私の素敵な淫魔様!

    作者:るう

    ●とある中学校の校門付近
    (「やっと私も中学生! これからはきっと私にも、素敵なセンパイとの出会いがあるに違いないわ!」)
     晴れやかな顔で華やかな未来に期待する……もとい逞しい妄想で自己愛に浸る少女の姿を見て、一体何人の男子が顔を背けただろうか。
     実のところ彼女は、良く言ってもブスだった。しかも全身が指の先に至るまでパンパンに肥えており、それだけなら愛嬌で済むものの、瞳は常に空想の色を帯び、恋愛に貪欲にぎらついている。男が近寄るわけがない。
     ……と思うのだが、海堂・月子(ディープブラッド・d06929)は見たのだった。そんな彼女に近寄る、イケメン男子の姿を。
     男子の腕をしっかり握って離さない少女は、まだ知らない。彼の背に、淫魔の徴である翼が現れたことを。

    ●武蔵坂学園、教室
    「どうやらその子、淫魔に誑かされてるみたいだわ」
     月子に話を聞かされて、五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)は次のように語りだす。
    「淫魔の名前はカイ君。中学生の姿をして『後輩』を見つけては虜にしますが、実年齢は不明です」
     不細工だったり子供っぽかったりする女の子には恋愛耐性がなく染め甲斐があるという理屈から、彼はそんな子たちを積極的に狙うのだ。
    「世間からは見向きもされないような女の子でも、必ずどこかに惚れるべき点がある……という彼の信念は素敵な事だとは思いますが、だからといって女の子たちを、彼なしでは生きてゆけない廃人にさせるわけにはいきません」
     ゆえに、淫魔カイを灼滅し、少女たちを解放して欲しい、と姫子は頼む。

     が、そのためには、彼がハーレムを作る一軒家を見つけなければならない。もちろん少女たちは強化一般人にされており、彼と一緒に攻撃をしてくるだろうが、ハーレムを見つける理由はそれ以上に重要なものだ。
    「カイ君を知らぬ間に灼滅してしまうと、残された人たちがどうなるかはわかりません。ですので、カイ君が普通の人間ではなかった事を彼女たちの前で見せつけて灼滅することで、彼女たちを正気に戻すわけです」
     だが幸いにも、ハーレムの探し方は簡単だ。
    「例の中学の校門付近に彼好みの子がいれば、きっと声をかけてきます。そのままカイ君についていけば、徒歩で目的地まで辿り着けるはずですよ」
     姫子の説によると、中学生の割に子供っぽい(実際はそんな直接的な言い方はしなかったが)姶良・幽花(中学生シャドウハンター・dn0128)は、きっと彼好みに違いないそうだ。
    「……余計なお世話です」
     もちろん、幽花以上に適任の囮役がいるのなら、それでも構わない。
    「何にせよ、カイ君に誑かされた子たちを、無事に救えるといいですね」


    参加者
    東雲・凪月(東雲型四番艦戦艦・d00566)
    アリス・バークリー(ホワイトウィッシュ・d00814)
    九条・桃乃(原罪の悪夢使い・d10486)
    霧月・詩音(凍月・d13352)
    嶋田・絹代(どうでもいい謎・d14475)
    六条・深々見(螺旋意識・d21623)
    日向・一夜(雪花月光・d23354)
    音森・静瑠(翠音・d23807)

    ■リプレイ

    ●いらっしゃい、ベイビー
     中学校の校門脇の花壇に腰掛けて、はあ、と日向・一夜(雪花月光・d23354)は溜め息をついた。
    「恋って、何だろうね」
    「何だろうね」
     隣に腰掛け、鸚鵡返しする姶良・幽花(中学生シャドウハンター・dn0128)も、校門から出てくる生徒たちの姿を見るともなしに眺めている。
    「ね、恋って、してみたいよね」
     また、一夜が溜め息をついた。一人の端正な顔の男子を、目で追いながら。
    「かっこいい人、いないかな?」
     ……その時だった。
    「君たち、こんな所で二人きりで、一体どうしたんだい?」
     その男子は唐突に振り向いて、白い歯を輝かせて微笑んだ。そして、二人の間に無理矢理割り込んで腰を下ろすと、両手で二人の肩を抱き、自分へとそっと寄りかからせる。
    「君たちにも、きっとできるさ。とても素敵な恋人が……ね」

     一夜たちを幼子のように弄ぶ男子――淫魔カイの姿を物陰から覗き、アリス・バークリー(ホワイトウィッシュ・d00814)は額を抑える。
    (「この感じ……どこぞの誰かさんを彷彿とさせるわね」)
     従弟がいつも、あんな感じなのだ……しかも、男女問わず。
    (「罪滅ぼしってわけじゃないけど、ダークネスの目論見、潰してあげるわ」)

    「ほんと? 僕らでもいいの?」
    「私、まだ心の準備が……」
     しばらく何事かを二人と囁き合った後、カイは隠れている灼滅者たちの目を知ってか知らずか、驚く二人の腰に手を回し、やおら立ち上がる。
    「大丈夫さ、朧の君に、霞の君。家に、両親はいないからね」

     カイに連れてゆかれながら甘える一夜とはにかむ幽花の後姿を見送りながら、九条・桃乃(原罪の悪夢使い・d10486)の頬も綻む。
    (「ふふ、可愛い。まるで夢のようなハーレムね……でも」)
     けれどその表情は、すぐに宿敵を前にした灼滅者のものへと変わっていた。
    (「すぐに、それが夢と同じ、偽りの恋愛感情だと気付かせてあげるわ……淫魔カイ、貴方にもね」)

    ●ようこそ、愛の巣へ
     道すがら合図をしてくれる仲間たちもいたおかげで、灼滅者たちは何事もなくカイを追跡できていた。
    「きゃーカイさまー☆」
    「お帰りなさーい♪」
     カイが棲家に帰るや否や、中から黄色い声が飛び出してくる。それを聞きつけて、音森・静瑠(翠音・d23807)はどこか腑に落ちない表情を見せた。
    「幸せそうな声ですね……」
     その声を聞く限りは、カイが良い事をしているようにも思える……のに、この違和感。その原因が、自分が灼滅のための灼滅を求めているためではない事を、静瑠は願う。
     不安げな後姿に、東雲・凪月(東雲型四番艦戦艦・d00566)が声をかけた。
    「そろそろ、行こうか」
     カジュアルスタイルを絶妙に着崩し、カイに対抗しうるクールなイケメンを装った彼に、従姉の霊がそっと寄り添う。彼女――華月を従えて、凪月は一路、黄色い声の来た方へと駆ける!

    「誰だい? ボク達の甘い時間を邪魔する無粋な奴は?」
     眉をひそめるカイに纏わりつく、恋する瞳以外はまるでゴリラの如き抱擁の君の姿を目にするや、嶋田・絹代(どうでもいい謎・d14475)が盛大に笑い転げた。
    「それで夢見る乙女とか、超ウケるんですけどぉ!!」
     対してカイは、少女らを庇うように蝙蝠の翼を広げると、絹代の瞳を見つめ返す。
    「キミも、こっちに来なよ。キミにもきっと、彼女たちの良さがわかるから」
     それを一笑に付し、今度は少女たちに呼びかける絹代。
    「ほら見なよ! この坊や、どう見ても人間だなんて思えない形してんだろ?」
    「カイ君に対して、酷い!」
    「カイ様はいつも言ってるわ! 人は見た目じゃ判断できないって」
     絹代が肩を竦めて攻撃を仕掛けるよりも一足早く、霧月・詩音(凍月・d13352)の放った冷気が部屋の中を吹き荒れる!
    「……これで少しは、頭を冷やして頂けましたか?」
     無表情に、少女らを一睨する詩音。
    「……恋は盲目、と言いますが、本当にどうしようもありませんね」
    「キミは、可哀想な子だね」
     愛の君の凍えた体を口付けで溶かしながら、カイが言った。まるで詩音の過去を、見透かすかのように。
    「けれど彼女らを傷つけるなら、ボクもお仕置きしなければいけないね……さあ、愛の君、抱擁の君」
     呼んだ名前とほぼ同時、やはり不細工なナイフの少女が突進する。さらに、それを邪魔せんとする者を阻むかのように、抱擁の君!
    「許さない! そんなやり方でカイ様の関心を引こうとするなんて!」
    「おー、適材適所」
     何やら興味深げにメモを取りながら、六条・深々見(螺旋意識・d21623)が関心の声を上げた。
    「単にいいとこ探しゲームでもしてるだけかと思ったけど、しっかり考えてるんだねー」
     深々見が無造作にその手を伸ばすと、抱擁の君のはち切れんばかりの足首が裂けた。失礼な上にエグい。もっとも失礼さの点では、ぼそっと「豚小屋」とか囁いてる桃乃の方に軍配が上がったが。

    ●偽りの愛の形
    「夢の君……抱擁の君を助けてあげて」
    「はい、カイ様!」
     攻撃を受け、たたらを踏む抱擁の君を、カイは手のひらを上に向けて指差した。その時、一夜と幽花を抱いていた手が、少しだけ緩む。
    「……ごめんなさい!」
     すり抜けざまに、マテリアルロッドで抱擁の君を打つ幽花。
    「えへへ。僕の演技、どうだった?」
     追撃を躱すために一夜がばら撒いた護符は、一夜が仲間たちの後に辿り着くと同時に仲間を守る盾となる。
    「天地の節気を戻し、過ぎ去りし酷寒の冷気を今此処に!」
     今度は真っ白な、アリスの冷気。詩音のと比べれば着氷力で劣るものの、放つ温度はより寒く!
     凍えて固くなった巨漢女の肌を、凪月の剣が切り裂いた。その剣先は舞踏会の王子様のように、優雅な輝きに満ち溢れている……けれど、淫魔に魅了された少女たちは、それに見惚れたりはしない。
    「ふんぬ!!」
     およそ恋する乙女とは思えぬ掛け声と共に、抱擁の君は気合を入れる! それを見た絹代が、再び笑い転げてから鞭剣と化したスカーフを振るった。
    「なあなあ、本当にこの坊やに惚れて貰ったと思ってんの? 自分の惚れるべき点ってやつを探してみてくださいっすよ~?」
     が、絹代のスカーフは、咄嗟に割り込んだカイの手を傷つけただけだった。
    「彼女の目を見てごらん。こんな目に遭っても、決して逃げようとはしないんだ」
     けれどカイも、そこまでが精一杯。
    「そういう言い方されると結構楽しい。ほとんど、一見役立たない道具とか現象とかの使い道考えるのと同じよねー♪」
     深々見の放った氷弾は分厚い皮下脂肪を貫通し、抱擁の君を内側から凍結させた。四人の中では唯一痩せぎすの才の君が、思わず体を震わせる。
    「才の君。キミならこんな時、どうするかな?」
    「ええと……ど、毒薬01、で……です!」
     言いなりになり、躊躇う事なく注射器を振り上げる才の君の様子を、詩音はやけに冷静な目で眺めていた。詩音の能力を知って冷たい態度を取った人々の中にも、ああして他人に倣うだけの輩はいたっけ。
     詩音は無言で、影を放つ。影に絡め取られた才の君の姿は、詩音自身の鏡写し。
     縛められても必死の前身を止めようとしない才の君を見て、静瑠ははっとした。
    (「……わかりました。多分きっと、これは幸せの形ではないのだと思います……」)
     突き出される注射器を幾度となく弾き、逆に破邪の杭を打ち込んでゆく。
    「一時の夢を 与えましょう♪ さあ安らかに 眠りなさい♪」
     ふわふわとした桃乃の歌が才の君に眠気を誘い、注射器を持つ手を狂わせる。最後の反撃のチャンスに舟を漕ぎ、注射器を自らの太腿に刺してしまい意識を手放す才の君へと、静瑠はせめて、申し訳ございません、と謝るのだった。

    ●ハーレムの終焉
    「キミ達が戦うのは、キミ達が灼滅者で、ボクがダークネスだからかい?」
     甘すぎる声を転がして、カイは物悲しげに微笑んだ。
    「仮にキミ達が闇に堕ちても、ボクは変わらずキミ達を愛し続ける。だからどうか……心配なんてしないで」
     魂を揺さぶるその声を、一夜の風が吹き飛ばす。
    「何かに依存したままって、すぐ壊れちゃうよ? きっと、お話したり、友達と一緒にやったほうが楽しいよ……だからカイ、君のやり方は、許しちゃおけないんだ」
    「カイ様にそんな言い方!」
     ナイフを振り回して憤る愛の君の放った瘴気を、両腕を広げて受け止める凪月。
    「恋愛ってさ、そんなハーレムじゃなくお互いに愛し合うのが幸せなんじゃないかな?」
     顔は確かにオークだけれど、よく見れば一途な姿は可愛いじゃないかと、凪月は微笑む。そして、甘美なる闇に包まれた愛の君の中で、その微笑みが大きくなってゆく。さらにその耳元に、華月が囁くように霊紋を生み出した。
    「というかその人、多分際限なく恋人増やすし。今後、一人一人に構う時間って、段々短くなるんじゃないかなー」
     深々見の指摘を、カイも否定はしない。それでも、カイはいつまでも自分を愛してくれると信じて止まない少女たち。
     けれど、その結論を導くために生まれた一瞬の逡巡は、深々見にとっては十分すぎる隙! 正確に閃く刃が、愛の君の皮下脂肪をごっそりと削り取る。夢の君は何故か、愛の君を助けはしなかった。
     静瑠は再び自問する。何故自分は、これを本当の幸せじゃないと思ったのだろう、と。悩みながら伸ばした影を受けて、ハーレムの一員となって日の浅い夢の君は、簡単に落ちた。

     敗北を悟り、窓際に向けてにじり寄るカイの行く手に、詩音が立ちはだかる。
    「愛は儚く、才は届かない 抱擁する事も叶わず、ただ夢と消えるのみ ――偽りの恋に、終焉を」
     天上の歌声が、カイの今を詠む。それを聞いて、カイの甘いマスクに初めて、怒りの炎が灯った。
    「ボクからよくも、彼女らを奪ったな、灼滅者め!」
     けれどその怒りは歌の雰囲気に呑まれ、カイはオペラの悲恋の主人公のように、両手で自らの頭を挟んで締め付けるのみ。
     悲劇に身を委ね、酔っているのだ。
     これが違和感の正体だったのだ、と、静瑠はやっと安堵した。カイにとっての愛は、自らに酔うための麻薬でしかなかったのだろう。
    「さぁ、夢から覚める時間よ」
     桃乃の剣が、淫魔を貫く。
    「私が今まで会ってきた淫魔の中でも、センス最悪よ、アナタ。本当に愛してなどいない癖に、愛を振りまくなんて茶番だわ」
     それでも儚げな笑みを浮かべるカイに得体の知れないおぞましさを感じ、思わず後退る桃乃。それと入れ替わるように、絹代が全身をばねのように使い跳躍する!
    「そうやってしおらしくすれば見逃して貰えるとか、まさか妙な事思ってるんじゃないっすよねぇ~?」
     振り切ったスカーフが、淫魔の肢体を絡め取った。それは淫魔が逃れようともがくほど、きつく彼自身を苦しめる!
     すっかり弱々しくなったカイを狙うには、最早、未来を見る必要などなくなっていた。
    「それじゃ、最後の花火といきましょう!」
     何本もの白がアリスより出でて、カイの心臓へと突き刺さる。舞い上がる鮮血がバラの花びらへと変わってゆき、入る白と出る赤の対比を形作る!
    「朧の君に、霞の君……こうなる前に少しでいい、キミ達との時間を楽しみたかった……」
    「もしかして……僕らの正体、気付いてたの?」
     一夜の問いに、カイは手を伸ばして答えた。
    「例えキミ達が灼滅者でも、ボクのものにできると思っていたさ……」
    「そう……ごめんね」
     アリスの追撃の魔法の矢が、再びカイの心臓を突いた。辺りを眩い閃光が覆い隠したかと思うと、そこにはカイの姿はなく、無数のバラの花びらが舞うだけだった。

    ●本物の愛と幸せのために
    「さてと……この子たちはどうしたものかしらね?」
     アリスが頬を数回小突くと、少女たちはすぐに目を覚ました。こうして改めて見ると、彼女らがほとんどといっていいほど自分を磨く努力をしておらず、カイの『厚意』に甘えていただけという事が、よくわかる。
    「カイ様……どうして私を置いて行ってしまったの!」
    「カイ君なしじゃ、もう生きていけないの!」
    (「これは、アフターケアが大変そうだわ……」)

    「……現実を見ないから、あんな下らない男に引っかかるんです。常識的に考えて、ハーレム男にロクなのはいないに決まっているでしょう」
     詩音の棘が、少女らの心に刺さる。けれど彼女らには、もう、それを溶かしてくれる王子様はいないのだ。
     人生でもう二度とあんな幸せは訪れない、と嘆く少女たちに、今なら静瑠は自信を持ってこう言える。
    「それは今まで、幸せだと自分を思い込ませていただけだと思います……」
     彼女らはさしずめ、材料費しか誇るもののないアクセサリー。無価値よりは多少マシだとしても、本物の価値ではありえない。
     もしも、その『本物の価値』さえ見つけられるのなら。
    「君らにも大事な人、きっと出来るから。だから、悪い男の事は忘れるんだよ?」
     カイにも負けない柔らかな微笑みを、凪月は少女たちに向けた。そしてカイと同様、彼女らの惚れるべき点を一つ一つ囁く。違いは……彼はその先を、彼女ら自身に委ねた事だ。
    「まあ、淫魔が目をつけたくらいなんだから、実際その点は、それなりの素質はあるんじゃないかしらね?」
     桃乃が聞かすともなしに呟いた。あとは自信を持ち、多少の身の繕い方を憶えれば、彼女らもきっとどうにでもなるはずだ。
    「中身が大事、なんて言っても、結局は外見で決め付けられるもんすからねぇ……。ま、この先泣き寝入りするか、女を磨くか、自分だけのオウジサマーを待つか、それぞれで決めればいいんじゃないすか? 女をやめるって道もあるっすよー」
     けらけらと、絹代が笑った。彼女らだって、どれが一番いいのかはカイに出会う前からわかっている筈なのだ……ただ、その方法を知らないだけで。
     もちろん、カイはそれを知っていたのだろう。彼と僅かな間触れ合っただけの一夜にも、それがわかる。
    「カイが見つけた『貴女たちの強み』、それを自信になるまで育ててあげれば、貴女たちだけを見つめてくれる人や、友達になってくれる人、きっとたくさん見つかるはずだよ」
    「そーそー、だいじょーぶ! 人生まだまだこれからなんだし、ゆっくり相手を探せばいいよー。ほら、素敵な人も近くにいっぱいいるし!」
     深々見にびしっと指を差され、強敵と戦わんと現れた通りすがりの剣士は丁重に固辞をした。
    「私はカイとやらが思ったほど強敵でもないようだったので、次の強敵を探しに行くところなのだが……」

     ともあれ少女たちには、しばらく自分を見つめる時間が必要だった。このカイとの愛の巣でではなく、もっと多くの人に愛して貰える場所で。
     家の前での別れ際、灼滅者たちはこちらにやってくる、ティーン雑誌の調査員を装う少年と目が合った。
     少年は灼滅者たちへと目配せをすると、灼滅者たちと入れ替わるように少女たちのケアのために近づいていった。

    作者:るう 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年4月24日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ