優しき少女のナイトメア

    作者:長野聖夜

    「お……お願い! 少しは私にもお休みさせて!」
     夢の中だと認識しながら、少女はそれでも叫ばずにはいられない。彼女を追ってくるのは、普段であれば、目に見えないもの。それは、誰かの悩みだったり、苦しみだったり……。
     すなわち、学校で過ごしている時に、いつも彼女に持ちかけられるクラスメイト達からの相談だった。
     普段から皆の世話をしている彼女だからこそ、眠っている時位は、みんなの悩みを解決した満足感に浸り、ゆっくりと自分の心の疲れを癒したかった。
     そうすれば、皆の相談にももっと気持ちよくのることが出来て、きっといい解決策を思い付ける……そう信じていたのだから。
     けれども、今はそうじゃない。今は、皆の為の夜の眠りこそが、彼女にとって最悪の苦しみとなっている。
    「お願い……夜にまで、相談を持ち掛けないで……。こんなんじゃ皆の相談にちゃんとのってあげられないから……」
     ……心の中で涙を流すその健気な少女を踏みにじることこそ、シャドウの至上の喜びだった。
    「ある少女の夢にシャドウが取りつき、少女を苦しめ、彼女の心を荒廃させようとしていることが、予測されました」
     五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)が灼滅者達に告げた。
    「彼女は、とある中学校で、クラスメイト達の相談を請け負う何でも屋の様な事を行っていたようです。そうやって、皆の相談にのり、一所懸命其れを解決することで満足した後、ぐっすりと眠ることが彼女にとって一番の幸せだったようですね」
     眠ることにより、自分の心を癒していた少女。けれども、そうやって眠って疲れを癒すことで皆の相談にのるその優しい心を喰らうことこそ、このシャドウにとっては、至福と言う事だろう。
    「誰かの幸せの為に、これほど頑張っている彼女の幸せを奪う、このシャドウの悪行を見逃すことは出来ません」
     姫子の言葉に、灼滅者達が頷いた。
     
     
    「まずは、この少女を救うために、彼女のソウルボードにアクセスしてください。そして、夢の中で襲い掛かってきている相談に一緒にのってあげると言う様に、彼女を安心させてください」
     そうすることで、彼女の心を蹂躙しようとするシャドウを引きずり出すことが出来るだろう、と姫子は推測する。
    「彼女の周りに現れるのは、彼女がいつも受け持っているクラスメイト達からの相談事や、悩み、苦しみ。本来であれば実体を持たない精神的なものですが、このシャドウによって、影業を持ったスペードのトランプ兵として姿を現す様です。彼らの魔の手から彼女を守り続ければ、恐らく本体であるシャドウも出てくるでしょう」
     人の心の苦しみを好むシャドウ。そういったダークネスだからこそ、催眠の様な豊富な状態異常で攻撃を仕掛けてくるのでは、と姫子は推測した。
    「このシャドウが外に出れば、恐らく貴方がたでは太刀打ちできなくなるでしょう……どうか夢の中で倒してください」
    「どうか、この健気な少女の心を癒し、彼女の幸福を守れるように、最大限の努力をしていただけますよう、お願いいたします。……ご武運を」
     姫子の祈りの籠められた其れに、灼滅者達は静かに首を縦に振った。


    参加者
    アリス・バークリー(ホワイトウィッシュ・d00814)
    漣波・煉(高められし肉と血と・d00991)
    叢雲・秋沙(ブレイブハート・d03580)
    北郷・水辰(乱刃業時雨・d04233)
    葵璃・夢乃(ノワールレーヌ・d06943)
    竜胆・山吹(緋牡丹・d08810)
    ローゼマリー・ランケ(ヴァイスティガー・d15114)
    平戸・梵我(蘇芳の祭鬼・d18177)

    ■リプレイ


    「やっぱり彼女は、誰かの為にずっと頑張って来ていたのね」
     葵璃・夢乃(ノワールレーヌ・d06943) が開いたソウルアクセスを通じて少女の心の世界に入った所で、竜胆・山吹(緋牡丹・d08810)が、小さく呟く。ソウルボードの周囲は、所々に歪みが見られ、まるで、この少女が今までどれだけ1人で頑張っていたのかを象徴するかの様だった。
    「この歪みが彼女の頑張りなのでスか?」
    「そうだね。……頑張りと言うよりは、抱え込んでいた無理、かな」
     初めてのソウルボード、と言うこともあり不慣れな様子でキョロキョロと周囲を見回すローゼマリー・ランケ(ヴァイスティガー・d15114) の問いに、北郷・水辰(乱刃業時雨・d04233)が返す。
    「この子はずっと皆の悩みを一人で抱えこんでいたのよね。……やっぱりシャドウには邪魔なのかしら」
    「そうかもね。でも、許せないけど」
    「そうね」
     叢雲・秋沙(ブレイブハート・d03580)の決意に夢乃は頷いた。人によってはお節介としか思えない少女かも知れないが、それによって多くの人が救われているのだ。人は誰かに悩みや苦しみを打ち明けることによってその心の傷を癒せるのだから。
     その人の心を踏み躙るようなこのシャドウの所業は、許せるはずがなかった。
    「いたわよ」
     其れまで我関せずだったアリス・バークリー(ホワイトウィッシュ・d00814)が、そう促しながらある1点を指差す。
     彼女の指差した先で、少女が肩を抱いて蹲る様にしてしゃがみ込んでいた。背格好から、丁度、夢乃や秋沙と同じ位に見える。夢の中で身に纏っている制服は、恐らく通っている高校のものだろう。
    「じゃ、任せたぜ」
    「僕も何時シャドウが現れてもいい様に周囲を見ているから」
     漣波・煉(高められし肉と血と・d00991) と、平戸・梵我(蘇芳の祭鬼・d18177)に背を押され、夢乃、秋沙そして山吹の3人が先行して彼女に近づいていく。他の灼滅者達も、いつトランプ兵たちが来てもいい様に警戒を緩めないようにしていた。
    「……貴方達は誰ですか?」
     ずっと肩を抱いていた少女が、近づいてきた灼滅者達を振り返った。小動物の様に愛らしい、本来であればみんなに可愛いなどと慕われるであろう整った顔立ちの彼女は、不安と見知らぬ者に対する怯えを浮かべていた。
    「大丈夫。私達は、貴方の味方よ」
     代表して夢乃が優しく声を掛けると、少女は同い年くらいに見える彼女に、少しだけ警戒を解いたのか、全員をもう一度見回す。
    「味方……」
    「ええ、そうよ。私達は貴方の味方……まあ、心のカウンセラーと言った所かしら」
    「……どうして、こんな所に来たんですか?」
    「そうだね。君と同じ理由かな。誰かが悩んでいたら君が相談にのってしまうのと同じように、俺達も君みたいな子が苦しんでいると聞いたから、来てしまったんだよ」
     水辰が微苦笑を浮かべると、少女は微かに微笑んだ。
    「お節介も程々にしないと、疲れちゃいますよ、皆さん?」
    「それは君には言われたくないな~。君だっていつもみんなから相談されて、頑張っているんだよね? それも、誰にも頼らないで」
     秋沙が肩を竦めながら返すと、少女は微笑む。けれどもその笑みは、辛そうに歪められていた。
    「……わたしは、大丈夫です。だって、わたしが頑張ればみんなが笑顔になれるんだから……」
    「でも、其れだけじゃ駄目よ。誰かの相談を受けるにしても、まず自分を大切にしないと……貴方が倒れたら、今度は、周りの人たちが、貴方を心配して、辛くなるんだから」
    「そうね。夢乃の言う通りだと、私も思うわ。此処には皆もいないわ。だから……今は少し休んで、私達を頼って貰えないかしら?」
     山吹の励ましに、少女はほんの少しだけ目を瞬き、苦しげな表情を浮かべる。その時、周囲で歪みのある部分が少しだけ揺らいだ。
    「……姿を現したみたいね、彼女の心を苦しめる『悩み』たちが。……Slayer Card Awaken!」
     アリスが掛け声をかけ、他の灼滅者達が彼女の見ている方角を注視する。その間に、秋沙がそっと少女へと手を差し出した。
    「さあ、一緒に下がって。大丈夫。君は必ず私達が守るよ」
     少女はほんの少しだけ躊躇う様にしていたが、そっと差し出された手を握り返して立ち上がった。彼女を背に庇う様に、水辰が秋沙と共に少し前に立ち、更に他の灼滅者達が、彼らを守る様に陣形を組み直した。
     程なくして、11体のトランプ兵たちが姿を現し、彼らと真っ向から相対した。

     首に掛けているヘアバンドで髪をかき上げ、その双眸で鋭くトランプ兵を睨み付ける梵我が真っ先に駆け出し、鬼神変で飛び掛かる。電光石火のその一撃に、一瞬で、トランプ兵の1体が落ち、梵我は思わず舌打ちを一つした。
    「……何て自分勝手な相談事だよ! テストの点数が悪かったから、今度、ノートを写させてくれ!? テメェの努力不足を他人に任せようとしているんじゃねぇ!」
    「……此方は、ラブレターを好きな人に届けてくれだソウデス。トランプ兵の中には、本当に下らない悩みもある様デスネ」
     トランプ兵の群れの動きを網によって阻害しながら、ローゼマリーが溜息をつく。動きの止まったトランプ兵たちに向けて、螺旋槍を放ちながら出された煉の指示により、灼滅者達の攻撃が雨あられの様に振りそそぎ、守り手として攻撃を捌き続けていたトランプ兵が2体落ちた。それでもまだ、前衛と後衛それぞれにトランプ兵が4体ずつ残っている。
    「フン……大将はまだ姿を現す気配がない様だね」
    「……そうみてぇだな。ったく、とっととテメェら呼んで来やがれこらぁ!」
     梵我が馬鹿にしたように挑発するが、しかし、まだまだ数を残しているトランプ兵たちは、少しも動揺した様子を見せない。
     中衛にいた者たちの足元の影が蛇の様な形に化けて、口を開け前衛の灼滅者達に襲い掛かってきた。
    「……影喰らいか! メンドくせぇ技を……!」
    「ただの悩みたちにしては、随分と連携が取れているわね……!」
     煉の舌打ちに同意する様に忌々しげに呟きながら、アリスが祈り、天空へと両手を掲げる。
     シンシンとした白い粉雪が空中から降り注ぎ、地面の温度を氷点下までに急低下させる。
     凍り付いた地面を2つの蛇の頭がつるりと滑り、そのまま360度くるりと回り、そのまま影を放ったトランプ兵2体を丸呑みにして自壊する。
     だが、左右に別れることで氷点下地帯を避けた影たちは、山吹と梵我を喰らい尽くそうとする。
     夢乃の張った煌めく夜空の様な帳がその影とぶつかり合うが、勢いを殺し切れず、2人の胸と肩にそれぞれ食い込み、傷口からじわじわと闇が広る。  
     突然発生した霧が2人に纏わりついていた闇を打ち砕いたが、それでも尚、足元が少し覚束いていなかった。
    「……まずいね。あいつら、ジャマ―だ」
     ちっ、と水辰が舌打ちを一つ。いかにメディックといえど、1人で2体のジャマ―の技を捌き切るのは少々手間がかかる。
     灼滅者達は目線のみで合図をし、攻撃と防御の担当の割り当てを変えた。
     その一瞬の間に、前衛にいる4体のトランプ兵が灼滅者達を狙って攻撃を仕掛けてくるが、戦い慣れている彼等にはその技を見切るのは難しいことではない。しかし、少女を狙う攻撃は別だ。
     1体のトランプ兵が影を伸ばし、少女を襲う。
     少女は思わず悲鳴を上げて、その場にうずくまるが、しかし、その攻撃は彼女には届かなかった。
     目の前に、不敵な笑みを浮かべたローゼマリーがいたから。
    「大丈夫デスカ?」
    「はっ……はい。ありがとうございます……」
     一瞬のトランプ兵たちの忘我を見逃さず、煉・アリス・秋沙が攻撃を集中させ、最前線にいたトランプ兵達を消滅させた。
     それでも果敢に影を伸ばして反撃をしてくる者もいたが、水辰の支援に回った秋沙のお蔭で、過不足なく対処されている。
     このままいけば、親玉が現れる前に壊滅できる……そう思った時だった。
    「……なるほど。やっぱりそういうことだったのね」
     まだ残っていた中衛のトランプ兵の1体を処分したアリスが、何かを悟ったかのようにポツリ、と呟く。それから、灼滅者達に、警戒する様に指示を出した。
    「……来るわよ。こいつ等の親玉が……!」
     アリスの言葉にまるで応じるかの様に、周囲に、ジャックとクイーンのスペードを連れた、スペードのキングの形をしたシャドウが姿を現した。

    「ようやくお出ましか。じゃ、とっとと始めるとしようぜ。さあ、血祭(まつり)の時間だ!」
     威勢のいい啖呵と共に梵我が、変貌した腕で襲い掛かる。それは、姿を現したシャドウの中枢を捉え深く切り裂いていた。
     最初の兵たちは、ほぼ壊滅状態。先程シャドウに引きつれられて登場した2体のジャックとクイーンを除けば虫の息。
     その2体もキングを守る様に存在するだけだ。中衛のトランプ兵たちも、山吹のサイキックフラッシュとアリスの影喰らいで1人残らず消滅している。
    「こいつらは私と夢乃君でやる。君たちは、シャドウを狙いたまえ」
     煉の指示に従い、梵我がこじ開けた傷口から、キングに一斉に襲い掛かる灼滅者達。傷をつけられるたびに、シャドウの体から煌めく粒子が散っていく。
     ……不思議なことにそれは、この世界の歪みに溶け入るかの様に消えていく。
     一つ、また一つと消えるたびに、彼女に相談していた多くのクラスメイトの悩みたち、そして……何も考えずに彼女に頼ってしまったと言う罪の意識が少しずつ、灼滅者達に伝わってきた。
    「……なるほど。このシャドウは、この子に頼りっきりだったと言う、クラスメイト達の罪の意識だったわけね。……贖罪のオルフェウスに連なる者か」
    「ええ。さっき撃退した悩みがそんな感じだったから、どうもそういうことみたいよ」
     納得した様な山吹に、アリスが溜息をつく。そんなふうにわざわざすまないと思いながら彼女に頼るほどに、彼らは悩み苦しんでいたのだろうか。
     単に……彼女を利用したかっただけなのではないか。最も、それは正直どうでもいいことだった。
     目の前のシャドウが何にせよ、少女に仇なす敵であること。それだけは絶対的な真実だから。
     2人の溜息の間に、夢乃と煉が生き残っていた2体のトランプ兵を葬った。シャドウは部下が壊滅したことに、焦りを覚えたのだろう。少女に蛇の頭をした影を伸ばして襲い掛かる。
    「きゃっ!」
    「危ないッ!」
     夢乃が咄嗟に彼女の前に立ち、蛇に飲み込まれた。
     その中で、彼女は大切な人々の幻影を視た。そのどれもが、憎々しげに、彼女を責め、詰る声を上げる。
     (何故見捨てた、何故逃げたのか)
     耳を塞ぎこもうとする夢乃に、力強い声がかかった。
    「しっかりしてください!」
     水辰が投げたシールドリングにのせられてやって来た少女の声が、幻視に陥ろうとする夢乃の鼓膜を叩く。彼女は過去からの声を振り切るかの様に首を振り、蛇の頭をこじ開けた。
    「……あんたなんかに負けてたまるか!」
     彼女の声に押される様にして、秋沙が梵我と共に、魔力をシャドウの傷口に収縮させる。次の瞬間、異常なまでに膨れ上がった魔力が大爆発を起こし、シャドウを大きくよろめかせた。
     シャドウはよろめきながらも、鋭い睨みを効かせる。
     それは、爆発による隙をついて距離を詰めようとしていたベルト―シカとローゼマリーの動きを遮り、灼滅者達に攻撃させるための、暗示。
     だが、そのシャドウの目論見は、水辰によって生み出された霧によって防がれた。彼女の周囲に展開されていた霧が視線による暗示を防ぎ、彼女はそのまま懐に飛び込み、必殺の飛び膝蹴りを放つ。
     それは、シャドウの腹を強かに打った。反動で体勢を崩した彼女を、ベルト―シカが抱き上げてそのまま脇によける。
     次の瞬間、美しき白き魔力の塊が、シャドウの急所を正確に貫いた。  シャドウの胸の部分に貫通した穴が開き、そこから、向こうの少女の世界の歪みが美しく瞬いているのが見えた。
    「さて……終わりにしよう」
     煉が膝をついたシャドウの懐に飛び込み、紙を無慈悲に切り裂く子供の様な愉しげな笑みを浮かべた。次に彼が音もなく武器を収めた時、シャドウは塵も残さず消え去っていた。

     星の様な粒子が、世界を満たす。それはまるで、曇天が風によって吹き飛ばされて、煌めく星空が姿を現すかのようで、非現実的な美しさを醸し出していた。
    「どうやら、もう、大丈夫の様ね」
     山吹が色を取り戻していく世界を見て、ほっとした様に、息をつく。
     漸く、私達は充実した幸福な眠りと言う、少女にとって最も大切なことを取り戻せたのだ、と言う様に。
    「……目が覚めるようだね」
    「えっ?」
     ポツリとつぶやいた水辰に、少女がキョトンとした表情で応じた。
    「もうお別れの時間が来ると言う事よ」
     夢乃がそれに答え、少女が何処かハッ、としたような表情になった。それはつまり……自分を守ってくれた皆との別れを意味することだから。
    「もう……会えないんですか?」
    「大丈夫よ。言ったでしょ? 私は、貴方の心のカウンセラーだって。だから、また何かあれば、いつでも相談にのるわ」
     不安そうな表情の少女の肩を軽く叩き、山吹がそっと優しく微笑む。この夢から覚めれば、彼女たちの記憶は残らないかも知れないけれど。それでも、誰かに頼ることは決して恥ではないと言うこの真実は、彼女の心に刻まれ、忘れ去られることはないだろうから。
    「そろそろ帰ろうか、みんな」
     水辰がそう言って、精神世界の一部に触れる。程なくして、人一人が通れるくらいの大きさの扉が姿を現した。それが、この世界からの出口だった。
    「おっと。1つだけ。お前、何でもかんでも1人で背負い込んでじゃねぇぞ。お前が他人の悩みを全部背負い込んじまえば、今度は、お前に頼ったそいつの成長の機会ってのが失われる。ちっとはやり方考えてみろよ」
    「……煉君はしょうがないね。それじゃあ、俺もこれで失礼するよ。今度は、良い朝を」
     煉がサヨナラの手を振り、其れに苦笑しながらぺこりと一礼して、水辰が扉を潜る。アリスと梵我もそれに続いた。
    「……今回は、貴方の声に助けられたわ。またどこかで会えるといいわね」
    「じゃね! また何かあったらみんなと一緒に駆けつけるから! 今度はもっと素直に、誰かに頼らなきゃ駄目だよ?」
    「負担にならない程度に頑張ってクダサイ。良い夢をー」
     それに続いてローゼマリー達が開いているゲートに入り消えていった。少女が皆を笑顔で送り出すのを見て、山吹は、そっと息をつく。
    「……良い笑顔になったわね。それじゃあ、また」
    「はい! ……皆さんありがとうございました!」
     大きく頭を下げる少女に手を振り、山吹は他の灼滅者達と共に、彼女の精神世界を抜け出した。
     ――少女を救うことが出来たことに、心の底で安堵をつきながら。

    作者:長野聖夜 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年5月28日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 1/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 0
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