川の中から、うっふんぽよよん☆

     禪杜・フュルヒテゴット(ハウンドアッシュ・d08961)は、こんな噂を耳にした。
     『男を食いまくる水着美女の都市伝説が存在する』と……。
     都市伝説が確認されたのは都内某所にある川で、溺れているような素振りを見せて男達を誘い込み、そのまま川の中に引きずり込んでしまうようである。
     もちろん、こんな寒空の中、水着姿で溺れている美女がいる時点でおかしな話ではあるのだが、あっぷあっぷするたびにたゆんたゆんと揺れる乳を目の当たりにして、理性の留め金が外れてしまい、冷静な判断力が何処かに遊びに行ってしまうようである。
     しかも、途中で『ヤバイ、マジヤバイ』と思っても、後の祭り。
     あっという間に、都市伝説に気づかれ、胸の谷間に挟まれた上で、そのままぎゅー。
     こうなると、男の方も骨抜き状態になり、『ああ、もうどうでもいいや』と言う気持ちになって、命を落としてしまうようである。
     そのため、都市伝説が確認された場所では、幸せそうな笑みを浮かべたまま絶命する、男達の死体がプカプカ。
     おそらく、こうしている間も、正義感と欲望丸出しで、都市伝説を助けようとしている男達がいるだろう。
     そんな男達を説得もしくは、『誰が一番早く彼女を助ける事が出来るか競争だ!』と叫び、友情を芽生えさせつつ、都市伝説を倒す事が今回の目的である。


    参加者
    聖刀・凛凛虎(無邪気で邪悪なる救世主・d02654)
    禪杜・フュルヒテゴット(ハウンドアッシュ・d08961)
    竹尾・登(ムートアントグンター・d13258)
    フィア・レン(殲滅兵器の人形・d16847)
    富山・良太(ほんのーじのへん・d18057)
    久条・統弥(自覚無きナンパ師・d20758)
    クリト・ルリトル(ひとたまさんびゃくえん・d23504)
    天城・ヒビキ(嘆鬼・d23580)

    ■リプレイ

    ●危険な罠
    「前回は売れ残り水着の都市伝説で……、今回は水着美女の都市伝説……冬なのに……。ここから導き出される結論……そう、全ては地球温暖化ダークネスの仕業だったんだよ!!」
     天城・ヒビキ(嘆鬼・d23580)は仲間達を呼び集め、くわっと表情を険しくさせた。
     だが、都市伝説とダークネスは全くの別物。
     故に、まったく関係ないというのが、事実であった。
     しかし、ヒビキがそれを知るのは、ずっと後。
     その事実を知った時、ヒビキは顔から火が出るほど、恥ずかしい気持ちになってしまうのだが、それはまた別の話である。
    「男を食いまくる水着美女の都市伝説……、ほんまにおったとは……。いてくれて、ほんま嬉し……いや、違……倒さなな!」
     禪杜・フュルヒテゴット(ハウンドアッシュ・d08961)は中学生並の欲望丸出しで、にへらと笑った。
     何とかクールな自分を装うとして頑張ってはいるものの、それを上回るほどの妄想パワーが暴走しているせいで、止められない、止まらない。
     自然と笑みがこぼれて、感情を抑えられなくなっていた。
    「まあ、分かりやすい願望だよね。どうしてこうなった? という感じは無いけど、何とも言えない気持ちになるなあ……」
     竹尾・登(ムートアントグンター・d13258)は、複雑な気持ちになった。
     おそらく、男達の願いが……欲望が具現化した都市伝説なのだろう。
     そのため、何の事情も知らない男達がホイホイ川に入って、命を落としているのかも知れない。
     だが、男達にとっては、それすらも幸せに感じられていたのかも知れなかった。
     その証拠に亡くなった男達は、みんな笑顔。
     この世の幸せを胸いっぱいに受け止めたような笑顔を浮かべて亡くなっていた。
    「水着美女の都市伝説のおっぱい……か。死にたくないけど……」
     久条・統弥(自覚無きナンパ師・d20758)が、欲望と理性の狭間で迷っていた。
     死にたくはないが、おっぱい……いや、ふとももがあるような状況で、迷っている暇などない。
     それに、このチャンスを逃したら、今度は何時おっぱいとふとももを堪能できるのか、分からないのだから……。
    「おっぱい天国で男を誘うのに、水着とはまったくもってけしからん。だから私は全裸で行く」
     クリト・ルリトル(ひとたまさんびゃくえん・d23504)が、バサッと服を脱ぎ捨てた。
     これで舞台が温泉であれば、不自然な光と湯気で何とかなったが、この状況ではそれも不可能。
     しかし、奇跡が起きた。それはある意味、天使の悪戯。
     クリトの長い髪がお約束とばかりに、胸と局部を隠していた。
    「何か色々間違っている気がしますが、都市伝説を退治すればいいんですよね。……中君、竹尾君、頼んだよ」
     富山・良太(ほんのーじのへん・d18057)が、ビハインドの中君に声をかけた。
     最近、胸の大きな淫魔に酷い目に遭わされたため、今回のようなタイプの女性にはかなり警戒しているらしく、嫌な予感しかしない。
    「きゃあああああああああ、誰かああああ」
     その時、都市伝説が確認された川の方で、女性の悲鳴が響いた。
     途端に何処からともなくワラワラと男達が現れ、『いま助けに行くぞ!』と叫んで準備体操をし始めた。
    「テメェら! 冬の水を舐めるな! 水着にならんと死ぬぞ! 3秒で着替えな! 屑は嫌いだよ!」
     聖刀・凛凛虎(無邪気で邪悪なる救世主・d02654)が、水着姿で男達に対して叫ぶ。
    「み、水着だと……!? そんな事をしている暇はねえ。早くしないと、おっぱいが……いや、彼女が溺れてしまう」
     男達が興奮気味に鼻息を荒くさせた。
    「……すごく……助ける気……しない……突撃は……勝手に……やって」
     フィア・レン(殲滅兵器の人形・d16847)が思いっきり眠そうにしながら、アクビをした。
     ある意味、相手にするだけ無駄。
     このまま放っておいた方が、世のため人のためになるのかも知れない。

    ●一般人
    「皆さん、バラバラに行くのはフェアでは無いので、一斉にスタートして競争にしましょう。一番に辿りついた人には、人工呼吸と心臓マッサージの権利をプレゼントします」
     良太が男達に声を掛けながら、頑丈なワイヤーを結んだ中君も並ばせた。
    「流されるのを防ぐために、このロープで体を縛って」
     そう言って登が端っこに鉄の輪っかを結ばれたロープで男達の体を縛っていく。
     だが、男達も流石に警戒したのか、『俺は嫌だ。彼女にぎゅーっとしたいんだ!』と吐き捨てた。
    「一番揉みは、この俺だぁー!」
     そのドサクサに紛れて、凛凛虎がざぶんと川に飛び込んだ。
    「うちが先! うちが先やぁぁ!」
     フュルヒテゴットも殺気立った様子で、凛凛虎の後をジャバジャバと追っていく。
    「……ふぁああ……眠い……」
     そこでフィアが思いっきり大きなアクビをした。
     その間も都市伝説が『た、助けて!』と叫び、わざと溺れているフリをした。
    「うぉぉ……、めっちゃ可愛いやん。倒すの、もったいなー……。いや、倒すけどな、倒すけどもや」
     フュルヒテゴットが攻撃する事を躊躇った。
     しかも、都市伝説のおっぱいが柔らかそうに揺れている。
     まるで触ってくれて言わんばかりに踊っているようだった。
    「お姉さん、大丈夫。私がおっぱい揉んでおしり揉んで脱がして弄んで嬲って(都市伝説という牢獄から)助けてあげる」
     そんな中、クリトは自らの欲望を暴走させ、都市伝説の胸や尻を触っていた。
     都市伝説も必死にクリトを川の底に引きずり込もうとしているが、触って触って触りまくられ、それどころではないようだった。
    「うぉぉ……やわらかい! やわら……ブレイカァー!!」
     凛凛虎が都市伝説のあり得ないものを掴んで悲鳴をあげた。
     女であれば、本来ないもの。
     男であれば、あって当然のもの。
     だが、都市伝説は両方……あった。
     リバーシブル的な発想なのか、それともウッカリなのか、どちらが偽物で、どちらが本物なのか分からないが、この際どうでも良い事だった。
    「ちょっ、ちょっと待って。それじゃあボクが触っているふとももの付け根には……」
     途端に統弥から血の気が引いた。
     見てはいけない。見たら必ず後悔する。
     それが分かっていても、深淵を覗かずにはいられなかった。
    「とにかく、一般人を助けないと……」
     すぐさま登が怪力無双を使い、男達をグイッと引っ張った。
     男達は『うわっ、なんだ! もう少しで、おっぱいに手が届くのに!』と叫び、必死になって抵抗をした。
    「そんな事をしたら、死ぬから!」
     良太も怪力無双を使って、登と一緒にロープを引っ張っていく。
     それでも、男達は足掻いて足掻いて足掻きまくったが、ついには力尽きてそのまま引っ張りあげられた。
    「とりあえず、避難してください。ここは今から戦場になります」
     戦国武将が身に纏う甲冑のようなデザインをした水着姿で、ヒビキが警告混じりに呟きながら、殺界形成を発動させる。
     その途端、男達が『さ、寒い。早く着替えないと風邪を引く』と叫び、逃げるようにしてその場を後にした。

    ●リバーシブル
    「やはり、恐れていた事が……」
     良太の嫌な予感が的中した。
     いくら上半身が美女であっても、下半身はケモノそのもの。
    「なんで、ついているんだよ!」
     それを目の当たりにした統弥が、口元を押さえて嫌悪感をあらわにした。
     確かに、そんな噂を聞いていたが、まさかあそこまでご立派だったとは……。
     脳裏に焼き付いたソレが、なかなか消えてくれなかった。
    「ついてて悪い? サプライズよ、サプライズ!」
     都市伝説が開き直って、統弥を川の底に沈めようとする。
    「物凄く嫌なサプライズなんですが……」
     ヒビキはげんなりとした。
     だが、都市伝説は、未だに川の中。
     都市伝説を倒すためには、危険を承知で川に飛び込まねばならなかった。
    「……やるしかないか」
     覚悟を決めた様子で、登が川に飛び込んだ。
     しかし、川の水が冷たい。欲望丸出しで飛び込んだ訳ではないため、川の冷たさの方が勝ってしまい、危なく心がポッキリと折れそうになった。
    「……眠い……」
     自らの睡魔と戦いながら、フィアが日本刀を握り締めて川に飛び込み、都市伝説に黒死斬を放つ。
     その一撃を食らった都市伝説が『道連れにしてやるゥ』と叫び、無我夢中で両手を伸ばしてきた。
    「なんで……、なんで、ついていたんだあああああああああああ」
     凛凛虎が溢れんばかりの涙を浮かべ、都市伝説の尻に蹂躙のバベルインパクトを叩き込む。
     次の瞬間、都市伝説が苦悶の表情を浮かべ、断末魔を上げて消滅した。
    「激しい戦いだった……。次は男の娘が食べたい……」
     クリトがウットリした様子で涎を垂らす。
     どさくさに紛れて、都市伝説の身体を触ったが、もっと触っておけば良かったと、何となく後悔。
     やはり、川の中では思うように動けなかったため、陸で男の娘的な都市伝説が現れる事を願うばかりである。
    「その素敵なおっぱい忘れません……、往生してください……、ごっつぁんでした!」
     そう言ってフュルヒテゴットが、なむなむと両手を合わす。
     この際、都市伝説の下半身は、脳内削除。
     今回、出会ったのは、紛れもない美女。物騒なものなど、ついていなかった。
     そう思う事で統弥のように絶望せず、難を逃れる事が出来ていた。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月8日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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