名に負うは蛇、なりはヒト、小狡さは狐狸で実態は化転の内に成り損なった犬畜生。振袖着流し華文庫、化粧顔の傾奇者。笑う口元に扇を袖を外さぬ蛇舌二枚舌。我が身を蛇めと自嘲する。雪深い山の社で長きを過ごし、初めて贄を捧がれた日から凍みた心は痛まない。滴る様な片鎌の月の登る夜に山を下りたのはこの最近。振り向くことは以来忘れて過去は過去、寝れば忘るる健忘の癖。里の桜に染まる春には心なしか上機嫌。