●巨大化チョコ強奪作戦
北国、札幌。その中心街……の外れにひっそりと佇む、とある倉庫でのこと。あちこちから、大きなダンボール箱を背負った幾人ものアヤシイ人影が現れては、続々と中へと消えていきます。
「……ククク。計画は実に順調のようだな。巨大化チョコの力で、この日本を手中に収める日も近い……そしていずれは、世界を我らの手にっ!」
倉庫の中では、更に輪をかけてアヤシイ人……人? いえ、怪人です! 香ばしい焼きとうもろこしの香りを漂わせる怪人が、大量に運び込まれたチョコの山を前に、不敵な笑みを浮かべているのです。
あたりでは、配下のコサック戦闘員たちが慌しくチョコを運び込み、せっせと山に積み上げていきます。
「ククク……このロシアン焼きとうもろこし怪人が、我らがロシアンタイガー様を、ご当地幹部の頂点へと押し上げて差し上げるのだ! ククク……って、あ、コラ! そんなとこに積んだら崩れるっしょ! そこのお前はチョコ踏んでる! 踏んでる! 食べ物を粗末したらバチが当たるべや!」
……何だか、面倒な事態が絶賛進行中のようです。
●強奪阻止!
「先日の事件では、お疲れ様でした。皆さんのおかげで、バレンタインデーのチョコを狙ったご当地怪人たちによる事件は、無事解決されたようです」
五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)はそう言って、灼滅者たちに向かってふんわりと頭を下げます。
でも、頭を上げた姫子はすぐにちょっと困ったような表情を浮かべて、
「ただ……実は、先日の事件は囮だったようで。ご当地怪人たちの本当の狙いは、別のところにあったみたいなんです」
先の事件の中では、一部のご当地怪人がチョコを食べて巨大化する……という、えっマジで? 冗談でしょ? カンベンしてよ~。というケースがいくつかありました。そして実は、この『巨大化チョコ』こそが、ご当地怪人たちの本当の狙いであったと言うのです!
「彼らに大量の巨大化チョコレートを入手されてしまったら、大変なことになります。今からでは遅いかも知れませんけれど……それでも、できるだけ阻止して欲しいんです」
姫子は、実に申し訳無さそうな表情で、灼滅者たちを見回します。
「皆さんに行っていただきたいのは、札幌にある、とある倉庫です。敵は、ロシア化した札幌焼きとうもろこし怪人と、20人程度のコサック戦闘員です」
倉庫は、普通の道路に面しているので外にはそれなりに人通りがありますが、中に入って搬入口のシャッターを下ろしてしまえば、それほど人目を気にすることは無さそうです。
「ロシアン焼きとうもろこし怪人は、マジックミサイルのように焼きとうもろこしを飛ばしてきたり、ご当地パワーを用いたサイキックを使用するようです。コサック戦闘員たちについては、バスターライフルのような銃器で武装しているようですね」
続けて姫子は、現場の状況について触れると、
「今回は、配下の戦闘員たちの数が多いことに加えて、ご当地怪人がチョコを食べて巨大化する……ということが考えられます。正面から戦いを挑んでも、勝ち目は薄いはずです……。ですので、方法としては、『戦闘員たちがチョコ集めのため外に出ている隙を狙って、ご当地怪人を灼滅する』、『外に出ている戦闘員たちを先に攻撃して戦力を減らしてから、ご当地怪人へ挑む』、といったことが考えられますね。また、今回の目的はあくまで巨大化チョコレートを彼らが入手することを防ぐことにありますから、『戦いを避け、隙を見てチョコレートを盗み出す』方法もあると思います。ただ、既にものすごい数のチョコが集まっていますから、全部を盗み出すというのは難しいでしょうけれど……」
チョコを攻撃して壊してしまう、なんてもったいない方法もあるかも知れませんが、それでチョコから巨大化する力が失われるのかどうかは分かりません。と、姫子は最後に付け足しました。
いずれにしても、灼滅者たちがリスクを負うのは避けられないようです。でも、怯んでなんていられませんよね? そう、だって皆さんは、武蔵坂学園の灼滅者なんですから!
「巨大化したご当地怪人は、とても強大です。皆さん、十分に気をつけてくださいね?」
一通りの説明を終えると、姫子は心配そうな顔で、もう一度灼滅者たちにぺこりと頭を下げるのでした。
参加者 | |
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終夜・玲(気だるいマージナル・d01022) |
皆守・幸太郎(微睡みモノクローム・d02095) |
草壁・悠斗(蒼雷の牙・d03622) |
住矢・慧樹(クロスファイア・d04132) |
北逆世・折花(暴君・d07375) |
鏡・エール(冥狂死睡・d10774) |
備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663) |
神子塚・湊詩(藍歌・d23507) |
●突入!
「では、更なる巨大化チョコ確保のため、チョコを買い集めてくるのだ! ……あ、ちゃんとお金は持ったな!? 余ったら、ちょっとくらい自分のおやつを買っても構わんからな。ロシアンタイガー様には、内緒だぞ?」
と、甘い匂いと香ばしい匂いが渾然として漂う倉庫の中へ、大きな声が響き渡ります。ロシアン焼きとうもろこし怪人は、倉庫に残っていた最後のコサック戦闘員たちを優しく送り出すと、満足げな表情で……頭が焼きとうもろこしなので良く分かりませんけれど、ともかく、どっさりと積まれたチョコレートの山を前にして、にやりと笑うのでした。
……そして。そんなご当地怪人を、物陰から観察する小さな影が一つ。
猫に姿を変えた備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)は、倉庫内へ怪人の奇妙なシルエット以外に人影が見当たらなくなったことを確認すると、地面に置いた携帯電話のボタンを、肉球のついた可愛い前足でたしっ、たしっとちょっと苦労しつつも何とか押し、仲間へと連絡を飛ばします。
「……今ので、20人。情報によれば……これで戦闘員は、ほとんど出払ったはず、だよ」
倉庫近くの物陰に身を潜め、大事そうに握りこんだ財布を抱えて出て行く戦闘員たちの人数を数えていた神子塚・湊詩(藍歌・d23507)が、ゆっくりとした口調でそう告げます。
「よし。そんじゃ、そろそろ鎗輔サンから連絡が入るはず……お。噂をすればってやつだな!」
住矢・慧樹(クロスファイア・d04132)は、ハンズフリーに設定していた携帯電話がポケットの中で少し震えた後に、聞こえてきた、にゃ~ん。という声に、サムズアップで仲間たちへゴーサインを伝えます。
「きっ、貴様らは灼滅者! おのれ、さては我が配下たちが崇高なる任務へと赴いてゆくのを、見計らっておったな!」
びくり、と派手に仰け反りつつも、怒りをあらわにするロシアン焼きとうもろこし怪人の前へ、一匹の小さな猫が小走りに進み出ます。それは見る間に姿を変え、
「そういうこと。……それにしても、これだけチョコ食べたら、血糖値が凄いことになるよね。怪人にも、健康診断ってあるのかな?」
「ええい、余計なお世話であるッ!」
素直な疑問を口にした鎗輔に、焼きもろこし怪人は唾を飛ばしながら返答します。
何だかいまひとつ緊迫感がありませんが、相手は強力なダークネスであるご当地怪人。油断は禁物です。
「いやあ、流石に、この季節の札幌は結構寒いね……」
ぱきり、と板チョコなどかじりつつ、仲間と共に倉庫へ入ってきた鏡・エール(冥狂死睡・d10774)は、ほうと白い息を吐きながらしみじみと言うと、
「チョコレートの独り占めは、いただけないなぁ、怪人さん。悪いけど、返してもらっちゃうからね?」
「ぬぬぬぬ、不埒な小童どもめ! やれるものならやってみるが良いっ」
宣言したエールに、ぴーっ、と赤くなった焼きとうもろこし怪人の頭から、ぽんっぽんっ、といくつかコーンが弾けます。どうなってるんでしょうね、あの頭。
ふいに、がらがら、がっしゃーん! という音が倉庫内に響き渡り、怪人が再びびくりと身を飛び上がらせます。
「……たく、人の地元で意味不明な事しやがって。さっさと終わらせようぜ」
地元出身の道産子、皆守・幸太郎(微睡みモノクローム・d02095)がどこか気だるそうに言いつつ、搬入口のシャッターを閉めたのを合図に。
チョコレート争奪戦は、ここに本格的な幕を開けるのです!
●戦闘開始っ
草壁・悠斗(蒼雷の牙・d03622)は、まず音響結界を展開して外部へ漏れる戦闘音を遮断すると、相棒の霊犬『数珠丸』と共に、後方からロシアン焼きとうもろこし怪人を見据えます。
「どうも緊張感が感じられないのは、あの見た目のせいだろうか……まあ、手遅れになる前に、やるとしますか」
「何か失礼なことを言われている気がする!?」
率直な感想を述べてから、悠斗は剣を振りかざし、聖なる燐光と共に怪人の身体へ鋭く斬りつけ、霊犬の数珠丸は古銭型の飛び道具を放って主を援護します。
「ぬぬ、やるでは無いか……では、今度はこちらからゆくぞッ。もろこしミッサァァアアーイルッ!!」
焼きとうもろこし怪人は、手の中に現れた、二本の香ばしくて美味しそうな焼きとうもろこしを発射して……いえ、ぶおん、ぶおんっ! と投げつけます。とうもろこしは凄まじいスピードで飛翔し、エールの身体へぐっさーっと突き刺さります。
「……くっ、あっ!? 何て、威力……っ!」
見た目はちょっと、こう、冗談めいてはいますが。強大なダークネスの放つ攻撃だけあり、恐るべき破壊力です。
痛撃に顔をしかめてよろめきつつも、瞳に宿る光は失わず。お返しとばかりに高速で死角へ走り込み、りんと鳴る日本刀の刃で怪人の背を切り裂くエールに続き、
「早く終わらせて、寝たいんだよ、俺は。まあ、多少……地元を荒らされたことに、頭に来てないわけじゃないけど、ね」
幸太郎の妖槍からは、ぴしぱしと冷気を纏わせるつららが発射され、怪人を射抜きます。眠たげに半ばまぶたを落としながらも、心に秘めた地元愛は、いささか彼を不機嫌にしている様子。
慧樹の突き込むバベルブレイカーから打ち出された回転する杭が、怪人の身体を弾き飛ばしたところへ。
「ぬおッ!?」
「ご当地怪人、か。キミはボクを、満足させてくれるのかな? ……行くよッ」
鋭い呼気と共に、異形の巨腕と化した右腕を、北逆世・折花(暴君・d07375)は怪人の身体、そのど真ん中へと叩き込みます。
狙いすました一撃に、しかし怪人は地面をずざざーっと滑りながらも足を踏ん張り、転倒は免れます。さすがはダークネス、灼滅者たちの猛攻を一身に受けながらも、まだまだその足取りはしっかりとしています。
「巨大化にロシア化に……自分のご当地を辱めるような行為の数々。同じご当地の力を持つ者としては、ちょっと許せないねぇ」
「そんなことより俺が許せねーのは、このチョコの山だ。……俺がもらうはずだったチョコも入ってるかも知れないじゃねーか!」
「いや、それはどうだろうね?」
などと会話しつつも、鎗輔は治癒の力を込めた矢を放ってエールの深手を治療し、終夜・玲(気だるいマージナル・d01022)の繰り出す真っ黒な影の触手が、怪人へと突き刺さります。ちなみに、言葉とは裏腹に玲はそこそこ機嫌が良さそうに見えたりするのですが、それはどうやら、義理でもいちおーチョコをもらうことはできたから。みたいです。……もし0個だったら、一体どうなっていたんでしょうね。
鎗輔の霊犬、可愛い名前の『わんこすけ』の繰り出す小刀での一閃に続き、人造灼滅者としてのポテンシャルを解き放ち、美しいハーピーさながらに姿を変えた湊詩が、殺人注射器で毒を孕んだ一撃を怪人へと撃ち込みます。
「ぐ、ぬ……このロシアン焼きとうもろこし怪人をして、これほどの激闘とは。灼滅者、噂に違わぬ実力よ……! ここは、アレを使わざるを得ぬ、か?」
懐にある何かを確かめるように、胸元を片手で押さえつつ。ロシアン焼きとうもろこし怪人の、コーン顔の合間に覗いている二つの瞳が、怪しくきらめきます。
●巨大化……!!
がらがらっ、と搬入口のシャッターが開き、買出しを終えた2名のコサック戦闘員が戻ってきます。
「っ、気をつけて。戦闘員が戻ってきた……」
折花が告げる中、戦闘員たちは怪人の元へと駆け寄り、あっ! シャッターが開けっ放し! でも安心、持ってて良かった殺界生成&サウンドシャッター!
それはさておき。ロシアン焼きとうもろこし怪人は機嫌よく笑いながら、
「ぬはは、我が屈強なる同志が戻ったからには、形成は逆転! いざゆくぞ、冬の札幌と言えば、やっぱり雪まつりだよねビィィ~~~~ッム!!」
どのあたりが名前と噛み合っているのかはさっぱり分かりませんが、ともかく、ご当地の力を宿しているっぽい必殺の光線技が、湊詩をずばばっと直撃します。
「うあっ……!!」
強烈な一撃を受け、吹き飛ばされ倉庫の壁へと激突する湊詩。悠斗はそんな彼に駆け寄ると、
「大丈夫ですか、湊詩さん……! 今、治療します」
腕の祭器から照射される光で、痛手を治癒します。が、小さく頷きながらも、物静かな湊詩の瞳には、ほのかに怒りの色が見え隠れします。
悠斗の霊犬、数珠丸の回復を受けながら、エールは身を踏み込ませて怪人へと鋭く接近すると、刀を納めた鞘で、ぺちんっ! と怪人の顔を打ち据え、
「チョコとの組み合わせだと……とうもろこしより、バナナの方が人気ですよねー?」
「ガハァ! おま、お前は何を言っている!? あ、謝れ! 焼きとうもろこし売りのおばちゃんに、謝れー!!」
何だかツボに入ってしまったらしく、怪人は身悶えしながら謝罪を要求しています。
それを横目に、幸太郎はシールドから分離した小片を湊詩に飛ばして回復し、鎗輔は前方へ掲げた両手から収束したオーラを解き放ち、慌てて避けようとした怪人の足を傷つけます。
鎗輔の霊犬わんこすけの繰り出す一閃をぴょいっと跳んで回避した怪人へ、
「お前は、北海道産とうもろこしの誇りを、失ったか! それとも外国産か、オリンピックに影響されたただのミーハーかっ! 俺は……俺は、そんなヤワな心のご当地怪人は、許さねーっ!!」
「熱い!?」
サイキックなのか、それとも慧樹の燃える心が彼の武器へと火を灯したのでしょうか。文字通りに炎を宿した一撃が、焼きとうもろこしを更に熱く熱く炙ります。
あちちちっ、と、折花の振るった非物質の剣を逃げるように避ける怪人をフォローするように、二人のコサック戦闘員が、大型の銃を構えて立ちはだかります。戦闘員たちは、銃口から円形のビームをぽわぽわんっと放つと、慧樹と湊詩がそれに身を捉えられて傷を受けます。
反撃とばかりに、玲が手にしたロケットハンマーで激しく地面を打ち据えると、発生した衝撃波が広がり、戦闘員たちを巻き込んでくるりと転倒させ、床へと叩きつけます。
「チョコ食べて、強くなる……不思議だね。でも、させないよ……っ」
怪人を前衛たちで包囲し、チョコの山へと近づけさせないような位置取りをしながら、湊詩は翼を翻して華麗な動きで接近すると、注射器を深々と怪人の身体へと突き刺し、生命力を奪います。
数の有利もあり、流石にダメージが蓄積してきたのでしょうか。足取りがややおぼつかなくなってきた、ロシアン焼きとうもろこし怪人でしたが。
ここへ来て怪人は、懐に忍ばせたそれを、満を持して取り出すのです。
「ふ、ふ。流石よ、灼滅者ども。やはりここは、これを使わねばならんようだな……!」
警戒する灼滅者たちを前に、怪人の手の中に現れたのは、四角くて小さな10円チョコ。それを、包み紙も取らずに、ぱかっと開いたとうもろこし頭、その口の中へと放り込む怪人。
やがて。
「…………なンまらキクべやこれーーーっ!!」
ずごごごご!
●怪人の最期。
「ご、ごめん……私、もう……っ!」
「っ……後は、お願い……」
巨大化を果たしたロシアン焼きとうもろこし怪人の力は、強大のひとこと。わずか数分の攻防の後に、回復が追いつかず、最初に痛打を受けていたエールと湊詩が致命傷を負い、意識を失ってしてしまいます。
「ぬっ、はははははー! いんでない? いいんでないかいこれ!? したっけもう、負けないっしょこれ!」
……うん。何だか無理のある感じではありますが。どうやら今までは色々と取り繕っていたらしく、力を得て素のカンジが垣間見えてきた怪人は、今や倉庫の高い天井にまで届きそうなほど巨体で、傷ついた灼滅者たちを見下ろしています。
とはいえ。
「……おおっ? ちょ~っと、あずましくないわ……さっさと終わらせるべやこれ」
怪人は、巨体をふらつかせながら、お腹に響く声でそう漏らします。巨大化したとはいえ、これまでに与えたダメージが癒えたわけでは無いのです。強力な相手を前に、仲間を傷つけられながらも、しかし灼滅者たちが怯むことはありません。
「焼きとうもろこしは美味しい……だが、ご当地怪人、てめーはぶっ潰す。あと少し、いくぞ皆!」
散発的に戻ってくる戦闘員のうち最後の一人に、目にも留まらぬ速さで拳を撃ち込んでノックアウトしつつ、玲の発した号令で、灼滅者たちは怪人の巨体めがけて、トドメの攻撃を仕掛けます!
「行くぞ、数珠丸……! これで最後だっ」
「ロシア化なんてしなかったら、愛すべきご当地ゆるキャラになれてたかもな……残念だったな」
悠斗と霊犬数珠丸が同時に飛び出し、鋭い気合と共に振るわれる剣と小刀が描く十字の軌跡を、怪人の足へと深く刻みつけ。幸太郎は、全てを終えた後の缶コーヒーでの一服と、誰はばかることの無い惰眠のひと時に心を馳せながらも、妖槍をドリルのように回転させて捻じ込みます。
「何でチョコを食べたら巨大化するのか、聞いてみたかった気もするけどね。いくよー、わんこのすけ」
鎗輔の放った光輪が、巨体の周囲を飛び回りながら、次々と深く切り裂き。わんこのすけの放つ古銭が、怪人の顔に、どかかかっ、とぶち当たります。
「むがっ! ぐむ、な、なんの、まだまだ……あわくうような時間じゃ……」
「いーや、終わりだね! 真っ黒に、燃え尽きろッ!」
「ぶわーっ!?」
強烈な炎と共に叩き込まれた慧樹の一撃で、巨大怪人は大きく弾かれ、後ずさり。
そして。
「……怪人が巨大化したら、倒されるのがセオリーだよ。さあ、終わりにしよう……」
「ぐぬ、まだだ、まだ終わらんっ……! ゆくぞ灼滅者、我が最大の一撃、受けてみるがいいっ! 食らえ、ハイパー時計台キィィィーーーッく!!」
身を沈み込ませ、反動を乗せて飛び出した折花の薙ぎ払う、光の剣と。浮かび上がった巨体の重量を乗せた怪人の、渾身のジャンプキックが、空中で交錯します。
やがて。
双方が着地し、しばしの沈黙が流れた、その後に。
「…………み、見事、なり!」
怪人の頭部、長い焼きとうもろこしの上半分が、すぱーんっ! と両断されて飛び、積まれたチョコの山の上へと落下すると、それは山を崩しながら、無数のチョコたちをそこらじゅうにばら撒いていきます。
そして、ロシアン焼きとうもろこし怪人は、ずしりと膝をつくと。
「我らがご当地怪人たちの未来に……栄光あれ~~~っ!!」
高らかな叫びを最期に。
怪人らしく、どっかーん! と爆発、消滅したのでした。
その後、目を覚ましたエールが、爆発の余波で吹っ飛びばらばらになったチョコを前にがっくりと肩を落とし、湊詩に慰められる。といったシーンもあったりしつつ。
強大なご当地怪人はここに灼滅され、灼滅者たちの任務は無事果たされ。
彼らは、意気揚々と帰還していったのでした!
作者:墨谷幽 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年2月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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