偽りの子供

    作者:星原なゆた

     ランドセルを背負った少女達が遠くの踏切を指さし、口を開いた。
    「知ってる? あの踏切、出るんだって」
     その言葉に隣の友人は小さく頷いた。
    「ああ、小さい子供の幽霊でしょ? 半年前に事故で亡くなったっていう……」
    「そうそう。で、その子が『おいでおいで』って、手招くんだよね」
    「その手招きに応じると電車にはねられちゃうっていう……」
     噂の全貌を語り合った二人は顔を見合わせて、
    「「怖っ!!!」」
     と叫んだ。
     その様子を花束を持った女性が見つめていたが、少女達は女性に気を留めることなく去っていった。


    「お集まりいただき、ありがとうございます」
     園川・槙奈(高校生エクスブレイン・dn0053)は教室に集まった灼滅者達にそう言うと手元の資料を開いた。
    「今回現れたのは幼い男の子の姿をした都市伝説です。みなさんには、この都市伝説の灼滅をお願いしたいんです」
     今回の都市伝説は、とある住宅街で半年前に電車にはねられ命を落とした子供がモデルとなっている。そのため、この都市伝説は踏切の遮断機が下がり電車が通過するわずかな時間に現れるのだ。
     幸か不幸か、この踏切は『開かずの踏切』と呼ばれ、なかなか遮断機が上がらない時間帯がある。その時間帯である午前七時から午前九時の間に都市伝説と接触するのが無難だろう。
     槙奈はそこまで言うと、困惑の表情を浮かべた。
    「この都市伝説が発生した要因として、一人の一般人女性が深く関わっているんです」
     その女性は事故死した子供の母親だ。彼女の想いが周りの噂と融合し、この都市伝説を具現化させてしまったのだ。
    「この都市伝説は母親の想いに縛られている存在と言えるでしょう。そのため、母親から『天国へ行っていいよ』などの『別れの言葉』を告げられれば、自然消滅できるはずです」
     ただ、自然消滅はとても難しい事だとも槙奈は告げた。
     亡くした我が子を想い続け、都市伝説を作り上げてしまったほどの母親だ。我が子そっくりの子供を前に、嘘でも『さようなら』などと言えるだろうか。また、都市伝説との戦闘になった際、傍にいた母親は戦闘に巻き込まれることになってしまう。そして、母親が都市伝説の灼滅を見てしまった場合、母親の精神には莫大な負荷がかかるだろう。
    「悲しみが生んだ都市伝説……。できることなら円満に終わらせてあげたいとは思うのですが……」
     母親は毎日踏切に花を供えに来るのだが、勢いよく通過する電車に恐怖を感じているため、遮断機が下りた状態の踏切前に立ったことはない。ただ、いつか必ず都市伝説と遭遇する日は来るだろう。その時、彼女は子供の招きに応えてしまうのかもしれない。
     槙奈は深いため息をつき、資料をめくった。
    「それでは……、都市伝説の戦闘能力についてお伝えしますね。この都市伝説は神薙使いのようなサイキックを使って攻撃してきます。みなさんのお力なら、油断さえしなければ問題なく倒せる相手です」
     色々と思うところがあるのだろうか。槙奈は複雑な表情を浮かべ、灼滅者達へと視線を向ける。 
    「……今回の件は何が最善の方法なのか、私にはわかりません。どうか、みなさんに悔いが残らないよう行動していただけたらと思います」
     槙奈はそう言うと深々と頭を下げたのだった。


    参加者
    上総・鉄(月暈・d04137)
    リュシール・オーギュスト(お姉ちゃんだから・d04213)
    海堂・月子(ディープブラッド・d06929)
    ゼノビア・ハーストレイリア(神名に於いて是を鋳造す・d08218)
    エルシャ・プルート(スケッチブックと百面相・d11544)
    小野・花梨菜(寿ぎのカノープス・d17241)
    深海・水花(鮮血の使徒・d20595)
    日之森・ジゼル(角晒し・d24504)

    ■リプレイ

    ●開かずの踏切
     午前七時、件の踏切から少し離れた十字路に花束を持った女性が立っている。きっと例の母親だろう。虚ろな目で、ひたすら踏切を見つめている。
     それ以外に人影は無い。どうやら地元住人は、なかなか開かないこの踏切を避け、少々遠くの迂回路を使っているようだ。
    (「本当は送ってあげる方がイイのでしょう。それに関われる人もいる……。でも、私達は選択した。あとは実行して終わらせるだけね」)
     海堂・月子(ディープブラッド・d06929)は離れた場所で踏切を見つめ、都市伝説と対峙する時を待つ。そんな中、ゼノビア・ハーストレイリア(神名に於いて是を鋳造す・d08218)、上総・鉄(月暈・d04137)、日之森・ジゼル(角晒し・d24504)の三名が女性へと歩み寄った。
    「其処のお姉さん、少し尋ねたいんだけどさァ」
     鉄が女性に声を掛け、ゼノビアが魂鎮めの風で眠らせる。女性の手からすり抜けていく花束をジゼルが受け止め、倒れこむ女性は鉄がしっかり抱きとめた。そのまま女性を担ぐと、鉄達は近くの公園へと向かった。
    (「都市伝説を生み出す程に強い思いか。未練だとかいう感情、オレ様は嫌いじゃねーぜ」)
     正直、鉄は彼女が子供に別れを告げたとしても、この件が終わるとは思っていない。
     苦しみも人の大切な感情。悲しんで、嘆いて、それでも生きていくのが人間だ。だからこそ、鉄は負の思いも肯定する。
     鉄は公園のベンチに女性を寝かせると自分の上着を掛けた。
    「春先とはいえ、まだ寒いしね」
     ジゼルも自らの上着を脱ぎ、女性の膝へと掛ける。
     せめて夢の中では子供と笑っていられたら……。ジゼルは寝顔を見つめ、そう思った。
    「銀、後は任せたぜ」
     霊犬の銀に女性を任せると、すぐに三人は小野・花梨菜(寿ぎのカノープス・d17241)達と合流した。
     カンカンカンとけたたましい音が辺りに響く。遮断機が下り、いよいよ『その時』がやって来た。
     踏切の中で、無邪気な笑みを浮かべて手招く幼子が目に映る。
     すかさずジゼルが殺界形成を発動し、リュシール・オーギュスト(お姉ちゃんだから・d04213)がサウンドシャッターを発動した。
    「眠れぬ夜を終わりにしましょう?」
     月子は幼子に向かい声をかけると、花弁のような影を回せながら戦闘態勢へと移行する。深海・水花(鮮血の使徒・d20595)とエルシャ・プルート(スケッチブックと百面相・d11544)、他の仲間達もすばやくカードを解除し、幼子を模した都市伝説と対峙した。

    ●偽りの子供
    「ごめんなさい、私達の力不足でアナタを苦しめるわ」
     懺悔では無く謝罪でも無い。ただの現実を告げると、月子は尖烈のドグマスパイクを繰り出した。突き刺した杭が肉体をねじ切るように高速回転し、幼い都市伝説は泣き叫ぶ。
    (「オレ等にとってはガキは偽物だが、彼女にとっては本物なのかもな。だからこそ、絶対に彼女には傷を付けさせねェ!」)
     鉄は目の前で本物の子供のように振舞う都市伝説を睨みつけると、異形巨大化させた腕で殴りつけた。すかさず水花がガンナイフを構え、狙いを定める。
    「神の名の下に。……迷える子羊よ、安らかに眠りなさい」
     水花はホーミングバレットを放った。特殊弾を受けた子供は泣きじゃくりながらも必死にママを呼んでいる。
    「ママ……ママ、こわいよ……いたいよぉ」
     突然、子供の周りで風が起こった。激しく渦巻く風の刃が水花に向かって襲い掛かる。しかし、その一撃は月子が受けとめた。月子のバベルブレイカーが風の刃を薙ぎ払う。
    「海堂先輩、ありがとうございます」
    「仲間だもの、お礼なんていいのよ」
     月子は余裕の笑みでそう言った。すかさずエルシャが集気法で月子を癒す。
    (「槙奈さんが言ってたみたいに自然消滅させてあげるのが一番だとは思うんだけど……一般の人を危険にさらすわけにはいかないよね」)
     母親を巻き込まずに済んだこの作戦は、賢明な判断だと胸を張って言える。
     エルシャは都市伝説を見つめ、強くそう思った。
     そんな中、ゼノビアが鬼神変を繰り出した。容赦無く殴り飛ばされた子供が泣き叫ぶ。
    「いたいよぅ……、こわいよぅ……」
     本物の子供のように涙を流すその姿は、偽りだとわかっていても痛々しかった。
     相手は都市伝説で、本物の子供じゃないのは重々承知だ。けれど、せめて、この子に負担を与えないよう早期の灼滅をしてあげたい。
     ゼノビアにあるのはその一心だ。そして、早期の灼滅を望むのはリュシールも同じだった。
    「今ここにいて悲しんでる以上、あなたは幻なんかじゃない。存在する子供よ。……だからこそ、私はあなたを速やかに送るわ。天国まで手を引いてあげる……誰も幸せになんてなれない、地獄行きの罪を犯さない様に!」
     リュシール・オーギュストは日本刀を構えると、素早い動きで間合いを詰める。そして、重い斬撃を振り下ろした。より一層、子供の泣き声が大きくなる。
    「……ごめんなさい、痛いでしょうけど我慢してくださいね……!」
     花梨菜も尖烈のドグマスパイクで攻撃した。すかさずジゼルの鬼神変も繰り出される。
     皆、一刻も早く都市伝説を灼滅すべく、一撃一撃に力を込めた。

    ●滅びの時
    「此処はあなたの居るべき所ではありません。在るべき場所へ還りなさい」
     水花は構えたガンナイフからホーミングバレットを放ち、ジゼルはフォースブレイクで子供を体内から爆破する。子供は怒涛の攻撃にボロボロだ。なのに、まだ動く。まだ動けるのだ。母親の執念とはこんなにも強いものなのか。
    「なんで……いたくするの? いたいの……やだぁ!」
     子供の周りに再び風が起こった。激しく渦巻く風の刃がゼノビアを切り裂いた。ゼノビアは風圧と痛みに耐え、拳を構える。
    「……負けないの」
     ゼノビアが閃光百裂拳を繰り出した。子供が『ママ、ママ』と繰り返す。それを見た花梨菜の胸は締め付けられた。
    (「この子を、早く空へ送ってあげたい。……この子の元になった子が空へと旅立ったように……」)
     目の前の幼子と保護した母親、その両方を苦しみから解放してあげたい。その思いが花梨菜を突き動かす。
    「だから、出来る限り早く終わらせる……!」
     花梨菜はマテリアルロッドを振りかざし、フォースブレイクで子供を攻撃。すかさずエルシャの影が伸びて子供を飲み込み、鉄はオーラを纏った凄まじい拳の連打を打ち込んだ。皆で一丸となって都市伝説を一気に攻める。戦闘が無駄に延びるのだけは避けたかった。
    「もう苦しまなくてもいいの、安らかに眠っていいの……お母さんの心へは、必ず何かを届けて見せるから」
     リュシールは優しくそう告げると、神秘的な歌声で子供を確実に終焉へと近づけていく。
    「その苦しみを今終わらせるわ」
     そう言ったのは月子だった。彼の絶望、母の執念、その全てを抉るように影が子供を喰らった。
    「これで終わりよ、眠りなさい」
     月子の言葉と共に都市伝説は灼滅された。全てが終わり、ジゼルとリュシールが戦場に施したESPを解除する。
     その数秒後、開かずの踏切を電車が通過した。まるで、都市伝説なんて初めから存在しなかったかのように、辺りにはいつもと変わらぬ日常が広がっていた。
     月子がリュシールの肩にぽんと触れる。
    「悪いけれど後は任せるわ。――また何処かで会いましょう」
    (「私の出来る事は多分もう終わり。後の事はリュシーちゃん達に任せるわ」)
     仲間に母親へのフォローを託し、月子はその場を後にした。

    ●贈る言葉
     月子に後を任された仲間達は女性が眠る公園へと移動した。銀は鉄の言いつけ通り、ベンチで眠る女性に寄り添い待っていた。
    「銀、待たせたな!」
     鉄の言葉に銀が嬉しそうに尻尾を振った。その横ではエルシャが女性の肩に触れ、優しく揺り起こす。
    (「いつまでも自分のこと思っててくれるのって、子供にとってはすごく幸せだと思う。だけど、大好きなお母さんがいつまでも自分を思って泣いてたらきっと辛いんじゃないかな」)
     それがエルシャの思いだ。
    (「今すぐさよならしなくてもいい。でも、少しだけ前向きに生きてあげて。あの子のためにも」)
     エルシャは女性にそっと微笑みかけると、恥ずかしそうにジゼルの後ろに身を隠した。
    「……あの、あなた方は?」
    「通りすがりの者です。お疲れのようだったので此処までお運びしました」
     戸惑う女性にジゼルが答える。
    「まあ……そうだったのね、最近ずっと眠れてないものだから……。上着まで……ご親切にどうも……」
     女性はそう言うと、体に掛けられていた鉄とジゼルの上着を返した。ジゼルは上着を受け取りながら、さりげなく女性に話題を振った。
    「先ほど、踏切を眺めていたようですが……」
     その言葉に女性はピクッと反応を示す。
    「……もしかして、亡くなった子のお母様ですか?」
     水花が手にしたスノーフレークの花束を見つめ、女性に訊ねた。
    「ええ、そうです……。あの、そのお花……もしかして……」
     女性の言葉に、亡くなった子へ供える花だと水花が告げた。
    「ウチの子のために、ありがとうございます……」
     深々と頭を下げ、女性が言う。水花は女性に頭を上げてもらうと、例の噂について話し始めた。
    「最近、踏切に子供の幽霊が出ると噂が立っているようですね」
    「ええ……、そうみたいね」
     水花の言葉に女性が小さく頷く。
    「……酷い話です、面白半分にそんな噂をするなんて。でも、お子さんは元気が無いお母様の事を心配していると思います」
     水花はそう言うと、女性の目をまっすぐ見つめた。
    「忘れろとは申しません。ただ、一生悲しみに暮れる事をお子さんは望むでしょうか。もし、お子さんと逆の立場なら自分はどう思うか、一度考えてみてください」
     ……私なら、時々で良いから自分の事を思い出して、そして幸せになってくれたらそれで充分だと思います。
     水花がそう告げる。その横では、返却された上着を着た鉄が女性を見つめていた。
     心配なのは、彼女が子の後を追って死を選ぶこと。
     そう考えた鉄は、持ち前の明るさで力強い言葉を紡ぐ。
    「あのさァ、そんだけ強く思えるのなら、その胸の中でガキは生きてんじゃねーの? 月並みだけどさ、あんたが死んだらガキをもう一度殺すことになるとオレは思うぜ」
     その言葉に女性が目を見開く。女性は心のどこかで、子供の元へ行きたいと望んでいたのかもしれない。
    「ゼノビアは……転生とか……幽霊さんは信じない。亡くなった人は……先に行くの。決して……後ろへは戻らない。それが……ルールだと思うから……」
     ゼノビアは女性の傍で、たどたどしくも懸命にそう告げる。
    「……そうね。前向きに生きなきゃ、って……頭ではわかっているんだけど、ね……」
     ベンチの置かれた花束を見つめ、女性は寂しそうにそう言った。そんな女性にジゼルが優しく声をかける。
    「お花、供えに行きましょう?」
     その言葉に女性が頷き、皆で踏み切りへと向かう。すると、近くから気になる話し声が聞こえてきた。声の主は花梨菜とリュシールなのだが、女性が知る由もない。女性は静かに少女達を見つめた。
    「ここで亡くなってしまった子がいるって、聞いたんですよ……」
     幼い子供の幽霊がおいでおいでと手招く、と。
     花梨菜は女性の耳に届く声で、都市伝説が生まれた噂を口にした。
    「その噂知ってる。でも酷い嘘! もし私なら絶対しないもの!」
     リュシールが声を荒げてそう言う。それは、両親を失い、弟妹をたった一人で守ってきた少女の心の叫びだった。
    「私だってパパやママにもう一度会いたいわ。招きたいわ。でも、心配させて安らかな眠りから引きずり出したくない! まして子供なら、早く眠ってもう一度生まれて来たい筈よ!」
     普段は『お姉ちゃんだから』と己を律しているリュシール。だが今は、堰を切ったように感情が溢れ、内に秘めていた本音を吐露する。
    「なによ、悲しいの私だけじゃないもの……弟や妹だって! なのに私が率先して泣いてちゃ皆どんどん……ッ」
     リュシールの声が涙を含んだ物へと変わる。その背中を花梨菜が優しく撫で擦った。
    「わたしも、その噂は嘘だと思います」
     花梨菜が言う。その言葉達は傍にいた女性にもはっきり届いているだろう。
    「わたし、……その子は今、きっと天国で次に生まれて降りてくる順番を待っているんだと思います……」
     そう、子供はきっと天国へ向かっている。母親が悲しい気持ちでいたら、亡くなってしまった子は母親への未練を残したままで天国へいけなくなってしまう。
     それでは母と子、どちらも不幸なままだ。
    「だから、今は無理かもしれませんけど、いずれは、その子のお母さんには前を向いて歩いていってほしいです……」
     お母さんにはその想いを断ち切ってほしい。どうか……どうか……。
     花梨菜は祈るような想いで言葉を紡いだ。リュシールと花梨菜は踏切前で膝を付いて手を合わせると、そのまま立ち去る。女性はその一部始終を見つめていた。
     ゼノビアが女性の袖をクイクイ引っ張る。
    「全て覚えている事は……大変さんなの。……昔ね……ママが言ってたの……」
     人が忘れてしまうのは、神様が与えてくれた許しなのよ。
     それが、母からの教えだ。ゼノビアは拙い言葉で、でも一生懸命、母の教えを女性に伝える。そんなゼノビアに女性は優しい笑みを浮かべた。
    「忘れてしまえたら、楽なのかもしれないわね。……でも、おばさんには、まだ少し難しいかもしれないわ」
     女性のそんな言葉にジゼルが口を開いた。少しでも女性の助けになればとジゼルは言葉を紡ぐ。
    「私も、家族死んじゃったんです。父も母も……弟も皆」
     ジゼルは朗らかな笑みを女性に向けた。そこには悲愴さは微塵も無く、辛い境遇を乗り越えた強さが垣間見える。
    「でも家族のこと好きだったし、向こうも有り難いことに私のこと、凄く好きでいてくれたから……だから、残った私は皆のこと忘れずに、元気でいようって。最近になって思えるようになりました」
     その言葉を静かに聞いていた女性は微笑んだ。
    「そうね……私が元気でいないと、ダメね」
     女性はそう言うと踏切の傍に花束を置いた。水花も女性に倣い、可愛らしい白い花束を置く。
     鉄、ジゼル、水花、ゼノビア、そしてエルシャ。五人が思い思いに祈りを捧げる。その様子を見た女性は思わず目頭を押さえた。思えば、先ほど通った少女達も踏切で祈りを捧げてくれていた。
     心無い噂に傷ついてきた女性にとって、純粋に息子の冥福を祈ってくれた彼らの姿は、いくらかの救いになったのかもしれない。
     女性は目を閉じ、天に召された我が子を想う。
     祈りを捧げるその表情は、とても穏やかなものだった。

    作者:星原なゆた 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年3月16日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 7/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ