●人の居ぬ間に亡者鳴く
ゴールデンウィークも終わりに近付いた、とある日。
静岡県は某所、ちょっと年季の入った、とある高校の校舎。
隣には新しく建てられたもう一つの校舎があり、余り使われていない旧校舎、と言った所だろうか。
『……ウゥゥ……』
そんな旧校舎に、人の居ないこの日に響く……呻き声。
ただただ呻き、そして……徘徊する彼らはゾンビ。
彼らはただ、闇夜の中、人の居ない旧校舎を歩き続けるのであった。
「みんな、あつまったかな? それじゃ早速だけど、説明を始めるよ!」
須藤・まりんは、集まった灼滅者達ににっこりと笑いながら、早速だが説明を始める。
「みんなにお願いしたいのはね、旧校舎に現われてしまったダークネスのゾンビの群れを倒してきて欲しいんだ。どうやらゾンビは、ゴールデンウィークで人が居なくなったのを感じ取って、姿を現わしてしまったみたいなんだ」
「だから幸い、現状被害は無いんだけど……でも、放置しておけば被害は必ず出てしまう。なので、この休みの最中に、皆に急いで灼滅為てきて欲しいんだ」
「ゾンビは皆も知っての通り、単体の能力はそこまで高くは無いはぐれ眷属だよ。でも、単体での能力は低くても、群れ集まって、集団攻撃をしてくるのは……結構油断ならないと想う。決して一人が突出するような事にならないよう、注意してね?」
「ちなみに攻撃手段は噛みつきによる毒の付与、組み付きによる封縛、そしてのしかかりによる攻撃。誰かが動きを引き付けて攻撃してくるような事も在るみたいだよ」
そこまでいうと、まりんは。
「何にせよ、はぐれ眷属の攻撃は数で押してくる攻撃だから、油断ならないと想うんだ。みんなの力で、この先の事件を封鎖してあげてね!!」
と、にっこりジャンプして応援するのであった。
参加者 | |
---|---|
紫月・灯夜(煉獄の殺人鬼・d00666) |
八嶋・源一郎(颶風扇・d03269) |
ヴィラン・アークソード(彷徨える影狼・d03457) |
来海・柚季(柚子の月・d14826) |
白鳥・悠月(月夜に咲く華・d17246) |
灯灯姫・ひみか(星降りシャララ・d23765) |
七橋・京介(愚直な焔・d24867) |
平戸・一如(魔穿の祭司・d26320) |
●闇から声
まりんから話を聞いた灼滅者達。
ゴールデンウィーク、静岡県某所の高校校舎へとやって来た灼滅者達。
勿論、ゴールデンウィークとなれば学校はオヤスミ……学生達が居る事は無い。そこに。
「ゴールデンウィーク……素敵な週ですよね。そんな素敵な週に、ゾンビさんが現われてしまったのですね……」
「そうね。使われていない旧校舎とはいえ、ゾンビが徘徊しているなんて迷惑な話よね」
「ああ……人が居ないと現われるとは、迷惑な奴らだ」
灯灯姫・ひみか(星降りシャララ・d23765)、平戸・一如(魔穿の祭司・d26320)、白鳥・悠月(月夜に咲く華・d17246)が次々と呟く言葉。
オヤスミの学校に現われしまったのは、はぐれ眷属のゾンビ達で……彼らは、旧校舎内を、呻き声を上げながら歩き廻っているのだから……。
「しかし夜の校舎にゾンビ……新しい怪談話の様だの」
「まったくだ。集団ゾンビって、まるで某アクションゲームみたいだよな」
「いや……旧校にゾンビが沸いて蠢いているなど、映画の中だけで充分だと想うぞ?」
「そうですね。少なくとも一般人に被害を与えるようなゾンビ事件など、なくていいでしょう」
八嶋・源一郎(颶風扇・d03269)、紫月・灯夜(煉獄の殺人鬼・d00666)、ヴィラン・アークソード(彷徨える影狼・d03457)と、七橋・京介(愚直な焔・d24867)の言葉。
……まぁ、思う所は様々あれど、一般人に被害を与えるのを、このまま放置しておく訳にはいかない訳で。
「ううん……夜の校舎はどきどきなのです……でも、ちょっと怖いけど、頑張ります……しばらくは、ゾンビは観たくなかったんだけどなー……」
と言う来海・柚季(柚子の月・d14826)がぼやくと、其れに源一郎は。
「そうじゃな……しかし、ゾンビと校舎とは、似合うのう」
「いや……似合いすぎて、それが嫌なんですよね……」
「ははは、そうじゃの。まぁどこから迷い込んだのかは知らぬが、放ってはおけぬか。どれ、さっくり片付けるとしよう」
と、源一郎と柚季の言葉に、灯夜、ヴィラン、悠月、ひみかからも。
「そうだな。天井から強襲とか、死角からの攻撃とかが無いから、その辺りは楽かも知れない。それほど怖くは無いが、塵も積もれば山となるの精神で、充分注意していくとしよう」
「そうだな。知能は低そうだが、油断しないように注意しないとな?」
「でも、これ以上事件がおきないように、ここで仕留めておかなければなるまい」
「ええ……放っては置けませんもの。わたくし達で倒しましょう」
そうして、光源としてランタン等を装着……様々な準備を整える。
全て準備が整った中、悠月は拳を握りしめる。
「ん……と、どうしました?」
と京介が声を掛けると、悠月は。
「いや……ゾンビの誘導役だし、包囲されないように注意していかないとな、とな。ゾンビにはめられたら、笑いものにされるかもしれないし……意外とプレッシャーが掛かるな」
「まぁ……確かにそうですよね。でも、頑張って下さいね……?」
「ああ……普段通り頑張るとするさ」
京介に軽く微笑みを浮かべつつ、そして灼滅者達は旧校の中へと向かうのであった。
●誘われるまま
そして旧校舎内。
校舎に入るなり、速攻で灼滅者達は、隠れられそうな部屋を探して歩く。
殆ど使われなくなったという旧校舎……とは言えまだまだ使われている様で、そういった部屋を見つける事はそんなに難しい事ではない。
灯夜、ヴィラン、源一郎、一如が教室に待機し、残る悠月、柚季、京介、ひみかの四人が教室を出て、ゾンビ達の囮として、外を歩く作戦。
……勿論、ゾンビがこの旧校舎の中に居るのは間違い無いし、そんなに大きい校舎では無いから見つけるのはそんなに難しい事ではない。
……ただ、捜索中であっても、薄気味悪い雰囲気は変わる事は無く……。
「……物騒ですね……早く倒して帰りたいものです。夜の旧校舎なんて、ぞっと致します……」
「ああ……そうだな」
ひみかに頷く京介……そんな会話をしながら、暫し進んでいくと……。
『……ア、ウゥゥ……』
聞こえてきたのは、呻き声。
紛うこと無き、ゾンビのその鳴き声。
「……こっちか……?」
「そうですね……間違い無いと思います」
悠月と柚季が頷き合い、そして四人がその声の方へと急ぐ。
……そして、暫し行くと……そこには。
『ウ、ウアア……ウァアアア……!!』
『アァアアア……アウウウアア……!!』
呼応するような呻き声が、次々と響き渡り……その暗闇の中に映るゾンビの群れ。
「居ましたね」
「ええ……そうですね……」
「……皆、準備はいいか? 良いなら誘導、開始するぞ」
「ああ……OKだ」
と声を掛け合い、そして……悠月が。
「ほら……こっちだ!」
と大きな声を上げて、ゾンビを誘導。
その声に気付いたゾンビ達が、次々と悠月を追いかけようと、後を追いかけていく。
そして追いかけてくる彼らとつかず離れずの距離を取って、仲間の待つ教室へと急いで行く。
走ってくる声、音が、教室で待機する仲間達の方にも聞こえてくる。
「……どうやら、来たようだね」
「うむ。そうじゃの」
「……」
灯夜と源一郎が相互に頷きつつ、一如は自分に言い聞かせるように、シュシュで自分の髪をポニーテールに纏め、決意を固める。
そして……更に見つからないよう、更に姿を隠しつつ、悠月達とゾンビの一団は、待ち構える教室の中へ。
「……まんまと誘い出されたな。さぁ……相手してやるぜ!!」
ニッ、と笑みを浮かべてスレイヤーカードを解放する悠月……そして、それと共に柚季、京介、ひみかと、彼女の霊犬が対抗するように対峙体制を取る。
……そして。
「ゾンビならゾンビらしく、大人しくしていればいいものを……こうして出てきたことを、後悔させてあげましょう」
「ええ……右舷、皆様を守ってね」
『ワゥ!』
「うん……では美しく、参りましょう」
「さぁ……行きます」
京介が轟雷の一閃を、先陣切って叩き込むと、続く悠月のフリージングデス。
そしてその二撃に対して、旧校舎入口側に一斉に立ち塞がる灯夜、ヴィラン、源一郎、一如。
『ウウウ……』
呻き、睨み付けるゾンビ達……だが、そいつらに。
「貴方達の時間はどうに終わっているの……だから、成仏させてあげる。さぁ、魔祭りの時間よ。万物を縛る界……ここに結ぶ!」
と一如が除霊結界を展開すると共に、柚季がサウンドシャッターで戦場の音を漏らさないように細工。
そして構えながら、柚季は源一郎に。
「店長、ゾンビにトドメを指した数、勝負しませんか?」
「ん? はは、面白いのう。判った、乗ろうではないか」
源一郎が頷と、柚季は嬉しそうに笑う……そして、柚季は早速鬼神変の一撃を叩き込む。
灯夜もフリージングデス、ヴィランはクルセイドスラッシュ、そして源一郎は鬼神変、そして京介が。
「……安らかに眠って下さい。それが死者の勤めですよ」
と、首筋を狙った神薙刃wお放ち……斬り去る。
葬り去られる一匹……残るゾンビは9匹。
とは言え一つの教室の中にゾンビ9匹、そして灼滅者が八人というのは、かなりキャパシティーオーバーな状況。
教室の中は既に一杯一杯……ゾンビ達も中々動けるような状況ではなく、前、後ろそれぞれの最前線に居るゾンビが、どうにか攻撃をする程度。
後ろに居るゾンビ達は、ううう、と呻くだけで……それ以上、行動する事は難しい。
「今の内にさっさと決着をつけていった方がよさそうね……我齎すは静寂の野…悉く凍てつけ!」
と一如の次のターン、フリージングデスで、ゾンビ達を一斉に凍り付けにする。
そして続く灯夜、悠月のクラッシャーは螺穿槍と除霊結界。
連携して、大ダメージを叩き込めば、続けてヴィランと柚季がギルティクロスと閃光百裂拳。
更に源一郎が抗雷撃で……一匹にトドメを刺す。
「二匹目、と……うむ、中々良い塩梅じゃな」
「うう……」
源一郎の言葉に、ちょっとばかり悔しそうな柚季。
とは言えキャスターの効果もあり、攻撃力は柚季よりも多少高い源一郎……倒す数という意味では、僅かに有利だろう。
とは言えそんな会話を楽しんでいる暇は殆ど無い……京介が次にオーラキャノンで攻撃すれる一方、ひみかが。
「右舷、護りなさい!」
と仲間のディフェンスを指示しつつ、彼女自身は。
「ほら、頑張って下さいな!」
と、集気法で仲間達を回復する。
……やや攻撃よりの灼滅者達の行動は、ゾンビに確実なダメージを与え、そして始末していく。
ただ、一匹、また一匹……と倒して行けば、残るゾンビは動きやすくなる訳で、攻撃も灼滅者達を苦しめる要因とはなる。
しかしそれらの攻撃は、右舷とヴィランが徹底的にマークし、仲間を庇う……そしてその減った体力は、ひみかが確りと回復。
確実にダメージソースを集中させ、回復を集中的に施す。
勿論、ゾンビ達がそこまで強力な敵では無いというのもあるかもしれない……そして、確実にダメージを叩き込む事により、一匹ずつを確実に始末。
数十ターン経過……ゾンビの残りは、後1匹。
『ウウウ……』
その声色は、どこか怯んでいるようにも聞こえる……それに。
「だからもう勝負は決まっていたのよ……さぁ、我が身の内の炎……器に宿りて力を示せ!!」
と一如のレーヴァテインが放たれるれば、ぐぐっ、とその身体は教室に横たわる……そして。
「これで、トドメをさしてあげます!!」
柚季が叩き込んだ渾身の閃光百裂拳。
その腸に強力な一撃を叩き込み……ゾンビは全て、崩れ去るのであった。
●失われた声
「これで……全部でしょうか……ね?」
「そうね……ふうぅ……」
ひみかの言葉に、緊張から解放されたのか……その場に座り込む一如。その一方。
「うー……ん、負けちゃいましたぁ……」
しょんぼりしている柚季に、ははは、と源一郎は笑いながらその肩を叩く。
そして。
それを観ながらヴィランが。くすりと笑いつつ。
「やれやれ……終わった終わった、と……」
と、ポッケから取り出したクッキーをパクリと一口。
……それに、あ、そうだ、と柚季も御菓子を取り出し、はむはむと食べる。
「うん……お菓子、美味しいです」
ニコニコと食べる彼女の表情は、凄く和んでいる様に見える……それに彼女は更に。
「しかし……途中からゾンビを殴った記憶が無いのですが……どうしてでしょうね……?」
と、小首を傾げる彼女……それに周りの仲間達が軽く苦笑しつつ……暫しの間、会話を交す。
……そして。
「さて、と……もうゾンビは居ませんよね? ……では、帰りましょうか」
とひみかの言葉に、皆も頷き……そして旧校舎を脱出。
空には美しい月が浮かんでいて……それを見上げながら、ひみかは。
「……綺麗ですね」
と、ぽつり呟き、微笑むのであった。
作者:幾夜緋琉 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年5月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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