焼鳥ならぬ、豚カシラの魅惑

    作者:幾夜緋琉

    ●焼鳥ならぬ、豚カシラの魅惑
     若者二人が、埼玉県は東松山市を歩く。
     丁度夕方から夜に成り行く頃……店先には、提灯の明かりがぽつ、ぽつ、と灯り始める頃。
    「凄いねー……この焼き鳥の提灯の多さ! ここって焼き鳥が有名なのかなぁ?」
    「ああ、らしいぜ。この東松山はさ、焼き鳥で有名な待ちなんだ。室蘭市、今治市に並んで、日本三大焼き鳥と言われる位なんだぜ? その名も……」
    『東松山味噌焼きだっ!!』
     ぐぐっ、と拳を握りしめながら叫ぶ男。
     ……その身体を見てみると、何だかヤキトリの様に一本串が真ん中に通り、豚カシラにネギが挟まっている……正しく、ヤキトリの姿。
     そんな彼の登場に驚く二人……一瞬呆気にとられるが、程なくして。
    「……いや、でもさ、豚カシラじゃヤキトリじゃなく、焼豚じゃないの?」
    『そんな事ぁなーーい、これこそ焼き鳥でいいんだよっ!! ほら、食え食えっ!!』
     頭の壺のような所から、むんずと日本の串を取り出し、差し出す。
     たっぷり味噌が掛かった焼き鳥、湯気立ち本当に上手そうで……それを一口、彼らに食べさせると。
    『どうだ、美味しいか! 美味しいのならば、さぁ焼き鳥の店に行くのだ!!』
     と、宣伝して、しゅたっとその場を後にするのであった。
     
    「さて……皆さん、集まって頂けた様ですので、早速ですが、説明を始めさせて頂きますね?」
     五十嵐・姫子は、集まった灼滅者達に小さく微笑みながら、説明を初めて行く。
    「今回は、東松山に現れた味噌焼き鳥怪人さんを倒してきて頂きたいのです」
     と、姫子は赤星・緋色(朱に交わる赤・d05996)の顔を見る。
     埼玉県は東松山市……この地は人口一万人辺りのやきとり店の数が日本一である、という焼き鳥の町。
     そこに現れたのは、ご当地名物、味噌焼き鳥を愛して止まない味噌焼き鳥ご当地怪人。
    「彼は味噌焼き鳥を知らない人達の前に現れては、味噌焼き鳥について熱弁を揮い、味噌焼き鳥を食べさせる様です」
    「味噌焼き鳥を上手いと言えばいいけど、上手くないと言った人がいると、烈火の如く逆上して、殺してしまう可能性があります……そうなる前に、皆さんにこのご当地怪人を倒してきて頂きたいのです」
     そして姫子は、東松山味噌焼き鳥のパンフレットを皆に渡してから。
    「このご当地怪人さんは、正しく焼き鳥が擬人化した様な姿形をしています。そして頭に壺を被ってて、そこにたっぷりの味噌と、食べさせる用の焼き鳥が一杯入っています」
    「なので、攻撃手段としてのメインは頭の味噌をプシャーと吹き出して、ネバネバしつこい味噌で足止めをするバッドステータス攻撃、それに加えて焼き鳥を手裏剣の様に投げてきたり、唐辛子で目つぶししてみたり……とバリエーション豊かな攻撃手段を持っているので、ご注意下さいね?」
     そして最後に姫子は、皆を見渡しながら。
    「被害者は居ませんが、いつ出るかも解りません。まぁ、彼は味噌焼き鳥が好きだからこそ、強く出てしまっているのかも知れませんが……」
     苦笑しつつ、姫子は。
    「ともあれ、皆さんの力が頼りです。どうか、宜しくお願い致しますね」
     と送り出すのであった。


    参加者
    黒洲・智慧(九十六種外道と織り成す般若・d00816)
    鷹森・珠音(黒髪縛りの首塚守・d01531)
    浦波・仙花(鏡合わせの紅色・d02179)
    赤星・緋色(朱に交わる赤・d05996)
    高原・美弥子(白き陽・d09505)
    三条院・榛(猿猴捉月・d14583)
    ソフィ・ルヴェル(カラフルジャスティス・d17872)
    新舞子・海漣(じゃーにーするー・d21141)

    ■リプレイ

    ●豚愛し
     埼玉県は東松山市……姫子に話を聞いた灼滅者達は、赤星・緋色(朱に交わる赤・d05996)の予測したご当地怪人、味噌焼き鳥怪人を倒す為に、そこへと向かっていた。
    「しかし、東松山の焼き鳥怪人って、本当にいたんだねー」
    「そうだね。味噌焼き鳥怪人かぁ……一応家が焼き鳥屋なだけに、これちょっと興味あるなぁ……」
    「え? 美弥子さんは焼き鳥屋さんなんです?」
    「うん。まぁ、うちじゃ味噌焼き鳥どころか、豚も扱ってない、ごく一般的なラインナップなんだけどね。そうそう、塩の味付けの豚って食べたことはある? あれ、ヒドイんだよねぇ……」
     緋色に高原・美弥子(白き陽・d09505)が、焼き鳥の思い出を思い出しながら語る。それに、更に緋色も。
    「うんうん。そうだよね。でも、この味噌の焼き鳥って、食べ慣れると、他が選べなくなる位に美味しいんだよ?」
    「そうなんだ。あたしは肝心の味噌焼き鳥は食べたことないんだ。いや、肝の味噌がうちにはないから、当然なんだけど」
    「なら、今日は味噌焼き鳥を確り食べて、その魅力を感じ取るといいと思うよー」
    「うん、そうするよ」
     ……そんな二人の会話に、黒洲・智慧(九十六種外道と織り成す般若・d00816)はクスクスと笑いながら。
    「まぁ、いつかは美弥子さんの焼き鳥屋に行ってみたいね。勿論美弥子さんも、店に出てるんでしょう?」
    「ん? まぁ……手伝い位でね。おじいちゃん、頑固だからさ……焼き鳥を焼かせて貰えないの」
    「そっかぁ……残念だね」
     智慧が苦笑を浮かべ、肩を竦める。
     ……そんな灼滅者達の他愛も無い会話の一方、新舞子・海漣(じゃーにーするー・d21141)はぐぐぐっ、と拳を握りしめながら。
    「しかし焼き鳥なのに豚肉! でも焼き豚じゃなくて焼き鳥って、不思議じゃん!」
     と大きな声を上げる。それに鷹森・珠音(黒髪縛りの首塚守・d01531)と、浦波・仙花(鏡合わせの紅色・d02179)、そしてソフィ・ルヴェル(カラフルジャスティス・d17872)が。
    「えっと……確かに、そうですね? 豚なのに焼き鳥……正しくは、豚のカシラ肉、という所みたいですけど……」
    「うむぅ……そうじゃな。まぁ先祖代々の風習的な所があるのかもしれないのう。しかしながら、なんで戦争前にウチはこんな愉快な依頼に参加しちょるのかのう」
    「そうですね……このご当地怪人さん。熱心な宣伝活動は結構なのですが、気に入らないから怒るというのは……やり過ぎだと思います」
    「そうじゃん! そんな訳で、悲惨な結果に終わったテストの事は忘れて、美味しい物を食べに行くじゃん! いえ~い!!」
    「そうじゃな。例え間抜けに見えたとしても怪人は怪人。確り倒さんとね。それにしても……聞いた話によると、一本串が通った身体に頭に壺とは……一本筋の通った顔をしてるのじゃろうな!」
    「……えーっと……どういう意味? それに……居たっけ?」
     最後の珠音の言葉に、三条院・榛(猿猴捉月・d14583)が珠音に訊ねる。
     ……まぁ、居たっけというのも無理は無い。
     相談時はエイティーンを使用していた様で、今のちょこまかとした姿形とは全く違っていた訳である。
     ……そんな榛に、ふふーん、とニヤリ笑みを浮かべつつも。
    「まぁ、わからぬのもしかたないのう。ともあれな……一本筋が通った顔をしてる、と言わずにいられなかったんじゃよ! 我慢出来たかったのじゃ!!」
     満足気な表情……そっか、と全てを理解した様で、榛はあはは、と笑っていると、灼滅者達は、東松山へと到着したのである。

     まだ時間は、昼をちょっと過ぎた辺り……焼き鳥屋さんも、基本的にはまだ営業をしていない時間。
     駅に降り立った灼滅者達は……。
    「うーん……余り変わってないなー」
     と、緋色が身体を伸ばして、東松山の空気を胸一杯に吸い込んでガイアチャージをしていた。
     彼女も、埼玉県のご当地ヒーローである。
     ここから約一時間位の川越ではあるけれど、肌に感じるガイアは田舎に帰った様な、そんな気さえする。
     ……そして、そんな緋色の横で、海漣も大きく空気を吸い込んで、並んでガイアチャージする。
     ふと思えば、今ここにご当地ヒーローは三人。
     ソフィも、そんな二人に合わせて、しっかりとガイアチャージで東松山のパワーをその身に充填していく。
     ……と、そうしている間に、一旦居なくなっていた智慧が戻ってくる。
     その手には、なにやら紙が……。
    「お待たせしました。はい、これ」
     と、彼が一人一人に渡してきたのは、市役所の作ったやきとりマップ。
     この東松山周辺のやきとり屋が、約50店舗記されていた……東松山からちょっと離れた所の店までもある。
    「こんなに、焼き鳥屋さんがあるんですね……」
    「おー、すごいじゃん! やっぱ焼き鳥、いや、焼き豚はこの地で有名なんじゃん!」
     仙花と海漣の言葉に、緋色はこくこく、と頷きつつ。
    「ご当地名物だもんねー。だって、日本三大焼き鳥の一つって言われてるんだよ?」
    「北海道の室蘭、愛媛県は今治……そしてこの埼玉県は東松山、だね。まぁそれぞれの町で特徴があるから、一概に比較は出来ないけど」
     美弥子の言葉に、榛は感心した様に。
    「ほー……そうなんやね。そら知らっんかったわー」
    「そうだね……まぁ、普通はあんまり気にしないもの」
     美弥子がくすりと笑い、そしてソフィが。
    「ともあれ、夜……いや、店が開き始めるのは夕方くらいでしょうか? それまでにはしっかりと準備を整えておきたいですね……結構店の数もあるみたいですから、早めに動いておきたいですね」
    「そうやね。人気が少なさそうで、ある程度開けた場所……あ、可能ならお土産物屋も物色出来るとええね」
    「……あ、そうですね。折角東松山まで来たから、お姉ちゃんにお土産も買ってきたいです」
    「そうじゃな。よーし、それじゃ探索開始なのじゃー!」
     榛、仙花に珠音が嬉し気に拳を振り上げ、そして……灼滅者達は、焼き鳥のお店を一件一件巡りながら、迎え撃つのに適当な店を探すのであった。

    ●魅惑の匂い
     そして灼滅者達が味噌焼き鳥の店を巡って小一時間ほどが経過する。
     幸い、目的としていた待ち伏せ場所……店の近くで、人気が少なく、多少開けた駐車場を発見する事が出来る。
     数台の車もあり、隠れる場所もある……まぁ、家の近くだから、あんまり大きな音を立てるのは不味いかもしれないけど。
    「うん……ここなら良さそうだね」
     美弥子の言葉に、皆も頷いてて……。
    「それじゃ、ちょっと早いかもしれへんけど、ご当地怪人を挑発しに往くとするか。他に誰か来る?」
    「あ、あーしもいくじゃん!!」
     榛に海漣が手を上げる……そして。
    「……流石に二人だけだと、少ない気がします。私も一緒に行きますね」
     とソフィも手を上げて、合わせて三人がご当地怪人を探しにその場を離れ、残る灼滅者達は、姿を隠す。
     ……そして、空が夕方に包まれ始めた頃……目の前の焼き鳥屋から、炭火焼の香ばしい匂いが漂い始める。
    『……ぐぅぅ』
     その匂いに、誰かのお腹が鳴り響く……。
    「うぅ……おなか空いてくるので、サウンドシャッターで匂いも遮断して欲しいです……」
     どうやらそのお腹の音は、仙花だったらしい……でも、周りの仲間達も、美味しそうな匂いにお腹が空いてくる訳で。
    「……まぁ、早く誘い出してきてくれればソレで解決だけど……と」
     智慧が懐に手を当てる。携帯へのメール。
    「どうじゃ?」
    「ん……見つかったって。今から挑発して、連れてくるから準備為といて、って」
    「ふむ。そろそろなのじゃな。サウンドシャッターの準備は万全なのじゃよ」
     鼻歌を歌うように待つ珠音……そして、海漣、榛、ソフィは。
    『さーさー、味噌焼き鳥を知らぬ君達に、味噌焼き鳥を教えてあげようではないかー。ほらほら、喰え喰え-!!』
     頭の味噌壺に、焼いた豚カシラをしっかりと付け込んで、ずずっ、と差し出してくる味噌焼き鳥怪人。
     ……その味噌焼き鳥に、榛と海漣は早速。
    「いや、これ完全に焼き鳥ちゃうやん。豚やないの?」
    「そうそう。焼き豚なのに焼き鳥なんてヘンなのー!」
    「ええ……これ、やっぱり焼き鳥じゃないと思いますけど……」
     三者三様の、挑発の言葉。
     その言葉に、味噌焼き鳥ご当地怪人は、頭の味噌をグツグツ、と煮えたぎらせて。
    『なんだとおおお!! これこそ東松山のやきとりなのだっ。異論は認めん、豚カシラであっても昔っからこれが東松山のやきとりなのだあああ!!』
    「いや、だから焼き『鳥』じゃないやん。焼き『豚』やって」
    「そうだよねー。間違いを認めなよ。じゃないとかっこ悪いよー?」
    『くっ……この、分からず屋共がーー!!』
     声を張り上げる彼。焼き鳥をもって、迫いかける。
    「来たか。よっしゃ、逃げるで!」
    「ええ……!」
     追いかけてくる彼と、逃げる灼滅者……メールで向かっている旨を仲間達に投げる。
     ……そして、追い詰められたかの様に振る舞いながら、駐車場に到着すると……三人は振り返り、立ち塞がる。
     それと共に、すぐに珠音がサウンドシャッターで、その場から音を外に漏らさないようにする。
    『ぬ……!?』
     驚きの表情を浮かべ、立ち止まる彼……その好きに、待ち伏せて居た仲間達が包囲。
    「さて、と……とりあえず言いたいんだよね。味噌焼き鳥も美味しいんだろうけど、普通の焼き鳥も美味しいんだよ! そりゃさ、うちの焼き鳥は名物になるようなものじゃないよ。でも、じいちゃんの焼き鳥だって十分美味しいんだ!」
    「あのあの……そうなのです。大好きなのは、私も別に構わないですけど……でも、豚さんのお肉だと、焼き鳥じゃないと、私も思うのですよ……」
     美弥子と仙花の言葉にに、更に緋色、智慧、ソフィも。
    「そうだよ。味噌焼き鳥は美味しいし、広めたいのは十分解るよ。だけど強制は良く無いかな? 小江戸の緋色が灼滅してあげる!」
    「そうですね……君が何であろうと、味噌焼き鳥だけしか認めないというのであれば、私達はそれを否定する……実力行使でね」
    「そうです。ご当地愛に溢れるのは良いことですが、そこに訪れる人も大切にしなければいけません! あなたの活動もここまで、私達が止めて見せます!! チェンジ! カラフルキャンディ!!」
     と、ソフィはスレイヤーカードを掲げ、変身ポーズを取り……ご当地パワーを受けて変身。
     そしてずびしっ、と構えて。
    「彩り鮮やかは無限の正義! ソフィ参ります!! いきますよブラン!!」
     ソフィはブランに騎乗してすれ違い様の一閃を、速攻で穿つと、それに続けて珠音、仙花、海漣、榛も。
    「美味しい焼き鳥の為に、その1! お肉を縛って漬け込みます!!」
    「えと……豚さんのお肉……氷漬けにするです」
    「ご当地ドロー!!」
     封縛糸、フリージングデス、高速演算モード、と次々とサイキックを使用する一方、智慧と緋色はクラッシャー効果を活かして。
    「まぁ、解って貰えないなら仕方ないね……それじゃ、キミの運命を、これで占おうか……私は表……どうかな?」
     と智慧は懐から一枚のコインを取り出し、高く弾く……そして空に舞う間に接近し……フォースブレイクの一撃。
    『ぬぐぁっ!?』
     強烈な一撃に、尻餅をつくご当地怪人……そして墜ちてきたコインを掌で受ける。
     出た面は表。
    「……私の勝ちだね。さぁ……皆で現実にしてあげよう」
     くすりと笑う智慧、それに彼は。
    『う、うるせーうるせー! 負けるかぁああ!!』
     と、頭上の味噌をプシャーと噴射し、ネバネバドロドロで服を汚し、動きを鈍らせてみたり。
    『からーい唐辛子を食べてみろー!!』
     と、唐辛子を風に乗せて捲いて、目眩まししたり……焼き鳥を手裏剣の如く投げ放ってきたり。
     味噌焼き鳥の全部を使った、多彩な攻撃で灼滅者達へと攻撃……それに美弥子が。
    「こら、食べ物を粗末にするな! 味噌焼き鳥をPRするなら、攻撃に使ってダメにするな!!」
     と、その攻撃に駄目出しをしていく。
     ……勿論、それに従う彼ではない。
     とはいえ、名物を攻撃に使う彼に、ご当地名物を語る資格は無いと言わんばかりに、灼滅者達は更に攻撃を激化させる。
    「その野望、蹴り砕きます!」
    「カシラキーーック!!」
    「いちげきひっさーつ! 小江戸式キーック!!」
     とソフィ、海漣、緋色の三連続ご当地キックが決まり、更に仙花も乱れ手裏剣で毒を付与。
     ……そして、美弥子は、粗末にした怒りと共に。
    「ご当地名物を、これ以上侮辱するなっ!」
     と、美弥子が穿った戦艦斬りは、ご当地怪人を一刀両断叩ききるのであった。

    ●味噌カシラを好み
    「……ふぅ。終わった様じゃのう?」
    「うん……そうみたいだね。みんな、お疲れ様だよー」
     珠音に緋色が労いの言葉を掛ける。
     そして……海漣は、既に姿が消えてしまった味噌焼き鳥ご当地怪人に対して。
    「焼き鳥、バカにしてごめんね? 悪気はなかったのじゃん……」
     と、手を合わせて冥福を祈る海漣……そして、それに周りの仲間達も、彼に対しての冥福を祈る。
     ……そして、再び目を開くと共に。
    「そうだね。せっかく来たんだし、焼き鳥を食べて帰らないと。お土産もいいよね?」
    「うむ……しかしのぅ。味噌で服がベトベトになってしまったのじゃ。早く着替えたいのう」
    「そうですね。流石に味噌が身体に張り付いて……気持ち悪いですし」
    「うむ。でも、折角ここまで来たのじゃから、味噌焼き鳥を食べて帰りたいのじゃ。という訳で……こんな事もあろうかと、と思ってたのじゃ。じゃーん!」
     珠音が取り出したのは、武蔵坂学園のジャージ。
     味噌で汚れた服から、ジャージに着替えて……そして灼滅者達は、味噌焼き鳥の店へと入店。
     灼滅者達の前に並ぶ、味噌焼き鳥……香ばしい匂いと、美味しそうな炭火の煙……。
    「さー、アンタのご当地愛頂くじゃん、ゴチ!!」
     と海漣が言い……そして味噌だれをつけて、一串を口運ぶと……ちょっとピリカラな味噌が、かなり美味しい。
    「うーん、上手いのじゃー♪」
    「ちょっと辛いけど、それが美味しいね。焼き鳥は甘辛いのが多いけど、こういうのもいいね」
     満面の笑みで微笑む珠音に、智慧も笑顔で口へと運んでいく。
     そして、思う存分焼き鳥を食べて、お腹いっぱいになって店の外へ……。
    「うーん……豚カシラおいしー。けど、ここはあーしのご当地じゃなかったじゃん……」
    「まぁ、美味しいご当地は、美味しいのは変わらないですよ。まぁ……今回のご当地怪人さんは、ちょっと強制しすぎだったと思いますが……ね」
     海漣に苦笑するソフィ……そして榛も。
    「まぁ、あーいうの、僕はあんま嫌いやないけどね。と、もー夜になるし、帰るでー?」
     榛の言葉にはーい、と手を上げる珠音、仙花、緋色にソフィ。
     過半数は小学生だった事実に智慧は肩を竦めつつ、灼滅者達は帰路につくのであった。

    作者:幾夜緋琉 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年3月29日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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