脅威の巨大化チョコレート~ロシアンレモン怪人の野望

    作者:猫御膳

    「圧巻なのだ、この光景」
     ここはとある廃校になった、体育館倉庫。怪人は腕を組んで、目の前で山のように積み重ねられているダンボールを見上げて感嘆を漏らす。
    「これだけのチョコがあれば、日本の征服に手間を取る事は無いのだ。まだまだ増える一方なのだ」
     満足そうに笑う怪人の横に、コサック戦闘員がまだまだダンボールを積み上げようとしている。
    「邪魔な灼滅者も気付く事も無いのだ。これでボクの地位は高みへ上がる! 正に順風満帆なのだ! このロシアンレモン怪人に抜かりは無いのだ! 」
     笑いは高笑いに変わり、体育館に響き渡るのであった。

     灼滅者達が教室に集まれば、天野川・カノン(中学生エクスブレイン・dn0180)は移動型血液採取寝台の『仁左衛門(にざえもん)』を旋回させて、顔を合わせる。
    「集まってくれてありがとうっ。知ってる人も居ると思うけど、バレンタインデーのチョコを狙ったご当地怪人の件があったばかりだねっ。お疲れ様っ」
     話によれば巨大化したご当地怪人も居たようだけど、と少し真面目な顔に顔をする。
    「実はね。あのバレンタインデーのチョコを襲ったご当地怪人達は、囮だったみたいなのっ」
     ざわめく灼滅者達に対し、カノンは説明を続ける。
    「本当の狙いは、その巨大化する『巨大化チョコ』が狙いだった訳っ。日本中からその『巨大化チョコ』を集め、拠点に運ぼうとしているみたいっ。もしも大量の巨大化チョコを、ご当地怪人達が手に入れたら……」
     情報によれば、巨大化したご当地怪人は凄く強くなったと聞く。それが何十、何百、何千と巨大化すれば……確実に大変な事になる。
    「だから、皆には出来る限り阻止して欲しいのっ」
     カノンは仁左衛門で、詳しい場所をスクリーンで示し教える。
    「場所は此処。市街から少し離れた、廃校となった体育館倉庫だねっ。ここにコサック戦闘員と、ロシアンレモン怪人が居るの。コサック戦闘員も数が多いから注意してね。それとこのロシアンレモン怪人と戦うのだけは、絶対に注意して。巨大化されて真っ向勝負して勝つだなんて、難しいのだからっ!」
     ここまで真剣に注意するカノンは珍しい。それだけ巨大化したご当地怪人は強いのだ。
    「あくまでも阻止だから、覚えておいてね。阻止する方法は、3つ。コサック戦闘員が居ない間に、ロシアンレモン怪人を灼滅する。いつ巨大化するか分からないけど、速攻で灼滅する事。残ったコサック戦闘員は、ロシアンレモン怪人を灼滅すれば、きっと逃げて行くよ」
    「次に、外へ出ているコサック戦闘員を各個撃破して、数を減らし、戦力を減らしていくという方法。だけど作戦に気付かれたら、コサック戦闘員とロシアンレモン怪人と正面から戦う事になるよ」
    「最後に、戦いを避けて、集めているチョコを奪う事。だけど、奪われたチョコはかなり大量である為、全てを奪取するというのは難しいと思う。例えばチョコを溶かす、チョコを破壊する事もできるかもしれないけど、溶けたり破壊で巨大化チョコの巨大化する力が無くなる事は分からないの」
     どの作戦を選ぶかは任せるよ。私じゃ、とても決めれないから、とカノンは目を伏せる。
    「バレンタインデーで事件を起こしたご当地怪人達の中に、ロシアのご当地怪人は居なかった事を考えて、完全に斬り捨てる囮として扱ってたんだろうね。これだけ用意周到に準備された計画だから、簡単に終わる事は出来ないと思う。だけど」
     成功を信じてるよ。無事な姿で報告してねっ、とカノンは灼滅者達を見送った。


    参加者
    ミルドレッド・ウェルズ(吸血殲姫・d01019)
    東雲・蔓(求める兎・d07465)
    花菱・爆(リア充爆発しろ・d08395)
    盾神・織緒(不可能破砕のダークヒーロー・d09222)
    十六夜・深月紅(哀しみの復讐者・d14170)
    河内原・実里(誰が為のサムズアップ・d17068)
    夜桜・紅桜(純粋な殲滅者・d19716)
    韜狐・彩蝶(白銀の狐・d23555)

    ■リプレイ

    ●作戦会議
     10年以上前に、経済面の理由により廃校が決定した学校がある。廃校となったが、建物を壊す事も出来ずにそのまま放置されていた。だが、つい最近になってこの廃校を使わせて欲しいという、とある企業の申し出があったのだ。
    「さっさと運ぶのだ! この梱包されてないのも、運び易くしておくのだ!」
     その企業こそ、ロシアン怪人が率いる企業。ロシアン怪人達の目的は『巨大化チョコ』を集め、それを拠点へと運ぼうとしているのだった。市街から少し離れているとはいえ、その姿は人目を避けるように慎重であるが何かを急いでるようでもあった。そして急かしている人物こそ、ロシアンレモン怪人だった。
    「そこ、サボるなのだ! ヘビ? そんなのはどうでも良いのだ! 仕事に戻れなのだ!」
     コサック戦闘員同士が話してる話題をどうでも良いと切り捨て、ロシアンレモン怪人は体育館倉庫へと踵を返す。その姿を蛇が密かに尾行し、続くように体育館倉庫へと入っていった。
     そして数時間後、
    「済まないな、天野川。感謝する。……お、戻ったか。どうだった?」
     河内原・実里(誰が為のサムズアップ・d17068)が電話を切り、蛇変身をしていた東雲・蔓(求める兎・d07465)が紙に調べた内容を細かく書いていく。
    「こんな感じかな。やっぱり警備は厳しいし、例のチョコレートも未だに増えてた」
     お互いの情報を交換し、唸るように頭を悩ます。今回、灼滅者達に求められるのは、巨大化チョコが運搬されないように阻止する事。その為に、綿密な調査をした上で作戦を纏めようとしている。
    「こっちは終わったぞ。こっちの道で良いんじゃね」
     更に花菱・爆(リア充爆発しろ・d08395)が台車を手にしたまま戻り、逃走経路を仲間達へと示す。大八車は無理と判断し、台車にしたのだろう。
    「ご苦労様だ。こっちも首尾良く手に入った」
     盾神・織緒(不可能破砕のダークヒーロー・d09222)も手にした発煙筒などを見せ、作戦を練る為に顔を見合わせる。
    「それにしてもチョコで巨大化って変な感じだね」
    「まあ、強奪、する、私達も、変な、灼滅者、だけど」
     夜桜・紅桜(純粋な殲滅者・d19716)がそう言うと、十六夜・深月紅(哀しみの復讐者・d14170)は賛同するように頷いた後に、そう付け加える。2人ともご当地怪人は変だと思っているようだ。
    「巨大化ってなんかテレビの番組みたいだなー」
    「怪人の巨大化はある意味お約束だけど、それにしても何でチョコなんだろ?」
     韜狐・彩蝶(白銀の狐・d23555)の感想に、ミルドレッド・ウェルズ(吸血殲姫・d01019)がお約束だと言う。だがチョコレートという事は分からない。ご当地怪人は何でもありなのかと、つい思ってしまう。
    「……よし、こうしよう。作戦は今夜決行だ」
     時刻が夕方になる頃には作戦が纏まり、実里が眼鏡を上げながら光らせ笑う。灼滅者達は一斉に頷き、それぞれが行動を起こす。

    ●行動開始
    「ん、こんなものね」
     夜も更けた頃、灼滅者達は廃校から少し離れた場所でボルシチを作っている。そして作っているミルドレッドは満足気に頷く。
    「美味しい!」
     味見をした彩蝶も頷き、そう評価をする。
    「最後の隠し味にレモンー」
     先ほどまで楽しそうにテントを張りっていた蔓が、ボルシチにはこれが大事というわんばかりにレモン汁を付け足し、じっくり煮込む。木の器に木の匙まで用意し、気合の入り方が違う。
    「…………」
     不思議そうな顔でボルシチを見ている灼滅者達を余所に、ボルシチは完成する。何故ボルシチなのかと言われたら、ロシアにはボルシチだろうと答えられ、敵が敵なだけに納得してしまう。テントだって陽動に使うらしい。
    「じゃあ、そろそろ動きましょうか」
    『私の方は準備は出来ている。いつでも良いぞ』
     ミルドレッドの言葉に反応するのは、電話越しの織緒の声。彼は既に体育館倉庫では無く、廃校の校舎に居る。
    「俺も動くか。じゃあ行ってくる」
     出来上がったボルシチを手に、実里は織緒とは反対の校舎の裏側に移動するらしい。
    「ご武運、を」
    「ボクたちも行こうっ」
     深月紅は陽動組に声を掛け、紅桜達は体育館倉庫へ侵入する為に準備する。蔓、爆、深月紅、紅桜、彩蝶の5名は強奪組となり、隙を突いてあのチョコレートの山を奪わなければならない。灼滅者達は戦う事よりも、確実にロシアのご当地怪人達にダメージを負わす事を選んだのだ。
    「よっしゃ。気合入れて行こうぜ」
     爆がそう言うと、蔓と紅桜はそれぞれ蛇変身をし、強奪組はテントから離れて夜闇に紛れて動き出す。戦闘をなるべく避け、見つかった場合は速やかに撃退する、と強奪組は考えている。そして陽動組は、そんな強奪組をサポートするように目立つように動く事を考え、敵を少しでも多くを引き付けなければならない。
    「どっちにしても危険な事は変わり無いわけだ」
     冗談みたいな相手だけどね、と苦笑するミルドレッド。そして他の灼滅者達が去ってから数十分後、連絡を取り終わればスレイヤーカードを開放してチェーンソー剣を取り出し、凄まじいモーター音を周囲へと鳴り響かせると同時にサウンドシャッターを展開する。これでこの廃校の外に音が漏れる事は無い。
    「始まったか。ではこちらも」
     騒がしくなった事を確認した織緒が、周囲を警戒しながら手にした道具で煙を立ち昇らせ、少しだけ離れながら素早く身を隠す。こうして作戦は始まる。

    ●奇襲と陽動
    「ええい、どうなっているのだ!?」
     謎のモーター音が鳴り響き、使われてない校舎から煙が出ている。体育館倉庫でコサック戦闘員達のそんな報告を聞き、ロシアンレモン怪人は焦っていた。今まで人目を避けていたのに、これでは目立ってしまう。目立つと色々と邪魔者まで出てくるかもしれない。それだけは避けなければ、この計画が駄目になる。そう思えと、余計に焦りが増す。
    「さっさと原因を取り除くのだ! うるさい! 今度は何なのだ!?」
     指示を出せば次の報告が上がる。また別の場所でも煙が上がったらしいという報告に、思わず頭を抱えたくなるのを堪えて指示を飛ばす。
    「騒音の方はこの私が行くのだ! 何人か付いて来るのだ! 貴様等はその煙が出てる場所へ行って消すのだ! 貴様等は此処で見張りながら、チョコレートを運び出せる準備をしておくのだ!」
     そう言いながら灼滅者達が張ったテントの方へ駆け出す、ロシアンレモン怪人。残ったコサック戦闘員達は慌てながらも運び易いように、ダンボールの山を崩しに掛かる。そしてその様子をずっと監視している姿が、闇夜に紛れている。
    「んー……これ以上は無理じゃないかな? 結構人数が減ってくれたけどさ」
     蛇変身して先に侵入していた2人から状況を聞き、茂みから様子を伺っていた彩蝶がそう言うと、他の強奪組が頷く気配がある。
    「時間も掛けれねぇしな。見える範囲で3人か」
    「それじゃ、蔓と、紅桜が、そのまま、侵入して、奇襲、掛けて、私達が、その隙に、挟撃、するように、強襲。連絡や、逃げ、ようとする、者を、優先」
     爆がメールに陽動組に連絡し、深月紅の言葉に蛇変身している2人が頷き体育館倉庫へと侵入し、タイミングを図り飛び掛かる。
    「せーのっ!」
    「いくよっ、夜桜!」
     蛇変身を解除し、スレイヤーカードを開放したまま同時に攻撃する蔓と紅桜。その同時攻撃に1人のコサック戦闘員が倒れ、残りのコサック戦闘員が驚いた後に対応しようと動く。だが、その驚いた隙を灼滅者達は見逃さない。
    「バレンタインは爆発だー!」
    「四肢を、掲げて、息、絶え、眠れ」
    「灼き尽くせ!」
     爆、深月紅、彩蝶がそれぞれスレイヤーカードを開放し、強襲する。数分後、チョコレートを運び出そうとしている灼滅者達の姿があった。
     また一方では、
    「あっちの方でも火の手が上がってるぞ! 手が足りない、早く手伝ってくれ!」
     聞き慣れない声だが無視する事も出来ず、2番目に上った煙が絶えない場所へと走るコサック戦闘員達。現場に辿り着いてみれば、そこには確かに燃えており、慌てて消す事に専念する。何とか消火して体育館倉庫へと戻る前に、1人のコサック戦闘員が見慣れない物を発見する。そこには、
    『差し入れ』
     と実里が書いた寸胴鍋が置いてある。これはどうしたものか、と困惑する戦闘員達。ハッキリ言えば、近くに行くのも警戒する。見なかった事にしようぜ、という声も上がるが、もしもこれが後で困る事があれば、自分達が怒られるのだ。1人のコサック戦闘員が意を決して恐る恐る蓋を開けてみれば、中には美味しそうな匂いがするボルシチ。……更に困惑するしかない戦闘員達は、その場から動けない。
     同じように騒音がした方へと辿り着いたコサック戦闘員が見た物は、何故か張られているテントと、置かれている寸胴鍋。此処でも同じように困惑し、立ち止まってしまう。何とかテントと寸胴鍋の中身を確認して報告しようとすれば、白い外套を羽織っているミルドレッドが、目立つように凄まじいモーター音を鳴り響かせる。これも無視する事が出来ず、闇夜の鬼ごっこが始まるのだった。
     また一方では、
    「終わりだ」
     雪造拵-滑走屑斬り-での超弩級の一撃でコサック戦闘員を倒し、速やかにその場を離れる織緒。彼が行った陽動は見事に成功したのだが、その後の発煙筒で運悪くコサック戦闘員に見つかってしまったのだ。不幸中の幸いだったのが、相手が1人だった事。1人なら倒した方が早いと判断し、戦闘をしたのだ。
    「もう少し引き付けるか」
     そう呟き、発煙筒を再び使おうとした時に陽動組からの連絡が来る。その連絡にはロシアンレモン怪人が何処にも見えないという事を聞くと、発煙筒を使用して投げ捨て、体育館倉庫へと駆け出すのであった。

    ●巨大化チョコ強奪作戦
    「没収だ、没収。悪いバレンタインはどんどんしまっちゃうぞー」
     決して貰えなかった八つ当たりじゃない、と言いながらも次々とアイテムポケットへと放り込む爆。他の4人は一度にダンボールを大量に運べるように忙しく動いている。そんな準備をしていれば、眼前にビームのようなものを通り過ぎ、ダンボールに大きな穴が穿たれる。その方角を見てみれば、ゆっくりと歩いてくるロシアンレモン怪人の姿があった。
    「こんな風に立て続けに事件が起きれば、嫌でも気付くのだ。途中で引き返して正解だったのだ」
     怒りを噛み殺すように、くぐもった声で言いながら5人の灼滅者の顔を覚えるように睨み、大きく息を吸う。
    「……私は寛大なのだ。今ならば見逃してやっても良いのだ。そのチョコレートを全て置いて立ち去れなのだ」
     この台詞に、灼滅者達はロシアンレモン怪人には聞こえないように小声で話し合う。
    「……アイツ1人のようだが、5人で、勝てると思うか?」
    「何人かが闇堕ちすれば、だろうな。巨大化の事を考えれば、止めた方が良いだろう」
     左目から血を流しながら目を逸らさず問う深月紅に、エクスブレインの情報を思い返しながら白銀色の狐姿の彩蝶が普段とは違う声色で答える。
    「じゃあ決まりだねっ」
     そう言い終わる前に紅桜が夜霧を展開させ、灼滅者達を覆うように纏わせる。その霧に紛れて攻撃してくるかと、ロシアンレモン怪人は身構えるが、
    「食べ物ダメにすんのは気が引けるが……怪人に食われるよりはなッ!」
     自分達がまだ手を付けてないダンボールの山を、爆が炎を纏わせた日本刀で斬り上げる。
    「き、貴様等!! 何て事をするのだ!?」
     ロシアンレモン怪人は怒りのままに飛び蹴りを放つが、深月紅が前に飛び出しながら契約の指輪から魔法弾を放ち、カウンター気味に直撃させて動きに制約を加える。だが、逆に敵の飛び蹴りも避けれずに直撃を喰らってしまう。
    「どのぐらい持つか分からんな」
     彩蝶は癒しのオーラで僅かに回復させ、このままだと確実に1人ずつ倒される事を視線で訴える。まだチョコレートを減らしたいが、時間が足りない。その間に、ロシアンレモン怪人がビームのような絞り汁を飛ばそうとするが、
    「させない!」
    「こいつが怪人か」
     ミルドレッドの死角から放たれる斬撃と、織緒の魔力の爆発でその攻撃が不発に終わる。
    「まだ仲間が居たのだ!? 戦闘員はどうしたのだ!!」
     驚いたロシアンレモン怪人の横を、実里が放火に使った火種が放り投げられ、ダンボールを炎上させる。
    「間に合った! と言ってもこっちも時間無いけどな!」
     陽動組は途中で合流し、強奪組が危険だと判断して駆け付けたのだ。その所為か、3人共息が荒い。ライドキャリバーのスロットは陽動に使ったが、それでも直ぐにでもコサック戦闘員はやってくると仲間に伝える。その言葉に2人の灼滅者は即座に判断して動く。
    「この扉だよ!」
    「わかった!」
     ロシアンレモン怪人の位置とは逆の封鎖された扉に、強力な魔力を流しながら叩き込む蔓のマテリアルロッドと、紅桜の天星弓から放たれる幾多の矢が炸裂する。その攻撃で扉は吹き飛び、外に繋がる道が切り開かれる。元々壁が薄い場所を探していたが、此処が一番だと判断したのだろう。
    「チョコレートを!」
     蔓が叫ぶと、その退路に怪力無双を持つ深月紅と彩蝶が尋常じゃない量のダンボールを纏めて運び脱出する。
    「戦闘員達! 誰1人も逃すなのだ!!」
     辿り着いたコサック戦闘員に指示を出しながら攻撃しようとするが、2人が立ち塞がる。
    「おっと、これ以上チョコレートが無くなっても良いのか?」
    「このままだと全て燃えて無くなるぞ」
     いざとなれば闇堕ちを覚悟していた爆と織緒の気迫に圧され、判断に迷い痺れもあって動きを止めるロシアンレモン怪人。その隙にミルドレッドと紅桜が霧を展開し、一瞬だけ視界を遮る。気が付けば、灼滅者達は背中を見せながら脱出していた。
    「クソッ!! 追えなのだ!! 何人かは火を消せなのだ!! 覚えてろ、灼滅者!! この借りは必ず返すのだ!!!」
     廃校に響き渡るロシアンレモン怪人の怒声。その怒声を背に、灼滅者達は手にしたダンボールを台車に乗せたり、もしくは抱えながら走り、
    「とりあえず安全な場所まで逃げ切れば、ボルシチパーティをしない?」
    「オレはチョコが食べたい」
    「食べて大丈夫なのか、これ。それよりまだ早いかもしれないけど、お疲れ様」
     そんな風に笑い合い、最後は実里がサムズアップするのだった。

    作者:猫御膳 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年2月28日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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