●ラブリンスターライブ!inバレンタイン
現在活動可能なダークネスの中でも、屈指の力を持つアイドル淫魔ラブリンスター。
2月14日のバレンタイン当日、彼女は神奈川県横浜市でのゲリラライブを行っていた。
「みんな、私のバレンタインライブに集まってくれてありがとう!
今日は私からみんなに、チョコレートのプレゼントもありますよ!
最後まで、楽しんでいってくださいね!」
チョコレートの包みが幾つも入った箱を示してみせるラブリンスター。
だが、観客達が歓声を上げるのと同時に、ステージに立つ彼女へと妖しい影達が飛びかかった!
「きゃぁんっ♪ もしかしてもしかして、観客の皆さんの前であんなこととか、こんなこととかされちゃうんですかっ!?」
「人を変質者みたいに言うな人聞きの悪い!?」
嬉しそうな声を上げるラブリンスターにそう応じたのは、見るからに変な存在だった。
コック帽をかぶったサメ頭の怪人と、ロシアンな格好をした兵士達である。
「と、ともかくラブリンスター殿のチョコレート、ご当地怪人横浜フカヒレ仮面とコサック戦闘員がいただいていく!」
そう叫び、ご当地怪人達は、ラブンスターの足元に置いてあった、チョコレートの詰まった箱を奪い取る。
そして観客達の間を泳ぐようにしながら、ラブリンスターのチョコレートを奪い取った横浜フカヒレ仮面はわき目もふらずに逃げ去っていった。
「えーっ……せっかく襲って来てくれたのに、あんなこととか、こんなこととかしないんですか?」
アイドルとしていかがなものかと思われるような事を呟いて、ご当地怪人達を見送ったラブリンスターは、気を取り直したようにマイクを手に取ると、ライブを再開する。
そしてステージ裏にいた彼女のプロデューサーさんは、諦めたような顔で代わりのチョコレートを手配するべく電話を掛け始めるのだった。
●チョコレート奪取を阻止せよ
「ラブリンスターさんのバレンタインライブまで、ご当地怪人に襲われるとは……」
長久手・蛇目(憧憬エクストラス・d00465)は、勇気のある怪人だなと思いながら呟いた。
「彼女にとっても傍迷惑な話ですね」
「ホント、何考えてるんだろうね」
天野川・カノン(中学生エクスブレイン・dn0180)と、彼女が移動型血液採取寝台『仁左衛門(にざえもん)』の周りに集まった灼滅者達が一様に首を傾げる。
この事件を含め、全国のご当地怪人達がバレンタインを阻止するためにチョコレートを強奪する事件が、次々と予知されていた。
なぜチョコレートが狙われているのかは今のところ不明だ。何せ、ご当地怪人達のやることなので、意図を真面目に考えたところで意味があるのかさえ分からない。
「とにかく、みんなにはチョコレートが奪われるのを阻止して、ご当地怪人を倒してほしいんだ」
カノンが何事か操作すると、仁左衛門のモニターに蛇目の突き止めたライブ会場が映し出される。
「みんなに向かってもらうのは、ラブリンスターがゲリラライブを行っている会場だね」
横浜フカヒレ仮面と名乗るダークネスは、この会場でラブリンスターが観客へのプレゼント用に用意していたチョコレートを奪おうとする。
5人のコサック戦闘員を引き連れた横浜フカヒレ仮面は、ラブリンスターから強引にチョコレートを奪い、逃げ去るのだ。
バベルの鎖をかいくぐって灼滅者達が介入できるのは、横浜フカヒレ仮面がチョコレートを奪取した直後の僅かな時間となる。
「ラブリンスターやスタッフの淫魔に手を出させると余計に面倒なことになりそうだから、出来れば、灼滅者のみんなの力だけでなんとかしてね」
ご当地怪人達も一般人に危害を加える気はないようだから、避難などは気にしなくても大丈夫だろう。むしろ下手に一般人を追い払ったりすると、ラブリンスターの反応が怖い。
「横浜フカヒレ仮面はフカヒレカッターやコラーゲンビームっていうサイキックを、コサック戦闘員はコサックキックやコサック射撃っていうサイキックを使うみたいだよ。……私がつけた名前じゃないからね」
要するに、ご当地怪人らしいご当地怪人ということのようだ。
「チョコレート奪取を阻止したら、ラブリンスターのライブを楽しんで来てもいいんじゃないかな。それじゃ、みんな頑張ってね!」
参加者 | |
---|---|
長久手・蛇目(憧憬エクストラス・d00465) |
巴里・飴(砂糖漬けの禁断少女・d00471) |
不動・祐一(以焔滅悪・d00978) |
高嶺・由布(柚冨峯・d04486) |
メアリ・ミナモト(黒キ奔流・d06603) |
藍堂・ルイ(歌う緋楼愛弩留総長・d11634) |
物部・七星(一霊四魂・d11941) |
綺羅星・ひかり(はぴはぴひかりん・d17930) |
ラブリンスターの足元に置かれていた箱を持ち上げ、逃げ去ろうとした横浜フカヒレ仮面とコサック戦闘員たち。
だが、彼らの逃走は、突如響いた声に阻まれた。
「やいやいやい! アイドルの心意気を泥ならぬフカヒレスープで汚そうとするなんて許さないぞ!」
「何者だ!」
ラブリンスターがプレゼント用に用意したチョコの詰まった箱を抱えたまま、様式美に則って頭上を振り仰ぐ横浜フカヒレ仮面。
ライトに一瞬目がくらんだ瞬間、その人影は飛び降りざまに叫びを上げた。
「変身!」
飛び降りながら纏われる藍色の特攻服の背中には、燦然と輝く『愛鈴星命』の四文字。
着地に巻き込まれた戦闘員の上から、藍堂・ルイ(歌う緋楼愛弩留総長・d11634)は横浜フカヒレ仮面をビシリと指差す。
「音楽の聖地日本武道館を守るヒーロー……武蔵坂の緋楼愛弩留総長藍堂ルイ、またの呼び名をラブリンスターの大ファン! 文句あるか! あっても無くてもブッ飛ばす!」
「武蔵坂学園参上! チョコ奪還は任せにぃ!」
ルイを排除せんとしたコサック戦闘員の前に立ちはだかり、そう宣言するのは綺羅星・ひかり(はぴはぴひかりん・d17930)だ。尊敬するラブリンスターの前で、バベルブレイカーを握る手にも力が籠る。
「熾天よ、羽ばたけ!」
スレイヤーカードの解除コードを唱えると共に、メアリ・ミナモト(黒キ奔流・d06603)の全身を殲術道具が包み込む。メアリに続いて次々と殲術道具を装着すると、観客席に控えていた灼滅者達も次々とステージ上に飛び上がった。
「不動祐一さんじょー、チョコは持ってかせねーぜ?」
「チョコは返してもらうぞ!」
不動・祐一(以焔滅悪・d00978)と長久手・蛇目(憧憬エクストラス・d00465)が、オーラで全身を覆う。ご当地怪人達を観客達から引き離すよう、その進路を塞ぐ立ち位置だ。
横浜フカヒレ怪人のコラーゲンに満ちた顔に、憎々しげな表情を浮かべた。
「おのれ武蔵坂学園、フカいな奴らめ! まさか我らの計画を嗅ぎつけるとは!」
「まさか、逃げようなんて思ってはいませんでしょうね?」
祐一や蛇目、メアリらと視線を交わし、ご当地怪人達が予想外の方向へと逃げないように物部・七星(一霊四魂・d11941)は薄笑いで言葉を投げ掛ける。
「臆病な指揮官が立案した臆病な作戦に従事する臆病な怪人さんは早くもお帰りになるおつもりですか? 流石ご当地怪人はダークネスいち逃げ足がお速い事で!」
「……いや、敵対行動取った後でラブリンスターがいる横に居るのはただの自殺行為だろう」
「……それはとてもよく分かりますが」
横浜フカヒレ仮面に素で返され、七星は思わず頷く。
軽く眺めるだけで、高嶺・由布(柚冨峯・d04486)から接触テレパスで何やら伝えられて頷いているラブリンスターが並みのダークネスより遥かに強いのが分かってしまう。
横浜フカヒレ仮面も、自分より遥かに強い相手に喧嘩を売っているのだ。灼滅者達の介入もあり、その鮫顔には明らかな焦りがあった。
(「なんで、わざわざラブリンスターにまで喧嘩売ってんですかねぇ?」)
今更の疑問が蛇目の脳裏を過ぎった。
「こシャァクな奴らめ……こうなれば仕方がない、かかれ、コサック戦闘員たちよ!」
「来るなら来るんだにぃ! 学園のファンのみんなを代表して来てる以上、ラブリンちゃんを悲しませることは絶対させないんだにぃ!」
ひかりが意気を揚げ、灼滅者達はご当地怪人と向かい合う。
●舞台上の激闘
「ラブリンスターさん、お願いします」
「はーい! 灼滅者のみんな、頑張って! 会場の皆さんも、灼滅者さん達を応援してあげてくださいね♪」
由布に接触テレパスで手筈を伝えられたラブリンスターが、観客達にも応援を促す。
ゲリラライブをおとじれていた観客達の声援が飛ぶ中、灼滅者とご当地怪人達との戦いの火蓋は切って落とされた。
ステージ裏では巴里・飴(砂糖漬けの禁断少女・d00471)が、ご当地怪人の狙いがチョコである事はラブリンプロダクションの淫魔達に伝えていた。
「それじゃ、BGMはお願いします」
「分かりました。灼滅者さんも、お気をつけて」
「はい、さっさと終わらせて来ますね!」
ラブリンスターのプロデューサーさんに促され、飴はステージ上での戦闘に加わっていく。
飴が頼んだ通りに盛り上がるBGMが流れだし、ますます場は地方の遊園地ヒーローショーじみて来ていた。
コサック戦闘員達はコサックダンスの如き姿勢でラインを築いてチョコの入った箱を抱えた横浜フカヒレ仮面を守り、対する灼滅者達は祐一と蛇目を守りの要とし、攻勢の構えを見せていた。
「チョコの強奪とかいかにもモテなそうな奴のやることだ! 怪人共! お前らは非モテだ! モテるに非ずと書いて非モテだ!!」
「バァカめ! フカヒレといえばコラーゲン、コラーゲンといえば女性にモテモテに決まっておろう!」
横浜フカヒレ仮面がどこからともなく鍋を取り出し、濃厚なコラーゲンを宿したスープを放つ。妙に粘つくスープに包まれ、祐一は思わず顔をしかめた。
「迷惑な奴だな!! 他人に迷惑かけねーのはジョーシキだろ?」
祐一の霊犬『迦楼羅』がメアリへと迫るコサック戦闘員の蹴りを表面装甲で受け止めると、蛇目の剣から浄風が広がり、灼滅者達を覆ったコラーゲンを取り払う。
「攻撃は頼みますぜ!」
「分かりました!」
「任せろ! 螺撫愛弩留美威武(ラブアイドルビーム)!!」
由布の放った風の刃と、ルイの光線が相次いで撃ち放たれ、コサック戦闘員を打ち倒す。
「我々がいる限り狙い通りにはさせませんわ!」
「初のライブで乱入とか失礼だし、さっさと終わらせようか~」
七星とメアリの天星弓から放たれた矢が光と共にコサック戦闘員を貫き、続けて踏み込んだひかりのバベルブレイカーが、その胸板に突き刺さる。
「蹂躙のバベルインパクト、だにぃ!!」
『コ、コサーック!』
悲鳴をあげて爆発する戦闘員の姿に、ライブ前の寸劇か何かだと思っている観客達から拍手が上がった。
「もっとも勘の良いお客さんは、流石に何かがおかしいと思い始めているようですね」
合流した飴はオーラを帯びた手で奇声を上げて蹴りかかって来るコサック戦闘員の蹴り足をいなし、すかさず拳撃の連打を叩き込みながら言った。
「あんまり手間取って、ライブに影響があると面倒だな」
コサックキックを繰り出して来る戦闘員達の攻撃を迦楼羅と共に捌きつつ、祐一が飴に応じる。横浜フカヒレ仮面にWOKシールドを叩き込んでやりたいところだが戦闘員達の壁は厚く、祐一やチョコを取り返そうとするメアリの接近を阻んでいた。
「やるこたぁ変わらないっす、早いトコ片付けましょうぜ……ってオイ待て!?」
回復を行いつつ仲間達を励ます蛇目。だが、横浜フカヒレ仮面に目を向けた時、彼は思わず声を上げていた。
「ああーっ!? 何食ってやがんだ!?」
横浜フカヒレ仮面は攻撃の手を止めると、箱に詰まっていたチョコを貪り食っていたのだ。
「……窮地を悟って、いよいよおかしくなりましたか?」
「最初から結構おかしかったと思いますよ」
「由布ちゃん七星ちゃん、冷静に言ってる場合じゃないにぃ!!」
ひかりが慌てるのも無理はない。ラブリンスターが観客たちに贈ろうとしたチョコだ。
「ふざけんなあの野郎!! アタシがもらう予定のチョコを!!」
怒りをたぎらせるルイは横浜フカヒレ仮面に迫らんとするが、コサック戦闘員がそれを許すはずもない。
「邪魔すんな! 覇痕毘射斗大波狗(ハァトビートダイナミック)!」
腰の入った投げ技がコサック戦闘員を舞台上に叩きつけ、爆発と共に戦闘員が消滅する。
「これで、3体……!!」
残り2体の戦闘員を、灼滅者達は急いで撃破しにかかった。だが、その間にも横浜フカヒレ仮面はサメの大きな口に次々とチョコを放り込んでいく。
飴がちらりとステージ袖を見ると、プロデューサーさんがどこかへ電話を掛けている。予知の通りに別のチョコレートを手配しているのだろう。
「ファンの皆のチョコレートを……許せないんだよ~!」
メアリの撃ちだす魔法弾が戦闘員を打ちのめし、これで残るは1人となった。
「すまぬ、コサック戦闘員よ……。だが貴様達の犠牲、無駄にはせんぞ。我が命に換えても、一矢報いてやる!」
悲壮な覚悟すら感じる声音で、なおもチョコを貪る横浜フカヒレ仮面。
ステージ上ではコサック戦闘員との戦いと、チョコの早食いが同時並行で進行していた。ラブリンスターのフォローがあるとはいえ、観客達も戸惑い気味だ。
「チョコを食べているだけで、何が変わるというのです」
七星の放つ矢が、最後のコサック戦闘員へ彗星のごとく突き刺さる。弾けるように消滅するコサック戦闘員を尻目に、メアリは横浜フカヒレ仮面へと突進した。また新たなチョコをかじった横浜フカヒレ仮面が、喜色を浮かべて声を上げる。
「そうか! このチョコか! 来たぞ来たぞ!!」
「急いで、由布!」
「──ッ!!」
チョコレートを口に放り込んだ横浜フカヒレ仮面が、メアリを迎撃するべくフカヒレカッターを横薙ぎに振るう。だが、由布の撃ち出した風の刃に攻撃は逸れ、防具を切り裂くにとどまる。
衝撃を受けた瞬間、箱に飛び付いたメアリは、加速のままにステージの反対側まで転がっていく。奪い取った箱ごと、だ。
「あのー、大丈夫ですか?」
ひょっこりと倒れた自分を覗き込んで来るラブリンスターに、メアリは立ち上がると奪還した箱を示して見せた。
「はい、これ。今度はちゃんと持ってて、下がってて!」
「ありがとうございます♪」
メアリがラブリンスターに箱を返すのを見て、ひかりがぐっと拳を握る。
「それじゃ、あとは怪人を倒すだけだにぃ!」
「そういうことですね!」
飴が応じて咎人の大鎌を構え、灼滅者達は横浜フカヒレ仮面へと一斉に攻撃を集中させた。次々とアビリティが横浜フカヒレ仮面に叩き込まれ、爆炎が立ち上る。
「やりましたか?」
「……ラブリンスターさん、台詞がフラグ臭いです」
由布がアイドル淫魔に応じた瞬間、爆炎が晴れる。その向こうから現れた姿を目にし、灼滅者達は一様に目を瞬かせた。
「……私の目がおかしくなったのでしょうか」
「いやー、多分違うと思うっすよ」
七星が呻き、蛇目がうんざりとしたような声音で応じる。そして横浜フカヒレ仮面の声は、灼滅者達の頭上から降って来た。
『シャーッシャッシャッシャッシャ!! さあ、ここからが本番だ!!』
「なんで……」
わなわなと震えるルイの叫びが、起きた現象を端的に言い表す。
「なんで巨大化してんだよ!?」
●脅威! 巨大フカヒレ仮面!
ラブリンスターやスタッフの淫魔達がESPを使い、観客席にいた人々を避難させていた。その様子を眺めながら、巨大フカヒレ仮面は笑い声を上げる。
『シャシャシャ、感心なことだ。横浜の人々はガイアパワーの源泉でもあるから見逃してやろう』
「巨大化して、態度まで大きくなったようですね」
フカヒレ仮面は七星の声に鮫のような笑みを浮かべた。
『何とでも言え。巨大化を果たした以上、我に残された時間は僅か。残る力の全てで貴様らを叩き潰す!』
宣言すると共に、いやま巨大フカヒレ仮面となった横浜フカヒレ仮面は跳躍した。ステージ上部の梁に手を掛けて高々と飛びあがり、黒光りする刃を断頭台のごとく振り下ろす。
『喰らえ! ジャイアントフカヒレカッター!!』
「ヤバいぞ、あれは!」
祐一は自分に迫る巨大なフカヒレ型の刃物の危険性を即座に理解する。祐一を庇った迦楼羅が瞬時に消滅、刃はステージをも切り裂いて地面へと達した。
衝撃に揺れる足場を蹴りながら、ひかりは巨大フカヒレ仮面の足元へと迫る。
「ご当地ヒーローにも何か無いにぃ!? 巨大ロボとか、お助けメカとか!」
「あったら出してるって! けど、なんでチョコ食っただけで……!?」
ひかりがルイと共に攻撃を放つも、巨大フカヒレ仮面はそれらの攻撃を先程までよりも明らかに余裕を持った動きで捌いて見せた。
「増したのは大きさだけではないようですね」
飴が思わず瞠目する。巨大化と同時に、ご当地怪人は全面的なパワーアップを遂げてしまっている。
「けど、巨大化前のダメージは残ってるよ!」
天星弓から矢を放ちながら、メアリは灼滅者達に巨大フカヒレ仮面の体に残る傷を指し示す。巨大化する直前で、灼滅者達は怪人を相当に追い込んでいたはずだ。
由布は殺人注射器を手に、暴れ回る巨大な怪人を見上げた。
「仕留めるしかありませんね」
「あいつを横浜の街に出させるわけにもいかないっすね」
巨大な怪人へと立ち向かう蛇目と祐一、ディフェンダー2人が奮戦する間に、クラッシャー達が矢継ぎ早に攻撃を繰り出していく。
有効打が入るよりも早く、サーヴァントに続いて祐一が、そして蛇目が倒れ、櫛の歯が落ちるように灼滅者達が倒されていく。
「ですが、これで!」
由布の放った風の刃が、狙い澄ました軌道でフカヒレカッターを振り下ろそうとした
「うおおお!! 舞道貫気駆(マイウェイスクリューゴーキック)!」
五線譜のオーラを纏ったルイの蹴りが、巨大フカヒレ仮面の胸板に直撃した。
「おのれ……グローバルジャスティス様に栄光あれー!!」
大爆発が、戦いの終わりを告げた。
●巨大化チョコの謎
戦いが終わる頃には、ゲリラライブ会場は巨大化した怪人によって瓦礫の山と化していた。
「これ位アイドル活動をしてればよくあることですから!」
ラブリンスターは灼滅者達の求めたサインに応じると、次の会場へと向かって行った。次は別の会場で、ラブリンプロダクションの他のアイドル淫魔達と合同でのライブがあるのだという。
「はー……ヘコたれないんだにぃ」
ひかりが感心したように呟き、灼滅者達はラブリンスター達を見送った。
「ライブ見れなかったなぁ……」
「せっかくサイリウムとか用意して来たのにな……」
「……乳を揉むチャンスが……」
がっくりと肩を落とすメアリとルイと祐一だが、物販で売れなかった品物をしっかりと抑えている辺り強かである。
「そういえば、あのチョコ何だったんですかね?」
蛇目が思い出したように言った。
灼滅者達はラブリンスターが観客に渡しそびれたチョコを受け取っていたが、由布や飴が何個か食べてみても、特に異常は見受けられなかった。
「横浜フカヒレ仮面が最後に食べた、あのチョコだけが特別だったってこと?」
「他の場所でも怪人達がチョコを狙う事件を起こしていますから、ラブリンスターさんのチョコだから、というわけではないんでしょうね」
七星は小さくため息をつく。
「何にしても、厄介なことになりそうです」
その言葉に反論する者は誰もいなかった。
作者:真壁真人 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年2月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 18
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