壊ス壊ス壊ス

    作者:高遠しゅん

     いつしか暗闇でナイフを振るうことが快楽になってきた。
     血のにおい、肉を斬る感触、苦痛の悲鳴がこんなに楽しいなんて。
     ここがどこなのか、何故こんなことになったのか。そんな事どうでもいい。
    「はは、あはは」
     誰かの笑い声。誰か、ちがう、あたしの声。
    「あああ!!」
     似たような暗い暗い目をした女が銃を向けてくる。撃つ前に声を上げるなんて馬鹿? 懐に飛び込み、腕をへし折って銃口を女の頭に向けてやる。
     鈍い音がして、スイカ割りみたいに頭が弾け飛んだ。
    「変なの」
     笑っていたら、肩に熱を感じた。中年男が似たような暗い暗い目をして、刀を振り回している。
    「ブチョウ、だっけ? どうでもいいや」
     カイシャで怒鳴られた気もするけど、そんな事はもうどうでもいい。どうでもいい。どうでもいい。
     熱い力が手の中に集まった。初めてだけど、今のあたしには使い方がよく分かる。
     吹き飛んで、壁にへばりついて壁画みたいになった男に、もう興味はない。
    『おめでとう』
     奈落の底みたいな目をした男の子が見えた気がした。
     とても気持ちがいい。生まれ変わった心地がした。


     教室の隅で待っていた櫻杜・伊月(高校生エクスブレイン・dn0050)の顔色が悪い。いつもは缶コーヒーが置かれている手帳の隣には、水のボトルが転がっている。
     灼滅者たちは言外に悟った。『酷いものを観た』のだと。
    「気にしなくていい。始めよう」
     それでも伊月は静かに手帳の頁を捲る。
    「六六六人衆、縫村針子とカットスローターが動いたようだ」
     学園の灼滅者の暗殺を指示した、高位の六六六人衆の名だ。
    「太古に蠱道または蠱毒と呼ばれる呪法がある。狭い空間に虫や犬猫を何十と閉じ込め殺し合わせ、最後の一匹を術に用いる。六六六人衆が儀式に人間を使えば、新しい六六六人衆が生まれる仕組みらしい」
     ひと息に水をあおる。
    「人間を浚ってきて閉鎖空間に閉じ込め、殺し合わせ、殺し尽くして出てくるのは、完全に闇堕ちした残虐な六六六人衆だ。だが出てきたばかりのタイミングであれば、配下もなくダメージも癒えていない。灼滅の機となる」
     印の付いた地図が広げられた。

    「浅倉・サオリ(あさくら・さおり)、25歳。小さな商社の事務員だった。上司からパワーハラスメントを受けていたようだが、おとなしい性格と職を失うことを恐れ、黙って耐えていた。闇堕ちしてからは、残虐な殺しに快楽を覚える殺人狂だ。閉鎖空間の中で20人を殺し、もう誰の声も届かない」
     救う術はない。人間の心は欠片も残っていない。
     血濡れたナイフを持ち、バトルオーラをまとい、殺人鬼のサイキックを使う。
    「場所は古いビルの地下駐車場だ。閉鎖空間が解除された時、つまり闇堕ちして間もない間であれば、まだ20%ほどダメージが残っている。それでも強敵には違いない。」
     伊月は手帳を閉じた。
    「強力な六六六人衆として、被害をまき散らす前に灼滅する。強制的に闇堕ちさせられた境遇は同情するが」
     時間を巻き戻すことも、彼女を人間に戻すことも不可能ならば。
    「灼滅が彼女の救いとなる」
     苦い表情で、言葉を切った。


    参加者
    虹燕・ツバサ(アルクスラーストチカ・d00240)
    水瀬・瑞樹(マリクの娘・d02532)
    槌屋・康也(荒野の獣は内に在り・d02877)
    ニコ・ベルクシュタイン(星狩り・d03078)
    松田・時松(女子・d05205)
    水走・ハンナ(東大阪エヴォルヴド・d09975)
    宮守・優子(猫を被る猫・d14114)
    六条・深々見(狂楽遊戯・d21623)

    ■リプレイ


     時刻、日が傾く頃。
     場所、古い商業ビル地区の外れ、ほとんどテナントの入っていない古い雑居ビルの、地下駐車場入口。人通りはほとんどない。上の方はマンションらしく、ベランダに洗濯物が揺れている。
    「……気に食わねぇな」
     槌屋・康也(荒野の獣は内に在り・d02877)は、缶おでんの串を缶に戻しながら呟く。
     磨り硝子のような半透明の壁が、広い車両出入り口をぴったり塞いでいる。試しに本気で蹴ってみれば、こちらの脚が痛かった。エクスブレインの言葉を思い出す。この結界が残っている間は、まだ内部で戦闘が行われているということだ。
     まだ内部に生きている『人間』がいるということだ。
    「さて、生き残ったのは幸運か不運か?」
     通りすがりの猫が逃げていく。宮守・優子(猫を被る猫・d14114)は少し残念そうにその背を見送りながら、ESPを解放し戦闘の音を遮断する。
     魂に六六六人衆の素質を持ち、縫村やカットスローターに目を付けられたのが運の尽きだったのか。それでも生き残り、六六六人衆に堕ちるほどの能力を持っていたことが幸運なのか。
     どちらにしてもこの事件で20人の人間が死ぬ。生まれる六六六人衆、浅倉・サオリの『人間』としての生は、ここで終わっているのだ。
    「ま、これも仕事だしね」
     懐中電灯をどうやって腕にくくりつけるか考えながら、水走・ハンナ(東大阪エヴォルヴド・d09975)は努めて明るく言うが、内心は穏やかでいられるものではない。
     縫村委員会。
     一般人を閉じ込め殺し合わせ、六六六人衆を生み出す儀式。
    (「六六六人衆らしい、激しく胸糞悪い手」)
     ハンナだけではなくほぼ全員が、そう断じる。
    (「『まだ見ぬ人々の命を救うため』とでも言えば」)
     少しはヒーローらしく聞こえもいいかと、松田・時松(女子・d05205)は胸中で独りごちる。相手は六六六人衆とはいえ堕ちたばかりで、事件を起こしてはいない。彼女はたぶん──不幸な被害者なのだ。
     曇っていてはっきりとは見えないが、閉鎖空間の壁の向こう側に、触れる手のようなものが見える。外の光だけは通すだろうここまで逃げてきて、恐らくは絶望のうちに殺された。ここさえ開けば逃げられると信じて、光に手を伸ばして、死んだのだ。
     周囲を見渡しているのは六条・深々見(狂楽遊戯・d21623)。
     戦闘中、六六六人衆が逃走することを考えて入口を塞げないかと考えたが。地下へ向かう車両口は横幅が広く、天井も高く造られており、車の一台や二台で塞げるものではない。やはり中から考えた方がよいだろうか。
     後どれくらいでこの空間は開くのか。
    「エクスブレインの情報の意味が、分かったな」
     こちらはビル内部から回り込み、地下駐車場への入口に着いた、虹燕・ツバサ(アルクスラーストチカ・d00240)とニコ・ベルクシュタイン(星狩り・d03078)。
    (「被害者とはいえ、相手はもうダークネス」)
     殺せるよ、と。唇だけで呟く水瀬・瑞樹(マリクの娘・d02532)。ライトの調子を確かめ、閉鎖空間の壁を睨み付ける。
    『ドアは開けられない』
     ここもまたすり硝子のような壁が、出口一面に蓋をしている状況だ。駐車場へ出る防火扉はドアノブのついていないタイプで、こちら側からは押すだけのドアだった。このままでは、扉に触れることもできない。
     ぼんやりと見える壁の向こうに、人がいる。不自然に身体をねじ曲げられた人間が地面に倒れ、重さで閉まるドアと閉鎖空間の壁の間に挟まっている。
     暗闇から脱出できるドアを見つけたときの歓喜と、開けた向こう側が壁で閉ざされていた時の絶望は、どんなものだっただろう。
    「速やかに送ってやろう」
     淡々と照明と武器の準備をするニコが、殺気の結界を展開する。ツバサは胸に拳をあて誓いを立てる。決して逃がさない、と。
     しばらく待っていると、ふと、全ての音が消えたような気配がした。
     閉鎖空間の壁が揺らぎ、元から無かったかのように消滅する。
     代わりにどっと流れ込んできたのは、吐き気がするほどの血の臭い。
    「あとでちゃんと弔うから、今はごめん」
     無念の形相の骸を越え、灼滅者達は暗闇へと飛び出した。


     所々豆電球のような誘導灯が点いてはいるものの、駐車場は広くて暗い。各々ライトを付けて駆け込んで見回しても、敵の姿が見あたらない。
     明かりに浮かび上がるのは、ただ放置されたような古い車両と、血に塗れた死体ばかり。
     駐車場の内部は広く、懐中電灯の明かりですべて照らしだすことは難しい。
     堕ちたばかりとはいえ、用心深い六六六人衆のことだ。飛び込んでくる明かりから咄嗟に身を隠すことは予想できた。向ける明かりがばらばらの方向では、どこかに必ず闇が残る。
    「入口塞ぐの、ちょっと無理かもねー」
     車両出入口から深々見が下りてくる。
     地下から地上へ出る車両出入口付近の地面には、ゆるやかに傾斜がついている。駐車している車両も少なく、四~五台の車をバランス良く積み上げでもしない限り、天井まで完全に塞ぐのは難しい。一人で短時間に終わらせられる作業ではなかった。
     ライトに浮かび上がる死体を痛ましく思いながら、捜索を続ける。優子のライドキャリバーもヘッドライトを付け、ゆっくり辺りを照らし出す。
     『非常口』と書かれた緑のライトが明滅する入口から、ニコとツバサが出てきた。瑞樹も捜索に加わる。
     ニコの小さなライトの誘導で、ツバサは近くの車両を持ち上げ、非常口に立てかけて塞いだ。ついでに非常口の表示灯を叩き壊す。六六六人衆相手には紙切れ一枚程度の効果しかないかもしれない。だが、しないよりはマシだと──
    「背中、がらあき」
     ツバサの周囲を意識するニコの耳元に生臭い吐息がかかった。
     同時に感じる熱。腹から覗くのは鋭利なナイフの切っ先、喉の奥からこみ上げてくる血の味。ぐじゅり、と捻るように引き抜かれたナイフの傷から、壊れた蛇口のように血が吹き出す。急速な失血に指先が凍っていくのが分かった。手の中から小さなライトが落ちて転がる。
     油断していたわけではない、作戦の隙を突かれた。ニコは無意識に舌打ちする。
    「時松、止血だ!!」
     ツバサが叫び、気付いた全員がライトをニコに向ける。
     長めの黒髪を1つに結んだ地味な女だった。会社の制服だろう白いブラウスと、グレーのベストにタイトスカートは、元の色が分からぬほど血に濡れている。
     壊れた笑みを浮かべ、背の高いニコの後ろから抱きつくような仕草で首筋にナイフを滑らせ、灼滅者達を眺めていた。
     もっとも治癒能力の高い時松は防護符を手挟むが、女がどんな行動に出るか予想が付かないため、動くことができなかった。
     浅倉・サオリ。堕ちたばかりの六六六人衆。『標的』。
    「親切に照らしてくれてさ、隠れるのに助かったよ。あんた達、なに? あんたもあたしを殺しにきたの?」
    「……ニコを、離せ」
    「ま、いいよ。どうせ」
     みんな死ぬんだから。
    「避けろ」
     囁きを聞いたニコは、出血にかまわず身をよじり投げ出す。零距離のオーラキャノンが脇腹を灼いた。
    「ぶっ飛ばす!!」
     時松と深々見がニコの手当てに向かったのを確認し、康也と優子が呼吸を合わせて駆け、優子のライドキャリバーのガクがエンジンの唸りを上げた。
     標的を正面に捕らえた機銃掃射で足止めをかけ、康也が盾を叩きつけると同時に、優子が伸ばした影が猫のように影を伝って音もなくサオリに絡みついた。
    「巻き込まれた心中はお察しするっすよ」
    「そんな気、ないくせに」
     サオリは吐き捨て、絡む影をナイフで一閃した。酷く暗い暗い目をして地面を蹴り柱を蹴り、ライトから身をかわしながら距離を取る。足元を捕らえたと思えばするりと抜け、正面に来たと思えば真横に消える。
     闇の中のライトは、自分たちがどこにいて、どちらを向いているかという目印になるのだ。暗闇の中で戦い抜いて生まれた六六六人衆が、それを利用しない手はない。地の利は敵にある。
    「捕らえた」
     駆けていた瑞樹が、サオリの脚を影業で絡め取る。鎖の形をしたそれを断ち切ろうとした、ナイフに己のナイフを向ける。
    「あなたは被害者。でもここから出す事はできない」
     だから、殺し合いましょう。
     弧を描いて振り抜かれたナイフが炎を纏う。切り裂かれた胸元に点いた炎は、サオリが手で払うと消えてしまった。刃と刃が火花を散らす。
    「ガキの遊びに付き合うなんてまっぴら。あたしは、ゲームに勝ったのよ!」
     鋭く突き出されたナイフが、瑞樹の目を狙う。咄嗟に避ければ、頭部に着けていたライトが割られた。視界の悪くなった隙に、サオリは再び地面を蹴った。
    「出口を、塞いで!」
     叫びはツバサとハンナに届く。見えなくてもいい、先回りして出口に立ち塞がる。
     外からの光が届く場所まで二人は後退した。ここを抜かれたなら任務は失敗だろう。序盤の作戦の認識がわずかにずれ、先手を取れなかったことが響いていた。
    「出でよ、灼滅の精霊よ!」
     ハンナがかき鳴らすバイオレンスギターの音が、塊となってサオリにぶつかる。畳みかけるように、真紅の逆十字が顕現する。
    「飛燕十文字切り!」
     ツバサのギルティクロスに足をふらつかせ、暗闇に逃れようとした時。
     立て続けに撃ち込まれる冷気の槍に、足元を貫かれる。風を切る音を立てた影が後方から伸び膝裏の腱を断ちきり、清めの風が削がれた体力を回復させていく。
    「さっきはどうも」
     流星の銘持つ槍を肩に、ニコがぼそり呟いた。影を収めた深々見と、ニコの応急手当を終えた時松も立っている。
     サオリはけらけらと笑った。いかにも愉しそうに。


    「あんたら一人じゃ何もできないのかい、寄ってたかって虫けらみたいにさぁ!」
     どす黒い殺気がサオリを取り巻いた。息詰まるほどの殺気は前衛達を巻きこみ、隙を突いてサオリは光の方へ地面を蹴る。エンジン音を高くしたライドキャリバーが突っ込むが、ナイフの一閃がエンジンを貫いた。
    「ねーさん、途中で逃げるとか無いっすよねぇ?」
     黒狼と名付けたクルセイドソードを構えた優子が軽く問えば、
    「つきあう義理なんかないよ」
    「まあ、そりゃそうっすね」
     破邪の白光放つ聖なる剣に貫かれ、光に顔を歪めたサオリは高く跳ぶ。外の光は見えている。あと10mも先に、行けば。
     ここから出られる。
     そうすれば、自由だ。
     何もかもから解放される、自由だ。
     そこを瑞樹の異形化した利き手が襲った。鬼と化した手がサオリに掴みかかる。
    「もう、どうしようもないから」
     サオリには外の光しか見えていない。振り下ろされた鬼の拳は細い体の中心に炸裂し、くの字に折れ曲がって暗がりに吹き飛ばされる。柱にぶつかって止まってもなお、サオリは前を見た。
    「あたしの、邪魔をするんじゃないよ! 餓鬼がァ!!」
     ハンナが邪魔な懐中電灯を放り投げ、低い位置から剣を構えた。
    「来なさいよ。その運命、浄化してやるわ!」
     続けざまの銃声。必死に逃れるも追尾する銃弾はサオリの四肢を貫き、赤黒い液体を噴き出させる。
    「……何よ、あたしが悪いの。殺さなければ、こっちが殺られたんだよ!」
     ずるりと立ち上がる。血のようなものは全身を染めている。
    「あたしが死ねば、あんたらの気が済むのかい。あたしが死ねば!」
    「ん、その後に興味がないわけじゃないけどねー」
     深々見が槍を向ければ、幾本もの妖気の氷柱が宙に生み出される。一振りした槍先で氷柱はサオリに先端を向け、一瞬でその身体を貫いた。
     サオリの口から赤黒いものが飛び散った。
    「……ど、して……いつも」
    「悪いが、割り切ってほしい」
     ニコの静かな声と共に、妖気の氷柱が飛来する。幾本かナイフがはじき返したものの、サオリのナイフさばきに、先刻までの鋭さはなかった。
    「ころしてやる。殺して……あいつらみたいに、殺シテ……」
     強靱な体力で、崩れそうになる身体を支えて走り出す。あと少し、もう少しで光の下に、
    「出してやれないんだ。ごめんな」
     時松の低い呟き。放った神薙ぎの刃は浅くサオリの肌を削る。ほとんどはナイフにはじき返されたけれど、それで充分だった。
    「人殺しを楽しむ奴とは分かり合えねぇよ」
     掲げる紅陽・烈火轟拳。高く跳んだツバサのバベルブレイカーが、サオリの纏うバベルの鎖を穿ち抜く。衝撃で床に叩きつけられた身体が、ずるりと光に向かって這うように動く。
    「あたしは……!」
    「てめーの好きにも、アイツらの好きにもさせねえ」
     康也の影が狼を模して疾走する。
     狼の群れとなった影に喰らわれ、サオリは絶叫した。
     耳を塞ぎたくなる、ひどく人間じみた声で。
     そうして、沈黙が下りた。


     ほとんど原形を留めていないサオリの身体は、奇跡的に顔だけが人間のかたちのまま残っていた。そこに傾いた夕陽の、橙色の光が落ち、眩しそうに目を細める。
    「……あたし、なんで……しぬの」
     体液の雫が頬に涙のようにこぼれ落ちる。全てを諦めきった瞳だった。
    「いいや……もう、ぜんぶ、どうでも……」
     ぐ、と体液を喉に詰まらせ。
     それきり、身体の端から赤黒い粘液となってアスファルトに染みていく。
     跡にはなにも残らなかった。

     日が落ちる。
     駐車場の遺体は、そのままにしておくしかない。
     人間がいつか見つけて騒ぐだろう。地方新聞の片隅に載るか、下世話な週刊誌の吊り広告を飾って、猟奇事件とでも言われて事件は終わる。人の記憶には残らない。
     灼滅者達はサオリの消滅を見届けた後、その場を後にした。
    「殺して救いなど……あるものか」
     ツバサは小さく呟く。全てを諦めきった、あの瞳が忘れられない。『人』を殺した気分にさせる。
    「最期の憂さ晴らし……か」
     ニコは足元の小石を軽く蹴る。
    (「……クソが」)
     抉られた腹の傷はまだ痛むけれど、割り切るしかない。灼滅者とはそういうものだと。

     口を開くものはもういない。
     ひどく底冷えのする夜になりそうだった。
     
     

    作者:高遠しゅん 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月21日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
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