活かした連続蹴りをコサック戦闘員の最後の一人に浴びせていく。たまらずコサック戦闘員は店の外まで吹っ飛び、そこで爆発して果てた。
    「さあバナナはん。残るはあんたひとりや。なんならオレ愛用の爪楊枝でバナナアートにしてやってもええぇんで!! バレンタインらしいアツい作品に仕上げてやんよ!」
     一人残された島バナナ仮面に楊司が突っ込んでいき、
    「我が血は炎、象るは剣――レーヴァテイン!」
     クルセイドソードに炎を宿した初季がそれに続いていく。
    「強者とは孤高の者。所詮あいつらはチョコ強奪のために借り受けただけの小物にすぎん!」
     島バナナ仮面は、楊司の楊枝状の槍と初季の剣をバナナブレードで受け流しつつ、二人を蹴り飛ばした。だが、さらにそこへワルゼーが聖剣“Amphisbaena”を構え斬りかかる。島バナナ仮面はその一撃もバナナブレードで受け止め、しばし鍔競りの状態となった。
    「硬くて研ぎ澄まされた美しさ、さすがに島バナナの曲刀といったところか」
    「ほう。島バナナの素晴らしさを解するとは、違いの分かる女のようだな。だが、まだ甘い!」
     叫びと同時に、島バナナ仮面の被る巨大バナナが光を放ち、ワルゼーを撃つ。
    「俺の必殺・島バナナ光線の前には、所詮貴様など塵芥も同然」
     思わず膝をついたワルゼーに、島バナナ仮面はバナナブレードを振り下ろそうとした。
    「これ以上、やらせないぜ!」
     だが、そこへ割り込んだ史鷹が錆びた剣でバナナブレードを受け止め、
    「島バナナは濃厚でクリーミー味だと聞いたけど、こんな事をされたら評判が落ちそうだよね」
     その隙にエアンがワルゼーを救い出す。
    「ふん。所詮群れなければ何も出来ない弱者どもが、見苦しい!」
     島バナナ仮面がバナナブレードに力を込めるが、史鷹は押し返そうとはせず、逆に反動を利用して後ろへ飛び退いた。
    「よし、今だぜ!」
     勢い余って姿勢を崩した島バナナ仮面に、チアキの放った風の刃が襲いかかる。咄嗟に身をかわす島バナナ仮面だったが、
    「悪いんですけど、狙い通りですね」
     そこに待ちかまえていた勇午が、炎を宿した額の一角で島バナナ仮面の胸を突き刺す。
     さらに、楊司のオーラキャノンと初季のレーヴァテインが同時に島バナナ仮面に炸裂。今度は島バナナ仮面が膝を折ることとなっていた。
    「バカな……。俺がここまで追い詰められるだと!?」
     バナナブレードを杖代わりにして何とか立ち上がりながら、島バナナ仮面は周囲に視線を巡らし――ある一点で視線を止める。そこには、ずだ袋に詰められた大量のチョコレートが無造作に投げ出されていた。
    「こうなれば、手段を選んではいられないか!」
     島バナナ仮面は素早くずだ袋に駆け寄るや、中に詰められたチョコレートを、猛烈な勢いで食べ始めた。
    「なんだあいつ……チョコバナナ怪人にクラスチェンジでもするのかね?」
     想定外の島バナナ仮面の行動に、史鷹が半ば呆れ気味な声を発し、
    「ちょっと何を考えてるか分からないですね」
     それに勇午が相槌を打つ。
    「ちょっと、のんきに眺めてる場合じゃないよ!」
     初季が、島バナナ仮面の謎の行動を阻止すべく、クルセイドソードで斬りかかり、
    「なんだか分からないけど、今が隙だらけなのは確かだよな!」
     チアキも鬼神変で鬼と化した腕で、島バナナ怪人に殴りかかる。
    「ぐっ……! 外れか!」
     チョコを食べることに気を取られていた島バナナ仮面にその攻撃を避ける術などなく、直撃を受けて島バナナ仮面は宙に舞った。
    「そのまま、三日月まで吹き飛べっ!」
     そこへ、white=Breaker=Kerberos "トライファング"を構えたエーミィが飛び込み、仕込まれたパイルバンカーを島バナナ仮面目掛けて打ち出す。
    「ぐはっ! バカな……この俺が、こんなところで……!」
     高々と宙に打ち上げられ、そして重力に引かれるままに地面に落下した島バナナ仮面が、断末魔の声を漏らす。
    「まて! 死ぬ前に聞かせてもらおう。バレンタインチョコをかように奪って、一体何をするつもりだったのだ? 日本を侵略しにきたゲルマンやロシアンのご当地怪人に対抗する手段があったとでも?」
     ワルゼーの詰問に、しかし島バナナ仮面は不敵な笑みを返しただけだった。
    「戦いに敗れた者には死あるのみ。だが、貴様らに余計なことを教えてなどやるものか。グローバルジャスティス様に栄光あれーっ!!」
     次の瞬間、発生した大爆発が島バナナ仮面を飲み込んでいき、後にはバナナの焼けた甘い匂いだけが残された。

    ●沖縄土産には是非島バナナを
    「倒したのはいいけど荒れちゃってるね。片付けないと」
     エーミィの提案で全員で荒れた店内を片付けていると、次第に逃げた店員や客達も、スーパーへと戻ってきた。楊司は奪われかけたチョコを店員に返しつつ、
    「これを機にチョコバナナも売ったらえぇんちゃうん?」
     と冗談を織り交ぜてみたのだが、店員は本気でチョコバナナの販売を考え始めたようだった。
    「全国一斉にロシアン化とゲルマン化とか、連中が活発化してきてますが、何を考えてるか分からないですね」
     再び活気を取り戻してきた店内を見回しながら、勇午が首をひねる。
     一方でエアンは彼女に、ワルゼーは教団の仲間に、それぞれ土産として島バナナを購入していた。
     そして、
    「せっかく沖縄に来たんだから、ちょっと観光していかない?」
     初季の提案に、反対する者などいるはずもなく。沖縄のバレンタインを守った灼滅者達は、つかの間の休息を求め、沖縄の街に繰り出していったのだった。

    作者:J九郎 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月14日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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