眼鏡こそ本体なのです

    作者:聖山葵

    「眼鏡こそ本体なのです」
    「は?」
     突然行く手を遮った男が発した第一声に思わず聞き返してしまったのは無理もない。
    「故に眼鏡メェンは己が全てを眼鏡によって体現せねばならないのです、イェア」
     聞いたこともない以前に理解しかねるとんでも理論を披露しつつ眼鏡のブリッジを押し上げた男は指をパチリと鳴らす。
    「出でませい我らが同志、彼にもっとも相応しき眼鏡を」
    「「おおーっ」」
    「は、あ、なっ」
     突如鬨の声が上がり、哀れな犠牲者が周囲を見回せば個性的で収まるのか微妙な眼鏡をつけた人々に包囲されていて。
    「さぁ、どうぞどうぞ」
    「ちょっ、は、放し……アーッ」
    「ふぅ」
     どこかへ連行されて行く男を微妙に冷めた目で見つめ、嘆息した少女が一人。
    「何でこんなことしてるんでしょうか、私」
     誰に向けてかポツリと問いを零したのだった。
     
    「通行人に言いがかりをつけ、高額な眼鏡代を払うか仲間になるかの二択を突きつけるとは、言語道断ッ」
     ぐっと拳を握った座本・はるひ(高校生エクスブレイン・dn0088)は集まった灼滅者達を前に告げた、一般人が闇堕ちしてダークネスになる事件が起きようとしていると。
    「問題の一般人である少女は先程口にした要求を突きつけるはた迷惑な組織のリーダーに収まっている」
     堕ちようとしているダークネスがソロモンの悪魔なので、組織のメンバーは少女に堕落させられた人々なのだろう。
    「もっとも、少女の方は人間の意識を残してもいるのだよ」
     つまり、ダークネスの力を持ちながらもダークネスになりきっていないらしい。
    「灼滅者の素質を持ち助けられるようであれば闇堕ちからの救出を」
     そうでない時は完全なダークネスになってしまう前に灼滅を。前者である方が良いのは言うまでもなく、それがはるひからの依頼だった。
    「さて、それで少女の名だが、牧原・みんと(まきはら・みんと)」
     メガネの似合う見たところ知的な高校生ではあるものの、リーダーを務める組織の方はツッコミ処しかない。
    「接触に関しては難しく考える必要はない。これから指定する場所へ眼鏡をかけて向かってくれればいい」
     これはだて眼鏡でも問題なく、組織の構成員達は強化一般人にまでは至っていない為、遭遇してもESPを活用すればどうにか出来るとはるひは言う。
    「一般人構成員を何とかし、少女と戦う」
     闇堕ちから救うには戦ってKOする必要がある為、戦闘は避けられない。
    「人の心に呼びかけることで弱体化させることは出来るかもしれないがな」
     現状に疑問を感じているようなので、説得するならばそこを利用すると良いだろうとのこと。
    「戦いになればみんとは魔法使いとマテリアルロッドのサイキックに似た攻撃で応戦してくる」
     戦場は言いがかりをつけた犠牲者を掠うのに適した人気のない裏路地になるので、みんとの部下である一般人以外への対応は不要らしい。

    「好みは人それぞれだろうがね、無理強いはいかんよ」
     たぶんどこかのファイアブラッドが聞いたら全力でツッコんで来そうな一言で締めくくり、はるひは君達を送り出す。
    「眼鏡が本体か、ならば私の本体とは……」
     一人残された教室ではるひの疑問に答える者は誰も居なかった。
     


    参加者
    一之瀬・梓(紫紺の霊眼・d02222)
    葉山・一樹(ナイトシーカー・d02893)
    佐藤・志織(大学生魔法使い・d03621)
    淳・周(赤き暴風・d05550)
    紅羽・流希(挑戦者・d10975)
    ブリジット・カンパネルラ(金の弾丸・d24187)
    ラハブ・イルルヤンカシュ(アジダハーカ・d26568)
    橘・紫月(夢幻の世界の傍観者・d26630)

    ■リプレイ

    ●狂者との遭遇
    「眼鏡は顔の一部、とかは聞くけどね……本体までいっちゃうかぁ」
    「流されやすい人ってどこにでもいますよね」
     空を見上げて呟いた橘・紫月(夢幻の世界の傍観者・d26630)の言葉に相づちを打ったのは、佐藤・志織(大学生魔法使い・d03621)だった。
    「いやはや、人の業の深さには心底、驚かされますよ……」
     そも、何が目的だというのか。エクスブレインから説明された時に抱いた感想を繰り返し、紅羽・流希(挑戦者・d10975)は、自分のかけた古風なサングラスへ手を添える。
    「ん、悪魔の存在は許さない。だから、この闇堕ちは絶対止める」
     こくっと頷いたラハブ・イルルヤンカシュ(アジダハーカ・d26568)はそれを最後に口を噤む。救出対称配下の一般人には日本語の通じない外国人として対処するつもりであるが故、しゃべっては不都合が生じると言うことなのだろう。
    「おっ」
     日陰になった薄暗い裏路地を歩いていた淳・周(赤き暴風・d05550)が足を止め。
    「スタァーップ」
     停止を求めつつ物陰から男が現れる。
    「俺達に何か?」
     ポケットからちらりと眼鏡ケースを覗かせ対応したのは一之瀬・梓(紫紺の霊眼・d02222)だった。
    「眼鏡こそ本体なのです」
     聞く気がないのか、聞いていないのか答えになっていない一言を切欠に男は語り出す。
    「故に眼鏡メェンは己が全てを眼鏡によって体現せねばならない、これはウーマンであろうと同じこと」
    「ではこれはどうです、予算内で精一杯可愛いの選んでるんですよ?」
     原稿の作成時に愛用してると言う眼鏡のブリッジを押し上げ、反論する志織を一瞥すると、そのドヤ顔に嘆息する。
    「赤と透明の縦縞セルフレームですか、ふーむ、ですがこう、何というか……」
     眼鏡なのに男のお眼鏡にはかなわなかったのだろう。
    「何……眼鏡は可愛いのに顔が残念で釣り合ってない、だと……」
    「ちょ、ちょっとお待ちなさい、そんなこと一言たりとも言ってませんぞ?! くっ」
     いきなり噛み付かれて焦りつつ男が指を鳴らせば。
    「出でませい我らが同志」
    「「おおーっ」」
     呼び声に鬨の声で応じ、現れ出でた珍眼鏡集団が灼滅者達を取り囲む。
    「ふふふ、これで形勢は逆転です、イェア」
    (「しかし、実際聞いてみても彼らの主張はよく解らない、メガネは視力の補助器具でそれ以上の意味は無いと思うのだが……」)
     葉山・一樹(ナイトシーカー・d02893)が冷静に観察する中、眼鏡の男は数の優位から勝利を確信して勝ち誇った。
    「おっ追い払うだけで済ませるとかいいんですか! 戦闘不能にしてやるですぅー!!」
    「ちょ、ちょっと落ち着けよ!」
     直前まで言葉を交わしていた志織はまるっき聞いていない様子だったが。
    「ホワッツ、我らスルーして内輪もめ?!」
    「眼鏡……それは視覚を調整するもの」
     愕然とする男はここでブリジット・カンパネルラ(金の弾丸・d24187)が声張り上げなかったら放置されて隅っこで三角座りでもし始めたかも知れない。
    「なっ」
    「眼鏡……それはスタイリッシュOSRする為のもの。眼鏡……それは主の対人恐怖症を防ぐフォーマルな守護者」
     とりあえず動揺するふりをしてノッてきた男を意に介さず、ブリジットは続ける。
    「そう、眼鏡のあり方は執事に近いものがありそれが本体など言語満天星! そんな罰当たりは私が神の国の引導を渡してくれるわ!」
    「んで、集団で押しつけしか出来ねえ眼鏡のあんちゃんら、二度目になるがアタシに何の用だ?」
    「うぐっ」
     だがそのブリジットや周に気をとられたのも失敗だったのだ。
    「掛かりましたね……貴方達の悪行は全てお見通しです! みんとさんを残しこの場からとっとと去るです! でないと怪我しますよ!」
     志織の警告が終わるか終わらないか微妙なタイミングで、一斉にパニックに陥ったのだから。

    ●混乱の中に
    「なっ、なぁ?」
    「何だよ、何なんだよぉっ?!」
    「あ、一般人の皆さんは帰って、どうぞ」
     突如大混乱に陥った人々へ態度を変えたブリジットは動物でも追っ払うかのようにヒラヒラ手を振った。
    「次会ったら覚えてろよなのです!」
    「あなた達の仕業ですか?」
     と憤りを隠しきれない志織さえスルーして、平然としていたのは、ただ一人。
    (「眼鏡で悪魔で杖使い……闇堕ちしたら策士っぽくなりそうだなー。それも厄介なタイプの」)
     眼鏡の奥からアイスブルーの瞳を向けて問いかけてきた少女を周は観察し。
    「こんにちは。否定はしませんよ……」
     男達と遭遇する前に仲間と離れていた流希は、姿を現すなり挨拶を挟んでそう答える。
    「いやぁ、眼鏡が本体って面白い主張だよね。割れたり度が変わったらどうするんだろう。後お洒落眼鏡とかさ。寝る時も本体眼鏡なのかな」
    「『新たな自分に生まれ変わった』で通すようですよ」
     用は済んだとばかりに外した眼鏡を折りたたみ、裸のままポケットにしまい込んだ紫月の疑問に、人事のように言いながら少女ことみんとは身構えた。
    「あなたは人間? それとも悪魔?」
     問いかけるラハブの異形に荒事の気配を察したのだろう。
    「見えてる? これが、あなたがなろうとしてたモノ。見ての通りの怪物そのもの」
     灰色をした三つ首のうち一つが言葉を発し。
    「眼鏡好きが高じてこんなことを始めたのか、それは知らない。だが、眼鏡を流行らせようとしても強制は反発されるだけだ。それくらいは想像できるだろう?」
     梓の言葉を継ぐように一樹は口を開く。
    「君の親御さんや友人達が君が行っている、通行人に言いがかりをつけ高額な眼鏡代を払うか仲間になるかを強要する事を知ればどう思うか、今からでも遅くは無いもうこんな事はやめるんだ」
    「っ」
     ダークネスから救うべく発した呼びかけに、みんとの動きが止まる。
    「あんなのに引っかかっちゃうなんて眼鏡が好きなんですね。でもアレな眼鏡を押し付けるやり方には疑問があるのでは?」
    「眼鏡が好きなのは解りますが、無理強いはいけませんねぇ……。これは本来、視力を補強するための機具ですから……」
     効果があると見た灼滅者達は口々に声をかけ、それはそうとと話題を転じた流希は尋ねる。
    「貴方の周りの人が自分の思い通りに動いていることを不思議に思いませんでしたか……?」
     と。
    「……さて、どれから答えましょうか」
     眼鏡の位置を調整しながら沈黙を破った少女が灼滅者達へと杖を向け、戦いの気配が強まる中。
    「がうっ」
     一声あげたのは梓の霊犬、フォルンだった。みんとの退路を断つ形で対峙しながらアスファルトを蹴ると口にくわえた斬魔刀で斬りかかる。
    「ゆくぞっ」
     杖と刃がぶつかって、標的の注意が逸れた瞬間、一樹が懐に飛び込む。繰り出される拳は雷を纏ってみんとの顎を狙い。
    「くっ」
     拳がかすめた頬側の目をつぶって少女は仰け反った。
    「ねぇ、眼鏡が魅力になる人は確かに沢山いるよ? アンタも眼鏡似あうよね」
    「それはど」
     どうもと続けようとしつつ反射的に声の方を見たみんとへ紫月はマテリアルロッドを振り上げたまま、でもさと続ける。
    「眼鏡はかける人がいるからこそ引き立つと思うんだよね、オレは」
    「ぐっ」
     踏み込めば二人の距離は近づき、殲術道具が少女を打ち据えた。
    「だって顔だけのマネキンが眼鏡かけてたりショーケースに並んでる時より人が眼鏡かけた方が生き生きして見えない?」
     問いかけても注ぎ込まれた魔力の爆発で悲鳴をあげるみんとからの答えはなく、転倒には至らず踏みとどまった少女には飛びかかる人影が一つ。
    「ぶん殴るっ!」
    「きゃあっ」
    「悪魔なんかに負けちゃいけない」
     オーラが炎を吸いまるで炎を纏ったかのような周の拳がみんとを殴り飛ばし、アスファルトの上に倒れ込もうとする身体をラハブの放つ魔法弾が追いかける。
    「っ、これぐらい」
     だが、杖を持たない手をバネに少女は跳ね、制約の弾丸から逃げ切った。
    「ふぅ、危ないとこ――」
    「これが、みんとも使っている力の本質だ」
     否、逃げ切ったように見えて誘い込まれたのだ。流希の拳には雷が宿り、みんとの顎を狙う。
    「んぶっ」
     アッパーカットで打ち上げられた少女の身体が宙に舞う。
    「逃がさないわよ」
     ブリジットの影は地を這うように獲物を追いかけ、落下地点で刃となって待ち受ける。
    「っ」
     身体を捻り、かろうじて串刺しを免れたみんとが衣服を切り裂かれながらアスファルト転がり。
    「そろそろ反撃と参りましょう」
     跳ね起きるなり杖を向ければ、そこに霜が降り始めた。

    ●おそるべきけいかく
    「『似合う眼鏡を見立てたいはずが、なぜこうなったのか』そんな思いがあるのではありませんか?」
     仲間達に立ち上がる力をもたらすべくバイオレンスギターを弾きながら、志織は少女に訴える。
    「そ、それはまぁ『この資金を足がかりに巨大ロボを建造し、ロボを背景とした貴方のポスターを制作するのです、ソォグゥ』とか言われた時は頭を抱えましたが……」
    「いや、それ頭を抱えたで済ますところじゃないだろ、全力でツッコめよ! だいたい作ってどうすんだよ!」
    「わうっ」
     敵の体温を奪う死の魔法が一時的に季節を冬に引き戻した路地裏で、何処か気圧されて白状したみんとの言葉に梓がツッコんだ。フォルンによる斬魔刀の物理ツッコミを伴って。
    「そもそも眼鏡だって強制するより、趣味の合う仲間同士で意見交換した方が建設的で意味がある。そうは思わないか?」
    「っ、見解の相違ですね。あの時の私は手段選んではいられなかった」
     少女にもなにか事情はあったのだろう、ただ梓の主張に一瞬言葉を詰まらせたのも事実。
    「眼鏡だけじゃなく個人の趣味嗜好は人に強要されるものじゃない」
    「一理ありますが、何故巨大ロボという気持ちが……」
    「いや、そっちじゃなくてだ……ん?」
     続く自分の説得まですっとぼけられてツッコミかけ、一樹は違和感を抱いて動きを止める。
    「お前、わざとはぐらかしてるな?」
    「お気づきでしたか。流石にこれ以上みんとさんを惑わされては困りますのでね」
     指摘に肩をすくめ、ソロモンの悪魔は苦笑した。灼滅者達の説得で出てこざるを得ないほど追いつめられたと言うことか。
    「私は悪魔に対する悪そのもの」
    「っ」
     だからこそ、襲いかかった三首の異形への反応が一瞬遅れる。
    「しま」
    「だから、悪魔に自由は与えない」
     急所を狙ったラハブの斬撃がみんとの身体に吸い込まれ。
    「この先どうすんの? こいつに良いようにされてていいのか!」
    「っ、次から次へと」
    「そいつはてめぇの事情だぜ、いけよっ!」
     言葉に反応して動きが止まった少女へと周の影が触手になって絡み付く。
    「大体眼鏡側にとっても迷惑だろ! 合わない・必要ない人にかけさせられるとかいう場合もあるし」
     もがくみんとに向かって周は更に言葉を続けた。
    「自分がかけてる理由思い出せよ」
     と。幾度も灼滅者達を凍てつかせた余波で壊れた眼鏡は気にしない。
    「恐ろしいのは解るが、これも必要な事だ。忌み事なら助けた後で、たっぷり言ってくれ。絶対に助けるからよ」
    「がっ」
     横目で一度だけラハブを見た流希は、呼びかけながら鍛え抜かれた拳で少女を殴り飛ばし。
    「うっ、く……」
    「アンタも部下、でいいのかな……配下? のやり口に疑問持ってるみたいだしさ」
     蹌踉めきながら立ち上がったみんとへと、紫月はイヤホンのコードを揺らしながら問いかけた。
    「一回拳で語り合って冷静なところまで思考回路がクールダウンしたらオレ達の話聞いてくれるかな」
     言い終えた次の瞬間懐に飛び込んでオーラを集束させた拳の乱打を浴びせる形で。
    「かはっ」
     最後の一撃を受けて少女はアスファルトに倒れ込む。
    「その不思議な力、自分の納得する方向に使えるようになりたくない? 眼鏡が本体なんて洗脳よりずっと有意義な力の使い方、一緒に考えようよ」
     そして、紫月はオレも人に教えられる程詳しくはないんだけどさと続けながらも手を差し伸べた。
    「っ、やめなさい」
     心に届いたのだろう、みんとは顔をしかめ。
    「お気に入りは、自分で開拓してこそだ……それは、眼鏡も同様ッ!!」
     味方を覆うように盾を広げつつ、梓は叫んだ。形状記憶のフレームは激戦にも歪まず、紫外線をカットするレンズ越しに少女を見つめて。
    「私の目て、っがぁっ」
     立ち上がろうとしたその少女が、一樹の殺人注射器に刺され傾ぐ。
    「貴方の眼鏡に対する信仰心は見上げたもの! でも、布教の意味をはき違えているようね!」
     包囲されたみんとには逃げ場もない。膝をついた少女を前にブリジットは殲術道具を振り上げた。
    「悔い改めよ!」
     今こそ決着の時。
    「超必殺フォオオオスブレイク!!!」
    「きゃぁぁぁっ」
     声と共に放たれた裁きの光条に貫かれたみんとは崩れ落ち、戦いは終わりを迎える。所謂、ジャッジメントレイ使用詐欺であった。

    ●そしてはじまる
    「アフターフォロー、必要?」
     意識を取り戻したみんとが最初に聞いたのは、自分の顔を覗き込んでいたラハブの一言だった。
    「……状況を整理したいので、幾つか質問に答えて頂いてもいいですか?」
    「ん、パス」
     返ってきた言葉にフォローの苦手なラハブは仲間へと丸投げし。
    「なるほど、ご迷惑をおかけして済みませんでした。そして、ありがとうございます……助けて頂いて」
     他の灼滅者とのやりとりを終え、おおよそのことを理解した少女は一同に頭を下げた。
    「私に何か出来ることはありませんか?」
    「はいっ、みんとさんとは眼鏡談義したいです」
     お礼がしたいというみんとの言葉にがいち早く反応して手を挙げ、私でよろしければと少女は笑顔で快諾する。
    「そうだな、牧原さえ良かったら武蔵坂に来ないか?」
    「あ……学園いいとこ。一度はおいで?」
     新たな仲間を学園に案内いたしましょうかねぇ、と既に転入してくると想定している様子の流希を横目で見つつ梓が言えば、ラハブは何か違うと小首を傾げ。
    「そうですね、では」
    「何はともあれ、一件落着だな」
     頷いたみんとが仲間の手を取るのを眺めつつ、周はどこからか取り出した眼鏡をすちゃりと装着すると肩をすくめた。
    「では、お話も纏まったところで眼鏡談義と参りましょうっ。知的イケメンは細め銀メタル、これは譲れない……!」
    「眼鏡が本体党は滅びたのよね。だったらスタイリッシュOSR眼鏡党としてその談義参加させて貰うわ」
     待ちかねたと言わんがばかりに志織が何やら主張し出せば、そこにブリジットが加わって、始まる眼鏡談義。
    「何だか今日の景色は一段とあれだね」
     漂い始めた混沌の気配をスルーして、紫月は目を眇めてみせたのだった。
     

    作者:聖山葵 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年5月20日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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