グリュック王国大決戦~決戦はジャガイモ畑

    作者:かなぶん

     北海道帯広にあるグリュック王国。
     そこを拠点とするゲルマンご当地怪人達。
     先日の新潟ロシア村の戦いは、彼等を大きく動揺させる結果をもたらした。
    「まさか、ゲルマンシャーク様が灼滅されてしまうとは!」
    「私達はどうすればいいんでビア?」
    「こんな時に、レディ・マリリン司令官代理さえいない、あぁどうすれば」
     有能な上官を失い右往左往するご当地怪人達。
    「お、お、おおおおお落ち着け。ままままだあわ、わ、あわわわわわ」
    「なにをやってるんジャガ、農作業の途中ジャガ」
     慌てふためく怪人を、やけに落ち着いた怪人が制止した。
    「何を言っている! こんな一大事に農作業なんてしてる場合じゃ……ハッ!」
     反論しようとした怪人は気づいてしまった。
     周囲の仲間が全員、あまりの現実の非情さに耐え切れず、農作業という形で現実逃避を始めてしまっていることに。
    「ゲルマンシャーク様がやられたなんて悪い夢に決まっているんジャガ……」
    「止めろ! 目を覚ませ!」
    「目を覚ますのはお前ジャガ。我等にはこのジャガイモ畑を耕すという崇高な使命があるんジャガ……」
    「のどかジャガ。こうしてるとイヤなことも忘れられるんジャガ……」
    「こうして種芋を植えれば夏には豊作間違いなしジャガ……」
    「ああ、そうすればグリュック王国ゲルマン化の夢にまた一歩近づくんジャガ……」
    「そうとも、目を閉じれば一面のジャガイモ畑が目に浮かぶようジャガ……」
    「「「「アハハハノウギョウッテタノシイナー……」」」」
     現実から目をそむけ、土を耕し続ける者。
     土手に体育座りして、虚空に向かって夢を語り出す者。
     るーるーるー♪
     悲壮なBGMを背負いながら種芋を植え続ける怪人達。
     彼等の背中には哀愁が漂っていた。
     
     集まった君達を、五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)が笑顔で迎えた。
    「新潟ロシア村での戦い、お疲れ様でした。まさか4体のご当地幹部の中でも最強と思われた、ゲルマンシャークを討ち取るだなんて。素晴らしい戦果ですね」
     そして、今回の勝利がもたらした結果は、それだけではなかった。
     北海道のグリュック王国に張られていた、灼滅者を闇堕ちさせるという結界。それが、ゲルマンシャークが灼滅された事で、無くなったというのだ。
    「この結果を受け、武蔵坂学園はグリュック王国攻略作戦を行う事になりました」
     現在、指揮を失ったゲルマンご当地怪人達は混乱状態。
     この混乱から立ち直ると、再組織化されるか、他の組織の軍門に下るなどして、新たな脅威になるのは間違いない。
    「それを阻止出来るのは、今以外ありません」
     グリュック王国には、多数のご当地怪人がいるが、連携はメチャクチャ。
     今なら一気に攻め寄せて、それぞれのご当地怪人を、各個撃破する事ができる。
    「兵は拙速を尊びます。皆様の活躍を期待していますよ」
     
    「皆さんにはグリュック王国にあるグリムの森に向かっていただきます」
     姫子はグリュック王国の見取り図を広げた。
     示された場所には、グリュック王国のゲルマン化を夢見て、切り拓かれたジャガイモ畑がある。
     敵は12体の悲壮感漂うゲルマンペナント怪人。
    「彼等は、ゲルマンシャークが灼滅されたと言うショッキングな現実を受け入れられず、延々とジャガイモ畑を耕して現実逃避をしているようなんです」
     彼等の灼滅が君達への依頼だと姫子が告げる。
    「突入時も現実から逃れて農作業に没頭しているので、敵の予知能力を掻い潜って戦闘を仕掛けることができます」
    「どんだけショックだったんだ……」
     とはいえ敵はご当地怪人。
     ご当地パワーで帯広の雄大な大地に敵を叩きつける「十勝平野ダイナミック」は強力だと、姫子は説明する。
     しかし油断をしなければ十分に勝ち目のある戦いでもある。
    「これはチャンスです。皆さん、準備は出来ていますか? 決戦の地はジャガイモ畑です!」
    「なんかあんまりカッコよくない!」


    参加者
    雲母・夢美(夢幻の錬金術師・d00062)
    久瀬・一姫(白のリンドヴルム・d10155)
    片倉・光影(鬼の首を斬り落す者・d11798)
    中川・唯(高校生炎血娘・d13688)
    王・龍(変態やってる場合じゃねえ・d14969)
    楠木・朱音(勲歌の詠手・d15137)
    卯月・あるな(正義の初心者マーク・d15875)
    ナイ・フォリドルミール(混沌と狂気の信仰者・d23916)

    ■リプレイ


    「早く大きくなるんジャガー……」
     すすけた背中で畑を耕し、種芋を撒くゲルマンペナント怪人。
     のどかだ。
     そう、悲しい現実なんてなかった。なかったんや。
     土手では一人の怪人が体育座りで土をほじくっている。
    「あ、じゃがいもが出てきた。……埋め直すんジャガ」
    「って、いつまでやってんだ!」
    「じゃがーッ!?」
     突如、卯月・あるな(正義の初心者マーク・d15875)の狙撃と、楠木・朱音(勲歌の詠手・d15137)のフォースブレイクがその怪人を吹き飛ばした。
    「全然私達に気づかないなんて」
    「どれだけ現実逃避に没頭してるのよ」
     追い討ちでナイ・フォリドルミール(混沌と狂気の信仰者・d23916)が蹴りを入れて、久瀬・一姫(白のリンドヴルム・d10155)が急所に黒死斬を放つ。
     物陰から奇襲をかけた灼滅者。
     いきなりふるぼっこにされた怪人は、ぴくぴく痙攣して動かなくなった。
    「灼滅者ジャガ!」
    「いつの間に侵入したんジャガ!」
     本当に気づいてなかったらしい。
    「さては我等のじゃがいもを狙って!?」
     育てたじゃがいもを守ろうとする怪人達。
     そのごろっと大きな芋を見て雲母・夢美(夢幻の錬金術師・d00062)はよだれを拭った。
    「じゃがいもは揚げるに限りますよね! ポテトチップス……フライドポテト……うへへ……お腹すいてきました!」
    「美味しいよね、ジャガイモ。煮て良し、焼いて良し、揚げて良しのオールラウンダー!」
    「色々な料理に使えて便利だよな」
     あるなと片倉・光影(鬼の首を斬り落す者・d11798)も頷き合う。
    「ひぃっ!」
    「ゲルマンシャーク様やレディ・マリリン様だけじゃなく我等のじゃがいもまで奪う気ジャガ!?」
    「ゲスい! 血も涙もないんジャガ!」
     怪人としての威厳はどこへやら、すっかり普通の農業従事者である。
    「……くっ! 直視できません!」
     思わず王・龍(変態やってる場合じゃねえ・d14969)は目を背ける。
     しかし腐っても相手はダークネス。
     ナイは気を抜かず、仲間に注意を呼びかける。
    「……油断なきよう、往きましょう」
     中川・唯(高校生炎血娘・d13688)にとっては8ヶ月ぶりの北海道。
    「前回はにっくきマリモがいてほんとぴりぴりしてたっけ。だけど今回は殲滅戦っ!! 前回とは違って気分は最高!! 油断はしないよっ!! 去年の恨み、晴らしてやるっ!!」
    「ひ、ヒイぃっ!」
     指をポキポキする彼女に縮み上がる怪人達。
     あるなとしては彼等に同情の念がわかないことも……、
    「ま、でも仕方ないかなー」
     なかった。
    「さて、これまで好きにやってくれたが……ここらが『潮』という奴だ。そろそろ反撃と行かせて貰うぞ!」
     暴風のような闘気を纏う朱音。
     こうも連携がグダグダな敵を襲撃するのは、なんだか卑怯臭い気もする。
    「でもま、全力で行くぜ! 真風招来!」
     光影はカードを翳し、神薙使いの力を解放した。


     龍の殺気が戦場を覆い、ナイの眼が鋭く光る。
    「私は刃。信仰の逆刃……。皆様の剣となり、力となりましょう……」
    「やばい殺気! 畑を守るんジャガ!」
     すかさず密集して壁を作る怪人達。
     この数秒で連携力を取り戻した!?
     カチンコチン。
     かに見えたが一姫にとってはフリージングデスの良い的でしかなかった。
    「あああ! 我等の畑に霜が!?」
     こんな時でも畑の心配かよ!
    「幾ら酷い状況でも現実を認識しないと悪い方にしか転がらないの」
    「あーあーあー聞こえないんジャガ!」
     一姫の言葉に耳を塞ぐ怪人。
    「おや、ゲルマンシャーク様の仇討をしなくてもいいんですか?」
     龍の一言で怪人達が固まった。
    「なななななに言ってるジャガ」
    「げげげげゲルマンシャーク様が倒されたなんて悪い冗談ジャガ」
    「そそそそそんな現実認めないジャガ」
     目に見えて動揺している!
    「こうなったらゲルマンシャーク様の弔い合戦ジャガ!」
     怒りをあらわにして奮起する怪人。
     だが、
    「がんばるんジャガ……」
    「我等は畑を守ってるジャガ……」
    「お前等も戦うんジャガ!」
     全然足並みがそろっていない。
     その背中に光影のライドキャリバーが突撃。腰がグキッてなる。
    「ごふっ!? 収穫用トラクターのごとき一撃ジャガ……」
    「……お前等には現実を見据えるキツイ一撃をお見舞いしてやる」
     光影は弓を引き絞り、天高く矢を放つ。
     怪人の頭上から百億の星が降り注いだ。
     クモの子を散らすように右往左往する怪人達。
    「手近な奴から狙っていこう」
     朱音の合図で灼滅者は狙いを絞る。
    「この闘争を……我が神に捧げます……AMEN」
     混沌の神を崇め、ナイは間近に逃げてきた怪人に肉迫した。
     シュッ!
     閃光のように振り抜かれる鋭い蹴りで連撃を打ち込む。
     仰け反った怪人を夢美がぶん殴り、縛り上げる。
    「一個ずつ丁寧にじゃがいも剥いて行くのです!」
    「ひぃ! 俺は不味いんジャガ!」
     瞬間、あるなは自身の演算能力を高速化。
     周囲の環境。弾道計算。
     それらの膨大な情報を一瞬で処理、最適解を導き出し、ライフルの引き金を引いた。
     撃ちだされた光線のプレッシャーに怪人は完全に萎縮する。
     身動きが封じられた敵に朱音が「双金冠白鋼棍」を突き込んだ。
    「撃ち抜く! 簡単には止められないぜ?」
     蓄積された魔力が怪人を吹き飛ばす。
     ズザザザーッ!
     思いっきり畑の土を掘り返しながら吹っ飛んで、怪人は消滅した。


    「おのれ! 怒りの種芋ビームをくらえジャガ!」
     ポイッ!
     ポイポイッ!
     あ、これビームとか言ってるけど種芋投げてるだけだ!
    「うう、この! この!」
     オーバースローで種芋を投げる怪人達。
     もうヤケクソだ。
    「こらー! お芋は大事にしなきゃダメなんだよ!」
     種芋をぶつけられたあるなは激おこである。
    「はーい、お注射しましょうね」
     すかさず龍が注射を打って落ち着かせた。
     怪人達が後方支援のあるなを狙う。
    「いや待て、じゃがいも好きを倒すのはあとにしてやるジャガ」
    「あ、でもボクはサツマイモの方が好きだけどね」
     ご当地ビーム「タネガブレイザー」が問答無用で放たれた。
    「ムキー! 騙されたんジャガ!」
     激怒してあるなに襲い掛かる怪人。
    「お前の相手はわたしだっ!!」
     両者の間に唯が割り込んだ。
    「みんなを守ることがわたしの戦う理由だから!」
     唯は怪人達の怒りを自分に向けさせる。
     途端、次々と投げ込まれる種芋。
     ゴツン! ゴツン!
    「あ、意外と痛い!」
     一列に並んで種芋を投げる怪人達。
    「やーいやーい、例え冷害でも負けないんジャガ!」
     啖呵を切って一姫に種芋を投げる。
     数秒後。
    「「「ガタガタガタ……」」」
     やっぱりフリージングデスには勝てなかったよ。
     攻撃をばら撒き、弾幕を張る夢美。
     彼女のビハインドが飛んでくる種芋を一身に受け止める。
    「あー! ゆめみーのピンハちゃんが芋まみれに!」
    「おや、大切なジャガイモ畑を耕さなくていいんですか?」
    「……ちょ、ちょっと畑の様子を見てくるんジャガ」
     龍の一言で戦闘で荒れた土を直し始める怪人。
     今のうちだ。
     仲間の回復に専念する龍と光影。
     清らかな風が吹く中、朱音の闘気が炎に変質して武器を覆う。
    「とっとと燃えてろ!」
    「焼き畑農業ジャガー!」
     芋の焼ける香ばしい匂いと共に、ゲルマンペナント怪人は消滅した。
    「よし、終わり! 次っ!」


     戦闘が始まって数分。
     ゲルマンペナント怪人は半数にまで灼滅されてしまっていた。
     畑の隅では、ナイが暗黒微笑を浮かべて怪人を蹴り飛ばしている。
    「クスクス……この程度では闘争と呼べませんよ……!」
     普段は大人しくて気配り上手な子なんです!
     ちょっと好戦的で戦闘狂なだけなんです!
    「もっと殺意を持って向かってきなさい……! 私達は仇ですよ……!」
    「ヒイィ! 怖いんジャガ!」
     なんかいろんな意味でトラウマ植えつけてる。邪教徒コワイ!
    「種子島出身のスナイパーヒロイン(見習い)の実力を見せてあげるよ!」
     ショット&ムーブ。
     戦場を忙しなく走るあるな。
     彼女は多方向からの遠距離射撃で敵怪人を翻弄する。
    「ちょこまかとムカつくんジャガ!」
     怒りにかられて隊列を乱す怪人。
    「勝手に隊列から外れるなイモ!」
    「あーもうめちゃくちゃだばれいしょ!」
     錯乱して語尾間違ってるんジャガ。
     頭を抱える怪人達に光影のキャリバーが銃口を向ける。
    「じゃが?」
     ダダダダダダ!
    「わわわわ! 危ないんジャガ!」
     必死で機銃掃射をよける怪人に、光影は狙いを澄ます。
     放たれた彗星の矢がまた一体、怪人を灼滅した。
    「絶対逃がさないっっ!」
     唯にカオスペインを刻まれた怪人達は、次々と彼女に種芋を投げる。
     ヒュン! バサバサッ!
     しかし唯の影に斬られ、じゃがいもは空中でくし形切りに。
     おいしく揚げればフライドポテトのできあがりだ!
    「くそう! くそう! お前も種芋を喰らうジャガ!」
     ゴツン!
     イラッ。
     種芋をぶつけられた一姫は火力重視の隊列に切り替えると、
    「久瀬家の技術を見せてあげるの」
    「じゃがあああ!?」
     容赦なく妖槍「龍牙槍」を突き刺してぐりぐりする。
     影にぐるぐる巻きに縛られた怪人を見下ろし、夢美は目をギラリと光らせた。
     さながらまな板の上のじゃがいも状態。
    「あ、アッー!」
     皮むきでひん剥かれるが如く、怪人は悲鳴を上げて灼滅された。
    「ぐぬぬ、こうなったらお前等全員じゃがいも畑に埋めてやるジャガ!」
     怒りのままに怪人は唯を持ち上げる。
     そして畑の土中に頭から叩きつけたあああ! 
     ズボッ。
     最後の足掻き。
     怪人達は灼滅者達を土に埋めていく。
     ズボッ。
     ズボッ。
     ズボッ。
    「お前も畑の肥料にしてやるジャガ」
     怪人達に囲まれ、夢美は突然土を掘り返した。
     その手に握られていたのは、
    「この芋がどうなってもいいんですか!?」
     彼女は怪人達が丹精込めて育てたじゃがいもを芋質にしたのだ!
    「卑怯ジャガ! きっと皮を剥いたり、芽をくり抜いた後、薄く切って美味しく揚げる気ジャガ! なんという邪悪!」
     これだけ芋を愛しているなら、どこかの農家に拾われて一生を農業して過ごせば日本の総生産の改善になるのではないだろうか。
    「と思ったけど絶対にどっかでこじらせるのが目に見えてるの」
     なので、迷いなくハートのついた杖で撲殺する一姫。
     仲間の回復に専念して無防備な龍に敵が迫る。
     咄嗟に彼女は明後日の方角を指差した。
    「ああ! あそこにいるのはレディ・マリリン! 生きていたのですか!?」
     いやいやそんな嘘に騙されるわけ、
    「なに!? レディ・マリリン様ぁ!?」
    「どこジャガ!?」
     効果は抜群だ!
     よほど精神的にまいっていると見える。
     追い討ちをかけるように、朱音がドイツの民謡を歌う。
    「この歌、お前達には懐かしいんじゃないか?」
    「しくしく……うう、ホームシックジャガ……」
    「クスクス、どうしました……? もっと良き闘争にしましょうよ……!」
     郷愁にかられた怪人を無慈悲に蹴り続けるナイ。
    「覇気なき闘争に、恐れるものなどありましょうか……!」
     もう止めて! その怪人のライフは0よ!
     鏖殺領域で敵を屠る龍。
     彼女はうっとりと、
    「これが、殺しの享楽……!? 自分が怖いわムフフフ……」
    「お前はメディックだったはずジャガ!」
    「さあ、グリュック王国、取り戻させてもらうよ!」
     あるなの体にご当地の力が駆け巡る。
    「北海道の大地よ、ボクに力を貸して!」
     アウトレンジから放たれたオーラキャノンに怪人はじゃがいもを撒き散らして爆発!
     裂帛の気合と共に朱音が吼える。
    「これでデッドエンドだ。もうお前達に『勝ち』は無いぜ」
     怪人の投げた種芋をかわし、武術棍を打ち込む。
     ズボッ。
     畑から頭を引き抜き、唯が怪人に向かって走る。
     そして今、渾身の!
    「関東平野ダイナミーック!!」
    「十勝平野をはるかに上回る広大な面積を持つ日本最大の平野には勝てなかったんじゃがあああああああああ!」
     妙に具体的かつ説明口調な断末魔の叫びだった。
     ドカーン!!
     盛大な爆発を引き起こしてゲルマンペナント怪人は消し飛んだ。


    「……怪我を、していますね……治療します……」
     激しい戦いを終え傷ついた仲間に、ナイは惜しみなく治療を施す。
    「ゲルマンご当地怪人が植えたとは言え、ジャガイモに罪は無いよな……」
     念の為、朱音は畑の土を掘り起こしてみる。
     妙な仕掛け等はないようだ。
    「ていうかむしろよく耕されてる……」
    「帰ったらこの畑の面倒を見てくれる農家を探してみようか」
     残された畑の処遇を案じる朱音とあるな。
    「しかし、まぁ、闇堕ちさせる結界がなくなったのなら一度くらいは遊びに来たかったですね……」
     畑として開拓されたグリムの森を見渡し、龍は呟く。
    「グリュック王国……これでひとまず大いなる脅威は北海道から消えるでしょうが、次から次に湧くのがダークネスですからねぇ……」
     この世にダークネスある限り、彼等の戦いはまだまだ続く。
     良い感じに綺麗にまとまった。
     と、いうわけで。
    「うー、おなかすいた。はやくじゃがいも食べたい。じゃがバタ、ポテトサラダ、コロッケ、肉じゃが、えとせとらえとせとら。ふっふっふ、どうやって調理してくれよう」
    「たらふくポテチやフライドポテト食べたいですねー。塩味大好き! じゃがバターは認めてやらんでもないです」
    「……お店の料理に……使えるでしょうか……」
    「これで何か作って寮の皆にでも振舞うかな」
     容赦なく畑のじゃがいもを奪っていく唯、夢美、ナイ、光影。
     山賊のような所業であった。

    作者:かなぶん 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年4月15日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 2/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 2
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