「なるほど、刺青羅刹にはああいう手合もいるのか。正直、俺の勝ち目は薄そうだな」
「鞍馬天狗の軍が来ます! 外道丸さん、どうしますか……!?」
「あいつの狙いはお前じゃなく、明確に俺の『刺青』だ。そして俺よりも強く、こちらの陣容も筒抜けっぽいな。力量と情報で敵わないなら、俺達にあるのは地の利だけだ」
「地の利……あっ、昨日教わった『大勢と喧嘩する時は狭い場所で』、ですね!」
「その通り。それに、奴等の狙いが俺なら、俺が移動すれば街にダメージは無ぇ。
新宿迷宮で籠城戦だ。全員俺についてこい!」
「朱雀門の情報提供によって、『鞍馬天狗』が歌舞伎町の外道丸勢力を襲撃するという情報が入りました」
園川・槙奈(高校生エクスブレイン・dn0053)は不安そうに灼滅者を見つめる。
襲撃に加わるのは、アメリカンコンドルを撤退に追い込んだ精鋭と、外道丸の拾い物を回収しに同行したロード・パラジウム。
その圧倒的な力で鞍馬天狗は外道丸勢力に勝利する。
敗北した外道丸は、敗残の仲間を引き連れて、新宿迷宮に撤退。籠城の構えだ。
生き残った外道丸配下も少数だが精鋭。
籠城戦となれば鞍馬天狗側も苦戦を強いられるだろう。
だが、数の優位は揺るがない。
外道丸が敗北し、刺青を奪われるのは時間の問題だ。
「この戦いに、私達、武蔵坂学園も介入することになりました」
作戦目標は――『鞍馬天狗による刺青強奪の阻止』。
その為には、灼滅者の手で、外道丸を灼滅しなければならない。
また、ダークネス同士の抗争は大きなチャンスだ。
隙を突いて鞍馬天狗やロード・パラジウムの灼滅すら不可能ではない。
とはいえ敵は強大。
全ての目標を達成する事は不可能だ。
「でも、みなさんならより多くの戦果を上げられるかもしれない。そんな気がするんです」
「次に、今回抑えておくべきポイントを説明します」
槙奈は黒板に向かい、戦場の状況を箇条書きで説明する。
・外道丸は新宿迷宮に籠城中。
・智の犬士カンナビスが捜索し、ロード・パラジウムが狙っている何かは、外道丸が保護している。
・鞍馬天狗の精鋭は新宿迷宮の深部を探索中。
・新宿迷宮の浅い階層も、鞍馬天狗配下により制圧されている。
・大規模な襲撃があれば、鞍馬天狗は撤退を始める。
・鞍馬天狗が灼滅或いは撤退する状況になれば、ロード・パラジウムも撤退をする。
・鞍馬天狗とロード・パラジウムを灼滅或いは撤退させれば、外道丸勢力を攻撃することが可能。
「以上です。これらを踏まえた上で、みなさんには優先すべき目的を自分達で決めてもらいます。そして、その為の戦いに備えてほしいんです」
槙奈はそう言うと、涙を浮かべて俯いてしまう。
「すみません、すみません。この作戦がどんな戦いになるのか、それは私達にもわからないんです。十分な情報も与えられず、危険な目にあわせてしまうかも……。でも――」
再び顔を上げ、真剣なまなざしで、彼女は君達を見つめ直した。
「みなさんが決めた目的を見失わないで、その選択を信じて頑張って下さい。そうすればきっと大丈夫。無事を、祈っています」
参加者 | |
---|---|
四条・貴久(サディスティックな執事見習い・d04002) |
出雲・淳志(魔縁薙・d09853) |
朝倉・くしな(初代鬼っ娘魔法少女プアオーガ・d10889) |
アーネスト・シートン(動物愛好家・d11002) |
水無瀬・旭(瞳に宿した決意・d12324) |
永舘・紅鳥(熱を帯びて闇を裂く・d14388) |
海千里・鴎(リトルパイレーツ・d15664) |
八重沢・桜(泡沫ブロッサム・d17551) |
●襲撃
押し寄せる鞍馬天狗配下に外道丸は舌を打つ。
「ちっ。また来やがったのか……。次から次と、キリがねぇぜ」
飛び掛かってきた大柄な羅刹を、巨大化させた腕の一降りで粉砕すると、傍らにいる護衛の一人に顔を向ける。
「あいつは逃がしたな?」
「へい、ご命令通りに。……後は、やつの運次第ですがね」
「上出来だ。これで、少なくとも俺らの巻き添えを食らうことはねえってわけだ。この後の身の振り方は、あいつ自身が決めるだろうぜ」
外道丸はニタリと笑った。
「この喧嘩、もう勝負はついてる。……俺らの負けだ」
「あっしらがここで連中を食い止めやす。外道丸のアニキは……」
「馬鹿か、てめぇは? おめぇら犠牲にして逃げたんじゃ、外道丸さんの名折れだ」
「……いいじゃねぇか、負けが確定してる喧嘩も。だが、ただじゃ負けねぇ」
「承知です。あの世まで、お供いたしやす」
護衛は外道丸に対して深々と一礼すると、奮戦する下っ端達の方に向き直る。
「いいかお前ら! 外道丸のアニキがいるかぎり、俺らに負けはねぇ! 死に物狂いで戦いやがれ!!」
「「「おお!!」」」
勢いを増す下っ端達だが、戦線は徐々に押され始めていた。
「失せろ!!」
外道丸は鞍馬天狗軍に突っ込むと、刺青の力を解放する。放たれたオーラが巨大な蛇を形作る。鎌首の数は8本。八岐大蛇だ。
5人の屈強な羅刹が、一撃で葬り去られる。
しかし、鞍馬天狗軍の圧倒的な数を相手にするにはそれでも足りない。
「怯むなぁ! 歌舞伎町の心意気を見せてやろうぜ!!」
外道丸が配下を鼓舞する。と、まるで潮が引くように、突如として鞍馬天狗軍が撤退していく。
「おお、やったぁ!」
「おとといきやがれ!」
鞍馬天狗軍の背中に下っ端達が歓声をあげる。
が、一部の羅刹は違う反応を見せた。
訝しげな表情を浮かべ、厚化粧をした刺青羅刹が外道丸の脇に寄る。
「どういうこと? 外道丸ちゃん」
「連中の方が押していた。何があった?」
腰は曲がっているが、まだまだ眼光鋭い老翁が、背後の外道丸に顔を向けてくる。
「俺達に畏れをなして、逃げやがった……ということでは無さそうだな」
外道丸は不満げに鼻を鳴らし、物陰に問う。
「なぁ、灼滅者さんたちよぉ?」
物陰に身を潜ませ、成り行きを見ていた灼滅者達は、弾かれたように飛び出すと、素早く臨戦態勢を取った。
他班との連絡を担当していた海千里・鴎(リトルパイレーツ・d15664)は、ハンドフォンを中断する。
今回、外道丸襲撃に訪れた灼滅者は4チーム。
それら1チームごとに、外道丸は配下を割り当てる。
「あやめママたちは左の方にいるやつらを頼む。親分さんたちは正面。お前らは右にいるやつらを叩け」
正面。そう言って外道丸は朝倉・くしな(初代鬼っ娘魔法少女プアオーガ・d10889)達を指した。
親分と呼ばれた三人の羅刹が視線で彼女等を射抜く。
「おっと、まだいたのか。なら、おめぇらの相手は、この俺だ」
蛙石・徹太(キベルネテス・d02052)達のチームを一瞥し、外道丸は口の端を僅かに引き上げる。
(なんとか持ちこたえてくださいっ!)
自分達が辿り着くまでは、そう心の中で祈った。
●侠客
目の前に三人の羅刹が立ちはだかる。
和装を羽織った白髪の老人。
顔に傷のあるオールバックの中年男。
スーツにサングラスの若い男。
額にはいずれも黒曜石の角。ギラつく瞳は、いずれも劣らぬ覇気と狂気を秘めている。
恐らくは歌舞伎町を拠点とする大物であろう。
まずはコイツ等を倒さなければ、外道丸には辿り着けない。
丁度良い。
「今回は学園の力ってもんをたぁーっぷり拝ませてやんよ!」
告げて、鴎は不敵に笑む。
スーツの男もまた、拳を構えた。
「外道丸さんにはウチの若いもんも世話になってましてね。ですから皆さんにはお引取り願います」
永舘・紅鳥(熱を帯びて闇を裂く・d14388)の殺気がビリビリと肌を焼く感触に、老翁はしわがれた声で笑みを深める。
「ほっほっほ、良い良い。そうでなくてはつまらぬ」
「軽めに流しますよ」
アーネスト・シートン(動物愛好家・d11002)の放った弾丸を右手で受け止めた老翁の体を制約が縛る。
「そう急くな。年寄りの相手はするもんじゃ……ん?」
その懐に妖の槍を構えた八重沢・桜(泡沫ブロッサム・d17551)が滑り込んだ。
が、貫いたのは、老翁ではなく、それを庇ったスーツの羅刹だった。
表情を変えない彼の下顎を鴎の拳が捉る。
大きく仰け反る体躯に更に拳を打ち込んでも、彼は表情を変えず、鋭い拳撃で鴎を押し戻した。
「若頭ッ!」
群がる取り巻き達に嵐が吹き荒れる。
迷宮内を縦横無尽に蠢き、くしなの刃の嵐が雑魚を一掃する。
「ひよっこ共がナメたマネを!」
くしなに飛び掛る傷の羅刹。
二人の間に四条・貴久(サディスティックな執事見習い・d04002)が割り入った。
骨の軋むような重い一撃を盾で受け止め、田字草紋の盾で横っ面を殴り返す。
「テメェ……!」
怒りに目を血走らせる男を、出雲・淳志(魔縁薙・d09853)の激しい炎が焦がす。
「灼き払え! 不動火界咒」
「ちっ、そうか、俺はこういう風に終わるのかい……」
炎に包まれ消え行く男は、最後の一瞬、薄く微笑んだ。
アーネストのフォースブレイクを喰らい、スーツの男は大きくよろめく。
それでも表情一つ変えず、彼は不器用に拳を構える。
その拳が振り抜かれるよりも早く、鴎が斬艦刀を薙いだ。
「外道丸さん、すいません……」
周囲の壁すら切り裂いて、森羅万象断が若い羅刹にトドメをさした。
「ほほう、おぬし、見た目の割りに素早いではないか」
戦場を駆ける水無瀬・旭(瞳に宿した決意・d12324)を、老翁が愉快そうに追う。
その足を紅鳥の黒死斬が地面に縫い留めた。
「悪いね、手加減はできない」
がら空きの懐を旭が逆袈裟に切り上げる。
「がははは! 痛快! 痛快!」
刀を鞘に納め、淳志は老翁に向かって走る。
異形の巨腕を突き出す老翁とすれ違う刹那、抜き放つ居合いの一閃。
「見事……っ!」
嗤い、大物羅刹は枯れ木のように朽ちて消滅した。
休むことなく紅鳥は戦況を確認する。
一之瀬・暦(電攻刹華・d02063)がイブニングドレスの羅刹を灼滅したのとほぼ同時、外道丸と戦っていた篠原・小鳩(ピジョンブラッド・d01768)とドナ・バティーニュ(金糸の旋風・d12443)が刺青の大蛇に薙ぎ払われる光景が目に映った。
考えるよりも早く、彼等は外道丸に立ち向かう。
傷ついた仲間を庇うように、桜が一歩、静かに歩み出た。
彼等が外道丸の足止めをしてくれていなければ、倒れていたのは自分達かもしれない。
ならば、今度はこちらが守る番だ。
「はじめまして、外道丸さん、八重沢桜と……いいます……」
「次はお前等が相手か?」
「うにゅぅ……、あとは任せたよ」
撤退してゆく海野・歩(ちびっこ拳士・d00124)を横目で見送り、ギロリと見下ろす外道丸の視線を、紅鳥は正面から睨み返す。
「皆があんたを足止めしてくれたこの数分間は、俺達が引き継ぐ」
●対峙
「初めまして、外道丸。今回はただ殴りに来たんじゃなくて、俺達の力をみてほしくて……あんたが信じるに値するか、ね」
「ほう。さっきの奴等は根性見せたが、お前等はどうだ?」
獰猛に笑む外道丸に対し、紅鳥は強く地を蹴り、放たれた矢のように剣を突き出す。
しかしそれは緋い障壁に阻まれた。
刺青『緋牡丹』。
大輪の華をかたどったオーラが外道丸と灼滅者の間を隔てる。
「武蔵坂学園所属、"魔縁薙"出雲淳志。正々堂々、全力で挑ませて貰う」
淳志の腕が硬質な黒金色に変化する。
大きさは人並の腕だが、威力は鬼神変のそれだ。
「援護するよ……!」
旭と同時に、両側面から緋牡丹に拳を叩きつける。
「あなたに伝えることがある」
「鞍馬天狗は今回、朱雀門と組んでますね」
その言葉に外道丸は眉一つ動かさず、アーネストの弾丸は緋牡丹に弾かれた。
「貴方の確保した何か。それを朱雀門のロード・パラジウムが狙っています」
「ああ、知ってるよ。だからどうした?」
退屈そうに言い捨てる外道丸。
その腕に刻まれた八岐大蛇の刺青が蠢き、胴をうねらせて前衛に喰らいついた。
牙が食い込み、肉を引き千切る激痛が全身に響く。
例え耐えても大蛇の毒は容赦なく灼滅者の体を蝕む。
「傷を取り去り病退けよ!」
新宿迷宮に淳志の声が響き、清らかな風が吹き渡った。
かつて外道丸は言った。
朱雀門と事を構えて、街を無駄な危険に晒す理由が無い、と。
その外道丸を朱雀門は新宿ごと攻撃した。
彼には朱雀門と対立する理由がある。
武蔵坂にとっても朱雀門は敵対組織であり、新宿は守りたい場所だ。
そこに交渉の余地があるのではないかと、くしな達は考えた。
「道は、同じ方向を向いていると思います。朱雀門と戦うため雇われないですか?」
彼女の言葉に外道丸は目を眇める。
「お前達が俺を雇うってのか?」
「貴方と私達には共通の敵がいるでしょう?」
一時的な共闘を申し込む貴久。
「とはいえ、弱者と組んだところで、それが達成できるはずもありません。この戦いでその是非を貴方に決めていただきたい」
「今度は俺に測らせようってのか。ちっ、つくづく勝手な奴等だ」
外道丸の周囲を大輪の牡丹が咲き乱れる。
盾を挟んだ隔たりは果てしなく遠い。
攻撃は止まない。
四季咲・玄武(玄冥のレーネ・d02943)の夜霧に紛れ、桜と鴎が外道丸の懐に躍り出た。
鬼神の拳と閃光の拳を、外道丸が同じく拳で受け止める。
「硬っっってぇ~……!」
受け止めた外道丸の腕に力がこもる。骨の芯まで重く、硬く、響く。
「さっきよりゃマシな拳だ」
貴久は顔面にシールドバッシュを打ち込むが、外道丸は微動だにしない。
しかし彼の怒りを買うには十分だった。
「いい度胸だが、後悔すんなよ」
バゴン! 外道丸が地面を踏み砕き、拳を振り下ろす。
馬鹿げた力で、ソーサルガーダーの強化など無視して、貴久を押しつぶす。
一撃で地面に叩きつけられ、貴久は意識を手放した。
備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)の癒しの矢を受けて、くしなは再度立ち上がる。
「今の学園には朱雀門勢力と戦うだけの、貴方が共闘を結ぶだけの力量が、あります! 今それを示しましょうっ!!」
彼女は拳を握り、緋牡丹の壁に打ちつける。
ミシッ。オーラが揺らぐ。
灼滅者達は外道丸を守る盾を剥ぎ取ろうと、攻撃を集中させた。
「新宿や新宿の人々をわたしたちも守りたいのです……。信頼していただく為に、守る力があると証明する為に、全力でぶつかります」
緋牡丹に桜は何度も拳を打ち付ける。
「守られているだけは、嫌なのです……!」
ビキッ。障壁が軋む感覚。
「俺達だってただの荒らし屋じゃねぇ。迷宮のラグナロクや、スサノオの時だって、俺らも此処を守るために武器振って殴ってきたんだ」
紅鳥は剣を霊化させ、緋牡丹に突き立てた。
障壁に亀裂が走る。
外道丸は僅かに顔をしかめ、裏拳で桜を殴りつける。
鬼の巨腕は軽々と少女の体を吹き飛ばし、グシャッという音を立てて地面に叩き付けた。
「今のは中々悪くなかったぜ」
間断なく、外道丸は紅鳥の髪を鷲掴み、壁に叩きつける。
力尽きた紅鳥を放り投げる外道丸。
駆けつけた淳志を見上げながら、二人はゴボッと血を吐き出した。骨が折れている。これ以上の戦闘は物理的に不可能なのだと、理解した。
だが隙間はできた。
その間隙に旭と鴎が滑り込む。
「力を見せろというのなら、全力で行かせて貰うだけさ……!」
旭は剣を構え、正確に、仲間が作った亀裂に突き刺した。
バギンッ!
壁が割れ砕けるような感覚と共に、外道丸の周囲を覆っていた緋牡丹の花弁が散る。
「これで遠慮なく叩き込めるぜ」
戦神降臨。鴎は外道丸のどてっ腹に斬艦刀を押し込み、豪快に振り抜いた。
ザン!
鬼の腹に傷が刻まれる。
「では、行きますよ」
アーネストの瞳が爛と光る。
その瞳は数秒先の未来を見通し、外道丸の防御の隙を正確に斬影刃で貫く。
その好機を逃さず、灼滅者達は一斉に攻撃を叩き込んだ。
コンクリートを巻き上げ、粉塵が舞う。
「…………」
煙が晴れた時、外道丸は肩膝を地面につけていた。
●交渉
肩で息をしながら、鴎は外道丸に近づく。
「どうだ、話をする気にはなったかよ!」
気に食わない。
外道丸はくしなを睨む。その眼光には明らかな怒りの色があった。
「テメェ、手加減しやがったな。舐めてんのか?」
「借りを返しただけですっ!」
それはいつか見逃してもらった命の借り。
「お前は…………ああ、そうかい」
気に食わない。
自分達の体は既にボロボロの癖に。
「そんなナリで手を抜きやがって」
「……貴方と手を組める可能性を模索したいんだ」
灼滅者を睨んだままの外道丸に、旭は改めて共闘を申し出た。
「外道丸さんは、新宿を荒らされたくないんですよね? 俺は、新宿の一般の人々を戦いに巻き込みたくない」
この気持ちはイコールで結べなくとも、朱雀門を打ち倒すまでの共同戦線を張ることは出来るのではないかと。
「で?」
「……このあたりで、今日の戦いは収めませんか」
「これ以上の戦闘は無意味だわ。大人しく降伏しなさい。悪い様にはしないわよ」
鹿島・狭霧(漆黒の鋭刃・d01181)が告げる。
「貴方が応じるならば、この力をもってして私は貴方と新宿を守りましょう」
「僕様たちと、学園と共闘しねェか……朱雀門の連中相手によ、どうだ外道丸ッ!」
くしなと鴎の言葉を静かに聞いていた外道丸は、深く息を吐き出し、
「自分の力を示してから交渉を行う。悪くない考えだ」
フードの下の口元を僅かに緩めた。
「それじゃあ――」
「待て! 気を抜くんじゃねぇ!!」
楯守・盾衛(シールドスパイカ・d03757)の声が響いた瞬間。
「だが、気に食わねぇ!」
蠢く大蛇の鎌首が視界を埋め尽くした。
「早……撤退し……」
遠くで戦闘音が鳴り響いている。
気がつくと鴎は地面の上に横たわっていた。
アーネストの呼びかける声が聞こえる。
視界を巡らす。
くしなが淳志の手当てを受けているが、とても戦える状態ではない。
交渉は失敗したのだと、理解するのにさほど時間はかからなかった。
自分達は外道丸の八岐大蛇に食い破られたのだ。
なぜ。搾り出す問い。答はただ一言。
「俺を殺す気でいる奴等なんざ信用できるか。結局、俺達はこういう関係ってことさ」
横たわる仲間達を、旭が担いで後退する。
「頼りないかもしれないけれど……これでも、皆のお兄さんだから、ね」
桜のアリアドネの糸を手繰りながら。
「あとは、頼む……」
ハンドフォンで別働隊に連絡を入れながら、我知らず、鴎は奥歯を噛み締めた。
作者:かなぶん |
重傷:朝倉・くしな(初代鬼っ娘魔法少女プアオーガ・d10889) 永舘・紅鳥(氷炎纏いて・d14388) 八重沢・桜(百桜繚乱・d17551) 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年4月22日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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