大豪院・麗華(高校生神薙使い・dn0029)は、悩んでいた。
もうすぐバレンタインデー。
義理チョコを買うため、近所のお菓子屋さんに行く事になった。
このお菓子屋はオーソドックスなものから、マニアックなものまで種類が豊富で、他の義理チョコと被る危険性が少ない事で有名なのだが、そこに行くためには通らなければならない道があった。
通称『にゃんこ通り』。
いつの頃からか、野良猫達が集まって溜まり場と化し、行き交う人々から通行料代わりに餌を要求してくる危険な通り。
その被害は甚大で餌をくれるまで何処までも付き纏い、最悪の場合は集団で飛び掛かって、もふもふ地獄に引きずり込むほどの危険な存在。
だが、そこを通り抜けていかねば、問題の店に辿り着く事は出来ない!
まるで門番の如く立ちはだかる猫達を相手にしていかねばならないのである。
しかも、麗華は無類の猫好き。
もふもふしたい。とっても、もふもふしたい。
出来る事なら、頭からかぷっと甘噛みして、もふり倒したいほどである。
だが、そんな事をすれば、義理チョコは買えない。買える訳がない。
それが分かっていても、わざと猫達を挑発して、もふもふ地獄に突入する可能性が濃厚。
故に、誰かと一緒に行かねば、お菓子屋さんに辿り着く事さえ困難。
同行者プリーズなのである。
●にゃんこ通り
「……猫達のパラダイス近くにチョコの店、だと……? 猫にとってチョコは劇物。猫達がチョコを誤って食べないよう、見回りをしなければ、な……」
坂村・未来(中学生サウンドソルジャー・d06041)は猫耳、猫尻尾をつけ、覆面を被って準備万端。これならば、例え知り合いにあったとしても、未来だと気づく事はないだろう。
未来は大豪院・麗華(高校生神薙使い・dn0029)達と共に、義理チョコを買いに行くため、店に向かっている途中であるのだが、無事に辿り着くためには難攻不落のにゃんこ通りを攻略しなければならなかった。
既に麗華の両手は猫をもふる形になっており、義理チョコを買う事など二の次、三の次。場合によっては、猫をもふる事が主目的になっている可能性が高かった。
(「……『にゃんこ通り』。なんてステキな場所でしょう。にゃんこ達が自分達からもふもふさせてくれるなんてまさに『楽園』ですね。大豪院さんの、ニャンコを甘噛みして、もふり倒したい気持ち、わかります」)
銀・紫桜里(桜華剣征・d07253)も、麗華と一緒に妄想を膨らませ、ウットリムード。巷では、もふもふ地獄と呼ばれて恐れられているが、紫桜里にとっては天国そのもの。一体、何処が地獄なのか、まったく意味が分からなかった。
「何だか、楽しみだね」
鈴永・星夜(白き子犬の王・d05127)が麗華と手を繋いで、楽しそうに鼻歌を歌う。
にゃんこ通りが近づくたび、心が弾む。
まるでスキップをするように、足取りが軽くなった。
「……やはり胸か……!! ぐぬぬ……ちょっとばかり、困らせてやる……!」
裳部・羽佩(剣山刀樹ノ事・d06819)が、猫変身をしてぴょーんと飛び跳ねた。
どうやら、恋人である国津・緋弾(紅飛虎・d03695)が、麗華の胸に見とれていたのが、気に食わなかったようである。
「……う? にゃんこ発見です。……もふれるです?」
紅・なこた(そこはかとない殺人鬼・d02393)が、霊犬のたまと一緒に首を傾げた。
目の前に広がる猫畑……もとい、沢山の猫達。
三毛猫、虎猫、白猫、ぶち、大きい猫から小さい猫まで、色取り取り。
そんな猫達がなこたを見つめて、瞳をランラン。
ここを通る事って事は分かっているんだろうな。さあ、寄越せ。上納品を。鰹節なんて、しょっぱいものじゃなく、高級キャットフード並の上玉を。ただし、わしらは舌が肥えているけん、三ツ星程度じゃ満足せんぞ、と言わんばかりの雰囲気化を漂わせる極道テイストのぶー猫(ペルシャ猫)もいた。
なこたがさっと手を出す。
白猫がかぷっと噛む。
途端に白猫の表情が変わる。
指ソムリエとして、5年間この通りに君臨してきた白猫だから、分かる味。
『き、貴様、何を……持っている!』
それに気づいた、なこたがエノコロ草をちゃきーんと出した。
すぐさま、白猫が飛びつき、たまも釣られてハイシャンプ。
そのまま、白猫とたまのジャンプ合戦が始まった。
「……よし、遊ぶぞ」
御神・白焔(死ヲ語ル双ツ月・d03806)に、迷いはなかった。
「はいなのです!」
綾町・鈴乃(無垢な純白・d15953)も、白焔の後に続くようにして、猫達をもふってもふってもふり倒した。
しかし、猫達もそれに屈する事なく、『にゃーん』と鳴いて、次々と飛び掛かって来た。
●にゃんこ地獄
「あたしにも、もふらせろぉぉぉぉっ!?」
とうとう我慢の限界に達して、未来が覆面を取りつつ、猫の群れにダイブした。
それに続くようにして、紫桜里もニャンコと遊ぶグッズを持って、そのままダイブ。あっという間に猫達に埋もれて、まったく姿が見えなくなった。
「もふもふなら、餌くれよ!!!!」
猫変身をしたドギツイ色の猫になったギルアート・アークス(極彩の毒猫・d12102)は、どさくさに紛れておっぱいに埋もれていた。
猫故の特権。ここで人間に戻ったら、フルボッコ確実の行為。
「式さん、見て! 猫ちゃん達がいっぱい!」
そんな事になっているとは露知らず、荻田・愛流(改めー清水愛流ー・d09861)が瞳をランランと輝かせた。
猫達がいるせいか、愛流のテンションはMAX。
思わず、近くにいる猫達をぎゅーっとしてしまうほど。
それはまるで夢世界。
猫達のふわふわが……、もふもふが、とても心地良かった。
「見てみて。この子、愛流そっくり」
傍にいた仔猫を抱き上げ、清水・式(生と死の神アヴァンシエル・d13169)がニコッと笑う。
「ふふっ……式さん、大好きよ」
それに応えるようにして、愛流が式に擦り寄った。
猫達も『混ぜて混ぜて』とばかりに鳴き声を響かせ、まるで匂いづけをするようにして式達に頬擦りをした。
「かっ……可愛いよぅ――! チョコも大事だけど、猫さん……っ!」
水瀬・ゆま(箱庭の空の果て・d09774)が、くらりと眩暈を起こして、頭を抱えた。
「だ……駄目……わたしのこのもふもふ魂が、この猫さんを見て、黙っていられる訳がないーっ!」
それと同時に、ゆまの中で何かが弾けた。
「はにゃ――ん! 可愛い――っ! 幸せ、幸せ、もぅ、何かこれだけで幸せ」
途端に、ゆまの心を幸せが包む。
もう何もいらない。猫達がいれば、それでいい。
既に、チョコレートの事など頭にない。奇麗サッパリ消えており、本来の目的を忘れていた。
「おい、そろろろチョコ買いに……って、我もチョコも忘れてるよ、コイツ! いいから行くぞ!」
そこで神堂・律(悔恨のアルゴリズム・d09731)が、動きを止めた。
(「何か嫌な予感がする。確か、これと同じような事があったはず。……そう、あれはこの前の依頼。佐藤さんをもふるゆまを止めようとして、返り討ちに遭った時の記憶……」)
しかし、律がその事に気づいた時には、すべてが手遅れになっていた。
最後に映ったのは、ゆまの拳。手加減、遠慮なしのグーパンチ。
次の瞬間、律の身体が宙を舞った。
(「ああ……もふもふの呪いはどこまで続く……」)
薄れゆく意識の中で、律は見た。
ゆまの背後に浮かぶ霊的な存在を……。
それは単なる錯覚だったのかも知れない。だが、律には確かに見えた。
劇画タッチの渋いもふもふが……。
●ねこねこパラダイス
「ほらほら~、悠彦。ねこ~ねこ~、ねこがいっぱいいるよ~♪」
赭嶺・桜(黒染めの桜・d03741)は、この世の幸せを一身に受けるほどの喜びを感じていた。もう何もいらない。何も必要ない。そう思えてしまうほど、最上の幸せ。これ以上の幸せがあるとしたら、それはもう想像もつかない。
「桜はどんな猫が好きかな?」
悠彦が猫じゃらしをパタパタさせ、煮干しとセージをチラつかせた。
次の瞬間、顔に傷がある猫達が一斉に飛んだ。
まずは一匹目がまわりの猫達を蹴散らし、二匹目が軽やかなステップを踏み、三匹目が煮干しを咥えて、くるりと回った。
(「……俺達は黒い稲妻。ブラックサンダーズ!」)
英語を覚えたばかりの中学生テイストで、傷のある猫達がポーズを決めた。
自分達では格好いいと思い込んでいるため、意味もなく爪先立ち。
あまりにもなれない事をしているせいか、みんな足をプルプルさせているが、それでも俺達カッコイイ感満載であった。
「……」
桜田・紋次郎(懶・d04712)は無言でにぼしを差し出したが、彼らは狩人。奪う事はあっても、人間の手から煮干しを貰う事はプライドが許さない。
そのため、紋次郎が猫用のササミをチラつかせても、ジッと我慢。
地面に広がるほどの涎を垂らしていたが、我慢に我慢を重ねていた。
「……と言うか、本当は食べたいのでは」
アーネスト・シートン(動物愛好家・d11002)が、思わせぶりに煮干しを揺らす。
それに合わせて猫達が振り子時計の如く頭を揺らした。
だが、我慢。それでも、我慢。自らのプライドのため、意地のため。
「ならば、こちらには最終兵器鰹節があるぞ? どうだ?」
その途端、桜井・夕月(ユーヅキーグリュックガート・d13800)が、含みのある笑みを浮かべた。
『間違いねえ! あれは上玉ですぜ!』
『あ、兄貴っ! どうしやすか?』
両脇の猫達に動揺が走る。出来る事なら独り占めしたい。
そんな気持ちが脳裏の片隅でチラついたりもした。
『焦るな、野郎共。根こそぎ俺達のものにするぞ!』
ボスと思しき猫が、瞳をギラリと輝かせた。
「……と言うか、大豪院先輩を目的の店まで送り届けるのが、今回のミッションの筈……だよな。皆、猫をもふる事しか考えてない様な気が……。俺がおかしいんかな」
月村・アヅマ(風刃・d13869)が、首を傾げた。
何か違う。絶対に違う。そう思っていても、まわりの雰囲気からして、間違っているのは、自分自身。当の麗華も猫達に埋もれて、『にゃんこ温泉、最高♪』と言って鼻歌を歌っていた。
「だが……、店が閉まるまで、まだかなり時間がある」
久遠・翔(悲しい運命に抗う者・d00621)が、懐中時計を取り出して、答えを返した。
麗華の荷物持ちとして参加した翔は、持参したカメラ片手に写真を撮りつつ、猫をもふり倒していた。
最悪の事態を考えて、予定よりも早く出発した事が幸いして、まだまだ時間には余裕があった。
しかし、時間が経てばたつほど、猫達が増えているのも、また事実。
『ふっ……、油断したな。鰹節は頂いたァ!』
その隙をつくようにして、猫達が鰹節を咥えて跳んだ。
だが、猫達は予想をしていなかった。
「にゃんにゃん、いっぱいじゃーっ!!」
ケイリス・ウィンチェスター(偽りのエウテルペ・d17100)が、猫達を一斉にもふった。
(「しっ、しまった!」)
必死に足掻いて逃げ出そうとしたが……、逃げられない!
「まあ……、猫も可愛いけど、ケイリスが一番可愛い」
ヴォルペ・コーダ(宝物庫の番犬・d22289)が、優しくケイリスを抱きしめた。
背中を通じてヴォルペの体温が伝わり、ケイリスがとても優しい気持ちになった。
先程までジタバタしていた猫達も、観念した様子ではふーっと溜息を漏らした。
「あ、あのな……今日誘ってくれてありがとさん。凄く嬉しかった。……また、一緒に来たい」
ケイリスが恥ずかしそうに頬を染める。
その言葉がヴォルペに届いているのか分からなかったが、どちらでもいい。ただ、その気持ちさえ伝われば満足だった。
●迷い猫、捜しています
「……羽佩ちゃん、どこだっ」
緋弾は猫変身をして、猫達に紛れた羽佩を捜していた。
何処にもいない、見つからない。
だが、どこかにいるはず。この猫達の中に……!
「安心しろ! 何を隠そう、オレの伊達眼鏡は半径15m以内にいる猫を感知でき、しかも猫変身した人間と本物の猫も見分けられるという超優れものだ! これを使えばどの猫が本物かすぐに見分けられ……しまった囲まれた……動けねぇ……」
浅沼・日照(音の悪魔・d20674)が、困った様子で汗を流した。
「……ふん、だ!」
羽佩が不機嫌な様子で、緋弾に飛び掛かって来た。
「……いた! ……よかった!」
すぐさま、緋弾が羽佩をぎゅーっと抱きしめた。
羽佩は必死に抵抗しようとしていたが、緋弾の表情を見て『……次は許さんからな』と言わんばかりに、そっぽを向いた。
「あ、麗華さん。そろそろ時間ですよ。名残惜しいですけど、今日はここまでにして、お店に行きましょう」
若生・めぐみ(歌って踊れるコスプレアイドル・d01426)が、ハッとした表情を浮かべる。
「……え? もう、そんな時間なんですか?」
麗華が驚いた様子で声を上げる。
「それじゃ、甘いチョコを求めに、いざっ」
そう言ってオニキス・レヴィロード(スィエル・d12640)が気合を入れたが、いつの間にかまわりには、猫、猫、猫。
その猫達がもふってと言わんばかりに、瞳をキラキラさせていた。
「……うわあん、もう我慢できないよ、できませんっ!」
途端に緊張の糸がほぐれて、猫達をぎゅー。
「もふもふに負けるなっ」
九重・綾人(コティ・d07510)が叫ぶ。
だが、その両足には円らな瞳の猫達が……。
綾人は迷った。迷って、迷って、迷いまくった。
「寧ろ、このにゃんこ天国でお相手しない方が失礼かと」
そんな中、塵屑・芥汰(お口にチャック・d13981)は冷静であった。
もふもふと柔らかな毛並みと愛くるしい仕草の猫達を、前足から後ろ足の爪先まで愛で倒していった。
「さすがはあっくん、お猫様のツボを押さえていらっしゃる……!」
オニキスが感心した様子で視線を送る。
綾人も限界に達したのか、幸せそうに猫をもふっと抱きしめた。
「ああ、もふりたい」
それが麗華の本音であった。
「チョコは、買いたい、にゃんこ、モフモフも、したい……よろしい、ならば、この、めいたんてー、あやーんに、おまかせ、なの、ですーん!」
皆川・綾(闇に抗い始めた者・d07933)が、すちゃっと猫耳、猫尻尾を装着した。
「あやにゃんこ、です、にゃーん。私を、もふもふ、しつつ、お店に、向かえば、よいの、だー」
そのまま麗華にすりすり、ぺろぺろ、胸まで押し付け合って、やりたい放題である。
「な、何か違う気が……」
麗華が困った。確かに、綾は可愛いが、何かが違う。絶対に違う。
だが、綾なりに一生懸命になっている気もしたので、無下にも出来なかった。
それに気づいた猫達が、ジリジリと麗華のまわりを囲むのだった。
●にゃんこ通りのドン
『ここは難攻不落のにゃんこ通り。……見るがいい。我らに萌えた人間達の末路を。貴様もここで一生、もふり続けるのだ!』
この一角の大ボスと思しき黒いデブ猫が、麗華達の前に立ち塞がった。
「どうやら、これの出番だな」
アヅマが懐からマタタビの粉末を取り出した。
だが、これは諸刃の剣。与え過ぎれば、呼吸不全を起こす危険な代物。
その分、効果は抜群。おそらく、ここにいる猫達もイチコロだろう。
猫達も警戒した様子で身構えた。
「ひっかき? 甘噛み? そんなものご褒美です」
彩橙・眞沙希(天衣無縫の白にゃんこ・d11577)が、全身にマタタビを振りかけて、猫の群れに特攻した。
ある意味、それは自殺行為であったが、眞沙希は臆する事無く猫達を迎え入れた。
「もっふもふにしてやんよ!」
あとはひたすら、もふもふもふり。
「これはいい写真が撮れそうですね」
桐屋・綾鷹(和奏月鬼・d10144)も、のほほん、ほんわかムード。
『こ、こいつら、タダモノじゃねえ!』
黒猫のドンが動揺した。
「猫と仲良くなるため、オレ達も猫になるぞ」
四十嵜・悠凱(モーヴ・d22325)が、猫耳を装着した。
「は、恥ずかしい」
刄・才蔵(陰灯篭・d15909)が猫耳を隠すようにして顔を真っ赤にした。
「ほら、才蔵! 恥ずかしがってちゃ、猫に失礼だぞ!」
そう言って悠凱が、才蔵を叱った。
そのため、才蔵も覚悟を決めた様子で、猫の頭から尻尾まで愛で始めた。
「これも猫のため、これも猫の……ゆ、友好の印にどうぞだにゃー」
レナード・ノア(都忘れ・d21577)も、才蔵を真似つつ引き攣った笑顔を浮かべて、猫の群れに近づいていく。
おそらく、今日の出来事はステキな思い出、且つ黒歴史として深く記憶に刻まれる事だろう……。
「ご、ごめん、レニー! 今のすごくいいと思うぞ!」
悠凱が腹を抱えて、サムズアップ。
「ふっはは……3人とも、よう似おてるよ!」
岸部・紅葉(紅の刃・d22407)が猫の群れに埋もれて、笑い声を響かせた。
こんな状況は滅多にない。気持ちが安らぐ。ほんわかする。
「クリスモ、ネコサント友達ニナルネ」
クリスティーナ・フェラツァーニ(高校生サウンドソルジャー・d13131)が、全身を覆い隠す程のマントを脱ぎ捨てた。
そして、猫耳、虎柄ビキニ、猫尻尾姿になると、季節感ゼロのお色気スタイルで猫達を誘惑した。
しかも、全身から漂うマタタビ臭。
猫達がケモノと化した。我を忘れて、飛び掛かって来た。
「ヘルプ! 恐怖ノ発情アニマルネ!」
クリスティーナは後悔した。
だが、猫達は暴走機関車の如く、クリスティーナに甘噛みをする。
「……仕方がありませんね」
葵・朱乃(エロイカよりエロスを込めて・d23549)が、妖艶な笑みを浮かべて猫達を誘う。
その途端、猫達が一斉に朱乃に飛び掛かり、不自然な光と、もやがまわりを包んだ。
しかし、果てたのは、猫達だった。
みんな恍惚とした表情を浮かべていた、ウットリ、骨抜き状態であった。
「さあ、早く! 私達に構わず、今のうちにっ!」
火土金水・明(すべての絵師様に感謝を・d16095)が、自ら囮になって猫の群れに飛び込んだ。
「皆さん……、萌え死にする事なく、必ず生きていてください。私もチョコレートを買ったら、すぐに戻ってきますから!」
麗華は泣いていた。
もっと、もふりたかった。
チョコなんて、どうでも良かった。
だが、仲間達の犠牲を無駄には出来ない。
チョコを買ったら、猫の群れに必ずダイブ。意地でも飛び込んでやる、と心に誓い……。
麗華に迷いはなかった。
お菓子屋さんについたら、まずは猫の餌。
それだけは何よりも優先しなければならない事であった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年2月13日
難度:簡単
参加:37人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 5
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