彼らは二度死ぬ

    作者:日向環


     眠らない街・新宿。
     終電がなくなるまで同僚達と遊び歩いていた中年のビジネスマンは、仮眠の取れる場所を探して、一人、ふらふらと歩いていた。
     冬の夜は冷える。深酒をしていたこともあり、情けなくも尿意を催していた。
     酔っているときというのは、色々と歯止めが利かないものである。人目がないのをいいことに、自動販売機の陰でちょうと用を足す。
     ほう、と一息を吐いた直後、背後に何かの気配を感じた。
     振り向くと、ゆらゆらと頼りない足取りの青年が、虚ろな目でこちらを見詰めていた。
    「おや、お兄さんも? どうぞどうぞ」
     中年のビジネスマンが場所を譲る。自分と同じ用事だと思ったのだろう。
     だが、その青年は「人間」ではなかった。いや、かつては「人間」だったもの。
     今は、「アンデッド」と呼ばれる存在になっていた。
     アンデッドは、中年のビジネスマンが自分の横を通り過ぎる瞬間、その首を斬り裂いていた――。


    「病院勢力の灼滅者の死体を元にしたと思われる、アンデッドの出現を確認したのだ」
     場所は、これまで確認された灼滅者のアンデッドたちと同様に、新宿だ。
    「非道いことをするやつがいるのだ……」
     木佐貫・みもざ(中学生エクスブレイン・dn0082)は、表情を曇らせた。
     殲術病院を守るべく、散っていった灼滅者たちを、アンデッドに変えた者たちがいる。
    「これまで確認された事件と同じで、彼らは新宿で何かを探しているようなのだ」
     だが、それが何なのかは、未だに分かっていない。
    「普段は人目を避けて活動してるんだけど、運悪く、酔っ払ったサラリーマンのおじさんと出会してしまうのだ」
     それを阻止する為、その前に灼滅者のアンデッドを灼滅して欲しいと、みもざは言った。
    「灼滅者のアンデッドは、全部で3体なのだ。新宿の中央公園の近く、この辺りに潜んでいるのだ」
     みもざは、タブレットPCで呼び出した新宿近辺の地図を、小型のプロジェクターを使用してホワイトボードに映し出した。地図の一部分を、赤い丸が囲っている。
    「赤い自動販売機が目印なのだ。おじさんは2時頃になるとこの辺りにやってきちゃうので、みんなはその前に現地に行って、自動販売機の前をうろうろして欲しいのだ」
     別に予測のおじさんの行動と同じく、自動販売機の陰で用を足す必要はない。そもそも、そんなことは禁止である。
    「出現する灼滅者のアンデッドは、あの時に救援に行った殲術病院で戦死した人たちなのだ。平井って人なのだ」
     武蔵坂学園の灼滅者たちがノーライフキングの斗中居・賛汰と戦っている間、病棟の入り口を死守し、散っていった青年だった。
    「平井って人は殺人鬼だったみたいなのだ。だから、姿は人間のままなのだ。バベルブレイカーを武器にしているようのだ」
     残りの2体は両方とも、イフリート形態を取っているという。
    「灼滅者のアンデッドは、普通のアンデッドよりちょっと強いのだ。だから、3体しかいなくても、油断してはいけないのだ」
     信じるものの為に戦い、命を落とした灼滅者のアンデッドたち。思うところはあるだろうが、彼らを救うには灼滅しか手はない。
    「今度こそ、ゆっくりと眠らせてあげて欲しいのだ」


    参加者
    ミカエラ・アプリコット(弾ける柘榴・d03125)
    羽守・藤乃(君影の守・d03430)
    神虎・華夜(天覇絶槍・d06026)
    セーメ・ヴェルデ(煌めきのペリドット・d09369)
    雨宮・恋(かみかみヒーロー・d10213)
    立川・春夜(花に清香月に陰・d14564)
    廣羽・杏理(トリッククレリック・d16834)
    干潟・明海(有明エイリアン・d23846)

    ■リプレイ


     真冬の夜は、しんしんと冷える。
     エクスブレインが予測した時間が迫っていた。
     目印となる赤い自動販売機の周辺に、灼滅者達は分散して待機していた。
     何もせずに自販機の周りにいてはかえって不自然かと、立川・春夜(花に清香月に陰・d14564)はコインを入れてジュースを購入する。買ってしまってから、この寒い中冷たいジュースはないだろうと、キンキンに冷えた缶を見つめ、自嘲気味に笑った。
     少し離れた位置から、クスリという笑い声が聞こえた。見ると、羽守・藤乃(君影の守・d03430)が気の毒そうな視線でこちらを見ていた。
     入れ替わるようにして、干潟・明海(有明エイリアン・d23846)が自販機に近づく。自分も飲み物でも購入するかと、財布を探していると、
    「来た!」
     と言う仲間の声が耳に届いた。
     サウンドシャッターを展開しつつ、街灯の灯りが不充分な場所に用意したランタンを置きつつ、廣羽・杏理(トリッククレリック・d16834)が駆け寄ってきた。
     物陰に身を潜ませていた他の仲間達も、すぐに駆けつけてくる。
     夜の闇の中をゆらゆらと移動してくる3つの影が見えた。1つは人間のようなシルエット。あとの2つは、大型犬のようなシルエットだ。
     かつては殲術病院の灼滅者だった者達。病院が危機に陥ったあの日、防衛戦にて命を落とした人造灼滅者達だ。そんな彼らを、アンデッドとして甦らせた者達がいる。何のためにそんなことをしたのか、目的は分らない。そして、何故アンデッド達の出現が新宿に集中しているのかも、今は不明だった。
    (「死を愚弄する所行…。決して、許しません」)
     迫ってくる彼らを真っすぐに見つめたまま、藤乃は唇を噛んだ。
    「……っ」
     ミカエラ・アプリコット(弾ける柘榴・d03125)の小さな体が、激しい怒りで震えていた。ミカエラは彼を知っていた。短い時間だったが、共に戦った仲間。武蔵坂学園から救援にきてくれた者達を援護する為、命を散らせた青年。
    『死なんで下さい』
     武蔵坂学園の灼滅者から掛けられたその言葉に、悪ガキのような小憎らしい笑みを浮かべて応えた青年。
    「また、会えた! あたいのこと、わかる?」
     街灯の灯りが、青年の顔を照らした。ミカエラが声を掛けたが、無論、青年は何の反応も示さない。
    「平井の兄ちゃん! 見てよ、これ」
     ミカエラはバベルブレイカーを掲げてみせた。病院の灼滅者達が使っていた武器だ。彼らの合流によって、武蔵坂学園の灼滅者達も、同じ武器を使用できるようになっていた。だから今日は、敢えてこの武器を選んだのだ。
     しかし青年――平井は、虚ろな瞳で彼女を見つめるだけだった。アンデッドと化してしまった彼は、もうミカエラのことが分からない。
    「…わかんないよね。やっぱり」
     落胆したように、肩を落とした。分かっていたことだが、現実として突き付けられると胸が締め付けられる想いだった。
    「初めましてで良いのかしら?」
     神虎・華夜(天覇絶槍・d06026)はや挑戦的な口調を向ける。
    「悪いわね。貴方達に罪は無いのに、二度も殺しちゃうなんて…」
     平井の虚ろな目が、華夜の姿を捉えた。どうやら、目の前の集団を敵だと認識したらしい。アンデッドらしからぬ機敏な動きで、彼らは迫ってきた。
     イフリートの姿をした人造灼滅者のアンデッドが、青年を守るように前へと出てくる。
     迎え撃つべく、雨宮・恋(かみかみヒーロー・d10213)も前に出る。アンデッド達の姿が、視界に飛び込んでくる。その痛ましい姿に思わず目を背けそうになるも、恋は唇を噛み締め、視線を逸らすようなことはしなかった。向き合わなければならない。それが、遺された者の勤め。
    (「……生命無き者の王共……。僕の家族の命を蹂躙し、今尚安らかに眠るべき命を弄ぶ……。 ……絶対に、許さない……」)
     セーメ・ヴェルデ(煌めきのペリドット・d09369)は、ゆっくりと愛用の純白の十字槍を構えた。
    「皆さん! 驚かないでくださいね!」
     干潟・明海(有明エイリアン・d23846)が大声をあげた。人造灼滅者である彼女は、力を使うためにダークネス形態を取ることを、事前に仲間達に説明していた。
    「…いきます! 変身! ワラスボガール!」
     明海の体が、ぐにゃりと変形し、異形のモンスターの如き姿に変わった。かの有名SF映画に登場する異星生物によく似ている。余談だが、ワラスボとは有明海にのみ分布しているハゼ科に分類される魚である。因みに、食べられるらしい。
     その姿を見た瞬間、杏理は無言のまま僅かに仰け反った。
     明海(ワラスボガールバージョン)が杏理に顔を向け、口元を歪めた。笑いかけてくれたつもりなのだろうが、ちょっと怖い。杏理の表情が引き攣っている。
    「この角度からなら…少し、かわ…いえ、愛嬌が…ある、かしら……」
     真後ろに回り込み、明海(ワラスボガールバージョン)の姿をまじまじと観察する藤乃。星明かりを受け、ワラスボガールの体がぬらぬらと光っている。
    「見た目で、何だかんだと言われる事が多いみたい……だけど……。唐揚げとか刺身にすると美味しいらしい、ね……?」
     セーメは事前に予習をしてきた。……じゅるり。見つめていたら、何故だか分からないが涎が出てきた。
    「……自信持って良いんじゃないかな……?」
    「??」
     生命の危険を感じて、ワラスボガールはセーメから少し距離を取った。
    「わらすぼー!」
     ミカエラは大喜びだ。さっきまでのシリアスムードが、完全にどこかにいってしまった。
     そんなことはお構いなしに、3体のアンデッド達が攻撃を仕掛けてきた。
    「光あれ」
     杏理はスレイヤーカードを解放する。
     2体のイフリートが、口から炎を吐き出す。炎に一瞬怯んだ灼滅者達の中へ、平井が突っ込んできた。狙いもそこそこに、黒死斬を放つ。
     その黒死斬を春夜が受け止める。
    「アンタらに人殺しなんてさせねえよ」
     その為に、自分達はここにきた。
    「これは灼滅ではありません。ただ…貴方がたに安らかな眠りを…」
     和んでいた心を、藤乃は引き締める。
    「お出でなさい、鈴媛」
     藤乃の声に応え、「鈴媛」が実体化する。
    「さっ、燃やしてあげるわ。悲しみを全て灰にしてあげる」
     華夜が2体のイフリート目掛けて、ゲシュタルトバスターを放った。
    「もしかしたら今一緒に戦えてたかもしれねえ相手。だからこそ、ちゃんと眠らせてやらねえとな…」
     春夜が呟く。それは、この場にいる皆の共通の想いだった。


     アンデッドとはいえ、さすがは元灼滅者。これまで戦ってきた一般人がアンデッド化した固体より、明らかに手強い相手だった。獣化している2体のイフリートは、更に強力な印象を受けた。
     セーメがイフリート達の攻撃力を削ぎ落とそうとセイクリッドクロスをお見舞いしたが、期待する効果を得られない。逆に、レーヴァテインの反撃を食らった。セーメの体を包んだ炎を、杏理の風が吹き飛ばしてくれた。
    「神命、味方のフォローよ!」
     華夜の指示を受けて、霊犬の荒火神命が平井と対峙する。邪魔なイフリートを先に倒し、その後平井と対峙する。それが彼らの今回の作戦だった。荒火神命は平井を抑えるべく、からの前に立ちはだかった。
     生前のフォーメーションなのだろうか。2体のイフリートは平井を守るように布陣していた。灼滅者達の攻撃から、平井を守る盾として行動している。なので、平井を攻撃する為には、2体のイフリートが邪魔なのだ。
     春夜の放った除霊結界、藤乃と杏理のフリージングデス、華夜のゲシュタルトバスター、明海のコールドファイアが立て続けにイフリート達に叩き込まれた。さしものイフリート達も、このバッドステータスの応酬を食らっては無事ではすまない。
    「天誅を。……裁きの槍をその身に受けよ」
     セーメが向かって左側のイフリートに、渾身の力を込めて螺穿槍を炸裂させた。
     ワラスボガールがビームを放つ。ワラスボの集団が大挙して押し寄せるかのようなそのビームは、即ちワラスボビーム! 集中攻撃の合図だ。
     イフリートは炎の翼を噴出させて傷の治療を行おうとするが、それよりも先に恋の龍骨斬りが直撃する。呻くように喉を鳴らすと、左側にいたイフリートは動きを停止させた。体を包んでいた赤い炎が、次第に小さくなっていく。
    『ごおおおっ!!』
     イフリートが咆哮をあげる。闘志を剥き出しにして、灼滅者達に襲い掛かってくる。それでも、戦略性に乏しい攻撃では、灼滅者達に痛手を与えることはできない。
     逆に集中攻撃を受け、あえなく撃沈してしまった。恋の向ける哀れみの視線の中、悲しげな悲鳴をあげながら事切れていくイフリート。
     杏理は自らの心を静めるべく、小さく深呼吸する。残るは平井ただひとり。いや、かつて平井と呼ばれた灼滅者だったもの。
     仲間が倒されたというのに、平井の様子に変化はない。感情の一欠片も残っていないようだ。
    「貴方が誰であれ、もう未来は無いのよ」
     華夜が、静かに語り掛けるような口調でそう言った。平井を抑えるために奮戦していた荒火神命が、ボロボロになった体を引き摺るようにして主人の元に戻ってきた。華夜は労うように、その頭を撫でてやる。
    「兄ちゃん……。待ってて。止めてあげるから!」
     僅かに鼻を啜ったのち、ミカエラは努めて明るく、そう言い放った。笑顔を作ろうと思ったが、少し強張ってしまった。泣かないと決めているのだ。この戦いが終わるまでは。


     目の前にいる者が誰かも分からず、平井は必殺のティアーズリッパーを放った。
    「……!」
     唇を噛み締め、ミカエラはその痛みに耐える。
    「平井さん達の想いは、私達が継ぎますわ。だから、もう…! もう、休んでください」
     もういい。貴方は充分に戦った。藤乃は語り掛けた。
    「…もう、休んでいいんだよ? だって、あなたはもう、充分戦ったんだから」
     恋はミカエラの姿を見、そして今は異形化している明海に視線を向ける。
    「貴方が守ろうとしたものは、ちゃんと、残っているから、だから、だから、どうか、安らかに、眠ってください。もう、戦わなくっても、誰かを傷つけなくっても、いいんだよ…」
     恋の言葉が流れる中、平井はただひたすら灼滅者達を攻撃し、灼滅者達からの攻撃を受け止める。まるで、戦うことが自分の存在意義であるかのように。
    「別の場所ですが、僕も殲術病院の戦いには参加していたんです」
     だから、始めたことは最後まできちんと終わらせたかった。それが、杏理の想い。
    「貴方達の守りたかったものは、生き続けている。だから、もう傷つかなくていいんだ。これ以上、ただつらいだけの戦いなんて続けなくてもいい」
     悪い夢なんだ。貴方は今、悪い夢を見ているだけなんだ。夢から覚める時間がきた。あとは、安らかな眠りを。
     脆くなっていた平井の左肩が崩れた。右手は肘から先が失われ、右足は大きくひしゃげていた。それでも平井は向かってきた。
     きっとあの日も、こんな風にボロボロになりながらも、敵に立ち向かって行ったのだろう。救援に来てくれた者達が安全に戦えるように、増援を食い止めるために。
    「やめろ! もういい」
     平井の放った殲術執刀法を、春夜は無敵斬艦刀で弾いた。血のような緋色のオーラが弾ける。
     平井はもう殆ど戦えるような状態にはなかった。最後のあがきのように、どす黒い殺気を放出する。
    「ごめんなさい…! でも、でも、わたしに、できることは、もうこれしか……ごめん、なさい」
     恋の放ったバニシングフレアが、平井の力を奪っていく。
    「平井さん達…伝わってますか? 見えてますか? 私達、武蔵坂学園という純粋灼滅者組織と一緒に戦ってるんですよ! 無事な人達もいっぱいいて、どんどん合流して来てます! …ですから、安心して下さい!」
     人間形態へと戻り、明海は平井に想いを伝えた。平井だけではない。あの時散った、全ての病院の仲間達へ、その想いを届けたい。貴方達が命懸けで守ったものは、今ここで新たな仲間と共に歩み出している。
     ミカエラがゆっくりと歩み出た。腐って半ば崩れかけている平井の顔を見上げる。
    「あのとき、早く戻れなくてごめんね。助けてくれて、ありがとう。会えて、嬉しかった」
     諸事情により、この場に来ることが叶わなかった、あの日一緒に戦った仲間達の想いも伝えなければならない。
     彼女の言葉が分かるはずもない。だが、平井は虚ろな目を彼女に向けた。あの時の笑顔がダブって見えた。そう思った瞬間、平井の顔がぼやけてしまった。泣かないと誓ったのに、でも――。
    「今度こそ、バイバイ……」
     仲間達が成り行きを見守る中、精一杯の笑顔を浮かべて、ミカエラはバベルブレイカーを振り上げた。


     夜空に浮かんだ月は、憎らしいくらいに美しかった。
     彼らの遺体を手厚く葬ってあげたかったが、急速に崩れていく彼らの体を運ぶことは叶わなかった。
     可能な限り掻き集めて、中央公園の土の上に振り撒いた。冷たいアスファルトの上ではなく、せめて暖かな大地へ。
    「お疲れさん」
     春夜は買っておいたジュースをそっと添えると、黙祷した。
    「平井さん達の奮戦があってこそ、私達の仲間は無事でした。貴方がたの死を…無駄にはしません。だから…どうか、安らかに」
     藤乃も黙祷する。
    「私達が背負うわ。あなたの描いた夢を…おやすみなさい」
     華夜も言葉を添えた。
     恋も、セーメも手を合わせる。
     杏理が十字を切った。
    「皆さんの戦いが、武蔵坂学園との縁を紡いだんだと思います。ありがとうございました、ゆっくり眠って下さいね」
     明海は手を合わせた。
    「あたい達、病院のみんなと一緒に、これからも頑張るよ!」
     さっきまで大声を上げて泣いていたミカエラは、ようやく落ち着いたようだ。
     自動販売機のところまで戻ると、酔っ払ったおじさんが千鳥足で歩いてくるのが見えた。
    「おお、青少年! こんな時間にうろうろしてると、お巡りさんに補導されますよー」
     陽気に声を掛けてきた。
    「呑気なもんだぜ」
     春夜が肩を竦めた。目の前にいる少年少女達が、自分の命を救ってくれたのだということを、このおじさんが知ることは永遠にない。
    「おおっ。ぶるっときた。ちょっと、失敬」
     そそくさと、自動販売機に向かうおじさん。
    「ああ! 待ってください」
     恋が思わず止めに入ると、
    「お嬢ちゃんも一緒に、連れションか?」
     おじさんはニタニタと笑った。迷惑なただの酔っ払いである。
    「公園に公衆トイレがあるはずです」
     杏理が中央公園の方を示した。
    「おじさん、そこまで我慢して!」
     明海とミカエラがおじさんの背を押し、セーメが先導する。
    「ま、待って。出そう。うえっ」
    「え、そっち!? どっちも我慢してー」
     灼滅者達は、おじさんと共に公衆トイレを目指すのだった――。

    「ひっく。うげっ」
    「ぎゃーーーっ!!」
     え……?

    作者:日向環 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月22日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 3/感動した 2/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 4
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