刺青羅刹・新宿迷宮の戦い~籠城戦

    作者:相原あきと

    「なるほど、刺青羅刹にはああいう手合もいるのか。正直、俺の勝ち目は薄そうだな」
    「鞍馬天狗の軍が来ます! 外道丸さん、どうしますか……!?」
    「あいつの狙いはお前じゃなく、明確に俺の『刺青』だ。そして俺よりも強く、こちらの陣容も筒抜けっぽいな。力量と情報で敵わないなら、俺達にあるのは地の利だけだ」
    「地の利……あっ、昨日教わった『大勢と喧嘩する時は狭い場所で』、ですね!」
    「その通り。それに、奴等の狙いが俺なら、俺が移動すれば街にダメージは無ぇ。
     新宿迷宮で籠城戦だ。全員俺についてこい!」
     「鞍馬天狗に敗北した外道丸が、仲間を連れて新宿迷宮で籠城戦をしようとしているみたいなの」
     教室の集まった灼滅者達を見回しながら鈴懸・珠希(中学生エクスブレイン・dn0064)が説明を始める。
     朱雀門から情報を得た刺青羅刹の1人鞍馬天狗が、アメリカンコンドルを撤退に追い込んだ精鋭達と、外道丸の拾い物を回収に同行したロード・パラジウムと共に、歌舞伎町の外道丸の勢力を襲撃して圧倒的勝利を得たらしい。
     そして敗北した外道丸は、敗残の仲間を引き連れて新宿迷宮に撤退して籠城の構えをみせていると言う。
    「このまま放置すれば、数の優位は揺るがず外道丸が敗北して刺青を奪われるのは間違いないわ」
     鞍馬天狗による刺青の強奪……それを許すわけにはいかない。
    「だから、みなの手で外道丸を灼滅して欲しいの。もちろん、抗争の隙をついて鞍馬天狗やロード・パラジウムの灼滅ができればもっと良いわ」
     全ての目標を達成する事は不可能かもしれないが、できるだけ多くの戦果をえられるよう頑張るのは悪く無い。
     そこまで説明すると、珠希は次には新宿迷宮の状況についてを話しだす。
     それによれば、外道丸は新宿迷宮で籠城戦の構えであり、さらに外道丸は智の犬士カンナビスが捜索し、ロード・パラジウムが狙っている何かを保護しているらしい。鞍馬天狗とロード・パラジウムを灼滅或いは撤退させれば、外道丸勢力を灼滅者達が攻撃することが可能となる。
     鞍馬天狗の精鋭は新宿迷宮の深部を探索中で、浅い階層は配下によって制圧されていると言う。もし、大規模な襲撃があれば鞍馬天狗は撤退を始めるようだ。
     ロード・パラジウムは鞍馬天狗が灼滅或いは撤退する状況になれば自身も撤退するらしい。
    「全ての目標を達成する事は不可能かもしれないわ……」
     だが、できるだけ多くの戦果をえられるよう頑張るのは決して悪いことでは無い。
     珠希は人差し指を立てて灼滅者達に言う。
    「大事なのは何を優先するか、よ」
     そして最後に少し悔しそうな顔をし。
    「事前にもっと情報が集められたら良かったんだけど……ううん、無いものねだりしてもダメよね。かなり厳しいことになるかもしれないけど、みな、気を付けて」


    参加者
    アプリコット・ルター(甘色ドルチェ・d00579)
    山城・竹緒(デイドリームワンダー・d00763)
    衣幡・七(カメレオンレディ・d00989)
    皇・銀静(銀月・d03673)
    服部・あきゑ(赤烏・d04191)
    天槻・空斗(焔天狼君・d11814)
    大御神・緋女(紅月鬼・d14039)
    フェルト・ウィンチェスター(夢を歌う道化師・d16602)

    ■リプレイ


    「おーい羅刹ー、鬼ごっこしようぜ!」
     新宿迷宮の浅い層階で背後から唐突にかけられ、1人で巡回していた羅刹がギョッとして振り向く。
     そこには派手な赤い長髪をなびかせて、腕を腰に堂々と立つ服部・あきゑ(赤烏・d04191)の姿があった。
     さらにビシリと羅刹を指さすと。
    「お前獲物、あたし首刎ねる役な!」
     自分を親指で差した後、あきゑはニィっと口の端を上げて笑う。
     敵だと認識して拳を振るおうとする羅刹だが、膝裏に激痛が走り膝を付く。
    「あっは! 愚図ね、こっちよ?」
     あきゑが気を引いた隙に、衣幡・七(カメレオンレディ・d00989)が背後からえぐったのだ。卑怯とも言えるほどの見事な連携だった。
     そのまま腕を振り回し2人をなぎ払おうとする羅刹。
     ひらりひらりと回避するあきゑと七。
     完全に2人に気を引かれているうちに灼滅者達は陣形を整える。
    「目覚めろ。疾く翔ける狼の牙よ」
     身を低くし構えを取る天槻・空斗(焔天狼君・d11814)の手に、両刃大剣の焔天狼牙が出現するも羅刹はそれに気がつかない。
    「吼えろ、焔天狼牙」
     剣の中心がスライドしそこから黒い炎が吹き出す。同時、焔の剣をもって羅刹へ会心の一撃を叩き込む空斗。
     羅刹が倒れそうになるが踏みとどまり、怒りに燃えた瞳で空斗を睨むと腕を巨大化させ空斗へ振り下ろす。
    「お兄様! ソラトセンパイを守って!」
     アプリコット・ルター(甘色ドルチェ・d00579)の声とともに、彼女のビハインドが空斗へ迫る拳を受け止める。
     こうして遭遇1体目の羅刹との戦闘が始まったのだった。

    「羅刹の武に挑めるとは素晴らしいですね。ならば僕は己のできる全霊を尽くすのみです」
     皇・銀静(銀月・d03673)が重心を落としながら槍を構える。
     浅い階層を徘徊する羅刹は鞍馬天狗の精鋭部隊ではないため気を抜きさえしなければ、ぎりぎりなんとかなりそうだった。
     銀静の声に羅刹がわずかに体を向けるが、次の瞬間、銀静は一足飛びに懐へと飛び込み手にした槍で羅刹の心の臓を刺し貫く。
    「が、ぐ……!?」
     槍を引き抜き飛び退く銀静。
     羅刹は治癒のエネルギーを纏った手で穴を押さえようとし。
     ドフッ!
     その手を弾くように、再度胸の穴へと風の刃が叩き込まれ、内部からズタズタに引き裂かれる。
     誰が……と視線を向ければ、そこには炎のようなオーラを宿し、剣と符を構えた赫い着物の少女、大御神・緋女(紅月鬼・d14039)と目が合った。
     自らの命にとどめを刺した少女を目に焼き付け、ドウと羅刹が倒れる。
     まずは1体。
     構えをとく灼滅者たち。
    「しかしこの戦い……僕らはどちらに味方をするべきなのか……どちらに対しても敵であるべきなのか……」
     銀静がつぶやく。
     刺青羅刹の外道丸と鞍馬天狗の抗争。それだけならば簡単な話だった。
     しかし外道丸は何かを手に入れたとの情報もあり、それを狙って朱雀門のロード・パラジウムが動いていた。さらに鞍馬天狗はその朱雀門ともつながっている。
     灼滅者は、武蔵坂学園は、どう動くのが正解だったのか。
    「……この学園自体何処へと向かおうとしているのか……時々解らなくなりますね」
     自嘲気味に言う銀静の言葉に、答えを出せる者はいない。

     1体目を撃破した灼滅者たちは、すぐに現場から離れて次のターゲットを探す。
     事前に用意した暗視ゴーグルやライト、地図だけではなく。抜け道になりそうな場所を七が調べておき、敵が多かった場合や地理的な不利な状況はそれを使い回避、また他チームとの連携をとりつつ随時自分たちの位置はあきゑがGPSを駆使して把握してと、かなり効率よく迷宮を進む灼滅者たち。
    「ここらへんで戦えるといいね! 予想どおりくるかなぁ?」
     山城・竹緒(デイドリームワンダー・d00763)が足を止めた場所は隠れる瓦礫が散乱しつつ、大広間のように見晴らしが良い場所だった。
     他からの連絡や地図を見るに、ここに1体の羅刹が来るだろうとの予想なのだが……。
    「でも、私たちばっかりゆうりで、ちょっと卑怯かな?」
     口元に人差し指をやりマイペースに小首を傾げる。
    「卑怯? この状況じゃそんなこと言ってられないし、仕方ないと思うよ」
     竹雄の言葉に道化姿のフェルト・ウィンチェスター(夢を歌う道化師・d16602)が言う。
     やがて、広場の出口の一つから羅刹が現れる。
     予想通り1体でのみ、だ。
    「さ、第二幕だね!」
     フェルトが異形の大鎌を構え、仲間たちも2体目との戦闘を開始するのだった。


     新宿迷宮での羅刹との戦いは続く。
     七へと迫る巨大化した羅刹の拳を、飛び込んで来た空斗が大剣の腹で防ぎきる。
     すでに残った力の渾身だったのか、殴った後もそのまま動かない羅刹。
     体中の傷は深く、流れでる血は止まらない。
     トッと羅刹の拳に乗るは道化の少女。
     フェルトは綱の上を渡るようにアッという間に羅刹の腕を渡って頭の上へと到達する。
     それはまるで情熱的なダンス、いや人々を魅了する曲芸だった。
     そして、道化の少女はクルクルと回転しながら飛び降りると同時、羅刹の背中へ深々と大鎌の刃を滑り込ませたのだった。
     塵となって消えていく羅刹を背に仲間へお辞儀をするフェルト。
     そうして『3体目』の羅刹を灼滅者たちは倒したのだった。

     灼滅者たちは優秀だったと言える。だが、さすがに連戦では無いとは言え3体と戦ったのは少々キツい。迷宮を戻ると七がチェックしておいた安全そうな場所で休憩を取ることとなった。
     周囲の警戒をしつつ、休憩場所から少し離れた場所でパラジウムが使いそうな通路を封鎖する作業を行う七。ロープなどを使った簡単なものであり、結局は灼滅者チームが当たらないとだめな気もするが……まぁ、何もしないよりかは良いだろう。
     休憩所へと戻ってきた七は、同じく周囲を警戒しながら集中するあきゑに声をかける。
    「そっちはどう?」
     七の声に両腕を広げて。
    「どうもこうも、やっぱり事前に6時間観光しないと無理だ」
     やれやれとジェスチャーのあきゑ。
    「けど、何度か訪れてて、学園の仲間もここで戦ってりしてるからな……痕跡から戦いやすい場所や、撤退しやすいルートは把握できたぜ」
     あたしって忍者っぽいだろ?
     そう言って笑うあきゑに、七も「頼りにしてるよ」と笑い返す。
     警戒に当たらない仲間たちは各々、または仲間からの心霊手術を受けて回復を行っていた。完全に回復することは難しいが、これでまた1体ずつの奇襲でなら2~3体はいけるだろう。
     少しだけ落ち着いた空気の中アプリコットが言う。
    「安心、しました」
     皆の視線が集まり、アプリコットが少しだけ照れながら。
    「あ、いえ、……こんな大きな作戦にはあまり参加したことがないので……敵がとても多くて……でも、味方も多いですし、みなさん、とても頼りになるので」
    「頼りになるっていうのはわかるなあ」
     竹緒がアプリコットの横に座って同意する。
    「でも、心配より、私はワクワクするな! こうやってたくさんの人数で戦うのって……ちょっと、ね! ワクワクする!」
     天真爛漫のまま言う竹緒に、思わず他の仲間たちの緊張がゆるむ。
     8人は思っていた、このチームは悪くない、と。
     だが――。
     それに気が付いたのは他チームからの連絡を聞いていた銀静だった。
    「どうした?」
     空斗の問いに銀静が思案したまま答える。
    「単体の羅刹を見かける数が減ったようです」
    「どういうことじゃ?」
     緋女が首を傾げる。
    「あくまで僕の予測ですが……背後から僕たちが奇襲していることに気づいたのかと」
     再び緊張感が高まり、周囲の空気が重くなっていく。
     だが、その空気をものともせず小さな少女が立ち上がる。
    「なら、ここからは正面切っての戦いじゃな!」
     緋女の言葉に皆がうなずく。
    「羅刹どもが良からぬ事を企んでおるようじゃが、そうはさせぬ! 全ての悪鬼はわらわが灼き尽くしてくれる!」
    「ははっ、違いない」
    「けど、少しだけ違ってるわよ?」
     あきゑと七もやってきて言うと、緋女はハッと気づいて言い直す。
    「うむ! わらわ『たち』が焼き尽くしてやるのじゃ!」


     そして、再び迷宮探索へと進んだ灼滅者たちは、銀静の予想が当たっていたことを知る。
     正面からやってくるは羅刹たちは……3人組だった。
    「3人まとめて、軽く鬼退治といきますかね?」
     焔天狼牙を手に3人組の羅刹達へと歩いて行く空斗。
     その横を、曙光を思わせる深紅に染まった刀身の大剣、暁紅を持った緋女が並ぶ。
    「紅蓮の如く燃やしてやるのじゃ……灰すら残さぬ。紅月鬼の緋女、参る」
     緋女が地を駆け、空斗が跳躍し頭上から羅刹たちへと襲いかかる。
     羅刹たちも1人が緋女に、1人が空斗の迎撃にあたるも、残る3人目はわずかにバックステップをして距離を取り仲間を援護するべく風を巻き起こす。
    「灼滅者のお通りだよ、道を開けろー!」
     羅刹たちがせっかく陣形を整えたというのに、問答無用に突っ込んで来たのはフェルトだった。大鎌を頭上で振り回し、咎の波動で薙ぎ払う。
     緋女や空斗と相対していた羅刹2人がフェルトの攻撃に僅かに怯む。
     その隙を逃さなかったのは七だ。
    「はーい、おねーさんにお任せ」
     言うと同時に自身の影から何かがズルリと具現化する。
     それは黒い影のリュウグウノツカイ。
    「さ~て、奥へ行く人の為にも……全力で頑張りますか」
     スッと伸ばした指の指示に従い、長く大きな魚影が緋女の前の羅刹へ迫ると、バクリと開いた大きな口でその身を喰らう。
    「おおおおお!」
     痛みに悲鳴を上げる羅刹だが、ギラリと七を睨みつけると叫びながら腕を振るう。
     凶悪な風の刃がカウンター気味に七を襲う。
     ギリギリで回避しようとする七だが、二の腕と太股をパックリやられてしまう。
     一瞬の痛み。
     だが、それは本当に一瞬だった。
     気が付けば魔力のこもった霧が身体を包み、裂かれた傷を塞いでいた。
    「傷の癒しは私がやります。だから、皆さんは敵に攻撃を」
     アプリコットの宣言に声だけで礼を言うと七は羅刹の1人へと走っていく。
     敵は3体、1人でも早く倒して数を減らさなければ……。

     3人組の羅刹たちとの戦いは続く。
     途中、仲間の1人を狙いだした羅刹の気を逸らすために旋風輪を敵前衛2人に使用した竹緒だが、以降の攻撃が自分へ集中しだしてかなり厳しく……。
    「中々厳しい状況ですね」
     銀静が竹緒を狙っていた羅刹のうち、ダメージが多い方へと斬りかかる。羅刹は自らの手でそれを掴み取ろうとするが、銀静は黄金の柄に力を込めると掴もうと伸ばした手ごと羅刹の腕を切断する。
    「それでも僕たちはやるべきことをこなすだけです。力の限り、殲滅するのみ」
     牽制するように残った腕を振るう羅刹だが、銀静が飛び退くと切り落とされた腕の付け根を残った方で抑えながら咆哮をあげる。
     だが、その咆哮は途中でピタリと止む事となった。
     見れば片腕の羅刹が氷に閉じ込められている。
    「弱った敵から一鬼ずつ、確実に叩き潰す!」
     妖冷弾を放ったあきゑが言うと同時、パシャンと透き通った音を立てて羅刹の氷像が砕け散ったのだった。


     2体へと減った羅刹たちであったが、攻撃と回復の連携は如何ともしがたく、また灼滅者側もそろそろ誰かが倒れてもおかしくない状況であり無茶ができなかった。
     そして――。
    「お兄様!?」
     アプリコットを庇い、目の前で消えて行く。
     心の中で渦巻く後悔の念、だが本人は気付いているのだろうか……その瞬間、ざわりと何かが揺れたことを……。
    「大丈夫? 泣いてるの?」
     フェルトが俯くアプリコットを心配してくれる。
     だが少女は、くっと顔を上げ。
    「泣いては……いません。事前にいっぱい、泣いておきました。だから今日は泣きません」
    「そっか、じゃあ笑顔であいつを倒そうか!」
    「はい! 精一杯、頑張ります!」
     フェルトの声にこたえるアプリコット。
     道化の少女はアプリコットに笑顔を見せると、くるりと回って羅刹へおじきをする。
    「さぁさぁ曲芸の時間が始まるよ! もちろんお代は……キミの命さ! 」
     鎌を振るって漆黒の弾丸を打ちだすフェルト。
     それに合わせるようにアプリコットが羅刹へ手をかざし。
     ――私はいつもお兄様に守られてばかり……でもいつかはお兄様の隣に立って戦えるように……――。
     覚悟強く魔力が解き放たれ、フェルトの弾丸が命中した所に赤い逆十字が浮かび上がると羅刹の胸から鮮血が吹き上がる。
     ゆらり……血を巻き散らしながら倒れそうになるが、ぎりぎりで踏みとどまる羅刹。
     だが、踏みとどまった羅刹の顔に人影が――。
     斬!
     焔を纏った空斗の大剣が袈裟掛けに羅刹を切り裂いた。
     よたよたと背後に後ずさりする羅刹だったが。
     ふと背後に気配を感じて足を止める。
     だが。
    「―――“千枚通し”」
     冷たい声が聞こえると共に、ずぶりと剣の刀身が腹から生え……そして2体目の羅刹が塵と消えていったのだった。

     残りの羅刹は1体。
     だが灼滅者のダメージも相当であり、これ以上の戦いは数人の重傷を覚悟せざるを得ない。
     しかし羅刹もそれは感じ取っていた……戦い続けても負ける可能性がある、と。
     そして膠着状態のまま戦いが再開される――と思った瞬間。
    「撤退しよう」
     七が宣言する。
     他の羅刹とエンカウントする可能性も考慮すれば、ここで限界まで戦うのは得策では無い。七が言うことはもっともだった。
     1人、また1人と後ろの通路へ逃げて行く灼滅者達。
     逆に羅刹は自分の方が有利だったのかと思い、とりあえず追撃しようと試みるが……ザッと殿を守る七が強い殺気を讃えた目で睨んでくる。
    「あたしらは逃げる。もし追ってくるなら、こっちも保身を無視して……殺す」
     ビクリと羅刹の足が止まる。
    「あんまり、怒らせないで頂戴な」
     そう言って最後に七もその場を後にしたのだった。

     誰も重傷にならずに撤退を成功させた灼滅者達は、敵に見つからぬようを目指す。
     だが、その途中に事件が起こる。
    「ちょーっと待った!」
     両手を広げて竹緒が道を塞ぐ。
    「どうしたのじゃ?」
     緋女が聞き、道の先を覗きこめば「あれは……」と緋女も息を飲む。
     先の道から遠くに見えたのは、整然と地上を目指す鞍馬天狗の精鋭部隊だった。
     意気揚々……というわけでは無さそうなので、どうやら武蔵坂学園の大本の作戦は成功したとみて間違いない。つまり鞍馬天狗群は撤退しているのだ。
    「別の道へ」
     銀静が提案し、皆一様に頷くと地図を頼りに他の道へと進む。
     鞍馬天狗に刺青を奪われる事は無かったのだろう……だが、他の要素はどうだったのだろう。外道丸は、パラジウムは、拾った何かとは……。
    「それでも、明日がより良いものとなったと……そう、思いましょう」
     銀静の呟きに、地上を目指しながら他の灼滅者たちも頷くしか無いのだった。

    作者:相原あきと 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年4月22日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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