10年後へのタイムカプセル

    作者:海乃もずく

     みんなでタイムカプセルを埋めませんか、と鈴森・ひなた(中学生殺人鬼・dn0181)は言った。
    「校庭のニレの木の下に穴を掘って、密閉できるコンテナ容器を埋めるんです。先生の許可はいただきました」
     開けるのは10年後の今日、この時間。開封は覚えている人がいたら、でいい。
     10年後――状況がどう変わっているかはわからけれど。
    「あまりかさばらないもので、劣化しづらいもので……。必ずしも、自分宛てでなくてもいいと思うんです。何でも、10年後に届けたいものを」
     武蔵坂学園の生徒達は、明日をも知れぬ戦いに身を投じている。ことに人造灼滅者のデータは、寿命を含め未知数だと言われている。
     それでも。
    「先のことを考えるって、楽しいですね」

     未来のことに思いを馳せながら、みんなで作業をする……そんな時間があってもいいだろう。

     ――10年先へ、何を届けようか。
     


    ■リプレイ

    ●まず穴を掘ります
     想定より多い人数に、ひなたは追加のコンテナを持ってきた。

     賑やかに話し穴を掘るギアは、初心を込めてメダリオン。乾燥剤に、虫除けもプラス。
    「鈴森センパイ、学園では初めまして!」
     大きな変化に出会えた、病院の同じ世代同士ですね。
     みくるは両親と一緒の写真。今は想像できないけれど、10年後は立派な執事に?
    「10年後、また一緒に来ようね、ノノ」
     白乃の小さい頃は悲惨だったけど、それでも大事な思い出。
    「ボク「達」はね、思い出のナイフを埋めるんだ!」
     平和になったはずの世界で、掘り出したいんだ!

     直筆の手紙にはその人の人格、文面からは記憶が残るという。
     理利は未来の自分に手紙を残す。人として存在し続け、この手紙を受け取るために。
     ……皆さんの物も、持ち主に届きますように。

     友梨が穴に落ちそうで、静流は目が離せない。心配しすぎと友梨は笑う。
     桐箱には菊花印鈴の御守りと、銀色の折り鶴に記した手紙。
    「友梨の苗字が変わっていたり……なんて?」
    「も、もうっ……」
     頬を赤くした友梨。10年後も、隣にあなたがいてくれると凄く嬉しいな。

     手紙と、ひなた撮影の【BOUNCER】集合写真。
     奏夢の自分の手紙は、キノの肉球朱印つき。片手でひとりくらいは、守れるように……と。
     心強い女神がいつもそばにするのだから、大丈夫だと確信を抱き。
     写真の紅子は、奏夢の隣でニッコリ笑顔。将来の自分、隣におる人は今と変わらず?
     結構過酷な人生を送ると思うけど、生き抜いていることを願う手紙。
     三ヅ星は、集合写真でもばっちり笑顔!
    「10年もあれば、逢瀬君みたいなイケメンになるのさ!」
     笑顔の中に決意を秘めて。皆との縁と、手紙を未来へ。
     征士郎は幸せを願う、誓いの手紙。未来の自分に、写真に写る皆への感謝を言づけて。
     10年前の貴方はとても幸せでしたよ、と。
     慎悟朗の手紙には自己紹介と、やりたい事、探してる物。
     カプセルを開けるのは自分か、他の誰かか。未来へ幸運があることを信じて。
     十六夜の手紙には一言。将来の自分への嫌がらせ。
     「今のお前は……俺は、幸せになれたのか?」
     手の中のロケットペンダントは、10年後には過去になるだろうか?
     謡の抱く、未来に向けた確たる想い。
     明日のことさえわからない日々だけど、此処にいる仲間が失われることがないで欲しい。
    (「我ながら、随分傲慢な想いだ」)
     【BOUNCER】の集合写真に手紙を添えて。仲間との今を、未来へ送ろう。

     「∈(・ω・)∋」印の、【MM出張所】。
     皆無は、見慣れたマークの封筒を。感謝の言葉を未来に託して。自分が読めなければ、誰かに中身を見て欲しい。
     積極的に動く瑞樹や皆無。さぼり気味の音へと、巧太の説教。
     みんなは何を入れるの。マフラーの奧の口元を少し緩ませる金剛。彼自身は、未来の自分への手紙だと。
     自分の写真を、と答えた瑞樹は、小さな袋をちらりと見せる。
     次にこの写真を、皆と笑顔で見られるよう願いを込めて。
     音は、少しくたびれた黒猫のポーチ。皆との写真と、畳んだメモに残す小さな問いかけ。
     ――生きてる?
    (「ホンット、女々しくてダメだなァ」)
     巧太は、かつての親友達との集合写真。裏にはでっかく「教師になる!」。
     ……そうして、今はまだ直視できない過去を、未来に預けて蓋をする。
     帰りにファミレスでも寄ろうか。未来に向けて、みんなと話したい。

     純也自身は、何も持ってこなかった。
     それでも、遙か先を想像する各位の姿、それが大変興味深い。
    「とおくに其方は、何を書いて届ける」
     簡素な封書を携える持つ昭子に、純也は問う。
    「――ちゃんと生きていました、と」
     継続予定は、と、重ねる問いには、はい、のいらえ。
    「……、それは良い」
     ちゃんと生きた先にある、この記憶こそが届け物。

    ●コンテナに納める前に
     撮りたての写真を囲む、【宵空】。発案は葵。
     何枚も撮って、手元にも残そう。10年後もここでまた撮りたい。同じ顔して笑ってるかな?
     皆何を入れる? 互いの手元が気にかかる。
    「ふふ、皆色々だねぇ」
     だけど、全部未来に繋がってるね。
     そう言う要は、写真の中では緊張気味。
     要は未来へ、ささやかな根性試し。梅の飴一袋と、「eat this」と書かれた手紙。
     櫂は写真は苦手だけど、今を残すことは悪くないと。10年後、これを見てどう思うだろう。
     描き込まれた櫂のスケッチブック。将来も、大好きな絵を描き続けている?
     葵は、将来の自分と由愛への手紙。大切な想い、願い、気持ち。
     由愛は、10年後の葵へラブレター。ずーっと傍に、何年たってもラブラブで。
     ツーショット写真も一緒に入れよう。10年後は、家族写真かな。
     集合写真の中、顔を近づけて一緒にピースの、イシュテムと七。
    「井幡先輩みたいな、素敵な女性になれますように!」
    「イシュテムなら、明るくってキュートなレディになるんじゃないかしら」
     10年後が楽しみ、と笑い合って。
     七はパールのピアス、イシュテムは解読できない魔導書をコンテナへ。それでは、また10年後に!
     今好きなもの、夢中になっているもの、見えはじめた将来の夢。兎に角詰めこんだ手紙を、透は用意した。
     頑張れ未来の俺! 将来読んだら羞恥死したくなるだろうけど!
    『10年後のあたしへ。今あたしは、幸せか?』
     迷った結果、嵐の手紙はこれだけ。
     流れゆく時の中。こいつらとは10年後も、同じようにつながりがあればいい。
     一浄は、最近とまった小さな懐中時計。ともに刻んだ日々を思い出せるよう。
     将来の皆に思いを馳せ、今の時間のかけらをそっと眠りにつかせましょ。
     士騎は小さな決意を込めて、髪紐をほどき、袋に包む。
     明日をもしらぬ身だけれど、だからこそ託す未来への展望。
     ――10年後、この日に再びまた会おう。

     【吉祥寺1G】の品物はカオスな感じで……?
    「生ものは入れてはいけませんよ。自分が入るというボケも禁止ですからね」
     清美は冗談半分、本気半分。トマトジュースや桜餅、アナスタシア自身も入れません!
     桜餅はここで食べてね、アナスタシアにはトマトジュースを。
     菜々乃と藍は写真アルバム。クラスの写真、男子の女装写真。再び開ける時、一人も欠けずに再会できますように。
     清美はビーチボール、アナスタシアは高崎だるま、登は……いけないナース服!?
    「私が埋めるのは、今まで欠かさずつけてきた日記なのです」
     沙希の日記には、お姉ちゃんの愛がたくさん詰まってる。
     菜々乃は将来への希望を手紙に。みんなと仲良く過ごせていますか? 体は成長していますか?
     10年後、アルバムを見ながら思い出を語り合おう。高崎だるまに片目を入れて、またビーチボールで遊ぼう。
     いけないナース服もいい思い出に……なるのかなあ?

     銀河、藍花、そして藍花のビハインド。
     思い出の写真、星の砂の小瓶、その時々の情景と想いを馳せながら小箱の中へ。今この瞬間の証……身体測定のコピーも一緒に!?
     銀河の腕にしがみつく藍花、重なる手と手。
    「……また一緒にここに来られないと嫌ですからね」
    「うん。絶対にまた、一緒に……。ね」

     『……これから十年、想希の笑顔を絶やさん様、二度と想希を泣かさへん様……』
     悟から想希へは、誓いの手紙。
     想希から悟へは、10年越しのラブレターを。
    「これからも……宜しくお願いしますね」
     手をとろうとする想希と、キスをしようとする悟。最高の笑顔を写真に閉じこめて。始まりの槍頭と一緒に、10年後の自分達へ。

     こちらは【ゆびとま】。
     リュシールは歌を記録した光ディスク。縁樹は人形と手紙を缶へ。
     ――フタをする前に、今の私達の言葉を、詰めこんでみない?
     形がないからこそ、いい事もあると。
     鈴森さんも誘われて、ひなたも缶へと「全部、間違いなく、ここにありました」と。
    「いつぱい遊んで勉強して、いっぱい笑ってくださいね!」
    「大事な事、忘れないでね……何ひとつ」
     縁樹の言葉と、リュシールの言葉。大事におさめて、今はそっとフタをしよう。

     ひつぢぐるみが並ぶのは、【ひつぢ家】。みんな考えることは一緒だね。
     今日の写真も、ひつぢ柄のアルバムに。いつしかアルバムを開き、沢山の思い出話に花が咲く。
    「沢山の出来事を一緒に過ごしてこられて、私は嬉しく思う」
     小袖の言葉に、迪琉がうんうんと頷いて。
    「寮は終わっちゃうけど、まだまだずっと仲良しでいてねっ」
    「いつまでもどこまでも、私たち友達だよっ」
     紅葉も言えば、全員まとめて春陽が、ぎゅーっ!
     涙はタイムカプセルにしまって……。
    「みんな大好きー!」

    ●カプセルの中に入れていきます
    「ひなたちゃんは、何を埋めますか?」
     ――決意文、みたいなものです。ひなたは若草色の封筒を入れて。
     問うた依子は、アルバムに大事にしまっていた写真を一枚パウチ。それからフィルムも、願いをこめて。
     ねえ、今も大好きな人と一緒にいますか。
     流希は、愛用のサイコロを。大人になっても遊び心を忘れずに、部員との絆を大切に。
     懐かしく思い出せる日まで、今はおやすみなさい。
     3つの決意が書かれた、鷹飛斗の手紙。十年後の自分に檄を飛ばす意味でも。
    「姉上には内緒です。……恥ずかしいので……」
     身内には言わず、こっそり、一人で。
     優歌は、料理レシピ本の写本と、料理レシピのメモを。メモは自分の原点、本は目標。
     これからも料理を学び続けるから。将来、胸を張ってこれを読めるといい。
     菫は、身の回りのことを手紙に書いた。
     結びは、『10年後の私も、大切な友人達と笑いあえていることを願います』
     10年後も『穂都伽菫』が存在していると信じて。

     【百鬼狂騒】は、思い思いのものを。
     殊はドライフラワーのリース、瞬は学校や道場の写真。ユリアーネは木彫りのブローチ。朱海は制服のスカーフ、伊織は高校の制服。いずれも、『今』を思い出す品物。
     ハヤトは名前を入れた日記。自分の名前、一緒にいてくれた人、まとめて思い出したい。わからないことだらけの今、これからのことは忘れたくないから。
     10年後が楽しみやね。伊織が朱海に、明るく笑いかけて。
    「出すときはこうして皆で一緒に、がいいな……」
     それが、殊の願い。
    「みんなで一緒にね……いいわ。何が何でもまたここに来る」
    「倒れても、俺はゾンビになってでもここまで来てやるぜ!」
     朱海の宣言に、瞬が笑って答える。
    「……そうだね。……一緒に、取りに来る。皆で、一緒に」
     ユリアーネも、ちょっと嬉しそうで。
     朱海のスカーフに毛筆で残す、『百鬼狂騒』の4文字。その名であったことを、ずっと残しておくために。

     【井の頭3-1】は、高校最後の思い出に。
     勇人は髪紐、誰歌は10年保つ缶詰と手紙。翔は野球道具と卒業写真の焼き増し。優志は封筒に写真を入れて。
    「十年後、かー」
     想像できない、と言う勇人。
    「今を戦えばいいんですよ。10年後にも誰1人欠けることのないように、ね?」
     それが翔の答え。
     掘り出す時に、今日の思い出を笑いながら話せたらいい。
    「こういう時って、アディオスって言いながら投げ込むんだったか?」
     誰歌の言葉に、誰かが笑って答えて。
     誰1人欠けることなくいられるだろうか。10年後を想像するのは少し怖くて、少し楽しいと優志は思う。
     10年後、また『此処』で――。

    「……皆が楽しそうな姿を見られるのは、嬉しいな」
     何も持たずに来たという貢は、今日は力仕事担当だと。
    「鈴森君は、楽しいか」
     今日はよく目が合う貢に問われて、ひなたは「とてもいい日になりました」と。

     満戯家の冬斗、秋子、春太は3人で参加。
     冬斗は手紙を3通。秋子へと、春太へ。自分への手紙には、2人の写真を忍ばせて。何より大切な妹と弟。
     秋子は花の栞。冬斗の「侘助」、春太の「雪柳」。前だけを見て、生きていく。
     春太が入れるのは、とーちゃんとかーちゃんがよく読んでくれた絵本。
     10年先。ムツカシイことはわからないけれど、変わらないだいすきはわかる。
    (「この先何があっても、こうして3人でいられるように」)

     いつもは暁1人が描くスケッチブックに、アリスと描く2人の証。
     暁の描く天使像のデッサンに、アリスが描く天使像の設計図。
    「きっと大作になるね」
    「二人で考えたのよ? 当たり前だわ」
     重なる笑顔に確信込めて。
     今までを、これからを忘れずに。いつか刻んだ日々を思い出すために。
     10年後の約束をしよう

     周は手紙と写真、徹太はSDカード。こっそりボイスレコーダーも。
     高校生活2年間の思い出ってやつ。塗り絵とか、もう既に懐かしい。
     27か28の自分達には黒歴史かもしれないけれど、未来の自分達に笑顔とバカを取り戻してやろう。
     今も毎日楽しいし、多分10年後もそんな感じ!

     錠は手製のネクタイピンを天鵞絨の布に包んで、10年後の葉へ。
     葉は、小さなカプセルトイの容器を1つ。
     先のことを考えることは苦手だという葉。カプセルを開ける時にもし自分がいなかったら、代わりに開けていいぜ。
    「ばーか、こういう時は一緒に堀りに行こうぜって言うんだろうが」
     錠が答える。この先もきっと、俺達はずっとつるんでいるんだろう?

    ●土をかけていきましょう
     病院つながり、【殲治院】の4人。
     犬釘は周囲を見回して。病院関係者が結構参加してるんだな、と。
     先のことはわからなくても、何か残しておくのも悪くない。
     犬釘自身の写真に「何をしてる?」のメッセージ。皆の分まで密封も万全、GPS測定機で位置も万全。
    「10年先まで生きていきたいですね」
     レクシィは、水晶の箱。手紙を入れて、自分や周りの人達へ。
     自分達が今を生きた証。また10年後に相まみえましょう。
    『前略私 今、幸せですか? 10年前の私は……とっても幸せです!』
     明海から未来の明海へ。10年後があるなら、その時も幸せであったらいい。
     城治は、仲間と動物園での写真。混ざっていた古い写真も、ともに。
     そっと手紙も入れておく。恐らく自分のいない10年後、詫びのひとつもいるだろうから。

     目を潤ませる友陽。
     鈴森君があんなこと言うから。ひなたは、友陽へとそっと歩み寄る。
     10年後、オレ、いるかな。
     熱いのもモヤモヤも、血と一緒に抜きたいけれど、注射器がうまく定まらない。

     ドラクルは自分宛ての手紙。10年後の自分が挫けていたら、この手紙で励ましてやろう。
     一歩踏み出すことも恐れていたけれど、大切なものができた今だから。
     佐祐理は集合写真を2枚。今は亡き病院の仲間のもの。武蔵坂のクラブの仲間のもの。
     病院の皆ですね、と、ひなたが微笑む。
     10年後に、自分たちがここにいなくても。ここの人が思い出してくれるといい。

     樹から拓馬へ、感謝の手紙と古い御守り。中身が気にはなるけれど、それは10年後を楽しみに。厳しい依頼から帰ってこられない時のためのものだったけれど、今はもうそうじゃないから。
     拓馬は形見のチョーカーを。記憶は胸の中にひそめて、これからは樹と先に進んでいく。

     未来へ送ろう、今の幸せを。
    「ももは、10年後も可愛いと思うよ」
     憂う気持ちは心に仕舞って、彼女には笑顔で。
    「えあんさんは……10年後もカッコいいのよ」
     彼の心の傷を知っているから……約束は強請らない。
     幸せを重ねていけるよう願いを込めて。エアンは彼女の髪にキスひとつ、シャッターを切る。

     燦と焔叢、恋人つなぎで指を絡めて。
     封筒には焔叢手書きのクリスマスカードと、二人で行った旅行写真。
    「10年経っても、関係は変わらない」
    「……当然、一生、そばにいるし、居て欲しいし……」
     あ、でも、変わりたいな……。
    「もっともっと……好きになりたい」
     人目も気にせず唇を奪う燦の頭を、そっと撫でる焔叢の手。

     百花と茉莉、卒業記念に制服姿のらぶらぶ写真。
    「今のあたし達と、どっちがらぶらぶかしら?」
    「……きっと、今の私たちに負けないくらい、らぶらぶです」
     百花が茉莉に抱きつく笑顔の写真。メッセージを入れて、ピンクの封筒にイン!
     キス写真もこっそりと。百花さんの10年後の反応が、今から楽しみ。

     【文月探偵事務所】を覗くひなたに、七波は着ぐるみ姿でサムズアップ!
    「本当は着ぐるみ入れたいぐらいですが……」
     七波はクラブの写真。着ぐるみ姿で騒ぐ、今のありのままを。
     イフリートのぬいぐるみは、毬衣作。首輪には「そろそろお母さんになれていますか?」
     ロジオンは、来日時からのティーカップ。記憶は薄れても、物が思い出させてくれるから。
     イフリート、オオカミ、ヒマワリ。クラブの皆の着ぐるみがモチーフの着ぐるみ人形は、もちろん直哉の手づくり。目つきの悪い、黒猫着ぐるみ人形も!
     10年後もまた、皆でここへ。

     天摩は一人ひっそりと、今はもういない親友のゴーグルを埋めた。
    「生きていたら、必ず取りにくるっす」
     今はまだ、向き合えないけれど、未来の自分に期待をかけて。

     たくさんの「今」を詰めたタイムカプセル、いつしかひなたは涙目で。
     埋めるだけで満足なつもりだったけれど――10年後もここに来れたらと、強く思った。

     また10年後、武蔵坂学園の校庭で。
     このニレの木の下で、会いましょう――。   

    作者:海乃もずく 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年3月14日
    難度:簡単
    参加:92人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 3/素敵だった 12/キャラが大事にされていた 17
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