暗く澱んだ沼の底より

    作者:温水ミチ

     寂れ、わずかな老人だけが日々暮らす村から歩くこと数時間。
     深い森を進めば、不意に視界はぽかりとひらけた。
     暗緑の木々に囲まれているのは、乾き罅割れた無毛の地。
     地面はその中心に向け緩やかに低くなり、あちこちに石や枯れ枝が転がっていた。
     そこはかつて小さな沼であり、長い年月の中でいつしか干上がった場所であった。

     ある夕暮れ、その罅割れた地に1匹の獣が姿を現した。
     悠々と乾いた土を踏みしめ進む獣はオオカミ、ではなくスサノオ。
     白い毛並みはちらちらと、青い月の如く冷たく燃えながら吹く風に揺れていた。
     その真っ黒な瞳は、かつての沼の中心をじっと見つめ――。
     足を止めたスサノオは不意に、オンと短くも重々しい咆哮を轟かせる。
    『ああ、全てを沈めてしまえ……。今ひとたび、一寸先も見通せぬ暗い汚濁の中へ』
     気がつくと、沼の中心には泥にまみれた女らしき姿が。
     その両足は、傍らに転がる重そうな石に巻きつけた荒縄でくくられていた。
     と、狂気の笑みを浮かべている女に背を向けて、スサノオはどこかへと去っていく。
     ゴボ、と水が泡立つ音――いつの間にか、女の足元からは濁った泥水が溢れ出していた。

    「さあて、お耳を拝借。またしてもスサノオによって生み出されちまった古の畏れを見つけたよ」
     黒革の手帳に目を落としながら、尾木・九郎(若年寄エクスブレイン・dn0177)は片手で鉛筆をくるりくるりと回していた。
    「現れたのはとある森の奥……かつて、小さな沼があったってところさ」
     だが、その沼はもう随分と前に干上がっていた筈だった。それが先日、再び濁った水が地面から溢れ始め、今ではすっかり元通りの沼となっているらしい。
    「何でも、その沼では昔々に女性が亡くなっているらしいんだがねえ。ま、ある意味よくあるお話だ。男が1人いて、その男に焦がれる女は2人いた。で、女の1人は考える訳だよ。……あの女がいなければ、ってさ」
     恋敵がいなくなったからと言って、男が自分が選んでくれるとは限らない。それでも恋は人を狂わせるんだねえと九郎は苦笑する。
    「お察しの通り、女は恋敵をその沼へと突き落としたって言い伝えがあるらしいよ。そして、恋敵は生きながらに沼へと沈んで苦しみながら死んだ」
     殺された女の恨みつらみは時を越え、今再び古の畏れとして蘇ってしまったという訳だ。女は最早何もかもを恨み、自分と同じように誰もかれもが苦しみながら沼の底へと沈んでしまえばいいと世を呪っている。
     今回、古の畏れが姿を現すのは夕暮れ時。人の気配を感じとれば、向こうから灼滅者達の前に姿を現すだろうと九郎は言った。
     古の畏れは人と見るなり鋭い爪で襲いかかってくる。また縄で動きを封じて沼へ落とそうとしたり、沼の泥水を操ったりするようだ。そこまで説明して、九郎はそれからと念を押すようにして言葉を続ける。
    「湧き出た沼の泥水には、積もり積もった怨念がたっぷり溶け出してる。それがちっとばかり、厄介かも知れないねえ」
     どうやら、古の畏れの攻撃には毒性や人を石にする力があるらしい。それを踏まえて、対策はしていった方がいいねえと九郎は灼滅者達に告げた。
    「さて、古の畏れを生み出したスサノオの行方だけど……どうにも真っ白になっちまって見えにくくてねえ」
     ブレイズゲートみたいなもんさとぼやいた九郎は、だけどねえと言葉を続ける。
    「地道に進むうちに道は拓ける筈さ。物事ってのは、必ず元凶に繋がってるもんだよ」
     九郎はそう言ってから、灼滅者達に少し困ったような表情を向けた。
    「正直、気の進まない相手かもしれないねえ。彼女が味わった苦しみを想像すれば……僕だって胸が痛む。だがね、このままじゃ犠牲者が出る日もいずれ来てしまうだろう。だからせめて、早く彼女の苦しみ終わらせてしまっておくれ」
     九郎は手帳を閉じると、ひとつよろしく頼んだよと呟き灼滅者達を見送るのだった。


    参加者
    黒咬・翼(翼ある猟犬・d02688)
    九曜・亜門(白夜の夢・d02806)
    久瀬・悠理(鬼道術師・d13445)
    日凪・真弓(戦巫女・d16325)
    廣羽・杏理(トリッククレリック・d16834)
    天道・雛菊(天の光はすべて星・d22417)
    アルディマ・アルシャーヴィン(詠夜のジルニトラ・d22426)
    十・七(コールドハート・d22973)

    ■リプレイ

    ●怨みの底より今、浮かぶ
     夕暮れ。刻々と影を色濃くしていく鬱蒼とした森の中を灼滅者達は進んでいた。見上げれば、枝葉の合間から覗く空は鮮やかな赤色に染まっている。だが灼滅者達の周囲は薄暗く、彼らの携えるライトはゆらゆらと歩調に合わせて足元を照らす。
    「……見えたわ。あれが古の畏れの現れる沼ね」
     森の中をどのくらい歩いてきたのだろうか。不意に開けた視界に十・七(コールドハート・d22973)は目を細め、立ち止まった。
     灼滅者達の行く手で木立は途切れ、代わりに広がっているのは小さな沼。辺りに漂うのはどこか饐えたような臭いだ。
     言い伝えによれば、ある時この沼で1人の女が死んだのだという。だが、それは遠い昔の話。真実であったかも定かではない。そもそも、この沼はすっかり枯れ果てていたはずだった。そう――突き落とされ沼に沈んだという女の姿をした、古の畏れが生み出されるまでは。
    「さぞ、過去の事は無念だろうが……。それは現代の、かつ、何の関係もない人に害を為す理由にはならん。被害が出る前にその怨念ごと滅してやる」
     木立の影の中に佇み、真っ直ぐな視線を沼へと向けたのは黒咬・翼(翼ある猟犬・d02688)だ。
    「沼が一度干上がったということは……妄執も一度は晴れたという事なのでしょうかね? まあ考えても詮無い事なのかもしれませんが……」
     泥水を並々とたたえた沼を見つめ日凪・真弓(戦巫女・d16325)も呟く。
    「恋敵をこの沼に突き落とした方の女性も、どうなったんでしょう。果たして思い人と一緒になることは出来たのやら」
     廣羽・杏理(トリッククレリック・d16834)も、のっぺりとした水面を眺めながら遠い昔に思いを馳せた。
    「それにしても、古の畏れ……。スサノオが何故呼び起こすかも分かっていないし、そもそもスサノオがなんなのかも不明、か」
     アルディマ・アルシャーヴィン(詠夜のジルニトラ・d22426)が考え込むように言い。
    「スサノオもせめて、もう少しポジティブな伝承を使って欲しい、なんて。無理な相談でしょうけど。どこにでもある悲劇と言ってしまえばそうなんですが、この手の話は、いつも憂鬱になりますね」
     杏理は小首を傾げて苦笑した。
     何故、スサノオは遠い昔の怨念を古の畏れとして生み出したのか。しかし、その問いに答えることができる者はいない。アルディマはとにかく、と仲間達に視線を向けた。
    「今は被害が出る前にこの事件を終わらせることだけを考えよう」
    「ああ。古の畏れとなった彼女はまだ犠牲を出していない。だから、彼女が罪を犯す前に速やかに戦いを終わらせるとしよう」
     アルディマの言葉に、天道・雛菊(天の光はすべて星・d22417)も力強く頷く。
    「他のものを沼に引きずり込んで犠牲にしようとする怨念、それ自体は忌むべきものなのだろうが……。いつか怨念が晴れた時、彼女が罪に苦しまない様に」
     そう言って、雛菊は木立から沼へと一歩を踏み出した。灼滅者達もそれに続いて、真っ赤な夕日の下へと歩き出す。
     と、灼滅者達の耳にごぷり、という音が届いた。音の出所は沼の中央。一体何がと目を凝らした灼滅者達の視線の先で、沼の中心が唐突に泡立ち始める。
     そして――まず、最初に現れたのは指先。泥の中から女の物らしき細い指先が現れ、ゆっくりと掌が、そして腕が植物のように空へと伸びる。肘が現れたところで、腕がぐいと宙を掻いた。すると、今度は泥の中から黒髪が、そして悍ましい女の顔が現れた。灼滅者達はその姿に息を飲み、その間も女はゆっくりと沼の中から這いずり出てくる。
    「まぁ、気の毒な死に方だとは思うわ。とはいえ、関係ないのに恨みを向けられてもね……。迷惑なだけだし、さっさと始末しましょう」
     七は女の姿を眺めながら万が一にも無関係な人々を寄せつけぬよう殺気を迸らせ、真弓もまた周囲の音を封じ込めた。
    「恐ろしきは人の恨みよ……。さりとて、被害者をだす訳にもいくまい。早々に終わらせるとしようか」
     九曜・亜門(白夜の夢・d02806)の声に、すっかりその姿を現した女が灼滅者達へと視線を向けた。その目は暗く深く、世の全てを呪っているかのようだった、が。亜門の足下ではそんな視線もなんのその、霊犬のハクが大あくびをひとつ。
    「……相変わらずよな、お前は」
     亜門が呟けば、ハクは『なんか、文句ある?』とでも言いたげな目で彼を見上げた。
    「沼に落とされた上にこんな事になってかわいそうだけど、これ以上厄介な事になる前に灼滅させてもらうよ」
     一方、久瀬・悠理(鬼道術師・d13445)の台詞に、女がピクリと動いた。
    「まあ、私はハーレムを作るから何人来ようと無問題だよ。さあ可愛い娘カモン」
     笑顔を浮かべた悠理を目がけ、女は沼の上を滑るようにして走り出す。振りかざされた泥だらけの鋭い爪が、ギラリと夕日を受け赤く輝いた。

    ●何もかもを苦しみに沈めよ
     まるで大地を走るように女は沼の上を走り、灼滅者達へと迫る。泥を撒き散らしながら振り上げられた鋭い爪が悠理の肩を深く抉った。
    「俺たちが引導を渡してやる。来い化け物」
     翼はそう言うなり女の死角へと飛び込んで、急所を狙う。その隙に体勢を立て直した悠理も、非物質化した剣で女の魂を刺し貫いた。
    「日凪真弓……参ります……!」
     真弓も刀を鞘走らせ、戦闘へと身を投じる。真弓は刀を一閃、低く繰り出された一撃が女の腱を断った。
    「この身はただ威を狩る者である」
     無貌の白面の下で、亜門は言う。
    「清浄なる風に依りて、諸々の穢れを祓い給え」
     亜門の生み出した風は激しい渦となり、同時に駆けだしたハクの斬魔刀と共に女を斬り裂いた。
    「我が名に懸けて!」
     スレイヤーカードを解放したアルディマが、女へと魔法の矢を放つ。矢は沼の澱んだ空気を裂くように飛び、女の胸を射抜いた。カハ、と苦悶の声を上げた女の口から零れるのは、赤い血ではなく澱んだ泥水。女は、憎しみの燃える目で灼滅者達を睨んだ。
    「もう一度沈んでみる?」
     だがそんな女を七は容赦なく裂く。雛菊も上段に構えた刀を振り下ろし、よろめいた女へと強烈な一太刀を浴びせた。
    「(怨念の味か……それすらも喰らうのか星椿よ)」
     再び女へと切先を向け構えた雛菊は、心中でそう愛刀に語りかけた。
    『苦しい。お前達もこの苦しみを知れ。沈め。そうだ、みんな沈めてしまえ』
     一方、傷を負って恨みの念をさらに増したと見える女は狂ったようにそう繰り返す。
    「……大丈夫、苦しいのは、今だけですよ。恨み続けるのも、きっとつらいことだから。怨みも呪いも、きれいに灼滅してしまいましょうね」
     杏理が女へそっと手を差し伸べれば、冷気がパキパキと音を立てて女の足元から熱を奪っていった。女はそれから逃げ出すように再び走り出すと、今度は翼へと飛びかかる。
     翼は冷静に女の攻撃を受け止めた。だが、爪に抉られた首筋から女の怨念がその血を巡って、翼の身体を蝕んでいく。ぐっと唇を噛みしめた翼は纏うオーラの力を転換し、己の傷を癒した。
    「やっぱり毒は厄介だねっと」
     悠理は思い切り地面を蹴ると、その勢いのままにロッドを叩きつけ流し込んだ魔力で女を内から破壊する。真弓は衝撃にガクガクと震える女と翼との間に滑り込むと、縛霊手を振るい網状の霊力で女の身動きを封じた。
    「あまり無理はすまいよ。倒れなければ我らの勝ちぞ」
     防護符を飛ばした亜門に寄り添うようにして、ハクも浄霊眼で翼を癒し。
    「小さいけど……まぁ、何もないよりはマシでしょ」
     次いで七も小光輪を放ち翼を守るようにして盾を築けば、翼の顔がいくらか血の気をとり戻した。
    「刻め、我が魔道を!」
     鋭い気合と共にアルディマが再び魔法の矢を放ち、雛菊は影を宿した刃を閃かせる。女はその衝撃に沼の浅瀬へと跳ね飛ばされ、盛大な泥の飛沫を上げた。女は泥にまみれながらもすぐさま立ち上がり灼滅者達に襲いかかろうとした、だが。
    『あの、女が』
     女の視線が虚空を見つめ、次の瞬間、女は激しく慟哭した。そして灼滅者達には見えぬ敵に向け、追い払おうとするかのように手を振り回す。女にはどうやら『自分を突き飛ばした女』の姿が見えているようだ。
    「最近妙に……愛や恋の話に縁がありますね。それだけどこにでもある話なのかもしれませんが」
     すすり泣き、姿なき敵に暴れる女の姿を杏理は哀れむように見つめる。
    「(……或いは、僕がちょっぴり、片足を突っ込んじゃったりなんかしているからかな)」
     翼に向けて聖なる光条を降らせながら、しかし杏理の視線は真っ直ぐに女へと注がれていた。

    ●そして彼女は沼の底
     女の泣きわめく声が、一層大きさを増した。女は泥水でぐしゃぐしゃになった顔を歪め、耳を劈くような叫びと共に沼へと手を伸ばす。すると沼は女に呼応するように波打ち、噴き上がった泥水が雛菊を襲った。頭から泥水に呑み込まれた雛菊の、腕や足が先から乾き石のように固まっていく。
     雛菊を見て歪な笑みを浮かべた女を、翼は捻じ込むようにして杭で貫いた。その傍らから悠理がオーラを走らせ、固まっていく雛菊を包み込み泥水から解放する。真弓はすかさず女の死角へと回り込みながら刃を走らせた。
    「因果は巡りて応報するものと心得よ」
     ハクの撃ち出す六文銭の射出音の中で、亜門も長剣を繰りうねる刃で女の身体を切り裂く。ひらりと箒にまたがったアルディマは、女の足元で揺れる泥水を飛び越えその背後に降り立つと頭上から渾身の力でロッドを振り下ろした。
    「……使ってるこっちが寒いわね」
     体内から爆発した女を、七は呟きと共に打ち出した妖気の氷柱で撃ち抜いた。狂気の笑みを浮かべたまま、しかし女はよろりと支えを求めるようにしてふらつく。
    「(このまま、罪を犯す前に灼滅してやろう。相手がダークネスならば星椿の糧……。犠牲にする事を厭わない私がそう思うのは白々しい事かもしれない。だが私の良心から生まれた考えである事も確かだ)」
     女はもう、限界が近い。それを見て取った雛菊は内心でそんなことを考えながら、己の影で女の身体に新たな傷を刻んだ。
    『沈め、沈め、沈め』
     もう一息と仲間達を後押しするように杏理が癒しの風を吹き渡らせる一方で、女は壊れたようにそれだけを繰り返す。何もかもを道連れにと言う念だけが今、女の身体を動かしているかのようだ。そして女は手始めにと、泥まみれの縄を宙に走らせて七の身体を締め付けた。縄に絡めとられた七の身体が、女の渾身の力によって沼の方へと引き寄せられる。
    「連れてゆかせはしません……!」
     身をよじり縄から抜け出た七の手を、駆け寄った真弓がしっかりと掴んだ。縄を逃れた反動で沼へと落ちそうになった七は真弓の手を握り返し、難を逃れる。女はそれを見て悔しそうに地団太を踏んだが。
    「その怨念ごと昇華してやる……。全てを吹き飛ばせっ!」
     凄まじい勢いで飛び込んだ翼が『死の中心点』を躊躇なく貫けば、女の顔が苦痛に染まった。呻き空をあおいだ女を悠理は鬼の腕で薙ぎ払い、さらには真弓が縛霊手を打ちつける。
    「ハクよ、合わせるぞ」
     亜門の声に、ハクはすぐさま応えた。亜門の生み出した風とハクの斬魔刀とが女の身体を切り裂けば、女は力なく膝から沼の縁へと崩れた。
    「貴女の恋した男も、恋敵も既にこの世には居ない。貴女も、もう眠ると良い。もし来世というものが在るなら、次こそは恋が実るように祈っておこう」
     すでに光の消えかけている目で、女は近づいてくるアルディマの姿を呆然と見ていた。アルディマは掲げた身の丈ほどの杖に炎を纏わせ、そして、振り下ろす。その炎が、最後の一撃となった。女はそのまま背後へと倒れ、沼の泥水へと溶けるようにして消えていく。
     と、同時に沼が大きくうねった。灼滅者達の見つめる中、沼の中心が再びごぼごぼ粟立ち始め、泥水がみるみるうちに渦巻きながら引いていく。――やがて、まるで全てが幻であったかのように、沼は完全に干上がり、罅割れた無毛の窪地へと姿を変えた。
    「これで、供養になればよいがのぅ。もう、迷うて出るなよ……」
     本来の姿をとり戻した沼を前に、ハクを撫でながらぽつりと呟いた亜門。
    「……死人は、そう簡単に蘇っては駄目よ。死んで終わりじゃないなんて、都合良すぎるわ。最も……これは蘇りではない気もするけど、ね」
     七もそう言って肩をすくめ。
    「不条理に殺された女性の恨み……こればかりはどうにも出来ないな。彼女を倒した所でその無念が晴らされるわけでもない。こういう時、つくづくサイキックも万能ではないと思い知らされる」
     どこか苦い口ぶりのアルディマは、そっと目を閉じ沼の底へと消えた女へ黙祷を捧げる。その隣に立ち十字を切った杏理だったが。
    「……彼女には、単純に手を合わせる方がいいのかな。日本人だし。気持ちの問題、とも言いますけど」
     ふと困ったように微笑みを浮かべ、杏理はそのまま空を見上げた。
     いつの間にか空は赤から紫へと色を移ろわせ、もう少しすれば夜が辺りをすっかり呑み込むだろう。灼滅者達はひとつふたつと携えるライトやランプを灯して、闇に呑み込まれぬうちにと帰り路を辿るのだった。

    作者:温水ミチ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月13日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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