河内原・実里(誰が為のサムズアップ・d17068)は、こんな噂を耳にした。
『アイドルの追っかけをする都市伝説が存在する』と……。
元々、この都市伝説はアイドルの追っかけをしていたようだが、だんだんその基準が曖昧になっていき、アイドル的な存在であれば誰でも構わなくなっているようである。
都市伝説にとって、アイドルは女神であり、象徴的存在。
故に、彼女のためなら湯水の如き金を使い、どんな犠牲も厭わない!
だが、自分の理想と反する事をすれば、裏切り行為と判断し、即抹殺!
そのため、都市伝説に狙われた者は、長生きする事が出来ず、みんな悲惨な末路を遂げている。
現在、都市伝説は町のアイドル的な存在を付け回しており、危険な状態。
彼女は清楚な高校生を演じているが、それは偽りの姿。
実際には若作りをしているだけで、性格も最悪。
男はみんなATMだと思っており、引き出す金がなくなれば、平気でポイするタイプ。
騙した男も数知れず、町から町へ獲物を求めて彷徨うハンター。
それが原因で何度か警察に捕まっているようだが、全く反省していないようである。
そのため、例え説教をしたところで反省する事もなく、逆切れするのがオチ。
世界が自分中心に回っているのだと思い込んでいるため、自分の考えを否定する者はみんな敵。敵なのである!
故に、都市伝説を利用しているところもあり、ある意味で一番厄介な相手なので、色々な意味で注意しておく必要があるだろう。
参加者 | |
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九条・雷(蒼雷・d01046) |
エイダ・ラブレス(梔子・d11931) |
虚未・境月(月渡り・d14361) |
河内原・実里(誰が為のサムズアップ・d17068) |
綾河・唯水流(雹嵐の檻・d17780) |
客人・塞(荒覇吐・d20320) |
加賀・琴(凶薙・d25034) |
午傍・猛(高校生ストリートファイター・d25499) |
●アイドル追尾型
「アイドルのおっかけ……か。普通に握手会とかに参加してくれるなら、悪い事もなかったのにね。ある意味、都市伝説以上に悪質な悪い女の人にまとわりつくのもちょっと面倒だし、今取り付いてる女の人が命令して罪も無い一般人に被害を出さないうちに倒しておくかな」
虚未・境月(月渡り・d14361)は事前に配られた資料に目を通しつつ、都市伝説が確認された場所に向かっていた。
当初、都市伝説は本物のアイドルを追っかけていたようだが、あまりにもガードが固く、出入り禁止になる事が多かったため、ご当地アイドル、ネットアイドル、地下アイドル、ジュニアアイドルなどの追っかけを経て、地元のアイドル的存在に行き着いたようである。
その中には都市伝説に逆恨みされて命を奪われたアイドルもおり、未だに解決していないようである。
「まあ、やってる事は、ただのストーカー殺人だよな。追っかけっていうと、ましに聞こえるけど……」
客人・塞(荒覇吐・d20320)が、険しい表情を浮かべた。
もちろん、アイドルがイメージ通りにしていれば、都市伝説から命を奪われる事もないのだが、仕事とプライベートで性格がガラリと変わるタイプが多かったため、都市伝説の怒りが爆発してしまったようである。
「しかも、見境ないのってが、やァね。追っかけられてる方も迷惑だよ。まァ、今回は悪女さんらしいし、問題ないかなァ」
九条・雷(蒼雷・d01046)が、軽く流す。
女性側もまったく困っていないようなので、このまま放っておいても問題がなさそうである。
「確かに……今の、アイドルさん、には……なにも、被害は……出て、いない……よう、ですが……すでに……何人か……被害に、あって……いる……よう、ですし……しっかり、灼滅……しなきゃ、ですね……」
エイダ・ラブレス(梔子・d11931)が、何となく気合を入れた。
いまのところ、女性が上手く都市伝説を騙しているため、命を奪われる事もないが、バレてしまうのも時間の問題。
そうなれば、全身の骨をバッキバキに折られて、こねくり回されて、ラーメンにされても文句は言えない。
「それにしても……ATMだなんて……ホント酷いね」
綾河・唯水流(雹嵐の檻・d17780)が、げんなりとした。
ただし、それに関して都市伝説は嫌がっておらず、むしろ湯水の如く金を使って、女性を喜ばせているようである。
「なんというか、都市伝説はもちろん灼滅させる必要がありますが、女性もまた酷いですね。まぁ、彼女に関しては一般人ですから、警察に任せるのが一番なんでしょうけど……」
加賀・琴(凶薙・d25034)が、深い溜息をもらす。
都市伝説がどうやって金を集めているのか謎な部分も多いが、場合によっては催眠によってなんやかんやしている可能性が高かった。
「アイドルを執拗に追い回す都市伝説に、男をたぶらかして金を巻き上げる性悪女……、こりゃどっちが化け物かわかったもんじゃねぇな」
午傍・猛(高校生ストリートファイター・d25499)が、乾いた笑いを響かせる。
例えるなら、毒と毒。
互いに毒であるが故、絶妙なバランスで、保っている事が出来たのかも知れない。
「……というか、美男美女揃いのうちの学園生徒を見てると、アイドルみたいな子も普通レベルだよねェ……」
雷がげんなりとした表情を浮かべた。
事前に配られた資料を見る限り、都市伝説が夢中になっている女性は可愛らしいが、それは一般的なレベルよりも上という意味。
誰もが魅了されるほどの美貌を持っているとは言い難かった。
「しかも、性格が悪いとなったら、なびいたりなんかしないのです」
唯水流がやれやれと首を横に振る。
そうしているうちに、河内原・実里(誰が為のサムズアップ・d17068)が遅れてやってきた。
「遅れてすまない、体調を崩してしまったよ」
実里が爽やかな笑みを浮かべて、サムズアップ!
少し前まで風邪を引いてぶっ倒れていたが、とりあえず今の体調は万全。
後はナイト気取りの都市伝説を見つけ出すだけである。
●女王様と下僕
「はァい、追っかけさん? 貢いでるとこ申し訳ないけど死んでくれるかなァ。独りよがりな男ってやァねェ。まァ、人じゃなくって都市伝説な訳だけど……」
都市伝説を見つけた雷は、陽気な笑顔を浮かべて声をかけた。
「き、君は何を言っているんだ! 僕は何も悪い事はしていない!」
途端に都市伝説がキレた。
一緒にいた女性も、ドン引き。
いきなり見ず知らずの相手から、死んでくれと言われたのだから無理もない。
「とりあえず、人払いを行うよ」
実里が都市伝説を牽制しつつ、殺界形成を発動させる。
それでも、女性は逃げる事なく、『やぁーん、怖い~』と甘えた声で、わざとらしく怖がった。
「……演技だね、あれ」
雷が思わず鳥肌を立たせる。
間違いなく、あれは演技。
しかも、自分の演技に酔いしれているナルシストタイプ。
性格の悪さが滲み出ており、そのうえ腹黒い。
それが分かってしまうほど、女性の演技は計算されており、都市伝説に媚びて媚びて媚びまくっているのが、丸分かりであった。
しかし、都市伝説はまったくその事に気づいておらず、むしろにやけ顔。
女性にしがみつかれて、締まりのない笑みを浮かべている。
「……怪我を、したく、なかったら……そこから……離れて、ください……」
エイダが女性にサッと視線を送り、警告混じりに呟いた。
「こ、この人達、怖い~! きっと、変態ストーカー集団よ。でも、私には誰よりも強いナイトがいるから、怖くない。トシさんなら、こんな奴ら、楽勝よね?」
その途端、女性が都市伝説を煽るようにして、思わせぶりに囁いた。
「そう言えば、お姉さんにとって男は入れたり出したりする道具なんですよね、ATM的な意味で……」
唯水流が意味ありげに、ボソリと呟いた。
「そ、そ、そんな訳ないでしょ! 大事なのは、愛よ、愛! お金なんていらない! 愛さえあれば、何もいらない!」
女性が焦った、焦りまくった。
もう汗が止まらない。
声は上擦り、ガタブル状態。
それでも、都市伝説は信じていた。彼女の事を。その言葉を!
「大丈夫! 僕は信じているから、君の事を!」
都市伝説が爽やかに笑う、青春映画さながらに。
「よく分からないけど、眠っていてもらおうか」
境月が軽く流す。
ここでマトモに相手をしても、残念な結果になる事は確実。
このままスルーしておくのもいいが、放っておけば女性がギャーギャー騒ぎそうである。
「そうですね。しばらく眠っていてもらいましょう」
そう言って琴が魂鎮めの風を使う。
その影響で女性が深い眠りについた、スヤスヤと。
「き、き、貴様っ! 彼女に何をしたっ!」
都市伝説が慌てた様子で叫び声を響かせた。
何か起こったのか分からなかったため、女性を抱き起して琴達を睨んでいる。
「お前、一体あの女にいくら貢いだか覚えてるか?」
塞が深い溜息を漏らす。
「そんな事を聞いてどうする! お前には関係の無い事だ。それに全部、俺の金だ。俺が『うまい儲け話がある』と言って、金持ちから貰った金だ!」
都市伝説が逆ギレ気味に答えを返した。
おそらく、ほとんどの金が誰かを騙して奪い取った金。
しかし、都市伝説には罪悪感のカケラすらない。
「いや、もうしゃらくせぇから、すぐ終わらせるぞ?」
そう言って猛が仲間達と共に都市伝説を囲むと、スレイヤーカードを解除した。
●ナイト気取りの都市伝説
「例え、この身が滅びようとも、彼女だけは絶対に守る!」
都市伝説が女性を守るようにして陣取った。
「……それなら……大丈夫……です……。倒すのは……都市伝説だけ……ですから……」
エイダがビハインドと連携を取りつつ、都市伝説に攻撃を仕掛けていく。
都市伝説はそれをすべて受け止めると、『ならば、何の問題もない!』と答えてニヤリと笑った。
「そんな事を言って、そいつにもケチがついたら、殺すつもりだったんじゃないのか?」
塞が疑いの眼差しを送る。
「ふっ……、それはない。100%ありえない。何故なら、彼女は神がこの世に残した最後の希望。万が一、そのような事があれば、それは世界が滅びる時」
都市伝説がキッパリと言い放つ。
ここまで信じているからこそ、裏切られた時のショックも半端なく、感情を抑える事が出来なくなってしまうのだろう。
「まあ、そう思っていた方が幸せなのかな、色々と……」
実里がライドキャリバーのスロットを連れて、都市伝説に攻撃を仕掛けていく。
「まだだ。まだ、まだァ!」
だが、都市伝説はすべての攻撃を受け止めた。
自分が信じた者を守るため。
自分が愛した相手を守るために!
「続きは地獄ででもやるんだな!」
それと同時に猛が一気に間合いを詰め、地獄投げを炸裂させる。
その一撃を食らった都市伝説が宙を舞う。
すぐに受け身を取ろうとしたが、それはかなわぬ願いであった。
予想以上にダメージを受けていたせいで、落下の負荷に耐える事が出来ず、断末魔をあげて肉塊と化した。
「それにしても、今回は楽だったね。……酸素マスクも、熊さんパンツも要らないし……」
唯水流がホッとした表情を浮かべる。
その間も女性はスヤスヤと寝息を立てていた。
「さて……、どうしようか」
境月が油性マジックを持ったまま、眠りの世界の住民と化した女性に視線を送る。
女性はまだ目を覚まさない。
深い眠りについたまま、幸せそうな表情を浮かべている。
「このまま、警察に突き出しておきましょうか。この様子だと被害者も多そうですからね」
琴が色々と察した様子で答えを返す。
被害者が沢山いるのだから、そのうちの誰かが被害届を出していても、おかしくない。
「じゃあ顔に落書きしとこ。瞼の上に眼を描いて、おでこに肉を書くのも、定番だよねー」
そう言って雷が境月と一緒に鼻歌を歌いつつ、女性の顔に油性マジックで落書きをし始めた。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年4月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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