アフリカン! ガーナ育ちのトンコツラーメン!

    作者:柿茸

    ●福岡県福岡市
    「ブヒッ……ズズッ……うまっ……」
     博多ラーメン、と名されるだけあり、この福岡市にはたくさんのラーメン屋が存在する。もちろん博多駅の周辺にもたくさんのラーメン屋がある。
    「あ、あの、お客さん……」
    「ガーナには、もふっ、こんな上手い食事……ぶふぅ、なかったでブヒィ……」
     しかし、今現在、そのラーメン屋が次々と急遽閉店にと追い込まれていた。
    「アフリカンパンサー様も……ぶっ、日本のガイアパワー略奪を考えるだなど……本当に頭が良いお方、もぐじゅるっ」
    「ちょ、ちょっと食い過ぎじゃないかね……?」
     理由は明白。今現在、冷や汗を垂らしているある駅前ラーメン屋の店主の目の前では、既に丼を50杯積み重ねている豚がいた。
     豚。それも何か金属製の光沢を放っている豚。
    「このご当地パワーは、ブヘッ、本当に良いご当地パワーだブヒ、ベブゥ」
     しっかりとスープまで飲み干し、51杯目の空の丼が積み重なる。
     そこで、店主が頭を下げてまで退店をお願いした。素直に従い店の外に出る、鋼色の光沢を放ち後ろ足のみで立つ豚の後ろで、また1つ、『本日閉店』の札をぶら下げる店が出来上がる。
    「ぶふふ、全て食い尽くしてくれる……ブヒヒィ」
     下品な笑みを浮かべて、金属の豚は新たなラーメン屋を探して歩きだしていった。
     
    ●教室
    「博多ラーメン怪人が出現したって聞いたんだけど」
    「正確には違うんだけどね」
     教室で交わされる東雲・由宇(終油の秘蹟・d01218)と田中・翔(普通のエクスブレイン・dn0109)の言葉。今日のカップ麺は博多豚骨ラーメン。
     首を傾げた由宇に、ずるずるとラーメンを啜ってから翔は再び口を開く。
    「アフリカ……ガーナかな? から来たアフリカン怪人が九州方面で悪さをしているんだ」
     チョコレートの季節だからね。カカオと一緒に来たのかもしれないね、とよく分からないことを言う。
    「で、このアフリカン怪人なんだけど。その土地のご当地パワーを略奪して力を蓄える習性を持っているっぽくて」
    「私はご当地ヒーローじゃないからよく分からないけど、でもまずい予感はするわね」
    「ご当地名物が危ない」
    「博多ラーメン守らなきゃ!」
     まるで意味が分からない話の急なぶっ飛び具合。でもまぁ、つまりそういうことです。
    「それで、怪人の情報だけど」
     仕切り直す翔。
    「駅前で見張ってれば、そのアフリカン怪人を見つけることはできると思うよ。駅前のラーメン屋を片っ端から食い潰しているって話だから」
     その日の分は食い潰されちゃう店もいくつかあるだろうけど、次の日になればまた営業再開できるから、そこはぐっとこらえてね。
    「見つけたらもうすぐにでも戦闘しかけちゃって大丈夫。多分駅前の広場がそのまま戦場になると思うよ」
    「そういえば、その怪人の姿はどんな姿なの?」
    「スリムで」
    「スリム」
    「金属光沢を放っている」
    「金属光沢」
    「2足歩行する豚の怪人」
    「また2足歩行の豚」
     いやそうじゃなくて。
    「ごめんそれちょっと想像つかないわ……」
     片手で頭を押さえ、片手を前に突きだし待ってと静止をかける由宇。
    「博多ラーメンと言えばハリガネって呼ばれる細くて硬い麺が特徴だからね、ご当地パワーを吸収した結果じゃないかな?」
    「外見に表れるのね……」
     頭を抱える由宇。
     それを気にせずに翔は説明を続ける。
    「このブタ博多ラーメン怪人が使ってくる技だけど、金属っぽい何かになった硬い蹄による拳骨」
     拳骨の定義はどこに。近距離の単体が対象となるが、凄く痛い上に痛みが凄く長引くので回復が効きにくくなる。
    「針金を生み出し、鞭のようにしならせて遠くまで攻撃する技」
     麺の硬さではなく本物の針金。しなるハリガネはそのまま体に絡みつき、動きを阻害してしまう。あと針金が体に食い込むのでこちらもやっぱり痛い。
    「それと、身体から毒素を放出して、辺り一帯に撒き散らす技」
     アフリカで豚と言えば、なのかもしれないが色んな意味で困る。見た目通り、遠く広く広がるその毒素を吸ってしまえば毒に侵されてしまうだろう。
    「ということで、僕からの情報はこんなところ」
     じゃあ皆、頑張ってね。と集まった灼滅者に告げる翔に、由宇が不意にあれ? と声を上げた。
    「そういえば博多ラーメンの出汁って」
    「豚骨だね」
    「共食い?」
    「……元人間だからなぁ」
     どうなんだろ? と首を傾げる2人だった。


    参加者
    東雲・由宇(終油の秘蹟・d01218)
    中島九十三式・銀都(シーヴァナタラージャ・d03248)
    葉月・十三(高校生殺人鬼・d03857)
    三園・小次郎(かきつばた・d08390)
    猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512)
    肥前・礼司(不幸ではありません・d20381)
    北郷・紳一郎(本屋・d25391)
    常儀・文具(文具ヒーロー・d25406)

    ■リプレイ

    ●初めての依頼、成功させなくちゃ……!
    「ラーメン馬鹿多い博多でも、こんなイカした喰いっぷりは初めて見たわ……博多のご当地ヒーローが見たら泣くわね!」
    「すげぇ! パネェ!」
    「ブヒィ! ブフフ!」
     とかそんな感じに金属光沢を放つガーナ出身ご当地怪人豚をおだてて、駅前まで連れて行きながら、人知れず意気込んでいた常儀・文具(文具ヒーロー・d25406)の目の前で。
    「来たぞ! 金属光沢の豚は灼滅しろ!」
    「アフリカからとは……なんともまぁ遠路遥々御苦労なこってす灼滅されてください」
    「正しい食べ歩きの仕方を教えてやる……前に、悪いがさっき食べたラーメンを最期の晩餐とさせてもらうぜ」
     駅前に踏み入れるや否や、そんなことを言いつつ襲い掛かってきた駅前にて人払い組。ごめんね、初依頼がこんなギャグ依頼でごめんね。
     殺界を作り出して人を遠ざけていたのだが、今や本当に殺気というか灼滅気が渦巻いて豚怪人に襲い掛かっている駅前である。
    「プギィィ!?」
    「平和は乱すが正義は守るものっ! 中島九十三式・銀都参上っ!」
     中島九十三式・銀都(シーヴァナタラージャ・d03248)の容赦ない尖烈のドグマスパイク。というか平和は乱さないでくださいお願いします。
    「おかわりもいいぞ」
     さらに北郷・紳一郎(本屋・d25391)のおかわりと名ばかりのブレイジングバースト。さらに肥前・礼司(不幸ではありません・d20381)がオーラキャノンで追撃を掛けるが、金属の身体に跳ね返されてどこかに飛んでいく。
    「ラーメンを独り占めする輩は成敗してくれる!」
     ってことでみんな、頑張ってくれ!
    「お前も頑張れよ!?」
     それでも気概は十分と思ったら他人任せだった。いや回復メインで動くから攻撃は任せたという意味なんですがね。三園・小次郎(かきつばた・d08390)がワイドガードを張り巡らせながらツッコむのも仕方ないとは思います。
    「よしきしめん、斬りかかれ!」
     そして傍らに控えていた霊犬のきしめんに指示をだす。わんっ! と吠えて地を蹴ろうとしたそこに更に降りかかる指示。
    「きしめん、麺として負けてられませんよ。はやく金色に発光して対抗してください!」
     わふっ?
    「きしめんに無茶ブリしないでくれません? 気にしなくていいからな、きしめん」
     思わず猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512)へと振り向いたきしめんにGOと再度指示をだし、仁恵を何とも言えない目で見る小次郎だった。
    「マジでこんなのがいたなんて……」
     刀を金属の身体で弾く豚に、東雲・由宇(終油の秘蹟・d01218)が踏み込む。構えた豚が蹄を大上段に振り上げるのをみて、拳にオーラを溜める。
    「ただでさえ修羅の国とか言われてんのに、更にこんな鉄豚に街中ウロチョロされたら福岡の印象最悪だわ」
    「こんな鉄豚とは失礼ブヒィ!」
    「豚は豚小屋に行け!」
     ぶつかる蹄と【Judicium Universale】。擦れあう金属音と飛び散る火花。
    「ご当地じゃないけど、ご当地以上に熱いパッションでぶっ飛ばす!」
     気合を込めた一撃が豚の頬にクリーンヒット。だが、同時に蹄も由宇の頭に入っていた。
    「ガイアチャージによるガイアパワーの略奪という、その辺の話を詳しく聞きたいとこですが」
     そんな余裕はあまりなさそうな強さですね。
     吹き飛ぶ互いの身体を展開した予言者の瞳で見ながら、灼滅者10人分の強さ(テンプレ)ということを再認識する葉月・十三(高校生殺人鬼・d03857)だった。

    ●ラーメンは博多だけじゃないぞ
    「俺の地元、愛知にも旨いラーメンがあるんだ、ちょっと辛いけど」
     台湾ラーメンのことですかね小次郎さん。
    「ブヒ?」
    「あ、でも豚怪人は来なくていいです」
    「ブヒィ!?」
     来るなと言わんばかりに影で縛りつける小次郎。動きが止まったところにきしめんの斬魔刀と仁恵の神霊剣が同時に決まり、斬られた金属から、何かが立ち上った。風に運ばれて前衛を超え、後衛に降りかかる。
    「ぐっ!? ご、ごほっ!」
    「何これ、臭っ!」
     途端にむせ返り始める後衛陣。どうやら毒素のようだ。
    「毒素というか臭素じゃね……?」
    「失礼ブヒ! 豚は綺麗好きブヒィ!!」
     思わず零した銀都の言葉に突っかかる鉄豚だが臭い物は臭い。それは兎も角としてタコ殴りしにかかる前衛陣。神霊剣が金属を突き破り、豚を打ち据えた縛霊手から絡みつく霊糸がその動きを阻害する。
    「(こっちだってとんこつラーメン食べたいのに好き放題してくれやがって)」
     そんなことを思いつつ斬りかかる紳一郎。大丈夫まだ開いてるラーメン屋もあるから!
     さらに、文具の持つ【彫刻具座】から放たれた彗星の如き鉛筆が、金属であるはずの豚の表面に黒い線を残す。
    「えっ」
     鉛筆?
     振り返った礼司、首を傾げる文具。その手には文房具から取り出した鉛筆が握りしめられ、弓につがわれていた。
    「って礼司先輩危ない!」
    「うおぉっ!?」
     忠告。飛んできた針金を避けようとした礼司の前に文具の霊犬である糊が飛び出してその身に針金を巻き付かせる。
    「はい、これで糊でべとべとになってあなたの針金は使えません!」
    「糊って名前だけど別に糊じゃないですよ!?」
    「違うのです?」
     鬼神変でラリアットを食らわしつつ振り返って首を傾げる仁恵。痛そうに蹲っている糊に必死に治療を施す文具と礼司。鉛筆とカードが犬の傷を癒していくとかよく分からない光景から目を離し、紳一郎がガトリングガンの銃口を回す。
    「どんどんおかわりしていいですよ!」
    「そのおかわりはいらんブフェッ!!」
     間一髪、ドグマスパイクが顔面に穴を開けるのを回避した豚。後ろから斬りかかっていた十三の攻撃も地面を転がって避ける。
    「流石に一筋縄ではいきませんか……貴方達には聞きたい事が山程ありますが……」
    「ブフフ、答えるとでも?」
    「しかし、一番、重要且つ今後の展開を左右するであろうこの事を聞かねばならないでしょう……もちろん簡単に答えていただけるとは思っていません」
     ……がっ、聞くだけならタダですしね。
     ぶつぶつと、呟く十三。周りの灼滅者達の動きも何となく雰囲気を察して止まり、豚怪人もゆっくりと構え直して佇んでいる。
     それらを視界に収めつつ、十三は口を一度閉ざし、そして開いた。
    「教えてください……」
     アフリカンパンサーのスリーサイズはいくつですか?
    「「……」」
     沈黙。仁恵とか可哀想な子を見る無表情で見ている。
    「あっ、ハイ。はっづらしいと思うです」
     咄嗟に自分が無表情な事に気が付いて可哀想な子を見る瞳に変えた、って変わってねーよ!
    「ブフフー、教えて欲しいブヒかぁ~?」
    「うわ何コイツうぜぇ」
     身をくねらせてニヤニヤと笑う豚怪人。イラッとした全員を代弁する銀都の言葉。
    「どうしようブヒなぁ~。まぁどうしてもっていうのなら」
    「飛べッ!!」
    「ブギャァ!?」
     有無を言わせず由宇の魔力を乗せた一撃が怪人をぶっ飛ばした。
    「大事な質問なのに!」
     そして本気で答えを期待していた十三の顔面に、ぶっ飛んだ時に零れ落ちたのだろう針金が盛大に叩き付けられた。

    ●ガーナってカカオを作っている国ですよね
    「そういえば、この世には、チョコラーメンと言う物が有るらしいですよ」
    「えっ、美味しいんですか?」
     仁恵の言葉に怪訝な表情をする紳一郎。怪しむのも分かりますが、ちゃんと合うような味付けがしてあって意外と美味しいらしいですよ。
    「ブヒィ! チョコもいいがそれよりも豚骨ラーメンをもっと寄越すブヒィ!!」
    「あ、それって共食いって奴ですよね、にえ知ってますよ!!」
     場が凍り付いた。思っても言わないようにしてたり、元人間だから違うと自分に言い聞かせていた人達の思いを無視して、当人だけが気にせずにぶん殴りにかかる仁恵。
    「言わないように頑張ってたのに……」
    「共食いとか……にえの奴……タブー中のタブーに触れやがった」
     ひそひそ話の銀都と十三。殴られながらもブモオオオオオ! と憤慨して殴り返す怪人に、何かが吹っ切れたのか小次郎から野次が飛ぶ。
    「おい豚! あんまラーメンばっか食うなよ! にえみたいになるぞ」
     瞬間、小次郎のすぐ隣の地面が異形化した腕に抉られた。
    「それってどういうことですか?」
    「ナンデモアリマセン」
     仁恵さん目どころか顔が笑ってない。後ろでブヒィ! と豚が声を上げた。飛んでいく針金。その先には礼司の姿。
    「何で攻撃こっちに来るんだよ!!」
    「メディックだからブヒィ!!」
     回復役から潰すのは鉄板だしね、仕方ないね。針金に、食い込む程ぐるぐる巻きにされて地面に転がる礼司の身体に紳一郎のヒーリングライトが飛んだ。さらに己に祭霊光をかけることで身体が完全に光に包まれる。
     由宇と銀都が駆け、後ろから飛来した鉛筆を豚怪人が弾いたその隙に懐に潜り込んだ。
     突き出されるバベルブレイカーが蹄に弾き逸らされる。そしてそこから蹄を反転させ、由宇に向かって振り下ろす豚怪人。由宇の両拳が豚の蹄に真っ向からぶつかる覚悟に覆われる。
    「ブヒャィィイイィィッ!!」
    「ハアアァァアアッ!!!」
     2人の間で閃光が咲き乱れ、オーラと花火が輝きとなって辺りに撒き散らされる。綺麗ですね、と紳一郎が零したその瞬間、爆発するかのように輝きが一際強くなり、2人の身体が真逆に転がった。
    「今がチャンスか!」
     小次郎の言葉にきしめんが六文銭を撃つ。それを追いかけて仁恵が走り、文具が多色ボールペンを矢にして天空へと撃ち放った。
     カラフルな矢の雨が降り、ガトリングから射出される炎が吹き荒れる中、怪人は六文銭を転がり避けて立ち上がる。ひびが入っていた金属の身体の、その内側から靄のような毒素が立ち上り、一斉に飛び掛かっていた前衛陣を包み込まんとする。
     特に先頭にいた仁恵は既にクルセイドソードを振り下ろしかけており、ろくに防御もできない様子。臭さを覚悟し、振り抜くために腕に力を込めたところで、横合いから小次郎が飛び込んできた。
    「こっじ!?」
    「うおぁぁあ2倍くっせぇ!!」
     2人分の臭気に展開していたシールドも纏っていたオーラも思わず揺らぐ。そのまま臭いと共に地面を転がる小次郎に後衛陣から相次いで回復が飛んで消臭された。
    「うあー、臭い、これ臭いですむせるとかそんなレベルじゃないです」
     そして十三も毒素にまかれながら、豚怪人の後ろに回り込んでいた。金属の蹄を抉り、怪人の身体が揺らぐ。
    「バリカタ、針金、粉落とし、湯気通し……」
     そこに由宇の声が飛んできた。怪人が前を向けば、光を手元に集めているシスター服の姿。
     その光の放つ輝きに避けようと足に力を込めた豚怪人の蹄が割れ、身体が沈み込む。
     そこに落ちる影と熱気。顔を上げれば、戦神を降臨させた銀都が【逆朱雀】と銘打たれた斬艦刀に炎を纏わせ、振りかぶっていた。
    「麺の固さば色々あるっちゃが、博多さ来たっちゃけん最っ高の麺ば味わって行かんね?」
    「俺の正義が真紅に燃えるっ!」
    「……ジャッジ麺!」
     決め台詞の最中ですが、容赦なく由宇さんの台詞と放たれる光条が被さってきます。
    「ラーメンの食べ方を示せと無駄に叫ぶっ!」
    「とっとと昇天せんね!!」
     さらに由宇さんの決め台詞が以下略。
    「くらえ、必殺っ!」
     食事の後はごちそーさまと言えーっ!!
     光に撃ち抜かれ、纏わりつく影と割れた蹄に身動きが取れない豚怪人。
     そこに、炎に包まれた鉄塊が叩きつけられた。
    「に、日本は怖いところブヒャアアアェェェエエエエ!!!」
     炎に包まれながら吹き飛んだ豚は、そして宙で爆発四散した。
    「替え玉は……もう無理みたいね」
     その様子を見ながら、シスター服をはためかせつつそっと呟く由宇だった。
     なお、焼き豚の芳醇な香りじゃなくて焼けた鉄の臭いが辺りに漂っていたことを追記しておきます。

    ●博多ラーメンをみんなで堪能しにいく
    「よし、それじゃラーメンでも食いに―――」
    「いやー皆お疲れ。俺、途中から豚とにえの区別が」
    「ん?」
    「いや冗談だってハハハだからそのクルセイドソードをしまってくださいお願いします」
     銀都がふぅ、と一息ついて振り返れば修羅場が出来上がってました。もしかして小次郎さん、さっき庇ったのって実は間違えて攻撃しようとしたわけじゃ。
     おろおろするきしめん。どうどう、と仁恵を宥める十三と紳一郎。何とか収まる場。
    「ラーメンか、いいな!」
     そして礼司が仕切り直すように同意した。文具も嬉しそうに頷いて、どこか美味しいお店知ってるんですか? と首を傾げる。
    「あ、それなら私が知ってるわよ」
     答えは由宇から。そういえば何か地元を匂わせるようなことをさっき決め台詞で言ってましたね。
    「じゃあ、そこに行きましょうか」
    「支払いは……じゃんけんで決めるか」
     戦闘開始と同時に外していた眼鏡をかける紳一郎。手を出しながら、文具は抜きで、と付け加える銀都。
    「いや、そこは割り勘じゃないのか!」
    「はいはい、いいからさっさとしないと置いてくわよ?」
     ツッコむ礼司に、歩き出す由宇。
     そして後に続いて歩き出した灼滅者一行。その鼻腔を、未だに辺りに漂う爆発した鉄豚の臭いがくすぐっていった。
     全力でその場から離れる灼滅者達だった。

    作者:柿茸 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年3月20日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ