葬られし者どもの呼び声

    作者:霧柄頼道

     静かな夜だった。
     足を踏み入れる者のいない、神社の裏手。開けたその庭に、古びた枯れ井戸がある。
     板を釘で打ち付けた蓋がされ、内部は見えない。井戸の周囲も伸び放題の雑草や盛り上がった土に埋まりつつあり、本来の機能を果たす事はもはやないと思われた。
     だが、その土を踏みしめて立つ者がいる。
     人間ではなかった。淡い月に照らされる白い毛並み、強靱な足、青白い瞳。巨大な狼である。
     狼はまるで蓋ごしに井戸の中身が見通せるとでも言わんばかりに鼻面を寄せ、何度か匂いを嗅ぐ仕草をした後、おもむろに顔を上げて吠えた。
     長く尾を引く、聞く者に怖気をもよおさせるふうな遠吠え。
     狼が立ち去った後、吠え声に誘われるかのように、封印されているはずの井戸から立ち上がる影があった。
     その数、六。形は人のものであったが、全身を覆う甲冑から覗く手足は朽ちた骨。
     面伏せられていた顔が上げられれば、ぽっかりと空いた眼、鼻、口が焦点なく振り向けられる。
     白骨の甲冑達は握りしめた太刀を掲げ、月を見上げてうめくように叫ぶ。
     口腔から漏れ出るのは恨みの色。この身を縛る鎖さえなければ、すぐにでもすべてを切り伏せて見せるというのに。
     
    「スサノオが古の畏れを呼び起こしちまったようだぜ」
     神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)が灼滅者達へ告げる。
    「場所はとある神社の本殿、その裏手。今は使われていない古井戸から古の畏れが現れる。甲冑姿の侍だ」
     戦国時代、この井戸は地下道に通じ、物資の運搬や兵士の出入りに使う戦場の抜け穴の役割を果たしていた。
     しかし拠点が敵軍の襲撃を受け、主君を逃がすために武士達がしんがりとして地下道へ残ったはいいが、いざ自分達も逃げる段になって味方から井戸の出口をふさがれ、追って来た敵にことごとく討たれてしまったという。
    「戦術上合理的とはいえ、死ぬ気で守ったはずの味方から裏切られて生き埋めにされちまったんだ、死んでも死にきれねぇよな。おかげで連中は恨みに取り付かれ、目に入る人間を片っ端から斬り殺してしまうだろう」
     井戸自体は潰れ、骨もとうに残ってはいないだろうが、真っ暗な地下に閉じ込められた怨念はいまだとどまり続けている。放っておくわけにはいかない。
    「数は六体。実戦仕込みの様々な剣技を繰り出し、甲冑自体の防御力も高い。生前は少数の不利を連携で補っていたためか、コンビネーションも良いだろう。そして武将格が一人いる。こいつは他の五人と比べても優秀な能力の持ち主だ。ひときわ豪華な鎧を身につけてるからすぐにわかるぜ、注意してくれ」
     ポジションの詳細までは不明だが、全員前衛なのは間違いない、とヤマトが補足する。
    「多分、こいつらにはもうどんな言葉をかけても届く事はないだろう。ただそれでも真正面から憎悪を受け止めて、華々しく散らせてやるのが一番いい方法だと思う。お前達なら連中を成仏させられると信じてるぜ。気をつけてな」


    参加者
    玄鳥・一浄(風戯ゑ・d00882)
    殿宮・千早(陰翳礼讃・d00895)
    華宮・紅緋(クリムゾンハートビート・d01389)
    赤槻・布都乃(悪態憑き・d01959)
    現世・戒那(天ツ風・d09099)
    樹・由乃(温故知森・d12219)
    クリスレイド・マリフィアス(魔法使い・d19175)
    湊元・ひかる(コワレモノ・d22533)

    ■リプレイ

    ●死してなお……
     月明かりの差し込む境内を訪れる灼滅者達。目前には静寂とともに建つ本殿があり、目的の古井戸はこの裏手にある。
    「生と死が隣り合わせの戦国の世。一つ違えば、古の畏れになった方たちだって、追っ手として彼らを殺す側だったでしょうに。……武士は戦い散るが本懐。そこに恨みを残すようでは、覚悟が足りなかったとしか言えません」
     とはいえ相手取るは歴戦の戦国武者達。気は抜けないと、華宮・紅緋(クリムゾンハートビート・d01389)は装着したヘッドライトを闇の先へ向ける。
    「日本のサムライは主君を護って死ねれば本望なのかと思っていたけれど、そうでもないのかしらね。ましてしんがりなんてその時点で死を覚悟しているようなものでしょうに」
    「実際やられたらそりゃ死ぬほど恨みましょうよ。私だって化けて出る。できれば相手が生きてるうちに化けて出る。……それとこれとは話が別ですが」
     霊犬のリーアを連れたクリスレイド・マリフィアス(魔法使い・d19175)の言葉に、樹・由乃(温故知森・d12219)がカンテラ型ライトを揺らしながら肩をすくめて答えた。
     生前の武者達がどういう人物だったかはわからないが、古の畏れとなってしまった事が彼らの憎悪を如実に物語っている。
    「裏切られ、無念に死んだことには同情するが……。主君を見定める目がなかった己が身を恨んで、ここは諦めてもらおうか」
    「己の主君は己と言える時代やったならねぇ……。末期の戦、御付き合い致しましょ」
     さぞかし口惜しい最期だろう、と彼らに思いをはせつつも、殿宮・千早(陰翳礼讃・d00895)と玄鳥・一浄(風戯ゑ・d00882)は吊り下げ型の行灯といった光源を手に裏へ回っていく。
    「勇敢な人達だったんでしょうね。死んでもなお、戦うなんて……」
     わずかに目を閉じる湊元・ひかる(コワレモノ・d22533)に、ナノナノが静かに寄り添う。
    「……仲間……死んでも繋がっている……。恐いような、ひどく、羨ましいような」
     いまわの際に結ばれた武者達の絆は、果たしてどれほど強く、脆いものなのか。
     ふーむ、と赤槻・布都乃(悪態憑き・d01959)がちょっと難しい顔で腕を組む。
    「死にきれねぇから殺す側ってのも、どうなんだろうな。まぁダークネスに起こされたってコトなら、どの道オレ達の領分かね」
    「同情はするけど容赦はしない。せめてこの戦いが満足のいくものであることを祈るよ」
     現世・戒那(天ツ風・d09099)も頷いて、裏庭へ踏み込む。
     灼滅者達の前には土に埋もれかけた古井戸が。各々持参した照明もあってか、どこか不気味な様相と気配を放つその有様がよく見える。
     と、その瞬間、井戸の周囲から起き上がる影があった。
     数は六つ。反響しながら湧き上がるうめき声、声なき叫び。
     がちゃり、と甲冑がこすれ合い、土を踏み砕き、刀を抜き放つ音がする。
     影が一歩踏み出した。赤く塗られた兜に具足。握り込まれた日本刀。振り向けられた顔はまさにどくろそのもの。
     古の畏れである。
     多くの言葉は不要。戦闘態勢を取る灼滅者達。
    「さあ、もう一度永の眠りにつきましょう。ご心配なく。あなた方が抱いた恨みは、私たちが砕きます。今度こそ、安らかな、永遠の眠りを差し上げますから」
     紅緋が静かに告げて、亡霊達が吼える。ここに彼らとの最後の戦が始まった。

    ●捨てられぬ、私怨がある
    「そないやったら死出の花道も進めまへんやろ。その鎖と未練、断ち切ったります」
     一浄が先手を打って敵の懐へ飛び込み、フォースブレイクを見舞った。
     しかし、それは飛び出して来た別の武者に遮られる。武器と武器が重なり合い、つばぜり合いのように火の粉を散らす。
    「なるほど、守りは堅いどすえ」
     その武者の背後から別の敵がのろりと歩み出したかと思うと、中空へ跳躍しながら兜割りを振り下ろしてくる。
    「華宮・紅緋、これより灼滅を開始します」
     狙いは紅緋だが、これは直前に変化させていた鬼神変ではじき飛ばし、傷を受けながらもそのままの勢いで殴り返す。
    「まだまだ来るぜ!」
     仲間へ警告した布都乃が防御の姿勢を取りながら前へ。先ほどの武者と同じように敵の進路を妨害し、乱戦へ持ち込む。
     のみならず、隙あらばゲシュタルトバスターを放って敵陣を火の海へ飲み込ませた。
    「クラッシャーとディフェンダー、半々といったところか……」
     仲間達の奮戦を目にしつつ、襲い来る敵をフォースブレイクで迎え撃ちながら千早が分析を進める。
     攻撃を重視する敵と守備を重視する敵。わずかな違いだが見極められないほどではない。
    「草神様の仰せのままに」
     一方、スレイヤーカードを解除した由乃は鏖殺領域をばらまきにかかる。
     火の海から脱出した武者達は立ちこめる殺気に絡め取られ、由乃を狙おうとするも前衛へ出るクリスレイドとリーアにそれもままならない。
    「貴方達の恨みや憎しみなんて私はどうでもいいの」
     クリスレイドが冷静に語りかけながら、冷気を差し向けて武者達を骨の髄まで凍てつかせる。
    「私が興味があるのは、貴方達を目覚めさせたモノのほう。どこへいったのかしら? ……と言っても知らないでしょうけれども」
     応じるのは怨念にまみれたうめき声。傷を恐れず打ちかかる敵を見て、ひかるがシールドリングを張り巡らしながら仲間へ呼びかける。
    「皆さん、ばらばらにならないで……できるだけ固まって下さい」
     相手の連携は予想以上だ。こちらが機先を制したといえど、隙あらば分断してくれようという獰猛さがある。
     それを防げるのは後方から戦場全体を見渡せるひかると、その声を受けて素早く回復に回れるナノナノだけだった。
    「それなら、まずは隠れようか」
     振りかぶられる斬撃をすんでのところでかわしつつ、戒那の吹き上げる塵殺領域が敵の視界をふさぐ。
    「アンタらも必死なんだろうが、こっちもくたばる気はねぇんでな!」
     ダメージ覚悟で突撃した布都乃が標的とするのは敵将。
     敵勢の連携を無視するほど驕ってはいない。武者達へ無言の指示を飛ばす武将格の侍へ死角から回り込み、紅蓮斬で斬り抜ける。
    「こっちだぜ、追って来いってんだ!」
     敵の動きを確認するために刹那、振り返る。だが視界にはすでに二人もの武者が。
     したたかに刀で切り裂かれ地面の上へもんどりうって倒れ込むが、即座に近づいたナノナノがふわふわハートで傷を癒す。
    「隙あり、どすえ」
     特攻をかけた布都乃に気を取られたのか、乱れた敵陣。それを見逃さない一浄の神霊剣がその中心部へ叩き込まれる。
     避け損ねてまともに受けた武者がぐらりと傾いだ。
    「生きていればいずれ名立たる武将になったのかもしれないが……、残念ながら歴史にifはない」
     一浄と呼吸を合わせ、その先に立つのは千早。深く体躯を沈み込ませて満身の力とともに打ち出された尖烈のドグマスパイクが、死者のどてっ腹を穿つ。
    「命を失ってもう400年以上。お前達の主君も仇もとっくに土に還ってる。お前達もさっさと輪廻に戻るんだな」
     倒した屍を見下ろし、それからいまだ未練を持つ屍達を見回し、そう呟く。

    ●受けよこの剣
     闇に響く斬撃音、忙しげに変わる立ち回り。古井戸の周囲では激戦が続く。
     いくつもの状態異常を付与された武者の一人がシャウトし、汚れを払い落とす。
    「キュアしたければすればいいんですよ。その隙に更に積み上げますから」
     由乃がその武者を容赦なく蹴り飛ばす。
     追撃を阻害するためだろう、すかさず別方向から月光衝が飛んでくるがそれはクリスレイドが受け流し、リーアが敵を攪乱している内に癒しの風で傷ついた前衛達を回復していく。
    「烈風、刻み砕け」
     敵を指し示した戒那から突風が巻き起こり、それはすべてを斬り裂く竜巻となって敵を襲う。武者達はたまらず後退し、また一人、陣から外れた。
    「もらいました!」
     紅緋が送り込む鮮烈に赤く輝く神薙刃がその武者へ着弾、上半身を吹き飛ばし、ものも言わせず霧散させる。
    「こんなもんかよ、アンタらの恨みってのは!」
     影の刃で武者達と斬り結ぶ布都乃。次々と繰り出される敵将の攻撃は他の武者に輪を掛けて凄まじく、防御が精一杯だが思惑通りに相手を釘付けにできていた。
     それでもさばききれない攻撃は、ひかるが戦場を駆け回って注意を引く。危険ではあるが多少なりともダメージは分散できるはずだった。
     同時に、バイオレンスギターを弾いてナノナノとともに仲間達の治癒に努める。
    「御覚悟……」
     一浄のささやくような声音と、鋭く突き込まれるフォースブレイクが的確に武者の胴体を捉え、甲冑もろともばらばらに砕く。
     その背後から残った三体が一斉に襲来する。三方から肉薄する斬撃も落ち着いてしのぎつつ、間合いを取って仲間の射線を開いた。
     千早のヴォルテックスが敵を巻き上げ、姿勢を低くした戒那が混乱する敵中へ躍り込む。
    「閉鎖、払い奉れ」
     駆け抜けながら除霊結界で武者達の身を縛り付け、次手へつなげた。
    「トカゲの尻尾。という言葉を連想しますが斬り捨てられた方はたまったもんじゃありませんね」
     諦めを知らないかのようになおももがく亡霊達を見やり、由乃は銃口を向ける。
    「なので好きなだけ抵抗することを許可しましょう。存分に暴れて恨みをぶつけてきなさい。……当然反撃はさせて頂きますが、無抵抗の相手を殴り続けるなんて楽しくないでしょう?」
     殴るというより蹴っているのだが、今回撃ち出されるのは凍てつく氷弾。
    「ほら。凍れ弾丸」
     それは仲間を守るように立ちはだかった武者へ吸い込まれ、瞬時に氷の氷像と変えたかと思うと、儚い音を立てて砕け散る。
    「私は臆病者だから、あなた達のようにはなれないでしょうね。ならなくて良いですが……大切な人とは別れたくない……かも」
     いつでもひかりのように私を導いてくれる、その背中を追うだけで私は良い。
    「あの人の傍に居られるならそれだけで、それだけで……」
     もう何も。ひかるの心象をそのまま表したような響きが、癒しを伴って痛めつけられた仲間を立ち上がらせる。
    「生憎と私は優しくないので、成仏しろとは言わないわ。……消えなさい。もう貴方達の世ではないのよ」
     武者を斬りつけてひるませたリーアに続き、接近したクリスレイドのスターゲイザーが相手の全身を砕き、細かな破片を風に運ばせていく。
    「なかなかの強者らしい。名乗りを聞こうか」
     後、一人。ただ一人残った武将は消えていく仲間を見ても、千早に問いかけられても何も語らず、ただ刀の切っ先を灼滅者達へ向ける。
     もはや名など必要なし。ここにあるはただ、討つ者と討たれる者のみ。それだけが真実と、言外の言葉が聞こえるようで。
    「へ……男らしいじゃねえか。気に入ったぜ」
     敵将と刃を交え続け、疲労しながらも布都乃は笑う。
     戦は最終局面。果たして最後に立っているのはどちらか。

    ●強者どもが夢の跡
    「さて、名もなき武将様、武蔵坂学園が一手駒、華宮紅緋が最後の相手を務めさせていただきます。お覚悟を」
     紅緋が迷いなく疾駆し、敵将めがけて渾身の鬼神変を大振りに振り抜く。
     ぶつかり合う刀と異形の腕。
     片や、鬼の力で押し込み、方や、磨き上げられた技術でもってその力をさばききろうとする。
    「その鍛え上げた技、この目に焼き付けさせておくれやす」
     そこへ近づいた一浄が黒死斬を浴びせ、体勢を崩させる。
     だが敵もさるもの、身体を反転させ、その勢いを逆に利用して中衛へ飛びかかったではないか。
    「っと……やらせねぇんだよ!」
     ここまで相手の動きを観察していた布都乃がなんとか間に合い、放たれた三段突きを食い止める。
     激烈な威力の刺突が骨ごと砕かんばかりに叩き込まれ、膝を突く布都乃を由乃が飛び越え、加速をつけて敵将を蹴り飛ばした。
     魔法使いだけど蹴っていくスタイル。しかし真っ向から喰らわせても、敵は踏ん張って倒れる様子はない。
    「狼爪、抉り殺す」
     体勢を立て直す隙を与えじと、月の光を背に受けて駆ける戒那が敵の脇をすり抜けざまに爪撃で引き裂いていく。
     その上反対方向からクリスレイドのスターゲイザーとリーアの銭弾が敵将へ降り注ぎ、古井戸近くまで吹っ飛ばした。
     敵は立ち上がろうとしてふと井戸へ視線を落とすと、過去の記憶を蘇らせでもしたのか咆哮を上げて刀を何度も突き立てる。
    「恐さも痛みも、過ぎ去りさえすれば済むから……早く終わって……倒れて下さい」
     祈るようなひかるが行使するシールドリングと、ナノナノのふわふわハートが息を荒げる仲間達の衝撃を緩和させた。
    「俺達にできるのは、終わらせる事だけだ……来い」
     ゆらりと立ち上がった敵将が、灼滅者達を見据えて大上段へ刀を掲げた。同時に駆け出す千早。
     怒り、恨み、そして悲しみのすべてが込められ、振り下ろされた一刀から放出された剣閃が、前衛へ津波のようになだれ込む。
    「させるか!」
    「リーア!」
     けれどクリスレイド達ディフェンダーが仲間をかばい、危うく誰も倒れずには済んだ。
     敵将は刀を振り下ろした体勢のまま固まっている。その懐には千早が、深々とフォースブレイクを撃ち込んでいた。
    「守る旗今は無くとも誇りあれ」
     ゆっくりと消えていく敵将を前に、一浄が歌うように言葉を紡ぐ。
    「終のみちゆき花見送らん」
     視線を逸らさず、その最期を全員が見届けていた。

    「終わりましたね……」
     紅緋が息をつく。仲間の多くも激しい戦いの終わりにめいめい、息を整えている。
    「恨みは晴れたかな? できれば二度と目覚めることのない安らかな眠りを……」
     戒那が井戸へ手を合わせ、冥福を祈り花束を供える。
     彼らの主君がどうなったのか詳しい事はわからなかったが、せめて無事に生き延びられたのだと信じたい。
     一浄も線香と菊花を捧げ、かつて同じ思いで守った者達へ向けて静かに目を閉じて合掌している。
    「暴れて満足しましたか。それでしたならさようなら。また来世」
     草神様草神様。彼らの魂をお救いくださいと由乃も手を合わせて弔う。
    「……おやすみなさい」
     厳粛な面持ちのひかるとナノナノの足下には、供えられた花が。これでもう、思いわずらう事なく眠っていて欲しい。
    「騒がしくして悪かったな。ゆっくり休んでくれや」
     ぽつりとこぼし、物思いにふけるように月を見上げながら境内へ戻る布都乃。
    「神社から外へ繋がる古井戸と言えば、思い出すのは信州のあの武将だが。……まさか、な」
     ふとある有名な武将の名を思い出し、千早がかぶりを振る。
     真実はすでに井戸の下。誰も知る者なし。

    作者:霧柄頼道 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年5月29日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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