血塗れば赤になる

    作者:温水ミチ

     問題が理解できなかったら、1度状況を整理してみよう。
     私は数十分前、見知らぬ場所で目を覚ました。どうやら教室のようだ。机も椅子もないガランとした室内、積もった埃。廃校舎なんだろうか。窓の外は赤く染まっている。朝焼けか、夕焼けか――多分、夕方だろうと思う。周囲には、私同様に目を覚ましたばかりの見知らぬ人々が――12人。それから、さっきまで人だった物が1体転がっていた。
     人だった男を遺体にしたのは、この問題の『出題者』とでも言うべき少年だ。少年は目を覚ましたばかりで混乱する私達に、唐突に告げた。教室の中央に数本のナイフを突き立てながら、これは簡単なことだと。
     今から、私達は殺し合う。少年を例外として、この部屋を出られるのは最後に生き残った1人だけ。誰かに殺されれば当然死ぬし、また殺し合いを拒否しても殺される。事実、目の前に転がっている男は殺し合いを拒否し、結果、少年によって殺された。これが、私が目覚めてから数十分間の出来事の全て。
     さあ、ここで問題。生きて私がこの部屋から出る為の方法を答えよ。私はもう、この問題を理解できた。整理してみればどうだ、簡単なことじゃないか。答え――殺せばいい。私以外の人間を、1人残らず殺せばいい。
     私はまだパニックを起こしている人々を眺めながら、少年の残していったナイフを拾い上げた。

    「さあて、お耳を拝借。年始早々に起こった暗殺ゲーム、お前さん達も覚えているだろう?」
     黒革の手帳をポケットから引っ張り出しながら、尾木・九郎(若年寄エクスブレイン・dn0177)は灼滅者達にそう問いかける。
    「結果として、僕ら武蔵坂は多くの六六六人衆を灼滅できた。……だが、それが新たな事態へと繋がっちまったようだよ」
     九郎によると、どうやら六六六人衆にまたしても動きがあったらしい。事態を引き起こしているのはお馴染み、縫村針子とカットスローター。彼らはその能力を使って、新たな、そしてより強力な六六六人衆を生み出そうとしているのだという。
     『縫村委員会』と呼ばれるその方法は、簡単かつ陰惨。『素質ある一般人』達を縫村針子が作り出した空間に閉じ込め、殺し合わせた末に生き残った1人が六六六人衆となる。
     そうした過程を経、生み出された六六六人衆『迎入・ユエ(むかいり・-)』が閉鎖空間から出てくるところを九郎は予知したのだという。
    「迎入ユエって男は、塾講師をしてたらしい。普段はぼんやりしていて、とにかく面倒が嫌いな事なかれ主義者だったようだねえ。生徒にも昼行燈なんて笑われてたようだけど」
     だが、その内面はドロドロだった。面倒だから実行はしないが、人を殺してみたいという欲望はいつでもユエの心の中にあった。講義をしながら、自分を馬鹿にした目で見ている生徒達を『もし殺すとしたら』なんて妄想する毎日。そんな本性がついに溢れ出たのだ。
     ユエはカットスローターの手で『殺し合いをしなければ殺される』という舞台を用意され、それを理由に他の一般人達を躊躇なく殺した。
    「勿論、他の一般人だって多かれ少なかれ素質はあったからねえ。生き残ったユエも当然無傷じゃない。だからこそ、灼滅の好機なのさ。閉鎖空間から出てきたところを狙って確実に片付けておくれ」
     ユエは解体ナイフ、ガンナイフを武器に強力な一撃を放ってくる。隙を見せれば、灼滅者達とて無事ではいられない。
     また、ユエは教室から出てくる際、初めて人を殺した所為か随分と浮かれているらしい。目の前に灼滅者達が現れれば嬉々として襲いかかってくるだろう。だが、本来ユエは決して無茶はしないタイプだ。自分は人の命を奪える特別な存在なのだという浮かれているうちはいいが、我に返ってしまうようなことがあれば撤退を選択する可能性もある。
    「大量の欠番が出たんで、それを埋める為だろうかねえ。それにしたって、相変わらず惨いことするもんだよ。……ユエも、ある意味では被害者なのかもしれない」
     だけどね、と九郎は真剣な面持ちで言葉を続けた。
    「仕方がないなんて言って、他の一般人を躊躇なく殺すような残虐な男だよ。残念ながら、彼を救う術はもうない。そして彼を灼滅することができなければ、この先多くの犠牲者が出ちまうはずさ。厳しい戦いになるけど……お前さん達、よろしく頼んだよ」
     九郎は気をつけてねえと呟いて、灼滅者達を見送るのだった。


    参加者
    遠藤・彩花(純情可憐な風紀委員・d00221)
    木嶋・央(恢復した刹那・d11342)
    ルコ・アルカーク(騙り葉紡ぎ・d11729)
    紺野・茉咲(コードレスナイト・d12002)
    烏丸・鈴音(カゼノネ・d14635)
    アレックス・ダークチェリー(ヒットマン紳士・d19526)
    灰色・ウサギ(グレイバック・d20519)

    ■リプレイ

    ●そして私は赤になる
     どこか禍々しい夕焼けに染まる、廃校舎の廊下。二手に分かれた灼滅者達は、1階にある教室、その左右のドアの側で時が来るのを待っていた。
     と、唐突にガンと派手な音を立て弾け飛んだ教室のドア。そこから広がるのはむわりと濃い血の匂い。宙を飛んだドアは窓にぶつかり、粉々に砕けたガラスが廊下へと撒き散らされ――そして。
     鼻歌でも歌い出しそうな、楽しげな表情でその男は現れた。ぱっと見れば、どこにでもいそうな男だ。グレーのスーツを身につけ、首からはストラップのついた名札を下げている。そこに記された『迎入・ユエ』の文字は――今しがた闇へと堕ちたばかりの、新たな六六六人衆の名だ。
    「(さて……赤鷲が灼滅された今、もう六六六人衆に用はないんだが。見逃すわけにもいかないし、面倒くさいが片付けるとするか)」
     ドアを蹴破り現れたユエに向かって、木嶋・央(恢復した刹那・d11342)が駆け出した。そこでようやく、ユエは灼滅者達の存在に気付いたらしい。首を傾げ『おや?』と笑いかけるユエに央が飛びかかった、が。
    『どうやら、次の講義の時間のようですね』
     央の手が届くよりも早くユエの握る血塗れのナイフが軽やかに閃き、その胸をぱっくりと切り裂いた。さらにユエはステップを踏むように前へと1歩踏み出すと、ルコ・アルカーク(騙り葉紡ぎ・d11729)の肩へと血に濡れたナイフを突き立てる。
    「ヒイッそんな痛い事しないで下さい!」
    『可笑しなことを言う子ですね。私や君達が持っているコレは、誰かを痛めつける為にある道具ですよ?』
     ルコが少しばかりオーバーに叫べば、ガンナイフを指に引っかけくるりと回してみせながら、ユエはニィと歪な笑みを浮かべた。
     けれど次の瞬間、央にスーツの襟元を掴まれたユエは口元に笑みをたたえたまま、今しがた出てきたばかりの教室へと勢いよく投げ飛ばされる。
     灼滅者達はその後を追って教室へと足を踏み入れると、床に打ちつけられ自身の築いた死体の山の中に転がるユエを逃がさぬよう囲んだ。
    「……は、思いっきり投げ飛ばされてんの。……ダッサ」
     へらへらと笑う紺野・茉咲(コードレスナイト・d12002)の視線の先で、ユエはゆっくりと立ち上がりスーツの埃を払う。
    『目上の人間にそんな口を聞くものじゃありませんよ。これだから最近の学生は』
    「例え目上であろうとも、はらうべき敬意は微塵も御座いませんよ」
     傷を負った仲間へ癒しの風を吹き渡らせながらヴォルフガング・シュナイザー(Ewigkeit・d02890)が言えば、霊犬のシュヴールもユエを鋭い目で見つめながら同意するように低く唸った。
     だが、灼滅者達の言葉がユエを傷つけることはない。ならば直接、身体を傷をつけるまで。茉咲はユエのネクタイを引っ掴むと、たたらを踏んだところへシールドを叩きこんだ。
    「申し訳御座いませんが、あなたは講師として失格です。こんなことをする人に学生のことを語る資格はありません」
    『はは、そもそも講師に資格なんていらないんですよ。ただ時間通りに教壇に立って、用意した内容を話し、ポイントを板書していればそれでいいんです。まあ、ユエ自身向いていないと思ってはいたようですけれど』
     遠藤・彩花(純情可憐な風紀委員・d00221)がシールドを叩きつけながら言えば、ユエは可笑しそうに声を上げて笑った。
    『第一、授業中に私語ばかりする子供の口をどう縫いつけるか考えながら、関数について解説するような男ですよ、僕は。チョークよりもナイフを持つ方が余程しっくりくると思いませんか?』
    「全く、救えませんねぇ」
     烏丸・鈴音(カゼノネ・d14635)は呆れたように呟きながら、小光輪で央の前へと盾を築く。
    「常日頃からころす事を考えてるひとなんてあいつ等にとってはいい手駒でしょうね、かわいそう。同情しますよ、ええ本当に」
     ルコはそう言うと、その腕を鬼の物へと変じながらユエに笑いかけ。
    「ぜったいに殺しますけどね」
     鬼の腕に薙ぎ払われ、ユエはわずかによろめいた。だが、その口元から笑みが消えることはない。
    『絶対に殺す、その根拠を述べてみましょう。途中式のない結論に点数はつけられませんよ?』
     まるで生徒に言い聞かせるような口調のユエに、灰色・ウサギ(グレイバック・d20519)は眉根を寄せた、けれど。
    「……六六六人衆のやることは、絶対に許せない。だけど、それで生み出されたダークネスを放置することはもっとしちゃいけないんだ」
     だからこそ今はユエを倒すことだけを考えようと、ぐっと握りしめられたウサギの拳が変形していく。
    「行こう先輩、ランクマ! アイツを倒す!」
     振りかざされた鬼の腕、それに続けて霊犬のランクマもユエを斬魔刀で斬り裂く。
    「私の標的になるとは……つくづく運の悪い男だ。さっきナイフをとったばかりの君に果たして私が倒せるかな?」
     アレックス・ダークチェリー(ヒットマン紳士・d19526)が挑発めいた口調で言えば、ユエの表情がぴくりと動いた。

    ●本能にナイフを足せば殺人が起こる
    「初歩の技だ。これぐらいはできるのだろう?」
     アレックスがどす黒い殺気を放ちながら言えば、ユエは穏やかな笑みでそれを受け止め。
    『基礎を疎かにしては、応用問題を解くことが出来ませんからね』
     ユエの台詞と共に、アレックスと鈴音に押し寄せてきたのはユエの放つ殺気だった。息も出来ぬほどの殺気に呑み込まれた2人は歯を食いしばってそれに耐える。
    「喰らえ、一番目の眷獣、蒼銀の雷虎」
     央は拳に雷を宿らせてユエに向かい、シュヴールもまた斬魔刀を咥えユエへと飛びかかった。ヴォルフガングはその隙に、指先に集めた霊力をアレックスへと放つ。
    「へぇ、やるじゃん。冴えない感じなのにさ」
     茉咲はそう言いつつも余裕の表情で、指輪から弾丸を撃ち出した。彩花がバチバチと爆ぜる拳をユエの腹へと叩き込み、ルコは激しく逆巻く風を生み出してユエの身体を切り刻む。
     初めての殺人に浮かれ、血の匂いに酔い痴れているユエの攻撃にはしかし、驚くほど無駄がなかった。閃くナイフは的確に急所を狙い、ガンナイフから放たれる弾丸は真っ直ぐに灼滅者達の身体へと撃ち込まれ――ユエの意識を戦いに縛り付けておく為に装っていた灼滅者達の苦悶の表情は、いつしか演技の枠をはみ出し始めている。
    「思っていたよりも手強いですねぇ、灰色殿」
     鈴音は、前線でユエに立ち向かうウサギを少しでも護ろうと小光輪を放つ。
    「烏丸先輩ありがとっ! まだまだいくよ! 斬り裂いてやる、せいやあっ!」
     鈴音の回復に背中を押され、ウサギは光の剣を手にぴょんとユエに飛びかかった。その剣に斬り裂かれたユエが、初めて口から苦悶の呻きを漏らす。
    「どうした? まさかこれで本気か?」
     驚いたような表情でユエを煽りながらも、アレックスは突き立てた注射器でユエの命を吸い上げて負った傷を癒した。
     傷だらけの灼滅者達と同様に、ユエの身体にも無数の傷が刻まれている。何より、ユエは縫村委員会での戦いを経て灼滅者達の前に立っていた。灼滅者達の攻撃を受けるたびにユエの表情からは少しずつ笑みが消えていき――。
    『困りましたねえ。僕としたことが、どうやら計算違いです。……ちょっと状況を整理してみましょうか』
     眉尻を下げ、ユエは視線を宙に彷徨わせた。その脳内では目まぐるしく情報が整理され、この戦いの状況を分析しているのだろう。しかしその様子は、ぼんやりと何も考えていないようにも見える。
    「……嗚呼。確かに昼行燈ですねぇ」
     納得したようにユエを眺め呟いた鈴音。恐らく、彼の教え子達もこうして思考するユエを見て『昼行燈』と呼んだのだろう。だが『昼行燈』と口にした途端、彷徨っていたユエの視線がぱっと鈴音の姿を捉えた。
    『その呼び方は……非常に不愉快極まりない。だからそう、教えて上げましょう。私が役に立たないかどうか……身をもって知りなさい』
     ユエの目がギラリと凶悪な輝きを宿し、目にも止まらぬ速さでガンナイフの銃口がぴたりと鈴音に向けられる。
     彩花が、ヴォルフガングが、茉咲が、その銃口の前に飛び出そうと走り出した――けれど、乾いた音を立て放たれた弾丸は宙で弧をかいて、鈴音の胸へと吸い込まれていった。

    ●血塗れの証明
     弾丸に貫かれた鈴音の口から、真っ赤な血が溢れた。鈴音は困ったような表情で仲間達を見つめ、その身体はどさりと床へ崩れ落ちる。
    「……烏丸先輩?」
     茉咲は呟くと鈴音に駆け寄り、倒れた身体をユエの手の届かぬところへと運ぼうとした。
     そこに生まれた隙を見逃さず、己の不利を悟ったユエは戦場から逃げ出そうと静かに踵を返すが。
    「おい、ここにはまだ活きのいい餌がいるぜ。お前の腕を存分に振るってみろよ!」
     逃してたまるかと、挑発と一緒に央はユエの背中に杭を突き立てる。ヴォルフガングも縛霊撃を叩きつけ網状の霊力でユエを捕えた。すかさず、身動きを封じられたユエへとシュヴールも六文銭を撃ち出す。
    「烏丸君……。もう許しません!」
     彩花は教室の外へと運ばれていく鈴音を見つめ唇を噛みしめると、シールドを振りかざして誰の物かも分からぬ血に汚れた床を蹴る。
    「新米ダークネス、されど……って感じですね」
     一方、あちこちから血を流してはいるがルコの目にはまだ戦いを楽しむ光があった。腕を変形させたルコは渾身の力でユエの身体を打ち、ユエ自身が築いた死体の山の中へと吹き飛ばす。
    「ウサギの拳を受けてみろッ!」
     ウサギもまた腕を鬼の物へと変えて、肩で息をしながら立ち上がったユエに叩きつけた。ランクマも全力で走り、すれ違い様ユエの身体を斬魔刀で深く斬り抜く。
    「受け取りたまえ。これが私の闇、私の殺意……」
     ぐらりと揺れたユエに、アレックスは暗い思いの塊である漆黒の弾丸を撃ち込んだ。
    『これは……状況がよくありません。この状況の正解は、撤退』
     そう呟いたユエは、素早く視線を走らせ教室の窓に目をつけた。窓を割って外へ出てしまえば、そこはもう校庭だ。ここは一旦引こうと、ユエは窓目がけて走り出そうとした、が。
    「あんたが死ぬまでは逃がしません」
     その行く手にひらりと飛び込み、ルコはその身でユエの逃走路を塞いだ。ユエは一瞬表情に苛立ちを過ぎらせ――しかしすぐに、それを歪んだ笑みで覆い隠す。
    『僕はここから立ち去りたい。しかし、その為に君が邪魔だ。それでは、答えはひとつ。……君を殺そう』
     淡々と、数学の解答を導き出すようにして『ルコを殺して道を開く』ことをユエは選んだ。そして選んだと同時に目にも止まらぬ速さでルコの背後をとったユエのナイフが、ルコの背を切り裂く。ルコの目が見開かれ、ふらりと前へ傾いだ身体が床へと倒れた。
    「ルコ……! くっ……来やがれ、三番目の眷獣、黄金の獅子!!」
     床に倒れ伏し動かないルコへ駆け寄ろうとした央は、しかし踏み止まると溢れ出す怒りのままにユエへと飛びかかる。
    「ご安心下さい。傷は深いですが、ルコ様はご無事です。……けれど、そろそろ決着をつけると致しましょう。行きますよ、シュヴール」
     ルコの容体を確かめたヴォルフガングは、仲間達にその無事を告げながらユエを見据える。次の瞬間、ヴォルフガングの剣はユエの魂を斬り裂き、同時にシュヴールの斬魔刀はユエの肉体を斬り裂いた。
    「限界みたい、だね」
    『悔しいが、正解です。計算が正しければ、私の生存確率はもう1パーセント未満でしょうね』
     ユエの諦めたような言葉を聞きながら、茉咲はするりとユエの首にナイフを這わせる。力を込めれば皮膚は裂け、溢れ出すのはやはり赤い血。ユエはスーツを真っ赤に染めながら、床へ力なく膝をつく。
    「最後に教えて、センセー。……楽しかった?」
     茉咲の問いに、浅い呼吸を繰り返すユエは答えなかった。しかしその表情を見れば、答えは火を見るより明らか。キッカケこそ与えられたものだったが、自ら殺人を犯したユエが得たのは間違いなく喜びで。
    「……終わったね」
     やがてユエの瞳からは光が消え――その身体は床へと転がった。消えていくユエの身体を見つめ、ウサギはほっと息を吐く。無傷とはいかなかったが、それでもこの先ユエによって誰かが殺されることは回避できたのだ。
    「ああ……だが、まだ仕事は終わっていないぞ。次のターゲットは縫村針子……そして、カットスローター」
     アレックスはそう言うと、ユエという六六六人衆を生み出した元凶達に思いを馳せる。
    「仄暗い殺意をずっと胸に、生きてきたのだろうか。……よく今までヒトでいられたなぁと、思うよ」
     果たして、縫村委員会に巻き込まれなければユエはただの塾講師でいられたのだろうか。茉咲はユエのことを思い――しかし、小さく首を振る。
    「ルコ先輩と烏丸先輩の目が覚めたら……帰ろうか」
    「そうだな。……早く目が覚めるといいんだが」
     茉咲の言葉に央はルコを見下ろしながら答える。
     その隣で彩花は静かに教室の中を見渡すと――犠牲者達の遺体にそっと黙祷を捧げるのだった。

    作者:温水ミチ 重傷:ルコ・アルカーク(騙り葉紡ぎ・d11729) 烏丸・鈴音(カゼノネ・d14635) 
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月21日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
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