梅並木をバオバブは燃やし尽す?

    作者:波多野志郎

     大分県。その県木が、豊後梅だという事はご存知だろうか? その基礎知識をもって、これから起きる事象を見てやって欲しい。
    「バーオバオバオバオ! 我はガーナからカカオと共に来日したご当地幹部アフリカンパンサー様の配下であるバオバブ豊後梅怪人であーる!」
     桜並木ならぬ、見事な梅並木。そこへ現われた自称バオバブ豊後梅怪人は誰も尋ねていないのに、解説を開始した。
    「アフリカンご当地怪人は、その地域のガイアパワーを略奪して力を蓄えるのだっ! このご当地パワーは良いご当地パワーだ、全て食い尽くしてくれるわー!」
     ドォン! という爆発音――バオバブ豊後梅怪人が巻き起こした爆炎が、梅並木を燃やし尽くしていく。それを見たバオバブ豊後梅怪人は、高らかに笑い声を上げた。
    「バーオバオバオバオ!! 燃えろ、燃えろ、燃え尽きろお!!」
     こうして始まったバオバブ豊後梅怪人の破壊活動は、梅並木を灰燼に帰すまで続くのであった……。

    「……いや、訳がわかんないんすけどね?」
     そう湾野・翠織(小学生エクスブレイン・dn0039)は軽くこめかみを抑えながら語り始めた。
     今回、翠織が察知したのはダークネス、ご当地怪人の同行なのだが。
    「本人曰く、ご当地幹部アフリカンパンサーの配下らしいっす。その名もバオバブ豊後梅怪人……こう、バオバブの木に梅が咲いてる、そんなヘルメットをつけた怪人っす」
     このバオバブ豊後梅怪人は、豊後梅の梅並木を破壊しつくそうとする。その言の通りならば、そうする事でその地域のガイアパワーを略奪出来るのだろう。
    「何にせよ、放置は出来ないっす。みんなには、対処をお願いしたいんすよ」
     バオバブ豊後梅怪人は昼間、公園の梅並木を破壊しに現われる。そこで待ち構えて、戦って欲しい。
    「ESPによる、人払いは必須っすね。敵はバオバブ豊後梅怪人のみっすけど、その実力はかなりのものっす。油断すれば、そのまま返り討ちにあうっすよ」
     相手はダークネス、こちらが八人がかりで全力で挑んでようやく届く――そういう実力の相手である事を忘れてはならない。
     それ以外に、戦う分には面倒はない。思い切り戦ってもらって問題ない。
    「状況はよく見えないっすけど、何にせよ放置は出来ないっす。しっかりと戦術を練った上で対処に当たって欲しいっす」
     梅並木はそろそろが見頃だ。周囲の人々の目を楽しませる光景を、奪わせる訳にはいかない――翠織は、真剣な表情で締めくくった。


    参加者
    龍宮・神奈(戦狩の龍姫・d00101)
    不知火・隼人(蒼王殺し・d02291)
    黒咬・翼(翼ある猟犬・d02688)
    真純・白雪(白蛇の神子・d03838)
    樹・三柑(人魚の滝登り・d07113)
    高倉・光(人の身体に羅刹の心・d11205)
    日影・莉那(ハンター・d16285)
    不破・桃花(見習い魔法少女・d17233)

    ■リプレイ


     昼下がりの公園。見事な梅並木。そこへ、一人の男が文字通り舞い降りた。
    「バーオバオバオバオ!」
     着地と共に高らかに笑うのは、バオバブの木に梅が咲くヘルメットを装着した男――ダークネス、ご当地怪人・バオバブ豊後梅怪人であった。
    「バオバオバ?」
     しかし、その高笑いが途中で止まる。昼下がりの公園、そこから波を引くように人々が去っていくのに気付いたからだ。
    「危ないから下がっててね! 巻き込まれるとしゃれにならないから!」
    「皆さん、あちらへ!」
     真純・白雪(白蛇の神子・d03838)の誘導に、不破・桃花(見習い魔法少女・d17233)がESPパニックテレパスで一般人たちを後押ししていく。その光景を見て、バオバブ豊後梅怪人が慌てた。
    「おい、待て!? これから色々と説明があるのに誰も聞いてくれないのは寂しいだろう!?」
    「黙れ、誰もそんなものは求めていない」
     そう言ってバオバブ豊後梅怪人の前に、日影・莉那(ハンター・d16285)が踏み出した。そのクールでスイトイックな格闘少女の顔には、どこか呆れの色がある。
    「ガーナから来てなんで豊後梅なんだ? バオバブはわかるが豊後梅は意味がわからんぞ……」
    「あえて、一つ突っ込みを入れるなら、バオバブはアオイ科目だぞ? ……どうやって咲かせてるんだ? 接ぎ木か……?」
     容赦のないツッコミを入れたのは、黒咬・翼(翼ある猟犬・d02688)だ。声を荒げるでも、嘲笑うでもない、むしろその冷静な物言いにバオバブ豊後梅怪人が息を飲んだ。
    「こ……細かい事は気にするなよ」
    『細かくない、細かくない』
     震える声で視線を逸らしたバオバブ豊後梅怪人に、複数のツッコミが入れられる。しかし、バオバブ豊後梅怪人はくじけなかった。
    「う、うるさい! どけい! この豊後梅の梅並木を焼き尽くし、そのご当地パァワァ! と私がいただくのだ!!」
    「……ご当地の、誇りってぇのはないのか。他所様の力が必要な、その程度のご当地愛しかないのかよ」
     高倉・光(人の身体に羅刹の心・d11205)が普段は装う礼儀正しさを捨てて、言い放つ。そこにあるのは、純粋な怒りだ。
    「こいつらに至っては論外だ。よりにもよって力欲しさに他所のご当地荒らすんだものな。その上当のご当地には無関心、と……ゲルマン、ロシアン連中も気に入らんがそれ以下だ。その空っぽの頭、斬り捨ててやろうか」
    「ご当地性の違い、という奴であろう? 聞いた風な事を言うな」
     光の怒りを真っ向から受け止め、バオバブ豊後梅怪人は言い捨てる。その言葉に、ボキボキと拳を鳴らしながら不知火・隼人(蒼王殺し・d02291)が踏み出した。
    「見頃を迎える梅の花、それを燃やそうとは御天道様が見逃しても灼滅者が逃しはしねぇ! 日本の心、見せてやろう。来い、烈火皇!」
     一陣の風が吹き抜け、梅の花が舞い散る――その中で、隼人は変身して武装、強化外骨格“烈火皇”を身にまとった。
    「バオバブは大人しく、川と海の境に生えていろ。後なんで燃えてるのか訳が分からんぞ!」
    「えええい!? ごちゃごちゃと正論ばかり言う奴等よ!」
    「ヒーローは遅れて登場! とうっ!」
     タン! とライドキャリバーの爆走かぼす一号の真後ろに、樹・三柑(人魚の滝登り・d07113)は着地した。一般人の皆さんを完全に退避させた、それを確認し終えて現われた三柑は、ズビシ! とバオバブ豊後梅怪人へ指を突きつけ、言い放つ!
    「あたしんご当地に手ぇ出すっちゃいい度胸しちょんじ! すぐそこん地獄があるけんたたっこんじゃるわい! こきさきたお前ん不幸を恨みよ! ニホンの地獄はこええんで!」
    「別府地獄巡りは良いよな! まぁ、燃やすけど!」
     とにかく燃やせればいいのか? というツッコミを内心で入れながら、呆れ半分諦め半分で黒いドレス姿へと変わった龍宮・神奈(戦狩の龍姫・d00101)が言った。
    「まったく……相変わらずご当地怪人の考える事は訳わからないぜ。こっちは仕事やるだけだけどな」
    「それは、私とて同じ事おおおおおおおおおおおおおおお!!」
     瞬間、バオバブ豊後梅怪人の周囲に熱気が満ちる。その気配が、お笑いの空気も燃やし尽くす――直後、バオバブ豊後梅怪人のゲシュタルトバスターが爆炎で灼滅者達を飲み込んだ。


    「バーオバオバオバオ!! 燃えろ、燃えろ、燃え尽きろお!!」
     高笑いと共に、バオバブ豊後梅怪人が言い捨てる。しかし、その言葉と裏腹にバオバブ豊後梅怪人は戦闘体勢を解いてはいなかった。
    「バオバブ豊後梅怪人!あなたの思い通りにはさせませんっ!」
     クルセイドソードを横に薙ぎ払った桃花のセイクリッドウインドが、爆炎を横一文字に切り裂いた。その風に乗って、一気に駆け込んだのは霊犬のライラプスの浄霊眼の眼差しを受けた莉那だ。
    「深く考えるだけ無駄か……どうせ殴り飛ばすんだしな」
     振りかぶった縛霊手による直突き――莉那の体重と加速を乗せた縛霊撃が繰り出された。しかし、その拳が空を切る。かわされた、普通ならそう思うだろう。しかし、格闘の心得を持つ莉那がそれを否定した。
    「回し受け?」
     手首を触れられたか否か、そのわずかな払いによる軌道修正。それが莉那の拳の軌道を逸らしたのだ。目の前には、梅の花を咲かせたバオバブの木がある。回避と受けの差は、即反撃に移れるか否かだ。格闘戦において、その差は大きい――。
    「させるか!」
     そこへ隼人が烈火皇で加速、横回転して更なる遠心力の勢いをつけた激震牙の一撃をバオバブ豊後梅怪人へと叩き付けた。バオバブ豊後梅怪人は、その回転する杭を真剣白羽取りの要領で受け止め、後方へと跳んだ。
    「燃やさるる豊後梅ん気持ちを味わわんかい!」
     その着地点へ、三柑のガトリングガンと爆走かぼす一号の機銃の一斉掃射が重なった。燃え盛る爆炎の銃弾が、連射される銃弾が、バオバブ豊後梅怪人へと降り注ぐ。だが、その銃弾の雨の中を構わずにバオバブ豊後梅怪人は突っ切った。
    「その程度の銃弾で、炎で、止まるか!」
    「だったら、これはどう?」
     その直線状に、静謐なる光が立ち塞がる。Λαμπει Κυμαを集中させた両の拳を白雪はすかさず、バオバブ豊後梅怪人へと放った。その閃光百裂拳の連撃に、バオバブ豊後梅怪人は急停止。一つ、二つ、三つ、とその拳を受止めていく。それはさながら、枝を広げるバオバブのごとく――見事な防御であった。
    「しゃらくさい」
     右手を突き出した光の動きに同調して、その足元から巨大な鬼の腕を模した影が走る。鬼神之大腕は連打を受止めるバオバブ豊後梅怪人へと一直線に走り、光が右手を握り締めた瞬間、鬼の巨大な手がバオバブ豊後梅怪人を握り締めた。
    「……植物を焼き払うというなら。先ずお前の頭からすべて刈り取る必要があるな」
     そこへ駆け込むのは翼だ。鋭い動きで死角へと回り込み、影の手に握り締められたバオバブ豊後梅怪人へと無数の影の刃を繰り出した。
    「まずは足から刈り取らせてもらう……!」
     その鋭い狙いをすました黒死斬が、バオバブ豊後梅怪人の足を捉える。しかし、バオバブ豊後梅怪人は双方の影から力技で逃れると、そのまま横へ跳んだ。
    「見た目は冗談っぽいのに、手強い奴だぜ」
     左手に構えた中型の盾、堅龍鱗を掲げた神奈のワイドガードが前衛を覆っていく。神奈の言葉に、呼吸を整えながら莉那もこぼした。
    「なんだか馬鹿馬鹿しい相手だけに、逆に腕が立つのが腹立たしいな」
    「ダークネスを見た目で判断するのは、二流のする事だぞおおおおお!?」
     バオバブ豊後梅怪人の周囲に無数の梅の花が舞い散る。その花の一つ一つが、爆炎を圧縮して生み出された手裏剣だ。バオバブ豊後梅怪人が両手を振り払った直後、梅の花が乱舞し連続した爆発音が轟いた。


     昼下がり、春のうららかな梅香る公園でどこにも届かない剣戟が鳴り響いていた。
    「――ッ!」
     闘気を手足に帯びた莉那が、バオバブ豊後梅怪人と真っ向から打ち合う。手と手が、足と足が、縦横無尽に打ち合い、交差する――その最中、バオバブ豊後梅怪人の右上段回し蹴りを掻い潜った莉那が、バチン! と放電光を絡ませた右拳を渾身の力を込めて振り上げた。
     ガッ! と顎を強打されたバオバブ豊後梅怪人の足が宙に浮く。そこへ、光が大きく逆十字を切った直後、ギルティクロスが逆十字にバオバブ豊後梅怪人を切り刻んだ。
    「龍宮さん!」
    「わた、んん! 俺に任せろ!」
     光の呼びかけに、慌てて言い直した神奈が踏み込む。右手に振りかぶった牙龍の豪快な一閃、龍骨斬りがバオバブ豊後梅怪人の胴を薙ぎ払った。
     そのまま踏ん張れずに後方へとバオバブ豊後梅怪人は、飛ばされる。しかし、空中で身を捻ってバク転、バオバブ豊後梅怪人はズシャと靴底を鳴らしながら着地に成功した。
    「どんな相手だろうと、ただ打ち貫くのみ!」
     そこへ隼人が一気に駆け込んだ。蒼い血管のような蒼い光の筋を右腕に走らせ、蒼王破が唸りを上げる!
    「ぐ、お!」
     炸薬を利用した連続打撃に、バオバブ豊後梅怪人の体勢が崩れる。そして、ドン! とロケットハンマーのロケット噴射で加速した三柑が間合いを詰めた。
    「大分ん魂は熱く燃えちょるんで!」
    「舐・め・る・なあああああああああああああああああああああ!!」
     そのロケットスマッシュの一撃に、爆炎が集中してぶつけられ相殺。吹き荒れる炎の中を、バオバブ豊後梅怪人は真横に駆け抜けた。
    「逃がすか」
     そこへ翼が回り込み、振りかぶったバベルブレイカーを腰溜めに繰り出した。尖烈のドグマスパイク――その一撃をバオバブ豊後梅怪人は足場として上空へ大きく跳躍した。
    「そびえたて、バオバブ!!」
     そして、バオバブの木のようなごん太のご当地ビームが一直線に白雪へと放たれた。そのビームを受けて後方へ転がる白雪へ、すかさず桃花の祭霊光が飛んだ。
    「頑張ってください!」
     その桃花の激励に、さらにライラプスの眼差しで回復した白雪が駆け出した。
    「結局、あなたってバオバブなの? それとも豊後梅なの?」
    「両方、両方だ!」
     バオバブ豊後梅怪人の眼前、Σερπενσ Κεφαλιを構えた白雪が強く言ってのける!
    「こんなにきれいな梅並木、絶対に壊させないよ!」
     一条の白光の軌跡を残し、白雪のフォースブレイクがバオバブ豊後梅怪人を打撃した。その衝撃にのけぞるバオバブ豊後梅怪人を、爆走かぼす一号のキャリバー突撃が後押しした。ガツン! と後方へ弾かれたバオバブ豊後梅怪人は、それでもすかさず横回転、見事に着地した。
    (「本当に、強いです」)
     桃花は深呼吸を一つ、戦闘に全神経を集中させる。八人と二体、その戦力に対してバオバブ豊後梅怪人はただの一体で拮抗状態を作っていた。一瞬の気のゆるみが戦線を瓦解させる――その事は、メディックである桃花には痛いほどよくわかった。
     そして、翼もまた冷静に戦況を見ていた一人だ。攻めあぐねるこの状況に、焦りを感じないものはいない。しかし、敵とて消耗がない訳ではないのだ。ほんの一瞬、わずかな均衡の崩れ――それを見極める必要があった。
     そして、その一瞬は唐突に訪れる。
    「とお!!」
     バオバブ豊後梅怪人が、上空へと大きく跳躍する。そのまま、蹴りの体勢で大きく横回転、ひねりを加えて隼人めがけて舞い降りた。
    「バオバブメガトンキーック!!」
     唸りを上げて放たれたご当地キック――しかし、その一撃を爆走かぼす一号が文字通りその身を盾に受け止めた。
    「かぼすいちごおおおおおおう!」
     耐え切れずに派手に爆発四散する爆走かぼす一号に、三柑は絶叫する。しかし、そこに悲嘆はない。自らの役目を全うして散ったのだ、そこには確かな誇りがあった。
     そして、それを見せられて燃えない隼人ではない!
    「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
     ズドン! とその角から放たれた轟雷が、バオバブ豊後梅怪人を捉える。両腕をクロスさせて、その凄まじい雷撃を耐えるバオバブ豊後梅怪人は、そのヘルメットの舌で目を見張った。
    「再行動、だと!?」
     そこには、突撃の体制を取った隼人の姿があった。角を掲げ、隼人は疾走――ゴォ! と炎に燃えた角が、バオバブ豊後梅怪人を刺し貫いた。
    「誇りのねぇもんは、灰になるのがお似合いだ」
     そして、そこへ切り込んだ光は爆音を立てるチェーンソー剣を横回転と共に放った。そのチェーンソー斬りの斬撃に、バオバブ豊後梅怪人は更に燃え上がる。
    「今です!」
     桃花のエクリプスが起動、一気にバオバブ豊後梅怪人を飲み込んだ。桃花の影喰らいに、必死に這い出したバオバブ豊後梅怪人へ莉那とライラプスが同時に駆ける!
    「いくぞ」
     繰り出される拳打が、鋭い刃が、バオバブ豊後梅怪人を殴打し、切り裂いた。そのまま地面を転がったバオバブ豊後梅怪人が素早く立ち上がる――そして、神奈がその懐へと一気に潜り込む。
    「吹き飛べ!」
     その顎へ、渾身の抗雷撃を神奈は叩き込んだ。その一撃にバオバブ豊後梅怪人は、宙を舞った。
    「く、おの、れ……!」
    「もう、終わりだよ」
     白雪のΣεληνη Αλοが、燐光を従えて宙を走る。ザン! と光輪に切り裂かれて空中で体勢を崩したバオバブ豊後梅怪人へ、三柑と翼が同時に地を蹴った。
    「かぼすらっしゃーきいいいいいっく!」
    「この一撃で終わりにする……」
     斜め上から三柑の飛び蹴りが、下段から跳ね上がった翼のブラッドヴェインが、同時に炸裂する。バオバブ豊後梅怪人は地面に叩き付けられ転がる――が、梅並木の直前で強引に止まった。
    「ちなみにお勧めはわにじごくな! ワニワニカワイイ!」
     三柑の言葉に、ニヤリ――そう、バオバブ豊後梅怪人は笑った、気がした。
    「アフリカンパンサー様、バンザーイ!!」
     そして、バオバブ豊後梅怪人はその場で爆発した。その爆発は、かろうじて梅並木には届かない。それが、バオバブ豊後梅怪人の最期だった。


    「ねーちゃああああん! あたし大分ん平和守ったでええええ!」
     誇らしげに叫ぶ三柑に、仲間達もようやく笑みをこぼした。
    「次の機会にはゆっくり見て歩きたいよね、梅並木」
    「ええ、そうですね」
     見事な梅並木を見て言う白雪に、桃花も笑みと共にうなずいた。その桃花の視線を受けて、光も笑みをこぼす。
    「はい、みなさんに楽しんでもらいたいですからね」
     光がESP殺界形成を解除する。ほどなく、散っていった一般人たちも戻ってくるだろう。この美しい、灼滅者達が守り抜いた梅並木を楽しむために……。

    作者:波多野志郎 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年3月20日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ