●無垢な世界
毎晩毎晩、同じ夢を見ている。
どこまでも、一面真っ白な世界が広がっている。駆け抜ける私は自由で、あまりにも解放的。
父さんと母さんが最近ぎこちないことも、数学のテストが赤点だったことも。この瞬間は全部全部、忘れていられる。
風に溶けてしまいそう。何も考えず、ただ駆け抜けるだけだから――例え地を蹴るのが、炎を纏った大きな獣の手でも。
色素の薄い白い手も、淡色の髪も要らない。
夢でくらい、自分でないものでいさせて。
●夢ではない世界
「――勿論、そんな良い話じゃないわ。彼女が夢だと思っているのは、夜イフリートになってしまう自分の現実の記憶よ」
雪原を駆け抜ける炎獣――唯月・姫凜(中学生エクスブレイン・dn0070)が語ったのは、イフリートへ闇堕ちしかけている少女についてだ。
名前を、芦原・花梨(あしはら・かりん)と云う。
「秋田の、小さな村よ。周辺一帯の田んぼや畑を、冬は雪が覆ってる。芦原さんは夜だけイフリートになって、その雪原を駆け回ってるの」
本来、闇堕ちすれば人間の意識は掻き消える。
しかし今、花梨は翌朝には当たり前に日常に帰れてしまうくらい、確りと人の意識を残している。
「とはいえ、このままじゃ完全にイフリートに堕ちるのは時間の問題よ。今回のケースでは昼間の、人である芦原さんに働きかけても意味が無い。夜、イフリート化している所を戦って倒す。これが全てよ」
力任せではあるが、花梨を救出出来るにしろ出来ないにしろイフリートは倒すことが必要になる。
「シンプルで簡単そうに思えても、相手はイフリートよ。強さは言うまでもないから、そのつもりで」
そう言って姫凜は、広げた地図の一角を指差した。
広大な水田地帯の1点。その日、22時頃そこに居ればイフリートは自ずから姿を現すと言う。
「隠れて奇襲出来る様な環境では無いけど、それは相手も同じね。イフリートは炎の獣。寒くて暗くて拓けた視界に熱と明るさだもの、接近は直ぐに解る筈よ」
身の炎で存分に存在を主張し駆けてくるイフリートの進路を塞ぐ様に立つ。それだけで、イフリートは足を止める。
後は戦い、倒すだけだ。
「それから、芦原さんについても少し話しておくわ。闇堕ちに至る経緯は色々みたい。両親の不仲とか、成績とか。……でも、一番には自己否定、かしら」
生まれつき体の色素が薄い花梨は、それが原因で、中学の女子先輩達から疎まれているらしい。
「白い肌や薄灰の髪。一生のものなのに、芦原さんにとってはコンプレックスでしかないみたい」
規律厳しい女子中学。黒髪の生徒が大半の中、自分だけが違うことへの不安。何とも思わない人間にすれば些細なことでも、花梨にとっては大きなことなのだ。
「でも、見方を変えれば妬まれるくらい綺麗な肌と髪ってこと。教えてあげて。それに――武蔵坂には、赤青ピンク、色んな生徒がいるんだもの」
救けられるかは、姫凜にも解らない。でも――きっとあなたたちなら。
締める言葉に願いを込めて、姫凜は灼滅者達を見送った。
参加者 | |
---|---|
睦月・恵理(北の魔女・d00531) |
鹿野・小太郎(バンビーノ・d00795) |
花澤・千佳(彩紬・d02379) |
東谷・円(ヤドリギの魔法使い・d02468) |
篠村・希沙(手毬唄・d03465) |
桜庭・理彩(闇の奥に・d03959) |
村瀬・一樹(叶未紳進・d04275) |
樫木・祐(翠炎・d18922) |
●雪原にて
「コンプレックス、か……」
村瀬・一樹(叶未紳進・d04275)の呟きが、深夜10時の冬の大気にふわりと白く浮かんだ。
「白い肌に薄灰の髪、いいじゃねぇの。巷に溢れてる量産型の女どもより個性があってよ」
続く東谷・円(ヤドリギの魔法使い・d02468)の言葉は、それはそれで本心である。しかし、円は花梨の悩みが彼女にとってそう簡単に割り切れるものではないことも解っていた。
「助けましょう。……伝えたいことがありますから」
穏やかに笑んで翡翠の瞳を伏せた樫木・祐(翠炎・d18922)の言葉に、隣の睦月・恵理(北の魔女・d00531)も頷いた。
胸に手を当て、見つめる先には眩き炎。
今は遠く、遮るもの無い広い雪原を駆け抜けるその獣の何と美しいことか。まるで風の様に自由を謳歌し、闇を照らすその光は恵理の瞳までをも透かして、黒く見えるその奥に、秘める深い緑を浮かび上がらせていた。
これから――8人の灼滅者達はあの獣と戦わなければならない。獣となって花梨が得たものが仮初の自由と知るから、円も恵理も、心には僅かな迷いも無かった。
「都合が悪いモンは全部夢ってかぁ? 残念、現実はそんなに甘くねェよ」
「これが夢ではないと知って貰います。貴女は未だ、わだかまりを破壊衝動に変えていない」
倒すではなく、救う。絶対に間に合わせるのだと、強い決意で8人一斉に取り出したスレイヤーカードが、次々と力を解放する。
顕現した美しい刀一振り、その手に収めた桜庭・理彩(闇の奥に・d03959)は徐々に此方へと近付く獣に正面から向き合った。
「少しだけ、貴女の気持ちが判る気がするの」
吹き抜けた冷たい風に、理彩の凜の声が響く。
(「鏡の中の自分を見て、只々気持ちが沈み込んでいく感覚。覚えがある――」)
そうやって沈み行く宿主の心に比例して、獣の炎はより苛烈に成長し、宿主の体、知性、魂までをも灼き尽くす――それがダークネス・イフリート。
灼滅者達の心は、身には抑えきれない熱量を解放し近付いて来るイフリートから、花梨を全力で奪い返すと決めていた。
「きれいなしろいもこもこさんこんばんは!」
努めて明るく。笑顔を咲かせた花澤・千佳(彩紬・d02379)は小さな両手を大きく広げ、獣の進路上に立ち塞がった。
ぴりぴりと、冷気に張り詰める肌が痛い。既に風は叩くような冷たさから一変、乾き齎す熱風となり足元の雪を溶かし始めている。
――グルル……
獣の鋭い牙の隙間から、唸りの声と炎が漏れ出た。
「ね、お話しましょ」
それでも、篠村・希沙(手毬唄・d03465)は一歩だけ前へ出た。
指先にうっすらと作った傷から、ぷくりと滲んだ血。ぽたりとも地に落ちることなく瞬く間に温かな炎と化し――陽光に照らされるままの肌に、ゆらゆらと橙の光が揺らめいた。
雪溶けて緩くなった土の地面に足を止め、獣はじっと己のものでないその炎を見つめている。
「ケンカごっこでもしながら話そうか」
言葉を継いだのは鹿野・小太郎(バンビーノ・d00795)――今獣に花梨の面影は欠片も感じられないが、それでも言葉は花梨へ向けて放たれた。
眠そうな薄緑の瞳が、ぼんやりと炎の乾きに瞬く。
ウォォオオオ――……
広き世界に、雄々しくも何処か寂しい獣の咆哮が響き渡る――拒絶の様に吐き出された炎の中、少女の面影を追い求め、灼滅者達は一斉に駆け出した。
●炎猛る
「さあ、嫌なモン全部吹き飛ばす勢いでぶつけておいで!」
力強い一樹の声を掻き消すかの様に、炎の奔流は轟音と共に獣の周囲に渦を巻く。
「僕達も付きあうから!」
「ほーら回復足りてるかぁ!?」
叫ぶ円の、その手には剣。
広くイフリートを包囲した灼滅者達を襲ったバニシングフレアを、掲げた『Mistilteinn』から広がる風が空へと巻き上げ、傷までもを一掃する。
「芦原花梨さん。良い夜ね」
飛び出した理彩は、刀の柄へと手をかけた。
「悩みから解放された貴女はとても活き活きとしてるけど。そのまま何処でもない所へ飛んで行ってしまっては困るから、ね」
抜き放った愛刀『心壊』が、燃え盛る獣の炎を映し刃を煌かせる。しかし今理彩が食らわすは柄の一撃――宿した影で敵の心の闇を引き出す業、トラウナックル。
「ちょっと酷かも知れないけど……ショック療法、行くわよ」
呟いて左側腹を打った一撃に、怯える様に瞳を濁らせた獣には一体何が見えたのだろうか。
「御免なさいね、痛くしてしまって――でも、こうしてその獣に一度引っ込んで貰わないと、貴女を連れ戻せないんです」
ふわりと背後。宙を舞う恵理から、優しい声と黒き影が獣を包むように広がった。
獣の動きを縛り付ける影はしかし、胴こそ覆っても四肢を覆うには至らない。激しい抵抗の力に、恵理はぐっと影手繰る力を強める。
そこに、もう1つの影が伸びた。
「オレ達、きみに会いに来たんだ」
終始眠そうな小太郎の視線は、繰り出す影の様に伸びやかに獣の四肢を捉えて放さない。夜の自由な雪原闊歩から一転、束縛の闇中へと引きずり込まれたイフリートは、キシャアと一声啼く表情に強い怒りを滲ませた。
「……他人と違うって不安やんね。わたしもそやった。髪の色変とか、見た目こんなやのに英語話せんくて馬鹿にされたり」
希沙は、少しだけ悲しそうに微笑み、まるであやす様に優しく語り掛けた。
力任せに引き裂かれた束縛の影の中から、炎を纏った鋭い爪が伸びてくる。地を叩いたそれを後ろに飛び退いてかわした希沙は、そのまま手に持つ輝く盾を広く仲間へ展開させた。
「色んな人がいるから、意地悪言う人にあうと悲しいけど――でもそんな人達ばっかりやないよ。人と違うことで、仲良くなれることもあるんよ」
ワイドガード。人に傷付けられた過去こそあっても、希沙は今こうして人を癒し守ることが出来る人間になった。
受け入れてくれる人達がいることを、今は知っているから。共に肩を並べ戦える友人や、――何より希沙自身が守りたいと願う人達が、自分の傍に居てくれる。
出会えたことで、変わったものがあるのだ。
「大人がダメっていうことを生まれつきもってると、みんないじわるします!」
言葉を継ぎ語る大好きな声に、ちらりと希沙は視線を向けた。
そこには、にっこりと優しい色彩の笑顔――千佳が居た。手に持つ杖に注がれた魔力は、バチバチと音を立てて解放の時を待っている。
「わたしも小学校のとき髪の毛うねうねだってよくひっぱられました。でもね、中学になったらいいなあって羨ましがられるようになったですよ」
とん、と小さな体が跳ねる。軽やかに駆けてすれ違い様、千佳は獣の右前肢目掛けて魔力を一気に解き放った。
――グァアアアア!!
それは、改心の一撃。悲鳴の様な咆哮が、広き雪原にまるで冬の風のうねりの様に響き渡り――あまりに悲痛なその声に、祐は少し苦しそうな表情を浮かべた。
しかし獣を正面から見据える彼は、向き合うことから決して逃げない。
「自分の髪色や肌の色のこと、他の人と違うとやっぱり気にしちゃいますよね」
手には、祐を選んだ破邪の剣を握って。獣を切り裂く刀身には祝福の白光が煌き、花梨を思う祐の心の様に優しく輝いた。
「でも、言い換えればそこはあなたの個性なんだと思います。芦屋さんはせっかく綺麗な肌に綺麗な髪をお持ちなんですから、どうかそれを大切にしてください」
翡翠の温かな瞳は、真直ぐに花梨を見つめ続ける。救えると信じているから、絶対に瞳を逸らすつもりは無かった。
「髪の色も肌の色も、一生モノです」
穏やかな笑み浮かべた先の、しかしイフリートは交戦の構えだ。前肢を振り上げ未だ攻めの手を止める気配はない。
しかし、その瞳の奥には――灼滅者も気付かない程に微かだったけれど、優しい灯火が見え始めていた。
●寂しき獣
「芦原さん、このままでは貴女は全部獣の中に溶けてしまう!」
何度でも。競い共に走る喜びを訴えるべくイフリートに併走する恵理は、その瞳へと幾度も幾度もその名を強く呼び掛ける。
「それでは、歪んだ鏡しか知らぬまま消えて行く貴女自身が悲し過ぎます!」
「走り終わった後憂鬱になってしまったら、一緒にあそびましょう!」
黒の様で黒で無い恵理の髪と、温かな土色の千佳の髪とが、仄かに赤く風に舞う。戦場を取り巻く炎は更にその熱量を増し、今や呼吸の度に喉と肺を灼く様だ。
はあ、と吸い込んだ息を1つ大きく吐き出して、一樹は獣の顔を見上げた。
溶雪にぬかるんでいた土の地面は既に熱に乾き、皮肉にも駆けるには都合の良い大地へと様変わりしている――その中央では今、高い音を響かせ剣戟交わす恵理の刃とイフリートの爪とが、摩擦に火花を散らしている。
獣の中に、未だ花梨を見出すことは出来ていない。
(「彼女の悩みを、誇りに変えることが出来ればいいんだけど」)
一樹は、手袋の覆う右手で左頬の絆創膏に触れる。救うために、どうすべきか――答えは1つ、戦い続けるしかなかった。
「今宵奏でるは、キミに贈る夜想曲!」
一樹の声が、戦場満たす旋律を紡いだ。
青い薔薇のレイピアをタクトの様に空へと掲げ、奏でる音は伝説の歌姫思わす神秘の声。
獣の瞳が、一瞬虚ろに空を泳ぐ――歌の魔力が今、獣を惑わしているのだ。
「きさちゃん、こたろさん! ワンツースリーしましょう!」
好機に、千佳の声は明るく友の名を呼び、広げた魔導書は千佳の膨大な魔力を留め妖しく輝いた。
「よしきた!」
「トリオ連携オーライ、ワンはオレがいただく」
それは、連携攻撃の合図。炎の激流を、希沙が盾で受け止める。その間に、小太郎が影で炎獣を縛り、狙い澄ました千佳の魔法光線が撃ち貫く――右前肢の傷へと命中したアンチサイキックレイに炎獣の体はぐらりと傾き、ズン、と初めて膝を折った。
ウォオオオ――……
再び、獣が長く深い咆哮をあげた。力強く、しかし何処か切なさ感じるその遠吠えを聴くうち、小太郎からぽつり、花梨への思いが零れ落ちる。
「――オレも……『その目が気味悪い』って、たった一言を引き摺って。人目を避けて、逃げて、生きて来た」
ペリドット。淡き緑玉の様な瞳が花梨の炎を映して揺れる。
「でも今はこの通り、きみの目を見て話せる。そこの篠村さんとか、花澤さんとか……個性を認めてくれる人達と出会えたから、顔を上げられたんだよ」
変わらず眠そうにとろりとして――でもその瞳の奥には今、優しき感情が宿っていた。
人の中で知る温かさ。人に傷付き、独りを享受しようとしても――人の心に触れたいと願う人の心を、小太郎は知っている。
「ずっと独りでいいやって思ってたけど……変わった。変われた。だからきみにも、前を向く切っ掛けを掴んでほしい」
俺は、もう出会えたから――それ以上は言葉にせずに真直ぐに花梨を見つめる小太郎。
その表情は、希沙からは見えなかったが――声は微笑っている様に思えた。
「……?」
ふと、理彩は戦場の変化に気付く。
熱さに痛む肌に、時折ひやりと冷気が触れる。蜃気楼の様にゆらゆらとゆらめいて見えていた遠くの景色も、気付けば随分とはっきり見える様になった。
そして獣は、ぶるぶると震えながらその場に立ち尽くしている。
「……芦原さん?」
外見に変化は無い。しかし、炎はその勢いを弱め、先ほどまでの敵意は感じられない――予感を確信へと変えるべく、祐はその名を呼んだ。
「……たすけて、怖い……」
「!」
「芦原さん!」
応えの声に、灼滅者達の表情が一斉に安堵の笑顔へと変わる。
重ねた思いと言葉の果てに。灼滅者達は遂に花梨の気配を、掴んだ。
●共に
髪も、肌も――未だ伝え聞く色しか知らない花梨の姿は今、獣の中に気配だけをはっきりと見せていた。
震える体は、灼滅者達に応えて花梨が必死で獣の攻撃を抑えている証だろう。しかし抵抗に反してゆっくりと、再びその手は獣の頭上に掲げられ――炎の爪が祐目掛けて振り下ろされる。
「……チッ、もう少しか!」
1つ舌打ち、円の手元で剣の形態を取っていた『Mistilteinn』が瞬時に弓へと変化する。
「花梨! よーく考えてみろ! アンタのそれは、今はコンプレックスかもしれない……でも!」
叫ぶ声と共に弓に番えるのは、傷得た仲間を何度でも癒す光の矢だ。
「没個性の中で埋もれない奴は輝いてるんだぜ! 折角の宝物、ここで無くしちまうのは勿体ねぇ、だろ!」
語尾を強め、同時に光の矢を射出する。激しい炎に包まれた祐の体を射抜けば、傷や炎は一瞬のうちに消えていった。
「夢を見るなら、もっとポジティブな方面でいこうぜ!」
「怖がらないで! 本当の姿を見せて……!」
一樹もまた、花梨へ響けと声を張る。
「僕達をよく見て、芦原さん! 今ここにいるだけでも、色んな人がいる」
ココア色の髪が、駆ける度にさらりと揺れる。茶色の髪だと言えば世の中には沢山居るだろうが、ココア色、と問えばどのくらいの人が応と答えるだろう。
髪色1つ、似た色あれど同じ色など何処にも無いのだ。個性は生きる人の数だけ存在し、そして時に、人を羨む原因になりもする。
「僕達は、もっと沢山の色が集まってる場所を知ってる。そこでは皆、色の違いなんてどうでもいいくらい生き生きしてるんだ! だから君だって、そのまんまのキミでいい!」
ぐっと、獣の腕が再び頭上でぴたりと止まった。そのまま、ぐぐっと少しずつ腕は足元へと降りていく。
伝わっている。その証拠に――1つ言葉掛ける度、獣の体に猛る炎がその勢いを失っていくから。
「……花梨さん。私も貴女も誰かを助ける事が出来るの。今、心まで化物になりかけていた貴女を助けに来たように」
救うべく最後の一撃は、理彩の美しい刀の一閃だった。
「私や貴女みたいな人が、沢山いるわ。ねぇ、花梨さん――私達の学園に来ない?」
かちりと、一度刃を鞘へと納めて。理彩が見せる最後の抜刀の構えに、獣は体を理彩へと向け、無抵抗に立った。
ほとりと獣の瞳から零れ落ちた涙は、花梨なりの問いへの答えだ。新たな仲間の誕生を理解して、駆け出す理彩は微笑んだ。
「芦原さん、雪に消えるにはまだ早過ぎます。私達は女の子、素敵な変化を自分でもぎ取れる生き物なんです」
戦いの終わり。恵理は穏やかに花梨へ語り掛ける。千佳と希沙、小太郎はハイタッチを交わし、一樹と祐も武器をカードへ戻し微笑んだ。
ファイアブラッドの、新たな灼滅者。共に武蔵坂学園へ帰る友人の誕生に、笑んだ円が、勝ち鬨と歓迎の声を上げる。
「行こうぜ! 俺達の武蔵坂学園へ!」
「闇のみを――断て、心壊!」
理彩が鞘からの抜き打ちの刃で獣を斬り裂いた。
掻き消えた、炎の中に―――1人の少女。銀に光る灰の髪を雪原に散らし、雪に透ける肌の少女の寝顔は、穏やかに微笑んでいた。
作者:萩 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年3月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 5/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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