神奈川県西部、相模湾に面した小さな町のひなびたスーパー。
バレンタインデーを間近に控えたある日の夜、事件は起きた。
「店長、故あってこのチョコレートは頂いてゆくぞ」
閉店時間直前に現れた、珍妙な格好をした集団が、バレンタインデー用のイベントスペースを荒らしているのだ。
正確に言えば、ただ荒らしているのではない。
彼ら好みの形に売り場を作り替えているのだ。
「ああ……あああ……」
呆然と立ち尽くす従業員を前に、謎の集団が整然と動く。
棚と言わず平台と言わず、並べられていたチョコレートを全て、持参した段ボール箱に詰め込み。代わりに、平台や棚をこたつ風に飾り付け、みかんを置く。
「うむ、やはり日本の冬はこうでなくては。二月は一年で最も寒い時期、こたつみかんは必須と言えよう」
代表格と思しき男が、満足げに頷いた。
男の頭は、直径50cmほどのミカンに人の目鼻がついており。古木めいた色合いの全身タイツを纏い、鮮やかな緑色のマントを羽織っている。マントの背には、こたつのお供に湘南みかん、の一文が踊っている。
「では失礼、売り場はどうかこのままで。そして、是非とも憶えていて欲しい」
マントを翻し、男が吠える。
「愛媛だけがみかんの産地ではない。湘南にも、おいしいみかんはあるのだ……!」
「もうすぐ二月十四日、バレンタインデーだ。そうだな、灼滅者?」
神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)が大仰な仕草と共に問う。
「どうやら、ご当地怪人どももバレンタインデーの重要性を知っているらしい。全国で、奴らがチョコレートを奪って回っているんだ」
黒板にご当地怪人、謎のチョコレート強奪、と続けて書き。
「……そこ、嫌そうな顔をするんじゃない。隠れてにやつくのも禁止だ。森羅万象を見通す俺の目を侮るなよ、灼滅者」
先に書いた文字の上に、大きくバツマークを付ける。
「チョコレート強奪を阻止し、ご当地怪人を倒せ。それが今回の依頼(オーダー)だ、灼滅者!」
「目的地は神奈川県西部のとあるスーパーマーケット、時間帯は午後八時過ぎ。一般人の避難誘導は一切考えなくて良いから、奴らがあらかた仕事を終えたあたりを狙う」
ヤマト曰く、このご当地怪人一行――湘南みかん男と配下のコサック戦闘員は、一般人に危害を加えることは一切無い。ただ、スーパーや個人商店などからチョコレートを強奪し、湘南みかんの良さを知って貰うべく売り場を作り替えて回っているだけである。
ただ、ダークネスのやることだ。ダークネスにチョコを寄越せと言われて、一般人が抵抗出来るわけがない。一般人の抵抗には期待するべきではないだろう。
「怪人の戦闘力は差程でもない。ザコの数が多いのも含めて、面倒なだけだ」
ご当地ビームに似たみかん果汁攻撃と、攻撃力はご当地ダイナミックとほぼ同等の全力パンチ。ビームを受けると、何故か、みかんジュースを被ったかのように、全身がずぶ濡れになると言うおまけ付き。
そこに、コサック戦闘員五体が加わっている。彼らは、支援攻撃を行いつつ、怪人を守る立ち位置を取るようだ。
「まあ、どちらも前衛だ。薙ぎ払うなり何なり、好きにすればいい」
店舗は、元々倉庫だった建物を改装したこともあって、現場周辺の他のスーパーよりもやや広い。イベントスペースを抜けた先には背の高い棚が何列も並び、精肉・鮮魚売り場に繋がっている。
ただし、ご当地怪人も含めて、ダークネスが入り口周辺に固まっている。わざわざダークネス達を店舗内に散らすような真似をしないならば、気にすることはないだろう。
「弱い弱いとお前達に言ってはいるが、相手はダークネスだ。侮るな、全力を尽くせ。そうすれば、必ずダークネスを灼滅出来る」
俺も趣味に没頭出来る。良いことずくめだ。
ヤマトはそう告げ、灼滅者達を送り出した。
参加者 | |
---|---|
羽坂・智恵美(古本屋でいつも見かけるあの子・d00097) |
橘・瞬兵(蒼月の祓魔師・d00616) |
深緋寺・紫炎(内に秘めしは灼滅の豪炎・d05881) |
斉藤・歩(炎の輝光子・d08996) |
八咫・美都子(烏の使い・d13865) |
来海・柚季(朔月夜の風花・d14826) |
狩家・利戈(無領無民の王・d15666) |
山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836) |
●推参! 灼滅戦隊・キリングワン!
店長と従業員が呆然と事の成り行きを見守る中、珍妙な格好をした一団――ご当地怪人・湘南みかん男とコサック戦闘員は、おおよそ、当初の目的を達成していた。一糸乱れぬ統率で売り場を整え、チョコレートを詰め込んだ段ボールに、持参したガムテープで封をし。
「やがて、バレンタインデーにみかんを贈る習慣も出来よう。時代を先取りしただけと思えばいい。ではな、店長」
と、彼なりの理屈で詫びを入れ。スーパーマーケットから立ち去るべく、コサック戦闘員に号令を掛けた直後。
店内に、殺気が走る。店内に残っていた一般人は、殺気に追い立てられるように逃げ出して。店長ら一般人の避難(逃亡とも言う)が済んでも、開きっぱなしの入口に、並んで立つ人影がある。
一般人とダークネスとの境界線を、自分達の身体で引くように立つ人影。
その列の中央で、腕組みして立つ姿が吼える。
「悪行もそこまでだ!」
声の主は、眼光鋭くご当地怪人をにらみ付け、王者の気風を纏い立つ少女。
「気高いとは俺のこと! リカパープル!」
狩家・利戈(無領無民の王・d15666)だ。
「輝く銀の雷光、シルバートール参上!」
「同じく、ヤタガラスブルー。神の力を借りて参上!」
続いて、彼女の左右を固める山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)と八咫・美都子(烏の使い・d13865)が名乗りを挙げる。透流の黒地に白い模様のマフラーと、美都子の青いスカーフが、入口から吹き込む風になびいて揺れ。
「緑色だって頑張ってます、ちゃんと見てあげてください! チエグリーン!」
美都子の隣で、顔を真っ赤にして名乗るのは羽坂・智恵美(古本屋でいつも見かけるあの子・d00097)。緑色のマフラーもまた、主の意を察してか、控えめに揺れ。
「珈琲は無糖派……シエンブラック……」
透流の隣には、手首に黒いスカーフを巻いた深緋寺・紫炎(内に秘めしは灼滅の豪炎・d05881)。店内の一般人を追い立てた殺気の源は、彼と智恵美だ。
「太陽の恵み、オレンジRK!」
利戈の後ろでポーズを取るのは、斉藤・歩(炎の輝光子・d08996)。
「冬の柑橘類! ゆずイエロー」
最後に、来海・柚季(朔月夜の風花・d14826)が最前列に回り込み。
首や手首にそれぞれの色を示すスカーフを巻いた一団が再び列を整え、ポーズを取り。声を合わせ、叫ぶ。
「我ら、灼滅戦隊! キリングワン!」
「と、一緒に行動することになったエクソシストです。えっと、名字は橘ですけど、みかんの仲間じゃない……です」
唯一、スカーフを巻いていない橘・瞬兵(蒼月の祓魔師・d00616)が、列の後方からやや決まり悪そうに付け加えるも。
ご当地怪人・湘南みかん男は、灼滅者達に一切攻撃を加えず、状況を静観していた。
●宣戦布告! 乙女の敵には情け無用!
「どうしたみかん野郎、怖じ気づいたか!」
利戈が問うも、湘南みかん男は顔色一つ変えずにマントをひるがえし。
「半端者が何を吼えるか。名乗りも地味に事故りかけておるし。こたつでみかんを食べて、己の闇にもっと目を向けるが良かろう」
では我々には果たすべき使命があるのでこれで、と、手空きのコサック戦闘員に命じて手土産(もちろん湘南みかん)を灼滅者達に渡そうとする始末。
「ちょっと待ったチョコ泥棒さん、そりゃないっしょ! もっとこう、さあ、そっちは怪人なんだし! ウチら戦隊なんだし! ね!」
みかんを丁重にお返しついでに引き留める歩。
「我々は忙しいのだ。まだ、手の掛かる作業が残っているしな。が、泥棒呼ばわりされるのは――」
「えい」
柚季が、どこからともなく取り出した、くし形切りにした柚子の汁を湘南みかん男の目に向けて飛ばした。正義の味方と言うより、悪役めいた行動を取る柚季に、瞬兵が目を丸くするも。
「乙女の決戦日に水を差すような不届き者は、ユズイエローが許しません」
続けてダークネスに宣戦布告する姿に、ほう、と紫炎が呟く。
常識外の存在であるダークネス相手に、この手の目つぶしが効く訳もない。だが、柚子はみかんと同じく、冬の風物詩として挙げられる柑橘類のひとつである。
そして何より、柚子を潰して果汁を飛ばす仕草が、霊的院試を強制停止させる結界の、最後の基点構築をも兼ねていた。
「そうか、柚子。柚子か」
ゆえに、湘南みかん男は不敵に笑う。手の甲で顔に付いた柚子果汁を拭い、搬出作業に移ろうとしていたせいで、結界に囚われたコサック戦闘員を見遣る。
「ふんッ!」
続いて、珍妙な装束の内側から、圧倒的な気配が膨れあがり。紫炎達が張った殺気の結界を己の色に塗り替えんとばかりに、店内を駆け抜ける。
「ならば、身を以て知るがいい。春夏秋冬、常にみかんは柚子の上を行くと!」
灼滅者達もまた、弾けるように動き出す。数の優位を活かし、怪人達を包囲するように。
「太陽の恵みなしで、美味しく実る果物なんてないっすよ!」
背から炎を撒き散らし、歩が駆ける。手には雷光を帯びた杖。振り上げれば風が唸り、振り下ろせば竜巻と化して全てを切り裂く。
「まずは、戦闘員から片付けるっすよー」
怪人もろとも戦闘員を薙ぎ払う疾風が、走る――!
●どちらが正義だ! キリングワンvs湘南みかん男!
歩の一撃は、コサック戦闘員に少なからぬ被害を与えた。
「えっと、戦闘員だけあってやられ慣れてるみたいだけど、タフなだけじゃあね……」
瞬兵は戦況を分析しつつ、次なる手を考える。戦隊ものの真似事には参加しなかったものの、皆と共に、この事件を解決するつもりでここまで足を運んだのだ。
「清き祈りと破邪の煌きを以て罪深き者に聖断を……光あれ!」
選んだ手はジャッジメントレイ。降臨した十字架は、無数の光線で反撃の勢いを弱めることが出来る。ご当地怪人は皆珍妙な見た目をしているものの、戦闘力は決して低くない。ならば、柚季が体勢を整えるまでの時間は稼ぐためにも、こちらの損害は出来るだけ少なくするべき。
「さぁ、素直にチョコレートを渡してください。今ならまだ間に合いますよ」
ビハインドと共に攻撃を仕掛ける美都子もまた、広範囲の攻撃と弱体化とを両立させたサイキックを連打する。ビハインドに己のトラウマを刺激され、虚空からの攻撃にいたぶられるコサック戦闘員を、黒き波動で薙ぎ払う。
「どっちが悪役だか解らないですねー……。ところで、冷凍みかんってとっても美味しいですよね?」
智恵美が小首を傾げつつ、比較的無事な戦闘員が固まっているエリアの熱量を根こそぎ奪い去れば。
「次に黒焦げになりたいのは、どいつだ……?」
紫炎が、炎を纏った日本刀で、氷漬けになったコサック戦闘員を切り伏せる。
「中々どうして、面白い出し物を見せてくれる。ここにこたつがあれば、みかんを食べながら眺めても良いなッ!」
けれど、戦闘員を翻弄する様々な絡め手も、湘南みかん男には決定打とはならない模様。花のように剥いたみかんの皮としか言いようのない何かで波動を遮断したり、戦闘員を盾に、無数の光線を凌いだり。
「テメエには圧倒的に気高さが足りねえ! 気取っちゃいるが、そんなの二流、三流がやることだ!」
防御の隙を突いて踏み込み、利戈が拳を振り上げる。湘南みかん男の盾となってよろめく戦闘員の顎を、雷を纏ったアッパーカットが更に跳ね上げ。
「潰し!穿ち!ぶち壊す!」
つま先立ちで仰け反ったコサック戦闘員に空中で背を向け、顎を肩口に乗せてロック。そのまま背を丸めて勢いを付け、尻餅をついてフィニッシュ。
「三下のおまけなんざ投げてやる必要もねえ、こいつで十分だ! 我が拳に砕けぬものなど何もない!」
戦闘不能になった戦闘員を尻目に立ち上がり、タンカを切った。
「テメエラの企み、道を外したミカン愛ごと叩き壊してやらあ!」
●争奪戦! 見せ場は譲れない!
程なくして、コサック戦闘員は全滅した。
コサック戦闘員、湘南みかん男、どちらも、広範囲に対応した攻撃手段が無い。運良く柚季の結界から逃れられた戦闘員が、湘南みかん男と連携して動きはするものの。それでも、灼滅者の強固な前衛を崩すことが出来ない。
戦闘員が全滅した後も、みかん果汁攻撃で、湘南みかん男は灼滅者達の注意を引こうとするが。
「橘さん、八咫さ……ヤタガラスブルー! 回復は任せます! 浄化は私が!」
逐一、透流が指先に集めた霊力を打ち出すことで浄化する。回復役から切り崩されると言うこともない関係上、戦況は灼滅者側有利に動いていた。個々の力量差を連携で埋めることさえ出来れば、ダークネスを灼滅することは不可能ではない。
それを知っている面々だからこそ、油断は無く。事故が起きない以上、優位は覆らない。
ゆえに、決着まではそう遠くない。灼滅者達全員がそう直感する。
全員が必殺の一手のために、タイミングを計る中。
歩が武器をカードに封印し、構えを取った。
ヒーローと怪人の戦闘における華は、肉弾戦にこそある。結末が近いのならば、そろそろリミッターをひとつ解除すべきときだろう。
「さぁ、ここからは超クライマックスタイムだ。瞬きするなよ、見逃しちゃうぜ?」
背に纏っていた炎が拳に宿り、顔を照らす。
だが、忘れてはいけない。
数の暴力にただ屈する程、ダークネスは弱くも、愚かでもないのだ。
●驚愕! チョコレートとみかんを足し算するとこうなった!
次に湘南みかん男が仕掛けてきた直後を狙って、一息に畳みかける。そう、灼滅者達の間で暗黙の了解が得られたのだが。
ここで、湘南みかん男は思わぬ行動を取った。折角段ボール箱の中に詰め込んだチョコを床にぶちまけたのだ。
「えっと……あれ? 何の、つもりなんでしょう」
瞬兵が、思わず目を丸くする。
「どこかに持っていくとか、誰かに渡すとかするんじゃなくて……?」
智恵美が訝しげに目を細め、
「……化けの皮が、剥がれたか」
紫炎が踏み込み、炎を纏った一刀を湘南みかん男の頭部に叩き付ける。強烈な一撃で頭を揺らされ、焼かれても、お構い無しに怪人はアソートの包みを破り、貪り食べる。
「ここまで強力な敵ならば、切り札を……くっ、これではないかっ」
「追い込まれて混乱したかよ、三流怪人!ご当地名物への愛はどうした!」
「これは、もう無理ですね。意地を張らず、素直に差し出せば良かったのに」
利戈が飛びかかり、美都子がビハインドと共に仕掛ける。利戈の一撃がトラウマを刺激したはずなのに、ご当地怪人は床にぶちまけたチョコレートを漁るのをやめない。
歩も炎を纏った拳でラッシュを仕掛け、
「手応えはある、一気にイケるぜっ!」
灼滅者達の総攻撃が続く。それでも尚、ご当地怪人は、これでもない、これも違う、と、何かに取り憑かれたかのようにチョコレートを漁っては放り捨て。
「……あ。思い出した」
柚季が、ぽん、と手を打った。
「戦隊もののお約束と言えば――」
「――そう、これだッ! これで、お前達もみかんのすばらしさを……!」
柚季が想像を口にするのと同時に、ご当地怪人が、何の変哲もない板チョコレートを手にし。乱雑に包みを破いて、口に放り込んだ。
次の瞬間。
「ピンチになった怪人は、巨大化する。戦隊ものなら巨大ロボで対抗するけど、どうしよう?」
柚季の想像どおりの変化が、ご当地怪人に現れた。
●脅威! 巨大化ご当地怪人誕生!
戦況は一転した。
「そう、これがッ! 勝利のッ! 切り札であるッ!」
巨大化したところで、攻撃範囲が拡大される訳ではない。ただ、一撃の重さが段違いに上がったのだ。
「橘さん、回復間に合いますか!?」
「えっと、……ちょっと、厳しいかもしれないです」
「……俺も、リカパープルも、戦線の維持は出来る」
紫炎が日本刀を鞘に収め、息を整えつつ返し。
「戦線の維持さえ出来れば、キャスターやジャマーに火力を出して貰えばいいからな! 戦場で最後まで立ち続けるのも、気高さのうちだ!」
同じく、オーラを癒しの力に転換して、先程受けた全力打撃の衝撃を身体から抜こうとするも。
「青い、未熟なみかん並に青いな、リカパープル!」
「危ない、リカパープル!」
利戈目がけて放たれた、高圧水流の如き果汁の前に、柚季が割り込む。余りの水圧に、細身の身体が大きく吹き飛ぶも。
「焼きみかんになっちまえ、いい加減にっ!」
歩が雷拳のアッパーから始まる連打で、ご当地怪人の追撃を阻止し。
「今度こそ、おいしい冷凍みかんになってくださいね」
智恵美が巨大化したご当地怪人の脚を、己の影で縛り付け。続けて、槍を振り回しつつ、妖気を特大のつららに変えて射出準備。
「トールサンダーッ!」
続けて、透流が己の名を冠した結界を展開し、ご当地怪人の霊的因子を一時的に停止させる。
「こしゃくな、この程度で湘南みかんが、柚子に、半端な灼滅者に屈するなど……!」
湘南みかん男は拳を大きく振り上げ、灼滅者達はそれぞれの全力を込めた一撃を準備し。
「シャイニング、RK――キーックッ!」
歩の、炎を纏った両足ジャンプキックに合わせ。ダークネスと灼滅者、双方の攻撃が交錯する。
ご当地怪人の全力を込めた拳が、大きく床を抉り。
灼滅者達の全力攻撃を無防備なまま全て受け、爆散した。
「巨大化出来るチョコが、欲しかったのかな。ご当地さん」
ご当地怪人がいた場所に向けて、智恵美がそう、零した。
●終幕! 王だって女の子なんだ!
出来る範囲での事後処理を行い、灼滅者達は現場を後にした。
「今日はお疲れさまでしたっす。超楽しかったっすけど、みかん汁塗れにはなりたくないっすね!」
「こたつみかんは好きだけど、やっぱり、バレンタインデーの邪魔はね。良くない。……と、私はユズイエローさんの頑張りを見て思いました」
柚季が、ほう、と白い吐息を紛れさせながらぼやく。
「同一人物でしょう?」
「違います。髪型も違うしスカーフ無いし、私は柚子チョコを美味しく頂いてましたから」
「いいじゃねえか、そういう己の従え方もある。……これでバレンタインデーは守られた。めでたしめでたしじゃねえか」
「何事も自分の色に染めたがる怪人さん達は、全員大人しくなったでしょうか」
「他所は他所、ウチはウチだ」
からからと笑う利戈。
(「みかん野郎の敗因はひとつ。バレンタイン後のセールに期待してる俺と、出くわしちまったことだ」)
彼女の内心を知る者は、果たしているのだろうか。
少なくとも、この場には――。
作者:貴宮凜 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年2月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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