「く、くそ、焼き餃子怪人に水餃子怪人たちめ、この俺を馬鹿にしやがって!」
宇都宮市のとある公園で1人、宇都宮揚げ餃子怪人は慟哭していた。
宇都宮の餃子で有名なのは焼き餃子だ、次いで本格派の水餃子だろうか。
ともかく、揚げ餃子の自分をそいつらは上から目線で馬鹿にしているのだ。
(テロップ:あくまで宇都宮揚げ餃子怪人さんの主観です。宇都宮での実際の云々とは無関係です)
メキメキメキ……。
「ん? な、な、な、なんでロードローラーが!?」
公園の木々をなぎ倒し、こっちに迫ってくるのはまごうことなきロードローラーだった。
宇都宮揚げ餃子怪人は突然の出来事に棒立ちとなり。
「ぎゃーーー!」
バリバリバリ、と美味しそうな音を立ててペシャンコにされたのだった。
「みんな、六六六人衆の『???(トリプルクエスチョン)』って知ってる?」
教室の集まった皆を見回してエクスブレインの鈴懸・珠希(中学生エクスブレイン・dn0064)が言う。
六六六人衆の中でもかなり上位の存在の『???』だが、どうやら彼が動きだしたらしい。
「ターゲットとなったのは特異な才能をもつ灼滅者、学園の仲間よ」
珠希が言うにはターゲットとなった者の名は『外法院ウツロギ』、彼を闇堕ちさせ分裂という稀有な特性を持つ六六六人衆を生みだしたと言うのだ。
その六六六人衆こそ序列二八八位『ロードローラー』だ。
元々二八八位は同じ分裂の特性を持つクリスマス爆発男の序列だったが、クリスマス爆発男が灼滅され空席になっていた所をロードローラーが埋めたという事だろう。
ロードローラーは分裂により日本各地に散り、次々に事件を起こしているという。
「これを放っておくわけにはいかないわ。それで……みなに向かって欲しいのは、宇都宮よ!」
宇都宮、そこでロードローラーは宇都宮餃子怪人を轢き殺そうとしているらしい。
「なんで同じ六六六人衆じゃなく餃子怪人なのか……私に聞かれても理由はわからないわ。外法院ウツロギさんが何を考えているのかも理解不能ね」
相対するロードローラーは防御を捨てて攻撃してくるらしく、殺人鬼と龍砕斧、それに咎人の大鎌に似たサイキックを使ってくるらしい。
「このロードローラーは強敵よ。でも、一つだけみなが有利に戦える可能性もあるの、それは……」
珠希は微妙な顔で一度言葉を切ると。
「実はね……上手く話しを持って行けば、襲われている餃子怪人と共闘できるの」
被害にあっているのは宇都宮揚げ餃子怪人と言うらしく、宇都宮の餃子怪人界隈の中ではちょっと仲間外れになっていると自分が勝手に思っているらしい。
その辺りをうまくやれば、もしかしたら……。
「あ、でも、ロードローラーを撃破して、余力があったら宇都宮揚げ餃子怪人も灼滅して構わないわ。だって餃子怪人もダークネスだものね」
共闘を持ちかけつつ、最後に裏切るというとんでもない策を公言しつつ、珠希は灼滅者の皆を見送るのだった。
参加者 | |
---|---|
山城・竹緒(デイドリームワンダー・d00763) |
ルーパス・ヒラリエス(アスピリンショット・d02159) |
四月一日・いろは(剣豪将軍・d03805) |
小谷・リン(小さな凶星・d04621) |
西原・榮太郎(霧海の魚・d11375) |
楓・十六夜(闇魔蒼氷・d11790) |
高沢・麦(とちのきゆるヒーロー・d20857) |
戦城・橘花(負け犬・d24111) |
●
宇都宮のとある公園。
棒立ちの宇都宮餃子怪人がロードローラーに轢き潰されると目を閉じようとした、まさにその時。
「よっ、揚げ餃子さん大丈夫か?」
琥珀色のオーラを纏った両手でローラーを抑えながら、ニヤリと怪人に笑いかけるのは高沢・麦(とちのきゆるヒーロー・d20857)。
「な、なんだ、お前は……?」
「俺は栃木のご当地ヒーロー、ライサマー! 同じ地元民として、揚げ餃子さんを失うわけにはいかないん、だっ!」
最後の気合と共にロードローラーを一時的に弾き返す麦。
「ヒーロー? 灼滅者がどうして俺を!?」
「あら? 灼滅者だからってダークネスを助けちゃいけない?」
いつの間にか怪人の横に並んでいたルーパス・ヒラリエス(アスピリンショット・d02159)が、帽子を押さえつつチラリと怪人を見ると。
「貴方が死んじゃったら私達どこで餃子を食えば良いの? 焼き餃子や水餃子がなんぼのもんでしょう。私達は揚げ餃子が好きなのよ」
「お、お前ら……(涙」
「ちょっと、泣くのは後にしてよ。あなたは一人ぼっちじゃないわ、私達がいる。加勢するから共に闘いましょう! 餃子の未来のために!」
そう言ってルーパスが放った殺気が様子を見ていたロードローラーを覆う。
さらに合わせるようにリズムが響き、見ればベース型の赤いギターを構えた山城・竹緒(デイドリームワンダー・d00763)がうねるように刻んだソニックビートが殺意に包まれた黒い塊に叩き込まれた。
竹緒は追撃を成功させると、ふぅ、と息を吐き怪人にウィンクひとつ。
「私たちもお手伝いするから、がんばって一緒にロードローラーを退治しようよ! ここでロードローラーを倒せたら、馬鹿にしてたみんなを見返せるとおもうしね!」
竹緒の駄目押しに怪人がロードローラーへと向き直る。
「ああ、その通りだ!」
餃子怪人が指差し、同時に黒い殺意が消え姿を現すロードローラー。
「話はまとまったようだね」
ロードローラーを囲むように現れる5人の灼滅者。その中の1人、白鞘に収まった愛刀月下残滓の柄に手をかけた四月一日・いろは(剣豪将軍・d03805)がただならぬ空気を纏って一歩前へ。
奇妙なほど冷静にロードローラーを一瞥し。
「らしいと言えばらしいけど……ウツロギにも困ったものだよね、むふふふ」
誰もがゾクリと違和感を感じる。今日のいろはは、危険だ。
「獲物が増えたぞ~☆」
いろはに向かって突進してくるロードローラー、それを鬼化させた片腕で抑え、同時に利き腕で太刀を抜き放つ。
「ロードローラーが相手なんて得難い経験ですね」
いろはの攻撃に合わせるように西原・榮太郎(霧海の魚・d11375)が破邪の白光を纏う剣で。
「遠慮なく、全力でぶつかるとしましょう」
2人の攻撃にロードローラーがそれ以上進めずガリガリと大地を削る。
そして、その一瞬を待っていたように氷が立ち上がりロードローラーを氷漬けにする。
「氷哭極夜」
タイミングを合わせて跳躍したいろはと榮太郎は、剣を逆手に持ち地面に刺して魔法陣を展開させる楓・十六夜(闇魔蒼氷・d11790)に。
「危ないじゃないか」
「そうです」
「それは巻き沿いになってから言え」
2人ににべもなく返す十六夜。
ビシリ。
氷に亀裂が入りロードローラーが復活する。
だが氷から出た瞬間、目の前に迫るは鋭い槍の先端。
首を捻って顔への直撃は避けるが、運転席に捻りを加えた一撃がめり込んだ。
反撃が来る前に朱に染まった柄を持ち、ロードローラーを蹴って宙へとトンボを切るのは戦城・橘花(負け犬・d24111)。
さらに視線が橘花を追って空へ向いた瞬間、僅かな死角を滑るように小谷・リン(小さな凶星・d04621)の影が伸びる。
「分裂体、でも、ウツロギ。部長、と、戦う、いい機会」
ロードローラーへ無数の黒き影の腕が襲いかかる。
「凄いな、お前たち……」
灼滅者達の戦いに茫然としていた怪人が呟く。
そんな怪人にリンが死んだ目のままジトっと。
「ん?」
「餃子怪人、殺されたくなかったら、ちゃんと、戦う」
「あ、はい」
思わず目を点にして素直に謝る怪人であった。
●
ロードローラーとの戦いは怪人の参戦もあってかなり灼滅者優勢で進んでいた。
バランス良く作戦を組んだ灼滅者たちの考えが正しかったと言えるし、敵の鏖殺領域を行なってからのバッドステータス地獄の行動を読んでいたのも大きい。
「おねがい……あの優しかった元のウツロギくんに戻って!」
リバイブメロディで前衛を回復しつつ叫ぶ竹緒。
「女、あのロードローラーと知り合いなのか?」
怪人がふと竹緒に聞く。
「え、違うよ? ノリで言ってみただけ」
「おいっ! そういうのは――」
「それよりさー(餃子怪人「スルーか!?」)、あれってロードローラーの中に元のウツロギくんが入ってて首だけ出しているのかなぁ?」
マイペースに想像して笑う竹緒に、怪人が「知らんわっ!」と呆れると。
「ほらほら、おしゃべりしてないで手を動かす、サクサクぶっ壊すわよ」
ルーパスが2人を注意する。
「すまない……ふむ、お前は知り合いでは無いのだな、攻撃の手に容赦が無い」
怪人がルーパスの遠慮の無さに頷きながら言う。
だが、縛霊撃を叩き込んだルーパスは。
「え? ウツロギ君とは学園に来て以来の付き合いよ?」
「なに!?」
「でも何故かしら、不思議と悲壮感も使命感も感じないのよね、不思議!」
「………………」
もっとも、ウツロギの知り合いでありながら全力攻撃するのはルーパスだけでなく。
「ウツロギ、今は、六六六人衆。ならば、私は、倒すだけ」
纏の手・絶をロードローラーに巻きつけ動きを封じつつリンが呟く。
ロードローラーの顔までボンレスハムだが遠慮はしない。
灼滅者の苛烈な攻撃は続く。
「……多重存在に用はない……疾く消えろ」
ボロボロになりつつあるロードローラーの背後で十六夜が呟き。
「乖魔斬葬」
黒き刃がロードローラーの後輪のタイヤ軸を貫いた。
――ガコンッ!
動きが止まる。
しかし、ロードローラーはつんのめるように前輪だけで斜めに逆ウィリーするとそのままスピン、十六夜を撥ね飛ばす。
「くっ……格上相手、やはり気が抜けないな」
「大丈夫か」
怪人が心配してくるが、十六夜はコクリと頷く。
怪人はぐるりと周囲を見渡す。無傷の灼滅者は誰もいない。
「なぜだ……」
敵同士である灼滅者がどうしてここまで。
「……確かにな……お前以外にも水餃子や焼き餃子等が襲われて居た……だが、どうも餃子に対する考えがぬるくてな……」
十六夜がロードローラーから目を放さず呟くと、同意するように橘花も。
「その通り。揚げ餃子の食感は焼き立ての餃子すら及ばない。ならば誰を助けるか……自明の理だろう」
橘花の言葉に怪人が目に涙を溜める。
「給食に出れば奪い合い! スーパーのおつまみコーナーの花形! 揚げ! 餃子!」
麦がワイドガードを発動させつつ。
「あのロードローラーは宇都宮の名物を潰して回る、俺たち共通の敵! 真っ先に揚げ餃子を狙うとは敵ながら見る目あるとは思うけどな!」
怪人へ笑いかける麦。
「ああ、見る目のあるロードローラーだ!」
そこからの連携は凄かった、まるで怪人すらいつもの仲間かのような連続攻撃。
そして……――。
後輪は動かず、前輪のローラーには無数のヒビが入り、それでも。
「まだまだだよー☆」
ロードローラーが最後の突進とばかりにいろはへと迫る。
ガッ!
「……しかし六六六人衆というのも奥が深いものですねぇ。いろいろ聞いてみたい所ですが……今は」
いろはの前には榮太郎、九字兼定『桜火』を構え強引に突進を受け止め。
「任せます。四月一日さん」
「トドメ? トドメとか思ってる? 無理無理無理! ロードローラーは無敵だよ☆」
榮太郎を弾き飛ばし、いろはへと向き直るロードローラーがウツロギの顔で笑う。
「心外だね」
対するいろはは自然体でゆっくりと足を踏み出し。
瞬後、数メートルの距離を一気に縮地法にて詰めると。
居合。
一閃!
瞬き。
――チンッ。
愛刀が白鞘へと納められる。
「無理無理無理……無……理……」
ズズンッと両断され大地へ転がるロードローラー。
「分裂体ごときに受け止められる程、いろはのオモイは軽くないよ?」
ズブスブと消えていく分裂体に目もくれず、いろはは夜空に輝く月を見つめながらそう呟いたのだった。
●
戦いが終わり、ポンと肩を叩かれた怪人がそちらを見る。
「……他の餃子どもに言ってやれ、貴様らが優れているというのならロードローラーを倒してみせろ、とな」
そう言う十六夜に怪人は礼を言い、怪人は爽やかに去って。
「っと、ちょっと待って!」
行かなかった。
何事かと止まる怪人に、ルーパスが続ける。
「戦いも終わった事だし、どう? 本場の揚げ餃子を作ってくれないかしら」
「そんな……」
戸惑う怪人。
そう、灼滅者とダークネスは敵同士、不倶戴天、相容れない敵なのだ。
だが……今だけは!
「任せておけ! 最高にうまい宇都宮揚げ餃子を作ってやる!」
怪人は嬉しそうにそう叫んだのだった。
どこから用意したのか簡易コンロを取り出しで揚げ餃子を作っていく怪人。
夜の公園はちょっとした宴会場になっていた。
「じゃあさっそく……う! 美味しいっ!」
竹緒が頬張り第一声、パリパリした食感、溢れてくる肉汁と餡子のジューシーさ、作り立ての揚げ餃子は最高に美味しかった。
竹緒は「次は自前の荒塩で」と2つ目に箸を伸ばす。
「揚げ餃子の香ばしさって焼餃子や水餃子にはない物だよね」
そう言ってモグモグと食べるはいろは、落ちついたのかいつもの雰囲気が戻って来ている。
「そういえば、なんでロードローラーは餃子を狙ったのでしょう?」
榮太郎が食べつつ聞けば。
「それは思ったな。どうしてそこまで餃子に殺意を……?」
橘花も同じ疑問を口に出す。
「うーん、そうよね。ウツロギ君なら餃子よりお尻追っかけそうなものなのに……せっかく、女の子のケツが被写体の写真集を持ってきたのに、投げそこなったわ」
ルーパスがハフと溜息を付きつつ、目の前に来た巨大な焼き餃子に被りつく。
「痛い痛い痛い痛いっ! 何をするか!?」
「あらやだ、ごめんなさい。つい目の前にあったからマルカジリしちゃった」
齧られた頭を撫でつつ餃子怪人がルーパスを涙目で非難する。
そんな光景を見て竹緒が言う。
「そうだよね! ぺちゃんこにしちゃったら食べられないのに!」
「いや、明らかに俺を食べるってより殺そうと来てただろうが」
つっこみを入れる怪人。
アハハと笑う竹緒や仲間達。
楽しい餃子パーティーは続く。
――10分後。
スッと十六夜が立ち上がり無言で虚空に紋章を展開。
「呪冥石華」
問答無用に魔力が怪人に降り注ぎ、足元から石化が始まる。
「な、なにをする!?」
ゆらり。
慌てる餃子怪人とは対照的に、灼滅者全員が殲術道具を持ち立ち上がる。
「ど、どういう事だ……!?」
「騙して悪いけど……これも仕事なの、死んで頂戴」
先ほどまでの笑顔は何だったのか、ルーパスが更に笑みを深くそう言った。
「騙した、のか、俺を……」
茫然とする怪人。
「世の中は、裏切りの、連続だ」
マイペースに餃子を食べていたリンが冷たく言い放ち、背後にビハインドの氷山凪継が再び出現する。
誰もが冷たい視線を怪人に浴びせる。
こいつらは信じられると……そう、そう思っていたのに!
最後に、まるで何かにすがりつくように怪人の視線が麦へ。
「俺が薦める揚げ餃子の店も教えた、地図まで描いて……嘘、だよな……?」
「仲良くできればそれが一番だったんだけど……やっぱダークネスは見逃せないっぽいんで、ごめん!」
両手を合わせて謝る麦。
「う、うおおおおおおおおおおお!」
二度目の慟哭が夜の公園に響き渡った。
●
今回の作戦で最大の効果を発揮したのは、言うまでもなく餃子怪人をよいしょし休憩時間を確保した事だろう。
その真の目的、それは心霊手術を行なう時間稼ぎだった。
そんなの想定外だと天から声が聞こえた気がするほどの最良手だ。
「大丈夫ー? 回復はまかせといてー!」
竹緒が防護符を飛ばし仲間を庇ったリンの傷を癒す。
「ありがとう、大丈夫」
リンが短く礼を言い、兄と共に怪人へ影を飛ばす。
リンの影を足で踏み潰し、ビハインドの放った波動を腕で防ぐ怪人。
だが鈍い痛みが右太股に走り、見れば榮太郎の非物質化した剣で斬られたようだった。
痛みで右足の踏ん張りが効かなくなり、意識的に力を入れた瞬間。今度は左足の太股がルーパスによってジグザグに切り裂かれる。
「うぐ」
思わず両膝を付く怪人。
「行くぜ! ご当地必殺! パリパリ餃子の皮ビーム!」
「舐めるな! 本家本元、宇都宮バリバリ揚げ餃子ビーム!」
麦のビームと怪人のビームが中空で激しくぶつかり合い相殺する。
「はは、本家はやっぱ強いな!」
「皮はバリバリ、それがこだわり、だ」
苦しそうに息をしつつ強がる怪人。
「くだらない」
「なんだと!」
怪人が声の主の方を向けば、十六夜が大地に黒刃の蒼剣を突き刺していた。
「貴様の様な自尊心だけが強い奴は誰にも相手にされない」
言うと共に剣を抜く十六夜、抜いた所に深淵の闇が吹きだしアギトが顕現する。
――闇の彼方で夜明けを待て。死してこそ、生は廻る。闇哭纏夜。
「おおおおお」
怪人の下半身が影に呑まれ消失する。
「ど、どう、して……」
上半身だけになりながら腕だけで身を起こす怪人が、心の底から声を出す。
ザッ。
目の前に見えるのは袴と足。いろはだ。
「いろいろ疑問はあるだろうけど、ひとつだけ答えてあげるよ」
「な……に……?」
白い金属鞘を振りかぶり。
「餃子怪人を狙ったのはウツロギの意志なんだってさ、それじゃあ、覚悟」
ドス、ドドドドッ!
鞘による峰打ちと共に、連続でいろはの魔力が怪人を打ち付ける。
「く……俺が……信じた俺が……」
虫の息で朦朧と呟く怪人。
「どう思おうとそちらの勝手だ……だが、揚げ餃子が一番だと、そう思っている気持ちに嘘はない」
橘花がいろはに並んで怪人へ告げ。
「餃子には酢醤油とカラシだよね」
トドメの一撃を加え、くるりと武器を腰に戻す。
ガクリと力が抜け、腰から上もじょじょに消えていく怪人。
「わ、解ってないな……」
消えつつある餃子顔が、どこか善も悪も超えた悟りの表情で。
「何をつけても……美味しいと思って貰えるのなら……餃子は……ほん、も……」
最後まで言い終らず怪人は消滅したのだった。
静かになった公園を片づけ終わり榮太郎が呟く。
「しかし、外法院部長はなんでこんなことを……」
ロードローラーの事件はまだ始まったばかり。
彼らがウツロギの真意を聞くのは、もう少し先となる……だろう、たぶん。
作者:相原あきと |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年5月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 6/素敵だった 17/キャラが大事にされていた 4
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