力を見せよ、その腕で!

    作者:幾夜緋琉

    ●力を見せよ、その腕で!
     繁華街のとある一角、雑居ビルの地下を使った小さな小さなプロレスリング。
     所謂ご当地プロレス団体が試合という名の公演をする舞台。
    『Heyheyhey! さーさー、反撃してみろよYou!』
    『くっ……くそっ、負けるかーっ!!』
     芝居臭いセリフを吐きながらも、黒マスクを身につけたヒール役のプロレスラーに、ぱっと見華奢な感じで、イケメンなプロレスラーの試合。
     ……そんな二人のプロレスは、マニアックながらも、一定の客を掴んでいた様で……地下のプロレスリングは、10人程度の客の入りだった。
     そして最後には……イケメンのプロレスラーが勝つというシナリオ……だったのだが。
    『何だその甘い戦いは! 全く以てつまらないぞ!!』
     入口からカツカツと歩いてきたのは、露出の高い服に身を包んだ女。
     そしてその周りには、筋骨隆々な男。
     ……当然、それらは彼らのご当地プロレス団体には居ない者達である。
    『な、何者ですか?』
     と問いかけるが、筋骨隆々な男がリングインし……そそくさと、彼をバックドロップで気絶させる。
     ……その早業に、きょとんとしている彼や、周りの仲間達。
    『さぁ……もっと血沸き踊る戦いを! 幾らでも手合わせしてやるぞ!!』
     と、マスクを被った女は、流麗かつ、強く、その場に言い放つのであった。
     
    「皆さん、集まって頂けましたね? それでは、説明をはじめさせて頂きます」
     五十嵐・姫子は、集まった灼滅者達に軽く微笑むと共に、早速説明を始める。
    「今回現れたのは、ケツァールマスクという幹部級のアンブレイカブルと、その配下のレスラーアンブレイカブルです。彼らは千葉県某所にある、ショー的要素の高いご当地プロレス団体のプロレスリングを巡って、大立ち回りを繰り返しているみたいなのです」
    「ケツァールマスクとその配下達は、ギブアップした者を攻撃する事は無く、死者は今の所出てはいません……だが、アンブレイカブルにこてんぱんにやられた結果、心が折れてしまって、プロレスを止めてしまう者が多数出てきているみたいなのです」
    「つまり、人的被害は少ないものの……その人の一生を左右する事件を立て続けに起こしています。これを皆さんには、止めてきて欲しいのです」
     そして姫子は。
    「皆さんが相手する事になるのは、このアンブレイカブルレスラーとなります。プロレスラーと言いつつも、彼の攻撃手段はその拳と、ナイフの二つです」
    「又、このアンブレイカブルレスラー達は、ショーマン精神がかなり高い模様で、攻撃手段自体も凄い派手なモノを好んで使用してくるみたいです。逆に派手ではありますが……攻撃力はそこまで高くはありません」
    「とは言えアンブレイカブルであるのは間違い無く、一般人に対しては脅威であるのは間違いありませんし、皆さんにとっても強敵であるのは間違い無いでしょう……決して油断をしないよう、お願い致します」
    「又、ケツァールマスクですが……彼女はどうやら戦闘に参加することはない様で、配下のアンブレイカブルレスラーの戦況を見守っている模様です。しかし……アンフェアな行動を取ると、介入してくる事があるかもしれません」
    「アンフェアな行動ですが……例えばギブアップしたのに、攻撃を加えてくる行為や、戦いが一方的過ぎて、し合いが面白くないと感じた場合……などです。もしケツァールマスクと戦うとなると……ほぼ勝ち目はない、と言えますから、その点は重々注意して置いて下さい」
     そして最後に姫子は、皆をまた見渡して。
    「ともあれケツァールマスクとその配下のアンブレイカブルレスラーは、試合に勝っても、負けても、満足すれば去って行くと思います。試合の勝敗は、今回の本質的なポイントではありません」
    「つまり今回のポイントは、プロレス的な試合が成立する事、そして……その試合が盛り上がることです。周りには、このご当地プロレスを見に来たマニアな観客の方々も居ますので、その方達も合わせて盛り上げることが出来れば、きっと成功すると思います。なので皆さんには、そういった試合を心がけてみて貰いたいと思います」
     と微笑むのであった。


    参加者
    古室・智以子(中学生殺人鬼・d01029)
    加賀谷・色(苛烈色・d02643)
    海老塚・藍(フライングラグドール・d02826)
    竹尾・登(ムートアントグンター・d13258)
    綿貫・砌(強く優しいあの人たちのように・d13758)
    神宮寺・刹那(狼狐・d14143)
    神隠・雪雨(ブラックアンプル・d23924)
    アレン・クロード(チェーンソー剣愛好家・d24508)

    ■リプレイ

    ●力と共に
     姫子から話を聞いた灼滅者達。
     彼らは、ケツァールマスクが配下、幹部級のレスラーの出現の報を聞いて、灼滅者達は繁華街のとある一角にある、雑居ビルへと向かっていた。
    「それにしても、レスラーか……強いんだろうなぁ……」
    「ああ……相手が強敵だと聞くと、燃える……!」
     竹尾・登(ムートアントグンター・d13258)に、加賀谷・色(苛烈色・d02643)がニヤリと笑みを見せる。
     そんな彼の言葉に神宮寺・刹那(狼狐・d14143)が。
    「ん……何だか色さん、楽しそうですね」
    「ああ。なんだろーなー。ダークネスって言うのはわかってんだけど、フェアにこういう試合ってなると、俺もまっすぐ気持ちを返したくなるような、って感じ? ちょっと楽しいんだよなー」
    「確かに、フェアな試合を出来るならば、楽しいという気持ち……分からないでもありませんね」
     二人が交す会話。
     ……ケツァールマスクの配下、レスラー……その戦闘能力は、間違い無く高いだろう。
     しかしそんなダークネスと、変則ながらも正々堂々戦えるという事……それに嬉しさを覚えるのも、戦いに身を途怖じる灼滅者であるからこそ、解る感情かもしれない。
     とは言え、逆に言えばそれは死と隣り合わせという事でもある。
     それが怖いかと言われれば、怖いというのも真実。でもその怖さに脅えている訳にもいかないのだ。
    「……まぁ、何ですか。レスラーと言うのは余り聞いた事ありませんが、強い存在であるのは理解しました。全力で対抗すればいいわけですもんね」
    「そうだね。まぁ……出来る限りプロレスに似せるような形でしないとイケナイのは大変だけど、まぁ……皆に合わせれば何とかなるかな?」
    「ええ。勝ちに拘ることなく、派手で愉しい戦いになるようにすれば、きっとケツァールマスクも満足してくれる筈です。そういった戦いを目指すことにしましょう」
    「ああ。正々堂々、手合わせ願いたいもんだ。いつかその、後ろの強そうなおねーちゃんともな」
    「解ったの……あ」
     神隠・雪雨(ブラックアンプル・d23924)と、綿貫・砌(強く優しいあの人たちのように・d13758)アレン・クロード(チェーンソー剣愛好家・d24508)、色らの言葉に、古室・智以子(中学生殺人鬼・d01029)は、ふと声を上げる。
    「……ん? ……どうしたの?」
     海老塚・藍(フライングラグドール・d02826)がおずおずと訊ねると、それに智以子は。
    「……リングネームを考えておくべきだったの。リングに上がるんなら、リングネームは必須なの」
    「えっと……」
     智以子の言葉に、言葉に詰まる藍……ともあれ、ケツァールマスクの配下、アンブレイカブルレスラーを倒すのが今回の目的な訳で。
    「ま……冗談なの」
     と智以子はそう皆に言い捨てる……とは言えその表情は笑ってはいない。
     これは真剣勝負……決して油断ならない敵。
     ……そんな無言の言葉に、周りの仲間達も静かに頷き……そして彼らは、雑居ビルの地下へと向かうのであった。

    ●力を見せし刻
     そして……雑居ビルの地下のプロレスリング。
     そんなに大きくは無い、ご当地プロレス団体の興業の真っ最中で、芝居臭いセリフを履きつつも、10人程の観客達を楽しませようと。
    『くっ……くそっ、負けてたまるかーっ!』
    『ふははは-。弱い弱い。その程度の力では、私に勝つ事など出来やしないのだYou!』
     と、腹から声を出して、観客達を盛り上げてようとするプロレスラー達。
     ……そしてそんなプロレスラー達に対して、周りの観客達も。
    『そうだそうだー、ガンバレー!!』
    『まけんなよー!!』
     と、暖かい言葉を掛けてくれる。
     ……そんなアットホームなプロレス会場……其処に、やってきた二人。
     かなり露出度の高い服装で、頭に鳥の帽子のような物を被った女と、上半身裸で、筋骨隆々の男。
     ……そして鳥の帽子の女が。
    『何だその甘い戦いは! そんな戦い、全く以てつまらんぞ!!』
     会場に響き渡る声……そしてその声に対して驚いた、悪役のプロレスラーが。
    『な、何者ですか?』
     と声を返すが、それに筋骨隆々の男が速攻でリングイン、そして……彼を即座にバックドロップ。
    『がぁ……!?』
     と、呻き声を上げ……そして。
    『さぁ……もっと血沸き踊る戦いを店よ! 幾らでも手合わせしてやるぞ!!』
     とケツァールマスクが叫んだ、その時。
    「まてぇぇぇぇいい!!」
     その場に居るレスラー、一般人だけでなく、全ての者達に対し声ではなく、心の中に響く言葉。
     智以子の割り込みヴォイスが、リングサイドの皆に聞こえると共に、灼滅者達がその場に登場する。そして。
    「卑怯だぞー! 相手が混乱してる間に問答無用とは卑怯きわまりない!!」
     来るも来るなり声を上げる雪雨……それに振り返ったケツァールマスクと、アンブレイカブルレスラー。
     ……既に目の前には、バックドロップを受けて、動けないプロレスラーがぴくぴく、と呻いてる中で。
    『何だ、おまえ達は?』
     と、ケツァールマスクが問いかけると、智以子が。
    「そのバックドロップは、相手の油断があったとは言え、全くの不意打ちだと思う。そんな卑怯な所業を見逃す訳にはいかない。我々が相手となろう!」
     更に砌と色、アレンが。
    「一方的な戦いは許さないよ! 漢らしく、僕らと真っ向勝負だっ!!」
    「そのレスラーの敵討ちだ!! 勝負しろ!!」
    「そうだそうだ! 俺達が相手になってやる!!」
     次々と言い放つ灼滅者達の言葉……それにケツァールマスクは、はははは、と笑いながら。
    『面白いではないか。しかし一対八か? それは些かお前達も卑怯とは言えるのでは無いかな?』
    「ええ。流石に八人がかりではこちらが卑怯。そこで、二人ずつの四戦をする事で勝負を付けるのはどう?」
    「我々八人と、ペット対あなたで、2対1の変則四本タッグマッチで勝負なさいな!」
     智以子と雪雨の言葉に、レスラーが、ケツァールマスクに訊ねるように視線を向ける。
     ……それにケツァールマスクは。
    『ふむ……まぁそれもそれで面白そうではないか。ではその戦いで行くとしようではないか!!』
     ケツァールマスクも同意、そしてそれに頷き。
    「では、まずは僕達が相手しよう」
     とアレン、雪雨がポールサイドからリングイン。
     ジャンプで、クルクルと回転し、しゅたっ、と立つと共に、スタイリッシュモードで、赤色の貴族風の服に着替えたアレンと、仮面に忍び装束を着た雪雨。
    「仮面の忍者ゴットホーンは、美少女ゆきめとは一切関係ありません!」
     ……そんな言葉を、誰に向けてかは解らないが吐く雪雨……そして雪雨はアレンに視線を配りつつ。
    「さぁ、行きますよアレンくん! 忍法お客さんを味方に付けるの術!!」
     拳を振り上げアピールする雪雨、それにアレンも、マントをばさっ、と翻して軽く微笑む。
     ……それに、周りの観客達はわぁぁ、と声を上げて応える……そして、アレンと雪雨対、レスラーの第一戦闘のゴングが鳴る。
    「良い子はお薬ダメ、絶対!」
     アレンは騒音刃で、派手に攻撃を仕掛ける一方、雪雨はドーピングニトロで自己ブースト。
     ……しかしその攻撃は、レスラーが両手をクロスしてディフェンス……そして彼の攻撃は、その太い、丸太のような腕を振り落としての攻撃。
     その動きはかなり素早く、アレンの身体をリングサイドロープに向けて飛んでいく。
     しかしリングサイドロープに叩き付けられた勢いを利用して、アレンはそのまま近接、轟雷の攻撃。
     そして合わせるように雪雨は。
    「忍法・麻痺手刀!」
     と、逆サイドからの殲術執刀法で、ダブルサイドからの攻撃……一撃が決まる。
     しかし彼は、全く以て効いている風ではない。逆にニヤリと笑みを浮かべる。
     そして反撃……またもアレンを狙ってタックル。
     流石にその一撃は、アレンの体力を一挙に奪う……その場に片膝から崩れ落ちてしまう彼に、咄嗟に雪雨が。
    「ぎ、ギブアップー!!」
     と両手を挙げてギブアップ宣言。
    『ストップ!! ギブアップしてるヤツに攻撃する事は無いよ!!』
     それにケツァールマスクがレスラーを止めて、彼も従う。
    「ふぅん……中々強い相手みたいだね。だけど、まだまだ本番はこれからだよ!!」
     と登が不意に、リングサイドへ。
     そして逆側から藍もパーカーを羽織りつつ。
    「そうだな。次は私が相手をしよう」
     とリングに上がる。
     そして登の闇纏の解除にタイミングを合わせて、藍もマントとパーカーを脱ぎ捨てて宣戦布告……下に来ていたラグドールをモチーフにデザインされたキャットスーツ&マスク姿を披露する。
     そして、マントがリングサイドにふわりと墜ちると共に、第二戦のゴングが鳴る。
    「さぁ、深大寺からやってきたご当地レスラー、ダルマ仮面だ! リングでの無法は許さないよ!!」
     登の宣言と共に、リングサイドにライドキャリバーを配置する。
     ……そしてその言葉と共に、登が鋼鉄拳アックスボンバー、藍が鬼神変ラリアットと攻撃。
     登、藍は、スピードを活かした攻撃を次々と繰り出していく……余り大きなダメージは与えられないものの、素早さで圧倒しようと。
     ……その攻撃手段に、レスラーは最初の内は、左、右と攻撃を受け、着実にダメージを喰らっていく。
     しかし数ターンが経過すると、レスラーも、その素早さに目が慣れ始めたようで、次第に攻撃が交されるようになる。
     勿論登と藍も、サイキック斬りとスパイラルジェイドに攻撃手段をシフトして、見切り効果を切ろうとするのだが。
    『……ふんっ!』
     やはり、彼の武器はその丸太のような腕。
     空気を切り裂くように、大きく振り回して……攻撃してきた藍をリングサイドへ吹き飛ばしてしまう。
     アスファルトの地面に叩き付けられた藍……強烈な痛みに数秒、身体が動かせなかったが。
    「あきらめない……!!」
    「そうだ。負けてたまるかー!」
     藍の声に呼応するように、登も声を上げて対抗。
     心は決して負けてはいない……しかし、レスラーの実力はそれを上回っていた。
     その勢いは止める事は出来ず、それから数ターンの内に、登る、藍はどちらもリングオフに吹き飛ばされてしまうのであった。

     そして二戦終了……レスラーは、多少は体力は削れている物の、まだまだ元気。
    『まったく……確かに最初に居たレスラー達に比べれば、少しは歯応えがある様だけどねぇ』
    「っ……」
     唇を噛みしめる登……その肩をぽん、と叩く色。
    「大丈夫……次は俺達が相手だ」
     色がニッ、と笑うと共に、智以子と共に両者リングイン。
     そして色はレスラーを見て。
    「俺、強い相手と戦うのは好きなんだ……あんたも同じならすげぇ嬉しいし、楽しい事になりそうだな」
    「そうなの」
     色に智以子が頷く……そして色は智以子のリングコスチュームを見て。
    「……俺はまだ修行中だし、派手なコスチュームはねぇんだよな……」
    「……これがわたしのリングコスなの……余り見ないで欲しいの」
     ちょっと智以子は恥ずかしい様であるが……戦いとなれば、恥ずかしがっている訳にはいかない。
     二人は声を掛け合い、コンビネーションを活かす形で、レスラーに対峙。
    「さぁ、いくぜ智以子!」
    「了解なの」
     色が抗雷撃を放つと、智以子は派手に動きながらオーラキャノン。
     リングを並行に放つ一撃で、逃げ道を無くす様な攻撃を喰らわせていく……そして、連続して彼に接近すると共に。
    「おりゃあああ!!」
     と、地獄投げ……流石に、かなりのダメージをレスラーに与える。
     が、強力なダークネスである彼は、その攻撃数撃を喰らっても、やっと半分を超えた程度。
     それが彼の血を沸き踊らせたようで、彼は身を翻しながら、反撃の猛攻を繰り出し、智以子と色へとダメージを蓄積。
     ……そして危険領域に陥る前に、智以子のギブアップ宣言、そしてそれと交代する様に、すぐさま砌と刹那がリングに入る。
    「さて、最後の試合ですが、しっかり盛り上げていきましょうか!」
    「ええ。唄って踊ってプロレスも出来る! 淫魔風シャドウハンター、ミギリンスター☆ただいま参上♪」
     刹那に砌がプリンセスモードで可愛らしく変身しつつ、観客の気持ちをぐっと引き寄せる。
     そして。
    「まずは軽く行きますか」
    「そうだね♪」
     刹那の閃光百裂拳に、砌のブラックフォーム……更にレーヴァテイン、トラウナックル……とサイキックを続けて叩き込んで行く。
     流石に連続四戦を経て、レスラーの体力もかなり疲弊しつつある。
     そしてその疲弊の隙をついて……刹那が。
    「これで決めます!」
     と、渾身のシャイニングウィザードと同時の戦艦斬りを叩き込み……そしてそれと同時に砌が。
    「ミギリンスターの一撃、喰らいな♪」
     と、ポールからジャンプし、勢いを付けてのご当地ダイナミックで、レスラーの身体を、地面へと叩き落とし……その一撃に、レスラーはうがあああ、と大きな声で呻くのであった。

    ●最後は手を取り
    『……ふむ。中々の実力だな!! もういいぞ!!』
     半ば朦朧としているレスラーに、ケツァールマスクはそう声を掛ける。
     しかし脚はふらふら……ゆらゆら、と揺れている彼。そんな彼に、再度ケツァールマスクは。
    『しっかりしろ、お前はその程度なのか!!』
     再度、ケツァールマスクの声が響くと、ぶんぶんっ、と首を振って、レスラーは気を取り戻して、ケツァールマスクの脇に控える。
     ……そしてケツァールマスクは、灼滅者達に向けて。
    『しかし、お前達も中々強いな。正直、もっと期待外れかと思っていたのだが……久しぶりに血湧き肉躍る戦いだったぞ!』
    「ああ……こっちも楽しめる、良い勝負でした。また、何処か出会えたのなら、戦いたいものです」
    「ええ。本当、レスラーさんも、強かったですよ……大変、強敵でした」
     刹那と藍の言葉、そして智以子も。
    「そうなの。またどこかの戦場で、再戦を出来たら嬉しいの」
     と、手を差し出す。
     そんな灼滅者達の言葉に、ケツァールマスクは。
    『ああ。そうだな、また機械があれば、宜しく頼もうじゃないか!! 灼滅者達よ!』
     と、手を握り返す。
     ……女性ながらに、かなり強い握力……そしてケツァールマスクは。
    『それでは今日はここらで失礼するとしよう。ではな!!』
     と言って、レスラーを伴い、その場を去って行く。
     ……そして、去った後のプロレス会場……。
    『……すげぇ、すげえよ、こんな熱いプロレス、初めて見た!!』
    『ああ。すげーぜあいつら!』
     観客と、このプロレスリングのプロレスラー達が、灼滅者達に賞賛の言葉が投げかけられる。
     それに……。
    「……えっと、ありがとう」
    「楽しかった。又こういった試合が出来るといいな!」
     ちょっと顔を赤くする藍や、手を上げて答える登。
     それに、一層観客達がヒートアップしていき、そして花道を拍手で送り出されていく灼滅者達なのであった。

    作者:幾夜緋琉 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年3月18日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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