チョコでもみかんでもなく

    作者:佐和

     女の子とお菓子屋さんの祭典、バレンタインデー。
     それを楽しむのは学生や大人だけでなく、小さな子供も同じで。
    「はい、ゆーくん。ちょこれーと」
    「ありがとー。なっちゃん」
     小さな公園で小さなカップルが、可愛らしいチョコを受け渡そうとしていた。
     その時。
    「お待ちなさい!」
     突如響いた声に子供達がびくっと動きを止めた隙に、人影が2人の間を駆け抜けて。
     その小さな手からチョコは消え去っていた。
     代わりに、男の子が持たされていたのは、オレンジ色の果実。
    「……みかん?」
    「ポンカンよポンカン! 分からない子ねっ!」
     再びの声に振り向くと、公園の滑り台の上にオレンジ色の女の人が立っていた。
     その下には、子供達には不思議な格好をした、コサック戦闘員が3人。
     うち1人は、滑り台の階段を登って、チョコをその女性へと手渡している。
     どうやらポンカンとチョコをすり替えたのは彼らしい。
    「チョコじゃなくてポンカンを渡しなさい!
     そうしてここ鹿児島のポンカン産地としての知名度を上げるのよ!」
     女性は、つまらなそうにそのチョコを受け取ると、びしっと子供達を指さしながら、
    「打倒、愛媛! 目指せポンカン生産日本一!!」
     ぽかんとした顔でそれらを見つめる子供達の前で、彼女……ポンカン怪人はチョコを高々と掲げた。
     
    「ポンカン怪人、チョコ強奪事件……」
     教室に集まった灼滅者達にそう呟いて、八鳩・秋羽(小学生エクスブレイン・dn0089)はハート型の小さなチョコをぱくんと口に投げ入れた。
    「よく分からない、けど……バレンタインデーのチョコ、奪おうとしてる」
     代わりにポンカンを押し付ける辺りはいつものご当地怪人ですが、イベントシーズンを意識してか、何故か今回はチョコが絡んでいるらしい。
    「チョコ、守って、怪人、倒して」
     頷く灼滅者達を見て、秋羽はまたチョコを1つ口に入れた。
     場所は鹿児島県のとある公園。
     そこでチョコを渡そうとしている幼い女の子と男の子の元に、怪人は現れる。
     チョコを奪おうと近寄ってくるところで介入できるので、上手く阻止してほしい。
     尚、チョコを持った2人以外に怪人は全く興味がなく、また、他に公園を訪れる人もいないので、2人以外の一般人への対応は特に必要ないだろう。
     2人の子供にも、攻撃をするといったことはないようだ。
     ただ、チョコを奪ってポンカンを押し付けるだけ。
     それでも折角のイベントを楽しんでいる子供達には悲しい出来事ではあるだろうが。
    「相手は、ポンカン怪人と、コサック戦闘員3人、だけ」
     ポンカン怪人はポンカンを投げて攻撃してくる。
     特にチョコとかバレンタインらしさはないらしい。
     コサック戦闘員は、何だかコサックっぽい動きをしながらバトルオーラ相当の攻撃をしてくるようだ。
    「そういえば、コサック戦闘員、いるけど、怪人、ロシア化してない、ね?」
     ちょっと首をかしげながらも説明を終えた秋羽は、最後のチョコを放り込んで。
    「……チョコ、ちゃんと渡せるように、お願いします」
     ぺこん、と灼滅者達へと頭を下げた。


    参加者
    藤柴・裕士(藍色花びら・d00459)
    風音・瑠璃羽(散華・d01204)
    日野森・沙希(劫火の巫女・d03306)
    三角・啓(蠍火・d03584)
    志賀野・友衛(高校生神薙使い・d03990)
    七峠・ホナミ(撥る少女・d12041)
    深山・躑躅(花は霧島・d14846)
    ハリー・クリントン(ニンジャヒーロー・d18314)

    ■リプレイ

    ●原産はインドです
     その時、ポンカン怪人はこっそり滑り台の階段を上っていた。
     小さなカップルの様子を伺いつつ、コサック戦闘員が指示通りそのチョコに狙いを定めているのを確認しながら、辿り着いた頂上に仁王立ち。
    「はい、ゆーくん。ちょこれーと」
     可愛らしい声と共に差し出されたチョコを合図にするように、怪人は息を吸い込み、コサック戦闘員が走り出して。
    「そこまでだ! チョコは奪わせるものか!」
     響いたのは怪人ではなく志賀野・友衛(高校生神薙使い・d03990)の声だった。
     コサック戦闘員の進路を阻むように立ち塞がり、剣の切っ先を突きつける。
    「子供達の夢を壊そうとする怪人は、私たちが許さないのですよ」
     巫女服の日野森・沙希(劫火の巫女・d03306)も間に割り込み、子供達を庇うように両手を広げて。
     見せ場を取られた怪人は、悔しそうに滑り台の手すりを握り締めて叫ぶ。
    「くっ……アナタ達、何者!?」
    「怪人在るところにヒーロー在り!」
     だがそれに答えたのは、目の前の2人ではなく、横手のジャングルジムの上に立つ人影。
     ひらりと飛び降りたその影は、着地と同時に名乗りを上げる。
    「霧島が守護戦士、花小町アザレア……参りますっ!」
     さらにゴージャスモードを発動させて、深山・躑躅(花は霧島・d14846)はびしっと構えた。
    「同じく、イガ忍者参上にござる!」
     声に怪人が振り向くと、そこにしゅたっと現れたのはハリー・クリントン(ニンジャヒーロー・d18314)。
     彼も、口元を隠す赤いスカーフを靡かせて、アルティメットモードで決めポーズ。
     ニンジャ装束と素早い身のこなしも、ESPを際立たせる。
    「その子達に手は出させない」
     続いて、三角・啓(蠍火・d03584)が使ったのはスタイリッシュモード。
     滑り台を挟んで子供達と反対側に立った武者鎧は、怪人を鋭く睨みつける。
     子供達を怖がらせすぎず、かつ状況を早く認識させるために、灼滅者達はヒーローっぽさを意識しての介入を行っていた。
    (「あまり演技は得意ではないのだが……大丈夫だろうか?」)
     内心では心配だった友衛がちらりと見ると、子供達はキラキラした瞳で灼滅者達を見上げていて。
     演技もESPも、そして子供達には見慣れない和装も大成功だったようで、友衛は小さく安堵の息を吐いた。
     その間に、出鼻を挫かれた怪人の足元へとコサック戦闘員3人が集結していく。
    「もう大丈夫ですよ」
    「あいつらの狙いはそのチョコだ」
     沙希が肩越しに振り向きながら、啓が滑り台の向こうから、子供達に声をかけた。
     2人は、優しい微笑みと、兜の下の鋭くもどこか頼もしさを感じる瞳を、じっと見上げて。
    「大事なチョコが盗られないように下がっていてね」
     そこに僧服を着た七峠・ホナミ(撥る少女・d12041)が歩み寄り、その背に手を添えて公園の隅へと誘導する。
    「悪~い怪人はお姉さん達がやっつけちゃうから!」
     歩きながらぐっと手を握って言うと、子供達は目を瞬かせる。
     袴姿の藤柴・裕士(藍色花びら・d00459)も、その後についていきながら、
    「そうそう。ここはニンジャ達がなんとかしてくれるで」
     な? と腰を屈めながら笑いかければ、女の子が元気に頷いた。
     風音・瑠璃羽(散華・d01204)も、安心させようと笑みを浮かべて、男の子の頭を優しく撫でる。
     ふと気が付くと、女の子の憧れるような視線がその着物へと向いていて。
    「おひめさまだ!」
     思わぬ賛辞にちょっと驚きながら、瑠璃羽はありがとうとお礼を言う。そして。
    「目を閉じて暫くしたら終わってるからね」
     瑠璃羽の言葉と共に、裕士が魂鎮めの風を呼び寄せた。
     眠る2人を、ホナミと瑠璃羽がそっと受け止め、横たえて。
     女の子の手にチョコが握られているのを確かめてから、怪人と対峙する仲間の元へと戻った。

    ●台湾から鹿児島に苗木がもたらされたのが最初と言われています
     滑り台から滑り降りてきた怪人を逃さぬように取り囲む配置を取った灼滅者達は、そのまま集中攻撃を開始する。
    「なぜポンカン怪人がバレンタインチョコレートを狙うのかわからないけど、子供達の可愛らしいロマンスを邪魔するなんて許さないですよ!」
     怒気と共に片腕を異型巨大化させた沙希が、振り上げたそれを叩き付けて。
    「多くの女子がどれだけの想いや勇気でこの日に臨むのか、私にも少しは解る。
     それを台無しにする様な企みは、同じ女子として許す訳にはいかないな」
     間を空けずに友衛がロッドを振り下ろし、流し込んだ魔力を爆発させる。
    「拙者モテ無い故、本音を言えば『バレンタインはRB!』といきたいところでござる」
     怪人の懐へと入り込むように接近したハリーは、共感を見せて1つ頷くも、
    「が、あのような幼い子供達の恋路を邪魔するほど拙者野暮でもないでござる。
     故に、本日爆発四散するのは貴様ら怪人共でござるよ!」
     すぐに手に構えた偽針を怪人へと打ち込んだ。
     先ほどは見事な口上を見せたものの実は初依頼の躑躅は、少し緊張の色を見せつつも皆に続かんと気合いを入れて。
    「まだまだ未熟者の私ですけど、小さな恋人さん達の素敵な1日……守ってみせます!」
     怪人へ向かって風の刃を撃ち放つ。
     集中砲火を受ける怪人に、コサック戦闘員はチョコを狙うか援護に回るか迷うようにおろおろして。
     そこを、啓の結界が3人纏めて包み込む。
     怪人を先に倒してしまう作戦だが、だからといって戦闘員を放置しては子供達のチョコは守れない。
     こちらへちらりと視線を向けたハリーに、足止めは任せろと、啓は頷いて見せた。
     そこに少し遅れていた子供達の避難組が合流する。
    「乙女の想いがつまったチョコレートに手を出すなんていけない人達」
     ホナミは仲間の負傷を確認しつつ、まずはと怪人を影で縛りつけ、攻撃支援へと回る。
    「ポンカンって香りも甘くって好きだけれど……
     人のチョコと勝手に取り換えるのは逆に悪い印象与えるよ?」
     おずおずと意見しながらも、瑠璃羽は紅に染まった日本刀を鋭く振り抜いて。
    「ご当地怪人はほんまにはた迷惑やわー」
     確かにポンカンも美味しいんやけど、と苦笑しながら、裕士は素早く怪人の後ろへ回り込み、その足を切り裂く。
    「煩い煩いっ! 黙りなさいっ!」
     重なっていく攻撃を振り払うように首を振りながら、怪人がポンカンを投げ放った。
     すぐさまハリーと裕士が仲間を庇うように前へ出て、そのオレンジ色の弾を受け止め、弾く。
     そして攻撃が止んだその刹那に、瑠璃羽と友衛が揃って男子2人の背から飛び出し、拳と巨大な腕をお返しとばかりに怪人へと立て続けに打ち込む。
     バスタービームで戦闘員を狙いながら、啓はその様子を眺め、ふと、転がってきたポンカンに気付くと、拾い上げたそれを怪人の足元へと転がし返した。
    (「散らかしたポンカンで怪人が転んだら面白いし」)
     そんなことを思いながら、片手間にころころと、ポンカンを集めていく。
    「ちゅーかなんでこの時期やねん? バレンタインに恨みでもあんのか?」
     風の刃を放ちつつ、裕士がため息交じりに問いかければ。
    「バレンタインの時期でなくても打倒愛媛ができるはず。
     むしろこの時期じゃなければ打倒愛媛ができるのにですよ!」
     沙希も頷きながら、しゃらんと神楽鈴を打ち鳴らす。
    「ポンカンは確かに鹿児島が誇る名産品です。
     だからこそ、押し付けなんて嫌われるようなことをしちゃ駄目ですよ……!」
    「アナタは今日、自らの手でポンカンの悪評を生み出すところだったのよ!」
     同じ鹿児島をご当地とする躑躅の訴えに、ホナミも清めの風を吹かせながら声を上げる。
     そして躑躅は思いを乗せて地を蹴った。
    「故郷の名を下げる怪人さんはお仕置きです!」
     空中からのご当地キックが怪人に突き刺さる。
     傷だらけとなり、さすがにふらついてきた怪人は、それでも足に力を込めて。
     キッと睨み据えたのは公園の端。
    「お前達! さっさとチョコを奪ってきなさいっ!」
     怪人が指し示した先には、眠る子供達の姿があった。

    ●2月が出荷の最盛期です
     指示を受けた戦闘員達は、コサックダンスっぽい動作をしながら子供達へ向かっていく。
     どう見ても無駄な動きばかりなのに、その速度は何故かやたら速くて。
     警戒していた啓のライフルがうち1人の動きを止めるも、その隙に、残る2人が包囲を抜けようと進み行く。
    「っ、頼む」
    「任せるでござる」
     だが啓のフォローも意識していたハリーが、その声を受けて戦闘員達を結界で包み込んだ。
     踵を返した瑠璃羽の刃も、戦闘員の1人を切り裂いて。
    「思い通りにはさせません!」
     躑躅の護符が星を描いて足を止める。
     ならば灼滅者達の注意が戦闘員に向いている間にと、怪人は足を踏み出して。
     しかし、そこに先回りしたホナミが、押し止めるように手をかざす。
     動きを読まれた驚きと、進む勢いを無理矢理殺したその動作で、怪人の動きが一瞬止まり。
    「子供達には近付けさせるものか」
    「チョコレートに指一本触らせないのですよ」
     そこへ友衛と沙希が揃ってマテリアルロッドを叩き付け、しゃんしゃらんと鈴の音が響き渡る。
    「コサック戦闘員がいるということは、あなたはロシアンタイガーの力を受けているはず。
     なぜ貴方はロシアン化してないのです?」
     神楽舞の一部のように鈴を下ろしながら、注意を引き付けるべく、そしてそもそもの疑問を解消すべく、沙希は声を上げて怪人へと問いかけた。
    「ロシア? ポンカンは鹿児島のものよ!」
    「ロシアンタイガーと手を組んだのではないのか?」
     眉を潜める怪人に、友衛も重ねて問うが。
    「ふっ……私の働きに感銘して、手下を寄越しただけのこと。
     だから、鹿児島のポンカンを広めるのにその力を使ってあげているのよ!」
     胸を張って言い切る怪人だが、その言葉に戦闘員達は戸惑ったように顔を見合わせていて。
    (「噛み合ってないでござるな……」)
     戦いの最中の互いの連携やポジションにも何となく齟齬を感じていたハリーは、改めてそう思う。
    「ちゅーか、バレンタインにポンカンはないわ」
     さらに裕士が挑発の意図も込めて、これ見よがしにため息をついて見せて。
    「チョコの代わりゆーんも無理あるし、TPOっちゅーんがあるやろ」
    「加工して細工してラッピングしたもんに対してポンカンって、そもそもちょっと雑じゃねえ?」
     啓も呆れたように頷いた。
     怒気も露に裕士達へと振り向いた怪人だが、言い返すより早く、瑠璃羽が思いついたようにぽんっと手を打って。
    「ポンカンとチョコのコラボチョコ作ればいいと思うんだ。オランジェットみたいな!」
     バレンタインを邪魔するよりいいアイディアだと顔を輝かせる。
     はっとする怪人の背後で、啓がこくりと首を傾げた。
    「……ポランジェット?」
    「いや無理矢理ポンカン名付けんでも……」
     思わず裕士はその肩に手を置いて苦笑する。
    「ポンカンピールのチョコ。ポンカンチョコクッキー。
     知らないの? 美味しいのよ!」
     そこに、ホナミがポンカンとチョコのコラボレーションを並べ挙げて。
    「この日を狙って知名度を上げるならもっと知恵を見せるべきだったわね!」
     冷気のつららと共に言い放った。
    「そ、そんな……」
     愕然とした表情のまま、怪人の姿は氷の向こうに消えていく。
    「後はコサック戦闘員だけです」
     その消滅を見た躑躅は、あと少しと仲間達に声をかける。
     友衛の神霊剣と沙希の巨腕がそれぞれ戦闘員を地に伏せて。
    「イガ忍者ビーム!」
     そしてほどなく、最後の1人もハリーのご当地ビームの下に倒れた。

    ●全然ロシアンじゃないポンカンでした
     眠らせていた子供達をホナミがそっと揺り起こして。
     もう大丈夫とだけ伝えると、灼滅者達は颯爽とその場を立ち去った。
     最後まで、ヒーローのように。
    「ここからは俺らも邪魔者か」
     怪人達によって中断されてしまった小さな2人の時間が、元通りに続くことを願って啓は小さく笑う。
    「チョコ、無事で良かったですね♪」
     嬉しそうに言う躑躅に友衛は頷いて、公園を出る間際にふと振り向いた。
     見えたのは、改めて女の子が男の子にチョコを差し出している光景。
     初々しいその様子に目を細めると、隣で躑躅もほのぼのとそれを見守っていた。
    「しかし、ポンカン怪人……どこか妙な相手だったな」
     道を歩きながら、啓がしみじみと思い出すように独りごちて。
    「公園から離れてもポンカンの匂いが消えない……って食ってるし」
    「啓殿も食べるでござるか?」
     赤いスカーフの向こうでもぐもぐしている口から少し聞き辛い問いを投げつつ、ハリーがポンカンを啓に差し出した。
     攻撃に使われた大半のポンカンは消えていたものの、チョコとすりかえるために用意されていたらしい一部は戦いが終わってもその場に残っていて。
     ちゃっかりそれを確保していたハリーから、柑橘系の香りが漂っている。
    「あ、オレも欲しいー」
     裕士が真っ先に手を挙げると、続くように他の皆もポンカンを受け取っていく。
     瑠璃羽は、ポンカンの形にも可愛いなぁと笑顔を向けて。
     ふと、そのオレンジ色の向こうにポンカン怪人を思い出して首を傾げた。
    「今回、あちこちで怪人達がチョコを奪おうとしてるけれど……何か理由があるのかな?
     クリスマスのケーキには反応しなかったのに……?」
    「ケーキじゃなくてチョコじゃなきゃいけない何かがあったのかな?」
     沙希もポンカンを口元に運んでいた手を止めて、疑問符を浮かべる。
    「何にしろ、あの子達のチョコが無事でよかった。
     渡せずに終わるのは残念だからな……い、いや、何でもない。例え話だ」
     実感の篭った呟きに躑躅が見上げると、視線に気付いた友衛は赤くなった顔を向こうへと反らした。
     にこにこ笑顔の沙希がその顔を覗きこんで。
    「志賀野さんは誰かにチョコを渡すです?」
    「いや、その……そ、そういう日野森はどうなんだ?」
    「内緒ですよー。深山さんと風音さんは?」
    「え、えへへ……」
    「わ、わたしはきゃわっ!?」
     長閑に笑う躑躅の隣で、慌てた瑠璃羽が躓き転んで。
    「もらえるとええなー」
     当てのありそうな裕士の隣で、ハリーは黙々とポンカンを食べる。
    「なんとも甘酸っぱいでござるな……あれ、拙者何か涙が……」
     ほろりと零れた水滴を拭うと、その目の前にホナミが手を差し出した。
    「お疲れ様チョコ、だけどね」
     その掌にころんと転がっていたのは小さなチョコ。
     先ほどとは違う涙を流しながら受け取ったハリーに、ホナミはくすりと微笑んで。
     まだ左ポケットに残っていたチョコを渡すべく、残る2人の男子へと歩み寄っていった。
     

    作者:佐和 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月14日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 6
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